業務委託契約と請負契約の違いとは?報酬・責任・解除を比較表で整理

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  • 請負は業務委託の一種で完成を約束
  • 請負か準委任かは題名でなく中身で決まる
  • 指揮命令と60日払いも類型を問わず確認

業務委託契約と請負契約の違いは、請負契約が業務委託契約の一種で、仕事の完成を約束し、完成した結果に対して報酬を払う点にあります。民法に「業務委託契約」という名前の契約類型はなく、実際には請負、委任、準委任のいずれか、またはそれらの性質を併せ持つ契約として扱われるため、請負契約と比べるときは、仕事の完成を約束しない準委任契約との違いが論点になります。この記事では、報酬の払い方、受託者の責任、途中の解除、再委託、収入印紙を比較表で整理し、自社の取引を請負と準委任のどちらで結ぶかを決める順序、偽装請負や労働者性の境目、フリーランス法で見直す点までを、民法・厚生労働省・国税庁・公正取引委員会の一次情報をもとに解説します。

請負・準委任の契約まわりの状況から、合うサービスの一例を見てみる

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目次

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  1. 業務委託契約と請負契約の違い|請負は業務委託の一種で、仕事の完成を約束する
  2. 請負契約とは|仕事の完成、引渡しと同時の報酬、契約不適合への責任
  3. 委任・準委任契約とは|事務の処理を任せる契約と、報酬の払い方2通り
  4. 請負か準委任か|契約の題名ではなく「何を約束したか」で決める判断の順序
  5. 請負と準委任のメリット・デメリット|発注する側と受託する側の違い
  6. 請負でも準委任でも、指揮命令をすると問題になる|労働者性と偽装請負
  7. 請負と準委任で変わる契約書の条項と、収入印紙・電子契約
  8. フリーランス法・取適法は、請負か準委任かに関係なく適用される
  9. 請負・準委任の契約を結んだ後の管理|期限が重なる契約をどう把握するか
  10. よくある質問(FAQ)
  11. 請負契約と業務委託契約の違いで押さえたい6つのこと
  12. 参考文献

業務委託契約と請負契約の違い|請負は業務委託の一種で、仕事の完成を約束する

業務委託契約と請負契約の違いは、請負契約が業務委託契約の一種であり、請負は仕事の完成を約束して、その結果に報酬を払う点にあります。

民法には、売買や賃貸借のように「業務委託契約」という名前で定められた契約の類型はありません。実際の業務委託契約は、請負(第632条)、委任(第643条)、準委任(第656条)のいずれか、またはそれらの性質を併せ持つ契約として扱われます(e-Gov法令検索 民法)。そのため、業務委託契約と請負契約の違いを調べるとき、実際に比べているのは、請負と、請負ではない準委任などの契約です。契約書の題名が「業務委託契約書」でも、何を約束する契約なのかによって、報酬の払い方、受託者の責任、途中の解除が変わります。

次の表は、請負契約と準委任契約について、民法の条文と国税庁の説明に書かれている内容を並べたものです。

項目請負契約準委任契約
民法の条文第632条第656条(委任の規定を準用。法律行為を任せる委任は第643条)
約束することある仕事を完成すること法律行為でない事務の処理を任せること
報酬の考え方仕事の結果に対して支払う(第632条)。目的物の引渡しと同時に支払う(第633条)特約がなければ請求できず(第648条第1項)、履行した後に請求する(同条第2項)。成果に対して払う約束もできる(第648条の2)
受託者の責任完成させる義務を負う。引き渡した結果が契約の内容に適合しないときは、追完、報酬の減額、損害賠償、解除の対象になる(第559条、第562条から第564条)。注文者は不適合を知った時から1年以内の通知が必要(第637条)善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う(第644条)。委任者の請求があれば状況を報告する(第645条)
途中の解除完成前なら、注文者は損害を賠償して解除できる(第641条)各当事者がいつでも解除できる。相手方に不利な時期の解除などは損害賠償が必要(第651条)
第三者に任せること(再委託)請負の条文(第632条から第642条)には、第三者に任せることを制限する定めはなく、契約書で決める委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、第三者に任せられない(第644条の2)
収入印紙請負に関する契約書は第2号文書として扱われる(国税庁 No.7102)準委任の内容だけの契約書は、課税物件表の20種類にあたらなければ課税されない(国税庁 No.7100)

