IPアドレスでウェブサイトやWordPressへのアクセスを制限する方法
IPアドレスとは、インターネット上の住所のようなもので、インターネットに接続するためには、IPアドレスが必要不可欠です。
ウェブサイトやブログを運営していると、スパムコメントやスパムメールが書き込まれますが、スパムを防止するためには、IPアドレスの制限が効果的です。
今回の記事では、IPアドレスを制限する方法や仕組みについて解説、自分のIPアドレスが制限された場合の回避方法も紹介します。
IPアドレスとは
IPアドレスとは、インターネットに接続するデバイスに割り当てられる住所のようなもので、ウェブページを閲覧したり、メールを送受信したりするのに必要となります。
IPアドレスにはIPv4とIPv6という2つの種類があります。
IPv4は255までの整数4つを組み合わせたもので、32ビットのデータとなりますが、約43億個しかなく、インターネットが普及した昨今ではIPアドレスの枯渇が問題化しています。
IPv6は128ビットのデータで、IPアドレスの数は実質無限です。
現在では、IPv4からIPv6への移行が急がれています。
IPアドレスには、「ローカルIPアドレス」「グローバルIPアドレス」「動的IPアドレス」「静的IPアドレス」などさまざまな用語があります。
その中でも重要な、ローカルIPアドレスとグローバルIPアドレスを解説します。
ローカルIPアドレス
ローカルIPアドレスとは、家庭や企業のオフィスのローカルエリアネットワーク内で利用するIPアドレスです。
ローカルIPアドレスは、プライベートIPアドレスとも呼ばれます。
ローカルIPアドレスに使用できる範囲であれば、接続しているデバイスに自由に設定できます。
しかし、一般的にはDHCPという仕組みを使って自動でローカルIPアドレスが割り当てられています。
IPアドレスを固定するのは、基本的には自宅サーバーやP2Pを利用する場合で、それ以外は、動的IPアドレスとして運用するのがおすすめです。
ローカルIPアドレスはインターネットに接続できないため、ルーターのNATやNAPTと呼ばれる仕組みでグローバルIPアドレスに変換する必要があります。
グローバルIPアドレス
グローバルIPアドレスは、パブリックIPアドレスとも呼ばれます。
インターネットに接続できるIPアドレスがグローバルIPアドレスです。
世界中のどこからデータを送受信しても間違えないように、グローバルIPアドレスは重複しません。
グローバルIPアドレスが重複しないように、ICANNという団体が管理しています。
ICANNの下には地域インターネットレジストリがあり、さらに国別にグローバルIPアドレスが割り当てられています。
なお、日本のグローバルIPアドレスを管理しているのはJPNICです。
国別に割り当てられたグローバルIPアドレスは、ISPやインターネット事業者に割り当てられます。
そして、ISPから家庭にグローバルIPアドレスが貸し出されます。
このようにして、グローバルIPアドレスは重複なく割り当てられるのです。
IPアドレスを制限するメリット
IPアドレスはさまざまな仕組みで制限することが可能です。
例えば、ウェブサーバーからIPアドレスによるアクセス制限を行う場合、一般的にはサーバー内の「.htaccess」を設定します。
ここでは、IPアドレスを制限するメリットについて解説します。
セキュリティ向上
悪質なユーザーのIPアドレスを制限することで、セキュリティ向上が見込めます。
インターネットが普及するにつれて、サイバー攻撃やハッキングも増加しました。
ある統計によれば、30万IPアドレスにしかけられたサイバー攻撃は3分に1回の割合だったそうです。
日本でも10秒に1人の割合で、サイバー攻撃の被害者が出ています。
IPアドレスを制限することで悪質なユーザーを締め出し、サイバー攻撃を抑制することが可能です。
IPアドレスを制限して、セキュリティを向上させましょう。
スパムコメント・メールの防止
ブログやウェブサイトを運営していると、多くのコメントやメールが送られてきます。
その中でも記事やウェブサイトの内容に関係のない、迷惑なメールやコメントをスパムと呼びます。
スパムコメントやスパムメールを防止するには、IPアドレスでブラックリストを作りましょう。
多くのブログサービスでは、コメントをIPアドレス単位で制限可能です。
また、メールの受信もIPアドレスによって制限することができます。
