会計ソフトの摘要欄の活用例|書き方や必要性、注意点も解説

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  • 会計ソフトにある摘要欄は、取引内容などを明確にするために必要である
  • 接待交際費に該当する飲食代であれば、取引先名・参加人数・目的などを記載する
  • 摘要欄は空欄にせず、適切な内容を記入することで税務調査にもスムーズに対応できる

会計ソフトにある摘要欄は、仕訳処理だけでは分からない取引相手や取引内容を明確にするために必要な項目です。摘要欄はできるだけ空欄にせず、必要な事項を記載するようにしましょう。本記事では、会計ソフトにある摘要欄の必要性や活用例を解説します。

目次

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  1. 摘要とは
  2. 会計ソフトにある摘要欄の必要性
  3. 会計ソフトの摘要欄に記載する内容
  4. 会計ソフトの摘要欄の活用例
  5. 会計ソフトの摘要欄に入力する際の注意点
  6. まとめ

摘要とは

摘要とは、辞書によれば「要点を抜書きすること。その抜書き。」と記されています。読み方は「てきよう」です。

会計においては、摘要は取引の内容をわかりやすくするものを意味します。摘要欄には、勘定科目や金額だけではわからない取引の詳しい情報を書き留めておきます。

似ている言葉として「備考」や「概要」が挙げられます。備考は文章を補足するもの、概要は文章全体を要約してまとめたものです。3つの言葉の意味は非常に似ていますが、取引の記録で使うのは「摘要」です。

会計ソフトにある摘要欄の必要性

会計ソフトには、あらかじめ「摘要」という記入項目があります。まずは、どういった内容を書くべきか分からない方のために、会計ソフトにある摘要欄の必要性について解説します。

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取引内容などを明確にするため

会計帳簿には、記帳と保存の義務があり、日付や勘定科目以外にも取引理由などを明確にする必要性があります

帳簿作成においては、整然かつ明瞭に取引内容を記入することが求められているため、取引の日付や科目、金額のほか、相手方の名称や取引事由なども示されなければなりません。そのための記入欄が摘要欄です。

軽減税率の対象を明確にするため

会計ソフトの摘要欄は、軽減税率への対応のために記載する必要があります。2019年10月から施行開始した軽減税率制度では、その取引が軽減税率対象品目であることを明確にしなければなりません

標準税率(10%)と軽減税率(8%)を区別するため、軽減税率対象の取引には摘要欄に「軽減税率」と記載するのが分かりやすいでしょう。

ただし、記載作業を効率化するため、最初に「※軽減税率対象」と記載し、以降同じ取引には「※」と記すなど、簡略化する方法も有効です。

参考:軽減税率制度の概要|国税庁

税務調査などの外部チェックに対応するため

税務調査などの外部のチェックに対応するためにも、摘要欄に詳しく取引内容などを記載する必要があります。税務調査の際に提出を求められる仕訳帳簿では、取引内容が明確に記載されているかが重要なチェックポイントとなります。

そのため、記帳した担当者自身が後から見返しても取引内容が即座に理解できるよう、具体的な記載を心がけましょう。摘要欄を見ただけでは取引の詳細が把握できない場合、会計処理のずさんさを指摘される可能性があります。

帳簿の提出の際に管理に問題があると判断されると、より詳細な現地調査が必要となり、調査完了までに長期間を要する可能性も出てきます。税務調査をスムーズに進めるためにも、摘要欄には分かりやすく詳細な情報を記載しておくようにしましょう。

会計ソフトの摘要欄に記載する内容

摘要欄に記載するべきことは以下の2つです。

  1. 取引相手の名前や名称
  2. 取引の内容

例えば、新人研修会参加のために大阪から東京間を新幹線で移動した交通費を記録するときの摘要欄の記載例を示します。

日付借方貸方摘要
〇月〇日交通費:20000現金:20000大阪-東京間新幹線代 
新人研修会参加のための移動

会計ソフトの摘要欄の活用例

会計ソフトにある摘要欄は、実際に使ったことがない人にとっては具体的なイメージを描きにくい部分もあるでしょう。ここからは、具体的に通信費・接待交際費・交通費を例にとり、摘要欄の活用例について詳しく解説します。

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会計ソフトにある摘要欄の活用例

  1. 通信費
  2. 接待交際費
  3. 交通費
  4. 寄付金
  5. 固定資産

通信費

通信費には、固定電話料金・携帯電話料金・プロバイダ料金・切手代などが該当します。幅広い費用が含まれ、勘定科目だけでは内容が分からないため、どのような通信費であるかという詳細を摘要欄に記載する必要があります。

例えば、電話料金の場合は支払先・支払い項目・利用月について摘要欄に記載しましょう。具体的には、「〇〇電話会社 電話料金2023年7月分」などと記載します。

通信費は翌月の後払いになることが多いため、何月分の料金なのか入力しておくと後で見たときに分かりやすいです。

接待交際費

営業目的で取引先と飲食をした場合、接待交際費として計上することができます。しかし、業務目的であることが把握できない場合は、接待交際費として認められない場合があります

そのため、業務目的であることが把握できるように、摘要欄に取引先名・接待参加人数・名前・店舗名・目的などを入力しましょう。具体的には、「◇◇食堂 〇〇会社との懇親会(参加者:〇〇会社△△部長、当社営業部△△、△△、△△計4名」などと記載します。

