外国人雇用の助成金|使える制度と在留資格別の対象可否を解説
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- 外国人特化の助成金は就労環境整備コース
- 在留資格と雇用保険の加入で可否が分かれる
- 計画は事前提出で離職率15%以下が条件
外国人を雇うときに使える国の助成金は、外国人の就労環境の整備に着目した人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)と、日本人も対象の雇用関係助成金に分かれます。就労環境整備助成コースの支給額は20万円で、一時帰国のための休暇制度まで整えると25万円です。令和8年10月1日に支給要領が改正され、雇用労務責任者による3か月ごとの面談や講習の受講などが要件に加わりました。キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金などは、在留資格、雇用保険への加入、計画の事前提出で可否が分かれます。本記事では、使える制度、在留資格別の対象可否、離職率の計算、申請の流れと注意点を、厚生労働省などの公的資料で整理します。
外国人雇用の人事・労務ご担当の方へ。入社の届出と従業員情報の管理、どこから見直す?2問で診断
Q1. 外国人労働者の入社時の届出書類(雇用保険の資格取得届など)は、いまどのように作っていますか?
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外国人雇用で使える助成金の全体像|外国人に特化した制度は1つ、残りは日本人と共通
外国人雇用で使える助成金は、外国人の就労環境整備に特化した厚生労働省の制度が1つで、残りは外国人も要件を満たせば使える日本人共通の制度です。
厚生労働省は、外国人労働者は日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから、労働条件や解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向があるとして、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、職場定着に取り組む事業主に助成するのが就労環境整備助成コースだと説明しています(厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」)。それ以外の制度は、外国人かどうかではなく、雇用保険の加入や本人・事業場の要件で対象が決まります。
| 制度 | 目的 | 外国人の扱い |
|---|---|---|
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 外国人労働者の職場定着のための就労環境の整備 | 雇用保険の被保険者である外国人労働者が対象。在留資格にかかわらず対象になる(特別永住者と在留資格「外交」「公用」を除く) |
| キャリアアップ助成金 | 有期雇用・短時間・派遣などの非正規雇用労働者の正社員化と処遇改善 | 在留資格とコースによって対象かどうかが分かれる(次の章の早見表) |
| 人材開発支援助成金 | 職務に関連した知識・技能を習得させる訓練の経費や賃金の一部の助成 | 雇用する被保険者への訓練が対象。外国人かどうかが要件とは案内されていない |
| 業務改善助成金 | 設備投資などと事業場内最低賃金の引上げ | 雇用保険の被保険者で雇入れから6か月を経過した労働者の最低賃金を引き上げる |
| トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | 就職が困難な求職者の試行雇用 | 外国人かどうかではなく本人の要件で決まる。補完的保護対象者やウクライナ避難民の試行雇用も対象になっている |
| 雇用調整助成金 | 経済上の理由で事業活動を縮小せざるを得ない場合の雇用維持 | 外国人の採用を助成する制度ではない |
どの制度でも、外国人労働者が雇用保険の被保険者であること、外国人雇用状況の届出を適正に行っていること、書類を残していることが問われます。入社のたびの雇用保険の届出書類、在留資格や契約内容の記録、面談結果の書面などを手作業で管理していると、計画の提出や支給申請の段階で書類が揃いにくくなるのが実務上の課題です。ここでは、お名前.comビジネスコンシェルジュに掲載している労務管理・人事管理の3つのサービスを、優劣ではなく役割の違いで並べます。
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各制度の根拠は、就労環境整備助成コース、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、業務改善助成金、トライアル雇用助成金の厚生労働省のページです。雇用調整助成金は、雇用保険法第62条が、景気の変動などの経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた場合に労働者を休業させる事業主への助成を、雇用安定事業として定めています(e-Gov法令検索「雇用保険法」)。
