会計ソフトは期の途中から導入できる?「開始残高」についても解説

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- 会計ソフトは会計期間の途中からでも導入することが可能
- 個人事業主の「開始残高」は、0円でも設定できるが変更はできないので注意する
- 会計ソフトを途中で乗り換えるタイミングとしては、法人化や事業拡大時がある
会計ソフトは会計期間の途中からでも導入可能です。期首から現時点までの取引を入力する方法と、導入日を期首とする方法の2種類があります。この記事では、会計ソフトを期の途中から導入したい方や別の会計ソフトへ乗り換えたい方へ向けて、その方法や注意点を解説します。
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会計ソフトは期の途中から導入できるのか

会計ソフトは、任意の期の途中から導入することが可能です。多くの会計ソフトは、途中からのデータ入力にも対応しており、入力方法としては以下の2つがあります。
- 期首から現時点までの取引をすべて入力する方法
- 会計ソフト導入時点を期首としてそれ以降の取引を入力していく方法
ただし、いずれも計画的なアプローチとデータの正確な移行が重要です。会計処理の正確性とデータの整合性を確保するために、場合によっては専門家のアドバイスやサポートを受けることも検討しましょう。
期の途中から会計ソフトを導入する際に必要な作業
会計ソフトによって操作手順や用語は異なるため、具体的な方法については各ソフトのマニュアルを参照することが大切です。しかし、共通して必須の作業は以下の通りです。
- 期首残高の登録
- 取引データの入力
- 勘定科目の設定とカスタマイズ
- 税率の設定(さまざまな国や地域で取引がある場合)
- 既存のデータが不完全な場合の調整
会計ソフトによっては、データ移行や詳細な設定が必要な場合もありますが、要点としてこれらの作業が基本であることを押さえておきましょう。
個人事業主は期首が1月1日と決められている
株式会社や合同会社などの法人の場合、事業年度の開始日は自由に決めることができます。そのため、企業によっては1月1日〜12月31日で決算を行う場合や、4月1日〜3月31日やそれ以外の期首・期末が設定されている企業もあります。
しかし、個人事業主は1月1日〜12月31日を事業年度とすることが決まっています。したがって、すでに事業を始めていて、1月1日以外の日付から会計ソフトを運用する場合、「期首から現時点までの取引をすべて入力する方法」を取る必要があります。
個人事業主が「開始残高」を設定する際のポイント

開始残高とは、特定の会計年度の開始時点における資産や負債の残高を指し、個人事業主では年度が1月1日からとなります。会計帳簿を管理する際に、毎年の最初にこの開始残高を設定することが重要です。以下に設定のポイントを解説します。
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個人事業主が「開始残高」を設定する際のポイント
開始残高がわからない場合は「0」円で登録する
開始残高がわからない場合は、一般的に会計ソフトの開始残高を0円で登録します。初めての会計処理では開始残高が存在しなかったり、新規事業においては開始時の資産や負債がわからないことも珍しくありません。
また、会計ソフト導入時点で、過去の取引利益が不完全なケースもあります。その場合は、不明確なデータに基づき、不正確な数値を入力するよりも0円で開始した方がエラーを回避できます。
0円で登録することは、簡単に会計ソフトの運用を開始できるメリットもあり、徐々に取引データを追加していくことで、実際の残高に近づけていけます。
事業用とプライベートで口座を分けていない場合
個人事業主や副業の場合、事業用とプライベートの収支を完全に分けることが困難な場合があります。この場合も開始残高を0円で登録し、事業用の収支を徐々に記録していく方法がおすすめです。
開始残高を0円で登録することで、プライベートな取引が混在している場合でも、事業の収支に影響を与えずに会計処理できます。
ただし、将来的に会計処理が複雑化しないように、事業用の口座を開設することが望ましいケースもあります。口座を分けていない場合は、来期の会計に向けて、事業用口座の開設を検討しておきましょう。
開始残高は変更できない
税務署に公開済みの情報としての開始残高は、納税申告や税金計算に影響が出るため変更できません。開始残高は会計処理の基礎であり、税務署では透明性・一貫性のある正確な情報を求めています。
特例的に開始残高の変更が許可される可能性もゼロではありませんが、一般的ではありません。開始残高の設定においては、税務署における確定申告の信頼性を確保しなければいけない点に気をつけましょう。
期の途中で会計ソフトを乗り換える流れ