IPアドレスを制限して、スパムコメント、スパムメールを撃退しましょう。
海外からのアクセス禁止
スパムコメントやスパムメールが多いのは海外からです。
海外からのIPアドレスに制限をかけることで、多くのスパムを防止できます。
海外からのアクセスのほとんどは、日本のブログやウェブサイトに興味を持っているユーザーというわけではなく、機械的にボットがアクセスしているケースが大半を占めます。
海外のIPアドレスを制限することは、こうした迷惑なボットを制限することにつながります。
今まで海外からのアクセスに使用していたリソースも必要なくなるため、サーバーのリソースの効率化につながる可能性もあります。
海外からのIPアドレスを制限して、効率的にブログやウェブサイトを運営しましょう。
ウェブサイトでIPアドレスを制限する方法
ウェブサイトでIPアドレスを制限する方法について解説します。
「.htaccess」と「httpd.conf」
ウェブサイトでIPアドレスを制限する方法は2つあります。
「.htaccess」を設定する方法と「httpd.conf」を設定する方法です。
「.htaccess」とは、ウェブサーバーの基本的な動作をディレクトリ単位で制御する設定ファイルです。
ほとんどのレンタルサーバーでは「.htaccess」を設定することでウェブサーバーの制御を行います。
一方、「httpd.conf」は、ウェブサーバーソフトのApacheで利用されるサーバーの設定を記述したファイルで、基本的にはサーバー管理者にしか設定することができません。
ウェブサイトでIPアドレスを制限するには「.htaccess」を設定しましょう。
以下では「.htaccess」の設定方法について解説していきます。
orderの使用法
「.htaccess」でIPアドレスを制限するときに使用する要素は「order」「allow」「deny」の3つです。
「allow」「deny」は文字通り「許可」「拒否」という意味です。
「order」はallow、denyを評価する順番を指定します。
先にallowを評価したい場合は以下のように記述します。
order allow,deny
上記は最初にアクセス許可を出した後、アクセス制限するIPを選ぶイメージです。
denyから評価したい場合は以下のように記述します。
order deny,allow
先ほどとは逆に、すべてのIPアドレスによるアクセスを拒否した後に、アクセスを許可するIPアドレスを選ぶイメージです。
allowとdenyの使用法
許可するIPアドレスを選ぶには、以下のように記述します。
allow from IPアドレス
同様に拒否するIPアドレスを選ぶには、以下のように記述してください。
deny from IPアドレス
もしすべてのIPアドレスからのアクセスを許可するのであれば、以下のように記述しましょう。
allow from all
すべてを拒否したい場合も同様です。
deny from all
「.htaccess」で海外からのIPアドレスを制限
海外からのIPアドレスを制限するには、日本国内のIPアドレスだけ許可する方法がもっとも簡単です。
「.htaccess」に以下のように記述しましょう。
#検索ボットの設定
SetEnvIf User-Agent “Googlebot” okbot
SetEnvIf User-Agent “Slurp” okbot
SetEnvIf User-Agent “bingbot” okbot
SetEnvIf User-Agent “msnbot” okbot
#DenyとAllowの順序を指定
order Deny,Allow
#すべてのアクセスを拒否
Deny from all
#検索ボットからのアクセスを許可
Allow from env=okbot
#日本国内のIPアドレスからのアクセスを許可
Allow from 1.0.16.0/20
Allow from 1.0.64.0/18
・
・
Allow from 223.252.64.0/19
Allow from 223.252.112.0/20
日本に割り当てられているIPアドレスの指定は膨大です。
「CGI's」のサイトからコピー&ペーストして設定してください。
WordPressでIP制限をかけるプラグイン
WordPressは世界でもっともメジャーなCMSです。
さまざまなプラグインがリリースされており、プラグインを導入することでいろいろな機能を実現できます。
