SaaS LPとは?基本構成と公開前に確認したいルールを解説
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- SaaS LPの目的と基本構成が分かる
- CTAとKPIの設計を押さえられる
- 公開前に確認する表示の根拠が分かる
SaaS LPとは、SaaSの資料請求・無料トライアル・デモ申込といった次の一歩を、1ページで促すために作るランディングページのことです。会社全体を紹介するコーポレートサイトと違い、1つのサービスと1つの目的に絞って構成します。上位の解説記事では、基本構成、ファーストビュー、CTAの設計、KPI、改善の進め方が共通して扱われています。このページでは、それらの論点に加えて、確認した上位4本では扱いがなかった公開前の確認項目を、条文と公的資料で確認できる範囲で整理します。具体的には、No.1表記の根拠(消費者庁の2024年9月の実態調査)、申込フォームの利用目的の明示(個人情報保護法21条)、案内メールの同意(特定電子メール法3条)です。サービスの順位づけと料金の具体額は示しません。
SaaS LPで気になっていることを、2問で整理してみる
Q1. いま一番知りたいのは、どちらに近いですか?
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SaaS LPとは|目的と、コーポレートサイト・BtoB LPとの違い
SaaS LPとは、SaaSの資料請求や無料トライアルなど次の一歩を促すために、1つのサービスと1つの目的に絞って作る縦長の1ページです。
SaaSは、ソフトウェアの機能をインターネット経由で使うサービスです。総務省の国民のためのサイバーセキュリティサイトは、クラウドサービスをSaaS、PaaS、IaaSの3つに分類しています。LP(ランディングページ)は、広告や検索から訪れた人が最初に着地するページのことで、SaaSの場合は、サービスの価値を伝えたうえで、資料請求・無料トライアル・デモ申込などの行動につなげる役割を持ちます。SaaSの意味そのものは、SaaSの意味と料金の仕組みをまとめた記事でも整理しています。
SaaS LPの更新と説明を支える2サービスの役割の違い
SaaS LPは、公開して終わりではありません。後の章で見るように、ファーストビューの文言、CTAの位置、画面や動画の見せ方を、数字を見ながら直し続けることで成果が変わります。そのため、LPを作る基盤を自社で更新できるか、サービスの使い方をどう見せるかが、最初に決めておきたい前提になります。次の表は、この2つの前提を支えるサービスを、優劣ではなく役割の違いで比べたものです(商品ページの記載、2026年10月22日確認)。
SaaS LPの更新と説明を支える2サービスの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:Clipkit。商品ページでは、コンテンツの作成と更新はノーコードでできると紹介されています。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Video Craft。商品ページでは、撮影なしで動画を作成でき、ナレーション原稿の変更だけで修正できると紹介されています。
資料を無料ダウンロード| サービス | Clipkit |
Video Craft |
|---|---|---|
| 向いている会社 | LPやサイトのデザインを作り込み、更新は自社で回したい会社 | サービスの使い方や製品紹介を、撮影なしで動画にして伝えたい会社 |
| 特徴 | HTML、CSS、JavaScriptを編集でき、デザインの制限がない。コンテンツの作成と更新はノーコードでできる。SaaS・SaaS占有プランなら運用保守の手間やコストがかからない | 日本語のAIアバターとAI音声で、撮影なしに動画を作成できる。PowerPointと同じ操作感覚で使える。ナレーション原稿の変更だけで動画を修正でき、再撮影が不要 |
| 注意したい点 | 支払い方法は銀行振込のみ。WEBサイト構築CMSであり、LP専用ではない | グループで共有できる人数はプランによって異なる |
| 資料・詳細 |
表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
LPの文言や構成を自社で直し続ける場合の一例が、株式会社ベクトルのClipkitです。商品ページでは、HTML、CSS、JavaScriptを編集できてデザインの制限がなく、コンテンツの作成と更新はノーコードでできると紹介されています。SaaS・SaaS占有プランなら運用保守に手間やコストがかからないとも案内されています。一方で、支払い方法は銀行振込のみとされているため、経理の運用に合うかは事前に確認が必要です。なお、ClipkitはWEBサイト構築CMSであり、LP専用のツールではない点にも注意してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社ベクトル
Clipkit
株式会社ベクトル
Clipkit
自由度の高いWEBデザインを実現する国産CMS!コンテンツの更新しやすさをお求めの方におすすめ
基本情報

おすすめ!
