社会保険の加入義務は誰にある?事業所の要件・従業員の条件・罰則を解説

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  • 法人は社長ひとりでも加入義務あり
  • 個人事業所は常時5人以上の17業種
  • 未加入は遡及・罰則の対象になる

社会保険の加入義務は、事業所と従業員の2段階で決まります。株式会社などの法人は、社長ひとりの会社でも健康保険と厚生年金保険の適用事業所となり、個人事業所は、常時5人以上の従業員がいて、農林漁業やサービス業などの対象外の業種でない場合に義務が生じます。そのうえで、適用事業所に常用的に使用される人が被保険者となります。パート・アルバイトは、週の所定労働時間と月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上であれば対象で、特定適用事業所などでは週20時間以上でも対象です。本記事では、義務が生じる事業所の要件、従業員の条件、入らなくてよい場合、未加入のときの罰則と遡及、義務が生じたときの手続きと期限を、日本年金機構や厚生労働省などの公的資料に沿って整理します。

会社の人事・労務ご担当の方へ。社会保険の届出と加入判定、どこから見直す?2問で診断

Q1. 新規適用届や被保険者資格取得届などの届出書類は、いまどのように作っていますか?

目次

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  1. 社会保険の加入義務は誰にある?事業所と従業員の2段階で決まる
  2. 法人は社長ひとりでも義務|役員報酬ゼロの例外と個人事業主の扱い
  3. 個人事業所の加入義務|常時5人以上と法定17業種、2029年10月の拡大
  4. 従業員の加入義務|正社員とパート・アルバイト、4分の3基準と週20時間基準
  5. 義務が生じたときの手続きと期限|新規適用届と資格取得届は5日以内
  6. 社会保険に入らなくていい条件は?適用除外と任意適用
  7. 雇用保険・労災保険の義務は別の制度|社会保険との違い
  8. 社会保険に加入させないとどうなる?加入指導・遡及・罰則
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|社会保険の加入義務で押さえたい6つのこと
  11. 参考文献

社会保険の加入義務は誰にある?事業所と従業員の2段階で決まる

社会保険の加入義務は、まず事業所が適用事業所に当たるかで決まり、そのうえで働く人が被保険者の要件を満たすかで決まります。

「社会保険」という言葉は、健康保険と厚生年金保険を指す使い方と、雇用保険と労災保険(あわせて労働保険)まで含める使い方があります。本記事は前者を中心に、後者との違いは別の章で整理します。日本年金機構は、厚生年金保険と健康保険は事業所単位で適用され、被保険者となるべき従業員を使用している場合は必ず加入手続きをしなければならないと案内しています(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。

事業所の種類加入義務補足
株式会社などの法人の事業所義務あり(強制適用)事業主のみの場合を含む。従業員が1人もいない会社でも適用事業所になる
国・地方公共団体の事業所義務あり(強制適用)常時従業員を使用する事業所
個人事業所(常時5人以上、法定17業種)義務あり(強制適用)令和4年10月から、弁護士・税理士などの士業の個人事業所も対象
個人事業所(常時5人未満)任意従業員の半数以上の同意と、厚生労働大臣の認可で適用事業所になれる
個人事業所(農林漁業、サービス業の一部など)任意5人以上でも強制適用の対象外。同じく任意適用の申請ができる

個人事業所の業種の詳しい範囲と、2029年10月に予定されている対象業種の拡大は、個人事業所の章で説明します。従業員側の条件は従業員の章で説明します。

事業所が適用事業所になると、届出と保険料の納付は事業主の義務になります。入社のたびに加入判定をし、5日以内に書類を出し、毎月の保険料を納める流れを手作業で回していると、担当者の負担が大きくなりやすい業務です。ここでは、お名前.comビジネスコンシェルジュに掲載している労務管理・人事管理のサービスを、優劣ではなく役割の違いで並べます。

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法人は社長ひとりでも義務|役員報酬ゼロの例外と個人事業主の扱い