助成金と補助金は別の制度
雇用関係の助成金は、厚生労働省が所管し、申請は都道府県労働局やハローワークで受け付けます。就労環境整備助成コースのガイドブックには、助成金は予算の範囲内で支給され、厳正な審査があり、確認項目が多いため支給可否の決定までに時間がかかる場合があると書かれています(厚生労働省「ガイドブック」令和8年10月1日現在)。要件を満たしても、必ず受け取れるとは限りません。自治体が独自に設ける補助金は国の助成金とは別の制度で、条件や金額は自治体ごとに異なります。事業所のある都道府県や市区町村の公式サイトで確認します。
就労環境整備助成コースとは|20万円・25万円の条件と令和8年10月の改正点
外国人労働者就労環境整備助成コースは、雇用労務責任者の選任と就業規則・社内マニュアル等の多言語化を行うと20万円、一時帰国のための休暇制度も整えると25万円が支給される、外国人の職場定着のための助成金です。
厚生労働省のガイドブックによると、この助成金は事業所単位ではなく、事業主単位(企業単位)で支給されます。外国人労働者を雇用している事業主が、認定を受けた就労環境整備計画に沿って3つの措置のうち2つを導入・実施し、計画期間の終了後の離職率が基準以下であると支給されます(厚生労働省の制度ページ、ガイドブック)。
導入する3つの措置と支給額
| 措置 | 主な要件 | 支給額 |
|---|---|---|
| 1. 雇用労務責任者の選任(必須) | 事業所ごとに雇用労務責任者を選任し、氏名と苦情・相談に応じることを掲示などで周知する。計画期間の初日から離職率算定期間の末日まで、すべての外国人労働者と3か月ごとに1回以上面談(テレビ電話も可)して結果を書面にする。労働基準監督署などの相談先を案内する。すべての雇用労務責任者が外国人労働者雇用労務責任者講習を受講する | 1と2を実施して20万円 |
| 2. 就業規則・社内マニュアル等の多言語化(必須) | 就業規則または労働協約、労働条件通知書または雇用契約書、社内マニュアルを、それぞれ1点以上多言語化して周知する。母国語などの使用言語か、平易な日本語で作る。外国人労働者が2名以上いる場合は、いずれか1名について実施する方法でも対象になる | 1と2を実施して20万円 |
| 3. 一時帰国のための休暇制度の整備(上乗せ) | 就業規則または労働協約を変更し、一時帰国を希望した場合に取得できる有給休暇(年次有給休暇を除く)を新たに定める。1年間に1回以上、連続した5日以上取得できるもので、支給申請日まで継続して運用する | 1と2に加えて3を実施して25万円 |
雇用労務責任者は、専任の人を置く必要はなく、外国人の雇用管理を担当する人事課長などが兼任しても差し支えありません。国籍や就労年数の基準もありません。適当な人を選任できない場合は、その事業所の事業主または役員が務められます(ガイドブック)。
令和8年10月1日の主な改正点
厚生労働省は、令和8年10月1日に支給要領の一部を改正したと案内しています。主な改正内容は次のとおりです(厚生労働省の制度ページ)。
- 支給額を最大25万円に変更
- 「苦情・相談体制の整備」を廃止し、雇用労務責任者による苦情・相談対応を要件にする
- 雇用労務責任者による外国人労働者との面談を、離職率算定期間を含めて3か月ごとに1回以上実施することを要件にする
- 外国人労働者雇用労務責任者講習の受講を要件にする
- 「就業規則等の多言語化」と「社内マニュアル・標識類等の多言語化」を統合し、就業規則または労働協約、労働条件通知書または雇用契約書、社内マニュアルをそれぞれ1種類以上多言語化することを要件にする
- 外国人労働者雇用労務責任者講習の受講証明書を提出した場合の離職率要件の免除規定を廃止する
どの版が適用されるかは、就労環境整備計画を提出した日で決まります。同じ制度ページには、令和8年10月1日以降に計画を提出する人向けの版と、令和8年4月1日から9月30日までに提出した人向けの版が別々に掲載されています。また、改正後の支給要領に対応した電子申請の受付は準備中で、改正後の要領に基づく申請は、ダウンロードした申請書類を労働局へ持参または郵送で提出するよう案内されています。受付再開の時期は制度ページで確認してください。
対象になる外国人労働者と事業主の要件
ガイドブックでは、措置の対象となる「外国人労働者」を、次の3つのすべてに当てはまる人としています。3つに当てはまれば、在留資格にかかわらず外国人労働者になります(ガイドブック)。
- 労働施策総合推進法第28条第1項の外国人雇用状況届出の対象になる人であること
- 事業主に直接雇用され、事業主と労働契約を結んでいること
- 雇用保険の被保険者であること(短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者を除く)
| 事業主の要件 | 内容 |
|---|---|
| 雇用保険の適用事業 | 雇用保険の適用事業の事業主であること |
| 外国人雇用状況の届出 | 外国人雇用状況の届出を適正に行っていること |
