交通費精算書の書き方とは?作成時の注意点・無駄を防ぐ対策も解説

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- 交通費精算書とは、従業員が一時的に立て替えた交通費を精算するための書類である
- 交通費精算書を作成する際は、領収書の提出や定期区間内の除外などに注意する
- 交通費精算の効率化を図るなら、交通系ICカードに対応した経費精算システムがおすすめ
交通費精算書は、従業員が立て替えた交通費を精算する際に必要です。頻繁に処理が発生しますが、ミスや修正も多いため作成の際はさまざまな注意点があります。この記事では、交通費精算書の書き方や作成ポイント、無駄や不正を防ぐための対策などについて詳しく解説します。
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交通費精算書とは

交通費精算書とは、外出や出張で発生した旅費交通費を後日精算するための書類です。会社の規定に沿った交通手段や区間を使用した旨を証明し、経費として請求します。多くの場合は1カ月ごとに精算され、自社の経理担当者が申請内容が適切かチェックします。
自宅と会社の往復は通勤手当とされるため、旅費交通費とは用途区分が異なります。しかし、会社によっては区別せずまとめて交通費とすることもあります。

交通費精算とは、営業活動や出張の際に従業員が立て替えた移動費を会社が精算することを言います。本記事では、交通費精算の申請から精算までの流れや、交通費精算書を書く際の注意点、交通費精算業務を効率化するためのポイントを解説しています。
交通費精算書の必要性
交通費精算所は、従業員が企業に経費を請求するために必要です。旅費交通費は事業に使った経費として精算し、健全な企業会計を維持しなければなりません。しかし、労働基準法においては、交通費の支払い義務は定められておらず、社内で規程を定める必要があります。
社内で定められた規程内で交通費の精算が必要であることを証明するため、交通費精算書が必要とされています。
個人事業主も交通費を精算すれば節税になる
個人事業主でも交通費を精算することで、節税に繋がります。確定申告で申告することになりますが、個人事業主の交通費は「旅費交通費」の勘定科目で処理します。
交通費が経費として認められるには、事業で必要不可欠だったかどうかが基準となります。
例えば、オフィスへの出勤や取引先への交通費などが対象です。一方で家族旅行のような私的な用事で発生した交通費は、経費として認められないため注意が必要です。
そのため、交通費を証明する領収書は、事業で使用したものとプライベートで使用したものに分けて保管しておく必要があります。
交通費と通勤手当・旅費交通費の違い
それでは実際に精算業務へ入る前に、交通費とよく混同しやすいカテゴリについておさらいしていきましょう。
通勤手当
交通費と混同されやすい通勤手当ですが、2つには明確な違いがあります。交通費は「従業員の移動費用」で、通勤手当は「従業員の自宅と会社を往復するための交通費」です。
交通費は経費に区分されるため全額非課税です。一方で、通勤手当は給与として支給され、月額15万円以上の場合は課税対象になります。支給の有無や規定も会社によって異なるため、自社のルールを確認しましょう。
参考:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁
旅費交通費
旅費交通費と交通費を区分したい場合、交通費が日常的な業務で発生する近距離の移動費用であるのに対し、旅費交通費は遠方への出張・移動に関する費用が対象になります。
旅費交通費の主な内訳として、宿泊費用や出張手当などが含まれます。ただし、企業によっては、旅費交通費と交通費を分けずに処理する場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

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交通費精算書の書き方

交通費精算書に必要な記入項目は以下のようなものが挙げられます。しかし会社によって規定は異なるため、会社ごとに規程に従う必要があります。会社の経費精算のフローに則り、必要な記入事項を決めれば精算がスムーズに進むでしょう。
必須記載事項
交通費精算書として成立させるために必要な、必須記載事項は以下の5点です。一点も記載が無ければ精算不可となるため注意しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
氏名 | 社員番号と一致させて個人を特定する |
日付(交通機関の利用日) | ・公共交通機関を利用した日 ・公共交通機関を利用した日まとめて申請する場合は、 時系列が分かるように記入 |
利用した交通機関 | 移動に利用した交通機関 ・新幹線 ・JR ・地下鉄 ・バス ・タクシー ・飛行機 など |
出発駅・到着駅 / 出発地・到着地 | ・出発欄に発車した駅、到着欄は到着駅 ・途中下車した場合は、その駅名も記載 |
金額 | ・上記で記載した経路の料金を記入 ・定期券が通っている区間に含まれる場合、乗越にかかった金額を記入 ・定期利用有の旨を、利用した交通機関の欄に記入 |
任意項目
以下の4点は交通費精算書に記載がなくても問題はありません。しかし、交通費精算書に項目を設けることで会社の経費精算フローを効率化でき、申請者への確認の手間や精算業務の負担軽減に繋がります。
項目 | 内容 |
---|---|
申請日 | ・精算を申請する日付 ・未来の日付になると無効とされるため注意 |
承認印 | 上長や担当者による確認証明印 |
目的地や訪問先 | ・訪問した取引先や顧客の会社名など ・買い物の場合は店名や店舗名まで ・研修や行事の場合はその名前 |
利用目的 | ・備品買い出しの内容や状況 ・出張内容の詳細 など |
交通手段ごとの交通費精算書記入のポイント

