従業員の反社チェックを行う必要性｜タイミングと方法も解説

従業員や雇用が成立する前の人材に対して反社チェックを行うことは、自社の信頼性を保ち、取引先や銀行からの取引中止といったリスクの防止に繋がります。本記事では、従業員に対する反社チェックの必要性を解説し、対象となる従業員や、チェックのタイミング・方法を紹介します。

目次

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1. そもそも反社チェックとは
2. 従業員に対する反社チェックの必要性
3. 反社チェックの対象となる従業員
4. 従業員の反社チェックを行うタイミング
5. 従業員の反社チェックを行う方法
6. 従業員の反社チェックを行う際のポイント
7. 採用・雇用後に反社会的勢力だと発覚した場合
8. まとめ

そもそも反社チェックとは

反社チェックとは、企業が取引先や従業員が反社会的勢力でないことを確認することです。反社会的勢力とは、暴力団や詐欺集団などの社会の秩序や安全を脅かす存在を指し、これらの勢力と関わることは企業の信頼性を損なうだけでなく、法的なリスクも伴います。

そのため、企業は取引先や従業員が反社会的勢力でないことを確認し、万が一そのような勢力と関わりがあることが判明した場合、速やかに関係を断つことが求められます。

反社チェックは、企業が自らの信頼性を保ち、社会的な責任を果たすためだけでなく、取引先や従業員との関係を健全なものに保つためにも欠かせません。

従業員に対する反社チェックの必要性

従業員に対する反社チェックは、企業が自身の信頼性を保ち、社会的な責任を果たすために重要です。また、従業員に対する反社チェックを行うことで、企業は自身の信頼性を保つことができます。

ここからは、従業員に対する反社チェックの必要性について解説していきます。

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政府の指針に従うため

企業が反社会的勢力との関わりを避けるためには、政府の提供する指針に従うことが重要です。特に、企業暴力団排除指針が取りまとめられているため、この指針を参考に、企業は反社会的勢力との関わりを断つための具体的な方針を策定し、実行する必要があります。

企業暴力団排除指針は、企業が反社会的勢力との取引を防止し、健全な経営を行うための指針を提供しています。政府の指針に従うことは、企業が社会的な責任を果たし、健全な経営を行う上で不可欠です。

参考：企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について｜法務省

暴力団排除条例が制定されているため

政府の指針だけでなく、具体的な対策として、各都道府県でも暴力団排除条例が制定されています。これは、地域社会においても反社会的勢力の排除を図り、健全な経済活動を保護するための法的枠組みです。

暴力団排除条例の制定により、企業や個人は法的な裏付けを持って反社会的勢力との関わりを断つことができるようになりました。そのため、暴力団やその関連組織が地域社会や経済活動に与える悪影響を防ぎ、健全な社会の維持に繋がっています。

条例の制定は、企業や個人が反社会的勢力との関わりを避けるためにも必要なものとなり、社会全体の健全な発展に繋がっています。

参考：暴力団排除条例｜地方自治研究機構

取引先や銀行からの取引中止リスクを防止するため

取引先や銀行との関係は、企業活動において非常に重要です。もし企業が反社会的勢力と関わりを持っていることが発覚すれば、取引先や銀行からの信頼を失います。最悪の場合、取引中止というリスクに直面する可能性があります。

一般的に取引先や銀行は、自社の信頼性を保つためにも、反社会的勢力と関わりを持つ企業とは距離を置きます。そのため、企業は反社チェックを徹底し、反社会的勢力との関わりを避けることで、取引関係を維持して企業活動を健全に続けられます。

上場廃止・上場できないリスクを防止するため

上場企業にとって、反社会的勢力との関わりは致命的なリスクです。反社会的勢力との関わりが明らかになれば、株式市場からの信頼を失うため、上場廃止という結果を招く可能性があります。

また、未上場の企業であっても、反社会的勢力との関わりがあると判断されれば、上場の道が閉ざされるリスクがあります。上場企業は、株主や投資家からの信頼を得るためにも、反社会的勢力との関わりを避け、透明性の高い経営を行わなければいけません。

