仮想専用サーバーVPSとは?共用サーバーとの違いやメリット・デメリットを解説!
ウェブサイトの運営やプログラムの開発環境、管理ソフトウェアの設置など、さまざまなシーンに活用できる「VPS(仮想専用サーバー)」が、近年、注目を集めています。
VPSとは、物理サーバー上に仮想サーバーを構築したもので、低コストでありながら優れた性能と高い自由度を誇り、企業・個人を問わず、利用が広がっています。
1台の物理サーバーを複数ユーザーで共有する点は「共用サーバー」と同じですが、仕組みやスペック、管理運用の方法など、異なる点も多く存在しています。
本記事では、VPSの特徴と仕組みの解説、メリットとデメリットの説明、共用サーバーとの違いなどについて、詳しくご紹介します。
併せて、VPSの代表的なOS、WindowsとLinuxの特徴についても取り上げるので、サーバー選びでお悩みの方は、ぜひご参考にしてください。
VPSとは何か?
VPS(Virtual Private Server)は日本語で「仮想専用サーバー」と呼ばれ、1台の物理サーバー上に仮想化技術を用いて、複数の仮想サーバーを構築して提供する、仮想専用サーバーサービスのことを指します。
従来、ウェブサイトの運営や開発環境の構築は、自社(個人)で物理サーバーを用意する、あるいは、ホスティングサービス業者が提供する、レンタルサーバーを契約する必要がありました。
しかし近年、物理サーバーに複数の仮想サーバーを起動できる「サーバー仮想化」と呼ばれる「仮想化技術」の進歩に伴い、VPSなどの新しいサーバーサービスが広がりつつあります。
ここからは、そんなVPSの詳しい特徴と仕組みについて、項目を分けて詳しくご紹介していきます。
VPSの特徴
物理サーバーをシステム的に分割(仮想化)してユーザーに提供する「VPS」は、管理権限が各契約者に付与されることが、最大の特徴です。
共用サーバーなどのレンタルサーバーは一般的に、1台の物理サーバーを複数のユーザーで利用する仕様上、利用者にはサーバー管理権限が与えられません。
一方VPSでは、仮想化技術により構築された複数のサーバーを、各ユーザーに割り当てる仕組みになっていることから、割り当てられた仮想サーバーの管理権限も付与されます。
管理権限を持っていると、共用サーバーでは実現できない細かな設定を行えることに加えて、好きなアプリケーションをインストールすることも可能です。
ただし、初期設定や環境構築、メンテナンスやセキュリティ対策まで、ユーザーが一貫して管理を行うため、VPSの運営では、専門的な知識を必要とします。
また、VPSのサーバーOSには大きく分けて「Windows」と「Linux」の2種類が存在しており、それぞれの特徴については、また後ほど、詳しくご紹介します。
VPSの仕組み
VPSでは、物理サーバーにインストールされている「ホストOS」の上に「ゲストOS」が用意されており、構築された複数の仮想サーバーを各ユーザーに割り当てる仕組みとなっています。
1台の物理サーバーを複数のユーザーで共有する形にはなりますが、各ユーザーに独立した仮想サーバーが割り当てられるため、共用している他ユーザーからの影響や干渉、障害を受けにくい構造になっています。
CPUやメモリなどのリソースについてもゲストOS用の性能が確保されているため、共用サーバーでは難しかった高負荷の利用も可能です。
また、管理権限を持てるため、好きなアプリケーションやミドルウェアを導入できる他、サーバーに使用するOSも自由に選択できる点も魅力のひとつです。
VPSと共用サーバーの違い
ここからは、VPSと共用サーバーの違いについて、項目を分けて詳しくご紹介していきます。
管理者権限の有無
VPSの特徴と仕組みでもご紹介しましたが、VPSと共用サーバーの大きな違いとして、管理者権限の有無が挙げられます。
管理権限とは、ルート(root)権限とも呼ばれ、サーバー管理において、管理者として作業できる権限を指します。
共用サーバーは、1台の物理サーバーに1つのOSとミドルウェアを複数のユーザーと共用する利用形態です。
一方VPSは、仮想化技術を用いて、1台の物理サーバー上に複数の仮想サーバーを構築し、各ユーザーに仮想サーバーを割り当てる利用形態です。
上記の利用形態から、VPSの利用ユーザーには管理権限が付与されて、共用サーバーの利用ユーザーには管理権限は付与されません。
割り当てられるリソース
VPSと共用サーバーの違いとして、利用ユーザーに割り当てられるリソースの違いが挙げられます。
サーバーのリソースとは、ソフトウェアまたはハードウェアを動作させるために必要となるメモリの容量、ハードウェアの容量、処理速度を左右するCPUなどを指します。
