【ウェブの基礎知識】IPアドレスとドメイン名の役割とは?関係性や仕組みについて
インターネットの利用、またはホームページの管理をしていると目にする機会が多い「IPアドレス」と「ドメイン名」について、その役割や関係性、仕組みを知らないという方は多いのではないでしょうか。
IPアドレスとドメイン名はどちらもインターネット上における住所のようなもので、企業のホームページや個人のサイトはその住所に建てられた家に当たります。
同列に扱われることが多いため、全く同じものだと認識されることもありますが、厳密には異なる役割や特性を持っています。
そこで今回は、インターネットの基本ともいえる、IPアドレスとドメイン名の役割と関係性の解説、それにIPアドレスやドメイン名と深い関係にあるDNS(ドメインネームシステム)の仕組みと構造について、詳しくご紹介します。
IPアドレスとドメイン名の基礎知識
はじめに、IPアドレスとドメイン名の役割と関係性についてご紹介していきます。
IPアドレスとはインターネット上における住所に当たり、ネットワークに存在する機器を識別するための数値(識別子)です。
IPアドレスの数値は最大12桁の数字により成り立っているため、一見して覚えにくい状態ですが、利用者が覚えやすいように、数値を名前に変換したものがドメイン名になります。
一方で、コンピューターはドメイン名を認識することができないため、ドメイン名はIPアドレスに再変換されて、通信先を特定してウェブサイトを表示しています。
つまり、IPアドレスとドメイン名は、お互いを紐づけることで、利用者(人間)とコンピューター、どちらも理解できる言語に変換し合う、対の関係性だと言えます。
また注意点として、ドメイン名はウェブサイトごとに全て異なるため、重複することはありませんが、IPアドレスは一定の条件下で重複することがあります。
IPアドレスとドメイン名のより具体的な役割の解説と重複の原因について、下記で項目を分けて詳しくご紹介しますので、ご参考にしてください。
IPアドレス
IPアドレスとは、Internet Protocol Addressの略語で、上記でご紹介した通り、インターネット上の住所に当たり、ネットワークに存在する機器を識別するために用いられる数値です。
IPアドレスには、グローバルIPとプライベートIPの2種類が存在しており、それぞれの特徴は次の通りです。
- グローバルIP
インターネットに接続する全ての機器に割り当てられるIPアドレス - プライベートIP
社内や家庭内などの限られた場所で使用されるIPアドレス
また、グローバルIPとプライベートIPは、以下のように細分化されます。
- 動的IPアドレス
接続時に使用されていないIPアドレスが自動的に割り当てられる - 固定IPアドレス
権限がある機器とユーザーだけが接続できるIPアドレス
サーバーをはじめ、パソコンやルーター、スマートフォンなどインターネットに接続可能な全ての機器は、固有のIPアドレスを持っています。
ドメイン名
ドメイン名とは、IPアドレスと同様にインターネット上の住所に当たり、IPアドレスの数値を利用者(人間)が認識しやすい文字列に変換(置き換えた)ものを指します。
電子メールやウェブサイトを閲覧する際に相手を特定する役割を担い、ホームページアドレス(URL)やメールアドレスの一部として使用されています。
【例】ホームページアドレス:https://xxxxx.com (xxxxx.com部分)
【例】メールアドレス:xxx@xxxxx.jp (xxxxx.jp部分)
ドメイン名の取得は基本的に早い者勝ちなので、同じものは2つと存在しない点も特徴です。
IPアドレスの重複(競合)とは?
