サラリーマンが個人事業主になるメリットと知っておきたい税金対策

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副業が順調に成長を遂げて収益が増えてきたら、個人事業主として事業を展開することを考える段階です。
サラリーマンが個人事業主になると、青色申告を行えるようになり、より効果的な税金対策を行えます。
今回はサラリーマンの個人事業主化について解説します。

サラリーマンの副業では「個人事業主」になるべき?

個人事業主とは、法人ではなく個人で事業を営んでいる人のことで、いわゆる「フリーランス」や「自営業」のことを指しています。

サラリーマンが副業を始めて会社の給与以外の所得を得た場合、自動的に個人事業主の扱いになります。

個人事業主になる際には、税務署に開業届を提出することになっていますが、これは義務化されていないため、提出しないままサラリーマンと個人事業主の二足のわらじを履いている人も大勢います。

ただし、開業届を出していなくても、副業分で得た収益は会社の給与とは別に課税されるため、税務署で確定申告を行った上で納税する必要があります。

事業を行う場合には、個人事業主のほかにもうひとつ、「法人化」という選択肢もあり、これは文字通り法人を立ち上げる、つまり新たに会社を設立するやり方です。

法人化する場合は、会社の定款を作成して公証役場で認証し、法務局で設立登記をしなければならず、さらに税務署や年金事務所に設立届を提出するなどの事務処理が発生するため、税理士の協力のもと作業を進めるのが一般的です。

個人事業主よりも手間と費用のかかる法人ですが、法人化すると事業の利益を所得税ではなく法人税として納税できるという大きなメリットがあります。

個人事業主の利益には所得税がかかりますが、所得税は累進課税であるため、利益が増えるほど税率は高くなります(最高税率で45%)。

一方、法人税の税率は23.2%(年間所得800万円以下の場合は15%)に固定されていて、この税率は所得税と違ってどれだけ巨額の利益を稼いでも変動することがありません。

そのため個人事業主の多くは、収入が大きくなってくると事業を法人化し、法人から自身への給与を抑制して所得税の累進を抑え、残りの収益は会社内部に保留することで課税を法人税だけで済ませようとします。

所得税の税率が22%から33%に切り替わる(法人税の税率を超える)のは年収900万円からなので、年間の収益が900万円を超えたあたりで法人の立ち上げに着手する個人事業主が多いようです。

サラリーマンの副業では、まず個人事業主として事業を始め、年収900万円を超える規模になった段階で法人成り(法人化)を検討しましょう。

副業では開業届を税務署に提出すべき?

個人事業主は税務上は「開業届」という書面を税務署に提出することで、始めて個人事業主として認められます。

開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」という名称で、新たに事業を開始したときのほか、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき、あるいは事業を廃止したときに行う手続きです。(所得税法第229条)

開業届には、氏名、住所、生年月日、開業日のほか、所得を得ている職業や屋号、所得の種類などの情報を記載します。

開業届は事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出するよう定められていますが、サラリーマンの副業の場合、急いで出す必要はありません。

開業届の税務署への提出は義務付けられておらず、提出しないまま事業を始めても特にペナルティはないので、ビジネスが軌道に乗るまでは待って、毎月まとまった収益を安定して稼げるようになった段階で、提出するのがいいでしょう。

実際、開業届を出さずに副業を続けても、実務上の問題はなく、確定申告による納税も普通に行えるので、開業届を出さないままビジネスを続けている人もたくさんいます。

ではなぜ、収益の規模が大きくなった時点での開業届の提出を勧めるかというと、開業届の提出で税務署に個人事業主として認められることで、確定申告の際に「青色申告」を選べるようになるためです。

次の章では、個人事業主の青色申告にはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

サラリーマンの副業で青色申告をするメリットとは?

