社内SNSのルールとは?必要性や運用ルールの具体例を解説

Check!
- 社内SNS利用時は、健全なコミュニケーションや社員の負担軽減のためにルールが必要
- 社内SNSは利用時間を明確化し、機密情報の投稿禁止などの基本ルールを設定する
- 社内SNSのルール設定時は多くの社員の意見を反映し、平等性を保つようにする
社内SNSとは、社員や部署間でやり取りができるSNSツールです。コミュニケーション活性化のために導入する企業が増えていますが、効果的な活用には運用ルールの策定が必要です。本記事では、社内SNSを利用する際に設定すべきルールや設定時の注意点を解説します。
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
社内SNSにおけるルールの必要性

社内SNSとは、企業内部などビジネスの場で使用されるSNSツールを指します。日常的な情報共有からプロジェクトの進捗管理、社員間の交流におけるコミュニケーションを活性化し、業務の効率化やチームワークの強化を図ることを目的に導入されています。
しかし、社内SNSの運用においては、さまざまな理由からルールを設けることが大切です。ここでは、社内SNSにおけるルールの必要性について解説します。

社内SNSとは?メリット・デメリット、ツールの機能や選び方を解説
社内SNSとは、社内限定で利用できるビジネス用SNSのことです。社内のコミュニケーション不足の解消や迅速な情報共有の手段として役立ちます。本記事では、社内SNSをよく知らない方・導入を検討している方のために、社内SNSのメリットや機能、選び方を解説しています。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
社内SNSにおけるルールの必要性
社内のコミュニケーションを健全に保つため
社内SNSは、社員が自由に意見を交換し、情報を共有するプラットフォームとして機能します。しかし、その自由さが職場の調和を損ねる原因にもなり得ます。特に、個人の感情や意見が絡む投稿は、他の社員に対して誤解や不快感を与えるリスクが高いです。
そのため、差別的や攻撃的、不適切と判断される言動に対するルールづくりが求められます。主に、性別や人種、宗教、年齢などに関する不当な発言、職場内の嫌がらせにあたる行為などが該当し、健全なコミュニケーションを保つ必要があります。
社員の負担を軽減するため
社内SNSが適切に管理されていない場合、社員の負担やストレスの原因となることがあります。原因として挙げられるのは、情報過多による判断の難しさや、常にオンラインであることへの緊張感などです。
こうした状況を避けるためには、投稿の頻度や利用する時間帯、内容の適切性などを定める必要があります。また、利用ルールの設定によって情報の優先順位を明確にすれば、不必要なコミュニケーションを減らすことが可能です。
さらに、社員間の過度なやり取りを避けることでプライベートな時間と勤務時間を切り離し、ワークライフバランスの向上にもつながります。
社員が積極的に参加できるようにするため
ルールがない状態だと何を投稿して良いのか、どの程度まで意見を述べて良いのかを判断するのが難しく、参加を控えることがあります。そのような状況では、社内SNSが盛り上がらず導入に失敗してしまいます。
社員が積極的に参加できるようにするには、明確なガイドラインの設定が必要です。例えば、投稿のテーマや内容の枠組みを設けること、適切な言葉遣いや表現方法に関する指針を明示することなどが代表的です。
明確なルールがあることで、社員は自分の発言や行動に自信を持ちながら、安心して社内SNSに参加できます。
セキュリティを強化するため
社内SNSは、企業で利用されることが前提のツールのため、アクセスコントロールがしやすいです。また、ツールの多くには、外部から盗み見されることを防止する暗号化機能が標準搭載されているなど、セキュリティ対策も充実しています。
しかし、ツールのセキュリティ対策が万全でも、社員が適切に社内SNSを利用できないと、不正アクセスや第三者からの盗み見などにより、個人情報や機密情報の漏洩が発生する恐れがあります。
そのため、業務終了後やプライベートな時間にはアクセスしない、個人情報・機密情報の投稿はしないなどのルールを設けましょう。徹底したルール設定により、セキュリティ強化を図れます。
社内SNSの基本的な運用ルール