- HTML/CSS/JavaScriptを編集でき、デザインの制限がなく自由度が高い
- コンテンツの作成/更新はノーコードでできるため、SEO対策などに集中しやすい
- SaaS/SaaS占有プランなら、運用保守に手間やコストがかからない
気になる…
- 支払い方法は銀行振込のみ
運営会社の事例ページ(2022年2月21日公開)では、広告代理店のデジタルマーケティングイノベーションラボ株式会社が、Clipkitを選んだ理由として「承認」「公開」の機能、記事の構築のしやすさ、コスト面を挙げています。この事例はオウンドメディアの構築で、LPの事例ではありません。
サービスの使い方を、文字や静止画より動画で伝えたい場合の一例が、株式会社Stand TechnologiesのVideo Craftです。商品ページでは、日本語のAIアバターとAI音声を使って撮影なしで動画を作成でき、PowerPointと同じ操作感覚で使えると紹介されています。作成した動画は、eラーニング、製品紹介、営業用動画などに使え、ナレーション原稿の変更だけで修正できて再撮影が不要とされています。注意点として、グループで共有できる人数はプランによって異なります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社Stand Technologies
Video Craft
株式会社Stand Technologies
Video Craft
AIで簡単作成!効率的に高品質な動画を作成したい方におすすめ

おすすめ!
- 日本語AIアバターとAI音声により、撮影不要で高品質な動画を作成
- パワーポイントと同じ操作感覚で、研修やeラーニングなどに適した動画作成が可能
- ワンクリックで50ヶ国語に翻訳でき、翻訳作業の効率化を図れる
気になる…
- グループ共有できる人数はプランによって異なる
コーポレートサイトとSaaS LPの違い
同じSaaS企業のWebサイトでも、コーポレートサイトとSaaS LPでは役割が違います。違いを表にまとめます。
| 観点 | コーポレートサイト | SaaS LP |
|---|---|---|
| 目的 | 会社の信頼や事業全体の理解を得る | 1つのサービスの申込や資料請求を促す |
| 載せる情報 | 会社概要、事業、採用、IRなど幅広い情報 | 課題、機能、事例、料金、FAQなど、1サービスの検討に必要な情報 |
| 導線 | 複数のページを回遊できる | CTAに向けて1本の流れで読ませ、ページ外への出口を絞る |
| 主な成果 | 閲覧、問い合わせ、採用応募など多様 | 資料請求、無料トライアル、デモ申込 |
| 見る指標 | 閲覧数や回遊の状況 | CVR、トライアル申込率、有料転換率 |
BtoB LPとの違い|体験型の成果と継続利用を意識する
BtoBのLPでは、資料請求や問い合わせが主な成果になります。SaaSでは、これに無料トライアルやデモ申込といった体験型の成果が加わります(ジオコードの解説、2026年3月23日更新)。SaaSは月額や年額で使い続けるサブスクリプション型のため、LPの成果を申込数だけでなく、その後の有料転換や継続利用につながるリードかどうかで見る点も違いです。
また、BtoBの検討は担当者1人で終わらず、社内で説明して承認を得る流れになりやすくなります。「ランディングページ集めました。」の記事(2026年6月16日)は、費用対効果、導入の手間、サポート、セキュリティといった、稟議で説明できる情報を揃えることを重視しています。
検索結果から見える「SaaS LP」の探され方
2026年10月22日に「saas lp」を検索すると、上位には、SaaS LPの基本構成や改善点を解説する記事、SaaSのLPデザインを集めた事例集、ファーストビューを調べた記事が並んでいました。作り方を知りたい人と、参考になるデザインを探している人の両方がいると考えられます。本記事では、前者の疑問に構成、設計、KPIで、後者の疑問にデザインの見方と事例集の使い方(FAQ)で答えます。
SaaS LPの基本構成|読者の疑問を順に消す9つの要素
