建設業の業務効率化とは?現場と事務所の課題別に進め方とツールを解説
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- 現場・事務所・勤怠に分けて洗い出す
- 上限規制は月45時間・年360時間が原則
- 1つの課題から小さく試して定着させる
建設業の業務効率化とは、人手不足と時間外労働の上限規制が重なるなかで、現場・事務所・その間の情報のやり取りにある手間とムダを減らし、同じ人数でも工事を無理なく回せるようにする取り組みです。国土交通省の資料では、建設業の就業者は令和7年平均で478万人と、ピーク時の平成9年(685万人)から減り、55歳以上が36.6%を占めます。この記事では、効率化できる業務の洗い出し方、現場・事務所・勤怠それぞれの具体策7つ、ITツールの種類と選び方、5ステップの進め方を、国土交通省・厚生労働省の公開資料と事例集をもとに整理します。
建設業の業務効率化、どこから手を付ける?2問で診断
Q1. いま、一番手間がかかっているのはどこですか?
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建設業の業務効率化とは?現場・事務所・その間の3つに分けて考える
建設業の業務効率化とは、現場の作業、事務所の事務、現場と事務所の間の情報のやり取りに分けて手間とミスを減らし、少ない人数でも工事を回せるようにする取り組みです。
国土交通省 不動産・建設経済局の資料(令和8年4月)によると、建設業の就業者は685万人(平成9年)から478万人(令和7年)に減り、55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%です。同じ資料では、建設業の年間総実労働時間は全産業より48時間長く、年間の出勤日数も10日多いと整理されています(令和6年度、厚生労働省「毎月勤労統計調査」をもとに国土交通省が作成)。人が減るなかで労働時間にも上限がかかるため、仕事のやり方そのものを軽くする必要があります。
効率化の余地が大きいのは、現場作業そのものより、現場と事務所の間でやり取りする情報であることがあります。工事ごとに現場が変わり、写真・図面・工程の変更・協力会社への指示・見積や原価の数字が、紙、Excel、個人のメッセージアプリに分かれていると、事務所に戻ってから整理し直す時間が毎日発生します。
顧客・見積・原価・発注・入金・工程の情報が別々のファイルや担当者の記憶に散らばっている、建築・リフォーム系の会社の場合の一例が、株式会社アイピアが提供するアイピアです。商品ページによると、建築業・リフォーム業向けのオールインワンシステムで、顧客管理、見積作成、原価発注管理、入金管理、工程管理、施工管理の機能があり、スマホのWebブラウザからも使えるため外出先でも情報を共有できます。一方で、お試しで使える無料のデモサイトは問い合わせが必要で、カスタマイズには別途費用がかかります。対象は建築業・リフォーム業が中心のため、土木工事が中心の会社などは資料で適合を確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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- 「工事原価管理」「工程管理」など、情報集約と見える化を実現
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気になる…
- 最低利用期間は1ヶ月、会計連携プラン・受発注機能の料金は資料で確認
導入事例として、アイピアの公式サイトでは、リフォーム・新築を手がける株式会社コネクシオホームが、導入後に現場状況を共有する時間が半分になったと紹介されています。情報共有が不十分で何をするにも時間がかかっていた会社の事例で、効果は同社の運用によるものであり、すべての会社で同じ結果になるとは限りません。