交通費精算書は、交通手段ごとにそれぞれ注意すべきポイントは異なります。どの交通手段も利用する可能性が高いため、頭に入れておくとスムーズな精算書作成に繋がるでしょう。ここからは、交通手段ごとの交通費精算書記入のポイントについて解説します。
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バス・電車
バス・電車を利用した場合は、交通機関名・路線・乗車区間・乗り換えルートがわかるように記載しましょう。通常、電車や一般的なバスでは領収書が発行されないため、交通費精算書の記載が証憑となり、正確に作成することが求められます。
ただし、特急列車や指定席がある電車、高速バスや新幹線などの特別な交通手段を利用した場合は、領収書の添付が必要になるケースが多いです。これらは金額が大きく、利用内容も多岐にわたるため、領収書を忘れずに取得しましょう。
また、定期券で通勤している場合、定期券区間は交通費が発生しないため定期券区間は記載しないよう注意が必要です。精算書の記載内容が正確であるほど、確認や承認作業がスムーズに進むため、これらのポイントを押さえておきましょう。
タクシー
タクシーを利用した場合も、利用したタクシーの会社名・出発地・経由地・目的地(往復分)を記載しましょう。また、タクシーは電車やバスと比較して高額になることがあるため、利用理由も明記しておくと経費精算がスムーズに進みます。
タクシーでは領収書の発行が可能なため、必ず取得して交通費精算書に添付しましょう。
社用車・自家用車
業務で車を使用した場合、社用車と自家用車では交通費精算のルールが異なるため注意が必要です。
まず、社用車を使用した際にかかった費用は、すべて経費として精算が可能です。特にガソリン代は全額経費として計上できるため、給油した際の領収書を必ず添付しましょう。また、企業によっては、ETC利用明細や駐車券の写しの提出が求められることもあります。
一方で自家用車は、プライベート利用との明確な線引きが重要です。そのため、企業によってルールが定められていることがあり、ガソリン1リットルあたりの目安金額と走行距離からガソリン代を算出するケースが多いです。
飛行機
飛行機は、出張や長距離移動で利用するケースが多く、費用が高額になりやすいです。そのため、他の交通手段よりも交通費精算は厳しく精査されることもあるため、精算書の作成には十分注意しましょう。
まず精算書には、搭乗日・利用した航空会社名・便名・出発空港・到着空港・航空券の費用などを記載しましょう。合わせて、勤務先から空港までの交通費も忘れずに明記することで、正確な交通費を精算できます。
また、航空券を購入した際の領収書と、搭乗の際に渡される航空券の半券を添付して提出しましょう。企業のルールによっては、領収書がないと精算が認められないケースもあるため、事前に自社のルールを確認して必要な領収書や搭乗証明書を取得することが重要です。
飛行機を利用すると、経路・金額が複雑になりやすいため、あらかじめ移動経路を整理したり、利用便や時間をメモしておくと申請時のミス防止に繋がります。
交通費精算書の作成時に確認したいこと

交通費精算書は従業員が記入するため、記入ミスや不正な記入が発生する可能性もあります。ここでは、正しく交通費を支給するために、交通費精算書の作成時に確認したいことを解説します。
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交通費精算書の作成時に確認したいこと
片道・往復が明記されているか
交通費精算書を作成する際、「片道」なのか「往復」なのかが明記されているかを必ず確認しましょう。この項目は記入が漏れやすいポイントであり、見落としがあると正しい経費の支給ができないことになります。
例えば、往復支払ったにも関わらず片道分しか申請していなかった場合、実際より少ない金額で精算処理されてしまいます。申請の二度手間を防ぐためにも、片道と往復まで記入されているか確認しましょう。
定期区間内が除外されているか
企業が通勤定期代を支給している場合、従業員が提出した交通費精算書のルートに、定期区間が除外されているか確認が必要です。定期区間が含まれている場合、通勤定期代と交通費で二重支給になるためです。
定期区間内の移動であることを失念していたり、記入を怠る従業員もいるでしょう。精算の際には従業員それぞれの定期区間を確認することが大切です。
税金が加算されていないか
交通費は基本的に税込みで支払っているため、税金を加算して申告する必要はありません。勘違いした従業員が別途10%をかけている可能性があるため、注意が必要です。
不要な税金が加算されたまま承認すると、交通費を余分に支払うことになります。そのため、申請区間の値段を調べて把握するなど、正しい値段で申請されているか確認が必要です。
最安ルートになっているか
交通費精算書を作成する際は、移動経路が最安のルートになっているかを確認しましょう。単なるミスの場合もありますが、中には交通費を多くもらうために、実際のルートとは異なるルートで申請されるケースも少なくありません。
経路の妥当性を確認する方法として、経路探索システムや経費精算システムの経路検索機能がおすすめです。これらを利用することで、最適な経路や運賃を検索できるため、不正防止のためにも従業員が正しいルートを記入しているか確認しましょう。
無駄な交通費を発生させないために

