派遣社員の交通費精算は?インボイスの影響は?経費精算のポイントを解説

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- 派遣社員の交通費は原則として派遣元が払う
- 派遣社員の交通費は、派遣元が派遣社員に支払い→派遣先に請求という流れで精算する
- 派遣社員に支払う給与の勘定科目は「人材派遣費」である
派遣社員の交通費は、原則として雇用主である派遣元が支払うことになっています。ただし出張の旅費は派遣先が払うなど派遣社員の経費精算は混乱しがちです。この記事では派遣社員の交通費精算の流れや知っておきたいポイント、使用する勘定科目などについて詳しく解説します。
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経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。
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派遣社員の経費精算はどのように行うべきか

派遣社員を雇っている企業では、派遣社員の交通費や出張旅費などの経費精算をどのように行えば良いのかよくわからないというケースも多いかもしれません。
派遣社員の場合、交通費は原則として派遣元が支払います。企業には交通費規程や旅費規程などのルールが定められていることが多いですが、これはその企業の社員にのみ適用されるもので、自社社員ではない派遣社員には適用できないためです。
そのため、外注先が派遣社員に交通費を支払った場合、職業安定法の観点から罰則を受ける可能性もあります。
その他にも本記事では、日当での勤務の場合にどのような経費の申請方法になるのかなどを解説していきます。この記事を参考にして、交通費の支給に関する不安を解消しましょう。
参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局
派遣社員の交通費精算の流れ

派遣社員の交通費の支給には会社規定によって異なります。そのため、基本的には派遣社員が派遣元の交通費申請書に従って記入し、派遣元から派遣先に書式が送付されて請求になります。
派遣社員が派遣元に書類を申請後には、経理担当が勤務経路や金額の確認等の確認に時間がかかる点から、負担になることがあります。
そのため経理担当の負担にならないように、派遣社員は交通費の領収書を保管しておき、実際に支払った金額と領収書との差異がないようにしておく必要があります。一方で、会社によっては業務効率化の為にプリペイドカードや回数券を支給される場合もあります。
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経費精算書の書き方
派遣社員が派遣元に申請する
まずは、経費を申請するために交通費を申請する書式と領収書を準備する必要があります。書式には、自宅からの経路を記入し、領収書は定期券やタクシーなど利用交通機関の明細書を保管しておきます。
経路の記入に関しては、不必要に迂回する経路を記入して交通費を割り増しすると、手続きに時間がかかることや、払い戻しを要求されますので、最短経路を記入しなければなりません。
最近では、定期券の明細のみで申請可能な派遣先もあるため、利用する度に記載や明細を発行する手間を省くことができます。
また、定期券で得をするほど利用回数が少ない場合には、回数券を購入されることをおすすめします。加えて、事前に経理担当が回数券を準備しておくことで、派遣社員に素早く支給できます。
日当の場合は、出張旅費計画規定に正しく明記しなければ、課税対象になる可能性があるので、漏れの無いように書類を作成しなければなりません。
派遣元から派遣社員に交通費を支払う
派遣社員から書類の提出を受けた後、会社の経費を使用するため経理部門が申請内容を確認します。最近では、経費精算システムを導入する企業も多くあるため、比較的早く交通費を受け取れる可能性もあります。
書類の確認作業では、派遣社員の定期利用の有無、最短距離を記入しているか、等のチェック項目があります。
仮に、不必要な経路を含んでいる場合には再度、提出を派遣社員にお願いしなければならないので、支給に時間がかかります。
派遣先が賃金を派遣社員に直接払いすると労働基準法違反となり、又、労働者供給事業に当たる事となるため職業安定法違反に該当します。そのため、法律面にも注意しながら交通費の申請・支払いを行う必要があります。
派遣元から勤務先に請求をかける
契約社員が記入し、派遣元がチェックした書類を勤務先に送付します。そこでも、出勤経路の確認や交通費と通勤の二重払いが無いかのチェックを行います。その後、問題がなければ勤務先から派遣元に請求金額を振り込みます。
交通費を請求する際は消費税を課税する
派遣元から勤務先へ交通費を請求する際は、消費税を課税します。派遣社員の場合、交通費も給与と同じように雇用主である派遣元から支払われます。そのため、交通費も派遣料、つまり派遣サービスの売上の一部として扱われ、消費税の課税対象となります。
勤務先が、派遣社員への交通費を派遣料金の一部ではなく、単なる「交通費」として消費税非課税で処理してしまうと、派遣社員に直接交通費を支払ってしまうことになります。これは、「賃金は雇用主から労働者へ直接支払われる」という原則に反することになります。
参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局
出張旅費等を派遣元が立て替える場合は非課税となる
これまで説明してきたように、派遣社員への交通費は派遣料の一部として派遣元から勤務先へ請求されますが、出張旅費など業務上必要な「経費」については扱いが異なります。
出張旅費等の経費に関しては、派遣先・勤務先双方合意のもと、勤務先が支払うことになっていることがあります。その場合、一旦派遣元がその経費を立て替え、あとから勤務先に請求するとしても、単なる「立替金」の扱いになるため、消費税は課税されません。
参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局
その他の派遣社員の経費についても流れは同じ

