AI動画生成の業務活用ガイド|ツールの選び方・著作権・ディープフェイク対策
Check!
- ツールの種類と無料の範囲の見方がわかる
- 著作権とディープフェイクの注意点がわかる
- 提供終了に備えた社内ルールがわかる
AI動画生成とは、文章での指示や静止画をもとに、AIが動きのある動画を新しく作り出す技術です。業務で使うときは、ツールの種類と無料プランの範囲、商用利用の条件、著作権とディープフェイクへの備え、そして作ったあとの投稿と分析の運用までを先に決めておくと、導入後の手戻りを減らせます。本記事では、AI動画生成を業務に取り入れたい担当者に向けて、仕組みと生成方式、ツールの選び方、動画を作る手順、著作権とディープフェイクのリスク、用途別の使い方、社内ルール、効果の測り方を、各社の公式ページと公的な資料で確認できた内容にもとづいて整理します。
なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な利用可否の判断が必要な場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。
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AI動画生成とは|仕組みと3つの生成方式
AI動画生成とは、文章の指示(プロンプト)や静止画をもとに、大量の映像データから学習したAIモデルが、動きのある新しい動画を作り出す技術です。AI全般の分類は、AI生成(生成AI)とはの記事も参考になります。
現在主流の動画生成AIの多くは、ノイズから少しずつ映像を組み立てていく「拡散モデル」と呼ばれる仕組みを、時間方向にも広げたものです。静止画では1枚を整えれば済みますが、動画では前後のフレームで人物の顔や背景、物の形が破綻せずにつながっている必要があります。そのため、長い尺になるほど「途中で人物の服装が変わる」「手の指の数がおかしくなる」「背景の文字が崩れる」といった不自然さが出やすく、業務では数十秒程度の短い尺から始めるのが現実的です。生成方式は、大きく次の3つに分けられます。
| 生成方式 | 仕組み | 向いている用途 |
|---|---|---|
| テキストから動画 | 文章の指示だけで映像を生成する | イメージ映像、SNS投稿の背景映像など、ゼロから世界観を作りたい場合 |
| 画像から動画 | 既存の静止画を動かす | 自社の商品写真やイラストを活かしたい場合 |
| アバター・スライド型 | 原稿を入力すると、架空の話者やスライドに合わせたナレーション動画を作る | 研修動画やマニュアル動画など、説明が中心の場合 |
同じ指示でも毎回違う映像が出ることは、AI動画生成の特徴です。短時間で多くのバリエーションを作れる利点であると同時に、前回と同じ映像を再現することや、どの指示から生まれた動画かを後から説明することが難しい弱点にもなります。生成に使ったツール名、日付、プロンプト、入力した素材を記録しておくと、問い合わせを受けたときの説明材料になります。
作ったあとに残る投稿と分析の運用を任せる選択肢|Instagram運用代行
AI動画生成で制作の時間が短くなっても、動画は投稿されて見られて初めて成果につながります。SNS向けの縦型の短尺動画は、毎週の企画、確認、投稿、数字の振り返りが続くため、制作の速さよりも、この運用を誰が担い続けるかが負担の中心になりがちです。担当者が1人か2人の会社で運用が回らなくなったときの選択肢の一例が、Instagram運用代行サービスのトリドリライクスです。
トリドリライクス(運営は株式会社トリドリ)の商品ページでは、アカウントの設計から分析までをまとめてサポートすること、投稿画像の作成と投稿を代行すること、クリエイティブディレクターによる動画制作・画像制作が行われること、分析月次レポートで効果測定や課題の特定ができること、レポートをもとに投稿時間やハッシュタグなどを見直す運用設計の改善があることが紹介されています。一方で、商品ページではInstagramの運用代行として紹介されているため、対応するSNSや動画の制作範囲は資料で確認する必要があります。利用には審査があり、初回の打ち合わせから運用開始まで最短で30日ほどかかること、申込日から料金が発生すること、撮影などのオプションは別途費用がかかることにも注意が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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AIで作った動画を運用に載せられるか、どこまで任せられるかは、資料で対応範囲を確認すると判断しやすくなります。