SaaS LPの基本構成は、ファーストビュー、ベネフィット、課題、機能、事例、料金、導入の流れ、FAQ、CTAの9要素を、検討する人の疑問が出る順に並べる形です。
今回開いたSquad beyondと「ランディングページ集めました。」は、ほぼ同じ9つ前後の要素を同じ順で挙げ、ジオコードは、その要約にあたる流れ(ファーストビュー、課題提起、機能、事例、CTA)を挙げていました。次の表は、その共通部分に「つくるときの確認点」を加えたものです。
| 順 | 要素 | 答える疑問 | つくるときの確認点 |
|---|---|---|---|
| 1 | ファーストビュー | 誰向けの何のサービスか | 誰の、どんな課題を、どう解決するかを、スクロールせずに言えているか |
| 2 | ベネフィット | 使うと何が変わるか | 機能名ではなく、使う人の仕事がどう変わるかで書いているか |
| 3 | 課題 | 自分の悩みと同じか | 読者の仕事の言葉で、悩みを書いているか |
| 4 | 機能・画面 | どう解決するのか | 実際の画面や操作の流れを見せているか |
| 5 | 導入事例・実績 | 他社で使われているか | 事例の出典と掲載の許可があるか。数字や順位の表示に根拠があるか |
| 6 | 料金 | 予算に合うか | 公開する範囲を決めているか。非公開なら、見積もり依頼への抵抗を下げる説明があるか |
| 7 | 導入の流れ・サポート | 導入後に放置されないか | 申込から利用開始までの手順と、問い合わせ窓口が書かれているか |
| 8 | FAQ | 比較中に出る疑問 | セキュリティ、契約期間、他ツール連携など、聞かれやすい質問に先に答えているか |
| 9 | CTA | 次に何をすればよいか | 資料請求、トライアル、デモなど、検討の段階に合わせた入口があるか |
料金は、公開するかどうかを事前に決めておく必要があります。本記事では、料金の具体額は扱いません。
ファーストビューに置かれている要素|SaaS50社の調査から
ファーストビューは、ページを開いて最初に見える範囲です。One Capitalが2020年11月に公表した調査では、未上場のSaaSスタートアップでバリュエーション上位50社(INITIAL調べ)のLPを対象に、ファーストビューの要素を数えています。
| 調べた項目 | 該当した社数(50社中) | 割合 |
|---|---|---|
| プロダクト画面をキービジュアルにしている | 18社 | 36% |
| 写真をキービジュアルにしている | 13社 | 26% |
| 主な成果を「資料ダウンロード」にしている | 22社 | 44% |
| 導入企業のロゴを載せている | 6社 | 12% |
| 第三者の評価や受賞などを載せている | 22社 | 44% |
| 電話番号を載せている | 9社 | 18% |
| 言語切替がある | 6社 | 12% |
この調査は2020年のもので、対象も未上場の上位50社に限られます。現在の標準を示すものではなく、型の参考として読んでください。それでも、プロダクト画面を前面に出す企業が最も多く、主な成果に資料ダウンロードを置く企業が最多だった点は、資料請求を軸に設計する際の手がかりになります。
利用イメージの見せ方|画面から動画まで
SaaSは形のないサービスのため、使い方を想像できないと申込につながりにくくなります。今回開いた記事のうち、ジオコードは画面や操作の流れを視覚的に示すこと、Squad beyondは実際の操作画面を載せることを挙げています。One Capitalの調査でも、プロダクト画面を載せる企業が半数以上でした(動画との組み合わせを含む)。
静止画だけでは操作の流れが伝わりにくい場合は、短い説明動画を併用する方法があります。動画は、画面が変わるたびに作り直しになりやすいため、更新しやすい作り方を先に決めておくと運用が続きます。前の章の表のVideo Craftは、商品ページで、ナレーション原稿の変更だけで動画を修正でき、再撮影が不要とされています。
Video Craft
サービスの使い方が、画面写真だけでは伝わっていないと感じていませんか?