社内SNSの運用では、最初に利用時間の明確化や管理者の選定など、基本的なルールを策定することが重要です。ここでは、社内SNSの基本的な運用ルールについて解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
社内SNSの基本的な運用ルール
利用時間を明確にしておく
社員が業務時間中にSNSを使用すると、仕事の中断や注意力の散漫が生じる可能性があります。タスクの遂行速度が低下した分だけ、全体の業務効率に影響を及ぼしかねません。
そのため、利用時間を明確にして、業務時間内のSNSの使用を限定することが大切です。業務に集中する時間を確保しつつ、社員のワークライフバランスの保護にもつながります。
また、利用時間を定めることで、仕事の終了後や休日における社内SNSの使用を自制し、社員がプライベートな時間を充実させることが可能です。
機密情報の投稿を禁止する
機密情報とは、未公開の製品情報や戦略計画、財務データ、個人情報など企業の競争力に直接影響を及ぼす情報のことです。これらの情報が不適切に共有された場合、競合他社による情報の悪用、顧客の信頼喪失、法的な問題といった損害が生じる可能性があります。
社内SNSを利用する際には、機密情報の投稿を禁止し、社員に重要性を認識させることが重要です。機密情報の扱いに関する明確なガイドラインを設けることは、社員の意識を高めるとともに、誤った情報共有によるリスクを最小限に抑えられます。
管理の担当者を決める
社内SNSの効果的な運用を行うには、管理の担当者を明確に決めることが大切です。担当者は、トークルームの新規開設やアクセス権限の設定など、SNSの運用における重要な役割を担います。
トークルームの管理では、どのようなトピックやコミュニケーションが必要かを見極め、適切なトークルームを設ける責任があります。また、アクセス権の管理では、特定の社員に情報が届くように制限を設ければ、情報の過剰な共有を防ぐことも可能です。
私的利用を制限する
社内SNSは、主に業務に関連するコミュニケーションや情報共有のためのツールです。私的な用途での利用が増えると、業務への集中力を妨げて全体的な生産性の低下を招く可能性があります。
そのため、職場の効率性を維持する上では、私的な使用を制限したルールを設けることが大事です。また、職場でのツールがプライベートな用途で使われると、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。
私的利用を制限することにより、仕事とプライベートを明確に区別し、メリハリのある職場環境を構築できます。
他ツールとの使い分けルールを決める
社内SNSやメール、チャットアプリなどは、それぞれ異なる特性を持っています。そのため、用途に応じて使い分けることが重要です。
例えば、メールは公式的でフォーマルなコミュニケーションをはじめ、長期間の保存が必要な情報の交換に適しています。一方、社内SNSは迅速なやり取りや少ない情報の共有、チーム内での協働に最適です。
そして、他のチャットアプリは、特定のプロジェクトチームや目的に限定した利用といったように、特性に合わせて使い分けましょう。こうした運用ルールの周知により、情報の過不足を防ぎつつ、コミュニケーションの効率を高められます。
社内SNSを効果的に活用するためのルール