業務で使うAI動画生成ツールの選び方|種類・無料の範囲・商用利用
業務で使うツールは、種類、無料の範囲、商用利用の条件、入力データの扱い、提供の継続性の5点で選ぶと、導入後の手戻りを減らせます。
ツールの種類は4つに分けて考える
動画生成AIのツールは、機能の組み合わせによって次の4つに分けると整理しやすくなります。例として挙げた機能は、2026年10月16日時点の各社の公式ページで確認できた内容です。
| 種類 | 特徴 | 向いている場面 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| テキスト・画像から映像を作る生成ツール | 指示文や静止画から、数秒から数十秒の映像素材を作る | イメージ映像、SNSの背景映像 | 1回で作れる秒数、生成回数、透かしの有無 |
| 複数のモデルを1つの画面で使えるワークスペース型 | Adobe Fireflyの公式ページでは、Veo 3.1、Luma AI Ray3、Kling 3.0、Runway Gen-4.5といった複数のモデルから選べると紹介されている | 同じ指示で複数のモデルの結果を比べたい場合 | モデルごとに商用利用の条件が異なる場合がある |
| デザイン・編集ツールに組み込まれた生成機能 | Canvaの公式ページでは、動画生成に加え、ナレーション、字幕、テンプレート、BGMを同じ画面で扱えると紹介されている | 字幕やBGMまで1つの画面で仕上げたい場合 | プランごとのAI利用枠、素材の利用条件 |
| アバター・スライド型 | 原稿から、架空の話者やスライドに合わせた説明動画を作る(Canvaの公式ページにもAIアバターの紹介がある) | 研修動画、マニュアル動画 | 実在の人物に似ていないか、声の扱い |
実際の業務では、1本の動画を1つのツールだけで完結させるより、数秒の映像素材を複数生成し、編集ツールでつなぎ合わせて字幕と音声を足す方が、業務で使える品質に届きやすいのが実情です。文章や画像も含めた生成AI全般の選び方は、生成AIおすすめ12選の記事で整理しています。
無料プランで見るのは「回数」「モデル」「書き出し」
「無料で使える」と書かれていても、中身はサービスごとに違います。たとえばCanvaの公式ページ(2026年10月16日確認)では、無料版でも動画生成AIを使えるものの、AI機能全体で共通の利用枠が毎月リセットされ、無料版は標準モデルで最大200回、高品質モデルで最大20回、最高品質モデルは利用できないと案内されています。Adobe Fireflyの公式ページ(同日確認)では、毎日リセットされる生成回数の上限内であれば無料で使えると案内されています。回数の単位が月か日か、使えるモデルの品質、書き出しの条件がサービスごとに違うため、無料のまま業務で使い続けるのではなく、試用で品質と回数を確かめてから、会社として契約するプランを決める流れが現実的です。プランの内容は変わることがあるため、導入するときは公式ページで最新の内容を確認してください。
業務用に確認する6つの項目
画質の印象だけでツールを決めず、次の項目を利用規約や料金ページで確認してから試用すると、導入後の手戻りを減らせます。
| 確認項目 | 確認する内容 | 業務で問題になりやすい点 |
|---|---|---|
| 商用利用の可否 | プランごとに商用利用が認められているか、生成物の権利の扱い | 無料プランで作った動画を広告やSNSの公式アカウントで使えない場合がある |
| モデルごとの規約 | 複数のモデルを選べるツールでは、モデルごとの利用規約 | Adobe Fireflyの公式ページには、商用利用の可否は使うモデルによって異なり、パートナーモデルには別の規約が適用される場合があるとの案内がある |
