SaaSへのAIの影響とは?利用企業の仕事・運用で変わる4つのこと
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- 利用企業に起きる4つの変化がわかる
- 部署ごとの影響と仕事の変わり方がわかる
- 運用で決める4点と社内の備えがわかる
SaaSへのAIの影響とは、SaaSにAI機能が組み込まれることで、担当者の作業が「画面を操作して入力する」形から「AIに任せて結果を確認する」形に広がり、利用企業が入れてよい情報の基準、結果の確認、機能の追加への追従、社内教育を見直す必要が出ることです。Gartnerは2026年末までに企業向けアプリケーションの40%がタスク特化型のAIエージェントと統合されると予測し、IDCはAIエージェントがSaaSを消すのではなく、データの土台を拡張するとみています。本記事は、市場やベンダーの行方ではなく、SaaSを使う側の社内で何が変わるかに絞り、総務省の白書、IDC、AI事業者ガイドラインをもとに、部署別の影響、運用で決める4点、社内の備えを整理します。内容は2026年10月22日時点の公開情報です。
SaaSにAIが入る前に、社内で次に整えたいことを診断
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SaaSへのAIの影響とは?利用企業に起きる4つの変化
SaaSへのAIの影響とは、SaaSにAI機能が入ることで、利用企業の機能の使い方・担当者の仕事・社内の運用・契約の4つが変わることです。
「影響」という言葉は、ベンダーの株価や市場の話として語られることが多い一方、SaaSを使っている会社にとっては、来月の業務がどう変わるかのほうが切実です。本記事では、利用企業の目線で影響を4つに分けて整理します(本記事の整理)。ベンダー・市場の側の議論は後半のH2で要点だけ触れ、詳しい記事へ案内します。
影響を4つに分けて見る(本記事の整理)
| 変化 | 利用企業の現場で起きること | 本記事での扱い |
|---|---|---|
| 1. 機能の使い方 | 画面を操作して入力する形に、AIへ指示して下書き・要約・分類・検索を任せる形が加わる。複数のシステムをまたいでAIが処理する形も予測されている(IDCは「クロスアプリケーションエージェント」という段階を示している) | H2「部署ごとに見るSaaSへのAIの影響」 |
| 2. 担当者の仕事 | 入力や転記の作業が減り、AIの出力を確認して例外を判断する作業が増える | 同上 |
| 3. 社内の運用 | 入れてよい情報の基準、結果を確認する担当、機能の追加・変更への追従、社内教育を決める必要が出る | H2「SaaSのAIで運用が変わる4点」 |
| 4. 契約・価格 | 席数(ユーザー数)ごとの課金から、利用量や成果に連動する課金へ移る流れが予測されている | H2「市場・ベンダー側の影響は要点だけ」と関連記事 |
背景の数字|予測であることに注意
Gartnerは2025年8月26日の発表で、2026年末までにエンタープライズアプリケーションの40%がタスク特化型のAIエージェントと統合されるとし、2025年は5%未満としています。IDCのブログ(2026年)では、世界の企業向けアプリケーション市場は約7,000億ドルに迫り、2026年上半期まで3年連続で2桁成長(約13%)とされ、AIエージェントがSaaSを消滅させるという見方は分析として誤りと退けられています。どちらも世界を対象にした予測や分析で、日本の個々の会社の実際の導入は、業務や契約によって差があります。
つまり、利用企業にとっての現実的な見方は、SaaSが急に使えなくなるというより、今使っているSaaSの中にAI機能が入ってくる、というものです(本記事の読み取り)。そのとき、SaaSの設定だけでなく、使う人の側の決まりごとが追いつくかどうかが問われます。
AI機能が増えるほど、入れてよい情報の基準を全員に