「現場の状況を共有する時間は半分になり、契約率や粗利率も以前に比べて向上しました。」
株式会社コネクシオホーム導入事例の「導入後の効果」(アイピア公式サイト、掲載日の記載なし)。出典:アイピア導入事例 株式会社コネクシオホーム、2026年10月22日確認
建設業で業務効率化が求められる背景は?人手不足・高齢化・上限規制
建設業で業務効率化が求められるのは、担い手の減少と高齢化が進むなかで、2024年4月から時間外労働の上限規制が建設業にも適用されたためです。
担い手の減少と高齢化
国土交通省の資料(総務省「労働力調査」令和7年平均をもとに作成)では、建設業の技能者は455万人(平成9年)から296万人(令和7年)に減っています。技術者は41万人(平成9年)から31万人(平成22年)まで減ったあと、41万人(令和7年)に戻りました。一方で、60歳以上の技能者は全体の約4分の1(25.3%)を占め、資料は10年後にはその大半が引退することが見込まれるとしています。29歳以下は全体の約12%程度で、若年入職者の確保と育成が急務だと整理されています。
人が減り、ベテランの技術を引き継ぐ時間も限られるなかでは、1人あたりの事務や調整の手間を減らさない限り、現場の人数に仕事が収まらなくなります。
時間外労働の上限規制(2024年4月から)
厚生労働省は、建設業について、災害の復旧・復興の事業を除いて、時間外労働の上限規制が原則どおり適用されるとしています。令和6(2024)年4月から適用されています。
| 区分 | 上限の内容 |
|---|---|
| 原則 | 時間外労働は月45時間、年360時間以内 |
| 臨時的な特別の事情があり、労使で合意した場合(特別条項) | 時間外労働は年720時間以内。時間外労働と休日労働の合計は、単月で100時間未満、複数月の平均で80時間以内。月45時間を超えられるのは年6か月まで |
| 災害の復旧・復興の事業 | 時間外労働と休日労働の合計について、単月100時間未満と複数月平均80時間以内の規制は適用されない |
年360時間は月平均30時間、年720時間は月平均60時間にあたります。工期に追われて月末に残業が集中する現場では、月ごとの管理だけでは、年の上限や複数月平均の上限に気づくのが遅れます。始業・終業の時刻を日々記録し、月の途中で時間外労働を把握できる仕組みが必要になります。
本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。自社の36協定の内容や上限規制の適用は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に確認してください。
国も建設現場の省人化を進めている
国土交通省は、令和6年4月16日に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍向上することを目指すとしています。柱は「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」の3つです。中小企業が最初に取り組みやすいのは、このうち、情報や書類のやり取りを減らす部分です。
効率化できる業務の洗い出し|現場・事務所・勤怠の課題を一覧にする
効率化できる業務は、現場の記録、現場と事務所の連絡、事務所の見積・原価・請求、勤怠・労務、経理・申請の5つに分けると洗い出しやすくなります。
| 領域 | 起きやすい手間 | 効率化の方向 | 関連するツールの種類 |
|---|---|---|---|
| 現場の記録 | 工事写真の撮影と整理、日報や点検記録の手書きと事務所での再入力 | 写真は撮るだけで整理され、帳票は入力済みのデータから出力する | 施工管理アプリ、写真管理アプリ、電子黒板 |
| 現場と事務所の連絡 | 電話・口頭・個人のメッセージで指示が分かれる。図面の最新版が分かりにくい | 情報を1か所に集め、履歴を残す | ビジネスチャット、クラウド共有、工事情報共有システム |