IPアドレスの重複(競合)とは、何らかの理由により、インターネットに接続した機器に同じIPアドレスが割り当てられた状況を指します。
IPアドレスが重複(競合)する理由として、以下の原因が考えられます。
- スリープ状態から回復した場合
- 手動でIPアドレスを設定している場合
- DHCPから固定IPアドレスの除外設定をしていない場合
IPアドレスが重複(競合)すると通信先の特定が困難となるため、極端な接続遅延やウェブサイトに接続できないなどの問題が発生します。
なお、ドメイン名には同じものが存在しないため、重複(競合)の問題が発生することはありません。
IPアドレスとドメイン名の管理
IPアドレスとドメイン名はどちらも、「ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)」という組織によって、全世界的に管理されています。
「.com」「.jp」など一部TLDの管理は、ICANNから「地域インターネットレジストリ(RIR)」に委託されます。
ドメイン名を申請・登録したい場合には、管理組織(レジストリ)とユーザーを取り次ぐ「レジストラ」と呼ばれる事業者に依頼することになります。
このように、IPアドレスとドメイン名はTLD全体を管理するICANNをトップに、アジア・ヨーロッパ・北米など大きな枠で管理する「地域インターネットレジストリ(RIR)」、国別に管理する「国別インターネットレジストリ(NIR)」、エンドユーザーに再分配する「ローカルインターネットレジストリ(LIR)」、登録申告を受け入れレジストリのデータベースに情報を登録する「レジストラ」という形で、階層構造の管理体制になっています。
またレジストラを通してドメインの登録・販売を行う代理店(登録代行業者)も存在していますが、代理店はSRS(ドメイン情報をレジストリのデータベースに書き込むソフト)にアクセスする権利はありません。
なお、ICANNから公式認定されているレジストラは日本国内には19社しかありません。
IPアドレス分配の流れとドメイン名登録の仕組み
IPアドレスとドメイン名の基礎知識と管理について理解できたら、次に、IPアドレスが分配されるまでの流れと、ドメイン名を登録する仕組みについて解説していきます。
IPアドレスとドメイン名に関連する、「WHOIS」についてもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
IPアドレスが分配される流れ
IPアドレスは「IPアドレスポリシー」と呼ばれる管理方針に基づき、インターネット資源を管理するIANA(Internet Assigned Numbers Authority)によって、世界的な管理が行われています。
IPアドレスがIANA(ICANNの機能の一部)からエンドユーザーに分配されるまでには次の手順を踏みます。
1.IANA(ICANN)からRIR(地域インターネットレジストリ)に委任
2.RIRから国別インターネットレジストリ(NIR)に委任
3.NIRからローカルインターネットレジストリ(LIR)に委任
4.LIRからエンドユーザーに分配される
個人ユーザーの場合は、一般的にプロバイダ(ISP)と契約すると、ネットワークへの接続とIPアドレスが自動的に付与されます。
一方で、企業ネットワークの場合は、ネットワーク構築後、プロバイダにIPアドレスを申請することで付与されます。
また日本国内においては、アジア太平洋地域のIPアドレスを一括管理しているAPNICから、JPNICの審議を介して管理指定事業者と呼ばれるプロバイダへ分配された後、実際のネットワークへIPアドレスが分配されます。
ドメイン名を登録する仕組み
ドメイン名の登録とは、登録管理組織(レジストリ)から登録が認められている期間に限り、登録するドメイン名の管理権限の委任を受けることを指します。
管理権限の委任を簡単に言い表すと、登録料や使用料を払い続けている一定期間、あるいはレジストリが定めた登録規則の範囲内で、自由に対象のドメイン名を使用できるという意味です。
一般的には、レジストラ(登録事業者)や代理店を介して、希望するドメイン名の登録申請を行います。
前章でもご紹介しました通り、ドメイン名の申請(登録)は原則早い者勝ちであること、またドメイン名は買い取ることはできず、あくまでも決められた期間内でのリース契約のため、定められた期間から延長する場合、往々にして更新料が必要になります。
WHOIS
WHOIS(フーイズ)とは、登録管理組織(レジストリ)が管理するインターネット資源の登録情報を誰でも参照できるサービスです。
このサービスは主に、以下の目的からレジストリおよびレジストラが提供しています。
- 同一ドメイン名や類似ドメイン名の存在を確認する目的
