「精算」と「清算」の違いとは?言葉の意味や使い分け方を解説

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  • 「精算」は、金額を細かく計算することであり、経費の計算や立て替えなどの場面に用いる
  • 「清算」は、関係を解消することであり、借金の返済や会社の廃業手続きなどの場面に用いる
  • 「精算書」と「清算書」は、ビジネスシーンでは明確に使い分けされていないことが多い

「精算」と「清算」はどちらも同じ読み方をしますが、意味や使い方が異なります。適切に使い分けられないと、意思疎通が上手くできない可能性があります。本記事では、「精算」と「清算」の意味の違いや使い分け方、「精算書」と「清算書」の違いについても解説します。

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目次

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  1. 「精算」と「清算」の違いとは
  2. 「精算する」と「清算する」の使い分け方
  3. 会社の廃業における3種の「清算」
  4. 「精算書」と「清算書」の違い
  5. 同音異義語の「成算」について
  6. まとめ

「精算」と「清算」の違いとは

「経費をせいさんする」ときに、「精算」と「清算」のどちらを使うべきかは決まっています。また、「せいさんしょ」を作る際は「精算書」と「清算書」も同様です。

精算と清算は漢字と読み方が非常に似ています。そのため、使い分け方を正しく理解しないまま使用しているケースも少なくありません。

しかし、精算と清算には明確な違いがあります。ビジネスシーンで誤った使い方をすると、大きな誤解が起きかねません。無用なトラブルを防ぐには、精算と清算それぞれの意味を正しく理解して使い分けることが大切です。

本記事では、精算と清算の意味の違い・使い分け方のポイントを解説します。

精算:金額を細かく計算する

「精算」の意味は、金額を細かく計算することです。なお、「精」には細かい・詳しいなどの意味があり、「算」は数を数えるという意味を指します。ビジネスの場で使われる「せいさん」のほとんどは精算です。精算の使用例は、以下のとおりです。

  1. 出張で立て替えていた交通費を月末に「精算」する
  2. 打ち上げの飲み会の割り勘代を後日「精算」する
  3. バスの乗り越し運賃を「精算」する

精算では、ある出費に関する明細を細かく列挙して計算します。出費の内訳を知りたいとき・料金の過不足分を明確にして支払う際には、精算を用いましょう。

清算:関係を解消する

「清算」の意味は、何らかの関わりを綺麗に解消することです。「清」という漢字には、整理する・綺麗にするという意味があります。

そのため、清算は一区切りをつけるという意味合いで用いられるのが一般的です。お金に限らず、人間関係を区切る際にも用いられます。清算の使用例は、以下のとおりです。

  1. 借金をすべて「清算」する
  2. 転職して人間関係を「清算」したい
  3. 廃業の前に財産処分して会社を「清算」する

清算は、精算に比べるとビジネスの場での使用頻度は低めです。ただし、業種や取引の内容によっては清算を使う場合もあります。原則として、支払い(金銭の受渡)によって契約が終了するような場面では清算を用いましょう。

よくある誤用例とその正しい使い方

日常的な文章や会話では、「精算」と「清算」が混同するケースが少なくありません。例えば、借金を返済する場面で「借金を精算する」と書いてしまうことがありますが、正しくは「借金を清算する」と表現すべきです。

また、飲み会の会費を割り勘で処理する場合に「会費を清算する」と言ってしまうことも想定されますが、正しくは「会費を精算する」と表すのが適切です。

このような誤用は一見些細に思えるものの、契約書や公式文書において誤った言葉を使うと、大きな誤解と信用低下につながる可能性があります。文脈ごとに正しい用語を意識的に選ぶことが、誤用を防ぐ最も効果的な方法です。

辞書的な意味と実務上の意味の違い

辞書的に「精算」は「金額を細かく計算して収支を確定させること」、「清算」は「関係を整理して決着をつけること」と定義されています。しかし、実務上の使い方を比較すると、より明確な役割分担が存在していると判断できます。

例えば、経理業務や日常の支払い場面では「精算」が使われ、金銭的な処理を正確に行う意味合いが中心です。一方、「清算」は法律や会社運営に関連する場面で多く見受けられ、債務・法人関係を終結させる工程を指すことが多いです。

