WordPressをカスタマイズするためのPHP基礎知識
WordPressをカスタマイズするなら、HTMLやCSSだけでなくPHPを学ぶことが必要で、PHPを扱うことができれば、さまざまなカスタマイズができるようになります。
今回の記事では、WordPressをカスタマイズするためのPHPの基本的な知識について解説します。
PHPを学んで、より自由にWordPressを活用できるようになりましょう。
WordPressとPHPの関係性
まずは、WordPressとPHPの関係性について解説しましょう。
PHPとは何か?
PHPとは、サーバーで動的にウェブページを生成するスクリプト言語です。
サーバー側で動くことからサーバーサイドスクリプトとも呼ばれ、ほかのプログラミング言語と比較して、文法が簡単なため習得しやすい言語です。
MySQLやSQLiteなどのデータベースとの連携も容易で、WordPressに使われている言語としても有名です。
PHPはウェブアプリケーションの開発によく使用されていますが、同じくウェブアプリケーションの開発に使用されるJavaScriptやHTMLとは異なります。
HTMLは静的なウェブページを作成するマークアップ言語であり、JavaScriptはウェブブラウザで動作するクライアントサイドの言語です。
WordPressとは
WordPressとはPHPで作られたCMS(コンテンツマネジメントシステム)で、データベースにはMySQLを採用しています。
オープンソースで開発されており、2003年に最初のバージョンがリリースされました。
WordPressではブログやウェブサイトを作ることができ、世界中のウェブサイトの43%がWordPressによって作られているというデータもあるほどです。
日本でも人気が高く、個人のブログ以外に企業やメディアなど多くのウェブサイトがWordPressで作られています。
WordPressは、プラグインによって機能を追加することが可能で、プラグインは6万種類近くリリースされており、初心者でも簡単にさまざまな機能を実現できます。
WordPressを利用するときにPHPは必要か
WordPressは初心者でも簡単に利用できるCMSです。
ウェブサイトの構築から必要な機能の実装まで、ノーコードで進めることができるため、普通のブログやウェブサイトを作るだけなら、PHPの知識は必要ありません。
ほとんどの機能はプラグインで実現できますし、HTMLやCSSを理解できればデザインはカスタマイズ可能ですが、PHPが分かればWordPressはさらにカスタマイズしやすくなります。
例えば、ちょっとした機能を追加するためにfunctions.phpを編集するには、PHPの知識が必要になります。
PHPを知れば、WordPressを高い解像度でカスタマイズできます。
PHPでカスタマイズできること
PHPが使えれば、WordPressで多くのカスタマイズができます。
PHPでできるカスタマイズは主に機能面ですが、今回はプラグインとテーマに分けた形で、PHPでできるカスタマイズの例を解説します。
プラグイン
PHPが使えれば、WordPressのプラグインをカスタマイズできます。
欲しい機能を搭載したプラグインでも、細かな部分を追加・カスタマイズしたいこともあるでしょう。
たとえば、文字装飾プラグイン「TinyMCE Advanced」に搭載されていない文字装飾を付け足したい場合などです。
PHPとHTML、CSSの知識があればTinyMCE Advancedに文字装飾を加えることができます。
そのほかにも、カレンダープラグインにカスタムフィールドを追加できるなど、PHPが使えれば、カスタマイズできる要素は多くなります。
テーマ
テーマにもPHPが多く利用されていますが、PHPを使うことで、テーマのかなりの部分がカスタマイズできます。
WordPressのテーマはHTML、CSS、PHPでできていますが、そのうち、PHPは動的なプログラムの部分を担当しています。
ウェブページごとに記事タイトルやディスクリプション、コンテンツ内容を出力する仕組みをPHPが担っているため、PHPをカスタマイズすることで、出力順や出力内容を変更可能です。
たとえば、インデックスページで、カテゴリやタグごとの人気記事を出力するといったカスタマイズができます。