WordPressでIP制限をかけるプラグインについて解説します。
IP Geo Block
「IP Geo Block」は、特定の国やIPアドレスからのアクセスを制限できるWordPressのプラグインです。
制作者は日本人で、設定画面も日本語なのが嬉しいポイント。
英語が苦手な人でも安心して導入できます。
国別によるIPアドレスの制限ができるほか、海外からのアクセスのログを閲覧することも可能です。
「.htaccess」ファイルを編集しなくても、簡単に海外からのアクセスを制限できます。
Easy IP Blocker
「Easy IP Blocker」は、指定したIPアドレスの訪問をブロックするWordPressのプラグインです。
設定は非常にシンプルで、設定はIPアドレスを入力するだけ。
特定のIPアドレスをブロックしたい人や、簡単にIPアドレスのブロック機能を実装したい人向きのプラグインです。
MW IP Denied
「MW IP Denied」は、記事ごとにIP制限をかけられるWordPressのプラグインです。
特定のページを、オフィス内や学園内からのみ閲覧するといった使い道があります。
日本人が作成したプラグインなので、設定画面も日本語で安心。英語が苦手な人でも手軽に導入できます。
ホワイトリストで許可するIPのみ設定する方式です。
特定の記事をIP制限したい人に需要があるでしょう。
SiteGuard WP Plugin
SiteGuard WP PluginはIPアドレスの制限だけでなく、ログインURLの変更やそのほかのセキュリティ向上全般に用いられるWordPressのプラグインです。
不正ログインやコメントスパムを防止することができます。
機能の1つとしてIPアドレスによる制限も可能。
そのほかにも、ログインロックや画像認証、フェールワンスなどいろいろな機能を搭載しています。
自分のIPアドレスが制限されたときの回避方法
もし、自分のIPアドレスがウェブサーバーやウェブサイトに制限された場合、いくつかの方法を使えば制限を回避できます。
IPアドレスの制限を回避する方法について解説します。
プロキシ
プロキシとは、クライアントからサーバーへアクセスするときに、クライアントの代理を行う仕組みのことです。
プロキシを利用することで、プロキシサーバーのIPアドレスでウェブサーバーにアクセスできます。
ただし、セキュリティの甘いプロキシや危険なプロキシもあります。
利用するときは信頼性の高いプロキシを使いましょう。
VPN
VPNとは、インターネット上に仮想の専用線を設定し、特定の人だけが利用できる専用ネットワークです。
VPNを通すことで、VPNサーバーのIPアドレスになります。
そのため、IPアドレス制限をクリアするのにとても便利です。
VPNには有料VPNと無料VPNがあります。
VPNはプロキシに比べて安全性が高く、セキュアなことが特徴です。
ブラウザのプラグイン
Google Chromeを使っているなら、拡張機能をインストールするだけでIPアドレスを偽装できます。
その多くは、拡張機能を通じてプロキシやVPNを利用するものです。
例えば、「Hotspot Shield Free VPN Proxy」というプラグインはVPNを利用しています。
インストール方法はほかの拡張機能と同様で、「Chromeに追加」をクリックすることでインストールできます。
Tor
Tor(トーア)ブラウザは、匿名性を確保しつつウェブサイトを閲覧することを目的としたオープンソースソフトウェアです。
一部の国で行われているインターネットの検閲回避や、プライバシー保護の目的で利用されます。
難しそうなイメージがありますが、使い方は一般的なブラウザと同じ。以下のリンクからダウンロードが行えます。
まとめ
今回は、IPアドレスによるアクセス制限と、その回避の手段について解説しました。
IPアドレスとはインターネットの住所のようなもので、IPアドレスなしにインターネットには接続できません。
ウェブサイトやブログを運営していると、スパムコメントやスパムメールが気になりますが、スパムを防止するためにはIPアドレスの制限が効果的です。
IPアドレスの制限には「.htaccess」を設定する方法のほかに、WordPressのプラグインを利用する方法もあります。
適切なIPアドレスの制限方法を選択し、ウェブサイトの運営を快適にしましょう。
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