VPSでは、各仮想サーバー(利用者)に専用のメモリとCPUが割り当てられます。
対して共用サーバーは、個別の割り当ては存在せず、複数名目で割り当てられるリソースを共有しています。
共有リソースの場合、共有しているメンバーが高負担の運用を行うと、他ユーザーの通信速度や処理速度に深刻な影響を及ぼすことがあります。
VPSのメリット・デメリット
ここからは、VPSを利用するメリットとデメリットについてご紹介します。
VPSを利用(導入)するメリットとデメリットは、以下の通りです。
【メリット】利用コストが低い
VPSは仮想専用サーバーなので、専用サーバーと違い、物理サーバーを自社(個人)で用意する必要がありません。
そのため、他サーバーサービスと比較して、導入のハードルが低く、また利用コストも比較的安いメリットがあります。
上記でもご紹介しましたが、VPSの各仮想サーバーには、個別にリソースが割り振られているため、一定の高負荷にも耐えうるスペックを有しており、コスパの良いサーバーサービスだと言えます。
【メリット】カスタマイズ性が高い
VPSは各ユーザーに管理権限を付与する仕組みなので、OSやアプリを自由に導入できる仕組みになっており、専用サーバーほどではありませんが、カスタマイズ性は十分に高いと言えます。
レンタルサーバーでは触ることのできない、細かい設定もVPSでは可能なので、作業の幅を広げて、理想の環境を構築することが可能です。
ただし、VPSを提供するホスティング業者ごとに利用制約や権限範囲が異なるため、必ず契約前に詳細を確認しましょう。
【メリット】リソースの影響を受けない
一般的に物理サーバーを共有するレンタルサーバーは、アクセスの集中や高負荷の処理作業など、他サイトやシステムによる影響を受けやすい傾向にあります。
しかしVPSは、各仮想サーバーにCPUやメモリなどの専有リソースが予め割り当てられるため、他のレンタルサーバーに比べて、外部からの影響を受けにくい仕組みになっています。
VPSでメールやホームページの運用を検討しており、安定的な稼働が必要な場合は共用サーバーではなく、VPSが適していると言えます。
【デメリット】管理には専門知識が必要
予め用意されている環境を利用するレンタルサーバーに対して、VPSは物理サーバー部分を除く、その他の環境構築、運営、管理をユーザー自身で行う必要があります。
そのため、自身が理想とする環境を再現するためには、アプリケーションやOS、またミドルウェアなどに関する専門的な知識が必要となります。
【デメリット】ゼロから開発する必要がある
レンタルサーバーの中には、APIや認証基盤、大規模ストレージなどの機能が標準で備わっている場合がありますが、VPSはそういった機能が備わっていないため、ゼロから開発する必要があります。
上記の機能が全く無い、まっさらな状態から開発することは、膨大な時間と労力が必要になることは言うまでもありません。
いち早くサービスを展開したい、あるいは開発スピードを求める場合には、VPSは不向きなサービスだと言えます。
VPSの向き・不向き
ここからは、メリットとデメリットを踏まえて、VPSに向いている、あるいは向いていないシーンについて、項目を分けて詳しくご紹介していきます。
【向いている】仮想OSを利用したい場合
はじめに、仮想OSの利用について、VPSでは、各ユーザーに仮想的なゲストOSが付与されると上記でご説明しました。
この権限により、ユーザーはOSレベルの高度な設定と運用ができるため、ゲストOS上で稼働するアプリケーションについても、より詳細な設定が可能になります。
VPSのOSは自由に選択して導入可能なので、開発環境に合わせた、運用に適したOSを取り入れたいシーンでは、最適なサーバーだと言えます。
【向いている】独自のアプリ/プログラムを利用したい場合
共用サーバーを代表とするレンタルサーバーでは、自由度が低く、利用できるアプリやプログラムに制限がある場合があります。
他方でVPSは、サーバー環境を自由に設定できるため、アプリやプログラムの制限は一切なく、ユーザー自身でインストールして利用することが可能です。
独自開発したアプリを使用したい場合、また開発環境に必要なプログラムが共用サーバーに導入できないケースでは、自由度の高いVPSを利用しましょう。
【向いていない】サーバーに高い処理性能を求める場合
VPSは各サーバーにリソースが割り当てられるため、一定の処理能力は有していますが、物理サーバーから成り立つ専用サーバーに比べると、やはり性能面で劣っている部分があります。