請負の契約では、契約書のほかに、注文書、注文請書、検収の書類と、案件ごとに取引書類が増えます。国税庁は、工事請負契約書や工事注文請書を、請負に関する契約書として第2号文書に分類しています(国税庁 No.7102 請負に関する契約書)。書類を電子化して案件ごとに管理する方法もあるため、契約書と取引書類の運用を見直したい会社向けに、電子契約・契約書管理の3サービスを、役割の違いで比べます。

請負・準委任の契約書と取引書類を見直す3サービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

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サービス Biz Connection Contract One SMBCクラウドサイン
向いている会社 請負の契約書、注文書、注文請書などの取引書類を、案件ごとにまとめて管理したい会社 紙・PDF・電子で結んだ契約書が混在し、契約期間の把握や検索をまとめて行いたい会社 契約の締結から管理までをオンラインで完結させ、押印・郵送・返送待ちの手間を減らしたい会社
特徴 企業間取引の書類を電子化して一元管理するBtoBプロセスプラットフォーム。電子帳簿保存法に対応します。 契約書をAI-OCRと専門スタッフの確認でデータ化して一元管理。全文検索や、契約期限が近づいたときのアラート通知を備えます。 弁護士監修のクラウド型電子契約サービス。契約締結から契約書管理まで行えます。
注意したい点 詳しい料金やプランについては、問い合わせが必要です。 導入時に、業務フローの見直しが必要な場合があります。 フォルダ管理の自由度が低い点が、商品ページで注意点として挙げられています。
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「発注請書は紙の書類でやり取りするケースが多く、書類管理の業務負荷が過大だったほか、印紙の貼り忘れによる手戻りも頻繁に発生していた。」

株式会社TS東京(導入事例より)(Biz Connectionの導入事例)

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

請負契約とは|仕事の完成、引渡しと同時の報酬、契約不適合への責任

請負契約とは、請負人がある仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約です(民法第632条)。

請負というと、建設工事や製造のように形のあるものを思い浮かべますが、国税庁は、請負には警備、機械保守、清掃などの役務の提供のように、無形の結果を目的とするものも含まれるとしています(国税庁 No.7102 請負に関する契約書)。作業を行ってもらう契約だからといって、すべてが準委任になるわけではなく、結果の完成を約束しているかどうかが分かれ目です。

場面民法の定め契約書で決めておくこと
報酬を払う時期仕事の目的物の引渡しと同時に払う(第633条)。物の引渡しを要しないときは、約した労働を終わった後に請求する第624条第1項を準用する(同条ただし書)検収の方法と期間、支払期日
完成できなかった、または完成前に解除されたとき請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付で注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなし、利益の割合に応じて報酬を請求できる(第634条)出来高の算定方法、精算の手順
引き渡された結果が契約と違うとき追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求、解除ができる(第559条、第562条から第564条)。注文者が供した材料の性質や、与えた指図によって生じた不適合は、原則として請求できない(第636条)修正の回数と範囲、減額や再作業の手順
不適合の通知の期限注文者が不適合を知った時から1年以内に通知しないと、請求できなくなる。引渡し時に請負人が不適合を知り、または重大な過失で知らなかったときは、この期限は適用されない(第637条)通知期間を民法の原則のままにするか、別に定めるか
完成前の解除請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して解除できる(第641条)解除の条件、予告の期間、解除時の精算

第636条の「注文者の指図」は、請負の発注者が仕様や作業の進め方を示す場面に関わります。請負人がその指図を不適当と知りながら告げなかったときは請求できますが、そうでなければ、指図によって生じた不適合は注文者の側の事情になります。仕様や指図を出すときは、その内容を書面や記録に残します。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

委任・準委任契約とは|事務の処理を任せる契約と、報酬の払い方2通り

準委任契約とは、法律行為でない事務の処理を任せる契約で、委任の規定が準用されます(民法第656条)。

委任は、契約の締結や訴訟の追行のような法律行為を任せる契約(第643条)で、調査、データ入力、事務処理、システムの運用のように、法律行為でない事務を任せるのが準委任です。請負にあたらない業務委託契約は、この準委任(または委任)にあたるかどうかを確認します。