こんな会社に向いています
サービスの説明動画を、撮影なしで内製したい会社
動画の内容が変わったときに、再撮影せず修正したい会社
デザインと配色の考え方
配色について、「ランディングページ集めました。」は、BtoBのLPでは青系が多数派で、競合がすべて青なら、キーカラーを外す判断も戦略になるとしています。ただし外すのはキーカラーだけにして、全体のトーンは信頼感を保つことが実務上のポイントとされています。同サイトの見立てであり、自社の競合のLPを並べて見ることが前提です。
参考にできる事例集と見るポイント
個別のLPの良し悪しは、読む人の事業や競合によって変わります。そのため本記事では特定のLPを評価せず、今回開いた3つの事例集・調査の見方を表にまとめます。
| 事例集・調査 | 規模 | 見るポイント |
|---|---|---|
| Squad beyondの記事(2026年1月26日) | SaaS LP事例5つ | ファーストビューで具体的な数字や時間を示す例、資料ダウンロードと無料トライアルの2つのCTAを用意する例などが説明されている |
| 「ランディングページ集めました。」の記事(2026年6月16日) | BtoB・SaaSのLP事例10つ | 対象業界と独自性を一言で宣言する例、配色の傾向を整理した表 |
| One Capitalの調査(2020年11月6日) | SaaS50社のファーストビュー | ファーストビューの要素を数えた集計(前の項目で引用)。調査結果は同社のAirtableでも公開されている |
事例集で見かけた「導入社数No.1」などの表示を真似する前に、自社で根拠を示せるかを確認してください(後の章)。
2サービスの役割を比較表で見る成果につながる設計のポイント|ベネフィット・CTA・フォーム・信頼
SaaS LPで成果を左右するのは、機能ではなく使った後の変化を書くこと、検討の段階に合わせたCTAを複数用意すること、入力の負担を減らすことの3点です。
機能ではなくベネフィットで書く
ベネフィットは、そのサービスを使うことで得られる具体的な変化のことです。ジオコードとSquad beyondの両方が、機能の羅列ではなくベネフィットを中心に伝えることを挙げています。書き換えの型を表にまとめます(文言は型を示す例文です)。
| 機能の書き方 | ベネフィットの書き方 |
|---|---|
| 「〇〇機能があります」 | 「〇〇担当者が、これまで手作業で行っていた作業を減らせます」 |
| 「ダッシュボードで可視化できます」 | 「どの案件が止まっているかを、会議の前に確認できます」 |
ベネフィットに数字を入れる場合は、根拠を示せる数字だけを使います。根拠の確認は、後の「公開前に確認したい表示」で扱います。
CTAは検討の段階に合わせて複数用意する
「お問い合わせ」だけでは、検討の初期の人には重くなります(「ランディングページ集めました。」の指摘)。温度感の違う入口を用意します。
| CTAの種類 | 向く読者の状態 | 確認すること |
|---|---|---|
| 資料ダウンロード | 検討の初期。社内で説明する材料がほしい | One Capitalの調査では、主な成果に置く企業が最多(22社)。資料の中身が、社内説明に使える内容になっているか |
| 無料トライアル | 触ってみて判断したい | ジオコードは、SaaSでは体験型の成果が重要としている。登録の手順が複雑だと離脱しやすい |
| デモ申込 | 導入前に説明を受けたい | 申込後の対応体制を決めているか |
| お問い合わせ | 検討が進み、個別に相談したい | 検討の初期の読者には重くなりやすい |
料金体系や提供形態によっては、無料トライアルを用意できない場合もあります。その場合も、資料ダウンロードとデモ申込のように、温度感の違う入口を2つ以上用意します。
フォームは項目を絞り、送信後の流れを書く
フォームの入力項目が多いと、途中で離脱しやすくなります。ジオコードは、入力項目を必要最小限に絞ることと、登録にかかる時間や手間が少ないことを示すことを挙げています。送信後に何が届くか(資料のメール、担当者からの連絡の有無)も、ボタンの近くに書いておくと不安を減らせます。個人情報の利用目的の表示は、後の章で扱います。
信頼を補う情報|稟議で使われる材料を揃える