株式会社などの法人は、従業員がいなくても適用事業所となり、役員報酬を受ける代表者や常勤役員は被保険者になります。

日本年金機構は、強制適用事業所の中に「株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)」を挙げています(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、法人の代表であれば健康保険と厚生年金保険に加入義務があり、労災保険や雇用保険とは異なる点だと説明しています(J-Net21「一人で創業する場合の社会保険」)。会社をつくった時点で、従業員がいなくても、社長自身の健康保険・厚生年金保険の手続きが必要になるのが基本です。

役員報酬をゼロにしている場合は加入できない

J-Net21は、法人でも役員報酬をゼロに設定しているときは、健康保険と厚生年金保険に加入できないと案内しています(J-Net21「一人で創業する場合の社会保険」)。この場合の社長は、個人事業主と同じく国民健康保険と国民年金に加入します。報酬を支払うようになった時点で、会社としての届出と本人の資格取得届が必要になります。

個人事業主本人は対象にならない

個人事業主は、従業員が健康保険と厚生年金保険に加入する場合でも、事業主本人は加入できず、原則として国民健康保険と国民年金に加入します(J-Net21「従業員を雇う場合の社会保険」)。日本年金機構も、個人事業所の事業主とその家族は、通常は「事業所に使用される者」に当たらないため被保険者にならないとしています(日本年金機構「個人事業所の場合、事業主およびその家族は被保険者となるのでしょうか」)。

ただし、事業主の家族であっても、次の4つにすべて当てはまることが書類などで確認できるときは、事実上の使用関係があるとして被保険者になります(日本年金機構の同ページ)。

  • あらかじめ定められた就業規則があり、他の従業員と同様に適用されている
  • 出勤簿などで、他の従業員と同様に就労時間が管理されている
  • 賃金台帳などで、他の従業員と同様の計算で賃金が支払われている
  • 事業主の確定申告で、専従者給与として支払われていない

業務委託で働く人が会社の社会保険に入れるかどうかは、従業員とは別の話です。業務委託の社会保険|加入できる保険・手続き・扶養の条件を整理で、国民健康保険と国民年金の手続きを整理しています。

個人事業所の加入義務|常時5人以上と法定17業種、2029年10月の拡大

個人事業所は、常時5人以上の従業員を使い、法定17業種に当たる場合に、健康保険と厚生年金保険の加入義務が生じます。

厚生労働省は、現在の適用対象を「常時5人以上の者を使用する法定17業種の事業所」としています(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。17業種は次のとおりです。

  • 物の製造
  • 土木・建設
  • 鉱物採掘
  • 電気
  • 運送
  • 貨物積卸
  • 焼却・清掃
  • 物の販売
  • 金融・保険
  • 保管・賃貸
  • 媒介周旋
  • 集金
  • 教育・研究
  • 医療
  • 通信・報道
  • 社会福祉
  • 弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業

日本年金機構は、5人以上の個人事業所でも、クリーニング業、飲食店、ビル清掃業などのサービス業の一部や、農業、漁業などは強制適用の対象外だと案内しています(日本年金機構「任意適用申請の手続き」)。令和4年10月からは、弁護士、公認会計士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士など12の士業の個人事業所も、常時5人以上の従業員を雇用していれば強制適用になりました(日本年金機構「適用業種(士業)の追加」)。事業の種類がどれに当たるか迷うときは、日本年金機構の「事業所業態分類票」や年金事務所で確認します。

「常時5人以上」の数え方

日本年金機構は、この場合の従業員を、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず、1週の所定労働時間と1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上ある人としています(日本年金機構「適用業種(士業)の追加」)。事業主とその家族は通常、被保険者にならないため、人数を数えるときは、先に説明した家族の扱いも合わせて確認してください。

2029年10月から、全業種の個人事業所が対象に広がる

令和7年の年金制度改正法で、個人事業所の適用対象は、法定17業種に限らず、常時5人以上の者を使用する全業種に広がります。厚生労働省は、2029年10月の施行時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外としています(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。飲食店などの個人事業所は、いまは対象外でも、2029年10月以降に新しく開業する場合は対象になる点に注意が必要です。