ただし、テーマをPHPでカスタマイズする場合は、必ず子テーマを使うようにしましょう。
子テーマとは、親テーマに上書きで読み込まれる仕組みのテーマで、子テーマを変更することで、親テーマを変更せずにカスタマイズすることができます。
PHPでWordPressをカスタマイズする前準備
WordPressをPHPでカスタマイズする前の準備として、WordPressのバックアップ、開発環境の構築、プラグインのチェックを行いましょう。
特に、必要な機能が既にプラグインとして提供されていないかどうかは、必ずチェックしてからカスタマイズに取り組んでください。
目的とする機能に近いプラグインしかない場合は、そのプラグインのカスタマイズを検討しましょう。
バックアップ
PHPでWordPressをカスタマイズする場合、最初に必ずWordPressのバックアップを取っておきましょう。
WordPressのカスタマイズの過程では、予期しないエラーが出て、ウェブサイト全体が真っ白になることもありますが、その場合もバックアップを取っておけば、速やかにウェブサイトを復旧できます。
バックアップを取る方法はいくつかあります。
- PHPを編集するファイルだけバックアップしておく
- サイト全体をプラグインでバックアップする
- サイト全体を手動でバックアップする
基本的には、PHPでカスタマイズするファイルのバックアップを取っておけば事は足りますが、念には念を入れてウェブサイト全体のバックアップを取っておきましょう。
ウェブサイト全体のバックアップは、バックアップ用のプラグイン「BackWPup」がおすすめです。
開発環境
本番のウェブサイトで、PHPをカスタマイズするのはおすすめしません。大規模なカスタマイズになるほど、開発環境が重要になるからです。
ローカルにWordPressをインストールできるソフトウェアには、「XAMPP」(ザンプ)と「MAMPP」(マンプ)があります。
どちらもApache + MariaDB + PHP + Perlをまとめてインストール可能な開発環境で、いずれもWindows、Mac版の両方に対応していますが、XAMPPはWindows、MAMPPはMacと相性が良いようです。
ローカル環境にいずれかの開発環境を導入し、そこにWordPressをインストールしましょう。
ただし、これらの開発環境は、php.iniやApacheの設定が多少異なるため、本番環境と完全に同じ環境を再現することはできません。
本番環境と完全に同じ環境を利用したいのであれば、サーバーにWordPressをインストールして、外部に公開せずにテスト環境として運用しましょう。
サーバーのランニングコストはかかりますが、本番と完全に同一の環境を構築できます。
目的の機能を備えたテーマ・プラグインを探す
PHPでWordPressをカスタマイズするのは実現したい機能があるためで、もし実現したい機能がより手軽に手に入るなら、それを選ぶに越したことはありません。
WordPressでは6万種類近いプラグインがリリースされており、ユーザーが求めるほとんどの機能を実現できます。
セキュリティ、バックアップ、スパムコメント対策、SEO対策、サイトマップ生成、リンクチェック、SNSシェアボタンなどありとあらゆるプラグインがリリースされています。
PHPでWordPressをカスタマイズする前に、実現したい機能を持ったプラグインがないかどうか探してみましょう。
PHPでカスタマイズするよりも、プラグインを導入する方がはるかに効率的です。
WordPressのカスタマイズで覚えておきたいPHPの基礎知識
WordPressをカスタマイズする際に、覚えておきたいPHPの基礎知識について解説します。
演算子
演算子とは足し算や引き算、かけ算、割り算などに使われる記号のことです。
PHPで用いられる演算子には算術演算子や論理演算子、比較演算子などがあり、算術演算子は「+」「-」「*」「/」などで、順に足し算、引き算、かけ算、割り算の演算子です。
論理演算子は「and」「or」などで、順に「および」「または」といった意味になり、比較演算子は「==」「!=」などが用いられ、順に「等しい」「等しくない」という意味です。
演算子は処理の大きな部分を担う、PHPには欠かせない存在で、演算子はほかにも「エラー制御演算子」「代入演算子」「配列演算子」などさまざまなものがあります。
