在宅コールセンターとは?仕組みやメリット、システムについて解説

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  • コールセンターにおける人手不足の解決策として在宅コールセンターが注目されている
  • 在宅コールセンター導入により、コスト削減や離職防止などの効果が期待できる
  • 在宅コールセンター構築時には、適切な勤怠管理や人事評価制度などが必要になる

コールセンターにおいて人手不足は大きな課題となっていますが、その解決策として導入が進められているのが在宅コールセンターです。この記事では、在宅コールセンターの仕組みや導入メリット・デメリット、システムなどの構築する際に必要なものを解説します。

目次

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  1. 在宅コールセンターとは
  2. 在宅コールセンターのメリット
  3. 在宅コールセンターのデメリット
  4. 在宅コールセンター構築時の注意点
  5. 在宅コールセンター構築に必要なもの
  6. まとめ

在宅コールセンターとは

在宅コールセンターとは、従来オフィスで担っていたコールセンターの業務を自宅などで行う働き方のことです。コールセンター業務は多くの企業において不可欠であり、チャットや自動音声などの対応を導入するケースも増加しています。

一方で、コールセンターにおける慢性的な人材不足が課題となっている企業も少なくありません。また、問い合わせに関するやりとりの全てをAI技術でカバーするには限界があり、人の手による対応が必要とされています。

近年では、これらの課題を解決する有効な手段として、在宅ワークによるコールセンター業務が注目を集めています。

在宅コールセンターの仕組み

在宅コールセンターでは、オペレーターの自宅から電話・インターネット・コールセンターシステムなどの仕組みを用いてコールセンター業務を行います。

コールセンター業務においては多くの個人情報や機密情報を取り扱うため、使用する端末やネットワーク回線などに対するセキュリティ対策が不可欠です。そのため、VPN回線や、クラウドタイプのコールセンターシステムなどが多く利用されています。

また、コールセンター業務では、オペレーターと顧客・企業とのやりとりだけでなく、スタッフ間での情報共有も必要です。チャット機能を備えたコールセンターシステムや、チャットアプリなどの仕組みを利用するケースが多いでしょう。

在宅コールセンターのメリット

在宅コールセンターは、企業側に多くのメリットをもたらすだけでなく、働く側にとってもさまざまなメリットがあります。ここでは、企業側と働く側それぞれのメリットについて解説します。

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在宅コールセンターのメリット

  1. 企業側のメリット
  2. 働く側のメリット

企業側のメリット

在宅コールセンターの導入によって、企業側のコストを削減できるというメリットが得られます。また、オフィス勤務に比べて人員の補充を行いやすく、従業員の離脱を防止する効果も見込めます。さらに、災害時にも業務を稼働させることができます。

ここでは、在宅コールセンターによって得られる企業側のメリットについて解説します。

コストを削減できる

在宅コールセンターの導入によって得られる大きなメリットの1つとして、コストを削減できるという点が挙げられます。コールセンターのオフィスを設ける際は、物件の選定を行い、業務に適した環境を整備しなければなりません。

オフィス物件の賃料に加え、デスクやロッカーなどをはじめとするさまざまな備品の購入には多くの費用がかかります。在宅コールセンターの場合はオフィス物件やオフィスの備品などが不要であり、業務に必要な機器だけを揃えれば良いため、コストが抑えられます。

人員の補充が容易になる

オフィス勤務のコールセンター業務では、近隣に在住する人材しか雇用できない場合が多く、対象が限定されていました。そのため、必要なときに人員を確保できず、業務が停滞する原因となる場合がありました。

対して、在宅コールセンターはオフィスへの出勤が不要なため、在宅ワークとして全国からオペレーターを雇用できます。また、居住地や家庭環境が理由でオフィス勤務ができなかった人材を労働力として活用することが可能になります。

全国からの募集を行うことで、対象の範囲が広がり、人員の確保が容易になります。また、応募総数が増加するため、条件の合う有能な人材を見つけやすくなるというメリットも生まれます。