任意適用の申請もできる

強制適用でない個人事業所でも、従業員の半数以上の同意を得て事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受ければ、適用事業所になれます。適用年月日は認可を受けた日で、認可後は従業員全員が加入することになります(日本年金機構「任意適用申請の手続き」)。申請には、任意適用同意書、事業主世帯全員の住民票、公租公課の領収書などの添付書類が必要です。

従業員の加入義務|正社員とパート・アルバイト、4分の3基準と週20時間基準

従業員の加入義務は、適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人に生じ、パート・アルバイトは4分の3以上、または特定適用事業所などで週20時間以上かどうかで決まります。

日本年金機構は、厚生年金保険の被保険者を、適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人としています。雇用契約書の有無とは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受ける使用関係があれば該当し、試用期間中でも報酬が支払われれば使用関係が認められます(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。パート・アルバイトの扱いは、勤め先の事業所によって2つに分かれます。

働き方勤め先社会保険の加入
正社員など適用事業所加入対象
パート・アルバイト(所定労働時間・日数が通常の労働者の4分の3以上)適用事業所加入対象
パート・アルバイト(4分の3未満で、週20時間以上、学生ではない)特定適用事業所、任意特定適用事業所、国・地方公共団体加入対象
同上上記以外の適用事業所4分の3未満のため原則対象外
週の所定労働時間が20時間未満いずれの事業所原則対象外

特定適用事業所は、1年のうち6か月以上、厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上となることが見込まれる企業等です。日本年金機構によると、令和9年10月から、被保険者数が36人以上の企業等で働く短時間労働者も加入対象になります(日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」)。厚生労働省は、企業規模の要件を10年かけて段階的に縮小・撤廃するとしています(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。

週20時間の判断は、所定労働時間で見る

厚生労働省は、週の所定労働時間が20時間以上であれば加入対象になり、20時間未満であれば原則として対象にならないと説明しています。残業などで一時的に週20時間以上になっても加入はしませんが、週20時間以上で働く状況が2か月を超えて続くようであれば、加入対象となることがあります(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。実際の勤務時間の変化を見落とさないよう、勤務時間の記録を定期的に確認する必要があります。パートの加入条件の詳しい判定は、短時間労働者とは?社会保険の加入条件と2026年10月以降の変更点を解説で整理しています。

2026年から2029年までの改正の流れ

項目内容時期
賃金要件(月額8.8万円以上)日本年金機構の2026年10月1日更新のページでは、短時間労働者の要件に月額8.8万円の賃金要件は載っておらず、週20時間以上で学生ではないことが示されている2026年10月に撤廃済み
企業規模要件51人以上から36人以上へ。その後10年かけて段階的に縮小・撤廃令和9年(2027年)10月から
個人事業所の対象業種法定17業種から、常時5人以上の全業種へ。施行時点で既に存在する事業所は当分の間対象外2029年10月

2026年10月の賃金要件の撤廃と、パート・アルバイトの具体的な判定例は、上記の記事で扱っています。本記事では、事業主として義務が生じる事業所の要件を中心に説明します。

義務が生じたときの手続きと期限|新規適用届と資格取得届は5日以内

事業所が適用事業所の要件を満たしたときは、事実発生日から5日以内に「新規適用届」を、従業員を採用したときも5日以内に「被保険者資格取得届」を、日本年金機構へ提出します。

手続き期限提出先・方法
新規適用届(事業所が加入するとき)事実発生日から5日以内管轄の年金事務所(事務センター)。電子申請、郵送、窓口持参
被保険者資格取得届(従業員を採用したとき)事実発生日から5日以内同上
被保険者資格喪失届(退職などのとき)5日以内同上
労働保険関係成立届(労働者を1人でも雇ったとき)各窓口の案内で確認事業所の所在地を管轄する労働基準監督署
雇用保険適用事業所設置届・雇用保険被保険者資格取得届各窓口の案内で確認事業所の所在地を管轄するハローワーク