接待交際費と認められるには条件が細かく定められているため、領収書などの証憑書類と合わせて保管しておくことが大切です。

交通費

交通費は、タクシー・バス・新幹線・電車代などを計上することができます。それぞれ区間や距離によって料金が異なるため、どこからどこまで利用したのかを把握できるように記載が必要です。また、利用した内容についても、具体的に記載しておきましょう。

例えば新幹線の場合は、上記の例でも示したように「大阪-東京間新幹線代 新人研修会参加のための移動」などを記載しましょう。バスやタクシーなどの場合は、利用した交通機関の名称も記載しておくと良いです。

寄付金

寄付金は税務上重要な項目であり、摘要欄には寄付先と寄付目的を明確に記載する必要があります。例えば、「一般財団法人〇〇〇〇 環境保護基金への寄付」のように、寄付先の正式名称と具体的な基金名を記載しましょう。

近年は寄付金受領証を発行する団体も増えているため、受領証を受領した場合は伝票に添付し、摘要欄に「受領証番号:〇〇」と記載しておくと、後々の確認がスムーズになります。

固定資産

固定資産を購入した際の摘要欄には、詳細な固定資産情報の記載が重要です。固定資産は購入月から減価償却が開始されるため、後日購入時期を特定できるように「ノートパソコン(固定資産No:〇〇-〇〇)購入日:2025年4月1日」のように具体的に記録しましょう。

固定資産の管理番号を併記することで、資産の特定や追跡がしやすくなり、月次決算時の固定資産の登録漏れや減価償却処理の確認にも役立ちます。また、必要に応じてメーカー名や型番などの情報を追加することで、より詳細な資産管理が可能になります。

会計ソフトの摘要欄に入力する際の注意点

会計ソフトの摘要欄に入力する際には気を付けるポイントがいくつかあります。ここからは、摘要欄に入力する際の注意点について解説します。

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摘要欄は空欄にしない

摘要欄の記入は義務ではないため、記入しなくても良いと考える人もいるかもしれません。しかし、会計ソフトの摘要欄は空欄にしないようにしましょう。摘要欄は、取引先や取引内容を明確にするための大切な部分です。

記帳内容を見ても業務に必要な内容なのか分からなければ、他の書類の提出が必要になったり、税務署などに否認されてしまったりする可能性もあります

会計ソフトには、摘要欄なども含めた検索機能が搭載されているものもあり、摘要欄に登録している内容で取引を抽出することができます。後で確認したい時もすぐに抽出できるため、摘要欄はできるだけ入力するようにしましょう。

内容は簡潔に入力する

会計ソフトの摘要欄の内容は、簡潔に入力することが重要です。文字数の上限はそれほど厳しくありませんが、情報を入れすぎてしまうとかえって分かりにくくなる場合があります。

入力する際のポイントは、必要な情報を簡潔に入力し、かつ記載方法を統一することです。同じ取引でも違った文言で入力をしてしまうと、明瞭さに欠け、検索で抽出できない可能性もあるので、書き方のルールを決めておくのがおすすめです。

消費税の区分についても記録する

会計ソフトの摘要欄には、消費税の区分についても記録しましょう。消費税法において課税事業者が仕入税額控除を受ける場合は、取引内容や金額などの必要事項をしっかり帳簿に記載することが求められています。

必要事項が記載されていなければ、仕入税額控除が認められず、本来よりも多くの消費税を納税することになるため注意が必要です。以下のような内容が記載されているかチェックしましょう。

  1. 取引先の名称(氏名)
  2. 取引日時
  3. 勘定科目
  4. 金額
  5. 取引内容
  6. 軽減税率の対象であるか

参考:帳簿の記載事項と保存|国税庁

ソフトによっては税区分の設定機能がある場合もある

会計ソフトの中には、摘要欄とは別に消費税の税区分を設定する機能があるものもあります。取引ごとに税区分を設定でき、それをもとに消費税の申告納税額が自動で計算されます

また、手動で設定するタイプのものもあれば、自動で税区分が選択されるものもあります。勘定科目の内訳ごとなどにあらかじめ設定を行うことで、1件1件選択しなくても自動で税区分が入力されるので便利です。

税区分とは?正確な申告納税額を算出するために知識を身につけよう

税区分とは、消費税に関わる商品やサービスの取引を分類するためのものです。取引の内容や課税方式によって税区分が変わるため、申告する際に誤りがないように分類しなければいけません。本記事では、税区分の概要や会計ソフトを利用して税区分を設定するメリットを解説します。

まとめ

会計ソフトにある摘要欄は、仕訳処理だけでは分からない取引相手や取引内容を明確にするために必要な項目です。

そのため、会計ソフトの摘要欄は、空白にせず必要な事項を記載するようにしましょう。摘要欄を適切に利用すれば、取引の内容が具体的に把握できるため、軽減税率の対象が明確になったり、税務調査などの外部チェックにもスムーズに対応したりすることができます。

会計ソフトの摘要欄を上手く活用すれば、明朗な会計業務を行えます。摘要欄にどういった内容を書けばいいのか、どのように書くのか分からない方は、本記事を参考に記載してみましょう。

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