会計ソフトにはさまざまなものがあり、事業の変化や会計に関連する法改正などによって会計ソフトを変更することは珍しいことではありません。会計ソフトの乗り換えによって業務が効率化する可能性も大きいです。ここでは乗り換えの流れについて解説します。
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期の途中で会計ソフトを乗り換える流れ
準備するもの
乗り換えには、乗り換え前のソフトと乗り換え予定のソフトでそれぞれ準備が必要です。乗り換え前のソフトについては、データ移行中の問題発生に備えてバックアップしておくことがおすすめです。
乗り換え予定のソフトは、あらかじめインストールしておくか、クラウド型の場合は利用登録しておきましょう。なお、これらの準備は、乗り換え前のソフトから乗り換え予定のソフトへとデータを取り込むインポートを前提としています。
そのため、データのインポートに対応しているかも事前に確認してソフトを選ぶことが重要です。インポートに対応していない場合は、前期の残高試算表と貸借対照表を用意しておくと、開始残高を再現できます。
仕訳データをインポートできる場合
会計処理の基本となる取引の記録である「仕訳」の入力は、会計ソフト乗り換え時において大変な作業です。仕訳データのインポートができる会計ソフトなら、入力の手間を大幅に削減できます。
以下に、データ移行の手順・方法をまとめました。
- 乗り換え前のソフトから仕訳データをエクスポートする
- 新しい会計ソフトにエクスポートしたデータをインポートする
- データが正しく移行されたか、動作に問題がないか確認する
会計ソフトによっては、開始残高や勘定科目のインポートができる場合もあるため、乗り換えする会計ソフトを選ぶ際には、どこまでインポートできるか確認しておきましょう。
仕訳データをインポートできない場合
仕訳データをインポートできない場合には、入力は手作業となります。しかし、仕訳データは会計処理の重要な情報のため、正確性を保つためにも、過去の記録や文書を参照して注意深く作業しましょう。
また、開始残高がインポートできない場合は、開始残高の設定が必要です。その際、前期の残高試算表や貸借対照表をもとに設定し、仕訳データや開始残高に含まれる勘定科目・補助科目の設定も必要です。
さらに、会計ソフトが固定資産の管理に対応している場合は、固定資産の情報も新しいソフトに登録する必要があります。
会計ソフトを乗り換えるタイミング

会計ソフトをどのタイミングで乗り換えるのが適切かについては、個々の事情や環境、社会の動向などの影響もあり一概には断言できません。ここでは、メリットの大きいタイミングとして、一般的な例について解説します。
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法人化するとき
個人事業主から法人化する場合は、会計処理や税務処理が変わるため、個人事業主から法人になる際に会計ソフトの変更が必要となる可能性があります。これは、会計ソフトが個人事業主用と法人用に分かれている場合が多いためです。
法人としての会計処理は、財務諸表や法人税の計算などが必要なため、個人事業主向けのソフトでは対応できない可能性があります。法人化前の会計データは出力して保管し、法人用のソフトにインポートすればスムーズな会計処理が可能になります。
事業が拡大したとき
法人化以外にも課税事業主として消費税処理が必要になった場合や、事業規模が拡大した場合も、会計ソフトの乗り換えがおすすめです。
特に事業規模が拡大すると、煩雑な会計処理が増えたり、管理会計の重要度が増すため、現行の会計ソフトでは対応しきれないことが考えられます。より高度な管理機能やレポート機能を備えたソフトに乗り換えることで、経理作業を効率化できる可能性が大きいです。
法改正があったとき
法律や規制の変更も乗り換えの良い機会となります。消費税引き上げや会計基準の変更など、法律変更に伴うアップデートは、最新の処理や法令遵守のために重要です。
また、パッケージ版はアップデート料金がかかり、利用者が手動で行いますが、クラウド型は定期的な料金で常に最新版を利用でき、アップデート作業もベンダーが対応します。
そのため、自社での作業負担の大幅な削減に繋がり、パッケージ版からクラウド型への乗り換えとしても有効な手段となります。