副業をしているサラリーマンは、税務署に開業届を提出し、個人事業主として登録することで、確定申告の際に青色申告を選択できるようになりますが、そこにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず、確定申告の内容からおさらいしていきましょう。

確定申告は、毎年2月16日から3月15日の間に、前年1年間(1月1日から12月31日)の仕事で得た所得を明らかにし、国に収めるべき所得税を計算した上で、税務署に報告して納税を行う処理です。

サラリーマンが会社から得た給与は、手元に届く前に所得税が引かれているので(源泉徴収)、確定申告を行う必要はありませんが、会社を通さずに稼いだお金は、確定申告でその詳細を税務署に報告し、自分で所得税を支払わなければなりません。

サラリーマンの副業は、まさに確定申告が必要なケースで、年間20万円以上の利益があった時点で、税務署に副業の収支や経費を報告する義務があります。

ただし、この「年間20万円以上の利益」は、「収益」ではなく「利益」である点に注意しましょう。

利益とは、収益の中から収益を得るために必要な経費をマイナスして残った金額のことを指し、収益のために購入した物品やサービスの費用を経費として計上することで、利益を小さくすることができます。

例えば副業で年間100万円の収益を稼いだとしても、その過程で必要になった機材やレンタル代の資料代や交通費などの経費を引いた後に残ったのが10万円であれば利益は10万円で、「年間20万円以上の利益」には該当しないため確定申告の必要はない、ということになります。

確定申告には「白色申告」と「青色申告」という2種類の方法が用意されており、そのどちらを選ぶかによって、経理の労力や税金対策は大きく変わってきます。

白色申告と青色申告の違いは、以下の通りです。

白色申告

確定申告の手続きを平易にした簡略版の申告方式です。

提出する書類は確定申告書と収支内訳書のみで、確定申告書には収入や所得や税金の金額を記入し、収支内訳書には、収入や経費を勘定科目ごとに入力します。

収支報告書は単式簿記なので、項目ごとに数字を列挙しただけのシンプルな一覧になります。

青色申告

複式簿記による記帳に基づいた正式な申告方式で、提出する書類は、確定申告書と収書報告書に加えて、貸借対照表と損益計算書が必要になります。

貸借対照表は資産、負債、純資産の内訳を貸方と借方に分けて記載した表で、損益計算書は売上全体に占める営業利益、経常利益、純利益などを明らかにした書面です。

いずれも事業資金の賃借や増減の状況を正確に記録できますが、作成には高度な経理の能力が必要です。

白色申告は提出書類が少ない分、経理の処理が簡単に済むため、長く副業をしていても、もっぱら白色申告で確定申告を行っているという人は少なくありません。

確かに、青色申告で必要になる貸借対照表と損益計算書の作成には、複式簿記の知識が必要になるため、経理や簿記に携わった経験のないサラリーマンにとって、ゼロから作成するのは荷が重いと言えます。

しかし、最近は使いやすいクラウド会計サービスが出てきており、クレジットカードと連携することで、副業で使った経費を自動的にオンラインの帳簿に記録し、それを元に青色申告に必要な書類を作成してくれるようになっています。

クラウド会計サービスの力を借りれば、経理の経験がないサラリーマンでも、青色申告の最大のハードルとされている貸借対照表と損益計算書を無理なく作ることができます。

青色申告を選択すると、税制上の非常に大きな優遇を受けられるようになります。
青色申告で享受できる特典は以下の通りです。

青色申告特別控除

一定の条件を満たすことで、最大65万円の所得控除を受けられるようになります。

65万円の控除を受ける条件は、日々の取引を複式簿記で記帳していること、確定申告時に貸借対照表と損益計算書を添付すること、毎年2月16日から3月15日の期限内に確定申告を行うこと、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を行っていることの4つです。

この4条件のうち、e-Taxによる申告または電子帳簿保存を満たさない場合、控除額は55万円になります。

また、複式簿記での記帳や貸借対照表と損益計算書の添付がない場合は、控除額は10万円になります。

損益通算

副業の損失を同じ年のほかの所得と通算できるようになります。

例えば本業の年収が400万円のサラリーマンが、副業で100万円の赤字を出した場合、損益通算により両者の損益を合算、その年の所得は300万円となり、所得が減った分だけ所得税も小さくなるため、税金対策に利用できます。

損失の繰越控除

副業で出した損失を、翌年以降に繰り越すことができます。

赤字を年度をまたいで持ち越すことで、翌年以降の黒字と相殺できるようになるため、翌年の利益を圧縮して所得税を小さくする税金対策に利用できます。

繰り越せるのは最大3年で、2年続けて赤字の場合も、損失を累積して翌年に持ち越せます。

なお、前出の損益通算の方が先に適用されるため、サラリーマンの副業で損失の繰越控除の対象になるのは、副業の赤字と本業の所得を通算してもなお赤字が残っている場合のみです。

これらの特典の中でも、特に恩恵が大きいのが青色申告特別控除でしょう。

副業で得た利益のうち、最大で65万円分を所得税の対象外にできる効果は非常に大きく、
多くの場合、手元に残るお金が10万円以上は違ってくるはずです。

サラリーマンの副業の青色申告のタイミングは?