PHPの基礎の基礎なのでしっかり押さえておきましょう。
変数
変数とは、コード上で一時的にデータを格納しておく入れ物のことで、変数に入れた値はメモリに格納され、記憶されます。
変数は先頭に「$」を付け、その後に半角英数字で好きな名前を付けられますが、「$name」「$year」などのように、変数名に意味を持たせることが一般的です。
数字から始まる変数や、特殊文字の入った変数は無効になります。尚、変数は最初に宣言を行った上で、そこに値を入れて利用します。
変数に入れられる値は「文字」「数値」「配列」「論理型」です。変数はPHPでも重要な仕組みの1つなので、しっかりと理解して使いこなしましょう。
繰り返し
PHPには繰り返し処理があります。
繰り返し処理とは、決まった回数や条件をクリアするまで繰り返される処理のことで、「for」「while」「foreach」などを使いますが、それぞれの利用法には決まった型があるので、それを参考に利用しましょう。
たとえば、「for」の場合は以下のような型で使います。
for($count=0;$count<10;$count++){
//実行する処理を書いていく
}
上記の式は、10回繰り返すまで同じ処理を繰り返す式で、繰り返し処理によって「for」「while」「foreach」を使い分けましょう。
条件分岐
条件分岐もPHPで非常に重要な要素です。
条件分岐とは「この条件を満たす場合にこの処理をし、満たさない場合は違う処理をする」といった場合に使います。
PHPの条件分岐には「if」「else」「elseif」「switch」などがあり、例えば以下の式では「値が0ならfalse、それ以外ならtrueを出力」します。
if($count=0){
$value=false;
}else{
$value=true;
}
条件分岐にも決まった型がありますので、何度も使うことで覚えましょう。
配列
複数の変数の値を格納できるのが配列で、配列ではいくつもの変数が格納できるため、大量のデータを扱いたいときに便利です。
配列は関数である「array()」で指定されます。たとえば、以下のように配列を作成します。
$array=array(
key => value,
key2 => value2,
key2 => value2,
key3 => value3,
);
配列を使うことで、変数だけではできなかったさまざまな処理ができるようになります。
関数
PHPの関数とは、処理をひとまとめにした部品のことです。
「メールを送る」「入力した変数を表示する」「入力した文字列を検索する」といった機能を持たせた部品が関数です。
関数はオリジナルで作ることもできますが、関数を作るときはfunction() を使いましょう。
関数には引数があり、引数を入力することでアウトプットが変わりますが、WordPressのテーマやプラグインにも、多くの関数が定義されています。
関数の定義を読み解き、適切にカスタマイズしましょう。
オブジェクト
PHPのオブジェクトとは、データである変数とそのデータを操作する関数をまとめたもので、言い換えると、複数の変数と複数の関数をまとめたものがオブジェクトです。
オブジェクトを使うことで、プログラム全体の可読性を上げてメンテナンスしやすくなります。
この概念をオブジェクト指向と言い、オブジェクト指向のプログラムはカスタマイズがしやすく、柔軟な対応が可能です。
作業者同士の認識の共有や再利用がしやすく、開発がスピーディーに進められます。
オブジェクト指向は大規模開発に向いていますが、個人開発の場合は必ずしも必要ではありません。
まとめ
今回は、WordPressのカスタマイズで覚えておきたいPHPの基礎知識を解説しましたが、PHPは、ほかのプログラミング言語より簡単で習得しやすいのが特徴です。
HTML、CSSに加えてPHPを習得すると、WordPressの作動している仕組みが、より深く理解できるようになります。
また、学習のための開発環境の構築が容易で、マニュアルもウェブに大量に公開されているため、プログラミング学習の一歩目には最適な言語です。
PHPを習得して、WordPressをより自由にカスタマイズできるようになりましょう。
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