| 透かし(ウォーターマーク) | 書き出した動画にサービスのロゴが入るか | 外部公開用には使いにくく、有料プランへの切り替えが前提になる |
| 尺・解像度・生成回数 | 1回で生成できる秒数、出力解像度、月または日あたりの生成回数 | やり直しが多いと、想定より早く上限に達する |
| 入力データの扱い | アップロードした素材が学習に使われるか、データの保管場所 | 社内資料や未公開の商品画像を入力できるかの判断材料になる |
| 提供の継続性 | サービスの運営方針、データのエクスポート方法 | 提供が終了すると、保管していない動画や指示文が使えなくなる |
ツールの提供終了に備える|Soraの例
ツールを決めるときは、機能だけでなく、そのサービスが続くかどうかも確認項目になります。OpenAIのヘルプセンターでは、同社の動画生成サービスSoraのウェブ版とアプリ版が2026年4月26日に提供を終了し、Sora APIも2026年9月24日に終了すると案内されています。提供終了後は、最終的なエクスポート期間(提供される場合)が過ぎると、利用に関連するデータが完全に削除されるとも案内されています(OpenAI Help Center「Sora の提供終了について知っておくべきこと」)。
業務で使っていた場合に困るのは、主に次の3点です。ツールの比較記事の中には、提供終了前の情報のまま掲載されているものもあるため、記事を見るときは掲載日と、公式ページでの確認日を見る習慣も役に立ちます。
- 動画と元のプロンプトを自社で保管していないと、同じ動画を作り直せない
- 制作の手順が1つのツールだけに依存していると、代わりのツールで手順を組み直す手間がかかる
- 使っていたツールの規約や商用利用の条件を確認した記録が残っていないと、乗り換え後に権利の確認をやり直すことになる
対策は、生成した動画、使った指示文、ツール名と規約の確認日を自社の保管先に残しておくことと、1つのツールだけに頼らない前提で手順を決めておくことです。
動画を作る6つのステップとプロンプトの書き方
ツールを決めたあとの基本的な流れは、公式ページでも共通しています。CanvaとAdobe Fireflyの手順の紹介を見ると、ツールを開き、指示文を入力または画像をアップロードし、生成し、調整や再生成をして、書き出して共有するという順番です。業務で使うときは、これに「確認」を加えた6ステップで進めると、公開前の見落としを減らせます。
| ステップ | やること | 業務での確認点 |
|---|---|---|
| 1. ツールとモデルを選ぶ | 会社として使うツールとプランを選ぶ | 商用利用の条件と、入力データの扱いを確認済みか |
| 2. 指示文を書く | 被写体、動作、背景、カメラワーク、雰囲気を順に書く | 作品名・実在人物名を入れていないか |
| 3. 生成する | 数秒の映像素材を、指示を変えて複数作る | 使った指示文と日付を記録したか |
| 4. 選んで再生成する | 意図に近いものを選び、足りない点を指示に足して作り直す | 手や文字、ロゴの写り込みが崩れていないか |
| 5. 編集して仕上げる | 素材をつなぎ、字幕、BGM、ナレーションを足す | BGMや素材の利用条件を確認したか |
| 6. 確認して書き出す | 作成者とは別の担当者が通しで確認し、書き出す | 公開先に応じた表示(AI生成である旨)が必要か |
指示文は、「おしゃれなカフェの動画」のような抽象的な書き方よりも、映像を構成する要素を分けて具体的に書く方が、意図に近い結果を得やすくなります。基本は、被写体(誰が、何が)、動作(どう動くか)、背景と場所、カメラワーク(寄り・引き、固定か移動か)、雰囲気(光、色味、時間帯)の5つを順に書くことです。たとえば「木製のカウンターに置かれたコーヒーカップから湯気が立ちのぼる。朝の柔らかい自然光。カメラはゆっくり近づく。縦型、5秒」のように書くと、生成のやり直しを減らせます。画像から動画を作る場合の入力画像をAIで作るときは、AI画像生成の業務活用ガイドの著作権と入力素材の考え方も確認してください。
著作権リスク|既存作品との類似性チェック
AI動画生成の著作権リスクは、生成した映像が既存の作品と似ていないか(類似性と依拠性)、入力した素材の権利、生成物のサービス規約上の扱いという3点を確認することで、大部分を管理できます。