準委任の受託者が負うのは、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務(第644条)で、請負のように結果の完成そのものを約束するものではありません。委任者の請求があるときはいつでも事務の処理の状況を報告し、終了後は遅滞なく経過と結果を報告する義務も負います(第645条)。委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、第三者に任せることもできません(第644条の2)。

準委任の報酬は、履行に対して払う型と、成果に対して払う型がある

民法第648条は、受任者は特約がなければ報酬を請求できず、報酬を受けるべき場合も、委任事務を履行した後でなければ請求できないと定めています。委任者の責めに帰することができない事由で履行できなくなったときや、履行の中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できます(同条第3項)。一方、第648条の2は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うと約した場合に、成果の引渡しが必要なときは引渡しと同時に払うと定め、第634条を準用しています。同じ準委任でも、履行に払うのか、成果に払うのかで、途中で終わったときの精算が変わります。

IPAが公開する「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」でも、見直しのポイントとして、請負契約・準委任契約における報酬請求権のうち、成果報酬型準委任契約の位置づけと、中途解除の場合の報酬請求権が挙げられています(IPA 情報システム・モデル取引・契約書(第二版))。契約書には、どちらの型で払うのかを書いておきます。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

請負か準委任か|契約の題名ではなく「何を約束したか」で決める判断の順序

請負か準委任かは、契約書の題名ではなく、受託者が仕事の完成を約束したのか、事務の処理そのものを約束したのかで決まります。

自社の取引がどちらにあたるかは、次の順序で確認します。

  1. 受託者に約束させたいのは、納品物や結果の完成か、作業を行うこと自体か。仕様と納期で説明できる完成物があるなら、請負の候補です。
  2. 期待した結果が出なかったとき、報酬を払うか。結果に対して払う約束なら請負、履行した分に払う約束なら準委任の型です。
  3. 結果が契約と違ったとき、受託者に直す義務や報酬の減額を負わせるか。負わせるなら請負、注意を尽くして処理する義務にとどめるなら準委任の型です。
  4. 完成前や期間中の解除を、請負の第641条の型(注文者が損害を賠償して解除)にするか、委任の第651条の型(各当事者がいつでも解除)にするかを決める。
  5. 1つの契約に両方の性質が混ざるときは、業務ごとに分けて、それぞれの類型と報酬の払い方を書く。

業務の性格ごとの考え方の目安は、次のとおりです。実際の類型は契約の内容全体で判断されるため、あくまで確認の入口として使います。

業務の性格(目安)類型の考え方契約書に書くこと
納品物の完成を約束する(完成物と検収があり、不適合があれば直す)請負の性格が強い仕様、納期、検収、不適合の通知期間、引渡しと同時の支払
役務の提供でも、結果を約束する(清掃、警備、機械保守など)請負に含まれる(国税庁 No.7102)何をもって結果とするか、完了の確認方法
作業の遂行を約束する(調査、相談、事務処理、運用など)準委任の性格が強い作業の範囲と期間、報告の頻度、履行の割合で払うか期間単位で払うか
作業を任せつつ、成果に対して報酬を払う成果報酬型の準委任(第648条の2)成果の定義、引渡しの要否、成果が得られなかったときの精算

題名ではなく実態で判断される場面は3つある

契約の題名が「業務委託契約書」であっても、類型や取扱いは名前では決まりません。次の3つの場面では、公的機関が、形式や名称ではなく実態や内容で判断すると説明しています。

  1. 印紙税:課税文書にあたるかどうかは、文書の名称や呼称、形式的な記載文言によるのではなく、記載されている文言の実質的な意味を汲み取って判断するとされています(国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断)。
  2. 労働者性:労働基準法の労働者にあたるかどうかは、請負契約や委任契約といった契約の形式や名称にかかわらず、個々の働き方の実態に基づいて判断されるとされています(厚生労働省 労働基準法における労働者性判断に係る参考資料集)。
  3. 労働者派遣との区分:37号告示は、請負の形式による契約で業務を行わせる事業主でも、第2条の各号にすべて該当する場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主とすると定めています(厚生労働省 37号告示)。