| 解雇等をしていない | 計画期間の初日の前日から6か月前の日から計画期間の末日までに、すべての事業所で雇用保険の被保険者である労働者(日本人を含む)を解雇等していないこと |
| 過去の受給 | 過去に同じコースを受給している場合は、最後の支給決定日の翌日から3年が経過していること |
| 離職率 | 離職率算定期間の外国人労働者離職率が15%以下で、期間の末日まで継続して雇用している外国人労働者が1人以上いること |
計画の提出から支給申請までの流れ
計画期間は3か月以上1年以内で、計画期間の初日から6か月前の日から1か月前の日までに、本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出します。複数の計画を一度に提出することはできません。計画期間が終わった翌日から6か月間が離職率算定期間で、この期間が終わってから2か月以内に支給申請をします。ガイドブックの例では、2026年10月1日に計画を提出し、計画期間を2026年12月1日から2027年11月30日とすると、離職率算定期間は2027年12月1日から2028年5月31日、支給申請期間は2028年6月1日から7月31日です(ガイドブック)。計画の提出から支給申請の期限まで、2年近くかかる流れです。
| 段階 | 内容 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 1. 計画の提出と認定 | 就労環境整備計画書などを本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ提出する | 計画期間の初日の6か月前から1か月前まで |
| 2. 措置の導入・実施 | 認定された計画どおりに3つの措置を導入し、実施する | 計画期間(3か月以上1年以内) |
| 3. 離職率の算定 | 計画期間の末日の翌日から6か月間の離職率を確認する | 離職率算定期間(6か月間) |
| 4. 支給申請 | 支給申請書、面談結果一覧表、離職理由が分かる書類などを提出する | 離職率算定期間の末日の翌日から2か月以内 |
離職率15%以下の計算と、許容される離職者数の目安
外国人労働者離職率は、離職率算定期間に離職して雇用保険の一般被保険者の資格を喪失した外国人労働者の数を、計画期間の末日の翌日における雇用保険の一般被保険者である外国人労働者の数で割り、100を掛けて求めます。小数点第2位を四捨五入し、15%以下であることが基準です。算定期間の初日の外国人労働者が2人以上6人以下の場合は、離職者が1人以下であることが基準です(ガイドブック)。ガイドブックの計算式に当てはめて、外国人労働者の人数ごとに、15%以下に収まる離職者数の上限を計算すると次のとおりです。
| 外国人労働者の人数 | 基準を満たす最大の離職者数(離職率) | 1人増えた場合(離職率) |
|---|---|---|
| 10人 | 1人(10.0%) | 2人(20.0%) |
| 15人 | 2人(13.3%) | 3人(20.0%) |
| 20人 | 3人(15.0%) | 4人(20.0%) |
| 30人 | 4人(13.3%) | 5人(16.7%) |
| 50人 | 7人(14.0%) | 8人(16.0%) |
この表は、公式の計算式を人数ごとに当てはめた目安で、実際の判定は雇用保険のデータにもとづいて行われます。定年退職、重責解雇、期間の定めがあり更新のない契約の満了による離職、在留期間の上限を満了したことに伴う帰国などは、資格喪失者数に含めないと定められています。在留期間に上限がある在留資格の例として、ガイドブックは特定技能1号と技能実習などを挙げています。
受給前に確認したい注意点
- 助成金は予算の範囲内で支給され、厳正な審査が行われる
- 措置の導入等に対して他の助成金などを受けている場合は、この助成金を受けられない、またはどちらか一方を選ぶことがある
- 支給申請書や添付書類の写しなどは、支給決定日の翌日から5年間保管する
- 偽りその他不正の行為で受給した場合は、不支給や支給の取消し、返還が必要になり、事業主名などが原則公表される
以上は、ガイドブック(令和8年10月1日現在)の注意事項にもとづきます(ガイドブック)。
面談結果・名簿・離職の記録を、期間中ずっと残す
就労環境整備助成コースでは、計画の提出時に外国人労働者名簿を、支給申請時に雇用労務責任者による面談結果一覧表と離職理由が分かる書類などを、それぞれ提出します。面談は3か月ごとに1回以上、全員分を書面で残す必要があり、人数が増えるほど管理の手間が大きくなります。従業員の情報を一か所にまとめる選択肢の一例が、株式会社カオナビが提供するカオナビです。商品ページでは、組織ツリー図、配置バランス図、社員データグラフなど、社員の情報を可視化しやすい機能が豊富で、労務管理の機能もあると紹介されています。1社に1人の専任サポートがつく点も特徴として挙げられています。一方で、目的や規模により価格に幅があり、詳細な料金は問い合わせが必要です。外国人労働者の面談結果や名簿の管理に使えるかどうかは、資料で確認してください。