類似性と依拠性の考え方
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」では、AIを使って生成した場合も、AIを使わずに作った場合と同様に、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」が認められれば著作権侵害に該当し得るという考え方が示されています。類似性とは、生成物が既存の著作物の創作的な表現と似ていること、依拠性とは、既存の著作物をもとにして作られたと評価できることを指します。同資料では、既存の著作物の題名などをプロンプトに入力して生成した場合は、依拠性が認められやすいという考え方も示されています(文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」2024年3月15日、https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf)。
動画の場合、確認すべき要素は画像よりも多くなります。映像そのものに加えて、キャラクターのデザイン、カメラワークや場面構成、BGM、ナレーションの声質など、1本の動画の中に複数の表現が含まれるためです。特に、有名な映画やアニメのワンシーンを思わせる構図を指示したり、特定の作品名や監督名を入れて「〇〇風の映像」と指定したりすると、類似性と依拠性の両方が問題になりやすくなります。
| 避けたい指示 | 安全な言い換え例 |
|---|---|
| 特定の映画・アニメの作品名や監督名を入れて「〇〇風」と指定する | 「柔らかい自然光」「手持ちカメラ風」など一般的な撮影表現で指定する |
| 有名なキャラクターを登場させる | 年齢層、服装、雰囲気などの属性だけを指定し、独自の人物にする |
| 他社のCM動画をアップロードして「同じ構成で」と指示する | 場面の順番や伝えたい内容を言葉で説明する |
| 有名なナレーターや声優の声に似せるよう指示する | 「落ち着いた低めの声」など声の特徴だけを指定する |
入力素材とBGMの権利
画像から動画を作る方式では、入力する静止画そのものの権利も確認が必要です。自社で撮影した商品写真であれば問題になりにくい一方、Web上で見つけた画像や、素材サイトからダウンロードした画像は、利用規約でAIへの入力や加工を制限している場合があります。BGMについても、フリー音源であっても商用利用や動画での使用条件が決まっていることが多いため、動画に組み込む前に規約の範囲を確認してください。SNSアプリ内で提供される楽曲は、そのアプリ内での利用に限って許諾されている場合もあり、同じ動画を別のSNSや広告に転用するときは改めて確認が必要です。
生成した動画に自社の著作権は生じるか
見落とされやすいのが、自社がAIで作った動画に著作権が発生するかという逆方向の論点です。文化庁の資料では、AIが自律的に生成したものは著作物に該当しないと考えられる一方、人が創作的な寄与をしてAIを道具として使った場合は著作物に該当し得るとされています。簡単な指示だけで生成した動画は、他社に似たような映像を使われても権利を主張しにくい場合があります。Canvaの公式ページのよくある質問にも、AIで生成したものは規約の範囲で個人・商用のプロジェクトに使える一方、商用では独占的な権利を持たない可能性があり、他の人の作品と類似している場合を含めて、使用に問題がないことは保証しないという趣旨の案内があります(2026年10月16日確認)。ブランドの顔となるキャラクターや、繰り返し使うオープニング映像などは、AIの生成物をたたき台にとどめ、人が構成・編集を加えて仕上げる運用にしておくと安心です。
文化庁は、AIの利用者が確認すべき事項を整理した「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も公表しています。社内ルールを作る際は、この資料の利用者向けの項目を下敷きにすると、確認漏れを防ぎやすくなります。
ディープフェイクとの関係と企業リスク
ディープフェイクとは、AIで実在の人物の顔や声を模倣し、本人が実際には言っていないことを話しているように見せる動画や音声のことで、企業には「自社が作ってしまうリスク」と「自社が被害を受けるリスク」の両面があります。