AI機能が使えるSaaSが増えると、どの画面に何を入れてよいかの判断が、人によって、部署によってばらつきます。総務省の白書でも、日本の企業が生成AIの活用で懸念するリスクの1位は、社内情報の漏洩などのセキュリティリスクでした(次のH2で整理します)。入れてよい情報の基準を全員に同じ形で伝えたい場合の一例が、株式会社Oysterが提供するOneCompliance(ワンコンプライアンス)です。商品ページでは、ダッシュボードや自動リマインダーで研修の実施・管理の工数を減らせること、法務・労務・情報領域のコンテンツが自動で更新されることが特徴として紹介されています。公式サイトのコース一覧には「情報セキュリティ」「個人情報保護法」「著作権」などがあります(2026年10月22日確認)が、SaaSのAI機能の使い方に特化した専用のコースは一覧にありません。費用は受講人数に応じた課金体系のため、問い合わせでの確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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日本企業の現在地|生成AIの活用は進み、社内の備えは追いついていない
日本企業は、生成AIの活用方針ありが68.9%、何らかの業務で利用が86.4%に達する一方、組織的な取組がない企業が27.0%、全社的な指針を整えた企業は41.1%です。
総務省の令和8年版情報通信白書(2026年7月)が示す、2025年度の企業向け調査の結果です。調査の対象は生成AI全般で、SaaSのAI機能に限った数字ではありません。ただし、SaaSに入るAI機能も、同じ社内の備えの上で使われるため、利用企業の現在地を知る目安になります(本記事の読み取り)。
| 項目 | 日本の企業の結果(総務省 令和8年版情報通信白書) | 本記事での読み方 |
|---|---|---|
| 活用方針 | 「積極的に活用する」「活用する領域を限定して利用する」の合計は68.9%(2024年度は49.7%)。大企業74.0%、中小企業58.1% | 方針を持つ企業は1年で大きく増えた。中小企業はまだ差がある |
| 業務での利用 | 自社の何らかの業務で生成AIを利用している割合は86.4% | 利用は広がっており、SaaSのAI機能も例外ではない |
| 利用の多い業務 | 「議事録・メール作成補助」が約7割で最も高く、「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割 | 定型の文章作成や問い合わせ対応から広がっている |
| 組織的な取組 | 全社横断・部署単位・個人業務単位で組織的に取り組む企業は65.6%。「組織的な取組はない」は27.0%で、中小企業で特に高い | 使う人は増えても、組織として決めていない企業が約3割ある |
| 懸念するリスク | 最も高いのは「社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある」。次いで「出力結果の精度に問題がある」「著作権等の権利を侵害する可能性がある」 | 入れる情報の基準と、出力の確認が最初の論点になる |
| リスク対策 | 「全社的な指針やガイドラインを整備している」が41.1%で最多。他の3か国では、導入前の専門的な審査や導入後の定期的な評価・検証の割合が日本より高い | 指針はあっても、導入前後の審査・評価まで回している企業は少なめ |
| 生じうる影響 | 「作業時間の短縮などによる業務の効率化」が61.6%で最も高く、「製品・サービスの質の向上」32.2%、「人員不足の解消」26.8%が続く | 日本では効率化の文脈で捉えられている |
出典は、総務省の令和8年版情報通信白書の第1部第2章第1節(生成AIの活用方針等、組織的な取組状況、生成AIの業務利用状況、懸念されるリスク及びリスク対策、生じうる影響)です(2026年10月22日確認)。
数字から読み取れること(本記事の読み取り)
- 使うことが先に進み、決めることが後から追いかけている。利用は86.4%だが、全社的な指針の整備は41.1%にとどまる
- 中小企業は、組織的な取組がない割合が特に高い。担当者が少ないほど、SaaSのAI機能を個人の判断で使い始める場面が増えやすい
- 日本は「効率化」で捉える割合が高い。効率化の先で、人が担う仕事や判断の範囲をどう見直すかは、各社が決める部分になる
部署ごとに見るSaaSへのAIの影響|普及の速さと、担当者の仕事の変わり方
SaaSへのAIの影響の大きさは部署や業務領域で差があり、IDCの予測では2026年時点で、コンタクトセンターの50%に対しデジタルコマースは4%と、約12倍の開きがあります。