株式会社カオナビ
カオナビ
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出典:kaonavi
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在留資格別の対象可否早見表|キャリアアップ助成金と就労環境整備助成コース
在留資格だけで助成金の対象かどうかが一律に決まるわけではなく、同じ外国人労働者でも、助成金とコースによって対象になるかが変わります。キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、技能実習生と特定技能1号が対象外です。
以下は公的資料にもとづく一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。キャリアアップ助成金の外国人労働者の扱いは、厚生労働省の「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A」(令和8年7月29日)に示されています。表の「対象となり得る」は、在留資格の面では対象となり得るという意味で、ほかの支給要件も満たす必要があります(厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A(令和8年度版)」)。
| 在留資格 | 就労環境整備助成コース | キャリアアップ助成金 正社員化コース | キャリアアップ助成金 その他のコース |
|---|---|---|---|
| 就労目的の在留資格(技術・人文知識・国際業務など) | 雇用保険の被保険者であれば対象 | 対象となり得る | 対象となり得る |
| 永住者 | 雇用保険の被保険者であれば対象 | 対象となり得る | 対象となり得る |
| 定住者 | 雇用保険の被保険者であれば対象 | 対象となり得る | 対象となり得る |
| 特定技能1号 | 雇用保険の被保険者であれば対象 | 対象外(在留期間の上限が5年で、帰国が前提のため) | 対象となり得る |
| 特定技能2号 | 雇用保険の被保険者であれば対象 | 対象となり得る(在留期間の制限がない) | 対象となり得る |
| 技能実習 | 雇用保険の被保険者であれば対象 | 対象外(帰国することが前提の制度のため) | 対象となり得る |
| 特定活動(EPA受入れ人材の看護師・介護福祉士) | 雇用保険の被保険者であれば対象 | 試験に合格した場合は対象となり得る。合格前は対象外 | 対象となり得る |
就労環境整備助成コースの列は、ガイドブックの「上記の3つにすべて当てはまれば、在留資格にかかわらず外国人労働者となる」という記載にもとづきます。特別永住者と在留資格「外交」「公用」は対象になりません(ガイドブック)。
キャリアアップ助成金の正社員化コースの支給額
令和8年度版のパンフレットによると、有期雇用労働者を正社員に転換した場合の1人あたりの助成額は、中小企業で40万円(40万円を1期)、大企業で30万円です。雇入れから3年以上の有期雇用労働者などの重点支援対象者は、中小企業で80万円(40万円を2期)、大企業で60万円(30万円を2期)です。無期雇用労働者から正社員に転換した場合は、重点支援対象者で中小企業40万円・大企業30万円、それ以外で中小企業20万円・大企業15万円です(厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」)。この助成金は、各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を作成して提出することが必要です(厚生労働省の制度ページ)。
外国人留学生についても、学校を新たに卒業しようとする人などの新規学卒者の定義を満たせば、新規学卒者に該当し得るとQ&Aに書かれています。ただし、在留資格によって正社員化コースの対象外になる場合があるため、先の早見表と合わせて確認してください。
人材開発・業務改善・トライアル雇用・雇用調整|外国人も要件次第で検討できる制度
人材開発支援助成金、業務改善助成金、トライアル雇用助成金は、外国人であることを理由にした制度ではなく、雇用保険の加入や本人・事業場の要件を満たせば検討できる制度です。
人材開発支援助成金|職務に関連した訓練の経費や賃金の一部
人材開発支援助成金は、7つのコースで構成されています。人材育成支援コースは、雇用する被保険者に対して、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練などを実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成します(厚生労働省「人材開発支援助成金」)。対象は雇用する被保険者で、外国人かどうかは要件として案内されていません。個別の訓練が対象になるかは、事前に計画届を出す都道府県労働局で確認してください。e-ラーニングを使った訓練の助成金は、eラーニング導入で使える助成金とは|対象となる3つの助成金制度を徹底解説!要件や申請方法も紹介で整理しています。