動画生成の技術とディープフェイクの技術は、根本的には同じ仕組みの上に成り立っています。そのため、実在の人物名を指示に入れる、社外の人物の写真を入力して動かす、といった使い方をすると、意図せずディープフェイクに近いものを作ってしまうおそれがあります。実在の人物の容姿や声を無断で使うと、肖像権やパブリシティ権の侵害を問われる可能性があるうえ、公開後に「本物の発言だ」と誤解されて拡散されれば、企業の信用問題にも発展します。人物を動かす動画の権利については、AIダンス生成とはの記事でも整理しています。
もう一方の「被害を受けるリスク」も見逃せません。経営者や社員の顔と声を模倣した偽の動画で、取引先や社員に送金や情報提供を指示するといった手口は、技術的には起こり得ます。自社の公式アカウントで経営者や社員の顔出し動画を多く公開している企業ほど、模倣に使える素材が多いことになるため、社内の送金・承認手続きで「動画や音声だけで判断しない」というルールを設けておくことも、ディープフェイク対策の一部です。
| リスクの種類 | 起こりやすいケース | 対策 |
|---|---|---|
| 肖像権・パブリシティ権 | 有名人や実在の人物に似た人物が生成される | 架空の人物像として生成し、特定人物を連想させる動画は使わない |
| 信用・ブランドへの影響 | AI生成の動画を実写と誤解され、後から批判を受ける | 必要に応じてAI生成であることを表示する |
| 誤情報の拡散 | 実在の出来事や発言と誤認される動画が広まる | 公開前に誤認のおそれがないかを複数人で確認する |
| なりすまし被害 | 経営者の偽動画で送金や情報提供を指示される | 動画や音声だけで判断せず、別経路で本人に確認する |
実務上のポイントとして、公開先のプラットフォームのルールも確認が必要です。主要な動画・SNSプラットフォームには、実写と見分けがつきにくいAI生成コンテンツについて、投稿時にAI生成であることの表示を求めたり、実在の人物へのなりすましを禁止したりするポリシーを設けている場合があります。ルールは各プラットフォームで異なり、改定されることもあるため、投稿先ごとに最新のコミュニティガイドラインを確認してください。あわせて、生成物に電子透かしや来歴情報を付与する仕組みを持つサービスを選ぶと、自社が作った動画であることを後から説明しやすくなります。
業務での使い方|研修動画・商品説明・SNS動画
AI動画生成の業務での使い方は、研修動画、商品説明動画、SNS動画の3つが代表的で、公開範囲が広くなるほど確認の厳しさと運用の負担が大きくなります。
| 用途 | 具体例 | 公開範囲 | 確認の厳しさ | 運用の負担 |
|---|---|---|---|---|
| 研修・社内動画 | 業務マニュアル、情報セキュリティ研修、新人向け説明 | 社内のみ | 基本的な確認でよいが、社外に見せる場合は再確認 | 低い(内容改定時に作り直し) |
| 商品説明動画 | 使い方の説明、サービス紹介、Webサイト掲載用 | 不特定多数 | 著作権に加え、景品表示法の観点でも確認 | 中程度(商品改定時に更新) |
| SNS動画 | TikTokやリールの縦型動画、キャンペーン告知 | 不特定多数(拡散しやすい) | 類似性、プラットフォームのルールまで確認 | 高い(毎週の企画・投稿・分析) |
研修・社内動画は、AI動画生成を最初に試す用途として向いています。原稿を用意すれば、アバター型やスライド型の動画を短時間で作れるため、これまで撮影の手間を理由に文書だけで済ませていたマニュアルを動画化できます。ただし、社内向けに作った研修動画を、取引先への説明や採用説明会で流す場面は意外に多いため、社外に出す時点で改めて確認する運用にしておくと安全です。
商品説明動画では、AIで生成した「理想的な使用シーン」や「実際より美しい仕上がり」を、実際の商品の映像であるかのように見せないことが重要です。実際より著しく優良であると誤認させる表示は、景品表示法上の問題になる可能性があります。イメージ映像として使う場合はその旨を明記し、実際の商品やサービスと異なる印象を与えないよう注意してください(消費者庁「表示規制の概要」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/)。
