業務委託の請求書の書き方|項目・源泉徴収・インボイスの記載例と注意点

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  • 請求書は報酬を受け取る受託者が書く
  • 報酬と消費税を区分すると源泉徴収の額が変わる
  • フリーランス法の対象なら受領後60日以内に支払う

業務委託の請求書とは、仕事を引き受けた側(受託者)が、約束した報酬を発注者に請求するために出す書類です。請求書の様式を定めた法律はありませんが、宛先、発行者の氏名・名称と登録番号、取引年月日、取引内容、金額(消費税と源泉徴収額)、支払期限、振込先を書いておけば、発注者はそのまま経理に回せます。この記事では、受託者が請求書に書く項目、源泉徴収と消費税の金額欄の組み立て方、令和8年度税制改正で見直されたインボイスの経過措置、契約の形ごとの請求のタイミングとフリーランス法の支払期日、請求書を出さなくてよいと言われたときの対応を、国税庁・公正取引委員会の公開情報をもとに、2026年10月22日時点の内容で整理します。発注者として届いた請求書を確認する立場の注意点も、あわせて扱います。

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目次

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  1. 業務委託の請求書とは|誰が書き、発行の義務はあるのか
  2. 業務委託の請求書に書く項目|早見表と書き方のポイント
  3. 源泉徴収と消費税の書き方|金額欄を組み立てる
  4. 請求書を出す時期と支払期日|契約の形・フリーランス法・請求書を出さない場合
  5. 発注者として業務委託の請求書を受け取るときの確認点
  6. 請求書の発行・受領・支払を見直す3サービスの役割の違い
  7. よくある質問(FAQ)
  8. 業務委託の請求書のまとめ|押さえたい6つのこと
  9. 参考文献

業務委託の請求書とは|誰が書き、発行の義務はあるのか

業務委託の請求書は、報酬を受け取る側(受託者)が書いて、発注者に出す書類です。請求書の様式を定めた法律はなく、発行そのものも報酬を受け取るための必須の手続きとは限りませんが、報酬の請求、発注者の経理、受託者自身の記録に使われるため、業務委託の取引では請求書を出すのが一般的です。

請求書は誰が書く?受託者が書き、発注者が確認する

請求書は、報酬を受け取る受託者が作成して発注者に渡します。発注者は、届いた請求書の内容を、契約や発注書と照らして確認してから支払います。個人事業主やフリーランスでも、法人の受託会社でも、書く側は報酬を請求する側です。

例外として、発注者が自分で支払の明細を作る方式があります。国税庁は、仕入れを行った事業者が自ら作成する仕入明細書や仕入計算書も、所定の事項が記載され、取引の相手方の確認を受けたものであれば、適格請求書等の種類のひとつとして示しています(国税庁 No.6625)。発注者から「請求書は要らない、こちらで支払通知書を出す」と言われたときは、この方式にあたります。確認の方法は、後ろの「請求書を出さなくてよいと言われたときの対応」で扱います。

業務委託の請求書は必要か|発行の義務と、書いておく4つの理由

請求書の様式を定めた法律はなく、契約は書面がなくても成立します(民法第522条)。それでも請求書を出しておくのは、次の4つの場面で必要になるためです。

  1. 報酬の請求と入金の確認: 請求する金額、支払期限、振込先を、発注者と共通の書面で確かめられます。
  2. 発注者の経理と消費税の処理: 発注者が消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として、インボイスなど一定の事項が記載された請求書等の保存が必要です(国税庁 No.6625)。インボイス発行事業者は、課税事業者である取引先から求められたときは、インボイスを交付し、その写しを保存する必要があります(国税庁 インボイス制度について)。
  3. 受託者自身の記録: 売上と入金の根拠として、確定申告や税務調査のときに取引の内容を説明できます。業務に関して作成した請求書は、写しも含めて保存の対象です(国税庁 No.2080)。
  4. 金額や期日の食い違いの予防: 報酬額、支払期日、源泉徴収の有無を、書面で確認できる形に残せます。