1通の契約書に請負の条項と準委任の条項が混ざっていることもあります。題名で決めつけず、条項ごとに、完成を約束しているのか、事務の処理を約束しているのかを読み分けます。

業務請負・製造請負・委託契約など、似た言葉の整理

「業務請負」「製造請負」は、請負契約で業務や製造を行うことを指す呼び方で、民法上の類型は請負です。「委託契約」「業務委託契約」は、請負・委任・準委任を含む呼び方で、民法に同じ名前の類型はありません。言葉が違っても、約束の中身で類型が決まる点は同じです。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

請負と準委任のメリット・デメリット|発注する側と受託する側の違い

請負は結果に対して払う安心がある反面、完成前の変更や進め方への関与に制約があり、準委任は柔軟に任せられる反面、成果の完成までは約束されません。

立場請負契約準委任契約
発注する側のメリット完成した結果に対して報酬を払う(第632条、第633条)。引き渡された結果が契約に適合しないときは、追完、減額、損害賠償、解除を求められる(第559条、第562条から第564条)結果が事前に決めきれない業務も任せられる。受託者には善管注意義務があり、請求すれば状況の報告を受けられる(第644条、第645条)
発注する側のデメリット作業者に直接指示すると偽装請負と判断される場合がある。完成前の仕様変更は、契約書で扱いを決めていないと食い違いやすい成果の完成までは約束されない。成果物が必要なら、成果報酬型にするか請負にする。受託者もいつでも解除できる(第651条)
受託する側のメリット完成させれば、その結果に対する報酬を請求できる(第632条、第633条)履行した分に応じて報酬を請求できる(第648条第3項)。結果の完成そのものの責任は負わない
受託する側のデメリット完成の責任と、契約不適合への責任を負う(通知期間は原則1年、第637条)。完成前に注文者から解除されうる(第641条)報酬は特約がなければ請求できない(第648条第1項)。委任者がいつでも解除でき(第651条)、収入が途切れることがある

「業務委託はやめたほうがいい」と言われる理由は、立場と類型によって変わります。受託する側は、労働者にあたらない限り労働基準法の保護を前提にできず、収入や手続を自分で管理します。発注する側は、進め方を細かく指示できず、指示が過ぎると偽装請負が問題になります。どちらの立場でも、契約書で類型と条件を決めてから判断します。

請負でも準委任でも、指揮命令をすると問題になる|労働者性と偽装請負

業務委託契約でも、受託者が発注者の指揮監督下で働いていれば労働者と判断される場合があり、請負で作業者に直接指示をすれば、偽装請負と判断される場合があります。

労働基準法第9条は、労働者を、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者と定めています。厚生労働省の参考資料集は、指揮監督下の労働であること、報酬が指揮監督下の労働の対価として支払われているかどうかを、使用従属性の判断の基準としています。請負契約か委任契約かといった契約の形式や名称では決まりません。

請負で、受託事業者の作業者に発注者が指示を出すと、労働者派遣にあたるかが問題になります。労働者派遣は、自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させることです(労働者派遣法第2条第1号)。契約の名称が準委任でも、受託者の労働者が発注者の指揮命令を受けて働くなら、この定義にあてはまるかを確認します。厚生労働省の疑義応答集は、発注者の関わり方を、次のように整理しています(厚生労働省 37号告示関係疑義応答集)。

発注者の行為疑義応答集の考え方
請負労働者と、業務に関係のない日常的な会話をする(問1)指揮命令を行ったことにはならず、偽装請負にはあたらない
欠陥が出たため、請負事業主に作業工程の見直しや、作り直しを要求する(問2)請負契約の当事者間の要求や注文であり、労働者派遣には該当せず、偽装請負にはあたらない
請負労働者に直接、作業工程の変更や、再製作を指示する(問2)直接の指揮命令にあたり、偽装請負と判断される
作業の順序や方法を指示する。作業の内容、順序、方法を文書で詳細に示し、そのとおりに行わせる(問7)請負事業主が自ら管理していないことになり、偽装請負と判断される

