ホームページ制作会社に依頼する際のポイントとは?
本格的なホームページを作りたい場合、外部の制作会社に依頼するのが確実ですが、ウェブ開発を請け負う事業者は個人から企業までたくさんあるため、どこを外注先にすべきか迷うことが多いでしょう。今回はホームページを外注で制作する際の、業者の選び方や作業の進め方について解説します。
制作会社に依頼する前にやるべきこと
ホームページは本格的なものを作ろうとすると、大変な労力と手間がかかるため、企業がビジネス用途のホームページを立ち上げる場合は、制作会社に依頼するのが一般的です。
しかし、制作会社を利用する場合、複数のスタッフが複雑な工程を経ながら開発を進めるため、自分の手でサイトを作るときのようにデザインや機能について試行錯誤を繰り返しながら作るわけにはいきません。
ホームページを制作会社に発注する際には、事前に以下の3点を明確にしておくことが重要になります。
目的
ホームページを作る目的を明らかにしておきましょう。目的が複数ある場合は優先順位を明確にしておきます。会社の情報を公にしたいのか、商品やサービスを周知させたいのか、優秀な人材を確保したいのか、新しい購買層を開拓したいのか、その目的によってホームページのデザインや機能は大きく変わります。あいまいな目的は開発途中で方向性がブレて迷走する原因になるので、最初に目的を定義しておきましょう。
予算
ホームページ制作の費用はピンキリなので、あらかじめ予算を決めて、その範囲内で可能な施策を決めましょう。既存のCMSやテンプレートに改造を加えるだけであれば20万〜30万円程度で済みますが、独自のシステムやデザインを新たに構築するとなると100万円を超えるのが一般的です。予算が決まれば、優先させる機能はどれか、コストダウンできる部分はないかなどの方針を決められるので、予算の上限となる金額を最初に確定させましょう。
納期
ホームページの完成までにかかる日数です。制作会社は納期から逆算して開発スケジュールを策定し、必要な人員のリソースを確保して開発を進めます。納期が決まらないと、これらのスケジュールも固まらないので、必ず指定しましょう。特に希望の期日はなく、完成したタイミングで公開したいというケースもあるかもしれませんが、期限を定めない発注はトラブルの元なので、必ず発注側が主導するかたちで納期を指定しましょう。
この3つの要素は、制作会社に依頼を持ち込む前に最低限、決めておきたいポイントです。
特に重要なのが目的で、発注側がどんなホームページを作りたいかハッキリしないまま、見切り発車でプロジェクトがスタートしたことでトラブルになった例は枚挙に暇がありません。
ホームページの開発は段階を追って進行するため、途中で方向転換したり後戻りしたりするのは容易ではなく、コーディング以降の段階で、変更したい部分や追加したい機能が出てきた場合、サイト設計・デザインの段階からやり直しになるため、費用と時間のロスが発生します。
途中で軌道修正しなくて済むように、企画の段階で方向性と枠組みを厳密に決めておくことが、スムーズな開発の秘訣と言えます。
次に、制作会社に依頼する前に用意しておきたいものを確認しておきます。
サーバー
公開するホームページを設置する土台となるのがサーバーです。
サーバーには、専用サーバー、VPS、レンタルサーバー、クラウドサーバーなどの種類がありますが、ホームページの公開のみが目的であればコストが安く運用も容易なレンタルサーバーで充分でしょう。
月額料金は1000円〜2000円ほどで、設定用のコントロールパネルが用意されているため、サーバーの専門知識がない人でも使いこなせます。
なお、大規模なホームページを運用する場合は専用サーバー、ウェブサービスを開発する場合はVPSやクラウドサーバーを選択しましょう。
ドメイン
ホームページのURLをオリジナルなものにするために、ドメインも先に確保しておく必要があります。
独自ドメインの費用は年間数十円〜数千円程度と、コストはそれほどかかりませんが、文字数の少ない有意味な単語は、既に誰かに取られていることがほとんどです。
トップレベルドメインでは「.com」や「.net」が人気ですが、これらでは企業名や製品名をそのまま利用したドメインは確保できないケースの方が多いでしょう
その場合、文字列を略称や頭文字の組み合わせなどで妥協するか、マイナーなトップレベルドメインで取得するかのいずれかになります。
なお、ドメインはどの種類、どんな文字列を利用しても性能面での差はないため、ホームページの成否に影響はなく、あくまでブランドイメージの問題です。
サーバーとドメインは制作会社に依頼すれば取得を代行してくれますが、あまりおすすめできません。
制作会社がサーバーの権限を持った状態にしておくと、他の制作会社に乗り換える際にスムーズに事が運びにくく、また社内にサーバー管理のノウハウが蓄積されません。