SNS動画は運用の負担が最も大きい
SNS動画は、AI動画生成の強みが最も活きる一方で、運用の負担が最も大きい用途です。縦型の短尺動画は、尺が短いため長い時間の一貫性の問題が表に出にくく、企画の数を増やしてテストするというAIの強みを活かしやすい形式です。一方で、SNSでは継続的な投稿が前提になるため、毎週複数本の動画を企画し、生成し、確認し、投稿し、数字を見て次の企画に反映する作業が発生し続けます。下の表は、AIでSNS向けの短尺動画を作る場合の業務フローです。
| 工程 | AIで効率化できること | 人が判断すること |
|---|---|---|
| 1. 企画 | テーマ案やフックとなる冒頭の言い回しを複数出す | 自社の目的・ターゲットに合うテーマを選ぶ |
| 2. 台本作成 | 文章生成AIで秒数に合わせた台本のたたき台を作る | 事実関係や表現の誇張がないかを確認する |
| 3. ナレーション生成 | 音声合成で台本を読み上げる音声を作る | 実在の人物の声に似せていないかを確認する |
| 4. 映像生成 | テキストや静止画から映像を生成し、縦型に書き出す | 不自然な動き、ロゴの写り込み、類似性を確認する |
| 5. 投稿 | キャプションやハッシュタグの候補を出す | 投稿時間や、AI生成である旨の表示の要否を判断する |
| 6. 分析と改善 | 視聴データの傾向をまとめる | 次の企画の方向性を決める |
表を見ると、AIが担えるのは主に「たたき台を速く作る」部分で、テーマの選定、権利とリスクの確認、数字を見た改善といった判断は、どこまでいっても人に残ることが分かります。この判断が週に数本分積み重なると、動画を作る時間が減っても全体の負担はあまり減りません。次のセルフチェックで、いまの運用を振り返ってみてください。
作ったあとの投稿と分析、今のやり方で足りている?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
導入でよくある失敗パターン4つ
AI動画生成の導入でつまずく原因の多くは技術ではなく運用にあり、実在人物への寄せ、確認の省略、個人アカウントでの利用、作って終わりの4つが典型的な失敗です。
| 失敗パターン | Before(よくある状態) | After(改善後) |
|---|---|---|
| 1. 実在人物に寄せて生成する | 話題性を狙って有名人に似た人物や声を使う | 架空の人物像と声の特徴だけを指定する |
| 2. 生成後の確認を省略する | 出てきた動画をそのまま投稿する | 通しで再生し、ロゴ・文字・人物・音声を別の担当者が確認する |
| 3. 個人アカウントで商用利用する | 担当者が個人で登録した無料プランの動画を公式アカウントに投稿する | 会社で契約したプランに統一し、規約の確認日を記録する |
| 4. 作って終わりになる | 本数は増えたが、どの動画が成果につながったか分からない | 投稿ごとに企画の狙いと数値を記録し、月1回振り返る |
2つ目の「確認の省略」には、動画ならではの落とし穴があります。静止画と違い、動画は数秒だけ映った背景の看板や、途中で一瞬崩れる人物の手などを見落としやすいためです。確認する際は、少なくとも1回は通しで再生し、もう1回は再生速度を落としたり、要所で一時停止したりして細部を見ると、見落としを減らせます。
4つ目の「作って終わり」は、AI動画生成を導入した組織で特に起こりやすい失敗です。AIで制作の時間が短くなると、投稿本数を増やすこと自体が目的になり、振り返りが後回しになりがちです。本数を増やすより、企画の狙いを記録し、数値と照らし合わせて改善するサイクルを先に作る方が、結果的に成果につながりやすくなります。
安全に活用するための社内ルール
AI動画生成を安全に使うには、使ってよいツールとプラン、指示に入れてはいけない情報、公開前の確認者、記録の残し方の4点を、社内ルールとして文書にしておくことが有効です。