仕訳や決算書作成などの経理作業を効率化できる会計ソフトの種類には、クラウド型とインストール型が存在します。本記事では、会計ソフトのクラウド型とインストール型のメリット・デメリットを交え、それぞれの違いを比較表を使って分かりやすく解説します。
機能拡張したいとき
会計ソフトに対して新しい機能や分析ニーズが生じたときも乗り換えのベストタイミングの一つです。例えば、キャッシュ・フローや取引先の分析など、より充実した機能を追加することで、業務を効率化できる可能性があります。
その際には、以下の点を慎重に考慮しましょう。
- 必要な機能と適用範囲を評価し、本当に必要な機能かどうか判断する
- 既存のデータを新しいソフトに正確に移行するための計画を立てる
- 新しい会計ソフトのカスタマーサポートとサービス品質を確認し、信頼性のあるものを選定
- 導入コストと導入後のメリットのバランスを見極める
必要な機能やニーズを明確にし、最適な会計ソフトにスムーズに乗り換えることで、より効果的な経営に繋がるでしょう。
会計ソフトを乗り換える前に注意したいこと

会計ソフトを乗り換える前に注意しておきたいポイントが3つあります。導入した後に後悔しないように確認しましょう。
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乗り換えることによる明確なメリットはあるか
新たな会計ソフトに乗り換える場合、初期設定やデータ移行などにコストや手間がかかります。しかし、自社に必要な機能が曖昧だったり、費用対効果が高まる保証がなければ、新しいソフトに乗り換えても思ったような効果を得られない可能性が高いです。
そのため、事前に自社の会計作業の課題を把握し、それらを解決できる会計ソフトかどうかを確認したり、乗り換えによってメリットを得られるかを検討しておきましょう。現行のソフトよりも費用対効果の高い運用ができると、乗り換え後の失敗も防げます。
サポートがあるか
新しい会計ソフトに乗り換えるためには、どうしても手間がかかります。その際、乗り換えのサポートがあると、予期せぬトラブルにも対応することができます。また、以前の業務フローから新しい業務フローに移行しやすくなります。
サポートがあると安心して移行しやすくなるでしょう。サポートがある際には、サポートの方法やサポートが受けられる時間帯を確認しましょう。
互換性があり乗り換えがしやすいか
会計ソフトを乗り換える際には乗り換えのしやすさも重要なポイントです。乗り換えがしやすいと手間や負担が軽減されます。
乗り換える前のソフトとデータの互換性があると乗り換えがしやすいです。乗り換える前のソフトの設定をあらかじめ確認し、業務の切り替えを円滑に行いましょう。
乗り換え方法を事前に理解しておく
会計ソフトを乗り換える際は、事前に乗り換え方法をよく確認し、理解しておきましょう。一般的に乗り換えの流れは同じですが、ソフトによって細い流れや準備が異なる場合もあり、スムーズに作業が進まなかったり、乗り換えに失敗することが考えられます。
そのため、乗り換え作業を始める前に、新しいソフトのマニュアルやサポートサイトなどを確認し、具体的な手順や注意点を把握しておきましょう。
担当の税理士や会計士への依頼も検討する
会計ソフトの乗り換えは、自社で行ったりベンダーのサポートを受ける方法以外にも、担当の税理士や会計士に依頼できるケースもあります。特に初めて会計ソフトの乗り換えを行う場合や、移行作業に時間を割けない企業は、依頼の検討をしてみましょう。
税理士や会計士は、税務や会計処理に精通しているだけでなく、会計ソフトに関する知識を持っていることも多いため、スムーズに移行できるでしょう。また、同時に税務申告に必要なデータの整合性も確保でき、申告ミスや漏れといったリスクを未然に防げます。
ただし、乗り換え作業を依頼する際は、別途費用が生じることが多いため、どのくらいのコストがかかるかを事前に確認しておきましょう。

事業規模が拡大した際や、個人事業主から法人化した際などは、会計ソフトの切り替えが必要になることがあります。本記事では、会計ソフトを乗り換えるタイミング、手順や用意するもの、さらに注意点や確認事項についても分かりやすく解説します。
まとめ

会計ソフトは期の途中からでも導入可能です。期の途中から会計ソフトを乗り換える場合は、データのバックアップやインポートに対応しているかなどを事前に確認し、スムーズな移行作業ができるように準備をしておくことが重要です。
また、法人化や事業規模の変更、新しい機能が必要になったときなどは新規導入ではなく乗り換えをする場合もありますが、経営ニーズに合わせて新しいソフトを慎重に検討することが重要です。
本記事の内容を参考に、会計ソフトの乗り換えに適したタイミングかどうかを検討し、失敗しないよう乗り換え方法をしっかり確認した上で、会計ソフトの移行を進めましょう。

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