IDCは、18の市場ごとに、AIエージェントの機能が組み込まれた段階(IDCの用語で「Agent-Enhanced」以上)に当たる割合を予測しています。次の表は、そのうち、社内の部署と結びつけやすい11の市場を抜き出したものです。数値はIDCの予測で、世界の市場を対象にしています。日本の個々の会社にそのまま当てはまるとは限りません。部署との対応は、本記事の整理です。
領域別のAIエージェント浸透の予測(IDC)
| 市場(IDCの分類) | 2026年 | 2030年 | 2038年 | 社内で関わりやすい部署(本記事の整理) |
|---|---|---|---|---|
| コンタクトセンター | 50% | 80% | 97% | カスタマーサポート |
| HCM(人事管理) | 48% | 70% | 99% | 人事・労務 |
| サプライチェーン | 40% | 75% | 100% | 物流・購買・生産管理 |
| 調達 | 35% | 75% | 100% | 購買・総務 |
| 財務 | 33% | 75% | 99% | 経理・財務 |
| 人材採用 | 27% | 57% | 90% | 人事・採用 |
| カスタマーサービス | 25% | 80% | 100% | カスタマーサクセス・営業支援 |
| ERP | 22% | 39% | 80% | 経理・管理部門全般 |
| マーケティング | 14% | 53% | 92% | マーケティング |
| 従業員エクスペリエンス | 13% | 24% | 78% | 人事・総務 |
| デジタルコマース | 4% | 14% | 58% | ECの運営 |
IDCの原文では、ERPのような中核の基幹システムは変化が緩やかで、AIエージェント機能が高い段階に達するのは2038年とされています。一方、コンタクトセンターや人事管理は、2026年の時点ですでに5割前後です。自社で使っているSaaSがどの領域にあるかで、AI機能が入る時期と勢いが違う、と読めます(本記事の読み取り)。出典:IDC「AI Agents Replacing SaaS – The Apocalypse Myth」(2026年10月22日確認)。ITmediaの@IT記事「「AIがSaaSを消す」は根本的な誤解」でも、2026年9月23日公開のIDCレポートとして紹介されています。
担当者の仕事はどう変わるか(本記事の整理)
次の表は、AI機能が入ったSaaSで変わりやすい作業と、人に残したい判断を、一般的な業務を想定して整理した例です。特定のSaaSの機能を示すものではなく、自社のSaaSの機能は、各サービスの案内で確かめてください。
| 部署 | AI機能で変わりやすい作業の例 | 人に残したい判断・確認の例 |
|---|---|---|
| カスタマーサポート | 問い合わせの分類、回答案の下書き、対応履歴の要約 | 例外対応、お客様への最終的な回答、苦情の判断 |
| 人事・採用 | 応募書類や面談記録の要約、日程調整、社内からの問い合わせ対応 | 採否や評価の判断。AI事業者ガイドラインは、AIに単独で判断させるだけでなく、適切なタイミングで人間の判断を介在させる利用を検討するとしている |
| 経理・財務 | 請求書や領収書の読み取り、仕訳の候補の提示、突き合わせ | 計上の可否、例外の処理、税務上の判断 |
| 営業・マーケティング | 議事録やメールの下書き、商談の要約、見込み客の分類 | 顧客への提案内容と約束、個人情報の取り扱い |
| 調達・購買 | 見積もりの整理、契約書の要点の抽出 | 取引先の選定、契約条件の承認 |
| 情報システム・管理部門 | 社内からの問い合わせの一次回答、設定変更の案内 | 権限やデータの扱いの決定、AI機能を有効にするかの判断 |
影響を受けやすい作業か見分ける3つの問い(本記事の整理)
- 手順とルールが決まっているか:決まっているほど、AIに任せやすい。例外が多いほど、人の判断が残る
- 入力と出力の形が決まっているか:下書き・要約・分類・検索のように形が決まる作業は、AI機能が入りやすい
- 間違えたときの影響と責任は重いか:お客様・取引先・従業員に直接影響する作業は、AIの出力をそのまま使わず、人が確認する