上記は交通費の場合の経費精算の流れですが、その他の経費についても派遣社員が経費立て替えを行った場合、基本的には同じように以下の流れで精算を行います。
- 派遣社員が派遣元に経費を申請
- 派遣元が派遣社員に支払い
- 派遣元が派遣先に請求(消費税を課税)
派遣先が派遣社員に直接経費を支払うことはありませんが、発生した経費は最終的には派遣先負担になることを覚えておきましょう。
派遣社員の経費精算で知っておきたいポイント

企業に勤めていると、経費で落とせる項目と落とせない項目が分からないことがあるでしょう。休日出勤やイレギュラー対応によって出勤日数も変動するため、効率的に精算できないこともあります。
加えて、派遣先から出張を依頼されたが、交通費は派遣元か派遣先かどちらに請求すれば良いか、新たに契約が必要なのか分からない場合があります。
また、会社によっては経費申請をする際に、「人材派遣費」または「外注費」・「外注工賃」と3つの項目があり、業務内容によっても異なる場合があります。
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派遣社員の経費精算で知っておきたいポイント
派遣社員の給与の勘定科目は「人材派遣費」
人材派遣費は、派遣元に支払う派遣社員の派遣費用を管理するための勘定項目です。また、派遣されてきた派遣社員に直接報酬を支払う場合は、給与扱いになります。
人材派遣費に関連して、会社や作業内容等によっては外注費・外注工賃として勘定項目が適応される場合があります。そのため、項目が会社によってことなる場合がありますが、金額が変動することはありません。
派遣社員を出張させる場合は派遣先が旅費を負担する
基本的に派遣社員の出張はありませんが、稀に出張する場合があります。その際に、経費で落とせるのでしょうか。派遣元は派遣先までの交通費計算を前提として契約しているため、イレギュラー対応での出張は、派遣先の対応となります。
そのため事前に求人広告の記載事項を確認、または派遣先に出張の有無を問い合わせておくことで、不安を解消できます。
派遣社員を出張させるには契約書が必要
基本的には、派遣先での勤務のためあまり契約される方も多くないかもしれませんが、仮に出張を月に数回する派遣先であれば、労働者派遣事業関係の観点からその旨を契約書に明記しなければなりません。
社員に出張をさせる場合は出張手当(日当)を支払うことが多いですが、派遣社員に対して出張手当を支払う義務はなく、これも契約の内容次第となります。
派遣先の出張の有無について気になる方は、求人広告をよく読み、それでも不安や不明な点がある場合には派遣元までに問合せを行うことをおすすめします。
参考:労働者派遣事業関係|よく聞かれるご質問集 – 東京労働局
派遣社員へのインボイス制度の影響

インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のことです。買手は仕入税額控除を適用するために、売手から一定の要件を満たし交付を受けた適格証明書を保存する必要があります。売手は、事前に適格請求書発行事業者の登録を受け、課税事業者として消費税を申告する必要があります。