離職が防げる

在宅コールセンターのメリットとして、オペレーターの離職を防止できるという点が挙げられます。在宅勤務は結婚・妊娠・育児・転居などをはじめとする家庭環境の変化に対応しやすく、プライベートと仕事の両立を行いやすいという特徴があります。

従来なら長期間の休職や離職に繋がってしまうようなケースでも、在宅勤務なら柔軟に対応できる場合が多く、オペレーターの離職率低下が期待できます。スキルを積んだオペレーターの離職を食い止め、優秀な人材の流出を防げることは企業にとって大きなメリットとなります。

災害時にも稼働しやすい

コールセンター業務をオフィスで行っている場合、オフィスがある地域に自然災害が起こった際にはコールセンター業務がストップします。また、感染症の拡大防止を目的に、オペレーターが出社できないといった事態も想定されます。

在宅コールセンターはオペレーターが全国の居住地から業務を行うため、特定の地域に災害が起こっても業務の稼働を継続できる可能性が高くなりますこのことから、在宅コールセンターはBCP対策の一環としても有効であると言えます。

働く側のメリット

在宅コールセンターは、働く側にも多くのメリットをもたらします。在宅コールセンターは通常の在宅勤務に比べて高収入が望める場合があり、フレキシブルな勤務時間帯を設定できます。ここでは、これらのメリットについて解説します。

勤務時間帯がフレキシブルになる

在宅コールセンターはオペレーターの自宅で業務を行えるため、通勤時間がかかりません。また、勤務条件によっては勤務時間帯をフレキシブルに設定できます。これにより、育児や家事などとの両立がしやすくなり、仕事と生活のバランスを取りやすくなります。

フルタイムでの勤務が難しい場合でも、在宅コールセンターでの勤務によってスキマ時間や育児が落ちつく時間帯などに勤務を分散させることができます。生活環境に関わらず同じ仕事を長く続けられるため、生活の安定やスキルの向上が期待できます。

落ち着いた環境で作業できる

従来のオフィスなどでの業務には、人間関係や出社するストレスが多少なりともつきものです。在宅コールセンターであれば、 オフィスでのコミュニケーションストレスが軽減され、落ち着いた環境で仕事に集中することができます。

また、出社のために満員電車に乗る必要がないのもメリットです。ストレスが軽減されるだけでなく時間を有効活用できるため、より高い生産性を望めます。

高収入が望める

在宅コールセンター業務においては、架電数やアポイントの取得件数などに応じた成果報酬型の報酬形態を導入しているケースがあります。また、固定給の部分を時給や月給として支払い、成果報酬分を歩合として上乗せして支給される場合もあります。

このような成果報酬型の業務では、本人の業績次第で高収入を狙えます。時給の仕事の場合は昇給までに一定の時間がかかる場合が多いのに対し、短期間で収入アップが狙えることは大きなメリットであると言えます。

在宅コールセンターのデメリット

在宅コールセンターにはさまざまなメリットがある一方で、注意が必要なデメリットもあります。その1つとして、オペレーターに直接指導を行えないため、コミュニケーションが不足しやすく、対応品質が不安定になりがちな点が挙げられます。

また、セキュリティリスクが高いことも課題の1つです。ここでは、在宅コールセンターのデメリットについて解説します。

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対応品質が安定しづらい

在宅コールセンターでは、オペレーターに対して直接の指導を行うのが困難なため、管理の難しさが課題となっています。また、面談による指導やグループ研修なども行えないため、スキルの把握や新人の育成などが難しくなります

これにより、コールセンター全体の対応品質を維持することが難しくなるというデメリットが生じます。多くの企業では、業務マニュアルやFAQなどの情報を共有することで対策を行なっていますが、定期的なフォローや理解度のチェックを併用するのが望ましいでしょう。

また、マニュアルの改定や業務フローの変更があった際は、オペレーター全員に情報が行き届いているかを確認しなければなりません。そのため、最新の情報を確実に届けられる体制づくりが求められます。