発注者が請負事業主に注文や要求をすることと、請負労働者に直接指示することは、別のことです。業務委託の運用で、受託者の作業者に日々の指示や出退勤の管理をしていないかを点検します。BPOの契約で請負と準委任をどう選ぶかはBPOと業務委託の違いとは?請負・準委任の契約類型と偽装請負の判断基準で、業務請負の勤怠管理の考え方は業務委託・業務請負の勤怠管理とは|契約の種類や注意点について解説で解説しています。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

請負と準委任で変わる契約書の条項と、収入印紙・電子契約

契約書は、請負なら仕様・検収・不適合の通知期間、準委任なら作業の範囲・報告・報酬の払い方を中心に書き分け、収入印紙は題名ではなく内容で判断します。

条項請負契約で書くこと準委任契約で書くこと
委託内容成果物の仕様、数量、納期作業の範囲、期間、実施する体制
報酬金額、引渡しや検収後の支払期日期間単位、履行の割合、成果に対する報酬のどれか。支払期日
検収と報告検収の方法と期間、修正の範囲作業状況や成果の報告の頻度と形式(第645条)
品質の責任契約不適合の通知期間、追完や減額の手順善管注意義務の水準。成果の完成を約束しないこと
再委託認めるか、認める場合の条件と責任委任者の許諾が要る(第644条の2)。許諾の方法
途中の解除完成前の解除と出来高の精算(第641条、第634条)解除の予告と、履行の割合に応じた精算(第651条、第648条第3項)

知的財産権、秘密保持、契約期間といった、どちらの類型にも共通する条項は、業務委託契約とは?請負・準委任の種類と雇用・派遣との違いで解説しています。ひな形の選び方は業務委託契約書のテンプレートを参照してください。

収入印紙は題名ではなく内容で決まる

国税庁は、課税文書にあたるかどうかを、文書の名称や形式的な文言ではなく、記載された内容の実質的な意味で判断するとしています(国税庁 No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断)。業務委託契約書は、中身が請負にあたるか、基本契約にあたるかで区分が変わります。

契約書の内容印紙税の区分国税庁の説明
仕事の完成を約束する請負の契約書、請負の注文請書第2号文書(請負に関する契約書)工事請負契約書、工事注文請書などが該当する。契約金額に応じた税額で、1万円未満は非課税(No.7102)
営業者間で継続する複数の取引の基本的な取引条件を定める基本契約書第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)の場合がある税額は1通4,000円。契約期間が3か月以内で、更新の定めのないものは除く(No.7104)
事務の処理を任せる準委任の内容だけの契約書課税物件表の20種類のいずれにもあたらない場合は、課税されない課税されるのは、課税物件表に掲げる20種類の文書に限られる(No.7100)

1通に請負と準委任の内容が含まれる場合など、判断に迷うときは、税務署に確認します。

電子契約で結ぶと、印紙税はどうなるか

国税庁の質疑応答事例は、建設工事の請負で、書面の注文請書の作成に代えて、受注する旨や請負内容を記録した電磁的記録に電子署名を付して電子メールで送信する場合、電磁的記録は課税物件表に掲げられた文書に含まれず、印紙税は課税されないと回答しています(国税庁 質疑応答事例 取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い)。この事例は照会の事実関係を前提とした一般的な回答のため、自社の取引に当てはめるときは、税務署や専門家に確認します。電子署名法第3条は、本人の電子署名が行われている電磁的記録は、真正に成立したものと推定すると定めています(e-Gov法令検索 電子署名法)。業務委託契約書を電子契約で結べるかどうかは、業務委託契約書は電子契約できる?メリットや締結までのやり方で解説しています。

請負の契約書や注文請書の押印・郵送・返送待ちを省いて、オンラインで結びたい場合の一例が、SMBCクラウドサイン株式会社の「SMBCクラウドサイン」です。商品ページでは、日本の法律に特化した弁護士監修のクラウド型電子契約サービスで、契約締結から契約書管理まで行えると紹介されています。メガバンクの厳格なセキュリティ基準で定期モニタリングされているとも紹介されています。注意点として、フォルダ管理の自由度が低い点が挙げられています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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自社の契約書と書類の運用を点検する