| 事務所の見積・原価・請求 | 見積・実行予算・発注・請求・入金が別ファイルで、工事ごとの利益が終わってから分かる | 同じ数字を二重に入力しない。工事ごとに数字を束ねる | 建設業向けの業務管理システム、原価管理システム |
| 勤怠・労務 | 出面や直行直帰の集計に時間がかかり、時間外労働の把握が月末になる | 始業・終業を日々記録し、月の途中で上限との距離を確認する | 勤怠管理システム |
| 経理・申請 | 経費精算、契約書の押印、書類の回覧が紙で、確認待ちが発生する | 電子化し、承認の流れを見える化する | 経費精算システム、電子契約、ワークフロー |
業務の棚卸しの手順
- 1か月ほどの間、現場・事務所・勤怠ごとに、よく行う作業と、かかる時間・回数・担当者を書き出します。
- 同じ情報を2回以上入力、転記、探している作業に印を付けます。二重入力や探す時間は、削りやすい手間です。
- かかる時間・回数・人数を掛け合わせて「効果」を、導入や定着の大変さで「手間」を見積もり、効果が大きく手間が小さいものから順に並べます。
- 各作業について、やめる、減らす、ツールに任せる、の順で検討します。やめられる作業をツール化すると、不要な作業が残ります。
棚卸しでは、「忙しい」という印象ではなく、作業の回数と時間で比べるのが大切です。体感では事務所の仕事が多く見えても、集計すると現場から事務所への写真の戻しや電話確認に多くの時間を使っていた、ということも起こります。
業務効率化の考え方そのものは業務効率化とは?|メリットや失敗パターンも解説、DXとの違いはDX効率化とは?業務効率化との違いと進め方を解説、建設業のデジタル技術の全体像は建設DXとは?推進のメリットや課題、成功のポイントも解説、建設業向けのSaaSの種類は建設業界がSaaSを導入するメリットとは?選ぶ際のポイントも解説で整理しています。本記事は、現場・事務所・勤怠のどの業務から手を付けるかに絞っています。
建設業の業務効率化の具体策7つ
建設業の業務効率化の具体策は、現場の情報共有、写真・書類の電子化、遠隔臨場、見積から原価までの一元管理、勤怠の日次記録、事務の電子化、ICT施工の7つに整理できます。国土交通省の「建設業における働き方改革推進のための事例集」(令和5年5月)は、現場の生産性向上48件、経営効率化11件、長時間労働の是正12件の取組事例をまとめており、以下の具体策でも一部を引用します。
1. 現場の情報共有をチャットやクラウドに寄せる
電話や口頭、個人のメッセージに分かれていた指示や報告を、履歴が残る1か所に集める方法です。工事の担当者が変わっても経緯をたどれ、協力会社への連絡漏れも減らせます。事例集には、株式会社加藤建設(愛知県)が、施工管理アプリで最新の図面を現場で共有し、出来高などのデータを現場のタブレットに入力できるようにして、現場が終わってからの内業時間を約30%削減したと記載されています。
2. 写真・図面・書類を電子化する
工事写真の整理は、毎日の撮影と事務所での分類が積み重なりやすい作業です。事例集には、日建建設株式会社(福岡県)が、事前に電子黒板を準備しておけば写真を撮るだけで適切なフォルダに自動で振り分けられる仕組みにして、作業を大幅に減らしたとあります。同社は過去に写真管理ソフトを現場単位で導入したものの、操作指導ができる人がおらず機能をほとんど活用できなかった反省から、今回は現場ごとに操作指導と説明会を行ったとしています。ツールを入れるだけでなく、教える仕組みまで用意することが、定着の分かれ目になります。
3. 遠隔臨場で移動・待ち時間を減らす
遠隔臨場とは、ウェアラブルカメラなどで取得した映像と音声を使い、離れた場所からWeb会議システム等を介して「段階確認」「材料確認」「立会」を行うことです(国土交通省「建設現場における遠隔臨場に関する監督・検査実施要領(案)」令和5年3月)。同要領は公共工事の建設現場を対象にしたもので、通信環境が整わない現場や、工種によって不十分・非効率な確認になるおそれがある項目は対象にしないとしています。前述の株式会社加藤建設は、ウェアラブルカメラで移動時間を約50%削減した一方、山間部は通信状況に左右されて動画が止まる区分があったため、ウェアラブルによる確認と臨場による立会を区分けしたと記載されています。