3つ目に当てはまる作業は、AI機能が入っても、人の確認を外さないことが前提です。AI事業者ガイドライン(第1.2版)は、AI利用者の事項として、AIの出力について精度及びリスクの程度を理解し、様々なリスク要因を確認したうえで利用することを挙げています。また、人間の判断を介在させる際には、自動化バイアス(AIの出力に過度に頼ってしまうこと)に左右されないための対策を講じるべきだとしています。
SaaSのAIで運用が変わる4点|機能の追加・入れてよい情報・結果の確認・教育
SaaSにAI機能が入ると、利用企業は、機能の追加への追従、入れてよい情報の基準、結果を確認する担当、社内教育の4点を決める必要があります。
1. 機能の追加・変更への追従
SaaSのAI機能が追加・変更される場合に備えて、次の3点を、サービスごとの管理画面や規約で確かめておきます(本記事の整理)。
- 誰が、ベンダーからの機能の追加や変更の知らせを受け取るか(担当と窓口を決める)
- AI機能を有効にするかどうかを、管理者が選べるか。全員一斉か、部署ごとか
- 入力した内容が、AIの学習やサービスの改善に使われるか。法人向けと個人向けで扱いが違うか
2. 入れてよい情報の基準
個人情報保護委員会は、2023年6月2日付の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」で、個人情報を含むプロンプトを入力するときは、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合は、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性があるとして、サービスの提供事業者が機械学習に利用しないことなどを確認するよう注意喚起しています。AI事業者ガイドライン(第1.2版)も、AI利用者の事項として、AIのシステム・サービスに機密情報等を不適切に入力することがないよう注意を払うことを挙げています。SaaSの画面の中のAI機能であっても、顧客名簿や従業員の情報を入れる前に、この基準で確かめます。個別の判断が必要な場合は、社内の担当部署や専門家に相談してください。本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。
3. 結果を確認する担当と手順
AIの出力は、誤りや偏りを含むことがあります。誰が、何を基準に、どの段階で確認するかを、作業ごとに決めます。前のH2の3つの問いで、間違えたときの影響が重い作業ほど、確認の手順を丁寧にします。確認した記録を残す範囲も、あわせて決めておくと、あとから経緯を説明しやすくなります(本記事の整理)。
4. 社内教育
AI事業者ガイドライン(第1.2版)の共通の指針には、「教育・リテラシー」の項目があり、各主体は、主体内のAIに関わる者が、AIの正しい理解及び社会的に正しい利用ができる知識・リテラシー・倫理観を持つために、必要な教育を行うことが期待されると書かれています。さらに、生成AIの活用拡大によって、AIと人間の作業の棲み分けが変わっていくと想定されるため、新たな働き方ができるよう、教育・リスキリング等を検討するとしています。SaaSへのAIの影響が、仕事の棲み分けの変化として現れることを、公的なガイドラインも前提にしている、と読めます(本記事の読み取り)。
出典は、総務省のAI事業者ガイドライン(第1.2版)の掲載ページに載る本編(令和8年3月31日公表)と、個人情報保護委員会の注意喚起です(2026年10月22日確認)。
4点を決めたうえで、自社の準備がどこまで足りているかを、次のチェックで確かめてください。
使っているSaaSにAI機能が入る前に、社内の準備は足りているかセルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
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市場・ベンダー側の影響は要点だけ|契約・価格・判断軸は関連記事で
市場・ベンダー側の影響は、IDCが示す席数課金から利用量・成果連動への移行と、野村證券が指摘するAIエージェントによるユーザー数減少の可能性が中心です。
ここまでは利用企業の社内の変化を整理しました。市場やベンダーの側については、次の3つの見方があります(いずれも2026年10月22日に原文で確認)。