ドメインに関しても、会社のウェブ上の評価が集約される表看板であり、いずれ重要な資産に成長するので、最初から社内で権限を握っておくべきです。
ホームページの土台にあたるサーバーとドメインは会社側で管理し、制作会社はその上にホームページを作る作業に専念してもらいましょう。
ホームページ制作会社を選ぶポイント
ホームページ制作会社と一口に言ってもその特徴は様々です。外から見ただけでは違いは分かりにくいですが、過去の制作実績や母体となった企業の業態、組織の中心人物のキャリアから、その会社が得意とする分野を推測することができます。
ホームページ制作社会が持つ強みとしては、主に次のようなパターンに分けられます。
ウェブデザインに強い会社
ウェブのデザインを得意としている会社です。ウェブデザイナーが開発の主導権を握り、ビジュアルの力でユーザーを惹き付けることが得意です。時代のトレンドを取り入れた、おしゃれなルックスのホームページを開発したい場合には、最善の選択でしょう。特に近年では、ユーザーインタフェースの設計までを視野に入れた、総合的なユーザー体験(UX)のプロデュースを謳った会社も増えています。
システム開発に強い会社
ホームページのバックヤードであるシステムの開発力に強みを持つ会社です。ウェブエンジニアが中心のメンバー構成で、ネット通販や会員専用ページといった、ホームページに高度な機能を付与するオーダーに応えられるのが特徴です。ホームページ以外にも、社内システムやスマホ向けアプリの開発を同時に手掛けている会社も多く、これらと合わせて依頼したい場合にもオススメです。
コストダウンが得意な会社
ホームページ開発の費用面において優位性がある会社です。とにかく価格を抑えてサイトを仕上げることに特化した会社で、クオリティや機能は二の次という会社も少なくありません。価格は10万円以下、中には5万円以下で開発を請け負う会社もありますが、技術力のあるデザイナーやエンジニアはおらず、時間と労力のリソースも少ないため、デザインの細かいオーダーには対応せず、既存のテーマやテンプレートに手を加えるだけというケースがほとんどです。
マーケティングが得意な会社
ホームページの制作と合わせたウェブマーケティングの実施を得意としている会社です。
ウェブマーケティングには、LP(ランディングページ)の作成、リスティング広告の運用、SEO(検索エンジン最適化)、SMM(ソーシャルメディアマーケティング)、SMO(ソーシャルメディア最適化)などの施策があり、いずれも作ったホームページに顧客を呼び込むところまでをサポートしてくれます。
ホームページを公開した後の成果にまでコミットしてもらえる点は心強いですが、当然、制作費とは別に施策の実施やコンサルティングの費用が発生します。
ブランディングが得意な会社
ホームページの制作だけでなく、会社のブランドイメージの構築に関わる業務全般を担う制作会社です。
ホームページと合わせて、会社のロゴのデザインや、イメージキャラクターのデザイン、名刺・封筒・パンフレットの制作、企業理念、キャッチコピー、ブランドコンセプトなどの作成を担当します。
会社のイメージのトータルデザインを行ってくれるので、ブランドに統一感を持たせつつ刷新したい場合に活躍しますが、そのブランディングが本当にビジネスに貢献するかどうかの判断は、伸長に行なう必要があるでしょう。
制作会社は、会社のルーツやトップの経歴が、その組織の特色に強く反映される傾向にあり、例えばデザイナー出身の社長の会社はデザインに強く、エンジニア出身がトップの会社は技術力に優れている、営業職出身が経営する会社はコストダウンを得意とすることが多いようです。
また、制作会社がどういう経緯で設立されたかも重要で、もともと社内システムの開発を請け負っていた企業がウェブ制作に進出したケースや、印刷会社がウェブ制作部門を立ち上げたケース、広告代理店がウェブ制作の部署を独立させたケースなど、様々なルーツの会社があります。母体となった企業や業種の特色を色濃く受け継いでいる会社が多いので、制作会社の親会社や資本関係についても、チェックしておくとよいかもしれません。
ホームページが完成するまでのプロセス
ホームページ制作では、開発を制作会社に丸投げするのは禁物です。制作を発注するクライアント側が、どんなホームページを作りたいのか、明確なビジョンを提示し、イメージの共有を図らないと、開発は円滑に進まず、余計なトラブルを抱えることになります。
また通常、制作会社が担当するのはホームページのデザインやシステムを作るところまでで、リリース後のコンテンツの作成と更新はクライアント側が行います。そのため、運用の段階になって問題が発生しないように、システムの設計についても、発注側と制作側で共有と調整が求められます。
ホームページが完成するまでのプロセスを企画、設計、デザイン制作、実装、リリースの5つの段階に分けて、それぞれの段階でクライアント側に求められるポイントを解説しましょう。