請負と準委任の契約が増えるほど、類型の判断、印紙の確認、期限の把握が担当者の経験に頼りやすくなります。次のセルフチェックで、自社の運用を点検してみてください。

請負・準委任の契約書と書類の運用、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

フリーランス法・取適法は、請負か準委任かに関係なく適用される

フリーランス法の対象になるかは、請負か準委任かではなく、相手が特定受託事業者か、業務委託にあたる内容かで決まります(第2条)。

フリーランス法第2条は、特定受託事業者を、業務委託の相手方である事業者のうち、従業員を使用しない個人、または、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ従業員を使用しない法人と定めています。業務委託は、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造または情報成果物の作成を委託すること、または役務の提供を委託することで(同条第3項)、民法の請負や準委任といった類型では区切られていません(e-Gov法令検索 フリーランス法)。請負でも準委任でも、内容がこの定義にあたれば対象になります。

発注側の義務内容請負・準委任で注意する点
取引条件の明示(第3条)業務委託をしたら直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電磁的方法で明示する請負は成果物の仕様と納期、準委任は作業の範囲と期間を、明示事項に入れる
報酬の支払期日(第4条)給付の内容について検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日(役務の提供は提供を受けた日)から起算して60日以内に定める請負で検収後払いにしても、60日は検収の完了時ではなく、受領した日から数える
禁止行為(第5条)政令で定める期間以上の業務委託では、受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用の強制などが禁止される。利益の提供の要請や、不当な給付内容の変更ややり直しも禁止される請負の「やり直し」の要求は、受託者の責めに帰すべき事由がない場合に問題になる
解除の予告(第16条)継続的業務委託の解除や不更新は、少なくとも30日前までに予告する。受託者の請求があれば、理由を開示する準委任の継続契約を更新しないときも、継続的業務委託にあたれば対象になる

各義務の対象期間や、公正取引委員会の考え方は、公正取引委員会 フリーランス法特設サイトで確認できます。

中小受託取引適正化法(取適法)も、請負か準委任かではなく、取引の内容で対象を定めています。第2条は、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託の5つを定めており、資本金などの基準とあわせて、自社の取引が対象にあたるかを確認します(e-Gov法令検索 取適法、公正取引委員会 取適法Q&A)。表の内容を含め、フリーランス法の義務の全体像は、業務委託契約とは?請負・準委任の種類と雇用・派遣との違いでも整理しています。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や紛争については、弁護士などの専門家にご相談ください。

請負・準委任の契約を結んだ後の管理|期限が重なる契約をどう把握するか

請負と準委任の契約は、契約期間、検収、不適合の通知期限、支払期日と、確認する期限が重なるため、契約ごとに台帳で把握します。

台帳に残す項目見落としたときの困りごと関連する定め
契約期間と自動更新の有無気づかないまま更新される。期間が切れたまま業務が続き、契約書のない状態になる契約書の期間・更新条項
検収の期限と、不適合の通知の期限通知が遅れ、追完や減額を求められなくなる民法第637条(知った時から1年以内)
報酬の支払期日受領から60日を超え、フリーランス法に反する状態になるフリーランス法第4条
解除の予告期間継続的業務委託を、30日前の予告なく更新しないフリーランス法第16条
稼働や成果の報告の頻度報告の記録がなく、履行の状況を示せない民法第645条

件数が少ないうちは、台帳と共有フォルダで管理できます。契約書が増え、担当者が異動すると、紙やPDFが部署ごとに分かれ、期限の確認が属人化します。契約書を一元管理し、期限が近づいたときに通知を受け取る仕組みがあれば、更新や通知の抜け漏れを減らせます。

紙・PDF・電子契約で結んだ契約書を、まとめて検索し、契約期間の期限を把握したい場合の一例が、Sansan株式会社の「Contract One」です。商品ページでは、紙・PDF・電子契約といった契約書を、AI-OCRと専門スタッフの確認によってデータ化して一元管理でき、データ化した契約情報は全文検索が可能で、契約期限が近づいた際のアラート通知や契約の自動更新設定も備えると紹介されています。注意点として、導入時に業務フローの見直しが必要な場合があるとされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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  • あらゆる契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
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  • 導入時、業務フローの見直しが必要な場合も