- IDC:AIエージェントはSaaSを代替するのではなく、SoR(記録のシステム)としてのデータモデルを拡張する存在とみている。課金は、利用量や成果に連動するモデルが、現在の13%から今後10年で63%に達すると予測。ベンダー評価でAI機能が最重要項目(34%)になり、24.7%の企業が、十分なエージェント機能を提供できないベンダーの切り替えを計画しているとも述べている。利用企業へは、次のSaaSの更新時に、価格の予測可能性と透明性を確かめる交渉材料にするよう助言している
- 野村證券:ユーザー企業がソフトウエアを内製するようになる懸念はあるが、本格的な移行は当面困難とみている。一方、AIエージェントの導入で従業員が減れば、ユーザー数課金のSaaSはユーザー数が増えにくくなりうるとして、処理件数やデータ量に応じた従量制への移行などを収益機会に挙げている
- Gartner:2026年末までに企業向けアプリケーションの40%がタスク特化型のAIエージェントと統合されると予測(2025年8月26日の発表)
出典は、@IT(IDCレポートの紹介)、IDCのブログ、野村證券「「SaaSの死」は本当か?」、Gartnerのプレスリリースです。いずれも予測や見方であり、確定した事実ではありません。
契約や価格の見直し、市場の見通し、「SaaSの死」の経緯と反論は、別の記事で詳しく整理しています。知りたいことに合わせて読み進めてください。
| 知りたいこと | 詳しく整理している記事 |
|---|---|
| 「SaaSの死」の経緯・論点・反論、中小企業が確認したい判断軸 | SaaS終焉論とは?発端・論点・反論と中小企業が確認したい判断軸を解説、「SaaSの死」は本当か|主張・反論・事例を検証しAI時代のSaaSの行方を整理 |
| 席数課金の変化と、契約の見直し手順 | SaaSはオワコン?アンソロピック・ショックの背景と3つの分岐シナリオ |
| 市場の見通しと、価格モデルの変化、企業の備え | SaaSの今後はどうなる?市場の見通しとAIエージェント・価格モデルの変化、企業の備え |
| 将来性と、企業規模別の導入判断軸 | SaaSの将来性は?「SaaSの死」論争の実態とAI時代の導入判断 |
| ベンダーの事業継続性・データ移行・契約形態のリスク | SaaSの死とは|利用者の3つのリスク |
| SaaSとAIの違い、AI機能の組み込み方、AI搭載SaaSの選び方 | SaaSとAI|生成AI・AIエージェントで変わる役割と「SaaSの死」、導入時の注意点 |
周知と理解度の確認を支える教育サービス3つの違い|SaaSの操作を教える教材ではなく、運営面の支え
3つのサービスは、SaaSのAI機能の操作を教える教材ではなく、入れてよい情報の基準の周知・理解度の確認・手順の教材化という運営面を支える教育サービスです。
ここまでに登場した3つのサービスを、役割の違いで並べます。優劣や順位ではなく、社内の状況に合うものを選ぶための整理です。自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。
SaaSのAI機能を社内で使うときの、教育サービス3つの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:OneCompliance(ワンコンプライアンス)。情報セキュリティや個人情報保護法などのコースを、全員に同じ基準で届けやすいサービスです。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:SAKU-SAKU Testing。選択式・穴埋め・並び替え・記述のテストを作れ、受講状況や結果もリアルタイムで確認できます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Smart Boarding。自社の教育内容を学習プログラム化でき、LMS機能で受講者ごとの進捗や理解度を確認できます。
資料を無料ダウンロード| サービス | SAKU-SAKU Testing |
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|