インボイス制度とは、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式のことで、取引の正確な消費税額と消費税率を把握するためのものです。本記事では、インボイス制度によって変わることや影響することの他、導入にあたって準備すること・個人事業主への影響について解説します。
派遣社員側が知っておくべきポイント
派遣会社と雇用関係がある場合、派遣社員へのインボイス制度の影響はありません。給与は課税取引にあたらず、適格請求書を発行する必要がないためです。
しかし、派遣会社と雇用関係がない場合は注意が必要です。給与が実際は外注費として支払われているのなら、個人事業主として扱われていることになります。収入が1,000万円未満の免税事業者の場合でも、適格請求書の発行を派遣会社に求められるおそれがあるため、雇用関係の有無を確認しましょう。
派遣社員としての契約以外にも仕事をしており、個人事業主として業務委託を受けている場合も、適格請求書の発行を求められる可能性があります。給与以外に受け取っている報酬がある場合は、契約内容を今一度確認してみましょう。
受け入れ側のポイント①人材派遣料は仕入税額控除の対象
企業側が人材派遣会社に支払う人材派遣料は、仕入税額控除の対象となります。人材派遣会社の派遣先への役務の提供は、人材派遣会社には人材派遣による課税売上となり、派遣先にとっては課税仕入となるためです。企業側は「支払った人材派遣料」+「支払った消費税」を仕入税額控除に含むことができます。
受け入れ側のポイント②会社に求められる対応
取引している人材派遣会社が、課税事業者か免税事業者なのかで対応が異なるだけではなく、大きく損をすることも考えられます。今後の取引についても見直しの可能性が出てくる重要なポイントです。
人材派遣会社が課税事業者の場合
取引している人材派遣会社が課税事業者の場合は、その人材派遣会社が適格請求書発行事業者として登録しているか確認が必要です。適格請求書発行事業者かは、国税庁の公表サイトにて確認ができます。登録事業者であれば適格請求書を発行してもらえるので、仕入税額控除が受けられます。
人材派遣会社が免税事業者の場合
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで | 仕入税額相当額の80% |
令和8年10月1日から令和11年9月30日まで | 仕入税額相当額の50% |
人材派遣会社が免税事業者の場合は適格請求書を発行できないため、派遣会社に支払った消費税などの仕入税額控除を受けられません。
ただし、インボイス制度開始後6年間は、一定割合を控除できる経過措置が設けられています。経過措置期間を利用し、課税事業者になるかどうかを検討する企業も少なくはないので、人材派遣会社との契約内容もあわせて確認しましょう。
参考:5 経過措置 (免税事業者等からの仕入れに係る経過措置) 【答】 適格請求書等保存方
派遣社員も確定申告は必要か

基本的には会社が行うので、派遣社員は確定申告する必要はありません。また、複数の派遣会社を1年間で勤務した場合でも、その時点で勤務している企業に退職時に渡される源泉徴収票を提出することで、派遣社員は確定申告不要になります。
しかし、副業や雑所得として年間20万円以上の収益がある場合には、個人で確定申告しなければなりません。
経費精算システムを活用すれば経費精算がスムーズに

昨今の効率化や生産性を上げることが求められている中で、経費精算システムの導入によって作業効率が各段に向上します。具体的には、クラウド上で経費をまとめて管理するシステムが多く導入されています。
これにより、エクセルで管理するよりも見やすく、経費精算に特化しているため、改めて書式を作成する必要がありません。また、ファイルを探す手間も省けるため、作業効率化にもなります。
最近では、経費の支払いをプリペイドカードで行えるサービスも提供されています。これによって、領収書を発行する手間が省け、リアルタイムで経理担当だけでなく利用者も金額を確認できるため、経費の申請をする必要がありません。
各企業の事情に合わせて、費用面を重視するのか、サービス面を重視するのかを考慮しながら経費精算システムの導入をおすすめします。

おすすめ経費精算システム6選(全26製品)を比較!【2024年最新/比較表付き】
経費精算システムは、経費申請・承認業務を効率化してくれるツールです。しかし、さまざまな製品があるため、どのシステムを選べばよいのかわからないというケースも多いでしょう。この記事では、経費精算システム選びのポイントやおすすめのシステムを紹介します。
交通費計算機能付きのおすすめ経費精算ソフト
株式会社ラクス
楽楽精算
基本情報

ここがおすすめ!
- 領収書やICカードはスマホで読み取れ、社外からでも申請や精算が可能
- 経費精算から会計ソフト連携まで便利な機能が充実している
ここが少し気になる…
- 外国語対応は英語のみ
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電子帳簿保存法・インボイス制度への対応することができ、経費精算のための手間削減にもつながりました。 導入前には紙での経費精算申請書に領収書を添付し、それを元に従業員の口座へ支払いしていました。その過程で、紙の申請書データをExcelに転記→ネットバンキングで取り込める全銀形式の振込データに変換という作業を行なっておりました。紙の申請書であった為に紛失した/送った送ってないなどの問い合わせの対応も多いうえ、金額の転記ミスも少なからずありました。導入したことで、申請者自身が精算状況を確認できるようになり問い合わせが激減、転記する作業時間がなくなり、全てボタンひとつで振込まで終わるようになり、別業務の作業時間に充てることができました。
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これまで出社しないとできなかった経費申請が、外出先や自宅からでも対応できるようになり、現代の働き方と比較しても非常に助かっています。移動中のすき間時間にも処理ができるので、対応の後回しが減り、申請の漏れや遅れも少なくなりました。実際に経理部はかなり助かっているようです。経費処理がスムーズになったことで、承認スピードも早まり、全体の業務効率が上がったと感じています。
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申請が簡単だからか、申請をサボる人がいなくなりました。 そのため、締め日付近に経費担当が申請すべき人たちを突き回しに行くということがなく業務が滞らずに進むようになりました。 必須の項目が空欄だったり解読不能ということがないため、担当の手を煩わすことが減りました。
株式会社マネーフォワード
マネーフォワード クラウド経費