社内SNSを効果的に活用するためには、プロフィール写真の設定やステータス入力の徹底などのルールを設けることが大切です。ここでは、社内SNSを効果的に活用するためのルールについて解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
社内SNSを効果的に活用するためのルール
プロフィール写真を設定する
プロフィール写真は、デジタルなコミュニケーション空間における個人の「顔」として機能します。写真を設定することで、他の社員が投稿者を容易に識別し、より親密なコミュニケーションを築くことが可能です。
特に、顔写真があるプロフィールは信頼性が高いと感じられる傾向にあります。社内SNSにおけるコミュニケーションの透明性を保ちつつ、組織全体の信頼感を高めることが可能です。
アカウント名やグループ名を統一する
社内SNSを効果的に活用するために、アカウント名やグループ名を統一させましょう。具体的には、ニックネームは避けたり、苗字だけ・名前だけではなくフルネームにしたりするなどです。これにより、メッセージや投稿の発信者がわかりやすくなります。
また、グループ名においては、部署名とプロジェクト名を入れることも重要です。その際、部署名とプロジェクト名の順番も統一すれば、社内SNSの担当者がユーザーやグループ管理がしやすくなります。
リアクションに関するルールを決める
投稿への「いいね!」やコメントなどのリアクションは、社内の交流やフィードバックの過程で重要な役割を果たします。しかし、どのようなリアクションが適切なのかが曖昧な場合、誤解や不適切なコミュニケーションが生じる可能性があります。
例えば、業務関連の投稿に対しては専門的・建設的なコメントを基本とし、軽率なリアクションは避けるべきです。対して、個人的な投稿や軽い話題には、カジュアルなリアクションが適しています。
ステータス入力を徹底する
ステータスとは、個人の現在の業務状態を示す機能を指し、「休憩中」「会議中」「在席」などの情報が挙げられます。このようなステータス入力を徹底することで、社員同士がお互いの状況を即座に把握し、適切なタイミングで交流を図れます。
例えば、緊急ではない事項について、「休憩中」や「会議中」のステータスが設定されている社員に対しては、ステータスが外れた後で連絡することで、スムーズにやり取りができます。また、ステータスによって、業務時間外や休憩時間を明確にすることが可能です。
そのため、他の社員が特定の時間帯に連絡を控える文化を作ることができ、業務とプライベートの境界線を保てます。
定型的な挨拶文は省略する
通常のビジネスコミュニケーションでは、「お疲れ様です。〇〇部の〇〇です」などの挨拶文が一般的です。しかし、社内SNSのような即時性が求められるコミュニケーションツールでは、このような定型文がコミュニケーションの流れを阻害することがあります。
挨拶文の省略はメッセージの交換をより迅速にし、議論の本質に向き合いやすくなります。さらに、定型的な挨拶文の省略で社内SNSの使用を目的志向にし、無駄の削減も可能です。
ポジティブな投稿を心がける
ポジティブな投稿とは、同僚の成功を称賛するメッセージやチームの成果を祝う投稿、励まし・感謝の言葉など肯定的な内容を含むものです。このような投稿は、社員間の信頼と協力を促進し、モチベーションの向上に役立ちます。
例えば、プロジェクトの成功を共有することで、チーム全体の士気を高め、今後の取り組みへの自信を育むことができます。また、個人の努力や成果に対してポジティブなフィードバックを行うことは、相手の自尊心を高めるために重要です。
反対に、悪口やネガティブな投稿、厳しい指摘を行うことは避けましょう。そのような投稿は相手に不快感を与え、トラブルの発展や職場の雰囲気を悪化させる要因となります。
社内SNSが効果的に活用されないルール

社内SNSが機能しなくなり、効果的に活用されないのはルールが原因であることが多いです。ここでは、社内SNSが効果的に活用されないルールについて解説します。
投稿に対して必ず返信・リアクションが必要
「誰かが投稿したら、必ずコメントかリアクションをしなくてはいけない」といった強制的なルールを設けると、気軽に投稿できなくなってしまいます。各投稿への返信・リアクションに対して義務感を感じてしまうと、社内SNSが活用されにくくなるでしょう。
対策としては、反応がなくても大丈夫な投稿のカテゴリと、反応を推奨する投稿を分けて明示することが挙げられます。気軽な情報共有と重要度の高い議論を分けて運用するのがおすすめです。
投稿にチェック・承認制が加わる
投稿はすべて上司に事前確認を取る、誤字・脱字があった場合は必ず注意が入るなど、一つひとつの投稿にチェック・承認制が加わると、自発的な社内SNSの利用が抑制されてしまいます。本来、SNSは素早い情報共有によるリアルタイム性が特徴です。
しかし、発言のハードルが上がってしまうと言葉選びに時間がかかり、心理的なブロックによって若手や非管理職であるほど発言を控えるようになってしまいます。ルールは守らせるために設定するのではなく、使いやすくするために設けるという意識が大事です。
社内SNSのルールを設定する際の注意点