業務改善助成金|設備投資と最低賃金の引上げをセットで行う
業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資などを行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。令和8年度の申請期間は、令和8年9月1日から、事業場の都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のうち早い日までで、都道府県によっては9月末が期限になります。事業場内最低賃金の引上げと設備投資はこれから実施するものが対象で、交付決定の後に実施します。事業場内最低賃金の引上げは、雇用保険の被保険者で雇入れ後6か月を経過した労働者について行う必要があります(厚生労働省「業務改善助成金」)。
トライアル雇用助成金|就職が困難な求職者を試行的に雇う
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、無期雇用への移行を前提に原則3か月試行雇用する事業主に支給されます。ハローワークなどの紹介による雇入れが条件で、支給額は対象者1人につき月額4万円です。外国人かどうかではなく、離職や転職を繰り返しているなどの本人の要件で決まります。ハローワークなどの紹介により、補完的保護対象者やウクライナ避難民を試行雇用する場合も、当分の間、この助成金の対象とされています(厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」)。
雇用調整助成金|採用ではなく雇用維持のための制度
雇用調整助成金は、景気の変動などの経済上の理由で事業活動を縮小せざるを得ない事業主が、労働者を休業させるなどして雇用を維持する場合の制度です。外国人を新しく採用するための助成金ではないため、外国人雇用の費用を補う目的では使えません。
助成金の前提になる雇用保険と外国人雇用状況の届出|留学生アルバイトの注意
外国人雇用の助成金の多くは、雇用保険の被保険者であることが前提です。外国人雇用状況の届出は全事業主の義務で、怠ったり虚偽の届出をしたりすると30万円以下の罰金の対象になります。
以下は公的資料にもとづく一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。厚生労働省は、外国人雇用状況の届出を、外国人労働者(在留資格「外交」「公用」と特別永住者を除く)の雇入れと離職の際に、すべての事業主が届け出る必要があるとしています。届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合は、30万円以下の罰金の対象になります(厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」)。
| 外国人の区分 | 届出の方法 | 届出期限 |
|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者になる外国人 | 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)または資格喪失届(様式第4号)を提出する。これで外国人雇用状況の届出を行ったことになる | 雇入れは翌月10日まで。離職は翌日から起算して10日以内 |
| 雇用保険の被保険者にならない外国人 | 外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出する | 雇入れ・離職とも翌月末日まで |
届出の際は、在留カードまたはパスポートなどの提示を求めて、届け出る事項を確認します。写しの添付は不要です。電子申請は、雇用保険の被保険者の場合はe-Govから、被保険者でない場合は外国人雇用状況届出システムからできます(厚生労働省の同ページ)。雇用保険の資格取得届の書き方と期限は、雇用保険被保険者資格取得届とは?書き方・提出期限・提出先を解説で整理しています。
入社のたびの雇用保険の届出書類を電子申請まで進めたい会社の一例が、jinjer株式会社が提供するジンジャー人事労務です。商品ページによると、各種帳票を自動作成でき、情報収集から電子申請までを一気通貫で行え、一括申請形式で複数人の入退社にも対応します。提供元は、社保手続きオプションで、電子申請が義務化されている社会保険関連の主要な帳票がジンジャー上で電子申請できると発表しています(ジンジャー人事労務のプレスリリース(2024年11月19日))。2026年2月には、企業が契約する社会保険労務士が、ジンジャーのデータから直接電子申請できる機能も実装されました(同プレスリリース(2026年2月19日))。雇用保険の資格取得届に対応するかどうかは、資料で確認してください。注意したいのは、労務管理を中心に使う場合は便利でも、ほかの機能が必要なときは別のサービスの申し込みが必要と商品ページに記載されている点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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雇用保険の被保険者になる条件と、留学生アルバイトの扱い