- ネットワークの技術的な問題発生した際に必要となる情報を提供する目的
- ドメイン名と商標に関するトラブルの解決のために必要な情報を提供する目的
またIPアドレスやドメイン名などのインターネット資源を取得する場合、登録情報をWHOISに提供することをレジストリにより義務付けられています。
上記義務から、ドメイン名取得時に登録した情報は全てインターネット上に公開されることを予め理解しておきましょう。
DNS(ドメインネームシステム)の仕組みと構造
DNS(Domain Name System)とは、インターネット上でドメイン名を管理・運用するために開発されたシステムで、現代のインターネットにおいて必要不可欠といえる、非常に重要なシステムです。
このシステムは、インターネット通信時にドメイン名をIPアドレスに紐づけて変換する役割を持ち、ドメイン名(人間が理解できる言語)をIPアドレス(コンピューター言語)に置き換えることで、コンピューターと人間の仲介をしてくれています。
詳細は以下の項目で紹介しますが、変換後のIPアドレスを使用した通信は、ルーティングと呼ばれる通信技術が用いられています。
ここからは、DNSの仕組みと構造の詳しい解説とルーティングについて、項目を分けて詳しくご紹介していきます。
DNSの仕組み
サーバーやパソコンなどのインターネット機器には、コンピューターを識別するための数値「IPアドレス」が割り振られており、電子メールやウェブサイトを利用するときにもIPアドレスを指定すると直接サーバーに接続することが可能です。
しかしIPアドレスは、「XXX.XXX.XXX.XXX(X=数字)」という数字列で表記されるため、接続したいIPアドレスを全て記憶することは、あまり現実的ではありません。
この課題を解決するために作られたシステムこそが「DNS」です。
DNSはインターネット通信時に、ドメイン名をIPアドレスに変換して通信する処理を行っています。
例えば、ブラウザのアドレスバーに「xxxxx.com」と入力すると、「xxxxx.com」を探すためにDNSサーバーに問い合わせが行われます。
「xxxxx.com」のIPアドレスを記憶しているDNSサーバーは、ドメイン名をIPアドレスに変換して情報を返します。
検索したクライアントはDNSサーバーからIPアドレスを取得し、「xxxxx.com」を運営しているサーバーに接続可能となり、ウェブサイトを表示させられるという仕組みです。
DNSの構造
DNSの構造はルートDNSサーバーを起点に、その下に配置されるTLDサーバー、更にその下に配置されるexampleサーバーというように管理ドメインの集合体が形成されており、集合体は「DNS名前空間」と呼ばれています。
クライアントが問い合わせをすると、起点のルートDNSサーバーからTLDサーバーに内容が伝わり、更にTLDサーバーからexampleサーバーに内容が伝わっていく、階層構造で情報を収集していきます。
このような動きを委任(delegation)と呼び、それぞれの階層ごとに管理する権限(情報)を明確にすることで、データの一極化を防ぎ、各サーバーへの負担を軽減しています。
またDNSは情報の管理に加えて、下の階層のDNSを指し示す司令塔のような役割も担っています。
ルーティング
ルーティングテーブル(通称ルーティング)とは、DNSによって変換されたIPアドレス同士を通信可能にする技術のことを指し、ネットワーク上で目的地にたどり着くために使用する地図のような役割があります。
例えると、道に迷っているA子さんが交番で警察官に道を聞き、警察官は地図で目的地までのルートを確認して、A子さんに伝える。
この例え話では、警察官が見ていた「地図」が「ルーティングテーブル」に当たります。
また、A子さんは「データ」、警察官は「ルーター」に該当し、この道案内の仕組み全てまとめて「ルーティングテーブル」と呼びます。
ネットワーク初心者にとって理解が難しい技術ではありますが、ルーティングテーブルとは、ネットワークを介して情報を素早く他のインターネット機器へ送るために重要な役割を担っている仕組み(技術)だと理解しておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、IPアドレスとドメイン名の基礎知識と仕組みの解説と、DNSの役割などについてご紹介しました。
企業のホームページや個人サイトを管理・運営している方は、これらのネットワークの基礎知識を知っておくと、不具合への対応や新しいサーバーへ変更する場合に非常に役立ちます。
役割や仕組みを理解すると管理・運営が効率的に行えるようになるので、ぜひ覚えておきましょう。
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