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企画
ホームページの企画を作成します。企画のフォーマットは会社によって様々ですが、「目的」「ゴール」「ターゲット層」はあらゆる企画で共通の、必須項目と言えるでしょう。この中で最も重要なのがホームページを作る目的です。なぜサイトを立ち上げるのか、その目的が明らかになれば、そこからゴールを想定し、ターゲットとなる読者層も決められます。この目的が途中で変更されると、ゴールやターゲットも変わり、そこから決められたデザインやコンテンツも変えざるをえません。ホームページの目的は、全ての要素を統括する最重要ポイントとなるので、途中で揺らぐことのない明確なものを定めてください。
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設計
企画内容が決まったら、それを元にサイトの設計に入ります。技術やデザインの仕様は制作会社が担当するので、クライアント側は、ホームページに掲載するコンテンツの内容と、SEO対策の方針を決めておきましょう。コンテンツを分類するカテゴリーのほか会社案内、連絡先、利用規約、プライバシーポリシーといった記事以外に必要なページもここで洗い出します。制作会社側は以上を踏まえた上で要件を定義し、各ページのワイヤーフレームを作成します。
なお、このときにメンテナンス性と拡張性、つまりクライアント側がどの程度自力でホームページに手を加えられるか、後から機能を追加する可能性があるかについても、開発者側と共有しておきましょう。 -
デザイン制作
次はデザインの決定で、制作会社のデザイナーが作成したデザイン案の中から希望のものを選択します。ここで「思ったようなデザインが上がってこない」と嘆くクライアントは少なくありませんが、企画・設計段階での要望があいまいだと、完成度の高いデザインにはなりません。重要なのは、ホームページを作る目的、ターゲット層、コンテンツのテーマといった諸要素のベクトルで、それらの指し示す方向がバラバラだと、統一性を欠いたデザインが結果として現れます。デザイン段階のトラブルは必ずしもデザイナーの力量不足が原因とは限らないので、うまく行かないときは企画や設計の段階に戻っての再検討も考えましょう。
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実装
1〜4でホームページ制作に必要な材料は全て出揃ったので、それを元に実装の段階に入ります。ここは完全に制作会社側のタスクとなるので、発注側がやるべき作業はありません。次のリリースの準備を先に進めましょう。
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リリース
ホームページの完成の目処が付いたらリリース日を確定し、公開の準備をしましょう。Twitterなどの各種SNSのアカウントを用意し、リリースと同時に稼働を開始できるように投稿内容を準備します。メディアにプレスリリースを送付したり、インフルエンサーに告知を依頼したりする場合も、早めに手配しておきましょう。また、リリース時のトップ記事には、ネットで話題を呼ぶようなインパクトのあるものを準備しておくことも重要です。告知がしっかり行われたホームページでは、公開直後に注目が集まりアクセスが集中します。このタイミングで訪れたユーザーをリピーターにできると、その後の展開が楽になるので、スタートダッシュに全力投球しましょう。
以上がホームページ制作の基本的なプロセスですが、会社によってはターゲットとなるユーザ像とペルソナとして定義したり、ユーザー体験をカスタマージャーニーマップ、ユーザーシナリオによって掘り下げることもあるかもしれません。
なお、このプロセスで重要なのは、1〜5の作業の順番を入れ替えないことです。企画が固まらないうちに設計を始めたり、設計が確定しないうちにデザインを制作したりすると、ホームページの完成度は著しく低下します。
開発プロセスの序列、最初に目的があり、デザインや機能はそれに従う、という順番は必ず守るようにしましょう。
まとめ
今回は、ホームページの制作会社の選び方と制作のプロセスについて解説しました。
ホームページの制作会社を選ぶ際には、会社の実力や得意分野を見極めることも重要ですが、担当者との相性や意思疎通のしやすさやも非常に大事になります。
製作中は、制作側と発注側の間で密なコミュニケーションが発生しますが、そこでのやりとりが上手く行かないことで、制作に悪影響を及ぼすケースは珍しくありません。
発注側と制作側の担当者間のすり合わせの不足により、制作の後半になってから大きなトラブルが発生する事例はよくあるので、しっかりタッグを組んで、力を合わせて難題に取り組めるパートナーを選ぶようにしましょう。
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