セキュリティリスクが高い

在宅コールセンターでは、さまざまな個人情報や機密情報を取り扱います。そのため、オペレーターによる情報の持ち出しや、悪意の第三者による不正アクセスなどへのセキュリティリスクが懸念されます。

コールセンターからの情報流出は、企業の信頼を大きく低下させます。そのため、在宅オペレーターに対してセキュリティに関する教育を実施するほか、回線の暗号化やVPNによる接続などの対策が必要です。

コミュニケーション不足になる

在宅コールセンターにおいては、オペレーターが1人で業務を行います。業務における疑問点などをすぐに相談できる環境ではないため、コミュニケーションが不足し、勤務における不安や不満が高まりやすくなるというデメリットが発生します。

頼れる人がいない環境で勤務を続けると、オペレーターの孤独感が高まり、離職の原因となる場合もあります。困った時に気軽に相談できる環境を整備し、チャットや通話アプリなどのコミュニケーション手段を確保しておきましょう。

在宅コールセンター構築時の注意点

在宅コールセンターを構築する際は、いくつかの注意点があります。まず、取り扱う業務の内容を精査し、向き・不向きの判断を行いましょう。また、オペレーター側でインターネット環境の準備が必要な点にも注意が必要です。ここでは、これらの注意点について解説します。

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在宅コールセンターに向いている業務か確認する

一般的に、在宅コールセンターはインバウンドよりもアウトバウンドの業務が適していると言われています。

インバウンドのコールセンター業務では、一定の営業時間を設け、時間内にかかってくる顧客からの問い合わせに対応する必要があります。そのため、勤務時間を自由に設定できたり、成果報酬型を取り入れていたりする在宅コールセンターとは相性が悪いと言えます。

また、在宅コールセンターでは家族を含めた部外者にPC画面などを見られるリスクがあるため、秘匿性の高い情報を扱う業務には不向きです。

インターネット環境を用意してもらう必要がある

在宅コールセンターでは、オペレーターの自宅のインターネット環境を使用します。インターネット環境が不安定な場合、顧客とのやりとりの途中で回線が途切れたり、システムの操作性が低下したりする不具合が発生します。

このような事態を回避するためには、各オペレーターに安定したインターネット環境を準備してもらう必要があります。多くの場合、インターネット回線の契約にかかる費用はオペレーターの負担となるため、双方の同意が必要です。

在宅コールセンター構築に必要なもの

在宅コールセンターを構築する際は、業務に使用する機器を貸与する必要があります。また、在宅勤務に適した勤怠管理や人事評価制度の整備に加え、オペレーターのサポートを行える体制も求められます。

また、コールセンターシステムの導入によって、在宅コールセンター業務を適正化する効果が見込めます。ここでは、在宅コールセンターの構築に必要なものを4点取り上げ、それぞれについて解説します。

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IP電話・パソコンなど機器の貸与

在宅コールセンターの構築においては、まずIP電話やパソコンなどの機器の貸与が必要になります。IP電話を使用する際は、電話番号の付与も併せて行いましょう。

パソコンなどの機器を貸し出す場合、貸与期間や使用上のルールを明確にしておくことが重要です。また、貸し出しや返却などの手続きに伴う業務フローを定めておきましょう。

適切な勤怠管理・人事評価制度

在宅コールセンターにおける勤務は、通常のオフィスとは異なる勤務体系になります。そのため、従来のオフィス業務と同じ勤怠管理の方法ではなく、在宅勤務向けの勤怠管理や人事評価の制度を整備する必要があります。

在宅勤務では、出退勤の時刻や休憩の取得などを自己申告するため、正確な勤務時間を把握することが難しいです。適切な勤怠管理を行い、業務効率の低下による勤務時間の増加や、過度な残業などを防止しましょう。