社会保険の届出の期限、提出方法、新規適用届の添付書類(強制適用の個人事業所の場合は事業主の世帯全員の住民票の写しなど)は、日本年金機構の案内に沿います(日本年金機構「適用業種(士業)の追加」)。労働保険と雇用保険の手続きは、厚生労働省の案内に沿います(厚生労働省「雇用保険制度Q&A(事業主の皆様へ)」)。

届出が重なるほど、手作業では抜けや遅れが出やすい

届出の期限は5日と短く、入社、退職、勤務時間の変更が重なると、書類づくりと加入判定の確認が担当者に集中します。社会保険の届出を電子申請で進めたい会社の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー人事労務です。商品ページによると、各種帳票を自動作成でき、情報収集から電子申請までを一気通貫で行え、一括申請形式で複数人の入退社にも対応します。提供元は、社保手続きオプションで、電子申請が義務化されている社会保険関連の主要な帳票がジンジャー上で電子申請できると発表しています(ジンジャー人事労務のプレスリリース(2024年11月19日))。2026年2月には、企業が契約する社会保険労務士が、ジンジャーのデータから直接電子申請できる機能も実装されました(同プレスリリース(2026年2月19日))。注意したいのは、労務管理を中心に使う場合は便利でも、ほかの機能が必要なときは別のサービスの申し込みが必要と商品ページに記載されている点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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もう一つの課題が、加入判定に使う従業員情報の管理です。所定労働時間、契約期間、雇用形態などが、Excelやタイムカードにバラバラに残っていると、加入要件を満たしたかを確認しにくくなります。従業員の人材情報を一元管理する選択肢の一例が、株式会社カオナビが提供するカオナビです。商品ページでは、組織ツリー図、配置バランス図、社員データグラフなど、社員の情報を可視化しやすい機能が豊富で、労務管理の機能もあると紹介されています。1社に1人の専任サポートがつく点も特徴として挙げられています。一方で、目的や規模により価格に幅があり、詳細な料金は問い合わせが必要です。社会保険の届出書類の作成に使えるかどうかは、資料で確認してください。

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出典:kaonavi

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届出を外部の事務所に任せる方法は、社会保険手続きの代行サービスとは?対応業務や費用相場などを解説で整理しています。給与計算まで含めて社会保険料の扱いを見直したい場合は、社会保険料の計算におすすめの給与計算ソフト7選|必要性を解説も参考になります。

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社会保険に入らなくていい条件は?適用除外と任意適用

社会保険に入らなくてよいのは、事業所が適用事業所でない場合と、働く人が被保険者とされない場合です。要件を満たす場合は、会社や本人の希望で選ぶ仕組みではありません。

日本年金機構は、適用事業所で被保険者となるべき従業員を使用している場合は、必ず加入手続きをしなければならないと案内しています(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。入らなくてよい場面は、次の3つに分けて確認します。

事業所が適用事業所でない場合

5人未満の個人事業所や、サービス業の一部、農林漁業などの個人事業所は、強制適用の対象外です。この場合、従業員は、扶養者の保険に加入するか、国民健康保険と国民年金に加入します。J-Net21は、この場合に事業者としての手続きは不要だとしています(J-Net21「従業員を雇う場合の社会保険」)。

従業員が被保険者とされない場合

適用事業所で働いていても、次に当てはまる人は厚生年金保険の被保険者とされません。ただし、一定期間を超えて雇用される場合は、常用的に使用されるものとみなされ、被保険者になります(日本年金機構「適用事業所と被保険者」)。

被保険者とされない人被保険者になる場合
日々雇い入れられる人1か月を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる
2か月以内の期間を定めて使用される人当初の期間を超えて雇用される見込みがある場合は、契約当初から被保険者となる
所在地が一定しない事業所に使用される人いかなる場合も被保険者とならない
季節的業務(4か月以内)に使用される人継続して4か月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる
臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される人継続して6か月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる

