SaaSとPaaS・IaaS・ASPの違い

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  • SaaSの意味とPaaS・IaaSとの違いがわかる
  • ASPとの技術的な相違点がわかる
  • 選定基準とよくある失敗パターンがわかる

SaaS・PaaS・IaaS・ASPという似た用語が並ぶと、それぞれの違いを正確に説明するのは難しく感じられます。NIST(米国国立標準技術研究所)の定義を基準に整理すると、違いが明確になります。本記事では、SaaSの意味とPaaS・IaaS・ASPとの違い、選び方の基準を解説します。SaaS単体の意味・読み方・導入コストをより詳しく知りたい場合はSaaSとは|意味・読み方・選び方を解説した記事も参考にしてください。

目次

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  1. SaaSとは
  2. SaaS・PaaS・IaaSの違い
  3. ASPとの相違点
  4. 選定基準とグループウェアという入り口
  5. もう一歩踏み込んで理解したい場合
  6. SaaS選定でよくある失敗パターン3つ
  7. 導入形態別に見るコスト構造の違い
  8. SLA(サービス品質保証)とベンダーロックインの確認ポイント
  9. SaaSのセキュリティ対策と個人情報保護法対応の実務
  10. SaaS導入後に社内へ定着させるための工夫
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ|今日からできる3つのこと

SaaSとは

SaaS(Software as a Service)とは、サービス事業者がクラウド上で運用するソフトウェアを、ネットワーク経由で利用する形態を指します。利用者はブラウザでログインするだけで、常に最新版のソフトウェアを使える状態を実現できます。NISTや総務省の定義でも、この「アプリケーションを完全な形で提供する」という点が共通して整理されています。

SaaS・PaaS・IaaSの違い

IaaSはインフラ部分を提供し利用者がOSを導入する形態、PaaSはOS・ミドルウェアまで提供し利用者がアプリケーションを開発する形態、SaaSはアプリケーションを完全な形で提供し利用者の負担が最も小さい形態です。提供範囲が広がるほど利用者側の管理負担は小さくなり、逆に自由度は下がる関係にあります。

形態 提供範囲
IaaS インフラのみ(利用者がOS導入)
PaaS OS・ミドルウェアまで(利用者がアプリ開発)
SaaS アプリケーション完全提供(利用者負担最小)
図1:SaaS・PaaS・IaaSの提供範囲の違い

ASPとの相違点

マルチテナント方式、自動アップデート、サブスクリプション型の継続課金という構造が、SaaSとASPの技術的な相違点です。ASPは事業者ごとに個別のシステムを用意する形態が多いのに対し、SaaSは複数の利用者が同一システムを共有するマルチテナント方式が基本になっています。

選定基準とグループウェアという入り口

提供範囲の理解、セキュリティ対応(ISMAP等)、個人情報保護法への対応、既存システムとの連携、サポート体制という5つが、SaaS選定の主な基準です。日本企業のクラウド利用率は2024年時点で80.6%に達しており、SaaSはすでに多くの企業の業務基盤になっています。

SaaSの代表的な活用例として、社内のスケジュール共有やファイル管理を一つのプラットフォームで行うグループウェアがあります。SaaSの仕組みを理解したうえで、まずはこうした身近な領域から導入を検討すると、選定の基準を実務に落とし込みやすくなります。

もう一歩踏み込んで理解したい場合

ここまでの内容はSaaS・PaaS・IaaS・ASPの基本的な違いと選び方の入り口です。より専門的なテーマを深掘りしたい場合は、目的に応じて以下のような切り口の記事も参考になります。

障害やセキュリティ事故が起きた際に「どこまでがベンダーの責任で、どこからが自社の責任か」を切り分けたい場合は、SaaS・PaaS・IaaSの違いと責任分界を整理した記事が参考になります。マルチテナント方式などSaaSを支える技術構造や、クラウド全体を俯瞰する「XaaS」という考え方を知りたい場合は、SaaSの技術構造・XaaSの全体像を解説した記事で整理しています。デスクトップ環境の提供形態であるDaaSも含めて4分類を比較したい場合は、IaaS/PaaS/SaaS/DaaSの違いを解説した記事、SIerとの役割分担も含めてASP・クラウドとの関係を整理したい場合は、SaaSとASP・クラウドの違いを解説した記事を参照してください。

