企業歯科検診の選び方とは?実施形態別の特徴や費用についても解説

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  • 企業歯科検診には通院型と巡回型があり、それぞれにメリット・デメリットが存在する
  • コストを重視したいなら通院型、精度の高さを重視したいなら実施内容充実型がおすすめ
  • 企業歯科検診にかかる費用は歯科医院により異なるが、3,000〜5,000円程度が相場である

企業歯科検診は従業員の健康を守ることはもちろん、企業の生産性向上にもつながる重要なものです。しかし、実施する際にはどのように選べば良いかわからない企業も多いでしょう。本記事では、企業歯科検診の選び方や検診にかかる費用、補助金についても解説します。

目次

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  1. 企業歯科検診とは
  2. 企業歯科検診の選び方
  3. 企業歯科検診にかかる費用
  4. まとめ

企業歯科検診とは

企業歯科検診とは、企業が健康促進の一環として従業員に対して実施する歯科検診のことです。この検診の目的は、従業員の歯科疾患を予防・早期治療し、口腔の健康を維持することをはじめとし、歯科疾患が原因となる全身疾患へのリスクを低減することにあります。

現在、企業には従業員に対して年に1回の健康診断実施が義務付けられていますが、この健診に歯科検診は含まれていません。しかし、2025年より「国民皆歯科検診」制度の義務化が検討されており、企業に従業員への歯科検診が義務化される可能性があります。

企業歯科検診には多くのメリットが期待できるため、歯科検診の導入を積極的に検討する企業も増えてきています。

企業歯科検診とは?メリット・デメリット、費用についても解説

2025年から「国民皆歯科検診」制度の義務化が検討されていることもあり、企業歯科検診は重要性が高まっています。企業歯科検診は、従業員の健康を守るだけでなく生産性や業績アップにも繋がります。本記事では企業歯科検診のメリット・デメリットなどを解説します。

歯科検診義務化の動きも

歯科検診の義務化に関しては、一部の職種で既に実施されています。特に、塩酸、フッ化水素、黄りん、その他歯又はその支持組織に悪影響を及ぼすガス、粉じんなどを発散する場所で作業する従業員に対して、半年に1回の実施・報告書の提出が義務化されています。

一方、2025年より義務化が検討されている「国民皆歯科検診」制度を控える中で、企業が雇用する従業員全員に対して、企業歯科検診を義務付ける動きも出てきています。

企業が従業員に歯科検診を受けさせる場合には、さまざまなメリットが期待されるため、歯科検診の実施を前向きに検討する企業が増えているのが現状です

参考:労働安全衛生法に基づく歯科医師による健康診断を実施しましょう|厚生労働省

参考:歯科健診の結果報告が すべての事業場に義務化されます|厚生労働省

参考:経済財政運営と改革の基本方針2022について|内閣府

歯科検診の義務化とは?重要性や国民皆歯科検診などについて解説

会社では健康診断が義務付けられていますが、近年、歯科検診も義務化する動きが活発化されています。歯科検診の義務化は、国民の健康寿命や歯科検診の受診率にも関わってきます。本記事では、義務化が検討されている・既に義務付けられている歯科検診などについて解説しています。

企業歯科検診の選び方

企業歯科検診を実施する場合には、「通院型」「巡回型」の2つの実施形態があります。ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

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企業歯科検診の選び方

  1. 通院型
  2. 巡回型

通院型

通院型は、各従業員が前もって歯科医院に予約を行い、歯科検診を受診する形態です。個人の都合に合わせた日時で受診が可能な点や、検診の結果から治療が必要な場合には、そのまま同じ歯科医院で治療を受けることができる点が特徴です。

また、全国の歯科検診を行っている歯科医院から自由に選択して受診が可能なため、職場の近くや通勤途中の歯科医院を選ぶことも可能となります。

企業の歯科検診の目的として、年間を通して定期的に受診可能な体制を作りたいケースや、福利厚生の一環としたい、歯科検診を受診可能としたい、コスト面を重視したいなどの場合には、通院型の選択がおすすめです。

メリット・デメリット詳細
メリット・従業員個人の都合に合わせた日時で受診可能
・1人から受診が可能・低コスト
・所見がある場合、そのまま治療可能
デメリット・日程が未定のため、受診率が低くなる傾向がある
・全社における受診結果の統計を取ることが困難
・検診のみで終わらず治療が始まることが多い(メリットでもある)