企業の信頼性を保つため

企業の信頼性を保つためには、反社会的勢力との一切の関わりを避けることが必要です。日本証券業協会は「証券取引および証券市場からの反社会的勢力の排除について」の宣言を通じて、証券市場から反社会的勢力を排除することの重要性を強調しています。

証券市場の健全な発展を保ち、投資家の信頼を維持するために必要な取り組みであり、企業にとっても同様に重要なポイントです。

参考：証券取引及び証券市場からの反社会的勢力の排除について｜日本証券業協会

反社チェックの対象となる従業員

反社チェックは、企業が健全な経営を行って社会的信頼を保つために重要です。しかし、反社チェックを行う際、従業員はどこまで対象か分からない企業もあるでしょう。

新卒や中途採用の正規雇用の従業員はもちろん、パートやアルバイトといった非正規雇用の従業員も反社チェックの対象です。ここからは、反社チェックの対象となる従業員について解説していきます。

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新卒・中途採用（正規雇用）

新卒や、転職などの中途採用で企業に入る正規雇用社員に対して反社チェックを行うことは、企業の健全な経営を支える上でも重要になります。

正規雇用社員は企業の中核を担い、その行動や関わりが直接企業の評価に影響を与えるため、反社会的勢力との関わりがないことを確認することは不可欠です。

また、正規雇用社員は長期的なキャリアを企業内で築くことが多いです。そのため、その人物の背景や関わりをしっかりと把握することで、未来におけるリスクを未然に防ぐことができます。

パート・アルバイト（非正規雇用）

非正規雇用社員であるパートやアルバイトに対しても反社チェックを行うことは、企業の安全性を確保する上で欠かせません。非正規雇用社員は正規雇用社員と比べて雇用期間が短い場合が多いものの、企業の重要な業務を担うこともあります。

そのため、反社会的勢力と関わりを持っていないか確認することは、企業のリスクを軽減する上で大きな意味を持ちます。また、非正規雇用社員は、受付や窓口業務など、企業の外部と接触する機会が多い場合があります。

そのため、反社会的勢力と関わりを持っていると、企業の評価や信頼性に影響を与える可能性があります。

従業員の反社チェックを行うタイミング

採用や面接前に反社チェックを行うことで、企業は事前に候補者の背景を把握し、リスクを回避することが可能です。また、採用が決定して入社が決まったタイミングでも、再度反社チェックを行うことが重要です。

ここからは、従業員の反社チェックを行うタイミングについて解説していきます。

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採用・面接前

採用・面接前の段階でのチェックは、企業が候補者の背景を事前に把握し、リスクを回避することが可能です。候補者が反社会的勢力と関連がないことを確認することで、企業は安全な環境を保つことができます。

また、採用・面接前の反社チェックは、企業の信頼性を保つためにも重要です。反社会的勢力との関連がある人物を採用してしまうと、企業の評判が損なわれるだけでなく、取引先や銀行からの取引中止リスクも生じる可能性があります。

そのため、企業が安全かつ信頼性を保つためにも、採用・面接前の反社チェックは不可欠です。

採用・入社時

採用・入社時でのチェックは、新たに入社する従業員が反社会的勢力と関連がないことを確認し、企業の安全性を保つために重要です。確認を怠ることで、万が一反社会的勢力と関わりのある人物を雇用してしまうと、企業の信頼性の低下などのリスクが伴います。

入社時に反社チェックを行い、反社会的勢力との関係がないことを確認することで、企業は安心して雇用することができます。また、従業員を採用する際は、雇用契約書に反社条項を入れましょう。このポイントについては、後ほど詳しく解説します。

従業員の反社チェックを行う方法

従業員の反社チェックを行う方法は、多岐にわたります。まず、身だしなみや言動をチェックすることで、その人物の社会性や適応性を評価することが可能です。また、公的情報を検索することで、その人物の過去の犯罪歴や反社会的勢力との関連性を調査できます。

ここからは、従業員の反社チェックを行う方法について解説していきます。

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身だしなみをチェックする

身だしなみをチェックする際、まず注目すべきは清潔感です。衣服が清潔で整っているか、髪型が整っているかなど、基本的な部分がしっかりとしているかを確認しましょう。また、その職種や業界に適した服装をしているかも重要です。

