法人カードの年会費は経費計上できるのか?勘定科目・仕訳方法も解説
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- 法人カードの年会費を経費計上することで会社の利益を最大化し、資金を有効活用できる
- 法人カードの年会費の勘定科目には、支払手数料・諸会費・雑費の3つの選択肢がある
- 法人カードの年会費には消費税が含まれるため、仕入税額控除の対象になる
法人カードの年会費は、法人・個人事業主に関わらず経費にすることが可能であり、節税や会社の利益最大化につながります。しかし、年会費を経費にする際は複数の注意点もあります。本記事では、法人カードの年会費の勘定科目や会計処理における注意点を解説します。
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法人カードの年会費は経費計上できる

法人カードは、法人や個人事業主がビジネス活動に使用するクレジットカードです。法人カードの利用によって事業関連の支出を追跡しやすくなり、経費の精密な管理が可能です。また、カードを利用することで年会費が発生しますが、それらは経費として計上できます。
ただし、適切な使用と経費の適正計上が必要であり、カードの利用には慎重な管理が求められます。
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法人カードの年会費について
法人カードの年会費を経費にするメリット
法人カードは、付帯サービスを活用することでビジネスを効率化し、時間とコストを節約できます。法人カードの年会費は経費に計上できるため、年会費の安い・高いにこだわらず、付帯サービスの充実したカードを選択するのがおすすめです。
また、年会費を経費計上して税金負担を軽減し、経済的な利益の最大化にも期待できます。法人カードは経費計上と組み合わせることで、経費削減につなげられます。
法人カードの年会費の相場
法人カードの年会費はカードの種類やランクによって大きく異なります。最もランクが高いのはプラチナカードです。各ランクにおける法人カードの年会費の相場は、以下のとおりです。
| 法人カードのランク | 年会費の相場 |
|---|---|
| 一般カード | 無料〜2,000円 |
| ゴールドカード | 2,000~3万円 |
| プラチナカード | 2〜13万円 |
年会費が高い上位カードの方が利用限度額が高く、付帯サービスも充実しています。ゴールドカードやプラチナカードの年会費は決して安くありませんが、出張が多く空港ラウンジを頻繁に利用する場合など、使い方によっては費用対効果が高くなるでしょう。
個人事業主のカード年会費も経費にできる
法人カードと同様に、個人事業主が個人名義で作成したクレジットカードについても経費計上できます。しかし、その際は「家事按分」を適用した仕訳を行う必要があります。
具体的には、事務所兼自宅の家賃、PCや電気代などの光熱費、PC・携帯電話をはじめとした通信料金などについて、事業で使用した分を按分して経費計上します。つまり、年会費についても按分によって経費計上できます。
また、個人事業主も法人カードを作成することが可能なため、個人用の生活費などを支払うカードと事業用のカードを明確に分けて管理すると、仕訳の際にも管理しやすくなります。
法人カードの年会費の勘定科目

法人カードの年会費の経理処理には、支払手数料・諸会費・雑費といった主要な勘定科目があります。それぞれの勘定科目に対する仕訳は、会社の経理の方針や要件に基づいて決定されます。ここでは、それぞれの勘定科目について説明します。
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支払手数料
「支払手数料」という勘定科目は、クレジットカードの年会費を経理処理するために一般的に採用されています。「支払手数料」を使用して、クレジットカードの年会費をカード利用の手数料として捉え、経理処理を行います。
借方に「支払手数料」、貸方に「預金」を仕訳することで、年会費の支出が正確に記録され、経費計上が可能です。経理担当者や会計士と連携し、適切な仕訳と記録を行いましょう。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 6,000円 | 預金 | 6,000円 |
諸会費
「諸会費」という勘定科目を使用して、クレジットカードの年会費を経理処理することも可能です。この方法では、クレジットカードの年会費を会員としてのステータスを維持するための会費として捉え、諸会費として記録します。
借方に「諸会費」、貸方に「預金」として仕訳を行うことで、年会費の支出を適切に計上できます。なお、選択した勘定科目については、経営陣や税務当局とのコミュニケーションを保ちながら、適切な認識と処理が行われるように心掛けましょう。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 諸会費 | 6,000円 | 預金 | 6,000円 |
雑費
クレジットカードの年会費が特定のカテゴリに該当しない場合、「雑費」として年会費を記録することも可能です。借方に「雑費」、貸方に「預金」を記入して、年会費を経費として認識できます。
ただし、雑費として多くの項目を処理する場合、経費の追跡や分析が難しくなる可能性があるため、経理方針に合わせて注意深く選択しなければなりません。なお、個別の費用項目の追跡が要求される場合は、詳細な勘定科目を使用することも検討しましょう。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 雑費 | 6,000円 | 預金 | 6,000円 |
法人カードの年会費における勘定科目の選び方