経済産業省と総務省が取りまとめた「AI事業者ガイドライン」(第1.2版)は、AIを業務で使う事業者にも、提供者が示す利用条件に沿った適正な利用や、入力する情報の取り扱いへの留意を求める考え方を示しています。下の表は、こうした考え方を動画生成の業務に当てはめたルールの例です(経済産業省「AI事業者ガイドライン」https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html)。
| ルールの項目 | 決めておく内容の例 |
|---|---|
| 使ってよいツールとプラン | 商用利用の可否、生成物の扱い、入力データの学習利用の有無を確認したうえで、会社として契約したものに限る |
| 指示に入れてはいけない情報 | 作品名・監督名・実在人物名、顧客から預かった素材、発売前の商品情報 |
| 公開前の確認 | 生成した人とは別の担当者が、類似性、人物、ロゴ、音声、表示の適切さを確認して承認する |
| AI生成の表示 | 実写と誤認されるおそれがある動画や、プラットフォームが求める場合は、AI生成である旨を表示する |
| 記録と見直し | ツール名、生成日、プロンプト、入力素材、公開先を記録し、規約を半年に1回など定期的に再確認する |
| 提供終了への備え | 生成した動画と指示文を自社の保管先に残し、代わりに使えるツールの候補を決めておく |
入力データの扱いは、特に注意したいポイントです。顧客から預かった写真、社員が写った動画、発売前の商品画像などをツールにアップロードすると、規約によってはAIの学習に使われる可能性があります。機密性の高い素材はアップロードしない、または学習に使われない設定やプランで扱う、という基準を決めておくと、現場で迷わずに済みます。社員の顔や声を使って動画を作る場合は、本人の同意を得たうえで、利用範囲と公開期間を伝え、退職後の扱いも含めて取り決めておくことが望ましいです。
運用代行会社や制作会社に動画制作を依頼する場合も、同じルールを共有しておきましょう。外部の担当者がAIを使って動画を作ること自体は珍しくなくなっていますが、どのツールを使い、どこまで確認したかが分からないまま公開すると、問題が起きたときに自社で説明できません。依頼時のヒアリングで、AIの利用有無と確認体制をあらかじめ確認しておくと安心です。
効果をどう確認するか
AI動画生成の効果は、動画1本あたりの制作時間だけでなく、確認や修正、投稿後の分析まで含めた総工数と、視聴や問い合わせといった成果指標の両方で確認すると、実態に近い判断ができます。
| 測る項目 | 記録の方法 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1本あたりの制作時間 | 企画から動画完成までの時間 | 生成のやり直し回数も一緒に記録する |
| 確認・承認の時間 | 類似性の確認から承認までの時間 | 導入後にかえって増えていないか |
| 外部費用 | 撮影・編集の外注や素材購入にかけていた費用 | ツールの利用料と比べてどれだけ差があるか |
| 視聴の質 | 視聴完了率、平均視聴時間 | AI生成の動画で視聴が途中で離脱されていないか |
| ビジネス成果 | フォロワー数、サイトへの遷移数、問い合わせ数 | 本数の増加が成果の増加につながっているか |
制作面の効果は、「導入前の1本あたりの総工数から導入後の総工数を引き、月の制作本数を掛ける」ことで月あたりの削減時間を出し、担当者の時間単価を掛けてツールの利用料を差し引くと、おおよその削減効果が分かります。数値の前提は自社の実績に置き換えて計算してください。研修動画のように社内で使う用途では、この制作面の効果が主な判断材料になります。
一方、SNS動画では、制作時間が減っても視聴完了率や問い合わせ数が伸びなければ、投資に見合った効果とはいえません。1か月から3か月ほど記録を続け、「制作は速くなったが、成果は横ばい」という結果が出た場合は、ツールを変えるより、企画と分析の体制を見直す方が効果的なことが多くあります。社内で分析まで手が回らない場合は、レポートと運用設計の改善までを含めて外部のSNS運用代行に任せ、自社は方針決めと承認に集中するという分担も、選択肢のひとつです。
投稿と分析の運用を、レポートつきで任せる選択肢を確認する
トリドリライクスのサービス詳細を見るよくある質問(FAQ)
Q1. AI動画生成で作った動画を商用利用する際の注意点は何ですか?