ここまでの解説で、サラリーマンの副業で青色申告を行えば、税制上、非常に有利な特典を得られることが分かったと思います。

では、どのタイミングで開業届を提出して個人事業主化し、青色申告を行えば良いのでしょうか。

まず、副業の年間の収益が100万円を超えていない段階では、個人事業主になるのはオススメしません。

副業を始めたばかりの段階では、いつまで稼ぎが続くかも分からない上に、途中でビジネスを方向転換する可能性もあり、そうなると開業届で申請した事業内容を新しいものに変更しなければならなくなります。

また、副業の利益が少ない段階での青色申告は、損益通算を利用した脱税を疑われやすいのも問題です。

例えば、年収700万円の会社員が副業を始めたところ、年間10万円しか売上を確保できなかったとしましょう。

副業には100万円の経費がかかったので、利益はマイナス90万円の赤字となりますが、この赤字は損益通算で会社員としての年収700万円と相殺できるので、その年の年収は最終的に610万円で申告することになります。

この状況は見方を変えれば、副業で意図的に赤字を作り出し、所得の総額を減らすことで、所得税の納税額を減らそうとする行為とも受け取れます。

実際に、実体のない副業を申告し、生活費を経費として計上することで、会社員としての給与と相殺し、所得税の納税を逃れる手法が流行したことがあり、税務署はこのスキームへの対応に神経を尖らせています。

ここで重要なのは、副業が事業としての内実をともなっているかどうかで、事業の定義については明確には定められてはいないものの、営利性や継続性に欠けた副業の場合、税務署は事業とは認めない(勘定項目において事業所得ではなく雑収入とみなす)判断を下すことが多いようです。

先に挙げた副業で青色申告をするメリットは、副業の収入が少ない間は意味がないものばかりなので、副業を始めたからといって、急いで青色申告の準備をする必要はありません。

サラリーマンの副業における確定申告は、事業が軌道に乗るまでの間は白色申告を行い、毎月の収益が10万円を安定して越えるようになったタイミングで、開業届を提出して、個人事業主としての青色申告に切り替える、というやり方がベストでしょう。

事業が赤字でも確定申告すべき?

副業で確定申告が必要になるのは、「年間20万円以上の利益」であることは既に触れた通りで、副業が赤字だった場合には、当然、確定申告の義務は発生しません。

副業がずっと赤字だった場合は、確定申告の手続きは免除され続けるということです。

しかし、副業が赤字であっても、自主的に確定申告を行っておくメリットはあります。

ひとつは、金融機関からの融資が受けやすくなることです。

銀行などの金融機関から資金を調達する、つまり事業に必要なお金を借りる場合には、確定申告書の控えの提出を求められます。

また、「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「​​​​IT導入補助金」といった個人事業主を対象とした助成金や補助金を受ける際にも、確定申告書の控えが必要になります。

確定申告は、事業の税金を納める手続きというだけでなく、事業や経営に内実があることの証明にもなるので、副業が赤字であっても確定申告をしておくことをおすすめします。

まとめ

今回は、サラリーマンの副業で、個人事業主として青色申告をするメリットについて解説しました。

かつては青色申告というと、簿記の素人には手に負えないイメージがありましたが、現在はクラウド会計ソフトの普及により、必要書類を作る作業はほとんど自動に近くなっています。

本業と副業の兼業で多忙なサラリーマンでも、経費を計上するルーチンさえ作ってしまえば、大きな負担なく確定申告の準備が行えるでしょう。

青色申告を簡単に済ませられる以上、安定した収益を生み出すようになった副業で、青色申告を行わない手はありません。

これから副業を始めようとしている人は、事業の成長に応じて白色申告段階的に青色申告に切り替えていくことを前提に、税務処理を進めましょう。

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このサイトのライター
逢坂 秀範

ウェブメディアやメールマガジンのコンテンツ制のプロ。
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