このように、辞書的な意味だけでなく、実務における慣習や専門領域での使われ方を理解することで、誤解なく正しい表現を選べるようになります。

「精算する」と「清算する」の使い分け方

精算と清算は混同しやすいです。ビジネスにおいては、不適切な用語が原因で取引先などとの間で誤解が生じることは少なくありません。お金関連の重大なトラブルを避けるためにも、精算・精算それぞれの使用シーンを把握する必要があります。

ここでは、精算・清算の具体的な使い分け方を場面別に解説します。

「精算」を使う主な場面

ビジネスの場で「せいさん」という場合は、基本的に精算を用います。代表的なのは、経費・飲み会・レジ締めなどの場面です。以下では、それぞれの使い方・意味などを解説します。

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経費の計算や立て替え

原則として、経費の計算には精算を使います。「経費精算」「立替精算」「旅費精算」のような使い方が代表的です。経費精算・立替精算とは、業務上発生した経費を従業員が肩代わりし、その立替分を後日会社が支払うことです。

例えば、営業先に渡す手土産代は、まず営業担当者が代金を立て替え、後日会社に請求するのが一般的です。立て替え分の金額を細かく計算するステップが「経費精算」または「立替精算」にあたります。

経費精算の場合は、何に対してお金を支払ったのかを証明するために、経理へ領収書類の提出が求められます。なお、業務に不要と判断された支出は、当然ながら経費精算の対象にはなりません。

飲み会の割り勘支払い

1つの支払いに対し、複数人からお金を集める場合も精算を用います。代表的なのは飲み会の割り勘の支払いです。

一般的には、会社の飲み会の支払いは代表者が一括して行ない、後日に支払い代を参加者の頭数で割った料金を各人から徴収します。この頭数分の代金を計算する流れを精算と呼びます。

なお、よく間違われやすいのは精算と支払いです。あくまで、精算は支払金額を計算することです。対して、支払いとは精算金額(現金)を実際に受け渡しすることです。つまり、割り勘代の支払いは、精算→支払いという流れになります。

なお、割り勘代に限らず、精算後は支払いが発生することがほとんどです。

レジ締め(レジの処理)

レジ締めの計算には「精算」を用います。レジ締めとは、飲食店や小売店が営業終了後に、1日の売上を計算することです。レジ精算処理とも呼ばれています。

レジ締めでは、売上伝票の金額とレジ内の現金が一致するかどうかをチェックします。その日の売上高の確認をはじめ、お金の受け渡しが正確に行なわれているかを確認するために必要な作業です。

例えば、お釣りを間違って渡していた場合は、売上額とレジ内のお金が一致しなくなります。お金の致命的なミスを防ぐためにも、レジ締め作業は非常に重要です。

「清算」を使う主な場面

清算は主に、お金・人間関係・貸し借りを綺麗に解消する際に用います。清算は精算に比べると、ビジネスシーンでの利用はあまり多くないです。ビジネスで清算を用いることが多いのは、借金の返済や廃業手続きなど法律が絡む場面です。

以下では、具体的な内容を解説します。

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「清算」はどこで使う?

  1. 借入金の返済
  2. 会社の廃業時の手続き

借入金の返済

借入金を清算するとは、借りていたお金を全て貸主に返すことです。事業の資金繰りのための借入金を返済する場合などに用いられます。会社だけでなく、個人の借入金を返済する場合も清算が用いられます。

会社の廃業時の手続き

会社の廃業時の諸々の手続きにも清算が用いられます。なお、会社の廃業では解散・清算というステップを踏みます。解散とは、会社の事業を停止した状態です。活動を停止しただけであり、まだ会社は消滅していません。解散後に会社の清算へと移ります。

会社の清算とは、会社が持つ財産・負債をすべて整理することです。具体的には、会社が持つ財産(不動産や設備)をすべて換金し、負債の返済や従業員の賃金の支払いに充てます。各種の支払い後に残った財産は、株主などに分配されます。

会社が債務超過している場合は、財産の換金分だけでは負債の清算が不可能です。この場合、裁判所の監督の下で、破産手続または特別清算という処置が施されます。いずれも会社の負債を整理し、会社を消滅させるための手続きです。