請求書を出さなくてよいと言われたときの扱いは、後ろの節で整理します。

毎月、複数の発注者へ請求書を出す受託者は、書く項目が同じでも、宛先や品目、金額、源泉徴収額を発注者ごとに入れ替えて作る手間が積み上がります。取引先や品目を登録して請求書を作る仕組みの一例が、株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド請求書」です。商品ページでは、個人や小規模から中小企業向けの、見積書・納品書・請求書・領収書を作成できるクラウド型の請求書ソフトで、作成・送付・保管を一元管理できると紹介されています。毎月自動作成の機能や、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応も挙げられています。注意したい点として、入金消込を使うには「マネーフォワード クラウド請求書Plus」の契約が必要と記載されています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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業務委託の請求書に書く項目|早見表と書き方のポイント

業務委託の請求書には、宛先、発行者の氏名または名称、取引年月日、取引内容、税率ごとの金額と消費税額、支払期限、振込先を書きます。インボイスとして必要な記載事項は、国税庁が6つ示しています。登録番号を書けるのは、インボイス発行事業者だけです。

次の表は、請求書の項目ごとに、書き方とポイントをまとめたものです。インボイスの記載事項にあたる項目には、項目名に「(記載事項)」と添えています(国税庁 インボイス制度について)。

項目書き方ポイント
宛先(記載事項)発注者の正式名称を書き、法人や部署宛なら「御中」、個人宛なら「様」を付ける。「(株)」などの略称は避ける宛名や部署名を指定する発注者もある。初めて請求書を出す相手には、宛名と部署名を事前に確認する
発行者の氏名・名称と登録番号(記載事項)個人事業主は氏名(屋号があれば屋号も)、法人は正式名称を書く。インボイス発行事業者は、「T」で始まる登録番号を添える登録番号は、「T」と13桁の数字で、税務署から通知された番号と同じにする。国税庁の公表サイトで検索できる
取引年月日(記載事項)納品日や、役務を行った日を書く。月ごとにまとめて請求するなら、その期間を書く国税庁は、課税期間の範囲内で一定の期間内の取引をまとめて記載する方法も認めている
取引内容(記載事項)何の報酬かが、請求書だけで分かるように書く。「開発費」だけでなく、「(案件名)の開発費」のようにする品目名を発注者が指定している場合は、その表記に合わせる。軽減税率の対象品目を含むときは、その旨も書く
金額と消費税(記載事項)税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額を書く「小計(税抜)」「消費税(10%)」「税込合計」の順に並べると、発注者が内訳を確認しやすい
源泉徴収額源泉徴収の対象の報酬なら、差し引かれる税額と、差し引いた後の請求金額を書くインボイスの記載事項ではない。書くかどうかは、発注者の指定に従う。計算は次の節で扱う
請求書番号請求書ごとの通し番号や、日付と組み合わせた番号を付ける必須ではないが、入金の確認や問い合わせのときに、番号で特定できる
発行日取引の実務では、発注者と取り決めた締め日に合わせることが多い請求書を作った日とは限らない。契約や発注書で、締め日を確認する
支払期限契約や発注書で決めた支払期日を書く土日祝日にあたるとき、前倒しか翌営業日かを、事前に確認する。上限は、後ろのフリーランス法の節で扱う
振込先金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号、口座名義を書く書き方の詳細は、請求書の振込先の書き方で整理している
備考振込手数料の負担者、立替えた経費の内訳、源泉徴収の有無などを書く契約で決めていることを、請求書でも確認できる形にする

請求書番号・発行日・支払期限・振込先は、インボイスの記載事項ではなく、取引の実務で書く項目です。請求書全体の作成手順は請求書作成の手順と必須9項目で、インボイスの記載事項そのものの書き方はインボイス(適格請求書)の書き方で扱っています。

取引内容の書き方|契約の形ごとの例

取引内容は、契約の形によって書き方が変わります。次の表は、書き方の例です。案件名や金額は、書き方を示すための架空の例です。

契約の形取引内容の書き方の例数量と単価の考え方
成果物を納める(記事、デザイン、システム開発など)「(記事の題名)の原稿料」「(サイト名)の制作費」1本、1式など、成果物の単位と、契約で決めた単価を書く
稼働時間で報酬を決める(コンサルティング、運用支援など)「(案件名)の支援費(4月分)」稼働した時間数と、契約で決めた時間単価を書く
月額で固定する(運用、保守など)「(システム名)の運用保守費(4月分)」1式として、月額の金額を契約どおりに書く
立替えた実費(交通費など)「(用務)の交通費(実費)」報酬とは別の行に書き、領収書などの根拠を手元に置く