4. 見積・実行予算・原価・工程を1つの仕組みでそろえる
見積、実行予算、発注、入金、工程が別々のファイルにあると、工事の途中で利益がどう動いているか分かりません。見積の原価を実行予算として取り込み、そこから発注書を作り、原価の変動を追える仕組みにすると、二重入力が減り、工事ごとの粗利を途中で確認できます。実行予算の内訳や作り方は、実行予算とは?建設業の内訳・作り方・見積との違いと計算例で整理しています。
5. 勤怠・出面を日々記録して上限規制に備える
上限規制に対応するには、始業・終業の時刻を日々記録し、月の途中で時間外労働を把握することが前提になります。事例集には、伊藤組土建株式会社(北海道)が、作業所ごとの残業時間と休日取得を本社で一元管理し、残業の多い作業所に聞き取りと支援を行い、作業所間で労働時間を平準化する人員配置にも役立てたと記載されています。
6. 経費精算・契約・定型入力などの事務を電子化・自動化する
経費精算、契約書の押印、伝票の集計といった事務は、現場の工程と関係なく発生するため、電子化の効果が出やすい領域です。事例集には、株式会社橋本店(宮城県)が、RPAで自動化できる業務を自動化し、経費精算システムで伝票集計の時間を短縮したうえで、PCの自動シャットダウンも併用し、時間外労働40時間未満の全社員の割合が59%(2022年1月)から95%(2023年1月)になったと記載されています。一方、要建設株式会社(京都府)の経費精算システムの事例は、導入直後で具体的な効果はまだ分からないとしたうえで、少人数から始めて広げる進め方をとったとしています。効果の出方は、会社の運用で変わります。
7. ICT施工・ドローン・BIM/CIMなど現場の技術を取り入れる
ICT建機、ドローンや3次元測量、BIM/CIMは、国のi-Construction 2.0でも柱になっている取り組みです。事例集にも、BIMや3D点群、ドローンとスキャナーによる測量などの事例が多数載っています。ただし、機材や教育への投資が大きくなりやすいため、最初に取り組む順番としては、1から6の情報・事務の部分で時間を作り、そこから現場の技術に広げるのが現実的です。
工事ごとの原価・工数・経費を事務所でそろえる考え方
工事ごとの原価・工数・経費を案件単位でそろえるとは、工事1件ごとに売上と費用を紐付けて、工事の途中でも利益を見られるようにすることです。
建設業では、材料費・外注費・労務費・経費が工事ごとに動くため、請求や経費精算を会社全体でまとめて処理していると、どの工事で利益が出ているか分かるのが工事の完了後になりがちです。見積・発注・勤怠・経費を案件単位で束ねる仕組みを持てば、赤字になりそうな工事に途中で気づけます。原価の考え方は、原価計算アプリの選び方|原価率の計算式・無料と有料の違いを解説も参考になります。
工事ごとの原価と工数を案件単位で見たい場合の一例が、株式会社オロが提供するZACです。商品ページによると、プロジェクト・案件・売上明細の3階層で売上を管理し、案件ごとに複数の原価を紐付けられるほか、経費を案件に紐付けて管理でき、見積から請求まで二重入力が起きないシングルインプット設計だと紹介されています。ただし、公式の対象業種はIT・広告・クリエイティブ・コンサルティング業などのプロジェクト型ビジネスで、建設業向けの専用機能とは書かれていません。商品ページには、導入完了まで最短で3か月、平均で半年ほどかかるとの注意点も載っています。建設業で使う場合は、工事の原価管理にどこまで合うかを資料や担当者への確認で見極めてください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
おすすめ!