さらに、アクセサリーや香水の使用も適切かどうか確認することが大切です。身だしなみはその人の内面を表す要素でもあり、企業が従業員に求める基本的なマナーの1つでもあります。

公的情報を検索する

インターネットを利用して、公的情報を検索することでも反社チェックが可能です。警察庁や地方公共団体のウェブサイトでは、暴力団排除条例に関する情報や、反社会的勢力に関連する情報を得ることができます。

この情報を活用することで、企業は従業員が反社会的勢力と関わりがないかを確認することができます。

プロに依頼する

プロに依頼する場合は、探偵事務所や調査会社などが該当します。専門家に依頼することで、従業員の背景や過去の行動を詳細に調査することが可能です。また、プロに依頼することで、企業自身が直接調査を行う際に発生するリスクを回避することができます。

しかし、プロに依頼する方法にはデメリットも存在します。探偵事務所や調査会社に依頼する場合、費用は企業の負担です。そのため、コストがかかることに留意しましょう。また、調査の結果が企業の期待に沿わない場合もあります。

反社チェックツールの導入

反社チェックツールは、公的な情報やデータベースを利用して、従業員が反社会的勢力と関連がないかを自動でチェックする機能を提供しています。これにより、企業は手間や時間をかけずに、従業員の安全性を確認することが可能です。

しかし、ツールの精度や信頼性によっては、導入が無駄になる可能性があります。また、情報の更新頻度が低く、情報が古い場合もあります。そのため、無料トライアルなどを活用して、ツールの性能や信頼性、更新頻度を十分に確認しましょう。

また、ツールの利用にはコストがかかるため、企業の予算との兼ね合いも考慮しながら検討する必要があります。

従業員の反社チェックを行う際のポイント

従業員の反社チェックを行う際は、避けるべき個人情報があることに留意しましょう。また、雇用する際は契約書に反社条項を入れることも重要です。ここからは、反社チェックを行う際のポイントを解説していきます。

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収集を避けるべき個人情報を把握する

従業員が反社会的勢力に関わっていないかチェックすることは、とても重要です。しかし、従業員のすべての個人情報を収集することはできません。これは、厚生労働省が『個人情報の収集、保管及び使用』において、収集してはいけない個人情報を示しているためです。

具体的に、以下の情報は収集してはいけません。

1. 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
2. 思想及び信条
3. 労働組合への加入状況

これらの注意点に配慮して、従業員のプライバシーを侵害しないように反社チェックを行いましょう。また、個人情報の取り扱いには知識も必要になります。もし不安な場合は、専門の調査機関に依頼することもおすすめです。

参考：第４ 求職者の個人情報の取扱い等｜厚生労働省

契約書に反社条項を入れる

反社条項とは、「反社会的勢力の排除に関する条項」略称です。契約締結の際に、反社会的勢力ではないことや、暴力的な要求などを行わないことを相互に示して、保証する条項を指します。

従業員と契約を結ぶ際に用いる雇用契約書に、この条項を入れることで、反社会的勢力を自社で雇うリスクを避けることが可能です。また、従業員が反社会的勢力であることが判明した場合、即座に雇用契約を解除することができます。

採用・雇用後に反社会的勢力だと発覚した場合

従業員が反社会的勢力であることが採用・雇用後に発覚した場合、企業は解雇に向けて手続きを進める必要があります。

解雇の過程では、企業の規定や法的な手続きを遵守する必要があるため、必要に応じて法的な専門家に相談し、アドバイスを得るようにしましょう。

まとめ

反社チェックは、企業が政府の指針に従い、暴力団排除条例を遵守するためにも重要です。反社会的勢力との関わりを持ってしまった場合、企業は取引先や銀行からの取引中止リスク、上場廃止・上場できないリスクが発生します。

また、従業員に対する反社チェックは、新卒・中途採用の正規雇用者だけでなく、パート・アルバイトの非正規雇用者にも適用されます。チェックの方法としては、身だしなみや公的情報の検索の他、プロに依頼したり、反社チェックツールを導入するなどがあります。
万が一、採用・雇用後に反社会的勢力であることが発覚した場合は、必要に応じて法的な専門家に相談し、適切な手続きを踏みましょう。