時給や時間単価で報酬が決まる業務委託でも、請求書に書くのは、契約や発注書で決めた時間単価と、稼働した時間数です。請求書は、報酬の単価を決める書類ではないため、単価の水準は、契約を結ぶ段階で発注者と話し合って決めておきます。

押印・発行日・支払期限で迷いやすい点

インボイスの記載事項に、押印は含まれていません(国税庁 インボイス制度について)。発注者から押印を求められた場合に、角印や電子印鑑を使う会社もありますが、請求書の効力とは別の、取引先との取り決めの問題です。

発行日は、請求書を作った日ではなく、発注者の締め日に合わせることが多く、「月末締め、翌月末払い」のような取り決めを、契約書や発注書で確認します。支払期限が土日祝日にあたる場合は、前倒しなのか、翌営業日なのかを、最初の請求の前に確認しておくと、再発行の手間を避けられます。記載ミスに気づいたときは、発注者に連絡したうえで、訂正した請求書を出し直します。

源泉徴収と消費税の書き方|金額欄を組み立てる

報酬が源泉徴収の対象なら、請求書の金額欄は、小計、消費税、源泉徴収額、ご請求金額の順に組み立てます。国税庁は、請求書等で報酬の額と消費税の額が明確に区分されている場合は、報酬の額だけを源泉徴収の対象とする金額として差し支えないと示しています(No.2792、No.2795)。

源泉徴収の対象になる報酬かを、先に確認する

源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は、国税庁が示しています。居住者(個人)に支払う場合の代表的なものは、原稿料や講演料など、弁護士・公認会計士・司法書士など特定の資格を持つ人への報酬・料金、プロスポーツ選手・モデル・外交員などへの報酬・料金、映画・演劇・芸能・テレビ放送等の出演の報酬・料金などです(国税庁 No.2792)。業務委託という名前の契約でも、すべての報酬が対象になるわけではありません。

システム開発や事務代行のように、この範囲に挙がっていない業務は、原則として源泉徴収の対象になりません。ただし、謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、実態が報酬・料金等と同じであれば、源泉徴収の対象になります(国税庁 No.2792)。対象かどうか迷うときは、発注者に確認するか、税務署や税理士に相談します。

業務委託を受けている場合に、源泉徴収がされるかどうかは、報酬の種類と、支払う側で決まります。支払う側が個人事業主の場合などは、源泉徴収の義務がないこともあります。支払う側の義務、納付の期限、計算の詳細は、業務委託の源泉徴収は必要?対象の報酬・計算方法・納付期限の記事で、条文をもとに整理しています。

金額欄の記載例と、源泉徴収額の計算

源泉徴収額は、報酬の額が100万円以下なら、その額に10.21%(所得税と復興特別所得税)を掛けて求めます。100万円を超える場合は、100万円を超える部分に20.42%を掛け、102,100円を加えます。1円未満の端数は切り捨てます(国税庁 No.2795)。令和9年分以後は、所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税という名称になるため、令和9年以降の請求は、国税庁のページで最新の取扱いを確認します。

次の表は、報酬が100,000円(税抜)、消費税が10%の場合の記載例です。品目や金額は、書き方を示すための架空の例です。

品目数量単価金額
記事制作費(「(記事の題名)」の原稿料)5本20,000円100,000円
小計(税抜)100,000円
消費税(10%)10,000円
源泉徴収税額(100,000円 × 10.21%)-10,210円
ご請求金額(税込、源泉徴収後)99,790円

この例では、報酬の100,000円と消費税の10,000円が、請求書で区分されています。源泉徴収の対象は報酬の100,000円で、10,210円を差し引いた99,790円が入金額になります。報酬と消費税を区分せず、110,000円と1行で書くと、原則として消費税を含めた110,000円が源泉徴収の対象になり、源泉徴収額は11,231円、入金額は98,769円になります(国税庁 No.2795)。区分して書くかどうかで、入金額が1,021円変わります。