このほか、4分の3未満で週20時間未満の短時間のパート・アルバイト、特定適用事業所などで働く学生、70歳以上の人は、厚生年金保険の被保険者の要件に当てはまりません。70歳以上で働く人は、条件によって「70歳以上被用者」として届出が必要になる場合があります。法人の役員報酬がゼロの社長が入れない場合は、先に説明したとおりです。

扶養のままで働く場合の注意

厚生労働省は、週20時間未満で働く場合でも、年収130万円以上になると配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料が発生すると説明しています。収入が一時的に上がった場合は、事業主の証明により引き続き扶養が認められる特例があります(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。

雇用保険・労災保険の義務は別の制度|社会保険との違い

雇用保険と労災保険は、健康保険・厚生年金保険とは別の制度で、事業所の人数や業種ではなく、労働者を雇っているかどうかを中心に義務が生じます。

厚生労働省は、労働者を1人でも雇えば、原則として労働保険(雇用保険、労災保険)が適用されると案内しています(厚生労働省「雇用保険制度Q&A(事業主の皆様へ)」)。雇用保険は、適用事業所に雇用される労働者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人が、原則として被保険者になります。パートやアルバイトなどの雇用形態や、事業主や労働者からの加入希望の有無にかかわらず、要件に当てはまれば加入する必要があります。

制度義務が生じる条件主な窓口
健康保険・厚生年金保険適用事業所(法人、常時5人以上の対象業種の個人事業所など)に、常用的に使用される人年金事務所
雇用保険週の所定労働時間20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがある労働者ハローワーク
労災保険労働者を1人でも雇えば、原則として適用労働基準監督署

個人経営の農林水産業で、常時雇用する労働者が5人未満の場合は、労働保険は任意の適用になります(厚生労働省「雇用保険制度Q&A(事業主の皆様へ)」)。社会保険の対象外の事業所でも、労働保険の義務は別に生じることがある点に注意してください。

社会保険に加入させないとどうなる?加入指導・遡及・罰則

要件を満たすのに届出をしない場合は、日本年金機構の加入指導や立入検査の対象となり、保険料の遡及や、法律上の罰則に至ることがあります。

以下は、公的資料にもとづく一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は、年金事務所や社会保険労務士に相談してください。

加入指導から、立入検査・認定による加入まで

日本年金機構は、保険制度への加入手続きを行わず、保険料の納付を免れている事業所について、将来の無年金者・低年金者の発生防止や事業主の負担の公平性のため、その把握に努め、加入指導などに取り組んでいます。加入を勧奨しても自主的に加入しない事業所には年金事務所の職員が重点的に加入指導を行い、それでも手続きをしない事業所には立入検査を行って、必要に応じて職員の認定による加入手続きを実施しています(日本年金機構「適用促進に向けた取り組み」)。適用事業所に対しても事業所調査が行われ、届出に漏れや誤りがあれば指摘され、適正な届出がされない場合は、確認した事実に基づいて遡及して認定による手続きが行われます。

保険料は、遡って納める必要が生じることがある

保険料は、事業主と被保険者が半額ずつ負担し、事業主は被保険者の分とあわせて納付する義務を負います(健康保険法第161条)。保険料を徴収する権利の時効は2年とされているため(厚生年金保険法第92条)、遡って納める範囲は、一般に直近2年分が目安になります。ただし、納入の告知などで時効が更新されることがあるため、個別の取扱いは年金事務所に確認してください。遡及額は、対象の月数に、本人負担分と事業主負担分の合計を掛けて考えます。保険料率は、日本年金機構の保険料額表で確認できます。

罰則の定め

厚生年金保険法第102条は、事業主が正当な理由なく、被保険者の資格の取得などの届出をしないときや、立入検査を拒んだり、虚偽の陳述をしたりしたときに、6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処すると定めています(日本年金機構「適用促進に向けた取り組み」)(厚生年金保険法の条文)。健康保険法にも同様の罰則の規定があります。