オペレーターへのサポート体制

在宅コールセンターシステムはオペレーターの自宅で業務を行うため、直接の指導や質問への対応ができません。疑問点を速やかに解消し、対応品質の向上に繋げるには常時オペレーターのサポートを行える体制を整えて置くのが望ましいです。

サポート体制の例として、アプリによるチャットや通話に加え、チャットボットによるFAQなどが挙げられます。オペレーターからの全ての質問に対して担当者が回答を行うのが難しい場合は、AI技術などの導入も検討しましょう。

コールセンターシステムの導入

コールセンターシステムとは、コールセンターにおけるさまざまな業務を効率化させるためのツールです。たとえば、受電または架電時に、顧客情報や問い合わせ履歴を自動表示させるシステムが代表的です。

その他にも、自動音声応答・着信呼自動分配・自動発信・通話録音が可能なシステムがあります。主に応答率の増加や電話業務の効率化のほか、電話対応の品質や顧客満足度の向上を目的として、各企業で導入されています。
コールセンターシステムを在宅コールセンターに導入することで、オペレーターと管理者の連携・新人オペレーターの戦力化・顧客満足度向上を期待できます

コールセンターシステムとは?導入のメリット・デメリットと比較方法を解説

コールセンターシステムとは、顧客からの問い合わせを受けた際に情報を表示させたり、過去の購入履歴を確認できるシステムを指します。この記事では、コールセンターシステムの機能やメリット・デメリット、システムの比較方法など、抑えておきたいポイントを解説します。

クラウド型がおすす

コールセンターシステムの形態には、クラウド型とオンプレミス型があり、在宅コールセンターにはクラウド型のものを選ぶのがおすすめです。

クラウド型システムはインターネットを介してアクセスを行うため、離れた場所からでもシステムを利用できます。また、オフィスの営業時間に関わらずシステムへのログインが可能なため、在宅コールセンターのフレキシブルな勤務体制にも対応できます。

オンプレミス型の場合、原則として社内ネットワークの範囲内でしか使用することができません。そのため、社外からのアクセスや複数の在宅コールセンターでの情報共有が難しく、在宅コールセンターには不向きであると言えるでしょう。

インバウンド型とアウトバウンド型がある

コールセンターシステムには、インバウンド型とアウトバウンド型の2種類があり、それぞれ得意な業務範囲や搭載機能が異なります。インバウンド型のコールセンターシステムは、顧客からかかってきた電話(入電)の対応に特化したタイプです。

たとえば、注文受付・商品の問い合わせ・クレーム対応の頻度が高い企業に適しています。主な機能として、PBX機能やオペレーターの自動割り当て機能が代表的です。

また、インバウンド業務のコールセンターシステムには、着信と同時に顧客情報を呼び出せるような迅速さが求められます。オペレーターは顧客情報を確認しながら対応ができるため、スムーズな接客が可能になり、顧客の満足度向上が期待できます。

アウトバウンド型のコールセンターシステムは、企業から顧客に電話をかける(架電)業務に特化したタイプです。主に営業電話・展示会やセミナーの告知・アンケート調査などの電話業務に適しています。

アウトバウンド型は、オートコールやプレディクティブコールなどの機能を備えたものが一般的です。顧客リストをもとに自動で架電できるツールもあり、オペレーターの発信作業の軽減や業務の効率化に役立ちます。

まとめ

在宅コールセンターとは、コールセンター業務をオペレーターの自宅で行う働き方です。在宅コールセンターは、コールセンター業務における人材不足や、災害時における業務停止などの課題を解決する手段として注目されています。

在宅コールセンターの導入によって、オフィス物件の賃料をはじめとするコストを削減できます。また、全国から有能な人材を確保できるというメリットが得られるほか、家庭環境の変化に伴うオペレーターの離職を防止する効果も期待できます。

在宅コールセンターを構築する際は、機器の貸与やオペレーターのサポート体制に加え、適切な勤怠管理や人事評価の整備が求められます。自社の状態に応じて、クラウド型コールセンターシステムの導入も検討しましょう。

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