「ランディングページ集めました。」は、導入企業のロゴを、BtoBで最も効く信頼要素の1つとして位置づけています。Squad beyondは、外部の評価サイトのバッジ、第三者機関による認証、実際の利用者の声を挙げ、中でも自社と近い業種や規模の導入事例が強い説得材料になるとしています。これらを載せるときは、出典と掲載の許可を確認します。第三者の評価や「No.1」の表示は、根拠が必要です(後の章)。
SaaS LPのよくある失敗と直し方
SaaS LPの失敗は、価値が伝わらない、使い方が想像できない、申込の入口が合っていない、根拠のない表示を載せる、の4つに大きく分けられます。
| よくある失敗 | 起きやすいこと | 直し方 |
|---|---|---|
| 機能の羅列になっている | 使った後の変化を想像できず、離脱される | 機能ごとに「誰の何がどう変わるか」を1文で足す |
| 利用イメージが分からない | 「自分でも使えそう」と思えず、トライアルに進まない | 実際の画面や操作の流れ、短い説明動画を載せる |
| フォームやトライアルの手順が重い | 入力の途中で離脱する | 項目を必要最小限にし、所要時間を示す |
| CTAが1種類、または訴求が弱い | 温度感の違う読者を取りこぼす | 資料ダウンロードとトライアルやデモを併置し、押す理由を書く |
| トライアル後の導線を考えていない | 申込はあるが、有料転換につながらない | 申込後の案内や初期の使い方を設計し、有料転換率まで見る |
| BtoC通販のような煽りを入れる | 稟議に使えない、社内に見せにくいLPに見える | 網羅性と誠実さを優先し、費用対効果や導入の手間を書く |
| 競合と見分けがつかない | 比較の段階で埋もれる | 競合のLPを並べて、訴求と配色を見比べる |
| 根拠のない数字や「No.1」を載せる | 表示の根拠を説明できず、取引先の信頼を損なうおそれがある | 調査の対象や方法を確認し、根拠資料を保管する(後の章) |
上の表の1行目から5行目は、ジオコードの失敗例を整理したものです。6行目は、BtoC流の煽りは稟議を通す立場の人には社内に見せられないLPになるという「ランディングページ集めました。」の指摘、7行目は同記事の配色の指摘にもとづきます。8行目は、後の章の公的資料にもとづく整理です。
SaaS LPのKPIと公開後の改善の進め方
SaaS LPのKPIは、CVRだけでなく、無料トライアル申込率と有料転換率まで続けて見ることが基本です。申込数が多くても、有料プランに移らなければ事業の成果になりません。
見る指標と、低いときに疑う箇所
| 指標 | 分かること | 低いときに疑う箇所 |
|---|---|---|
| CVR(コンバージョン率) | LPを訪れた人のうち、申込や資料請求に至った割合 | ファーストビューの価値の伝え方、CTAの訴求、フォームの入力負担 |
| 無料トライアル申込率(または資料ダウンロード率) | サービスを試したい、資料を見たいと思った割合 | ベネフィットの伝え方、利用イメージ、登録までの手順 |
| 有料転換率 | トライアルや資料請求の後、有料契約に進んだ割合 | LPが想定と違う読者を集めていないか、申込後の案内や初期の使い方 |
| 離脱率・スクロール率 | どこで読まれなくなっているか | ファーストビューの訴求、重要な情報が下に埋もれていないか |
指標は単体で判断せず、組み合わせて見ます。ジオコードは、CVRが高くても有料転換率が低い場合は、LPで集めている人と実際の顧客像にずれがある可能性を、反対にCVRが高くなくても有料転換率が高ければ、質の高いリードを獲得できている可能性を挙げています。
改善の進め方|数字を見て、仮説を立て、1つずつ変える
- アクセス解析やヒートマップで、どこで離脱しているかを調べる(スクロール率とボタンのクリック率を確認する)
- 離脱の理由の仮説を立て、変更は1回に1か所にする(例: ボタンの直前に導入の効果や利用者の声を置く)
- 良い結果が出たら反映し、なぜ差が出たかを分析して、ページ全体の見直しに生かす
Squad beyondも、数値で離脱箇所を特定し、仮説をもとにABテストを行い、結果を反映する流れを示しています。訪問数が少ないうちは、差が偶然かどうかを判断しにくいため、変更の記録を残して長めの期間で見ます。
計測ツールを入れるときの確認