従業員にとっての影響

厚生労働省は、厚生年金に加入すると基礎年金に加えて厚生年金が受け取れること、健康保険に加入すると病気やけが、出産で会社を休んだ場合に収入が保障されることを、加入のメリットとして挙げています(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。未加入のままだと、従業員がこれらの給付を受けられない状態が続きます。

加入漏れや届出の遅れを防ぐには、加入判定に使う勤務時間や契約情報の記録と、5日以内の届出を、担当者の記憶ではなく仕組みで管理することが近道です。勤務時間の変化に気づく確認、書類の自動作成、電子申請までを一つのシステムでつなげられるかは、資料で確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 社会保険は強制加入ですか?

A. 法人の事業所と、常時5人以上の従業員がいる法定17業種の個人事業所は、健康保険と厚生年金保険の強制適用事業所です。そこで常用的に使用される70歳未満の人は被保険者になります。5人未満の個人事業所などは任意適用で、従業員の半数以上の同意と厚生労働大臣の認可が必要です。

Q2. 週20時間以上働いても社会保険に加入しなくてはいけませんか?

A. 勤め先が特定適用事業所(現在は被保険者の総数51人以上、令和9年10月から36人以上)、任意特定適用事業所、国・地方公共団体のいずれかで、学生ではなく、2か月を超えて雇用される見込みがあれば、週20時間以上で加入対象です。それ以外の事業所では、所定労働時間と日数が通常の労働者の4分の3以上かどうかで判断します。

Q3. 社会保険に入らなくていい条件は?

A. 事業所が5人未満の個人事業所や農林漁業・サービス業の一部の個人事業所で強制適用の対象外のとき、または、日々雇い入れられる人、2か月以内の期間を定めて使用される人、所在地が一定しない事業所の人、季節的業務や臨時的事業の人など、被保険者とされない場合です。期間を超えて雇用される見込みがあれば対象になります。

Q4. 社会保険に加入させない会社は違法ですか?

A. 要件を満たす事業所と従業員は加入が義務で、届出をしない場合は加入指導や立入検査、遡及の対象になります。厚生年金保険法第102条には、正当な理由なく届出をしない事業主に対する6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の定めがあります。個別の判断は年金事務所や社会保険労務士に確認してください。

Q5. 従業員が1人もいない社長ひとりの会社でも社会保険に入る義務はありますか?

A. 法人の事業所は、事業主のみの場合も強制適用事業所です。役員報酬を受ける代表者は被保険者になります。ただし、役員報酬をゼロにしているときは加入できず、国民健康保険と国民年金に加入します。

Q6. 社会保険の加入義務があると気づかず、未加入のままだったときはどうすればよいですか?

A. 日本年金機構は、加入要件に当てはまる場合は速やかに届出を行うよう案内しています。加入の手続きや相談は、お近くの年金事務所に問い合わせます。遡って納める保険料の範囲は事案によって異なるため、早めに年金事務所や社会保険労務士に相談することが大切です。

まとめ|社会保険の加入義務で押さえたい6つのこと

社会保険の加入義務は、事業所の要件と従業員の要件の2段階で決まります。押さえたいことは、次の6つです。

  1. 法人は社長ひとりの会社でも強制適用で、個人事業所は常時5人以上かつ法定17業種が対象。2029年10月から対象業種が広がる
  2. 従業員は、適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人が対象。パート・アルバイトは4分の3以上、または特定適用事業所などで週20時間以上
  3. 日々雇い入れられる人や2か月以内の契約の人などは対象外だが、期間を超えて雇用される見込みがあれば対象になる
  4. 雇用保険と労災保険は別の制度で、労働者を雇えば別に義務が生じる
  5. 要件を満たすのに届出をしないと、加入指導、立入検査、遡及、罰則につながる。新規適用届と資格取得届は5日以内
  6. 届出と加入判定の手間が大きければ、労務管理システムなどの資料を請求して、自社の入退社の件数や社労士との分担に合うかを比べる

参考文献

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