- 経費種別ごとに申請項目やワークフローを設定可能
- 最大6種類の経費精算フローを構築することができる
- 精算した経費は当実績原価として紐づけられ、原価計算の精度を向上できる
気になる…
- 詳しい料金やプランを確認するには問い合わせが必要
-
見積発行の際、承認を電子化できる。また、低粗利で提案する際、ユーザーが各上長に直接フェイストゥフェイスでお伺いを立てなくとも、電子的に承認に入れるため、履歴も残り、管理の観点で負担軽減になる。
ITツールの種類と選び方|現場で使われることを前提に選ぶ
建設業の業務効率化ツールは、現場で使うもの、事務所で使うもの、両方をつなぐものに分けて選ぶと、重複や使われないツールを減らせます。
| ツールの種類 | 主に解決する課題 | 導入前に確認すること |
|---|---|---|
| 施工管理アプリ・写真管理アプリ | 工事写真の整理、図面や工程の共有、帳票の作成 | 現場の通信環境、タブレットやスマホの台数、協力会社も使えるか |
| ビジネスチャット・クラウド共有 | 電話・口頭の連絡の分散、情報の探しにくさ | 協力会社を含めたアカウントの扱い、保存した情報の権限管理 |
| 業務管理・原価管理システム | 見積・実行予算・発注・請求・入金の分断、工事ごとの利益の把握 | 自社の工事の種類(建築・土木・リフォーム等)に合うか、既存データの移行方法 |
| 勤怠管理システム | 出面・直行直帰・時間外労働の把握 | 現場ごとの打刻方法、複数の現場を移動する働き方への対応 |
| 経費精算・電子契約・ワークフロー | 紙の回覧・押印・精算の待ち時間 | 少人数から始められるか、取引先の対応状況 |
| RPA | 定型的な転記・集計の自動化 | 対象にする作業が決まっているか、手順が変わったときの保守 |
選ぶときの5つの確認点
- 現場で使えるか:手袋や屋外でも操作でき、通信が不安定な現場でも使えるかを、実際の現場で試します。
- 最初に解決する課題が1つに絞れているか:多機能なツールでも、最初は1つの課題から使い始めます。
- 既存のデータを移せるか:見積書や顧客リスト、工程表のExcelを取り込めるかを確認します。
- 教える仕組みがあるか:事例集の日建建設株式会社のように、現場ごとの操作指導や説明会まで計画します。
- 費用と契約条件を資料で確認したか:料金はプランによって異なるため、複数社の資料を取り寄せて比べます。
業務効率化の進め方5ステップとセルフチェック
業務効率化は、課題の洗い出し、優先順位づけ、小さく試す、定着させる、見直す、の5ステップで進めると、途中で止まりにくくなります。
- 課題を洗い出す:前章の表の5領域で、手間がかかっている作業を書き出します。
- 優先順位を決める:効果が大きく、手間が小さいものから選びます。最初は1つか2つに絞ります。
- 小さく試す:1つの現場、1つの部署、少人数から始めます。事例集の要建設株式会社も、少人数から始めて広げる体制をとっています。
- 定着させる:操作指導、使い方のルール、使う理由の共有まで行います。定着しなければ、ツールは使われません。
- 見直す:半年に1回程度、導入した作業の時間が減ったか、新しい二重入力が増えていないかを確認します。
次のチェックで、いまの運用が「今のやり方で足りる」か「仕組みを見直す余地がある」かを確認できます。当てはまるものを選んでください。
建設業の業務、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
業務効率化でつまずきやすい点と、導入前に確認したいこと
業務効率化でつまずきやすいのは、ツールを入れたあとに使われなくなること、現場の通信環境が合わないこと、教える人がいないことの3つです。事例集に記載された会社の工夫から、導入前に確認したい点を整理します。
現場の通信環境と、使う人の教え方を先に決める
株式会社加藤建設の事例では、山間部で通信が不安定な区分があり、ウェアラブルカメラによる確認と臨場による立会を使い分けました。日建建設株式会社の事例では、写真管理ソフトを現場単位で入れたものの、教える人がおらず機能を活用できなかったため、次は現場ごとに操作指導と説明会を行いました。導入前に、通信の弱い現場で動くか、誰がどう教えるかを決めておくと、定着しやすくなります。
1つの課題から始め、効果を数字で見る
株式会社橋本店の事例のように、時間外労働の割合などを数字で追うと、取り組みの効果を確認できます。要建設株式会社の事例のように、効果がすぐには分からない場合もあるため、導入前に「何の時間を何時間減らすか」を決め、半年程度で見直します。
事務所の見積・原価・工程を1つにまとめる方法を試す場合の入口として、アイピアの商品ページで機能と対象業種を確認できます。無料のデモサイトは問い合わせが必要で、カスタマイズには別途費用がかかるため、まず資料で自社の工事の種類に合うかを確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 建設業の業務効率化とは何ですか?