基本情報

ここがおすすめ!
- オンライン上でまとめて経費申請できる
- 従業員や費目ごとに経費利用額が自動でグラフ化
- 不備入力防止アラート機能で入力ミスが減るため、差し戻しの手間が軽減
ここが少し気になる…
- OCR機能の精度があまりよくない
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スマホで領収書を撮影してすぐに登録できるため、経費申請の手間が大幅に削減されました。紙の領収書を管理する必要がなくなり、紛失の心配も減りました。また、経費の承認フローがスムーズになり、申請から承認・振込までの時間が短縮されたのもメリットです。
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PCだけでなく出先からスマホで入力できるため、申請を忘れることが大幅に減りました。また、申請ミスがあった場合もアラートで知らせてくれるので、すぐに修正できてとても便利です。さらに、二重申請まで自動で検知してくれるため、業務効率が大きく向上し非常に助かっています。
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まず第一に、経費申請が紙やエクセルでの提出から電子化されたことで、申請・承認の手間が大幅に削減されたことは大きいです。前職ではすべて紙だったので、一申請に対する時間が10分程短縮されました。営業では、経費申請する機会も多いため、時間短縮効果はとても大きいと思います。 また、レシートをスマホで撮影するだけで自動入力される機能が便利で、手入力の手間がほとんどありません。また、申請の進捗状況もオンラインで確認できるため、承認状況を逐一確認する手間も減り、スムーズに処理が進む点もメリットです。 ちなみに、この読み取り性能がめちゃくちゃ正確で、思ったよりも便利です。"

実際に使ってみたレビュー記事はこちら

【レビュー】マネーフォワードクラウド経費を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある経費精算システムの中でそのサービスを使ったらいいかわからないという方も多くいると思います。そこで今回は「マネーフォワードクラウド経費」の無料登録から使い方まで、利用経験ゼロの筆者が実況形式でお伝えします。
他システムとの比較記事はこちら
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株式会社LayerX
バクラク経費精算
基本情報

ここがおすすめ!
- 差戻しや確認に時間をかけずに済む「ミス防止機能」を複数搭載
- アプリやチャットツールから承認が行え、社内にいなくても承認時間の確保が可能
- 複数枚の領収書でも自動で読み取れる
ここが少し気になる…
- 導入前のサポートを受けたい場合は有償での対応となる
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会社の請求書を全て電子証憑で管理できるため、原本の管理が不要になることはもちろん、バクラクビジネスカードの利用によりクレジットカード利用の申請が簡単になり、「Bakuraku債権・債務管理」を利用することで仕訳処理や会計ソフトとの連携も可能なため、一気通貫での管理が可能です。
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役員の出張旅費精算が多く、紙の出張精算では溜め込みがちで、処理が滞ることが多かったが、移動先でも経費を利用した直後にスマホから簡単に申請できるようになり、申請作業が迅速化された。
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スマホ撮影した領収書をAI‑OCRが数秒で読取・タイムスタンプ付与し、原本破棄が可能に。入力ミス/差戻しアラートで承認スピードが向上し、経理の月末突貫作業を削減。会計ソフトへワンクリック仕訳連携でき、集計から振込データ作成までを同一画面で完結できた。
まとめ

派遣社員は原則、労働基準法違反となり、又、労働者供給事業の観点から派遣元が交通費を支払う決まりになっています。
支給までの流れとして、派遣社員の交通経路を書式に記入し、領収書と合わせて派遣元に提出します。そこから経理部門が内容をチェックし、派遣先に書類を送付すると共に、費用を請求します。
仮に、派遣先から出張を依頼された場合は、契約を交わして派遣先が出張費を支払います。もし派遣先から出張したくない場合には、事前に求人広告や派遣元に問い合わせておくことをおすすめします。
経費精算に関しては、勘定項目は「人材派遣費」または、会社の規定や状況によっては「外注費」や「外注工賃」に当たります。しかし、これらの項目は経費精算システムを導入することで、その都度振り分ける必要がなく効率的な業務が可能になります。
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