ヒートマップなどの計測ツールを入れるときは、総務省の外部送信規律も確認します。総務省の外部送信規律のページでは、ホームページの運営のうち「自社商品等のオンライン販売」と「企業等のホームページ運営・個人ブログ」は、電気通信事業に該当しないため対象にならないと整理されています(2026年10月22日確認)。ただし、SaaSとして提供するサービス自体が、同ページの挙げる対象(メッセージ媒介サービス、SNS、検索サービスなど)に当たる場合は、LPとは別に確認が必要です。
改善は、直したい文言をすぐ直せる体制があるほど回しやすくなります。LPの更新を外部への依頼に頼っていると、1回の修正に時間がかかり、検証の回数が減ります。
公開前に確認したい表示・個人情報・メールのルール|公的資料で確認
本章は、公的資料にもとづく一般的な整理であり、法的助言ではありません。自社の表示や運用が法令に当たるかの判断は、法務担当者や弁護士などの専門家に確認してください。確認日は2026年10月22日です。今回開いた上位4本では、この論点の扱いはありませんでした。
SaaS LPの公開前に確認したいのは、No.1などの表示の根拠、導入事例の載せ方、申込フォームの利用目的、案内メールの同意の4点です。
「No.1」「満足度」などの表示|景品表示法
景品表示法5条は、事業者が自己の商品・役務の取引について、品質などを実際のものより著しく優良であると一般消費者に示す表示(1号)や、取引条件を実際のものより著しく有利と誤認させる表示(2号)を、一定の要件のもとで禁じています。7条2項は、内閣総理大臣が、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が提出しないときは不当表示とみなす、と定めています(景品表示法の条文)。
条文の対象は、一般消費者に対する表示です。法人向けのSaaS LPにどこまで及ぶかは、取引の実態によって判断が分かれうるため、ここでは断定しません。ただ、根拠のない数字や「No.1」を載せない運用は、法人向けでも信頼を守るうえで共通して使えます。
消費者庁は2024年9月26日に、「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました。概要資料では、No.1表示に関する措置命令が近時増えているとして、令和5年度のNo.1表示関連が13事業者(44事業者中)と記載されています。いずれの事案もイメージ調査を根拠に「顧客満足度No.1」等と表示していた、とされています。調査では、広告物368サンプルの収集と、消費者1,000名へのウェブアンケートも行われました。同資料は、合理的な根拠と認められるために次の4点を満たす必要があるとしています。
| 必要な4点 | 問題となる例(資料より) | LPで確認すること |
|---|---|---|
| 比較対象となる商品・サービスが適切に選定されている | 「○○サービス満足度No.1」と表示しているが、市場の主要なサービスの一部または全部が比較対象に含まれていない | 「No.1」と書くなら、比較に入れた競合の範囲を説明できるか |
| 調査対象者が適切に選定されている | 「顧客満足度No.1」と示しながら、実際は単なるイメージ調査のみを行っている | 調査の対象が実際の利用者か。表示の文言と合っているか |
| 調査が公平な方法で実施されている | 自社商品を選択肢の最上位に固定して誘導する。No.1になったタイミングで調査を終了する | 質問文、選択肢、調査期間を確認したか |
| 表示内容と調査結果が適切に対応している | イメージ調査の結果である旨を注記しても、「顧客満足度No.1」という表示内容と調査結果が対応していない | 表示の文言が、調査で測った指標と一致しているか |
同資料はまた、景品表示法22条1項にもとづく管理上の措置として、表示の根拠となる情報の確認、根拠情報の共有、担当者を定めること、根拠を事後的に確認できる措置などの徹底を挙げています。消費者が根拠を確認できるよう、調査方法の概要を表示物に記載することが望ましいともされています。LPでは、No.1などの注記に調査の概要を載せ、根拠資料を社内に保管しておく運用が、この考え方に沿います。
導入事例・口コミ・レビューの載せ方|ステルスマーケティング規制