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| 向いている会社 | コンプライアンス研修を、全従業員に同じ基準で届けたい会社。商品ページでは、上場準備中の企業や中堅・中小企業にも向くとされています | 研修の内容を、テストで定着度まで確かめたい会社。受講者の管理をスムーズに行いたい人に向くとされています | OJTや研修など、社内独自の教育を整えたい会社 |
| 特徴 | コンプライアンス研修に特化したeラーニング。ダッシュボードや自動リマインダーで、研修の実施・管理の工数を減らせるとされています | CBTの技術を活かしたテスト機能。用意された設問と自社の設問を1つのテストにまとめられ、受講状況や結果はリアルタイムで確認できます | 自社の教育内容を学習プログラム化でき、LMS機能で進捗や理解度を確認できます。自社の資料や動画と、同社の動画を組み合わせたコースも作れます |
| 注意したい点 | 費用は受講人数に応じた課金体系のため、問い合わせでの確認が必要です。AI専用のコースがあるかは、資料で確認してください | 事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合は、オプション扱いです | 電話・メールでの相談や教育プログラムの設計といった手厚いサポートは、「充実サポートプラン」のみです |
| 資料・詳細 |
3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
どのサービスも、各SaaSのAI機能の設定や操作を代わりに行うものではありません。各SaaSの設定は、管理者と担当者が、サービスごとの案内に沿って行います。そのうえで、AI機能を使う人が増えたときの、入れてよい情報の基準の周知、理解の確認、手順の教材化を、研修の仕組みに載せるかどうかを検討する位置づけです。複数のサービスの資料をまとめて請求して、研修の内容・管理の方法・サポートの範囲を比べてください。
SaaSのAI機能が増えるほど、入れてよい情報の基準を全員に伝え、理解を確かめる負担は大きくなります。3つのサービスの資料を並べて、研修の内容・管理の方法・サポートの範囲を比べると、自社に合う形を選びやすくなります。比べるときは、AI機能の有無よりも、入れてよい情報の基準を全員に届けられるか、受講状況や理解度を管理できるか、新しい手順を教材にできるかを見ると、運営面の違いが分かります。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaSとAIの関係は?
A. SaaSにAI機能が組み込まれ、画面を操作して入力する形に、AIへ指示して下書き・要約・分類などを任せる形が加わる関係です。Gartnerは、2026年末までに企業向けアプリケーションの40%がタスク特化型のAIエージェントと統合されると予測しています。利用企業にとっては、機能の使い方に加えて、入れてよい情報の基準や結果の確認といった運用が変わる点が影響の中心です。
Q2. SaaSはAIに置き換えられますか?
A. IDCは、AIエージェントはSaaSを代替するのではなく、データモデルを拡張する存在とみており、消滅するという見方は誤りとしています。ただし、課金が席数から利用量・成果連動へ移る予測や、AIエージェントによるユーザー数減少の可能性の指摘もあります。置き換えを心配するより、使っているSaaSにAI機能が入る前提で、運用と契約の見直しを進めるのが現実的です。
Q3. SaaSへのAIの影響で、利用企業の仕事はどう変わりますか?
A. 入力や転記の作業が減り、AIの出力を確認して例外を判断する作業が増えると考えられます(本記事の整理)。IDCの予測では、コンタクトセンターや人事管理は2026年時点で5割前後、中核のERPは緩やかで、部署ごとに時期が違います。人に残す判断の範囲は、間違えたときの影響が重い作業ほど広く取ります。
Q4. SaaSの弱点は何ですか?
A. 一般に、ベンダーの事業継続性、データ移行の難しさ(ベンダーロックイン)、契約形態や価格モデルの変化が、利用者が注意する点として挙げられます。AI時代には、これに加えて、入力した情報の扱いと、AIの出力の確認が運用上の弱点になりえます。前者は関連記事の「SaaSの死とは|利用者の3つのリスク」で整理しています。
Q5. SaaSのAI機能に入れてはいけない情報はありますか?