SaaS選定でよくある失敗パターン3つ

PaaS・IaaSとの違いを理解せず契約する、セキュリティ認証の有無だけで判断する、既存システムとの連携を確認しないという3つが、SaaS選定でよく見られる失敗の典型です。

失敗パターン1:PaaS・IaaSとの違いを理解せず契約する。期待していた提供範囲と実際のサービス内容がずれるケースです。契約前に提供範囲を正確に確認することが回避策になります。

失敗パターン2:セキュリティ認証の有無だけで判断する。ISMAP未登録でも他の認証で評価できるケースを見逃すことがあります。認証の種類と内容を総合的に確認することが回避策になります。

失敗パターン3:既存システムとの連携を確認しない。導入後にデータ連携がうまくいかず、二重管理が発生するケースです。導入前に連携可否を確認することが回避策になります。

導入形態別に見るコスト構造の違い

SaaSは月額または年額のサブスクリプション課金が中心で、IaaS・PaaSは従量課金(使った分だけ支払う)が中心という違いがあり、この課金モデルの違いが予算計画の立て方にも影響します。

SaaSは利用ユーザー数や機能プランに応じた月額・年額の固定料金が一般的で、初期費用を抑えて始めやすい一方、利用人数が増えるほど費用が線形的に増加していく傾向があります。予算計画の観点では、翌年度以降の利用人数の増減を見込んだうえで、年間コストを見積もりやすいというメリットがあります。

一方、IaaS・PaaSは、サーバーの稼働時間やデータ転送量、ストレージ使用量など、実際に使用したリソースに応じて費用が変動する従量課金が基本です。アクセスが少ない時期はコストを抑えられる反面、想定外のアクセス集中やリソース設定の誤りによって費用が急増するリスクもあるため、利用状況を定期的に監視する体制が必要になります。IaaS・PaaSを自社で運用する場合は、インフラ管理の専門知識を持つ担当者を確保できるかどうかも、コスト面と並んで重要な検討材料です。

中小企業が新たにクラウドサービスを導入する際は、初期費用を抑えつつ運用負担も軽くしたいというニーズが多く、その場合はSaaSが第一の選択肢になりやすい傾向があります。自社でシステムを開発・カスタマイズしたい、独自のインフラ構成が必要といった事情がある場合に限り、PaaS・IaaSの活用を検討するという順序で考えると、コストと運用負担のバランスを取りやすくなります。

SLA(サービス品質保証)とベンダーロックインの確認ポイント

SaaSを契約する際は、稼働率の目標値や障害発生時の対応時間を定めたSLA(サービス品質保証)の内容と、他サービスへの乗り換えやデータの持ち出しがどこまで可能かという2点を、契約前に確認しておくことが重要です。提供範囲がベンダー側に大きく寄るSaaSでは、利用者が個別にサーバーやミドルウェアを管理しない分、サービスの品質やデータの取り扱いをベンダーに委ねる部分が大きくなるためです。

SLAでは、稼働率の目標値(例えば月間の稼働率を数値で示す形)に加えて、目標を下回った場合の対応(利用料の一部返金や補償の有無)、計画メンテナンスの通知タイミング、障害発生時の連絡手段や復旧までの目安時間が定められているかを確認します。SLAが公開されていないサービスや、内容が抽象的な表現にとどまっているサービスについては、実際の障害対応実績や運用体制について、導入前に問い合わせて確認しておくと安心です。特に基幹業務に近い領域でSaaSを利用する場合は、業務が止まった際の影響範囲を想定したうえで、許容できる復旧時間の目安を自社側でも整理しておくと、SLAの内容を評価しやすくなります。

もう一つの重要な観点が、特定のベンダーに依存しすぎることで生じる、いわゆるベンダーロックインのリスクです。SaaSはベンダーが独自の仕様でシステムを構築しているため、他のサービスへ乗り換える際に、データの形式が異なりそのまま移行できない、独自機能に業務フローが強く依存しており標準的な代替サービスでは同じ運用ができない、といった事態が起こり得ます。契約前には、保存しているデータをCSV等の汎用的な形式でエクスポートできるか、API連携によって他システムへデータを引き継げるか、契約解除時のデータの取り扱い(保持期間や削除のタイミング)がどのように定められているかを確認しておくことが、将来的な乗り換えの選択肢を残すうえで有効です。