巡回型

企業歯科検診の巡回型は、歯科医師や歯科衛生士が車などで移動して企業を訪問し、歯科検診を実施するのが特徴となっています。この形態には、「実施内容充実型」と「受診率・スピード重視型」の2つのタイプがあります。

ここからは、それぞれの形態の特徴やメリット・デメリットを解説します。

実施内容充実型

巡回型である実施内容充実型の歯科検診は、企業の事業所内や近隣の会場での受診が可能となります。歯科医師の虫歯・歯周病などの診断に加え、歯科衛生士の衛生指導・歯垢除去などが行われる点が特徴です。

企業の歯科検診の目的として、時間がかかっても受診者の満足度を上げる歯科検診を実施したい場合や、年1回でも口の健康をしっかりチェックして、磨き方の指導を受ける状況をつくりたい場合におすすめです。

また、歯石除去まで実施することで口腔内の変化を知ってもらい、口腔ケアの大切さを伝えたい場合には、巡回型・実施内容充実型が適しているでしょう

メリット・デメリット詳細
メリット・時間をかけて歯科医師・歯科衛生士の専門職の指導が受けられる
・歯石除去なども行われるため、受診者の満足度が高くなる
デメリット・検診にかかる時間が長くなる
・検診日程が特定の日時に限定

受診率・スピード重視型

企業歯科検診の受診率・スピード重視型は、企業の事業所内や近隣の会場で受診が可能な点、歯科医師の虫歯・歯周病診断の内容を絞って、時間をかけずに実施する点が特徴となっています。

企業の歯科検診の目的として、なるべく検診にかかる時間を短くして業務への影響を小さくしたい場合や、早期治療推進・医療費削減のために受診率を上げたい場合におすすめです。

また、検診結果統計をとり、健康施策の策定に活かしたい場合には、巡回型の受診率・スピード重視型が適していると言えます。

メリット・デメリット詳細
メリット・歯科医師の診断に実施内容を絞ることで、短時間で実施可能
・定期健康診断と同時に実施でき、受診率が格段に向上
・巡回型・実施内容充実型に比べ、コストを抑えられる
デメリット・短時間のため、充実した歯科検診とはなりにくい

企業歯科検診にかかる費用

企業歯科検診の費用は、1人あたり3,000円〜5,000円くらいが相場となっています。ただし、具体的な歯科検診の費用は、検診の内容や受診する歯科医院によって異なります。

なお、企業歯科検診は福利厚生の一環とみなされるため、検診費用は経費計上が可能となります。

国の補助金を利用できるケースがある

義務化が検討されている国民皆歯科検診に先駆け、企業歯科検診に対して利用できる補助金も存在しています。主な補助金として挙げられるのは以下の2つです。

  1. 人材確保等支援助成金
  2. 健康保持増進計画助成金

人材確保等支援助成金の中でも、「雇用管理制度助成コース」が企業歯科検診における補助金として該当します。なお、人材確保等支援助成金と健康保持増進計画助成金は、どちらも認定における条件があるため、補助金を申請する際には十分に確認するようにしましょう。

参考:人材確保等支援助成金のご案内|厚生労働省

参考:健康保持増進計画助成金|厚生労働省

健康保険組合から補助を受けられる場合も

国・厚生労働省の取り組みである補助金制度以外にも、加入者を対象として健康保険組合が歯科検診を無料で実施している場合があります。つまり、企業歯科検診の実施において、検診費用の補助を受けられる場合があります。

したがって、企業・従業員が団体で加入している健康保険組合に対して、歯科検診の補助制度があるのかを確認してみるのが大切です。その際も、対象の要件をしっかりと把握しましょう。

まとめ

企業歯科検診を通して従業員が歯や口腔の健康を保つことで、全身疾患の予防や早期発見など、多くのメリットが期待できます。そして、各個人の健康促進が実現すると、業務の生産性や営業業績の向上などにもつながります。

また、2025年より義務化が検討されている「国民皆歯科検診」制度を受け、企業側への従業員に対する企業歯科検診が義務付けられる可能性があります。企業歯科検診には時間や費用などが発生しますが、それらを超える利点があることが考えられます。

自社に企業歯科検診制度を導入する場合には、歯科検診の特徴やメリット・デメリットを十分に考慮して、目的に沿った最適な歯科検診を導入しましょう。

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