100万円を超える例として、国税庁は、150万円の原稿料を支払う場合の源泉徴収額を、(150万円-100万円) × 20.42% + 102,100円 = 204,200円と示しています(国税庁 No.2795)。源泉徴収額を請求書に書くかどうかは、発注者の指定に従います。発注者が自分で計算して差し引く場合も、請求書に書いておくと、請求額と入金額のずれを確認しやすくなります。

立替えた交通費・宿泊費は、報酬に含まれるのが原則

報酬とは別に、交通費や宿泊費を請求するときは、源泉徴収の扱いに注意します。国税庁は、旅費や宿泊費の支払も、原則として報酬・料金等に含まれるとしています。通常必要な範囲の金額を、報酬の支払者が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいとされています(国税庁 No.2795)。

つまり、受託者が自分で立て替え、請求書で発注者に請求した交通費は、原則として、源泉徴収の対象になる報酬と合わせて計算されます。交通費を発注者が直接手配するのか、受託者が立て替えて請求するのかを、事前に決めておくと、請求額の食い違いを防げます。

免税事業者とインボイス発行事業者で、請求書の書き方はどう違うか

インボイス発行事業者は、請求書に登録番号と、税率ごとの対価の額・消費税額を書きます。登録していない免税事業者は、インボイスを交付できないため、登録番号を書きません。発注者が課税事業者で、インボイスの交付を求める場合は、登録するかどうかを、取引条件とあわせて発注者と話し合います。

公正取引委員会は、課税事業者である発注事業者が、免税事業者であるフリーランスに課税事業者になるよう要請すること自体は、フリーランス法上、問題とならないとしています。ただし、課税事業者にならなければ取引価格を引き下げる、それにも応じなければ取引を打ち切る、などと一方的に通告することは、問題となるおそれがあると説明しています(公正取引委員会 フリーランス法Q&A Q116)。

令和8年度税制改正で変わった経過措置と特例(2026年10月時点)

インボイス制度の経過措置と特例は、令和8年度税制改正で見直されました。2025年以前に書かれた解説とは、数字や期間が違うことがあるため、国税庁の特設ページで確認します(国税庁 令和8年度税制改正特集)。

制度内容受託者・発注者への影響
免税事業者などからの課税仕入れの経過措置控除できる割合は、令和8年10月から2年間が70%、令和10年10月から2年間が50%、令和12年10月から1年間が30%で、令和13年10月以降は0%。改正前は、令和8年10月から3年間50%の予定だった発注者が、登録していない受託者へ支払った分を、仕入税額控除できる割合
2割特例令和8年9月30日が属する課税期間までの特例免税事業者から課税事業者になった受託者の、消費税の納付税額の計算
3割特例インボイス発行事業者の登録で免税事業者から課税事業者になった個人事業者が、令和9年分・令和10年分の確定申告で、納付税額を売上税額の3割にできる。基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなどが要件個人事業者の受託者の、消費税の申告

どの特例を使えるかは、受託者の課税売上高や登録の有無で決まります。判断が必要なときは、国税庁の案内か税理士に確認します。

請求書を出す時期と支払期日|契約の形・フリーランス法・請求書を出さない場合

請求書を出す時期は、契約書や発注書の締め日と支払日が基本です。定めがない場合の民法の原則では、成果物を引き渡す請負は引渡しと同時に、事務を処理する準委任は履行した後に、報酬を請求します。フリーランス法の対象になる取引では、発注事業者は、成果物や役務を受け取った日から60日以内に報酬を支払う必要があります。

契約の形ごとの請求のタイミング

契約の形民法の原則請求書を出す時期の例
請負(仕事の完成を約束する)報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払う(第633条)納品と検収が済んだ後。検収の期間があれば、契約書の定めに従う
準委任(事務の処理を任される)特約がなければ報酬を請求できず(第648条第1項)、履行した後に請求する(同条第2項)作業をした月の末日など、契約書の締め日に合わせて、月ごとに出す