消費者庁は、令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となるとしています。広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことが、いわゆるステルスマーケティングです。広告には、企業がインフルエンサーなどの第三者に依頼・指示するものも含まれ、規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。LPに、依頼して書いてもらったレビューや紹介記事を載せる場合は、この考え方に沿って、一般の感想のように見せず、事業者の表示だと分かる形にしておきます。
申込フォームと個人情報|個人情報保護法21条
個人情報保護法21条1項は、個人情報を取得した場合、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知または公表することを求めています。2項は、本人から直接書面(電磁的記録を含む)に記載された個人情報を取得する場合は、あらかじめ本人に利用目的を明示することを求めています(個人情報保護法の条文)。資料請求やトライアルの申込フォームで入力してもらう氏名やメールアドレスは、この2項の場面に当たる可能性があるため、送信ボタンの近くに利用目的を表示し、プライバシーポリシーへのリンクを置く運用が考えられます。
案内メールの同意|特定電子メール法
特定電子メール法2条2号は、営利を目的とする団体などが、自己または他人の営業につき広告または宣伝を行うための手段として送信する電子メールを「特定電子メール」と定めています。3条1項は、あらかじめ送信を求める旨や同意する旨を通知した者などを除き、特定電子メールを送信してはならないとし、3条2項は、同意を得た場合にその記録を保存することを求めています。4条は、送信者の氏名または名称などの表示を求めています(特定電子メール法の条文)。フォームで取得したアドレスにメルマガや製品の案内を送る予定がある場合は、資料の送付とは別に、案内メールの受け取りへの同意を確認する欄を設け、同意の記録を残す運用が考えられます。
公開前セルフチェック
ここまでの確認項目を、自社のLPに当てはめてみてください。
SaaS LPの公開前、確認の抜けはありませんか?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
LPの公開後に回す体制を決める|内製と外注の分け方
公開後の運用は、戦略と文言、制作と更新、計測と分析、表示の確認の4つの役割に分け、どこを自社で持つかを決めると回りやすくなります。
| 役割 | 内容 | 自社で持つかの考え方 |
|---|---|---|
| 戦略と文言 | 誰に何を伝えるか、ベネフィットの書き方 | 外部に頼む場合も、方針は自社で決める。自社のサービスを最も知っているのは自社 |
| 制作と更新 | デザイン、実装、公開後の修正 | 修正の頻度が高いほど、自社で更新できる基盤が改善の回転を助ける。外注する場合は、修正回数と納期を契約で確認する |
| 計測と分析 | アクセス解析、ヒートマップ、KPIの確認 | 見る指標と見る頻度を先に決める |
| 表示の確認 | No.1などの根拠、利用目的、同意の記録 | 公開前に法務担当者が確認する流れを決める |
LP制作を外注する場合の費用相場や依頼先の選び方は、LP制作の費用相場と依頼先を整理した記事で扱っています。CMSの選び方は、CMSのおすすめ比較の記事が参考になります。公開前の確認を挟む運用では、承認と公開の機能があるCMSだと流れを作りやすくなります。先に見た事例ページでは、導入企業が「承認」「公開」の機能を選定理由に挙げていました。
サービスの使い方を動画で伝える場合は、動画の更新担当も決めておきます。画面が変わるたびに動画も直す必要があるためです。撮影なしで動画を作成でき、ナレーション原稿の変更だけで修正できるとされるVideo Craftの資料は、次のボタンから確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaS LPとは何ですか?
A. SaaSの資料請求・無料トライアル・デモ申込などを促すために、1つのサービスと1つの目的に絞って作る縦長の1ページです。会社全体を紹介するコーポレートサイトと違い、1つのサービスの検討に必要な情報(課題、機能、事例、料金、導入の流れ、FAQ)を、CTAに向けて並べます。
Q2. SaaS LPとBtoB LPの違いは何ですか?