A. まず、利用するサービスとプランの規約で商用利用が認められているかを確認します。無料プランでは商用利用や書き出しに制限がある場合があり、複数のモデルを選べるツールではモデルごとに条件が異なることもあります。そのうえで、既存の作品に似ていないか、実在の人物に見えないかを公開前に確認し、会社として管理できるアカウントで生成してください。
Q2. 無料で使えるAI動画生成ツールはありますか?
A. CanvaやAdobe Fireflyのように、無料で動画生成AIを使えると公式ページで案内しているサービスがあります(2026年10月16日確認)。ただし、利用できる回数やモデルの品質には上限があり、月ごとか日ごとかもサービスによって違います。業務で使う場合は、無料の範囲で品質と回数を試したうえで、商用利用の条件を確認し、会社として契約するプランを決めてください。
Q3. ChatGPTで動画は作れますか?
A. OpenAIの動画生成サービスSoraは、ウェブ版とアプリ版が2026年4月26日に提供を終了し、APIも2026年9月24日に終了すると、OpenAIのヘルプセンターで案内されています。ChatGPTで現在使える動画関連の機能は、プランや時期によって変わるため、OpenAIの公式ヘルプで最新の内容を確認してください。業務で使うツールは、提供が続くかどうかも含めて選ぶことをおすすめします。
Q4. おすすめの動画生成AIや、一番人気のツールはどれですか?
A. 人気の順位を公式に示した資料は確認できていないため、本記事では順位をつけていません。おすすめは用途で変わります。社内の研修動画なら字幕やナレーションまで1つで仕上げられるデザイン・編集ツール、映像の質を比べたいなら複数のモデルを試せるツール、といった考え方で、種類、無料の範囲、商用利用の条件、入力データの扱い、提供の継続性の5点を比べて選んでください。
Q5. ディープフェイクと疑われないためにはどうすればよいですか?
A. 実在の人物名や写真を使わず、架空の人物像として生成することが基本です。実写と誤認されるおそれがある動画は、必要に応じてAI生成である旨を表示し、投稿先のプラットフォームのルールも確認してください。
Q6. SNS動画の企画や運用まで外部に任せることはできますか?
A. Instagramであれば、アカウントの設計から投稿画像の作成、投稿、分析までをサポートするSNS運用代行という選択肢があります。たとえばトリドリライクスは、商品ページでこうした内容が紹介されています。対応するSNSや動画の制作範囲、料金はサービスやプランによって異なるため、資料で確認し、AIの利用方針や確認体制も事前に相談するとよいでしょう。
まとめ
AI動画生成は動画制作の時間を減らせる一方で、ツール選び、著作権やディープフェイクへの配慮、公開後の運用まで含めた体制づくりが、業務で成果を出し続けるための前提になります。今日から取り組めることを4つにまとめます。
- 作品名・監督名・実在人物名を指示文に入れないルールを決め、入力素材の権利も確認する
- 会社として使うツールとプランを決め、無料の範囲、商用利用の条件、提供の継続性を確認日つきで記録する
- 研修動画など社内向けの用途から試し、SNS動画は確認体制と投稿・分析の担当を決めてから広げる
- 制作時間と成果指標を記録し、運用が回らない場合は、Instagram運用代行のトリドリライクスなど外部のサービスの資料を確認して比べる
参考文献
- 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」2024年3月15日 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf
- 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」2024年7月31日 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/94097701_01.pdf
- 文化庁「AIと著作権について」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
- 経済産業省「AI事業者ガイドライン」 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html
- 消費者庁「表示規制の概要」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/
- OpenAI Help Center「Sora の提供終了について知っておくべきこと」 https://help.openai.com/ja-jp/articles/20001152-what-to-know-about-the-sora-discontinuation
- Canva「動画生成AI」 https://www.canva.com/ja_jp/ai-video-generator/(2026年10月16日確認)
- Adobe「Adobe Firefly 動画生成AI」 https://www.adobe.com/jp/products/firefly/features/ai-video-generator.html(2026年10月16日確認)