会社の廃業における3種の「清算」

会社の廃業における「清算」には、通常清算・特別清算・任意清算といった3つの種類があります。ここでは、それぞれのどのような清算方法なのかを解説します。

  1. 通常清算:債務を完済できる場合の清算方法
  2. 特別清算:債務を完済できない可能性がある場合の清算方法
  3. 任意清算:社外の人間が清算人を担当する清算方法

通常清算

通常清算は、解散した会社に残った財産等で債務のすべてを支払うことができる場合の清算方法です。通常清算は倒産手続きに含まれず、裁判所の監督を受けることもありません。

特別清算

特別清算は、債務超過の疑いがある場合に行われます。会社に残った資産で債務が完済できない可能性があると、通常清算ではなく特別清算が行われます。特別清算の場合は裁判所への申し立ても必要となり、裁判所の監督の下で清算手続きを進めていきます。

なお、特別清算の対象となるのは株式会社のみです。

任意清算

任意清算は、定款や総社員の同意などの自主的な判断により、会社を解散する場合に行われます。会社財産の処分方法を任意に決めても、債権者を害する恐れが少ない「無限責任社員」がいるため、合名会社・合同会社のみが対象です。

社外の人間が清算人を担当するのが特徴です。

「精算書」と「清算書」の違い

精算と清算の使い分けで間違われやすいのが「せいさんしょ」です。ビジネスの場面では、精算書・清算書のどちらも用いられます。

精算書とは

精算書は、お金の使い道と支払先、そして出費の内訳を細かく計算した書類です。代表的なのは「経費精算書」です。

経費精算書とは、従業員が業務のために立て替えた代金を会社に請求する際、経理部に提出する書類です。交通費・手土産代・飲食代などの内訳や支払先を細かく明記して、お金をどのように使ったのかを明確に証明するための書類となります。

経費精算の対象となるもの

会社で経費となる費用は人件費を含め多く存在しますが、従業員が申請する経費として一般的によく使われる費用には、以下のようなものが挙げられます。

  1. 消耗品費:事務用品や日用品など
  2. 接待交際費:営業活動の一環で取引先と飲食をする費用
  3. 旅費交通費:業務で移動や出張をする際の費用
  4. 通信費:インターネット料金や電話料金、切手代など
  5. 支払手数料:銀行の振込手数料や税理士への相談料など

その他、会社としては研究開発費、広告宣伝費、地代家賃、減価償却費、福利厚生費、修繕費、租税公課などを経費として計上します。

清算書とは

清算書は金銭の受渡の証明のために作られる書類です。例えば、代金・借金を支払う際には、証明書として清算書が発行されます。なお、ビジネスの場において、精算書と清算書は区別されずに使われているのが実情です。

精算書・清算書の表記の仕方で迷った場合は、精算書としておくのが無難です。が実情です。もし精算書・清算書の表記の仕方で迷った場合は、精算書としておくのが無難です。

同音異義語の「成算」について

ビジネスの場では精算・清算のほかに「成算」を用いることもあります。成算とは、物事が成功する見込みを意味しビジネスの場では精算・清算の他、「成算」を用いることもあります。成算とは、物事が成功する見込みを意味します。物事を成功させるための見通し・方法を成算と呼ぶこともあります。成算の使用例は、以下のとおりです。

  1. 新商品を大ヒットさせる「成算」がある
  2. 新人を優秀な営業担当者に育てるための「成算」
  3. このままでは次のコンペで勝てる「成算」が立たない

成算という場合、「算」の意味はもくろみ・計画を意味します。一方の「成」は成し遂げるという意味があります。成算はお金関連の言葉ではないため、ビジネスシーンでの使い分けに注意しましょう。

まとめ

精算はお金を細かく計算する意味を指すのに対し、清算には物事をきれいに解消するという意味があります。精算と清算はよく似た言葉のため、実際のビジネスの場では区別されずに使われることも少なくありません。

しかし、精算・清算を混同して用いると、取引先との間で大きなトラブルが生じる可能性があるため注意が必要です。それぞれの意味を把握して、正しく使い分けましょう。

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