A. 現場の作業、事務所の事務、現場と事務所の間の情報のやり取りに分けて、手間とミスを減らし、少ない人数でも工事を回せるようにする取り組みです。写真や図面、見積・原価、勤怠、経費精算などの手作業と二重入力を減らすのが中心になります。
Q2. 業務の効率化の具体例は?
A. 施工管理アプリで工事写真を自動で整理する、ウェアラブルカメラで遠隔臨場を行う、勤怠を日々記録して時間外労働を把握する、経費精算や契約を電子化する、定型的な転記をRPAで自動化する、などがあります。国土交通省の事例集に、会社名つきの実例が載っています。
Q3. 建設業の業務効率化は何から始めればよいですか?
A. 業務の棚卸しから始めます。1か月ほど、よく行う作業と時間・回数を書き出し、二重入力や探す時間が多い作業のうち、効果が大きく手間が小さいものを1つか2つ選んで小さく試します。小規模な会社でも、1つの現場、1つの課題から始められます。事例集には、少人数から始めて広げた事例もあります。
Q4. 2024年問題と業務効率化はどう関係しますか?
A. 2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、原則は月45時間・年360時間以内です。上限の範囲で工事を回すには、写真整理や転記などの手間を減らし、勤怠を日々把握する仕組みが必要になります。個別の36協定は、社会保険労務士や労働基準監督署に確認してください。
Q5. 建設業はこれから伸びる業界ですか?
A. 国土交通省の資料では、建設投資はピークの平成4年度の約84兆円から平成22年度の約42兆円まで落ち込んだあと増加に転じ、令和7年度は約76兆円となる見通しです(ピーク時から約10%減)。一方、就業者はピーク時から約30%減っています。将来の伸びを断定することはできませんが、仕事の量に対して担い手が減っているため、少ない人数で回す効率化の必要性は高いといえます。
Q6. ITツールを入れても使われないときはどうしますか?
A. 現場の通信環境に合っているか、操作指導が行われているかを確認します。事例集の日建建設株式会社は、写真管理ソフトを現場単位で入れて活用できなかった反省から、現場ごとに操作指導と説明会を行いました。
まとめ|建設業の業務効率化で進める5つのこと
- 現場・事務所・その間の情報に分けて、手間のかかっている作業を数字で棚卸しする。
- 時間外労働の上限(月45時間・年360時間、特別条項は年720時間など)を踏まえ、始業・終業を日々記録して把握する。
- 写真・図面・書類の電子化、遠隔臨場、事務の電子化など、効果が大きく手間の小さい施策から1つずつ試す。
- 現場の通信環境、操作指導、費用と契約条件を確認してからツールを選び、効果は半年ほどで見直す。
- 見積・原価・工程の分断が課題なら、アイピアやZACのようなサービスの資料を取り寄せ、自社の工事の種類に合うかを確認する。
本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。法令の適用や36協定は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に確認してください。国の資料と商品ページは、2026年10月22日確認の内容に基づきます。
参考文献
- 国土交通省 不動産・建設経済局「建設業、不動産業界の最新動向、今後の展開」(令和8年4月)、https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/39975/20260413seminar1.pdf、2026年10月22日確認
- 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html、2026年10月22日確認
- 国土交通省 報道発表資料「「i-Construction 2.0」を策定しました」(令和6年4月16日)、https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001085.html、2026年10月22日確認
- 国土交通省 不動産・建設経済局建設業課「建設業における働き方改革推進のための事例集」(令和5年5月)、https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001612258.pdf、2026年10月22日確認
- 国土交通省 大臣官房技術調査課「建設現場における遠隔臨場に関する監督・検査実施要領(案)」(令和5年3月)、https://www.mlit.go.jp/tec/content/001594451.pdf、2026年10月22日確認
- アイピア公式サイト「導入事例 株式会社コネクシオホーム」、https://aippearnet.com/work/connnexiohome/、2026年10月22日確認
- ビジネスコンシェルジュ 商品ページ「アイピア」「ZAC」、https://www.onamae.com/business/product/206521/、https://www.onamae.com/business/product/152154/、2026年10月22日確認
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