A. 一律には言えません。個人情報保護委員会は、個人データを含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の範囲内かを確認し、本人の同意なく入力して出力以外の目的で扱われるときは法に違反する可能性があるため、機械学習に利用されないことなどを確認するよう注意喚起しています。総務省の白書でも、日本企業が最も懸念するのは社内情報の漏洩です。使うサービスの規約と社内の規程で、入れてよい情報を先に決めてください。個別の判断は、社内の担当部署や専門家に相談してください。
Q6. SaaSにAI機能が入るとき、社内でまず何を決めればよいですか?
A. 機能の追加・変更を知らせる担当、入れてよい情報の基準、結果を確認する担当と手順、教育の4点を決めます。総務省の白書では、全社的な指針を整えた日本企業は41.1%、組織的な取組がない企業は27.0%でした。まず、1つの部署の1つの作業で試し、決めた内容を全員に周知して、理解できているかを確かめてください。
まとめ|SaaSへのAIの影響で押さえたい6つのこと
SaaSへのAIの影響は、市場の話にとどまらず、使う会社の業務と運用に及びます。変わるのは、機能の使い方・担当者の仕事・社内の運用・契約の4つで、最初に整えるのは社内の決まりごとです。
- 影響は4つに分けて考える。機能の使い方、担当者の仕事、社内の運用、契約・価格
- 日本企業は生成AIの利用が86.4%に広がる一方、全社的な指針の整備は41.1%、組織的な取組がない企業は27.0%(総務省の白書)
- 影響の速さは部署で違う。IDCの予測では、2026年時点でコンタクトセンター50%、人事管理48%、ERP22%
- 作業ごとに、手順の明確さ・入出力の形・間違えたときの責任の3つの問いで、人に残す判断を決める
- 運用で決めるのは、機能の追加への追従、入れてよい情報、結果の確認、教育の4点。AI事業者ガイドラインも教育・リスキリングの検討を挙げている
- 4点を全員に周知し、理解を確かめる仕組みを整えるため、eラーニングの資料を請求して比較する
SaaSのAI機能は、今後も短い周期で追加され、変わります。変わらないのは、どの情報を入れ、どこで人が確認するかを決めるのは、使う会社の側だということです。まず、1つの部署の1つの作業で、決まりごとを試してください。
参考文献
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」第1部第2章第1節 生成AIの活用方針等(2026年10月22日確認)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd121110.html
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」組織的な取組状況(2026年10月22日確認)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd121120.html
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの業務利用状況(2026年10月22日確認)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd121130.html
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」懸念されるリスク及びリスク対策のための取組状況(2026年10月22日確認)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd121140.html
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」生成AIの活用により生じうる影響(2026年10月22日確認)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd121150.html
- 総務省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」掲載ページ(2026年10月22日確認)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)(2026年10月22日確認)https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf
- IDC「AI Agents Replacing SaaS – The Apocalypse Myth」(2026年10月22日確認)https://www.idc.com/resource-center/blog/saaspocalypse-catchy-title-flawed-premise/
- @IT「「AIがSaaSを消す」は根本的な誤解 IDCが示す“本当に起こる変化”とは」(2026年9月28日)(2026年10月22日確認)https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2609/28/news036.html
- Gartner「Gartner Predicts 40% of Enterprise Apps Will Feature Task-Specific AI Agents by 2026」(2025年8月26日)(2026年10月22日確認)https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2025-08-26-gartner-predicts-40-percent-of-enterprise-apps-will-feature-task-specific-ai-agents-by-2026-up-from-less-than-5-percent-in-2025
- 野村證券「「SaaSの死」は本当か?AI本格普及後も収益拡大が期待できるか」(2026年10月22日確認)https://www.nomura.co.jp/wealthstyle/article/0609/
- メンバーズ「「SaaSの死」は本当か?AI SaaSで変わる現場」(2026年10月22日確認)https://www.members.co.jp/column/20250227-ai-saas
- OneCompliance「コンプライアンス研修 学習コース/コンテンツ一覧」(2026年10月22日確認)https://onecompliance.jp/courses
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