社内SNSのルールは規制のように多くを盛り込んだり、担当者だけで策定したりすることは避けるべきです。ここでは、社内SNSのルールを設定する際の注意点について解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
社内SNSのルールを設定する際の注意点
ルールは必要最低限にとどめる
ルールが過剰になりすぎると、本来の目的である円滑なコミュニケーションを妨げる可能性があります。複雑で厳格なルールは、社員にとって使いづらいものになりかねず、社内SNSの利用を減少させる要因になります。
例えば、過度に細かい投稿ガイドラインや頻繁な報告義務は、社員が自由に意見を交換することを阻害するでしょう。
多くの社員の意見を反映させる
多様な意見を反映させることで、ルールが実際の職場環境や社員のニーズに合致しやすくなります。社内SNSは、異なる部門や職位の社員が利用するため、一方的なルール設定では、特定のグループのニーズを見落とす可能性があります。
例えば、営業部門と研究開発部門では、コミュニケーションのスタイルや必要とされる情報の種類が異なる場合があり、この違いを考慮したルール設定が必要です。また、社員の意見を積極的に取り入れることは、職場の参加意識を高める効果があります。
社員がルールの設定に参加することで、単なる上からの指示ではなく、社員全員の合意に基づいているという印象を与え、職場全体の協調性と満足度の向上につながります。
全員に平等に適用させる
特定の役職や部署の社員のみルールが免除されるといった例外を設けると、社内で不公平感を生じさせ、組織の信頼性を損なう原因となります。その結果、他の社員のモラルに悪影響を及ぼし、職場内の連帯感を弱める可能性があります。
ルールが受け入れられやすい体制を整えるには、ルールを全員に平等に適用して、公正な職場環境を保つことが大切です。ルールを遵守する社員が増えれば、社内SNSの効果的な使用が促進されます。
また、ルールを全員に平等に適用することは、組織の一体感を強化する効果もあります。
ルールの周知を徹底する
ルールを設定しても社員から認識されていなければ、その存在意義は薄れます。社員一人ひとりがルールを明確に把握している状態なら、誤解や不適切な使用を防ぎつつ、社内SNSを効果的に活用することが可能です。
ルールの周知には、定期的なメールの送信や社内会議での説明、掲示板・社内ポータルへの掲載など、さまざまな方法を活用しましょう。徹底して周知を行えば、社員はルールを深く理解し、日々の業務においても遵守するようになります。
定期的にルールを見直す
職場の環境や業務におけるニーズは常に変化しているため、社内SNSのルールは定期的に見直しましょう。社内SNSの使用方法や必要性には、技術の進歩、組織の構造変化、業務プロセスの更新など、多くの要因が影響を及ぼす可能性があります。
例えば、新しいコミュニケーションツールの導入や業務プロセスの変更に伴い、社内SNSの利用規範も変更が必要になることが考えられます。そのため、ルールを策定した後も変化に合わせて適宜更新していくことが大切です。
まとめ

社内SNSのルール設定は、職場のコミュニケーションと業務効率の向上において不可欠です。また、社員間の過度なコミュニケーションによる負担の軽減や、セキュリティを強化する上でも重要といえます。
基本的なルールとして、業務時間内に利用時間を設定して、業務終了後やプライベートな時間には利用しない、機密情報の投稿は行わないことが重要です。また、アカウント名やグループ名の統一、ステータスの入力を徹底することで、効果的に活用できます。
策定するルールは必要最低限にとどめることで、社員は積極的に社内SNSを利用可能です。多様な社員の意見もルールに取り入れ、実際の業務に即した適切なガイドラインを作成しましょう。
この記事に興味を持った方におすすめ