業務委託契約という名前の契約が、民法の請負にあたるのか、準委任にあたるのかで、報酬の考え方が変わります。契約の種類の見分け方は、業務委託契約とは?法律上の意味と請負・委任・準委任の3種類の記事で解説しています。契約書や発注書に別の定めがあれば、その定めに従います。請求書を出す前に、契約書の締め日、支払日、検収の条件を確認します(e-Gov法令検索 民法)。

フリーランス法では、報酬の支払期日は受け取った日から60日以内

公正取引委員会のQ&Aによると、フリーランス法の対象になる取引では、発注事業者は、フリーランスから給付を受領した日から起算して60日以内に定めた支払期日までに、報酬を支払う必要があります。支払期日の起算日は給付を受領した日で、役務の提供の場合は、個々の役務の提供を受けた日です。役務の提供に日数を要するときは、一連の役務の提供が終了した日になります(公正取引委員会 フリーランス法Q&A Q45)。

請求書との関係では、同じQ&Aが、フリーランスが請求書を提出してくれないので報酬を支払えない場合でも、発注事業者は、請求書の提出の有無にかかわらず、給付を受領した日から60日以内に定めた支払期日までに報酬を支払う必要があると説明しています。請求書を提出しないことは、フリーランスの責めに帰すべき事由にはあたりません(Q58)。受託者から見ると、請求書を出し忘れても発注事業者の支払義務は変わりませんが、請求書がないと、発注者の経理の処理も、入金の確認も遅れます。締め日までに出す習慣をつけておきます。

公正取引委員会の特設サイトは、フリーランスを「業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの」としています。同じサイトの理解度診断には、フリーランスから請求書の提出が遅れたことを理由に、あらかじめ定めた支払期日を過ぎて支払ってしまった、報酬の支払の際に振込手数料をフリーランスに負担させて報酬から差し引いた、といった例が挙がっています(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト)。振込手数料の書き方は、請求書の振込先の書き方で整理しています。

本記事は、取引がフリーランス法などの対象になるかを判断するものではありません。個別の契約や取引については、弁護士や、公正取引委員会などの相談窓口にご確認ください。

請求書を出さなくてよいと言われたときの対応

受託者の側では、発注者から請求書は不要と言われても、請求書を作って控えを保存しておくと、売上と入金の根拠を説明できます。国税庁は、所得税の記録保存で、業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、領収書などの書類を、白色申告者の場合は5年間保存するとしています。自分が作成した書類の写しも、保存の対象に含まれます(国税庁 No.2080)。契約の内容、報酬、支払期日は、メールなど記録に残る形で、発注者と確認しておきます。

発注者の側では、消費税の仕入税額控除を受けるために、適格請求書等の保存が必要です(国税庁 No.6625)。受託者が請求書を出さない場合は、発注者が仕入明細書や支払通知書を作り、記載事項を満たしたうえで、受託者の確認を受ける方法があります。国税庁が示す仕入明細書の記載事項は、書類作成者の氏名または名称、相手方の氏名または名称および登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分して合計した支払対価の額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等です。

請求書の控えの保存期間

対象保存するもの保存期間
法人帳簿と、取引等に関して作成または受領した書類確定申告書の提出期限の翌日から7年間(国税庁 No.5930)
消費税(インボイス)帳簿と請求書等。発行したインボイスの写しも保存する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間。6年目と7年目は、帳簿または請求書等のいずれか一方(国税庁 No.6625)
個人事業者の所得税(白色申告者)業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、領収書などの書類5年間(国税庁 No.2080)

青色申告の個人事業者の保存期間は、帳簿書類の種類ごとに決まっているため、国税庁の案内で確認します。メールやクラウドで受け渡した請求書のデータは、電子帳簿保存法の電子取引にあたり、データの保存の定めがあります。取り扱いは、国税庁の電子帳簿保存法Q&Aで確認します。

ここまでの手順を、毎月手作業でくり返している受託者は、次のセルフチェックで、今のやり方にどれくらい手間が残っているかを確認してみてください。

業務委託の請求書の事務、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(入力は不要で、結果はこの画面だけに表示されます)

発注者として業務委託の請求書を受け取るときの確認点

発注者は、届いた業務委託の請求書を、契約や発注書の内容と照らしてから支払います。確認するのは、宛先と取引内容、登録番号と消費税額、報酬の金額、源泉徴収の差引き、支払期日、振込先の6点です。