アクセス数が非常に多いホームページやハイパフォーマンスを必要とするプログラムを稼働するシーンには、VPSの処理能力では追いつかない場合があります。
VPSで実際に稼働を始めてからスペック不足に気づくのでは遅いため、予め必要になる性能を算出して、運用に耐えられる、適したサーバーサービスを選択しましょう。
【向いていない】VPSの専門知識を持つ人材が居ない場合
VPSの運用は、環境を構築する知識、アプリケーションの知識、OSに関する知識など、サーバーに関連する様々な専門知識が必要です。
知識の無い状態でも運用することは可能ではありますが、アクセス不良やサーバーエラーなどのトラブルが発生した場合に、素人では対応が困難なケースもあります。
トラブル対応が長引くと、VPSで運営するホームページの売上やコンバージョン率の低下を招く他、開発環境として使用している場合、開発スピードが著しく低下することも考えられます。
VPSサーバーOSの種類と特徴
VPSに利用されるOSには、大きく分けて「Windows」と「Linux」の2種類が存在します。
OSの特徴はそれぞれ異なるため、ここからは、項目を分けて詳しくご紹介していきます。
Linuxの特徴
オープンソースコミュニティが無償で提供しているLinux(リナックス)は、システム開発やサーバー構築に強みを持つOSです。
Linuxは主にCUI(キャラクターユーザーインターフェース)での操作が一般的で、コマンドラインで全ての操作ができることが特徴です。
グラフィカルなGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)も使用できますが、画像の描写やエフェクトの処理はリソースを多く取られるので、パソコンのスペックに不安がある場合には、GUIをインストールせずに、CUIだけで完結することも可能です。
ただしLinuxは、「/(ルート)」を頂点としたLinux独自のシステムで構築されている他、フォルダやファイルも全て数字で表現されるなど、初心者が気軽に扱えるOSではありません。
Linuxを用いてVPSを構築する、または運用するには、Linuxの専門的な知識と経験が必ず必要となります。
Windowsの特徴
マイクロソフトが開発、販売するWindows(ウィンドウズ)は、全世界で最も利用されているOSです。
サーバー系Windowsは、一般ユーザーが仕事やプライベートで使用するWindowsと根幹部分を共有しており、日常的に使用しているWindowsと同様の操作で扱えることが最大の特徴です。
前述した通り、普段から使用しているWindowsと同じUIなので、サーバーに対する、深い知識が無くても扱うことが可能です。
また、画像やアイコンなどで表現するGUIが採用されているため、誰が見てもわかりやすく、直感的に操作、設定をすることができます。
さらに、マイクロソフト製品との親和性も高く、管理しやすいことから、インフラ系サーバーOSとして、トップシェアを誇っています。
ただし、オープンソースで無償提供しているLinuxに対して、サーバー系Windowsはライセンス型の有償提供となっています。
まとめ
今回は、VPSの特徴や仕組み、メリットとデメリット、共用サーバーとの違い、またOSの種類と特徴について詳しくご紹介しました。
ホスティングサービス会社が提供するサーバーサービスには、VPSをはじめとして、共用サーバー、専用サーバー、クラウドサーバーなど、多様な種類が存在します。
サーバーを選ぶ際は、以下の点を意識することで、自社(個人)に最適なものを選択できます。
- サーバー管理画面の操作性から選ぶ
- ホスティング業者の情報から、安全性の高いサービスを選ぶ
- 価格、リソース性能、サーバー容量を鑑みて、コスパの良さで選ぶ
サーバーは契約したら終わりではなく、契約後、ホームページやサービスを作成するために、サーバーの設定をする必要があります。
そのため、サーバーの管理画面の操作性がわかりやすいか否かは、作業効率、開発スピードなどに大きく影響を与えるため、非常に重要な要素です。
また、サーバー環境構築後、サーバーの利用規模が大きくなることに比例して、トラブルが発生した際の影響も大きなものになります。
上記理由から、サーバー自体の安全性はもちろんのこと、ホスティング業者の情報セキュリティなどの安全性にも、注意を払いましょう。
ホスティングサービスは、一定期間無料でサーバーを利用できる、お試し期間を設けている業者が多いので、この制度を上手に活用して、使い方に適したサーバーを慎重に選びましょう。
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