A. BtoBのLPは資料請求や問い合わせが主な成果ですが、SaaSでは無料トライアルやデモ申込といった体験型の成果が加わります。サブスクリプション型のため、申込数だけでなく、有料転換や継続利用につながるリードかどうかも見ます。
Q3. SaaS LPの基本構成を教えてください
A. ファーストビュー、ベネフィット、課題、機能・画面、導入事例・実績、料金、導入の流れ・サポート、FAQ、CTAの9要素を、検討する人の疑問が出る順に並べます。上位の解説記事の多くが、同じ要素を挙げています。
Q4. SaaS LPのデザイン事例はどこで見られますか?
A. 本記事の作成で開いた「ランディングページ集めました。」の「BtoB・SaaSのLPデザイン事例10選【2026年版】」などの事例集があります。事例を見るときは、ファーストビューの訴求、CTAの種類と位置、画面の見せ方、配色の4点を比べてください。載っている「No.1」などの表示を真似する前に、自社で根拠を示せるかを確認します。
Q5. 資料ダウンロードと無料トライアルは、どちらを置くべきですか?
A. どちらか一方に決めず、検討の段階に合わせて併置するのが基本です。One Capitalの2020年の調査では、SaaS50社のうち22社が、主な成果に資料ダウンロードを置いていました。無料トライアルを用意できない場合は、資料ダウンロードとデモ申込を組み合わせます。
Q6. SaaS LPで「No.1」と書くときの注意点は何ですか?
A. 消費者庁は2024年9月の実態調査で、比較対象の選定、調査対象者の選定、調査の公平性、表示内容と調査結果の対応の4点を、合理的な根拠の条件として示しています。調査の対象や方法を説明できる資料を保管し、判断に迷う場合は法務担当者や弁護士に確認してください。
SaaS LPで押さえたい7つのこと
- SaaS LPは、1つのサービスと1つの目的に絞った1ページとして作り、コーポレートサイトと役割を分けます
- 基本構成は9要素です。ファーストビューで、誰の何の課題を解決するかを言えているか確認します
- 機能ではなくベネフィットで書き、画面や動画で利用イメージを見せます
- CTAは検討の段階に合わせて複数用意し、フォームは入力項目を絞ります
- KPIはCVRだけでなく、トライアル申込率と有料転換率まで見て、1か所ずつ改善します
- 公開前に、No.1などの表示の根拠、申込フォームの利用目的、案内メールの同意を確認します
- LPを自社で更新できる基盤や、使い方を伝える動画の作り方を検討し、ClipkitやVideo Craftの資料を取り寄せて比べます
SaaS LPは、作って終わりではなく、数字を見て直し続けるページです。構成と設計を整えたうえで、公開前の確認と更新しやすい体制を決めておくことが、成果と信頼の両方につながります。
参考文献
- 総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト クラウドサービスの仕組み https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/service/07/
- ジオコード SaaS LPとは?成果を最大化する設計の基本と改善ポイントを解説 https://www.geo-code.co.jp/webdev/mag/saas-landing-page-basics/
- Squad beyond SaaSのLP制作・運用のメリットや基本構成、失敗しないポイントも解説 https://squadbeyond.com/blog/saas_lp/
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- e-Gov法令検索 不当景品類及び不当表示防止法 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- 消費者庁 実態調査(No.1表示に関する実態調査報告書) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey
- 消費者庁 No.1表示に関する実態調査報告書(概要) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/survey/assets/representation_cms216_240926_03.pdf
- 消費者庁 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing
- e-Gov法令検索 個人情報の保護に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057
- e-Gov法令検索 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0100000026
- 総務省 外部送信規律 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/gaibusoushin_kiritsu.html
- Clipkit 導入事例(デジタルマーケティングイノベーションラボ株式会社) https://clipkit.co/case/digital-marketing-innovation-lab
- Clipkitの商品ページ(ビジネスコンシェルジュ) https://www.onamae.com/business/product/317066/
- Video Craftの商品ページ(ビジネスコンシェルジュ) https://www.onamae.com/business/product/270075/
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