交通費精算がずさんになれば、遠回りやわざわざ料金の高いチケットを購入するなどで無駄な交通費の発生を招きます。ここでは、無駄な交通費を支払わないための対策を解説します。
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無駄な交通費を発生させないために
できる限り領収書提出を義務にする
利用した証明となる領収書は、提出することを義務付けましょう。消費税法の関係で、3万円未満の交通費精算については領収書を不要とする企業が多いです。領収書が必須とはならない新幹線も、高額な交通費なので領収書があったほうが確実です。
領収書を保管しておくことで、税務調査が入った際に指摘されることもないでしょう。窓口で領収書が発行できる場合は、領収書を受け取るよう従業員に周知しておく必要があります。
交通手段別のルールを設ける
無駄な交通費の発生を防ぐためには、交通手段に応じたルールを設けましょう。あらかじめ従業員に周知しておくことで、誤った利用や申請を避けることができます。
タクシーの場合
タクシーは電車やバスと比較して交通費が高額になりやすいため、一定の利用制限を設ける必要があります。また、タクシーでの移動は、運転手による遠回りや経路が工夫されないことで、過剰請求されることも少なくありません。
そのため、自社の交通費が無限に膨らむことを防ぐためにも、駅と目的地の距離での利用可否や、長距離は電車で移動するなどのルールを決めておきましょう。さらに利用した後は、領収書の提出を義務付けることで、不正の防止に効果的です。
従業員の自家用車の場合
自家用車の場合は私的な用事で使用することもあるため、経費として精算するためにはルールの細かな設定が必要です。
多くの会社では、仕事での走行距離をもとに精算されており、ガソリン1リットルあたりの金額から割り出されます。例えば、1リットル15円と定めた場合、100キロの走行で1500円が経費として支払われます。
ガソリン代は頻繁に変動するため、自社と従業員の双方に不利益が出ないような料金設定や対応策を考えておくことが必要です。
ルールを就業規則に記載し、周知する
交通費精算は、経費処理の基本的な業務のひとつです。適切に運用するためには、従業員全員がいつでも確認できるように、交通費精算のルールを就業規則に明確に記載し、周知することが求められます。
万が一トラブルが発生した場合、就業規則が周知されていなかったことで、「ルールを知らなかった」「説明を受けていない」と従業員が主張すると、企業側の責任が問われることもあります。
また、入社したばかりの従業員にも入社時の研修などで、周知を徹底しましょう。経費精算マニュアルや就業規則のコピーを配布したり、電子化して共有するのも有効です。トラブルを避けるためにも、交通費精算のルールは必ず周知して曖昧になることを避けましょう。
必ず上長・経理担当者が確認する
交通費精算書は必ず上長や経理担当者が確認しましょう。従業員が単独で記入・提出・承認まで済ませる仕組みの会社も中には存在しますが、万が一不正があっても気がつかないことにもなります。
承認前には必ず上長や経理担当者などの管理側が確認し、単独での交通費精算は避けるべきです。
規定通りの記載を徹底する
規定通りの記載を徹底し、例外は認めないことで交通費精算の運用を確実なものにできます。少しでも例外を認めると、それに乗じて例外を利用する従業員が増えてルールが保たれなくなるリスクがあります。
必要項目の省略や規定外のことは認めず、差し戻しして修正させることが必要です。
経費精算システム導入で交通費精算も効率化できる

交通費精算は日常的に発生する業務ですが、手作業で行う場合は経理担当者の負担が大きくなります。また、ミスが生じると従業員に対して正確な金額を支払えず、トラブルの原因にも繋がります。
そこで、経費精算システムの導入がおすすめです。従業員の情報を登録しておくことで、定期代を除いた交通費の算出や最安値の検索、領収書のアップロードなど、PC上で様々な管理業務ができます。
特にSuicaやPASMOなどの交通系ICカードに対応したものは、専用のカードリーダーにカードをかざすことで、データを交通費精算に活用でき、交通費精算の効率化に繋がります。これによって、経理担当者の負担の軽減や就業規則を徹底できます。
従来の作業負担が減ることで、経理担当が他の作業に専念する時間が増え、正確な計算によって従業員の過重請求もなくなります。

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まとめ

交通費精算は、社員が立て替えた経費を確実に支払うために必要な書類です。運用ルールは会社ごとに定められるため、精算する上で必要となる項目の精算書のフォーマットが必要となります。記入漏れや書き方に不備がないよう、確実なチェックが必要です。
中には遠回りや最安値以外のルートを申告する不正行為や、就業規則を理解せず無駄な交通費を発生させる従業員もいます。これらの不正やミスを防ぐには、就業規則の徹底した周知や承認前の厳重な確認が必要です。
交通費精算では、経理担当者や管理側の業務負担が大きくなりやすいです。従業員の情報を登録して正確な算出ができる経費精算システムを導入すれば、確実かつ効率的に交通費精算が可能になります。本記事を参考に自社の交通費精算を見直し、正しく管理しましょう。
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