届いた請求書を確認する6つの点

  1. 宛先と取引内容: 自社の正式名称と、案件名や品目が、契約や発注書と合っているかを確認します。
  2. 登録番号と税率ごとの消費税額: インボイスの記載事項がそろっているかを確認します。登録番号は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで検索できます。登録していない受託者への支払は、仕入税額控除できる割合が経過措置の対象になります(前の節の表)。
  3. 報酬の金額: 契約や発注書の単価と数量、検収した内容と、請求書の金額が合っているかを確認します。
  4. 源泉徴収: 対象の報酬かどうかを確認し、対象なら、差し引く税額を計算して、請求書の金額と食い違いがないかを確かめます。詳しくは業務委託の源泉徴収は必要?で整理しています。
  5. 支払期日: フリーランス法の対象になる取引なら、給付を受領した日から60日以内に収まっているかを確認します。
  6. 振込先: 前回までと同じかを確認します。変更の連絡があったときは、メール以外の方法でも確かめます。偽の請求書への備えは、請求書の振込先の書き方で扱っています。

受託者ごとに、請求書の書式も送り方も違うため、件数が増えるほど、この確認を目視と手入力で続けるのは負担になります。請求書の受け取りから支払までの流れは、請求書処理における経理の支払処理とはでも整理しています。

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  • ワークフローは自社にあわせて柔軟に申請経路の設定が可能
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気になる…

  • 開封や受領・保管の代行はオプションとなる

同社の導入事例では、株式会社オアシスMSCの経理財務部が、請求書の処理の状況を次のように話しています。事例は公開当時の情報です。

当社の経理財務部では、毎月約1,000件もの請求書を紙とエクセルで処理しています。

マネーフォワード クラウド債務支払 導入事例 株式会社オアシスMSC
マネーフォワード クラウド債務支払

請求書の確認から振込までをオンラインにしたい会社に

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請求書の発行・受領・支払を見直す3サービスの役割の違い

ここまでに紹介した3つのサービスは、同じ請求書の業務でも担当する場面が違います。優劣ではなく役割の違いとして、商品ページで確認した内容を比べると、次の表のとおりです(2026年10月22日確認)。

業務委託の請求書まわりの業務、3つのサービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:マネーフォワード クラウド請求書請求書の作成から送付、保管までを一つの仕組みで扱え、インボイス制度に対応していると商品ページで紹介されています。

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この状況に合う一例:Bill One請求書受領あらゆる請求書をオンラインで受け取り、一元管理できると商品ページで紹介されています。

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この状況に合う一例:マネーフォワード クラウド債務支払請求書の判定から承認、銀行振込までを同じ仕組みで進められると商品ページで紹介されています。

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サービス マネーフォワード クラウド請求書 Bill One請求書受領 マネーフォワード クラウド債務支払
向いている会社 業務委託の報酬を、請求書で発注者に請求する個人事業主や受託会社。見積書・納品書・請求書・領収書を作成して、送付と保管まで一元管理したい(商品ページでは個人や小規模から中小企業向けと紹介) 外注先や受託者から社内の各部署に届く請求書を集約し、受け取りから確認までを一本化したい会社 受け取った請求書の判定から承認、銀行振込までを、オンラインで進めたい会社
特徴 作成・送付・保管を一元管理し、毎月自動作成や入金ステータスの一覧表示がある。インボイス制度と電子帳簿保存法に対応 あらゆる請求書をオンラインで受け取り、紙の請求書はスキャンしてデータ化する。申請・承認・仕訳・支払い管理まで、請求書関連の業務をデジタル上で進められる AI-OCRで支払先の選択や適格請求書の判定を含む申請書の下書きを作り、ワークフローの申請経路を自社に合わせて設定できる。銀行振込APIと連携してワンクリックで振込
注意したい点 入金消込を使うには「マネーフォワード クラウド請求書Plus」の契約が必要 価格を確認するには問い合わせが必要 開封や受領・保管の代行はオプション
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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

毎月の請求書の発行や受領が数件にとどまる会社は、本文の早見表を押さえた今のやり方で足りることも多いです。発行や受領の件数が増え、請求書の作り直しや金額の計算、受け取った請求書の確認に時間を取られ始めたときに、資料で機能や対応範囲を比べてみてください。対応できる書類の種類や連携先、料金などの詳細は、商品ページだけでは判断できない部分があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 業務委託の請求書は必要ですか?