法人カードの年会費をどの勘定科目で処理するかは、用途や会社の経理方針に応じて慎重に判断する必要があります。仕訳例で紹介しているように、基本は支払手数料・諸会費・雑費のいずれかで計上できますが、それぞれの性質を理解して選ぶことが重要です。
用途別の勘定科目の目安
支払手数料として計上する場合は、カード発行に伴うサービスや手数料として捉え、経理処理を行います。諸経費として計上する場合は、会員としてのステータス維持・ビジネスネットワーク維持を目的とした費用として認識します。
そして、雑費として計上する際は、明確なカテゴリに該当しない支出として処理できますが、多用した場合は経費管理が不透明になるため注意が必要です。各勘定科目の選択は、会社の経理方針や税務上の取り扱いを踏まえ、適切に判断することが大切です。
会社方針や税務上の考え方を踏まえた判断
勘定科目の選択では、単に自由に決めるのではなく、会社の経理方針や税務上の考え方を意識しなければなりません。経費計上の理由を明確にし、高額な年会費の場合は税理士や経理担当者と確認して処理すれば、税務リスクを回避できます。
また、勘定科目の使い分けを社内で文書化し、関係者と共有しておくことで、税務調査や監査の際にも説明が容易になり、経理処理の透明性が高まります。
法人カードの年会費を会計処理する際の注意点

法人カードの年会費を会計処理する際には、いくつかの重要な注意点に留意しなければなりません。ここでは、法人カードの年会費を会計処理する際の注意点について解説します。
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法人カードの年会費を会計処理する際の注意点
年会費は消費税課税
クレジットカードの年会費には消費税が含まれており、仕入税額控除の対象です。年会費の仕入れ時の仕訳では、借方に「支払手数料」「諸会費」「雑費」などを使って税抜料金を記録し、「仮払消費税」として消費税額を記録します。
そして、貸方には実際の支払金額を表す「預金」を記入します。この方法により、年会費を正確に仕入税額控除の対象とし、消費税を適切に処理することが可能です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 諸会費 | 6,000円 | 預金 | 6,600円 |
| 仮払消費税 | 600円 |
勘定科目を統一する
法人カードの年会費を会計処理する際の注意点の1つは、勘定科目を統一することです。統一した勘定科目を使用することで、経理プロセスがシンプルかつ透明になり、誤解や混乱といった事態を防げます。
「支払手数料」「諸会費」「雑費」のいずれかを選択し、会社内で一貫性を保ちましょう。この統一化されたアプローチは、帳簿の整合性を維持し、税務申告の正確性を確保するのに役立ちます。また、税金対策や会計監査においても信頼性を高めることが可能です。
必要以上の支出は利益を減らしてしまう
法人カードの年会費は経費計上できることにより、節税対策にもつながります。しかし、年会費の高いカードを契約しやすいわけではありません。
年会費を経費として扱えたとしても、手元にあるはずの現金が減っていることに変わりはなく、年会費にコストをかけるとその分全体的な利益は減少してしまいます。そのため、経費になるからといって必要以上にカードを契約・発行することは控えましょう。
個人用カードの年会費は経費にならない
個人用カードの年会費は、個人のプライベートな支出に関連しており、法人のビジネス活動とは直接関係がないため、経費として計上できません。
一方、法人カードの年会費は、法人または個人事業主がビジネス活動に使用するために発生し、ビジネスに必要な支出として認識されます。法人カードの年会費は経費として計上でき、税金の軽減や会社の利益最大化に役立ちます。
法人カードと個人用カードの違いを理解し、適切に処理することがビジネスの財務管理と税務計画において重要です。
年会費3万円以上は領収書の保存期間に注意
法人カードの年会費を会計処理する際、年会費が3万円以上の場合は領収書の保存期間に注意が必要です。白色申告の場合、3万円以上の領収書は5年間保存する義務があります。
対して、青色申告の場合、3万円以上の領収書はその年度の経理処理完了後、7年間保存しなければなりません。これは税務署の税務調査に備えるための措置であり、法人が領収書を適切に保存し、必要な証拠を提供する際に必要です。
年会費が3万円未満の場合は保存する義務はありませんが、3万円以上の場合は慎重に対処しましょう。
まとめ

年会費には消費税が含まれており、仕入税額控除の対象となります。税抜経理を行う場合、支払手数料・諸会費・雑費の借方科目に税抜き料金を記入し、仮払消費税の借方科目に消費税を記入し、貸方科目に支払った税込み総額を記入します。
また、年会費が3万円以上の場合、白色申告の場合は5年間保管領収書を保存し、青色申告の場合は経理が完了した後、次の7年間保管する必要があります。適切な領収書の保存は税務申告時に役立ちます。
これらの注意点を守りながら年会費を経費として計上することで、法人カードは税金の節税や経費の効率的な管理が可能となり、ビジネスにとって有益なツールとなります。
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