雇用保険の被保険者になるのは、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人です。学校教育法に規定する学校、専修学校、各種学校の学生・生徒は、昼間学生であっても、卒業見込証明書を持ち卒業後も同じ事業所に勤務する予定の人や、休学中の人などを除き、被保険者になりません。大学の夜間学部や高校の夜間・定時制課程の学生などは、この限りではありません(厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き 第2編(令和8年8月版)」)。そのため、留学生をアルバイトで雇っている事業所では、助成金の対象として数えられる外国人労働者が少ない場合があります。助成金を検討するときは、まず雇用保険の加入状況を確認します。
健康保険や厚生年金保険の加入義務は、雇用保険とは別の制度です。事業所と従業員の要件は、社会保険の加入義務は誰にある?事業所の要件・従業員の条件・罰則を解説で整理しています。
申請前に確認したい注意点と相談先|計画の事前提出と勧誘への警戒
助成金は、取り組みを始める前の計画の提出が必要な制度が多く、先に始めてから申請しても対象にならないことがあります。窓口は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局とハローワークです。
- 就労環境整備助成コースは、計画期間の初日から6か月前の日から1か月前の日までに計画を提出する
- キャリアアップ助成金は、各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出する
- 業務改善助成金は、交付決定を受けた後に、事業場内最低賃金の引上げと設備投資を実施する
- 雇用関係助成金に共通する要件があるため、各制度ページの「雇用関係助成金共通の要件」も確認する
厚生労働省は、厚生労働省の委託事業者を名乗って、助成金の申請や助成対象の診断、受給額の無料査定をするといった書面を送り、勧誘を行っている者がいるとして注意を呼びかけています。厚生労働省はこの勧誘に関与していません(厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」)。業務改善助成金のページにも、厚生労働省や労働局が特定の事業者に助成金の勧誘を委託することはないという注意喚起があります。
就労環境整備助成コースの雇用労務責任者が受ける外国人労働者雇用労務責任者講習は、厚生労働省の委託事業として実施され、専用のサイトで案内されています(外国人労働者雇用労務責任者講習)。制度の詳細や自社が当てはまるかは、労働局やハローワークに確認します。
届出、面談の結果、名簿、契約書類、離職の記録は、助成金を使わない場合でも、外国人雇用の実務で継続して必要になります。書類の作成から電子申請、従業員情報の一元管理まで、自社の運用に合う範囲を、資料で確認できます。
自治体の補助金と育成就労制度の開始|あわせて確認したいこと
国の助成金とは別に、自治体の補助金や、2027年4月の育成就労制度の開始も、外国人雇用の費用や手続きに関わる確認事項です。
自治体が独自に外国人の受入れや雇用に関する補助を設けている場合があります。国の助成金とは別の制度で、対象、金額、受付期間は自治体ごとに、また年度ごとに異なります。事業所のある都道府県や市区町村の公式サイト、商工会議所などの窓口で、最新の情報を確認します。
出入国在留管理庁は、育成就労制度の運用開始と特定技能制度の適正化等の施行日を令和9年4月1日と案内しています。令和8年4月15日から監理支援機関の許可、同年9月1日から育成就労計画の認定について、施行日前の申請を外国人技能実習機構で受け付けています(出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」)。本記事で示した助成金の在留資格別の扱いは、現行の技能実習などを前提にした厚生労働省の資料にもとづくため、育成就労制度の開始後の取扱いは、厚生労働省の最新の案内で確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 外国人を雇うと助成金はいくらもらえる?
A. 制度と要件によって異なります。外国人労働者就労環境整備助成コースは20万円で、一時帰国のための休暇制度まで整えると25万円です。キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期雇用労働者を正社員に転換した場合、1人あたり中小企業で40万円(重点支援対象者は80万円)、大企業で30万円(同60万円)です。トライアル雇用助成金は月額4万円で最長3か月です。いずれも要件を満たしたときの額で、外国人を雇うだけで受け取れる金額ではありません。
Q2. 外国人雇用の助成金はどこから出ますか?