A. 請求書の様式を定めた法律はなく、契約は書面がなくても成立します。ただし、インボイス発行事業者は、課税事業者である取引先から求められたときは、インボイスを交付する必要があります。報酬の請求と入金の確認、発注者の経理と仕入税額控除、受託者自身の売上の記録のために、請求書を出しておくのが実務です。請求書を出さなくてよいと言われたときの扱いは、本文の該当の節で整理しています。

Q2. 請求書は誰が書くべきですか?

A. 報酬を受け取る受託者が書きます。個人事業主やフリーランスでも、法人の受託会社でも同じです。例外として、発注者が仕入明細書や支払通知書を作る方式があり、国税庁が示す記載事項を満たし、受託者の確認を受けたものであれば、適格請求書等の種類のひとつとされています。

Q3. 業務委託料請求書とは何ですか?

A. 業務委託料の請求書とは、委託された業務の報酬(業務委託料)を請求する請求書のことです。書類の名前は「請求書」でも「業務委託料請求書」でも構いません。国税庁は、所定の事項が記載された書類であれば、書類の名称を問わずインボイスになると示しています。宛先、取引内容、金額、源泉徴収額、支払期限、振込先を書きます。

Q4. 業務委託を受けている場合、源泉徴収はされないのでしょうか?

A. 報酬の種類と、支払う側で決まります。原稿料や講演料、弁護士・公認会計士・司法書士などへの報酬、外交員やモデルへの報酬など、国税庁が示す範囲の報酬では、支払う側が源泉徴収します。システム開発や事務代行のように範囲に挙がっていない業務は、原則として対象になりません。支払う側が個人事業主の場合などは、義務がないこともあります。

Q5. 業務委託の請求書で、時給や単価はどう書きますか?

A. 契約や発注書で決めた時間単価と、稼働した時間数を、取引内容の行に書き、掛け合わせた金額を書きます。たとえば「(案件名)の支援費(4月分)」の行に、時間数、時間単価、金額を並べます。請求書は単価を決める書類ではないため、単価の水準は、契約を結ぶ段階で発注者と決めておきます。

Q6. 免税事業者やインボイス未登録でも、請求書は出せますか?

A. 出せます。ただし、登録番号がなく、インボイスとしては交付できません。発注者が課税事業者の場合、登録していない受託者への支払について、仕入税額控除できる割合は経過措置の範囲です(令和8年10月から2年間は70%)。発注者から登録を求められたときは、取引条件とあわせて話し合います。

業務委託の請求書のまとめ|押さえたい6つのこと

  1. 業務委託の請求書は、報酬を受け取る受託者が書いて発注者に出します。様式を定めた法律はありませんが、報酬の請求、発注者の経理、自分の記録のために出します。
  2. インボイスの記載事項は、宛先、発行者の氏名・名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額です。支払期限、振込先、請求書番号は、実務で書く項目です。
  3. 報酬が源泉徴収の対象なら、報酬の額と消費税の額を請求書で区分して書きます。区分すれば、報酬の額だけが源泉徴収の対象になります。
  4. 請求の時期は、契約書や発注書の締め日と支払日が基本です。フリーランス法の対象になる取引では、給付を受領した日から60日以内の支払期日が必要で、請求書の提出の有無は問われません。
  5. 請求書を出さなくてよいと言われても、控えを作って保存し、契約の内容はメールなどに残します。発注者側は、仕入明細書で処理する方法もあります。
  6. 請求書の作り直しや金額の計算、届いた請求書の確認や支払が負担になってきたら、請求書の発行・受領サービスの資料を取り寄せ、自社の件数や取引先に合うかを比べます。

本記事は、国税庁・公正取引委員会などの公開情報をもとにした一般的な情報提供であり、税務・法律上の助言を行うものではありません。具体的な取り扱いは、税務署、税理士、弁護士、公正取引委員会などの専門家や窓口にご確認ください。

参考文献

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