導入事例では、イオンマーケティングが、創業以来の紙の契約書をすべてデータ化して一元管理し、期限通知機能で契約更新時期が近づくと自動でアラートメールを発信することで、担当者の異動や退職があっても更新期限を検知でき、意図しない契約更新や更新漏れのリスクを回避できるようになったと紹介されています(Sansan株式会社のプレスリリース)。

契約の件数が増える前に、期間と期限の把握を仕組みにしておくと、後から過去の契約書を探し直す手間を避けられます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 業務委託契約と請負契約は何が違いますか?

A. 請負契約は業務委託契約の一種で、仕事の完成を約束し、完成した結果に対して報酬を払う契約です。業務委託契約は請負・委任・準委任を含む広い呼び方で、請負ではない準委任は、事務の処理を任せ、履行に対して報酬を払うのが基本です。報酬の払い方、受託者の責任、途中の解除、収入印紙の扱いが変わります。

Q2. 委託契約書と請負契約書の違いは何ですか?

A. 民法に「委託契約」という名前の類型はなく、委託契約書や業務委託契約書は、請負・委任・準委任を含む契約書の呼び方です。請負契約書は、仕事の完成と報酬を定めた請負の契約書で、収入印紙は第2号文書として扱われます。題名だけでなく、記載された内容で類型や印紙の要否が判断されます。

Q3. 請負契約と委任契約の違いは何ですか?

A. 請負は仕事の完成を約束して結果に報酬を払い、委任は法律行為を任せて事務の処理に報酬を払う契約です。受託者は、請負では完成と契約不適合への責任を負い、委任では善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います。法律行為でない事務を任せるのは準委任で、委任の規定が準用されます。

Q4. 業務委託はやめたほうがいい理由は何ですか?

A. 一概にやめたほうがよいとはいえず、立場と契約の類型で変わります。受託する側は、労働者にあたらない限り労働基準法の保護を前提にできず、準委任では解除で収入が途切れることもあります。発注する側は、進め方を細かく指示できず、指示が過ぎると偽装請負が問題になります。契約書で類型と条件を決めてから判断します。

Q5. 業務委託でやってはいけないことは何ですか?

A. 受託者や作業者への直接の指揮命令が代表例で、労働者性や偽装請負が問題になります。相手がフリーランス法の特定受託事業者なら、取引条件の書面などでの明示、受領から60日以内の支払に加え、一定期間以上の業務委託では、受領拒否や報酬の減額などの禁止行為にも注意が必要です。契約書の題名だけで類型を決めることも避けます。

Q6. 請負契約と準委任契約は、どちらで契約すればよいですか?

A. 仕様と納期で説明できる成果物の完成を求めるなら請負、作業の遂行や継続的な運用を任せるなら準委任が基本です。成果に払う準委任もあるため、報酬を結果に払うのか履行に払うのか、結果が契約と違ったときの扱い、途中の解除を決めて契約書に書きます。1つの契約に両方が混ざる場合は業務ごとに分け、迷うときは弁護士に確認します。

請負契約と業務委託契約の違いで押さえたい6つのこと

  1. 業務委託契約は請負・委任・準委任を含む呼び方で、請負は仕事の完成を約束して、その結果に報酬を払う契約です。
  2. 報酬、受託者の責任、途中の解除、再委託、収入印紙は、請負と準委任で民法や国税庁の説明が違います。
  3. 請負か準委任かは、題名ではなく、完成を約束したか、報酬を結果に払うか、結果が違ったときの責任をどうするかで決めます。
  4. 印紙税、労働者性、偽装請負は、契約の題名ではなく実態や内容で判断されます。作業者への直接の指揮命令は避けます。
  5. フリーランス法の対象になるかは、請負か準委任かではなく、相手と業務の内容で決まります。取引条件の明示と、受領から60日以内の支払を確認します。
  6. 注文書や契約書、期限の管理が重いときは、電子契約や契約書管理サービスの資料を取り寄せ、自社に合うかを比べます。

参考文献

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