A. 国の助成金は厚生労働省が所管しています。就労環境整備助成コースなどの雇用関係助成金は、雇用保険法にもとづいて実施されています。申請先は、事業所や本社の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークです。自治体が独自に補助金を設けている場合は、その自治体が窓口になります。
Q3. 外国人雇用で助成金や補助金が出るのはなぜですか?
A. 厚生労働省は、外国人労働者は日本の労働法制や雇用慣行などの知識の不足や言語の違いから、労働条件や解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向があるため、就労環境を整えて職場定着に取り組む事業主に助成すると説明しています。日本人と共通の制度は、雇用の安定、人材の育成、処遇の改善などを目的にしていて、外国人も要件を満たせば使えます。
Q4. 外国人をコンビニで雇うと助成金はもらえますか?
A. 就労環境整備助成コースの案内に、業種による限定は示されていません。条件は、雇用保険の適用事業の事業主であること、雇用保険の被保険者である外国人労働者がいること、計画に沿って措置を実施し、離職率の基準を満たすことなどです。留学生のアルバイトは、昼間学生だと原則として雇用保険の被保険者にならないため、対象の外国人労働者に数えられない場合があります。個別の判断は労働局に確認してください。
Q5. 特定技能や技能実習の外国人は助成金の対象外ですか?
A. 一律に対象外ではありません。就労環境整備助成コースは、雇用保険の被保険者であれば在留資格にかかわらず対象になります。キャリアアップ助成金は、正社員化コースでは技能実習生と特定技能1号が対象外ですが、その他のコースでは対象となり得ます。いずれも、ほかの支給要件を満たす必要があります。
Q6. 留学生のアルバイトも助成金の対象になりますか?
A. 多くの制度は雇用保険の被保険者であることが前提で、学校教育法の学校や専修学校、各種学校の昼間学生は、卒業見込証明書を持ち卒業後も同じ事業所で働く予定の人や休学中の人などを除き、原則として被保険者になりません。そのため、対象にならない可能性が高いです。雇用保険の加入状況を確認したうえで、労働局に相談してください。
まとめ|外国人雇用の助成金で押さえたい6つのこと
外国人雇用の助成金は、外国人に特化した制度と日本人共通の制度に分かれ、在留資格、雇用保険の加入、計画の事前提出で可否が決まります。押さえたいことは、次の6つです。
- 外国人に特化した国の助成金は、就労環境整備助成コース。20万円(一時帰国のための休暇制度まで整えると25万円)で、令和8年10月1日に要件が改正された
- ほかの助成金は日本人と共通で、在留資格とコースで可否が分かれる。正社員化コースは技能実習生と特定技能1号が対象外
- 多くの制度は雇用保険の被保険者が前提。昼間学生の留学生アルバイトは原則被保険者にならない
- 就労環境整備助成コースは、計画の事前提出と離職率15%以下が条件で、計画の提出から支給申請の期限まで2年近くかかる
- 外国人雇用状況の届出は全事業主の義務で、怠ると30万円以下の罰金の対象になる
- 届出書類と従業員情報の管理を見直し、労務管理システムの資料を請求して、自社の運用に合うかを比べる
参考文献
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック(令和8年10月1日現在)」:https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/001754770.pdf
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A(令和8年7月29日)」:https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001684537.pdf
- 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」:https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001683860.pdf
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
- 厚生労働省「業務改善助成金」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
- 厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/trial_koyou.html
- 厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html
- 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き 第2編(令和8年8月版)」:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001738607.pdf
- 外国人労働者雇用労務責任者講習:https://gaikokujin-roumu.mhlw.go.jp/
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
- 雇用保険法(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
- freee導入事例(ファイブエージャパン株式会社):https://www.freee.co.jp/cases/five-a-japan/
- ジンジャー人事労務のプレスリリース(2024年11月19日):https://jinjer.co.jp/news/post-10847/
- ジンジャー人事労務のプレスリリース(2026年2月19日):https://jinjer.co.jp/news/post-14728/
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