SaaSのセキュリティ対策と個人情報保護法対応の実務

SaaSの導入検討では、ISMAP等のセキュリティ認証の有無に加えて、通信の暗号化、アクセス権限の管理機能、個人情報保護法が求める安全管理措置に対応できる設定が用意されているかを、実務担当者の視点で確認する必要があります。認証の取得状況だけでは、自社の運用に合った設定ができるかどうかまでは判断できないためです。

具体的な確認ポイントとしては、まず通信および保存データの暗号化に対応しているか、二要素認証やシングルサインオンなど、なりすましを防ぐログイン機能が用意されているかが挙げられます。次に、利用者ごとに閲覧・編集・管理といった権限を細かく分けて設定できるかどうかも重要です。部署や役職に応じて閲覧できる情報の範囲を制限できないサービスの場合、個人情報を含むデータを扱う業務では利用範囲が限定されてしまう可能性があります。

個人情報保護法との関係では、SaaS事業者が個人データの取り扱いを委託される「委託先」に該当する場合、自社(委託元)には委託先に対する必要かつ適切な監督を行う義務があるとされています。この監督義務を果たすためには、契約時に個人情報の取り扱いに関する条項(利用目的の制限、再委託の可否、漏えい時の報告義務など)が盛り込まれているかを確認し、必要に応じてSaaS事業者が公開しているセキュリティ資料やプライバシーポリシーを確認しておくことが実務上のポイントになります。海外の事業者が提供するSaaSを利用する場合は、データの保存先(サーバーの設置国)によって適用される法制度が異なることもあるため、越境移転に関する規定が契約条件に含まれているかも合わせて確認しておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。なお、個々の契約における法的な解釈が必要な場合は、本記事の内容を参考情報としたうえで、専門家に確認することをおすすめします。

SaaS導入後に社内へ定着させるための工夫

SaaSは契約して終わりではなく、実際に現場で使われて初めて導入効果が生まれるため、操作研修の実施、利用状況の定期的な確認、問い合わせ窓口の明確化という3点を、導入後の運用計画にあらかじめ組み込んでおくことが定着のポイントになります。提供範囲が広く自由度が低い分、SaaSは基本的な操作を覚えれば多くの利用者がすぐに使い始められる反面、既存の業務フローとの違いに戸惑い、旧来のやり方に戻ってしまうケースも少なくありません。

導入初期には、部署ごとに簡単な操作研修の時間を設け、日常業務でよく使う機能から順に紹介すると、利用者の抵抗感を減らしやすくなります。また、管理者側で各利用者のログイン頻度や主要機能の利用状況を定期的に確認し、利用が少ない部署や利用者には個別に声をかけてフォローすることで、社内全体での利用率のばらつきを早期に把握できます。加えて、操作でつまずいた際にすぐ相談できる社内の問い合わせ窓口や担当者をあらかじめ決めておくと、利用者が自己判断で使用をやめてしまう事態を防ぎやすくなります。こうした運用面の工夫は、SaaSそのものの機能や料金プランと同じくらい、導入効果を左右する要素として位置づけておくとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSとは何ですか?

A. サービス事業者がクラウド上で運用するソフトウェアを、ネットワーク経由で利用する形態です。

Q2. PaaS・IaaSとの違いは何ですか?

A. IaaSはインフラのみ、PaaSはOS・ミドルウェアまで、SaaSはアプリケーションを完全な形で提供する点が異なります。

Q3. ASPとの違いは何ですか?

A. マルチテナント方式、自動アップデート、サブスクリプション型課金という構造が技術的な違いです。

Q4. 中小企業はSaaSを優先すべきですか?

A. 管理負担が小さいため、多くの場合SaaSが優先的な選択肢になります。

Q5. ISMAP未登録のSaaSは選んではいけませんか?

A. ISMAP未登録でも、他の認証基準で評価できる場合があります。

Q6. 初めてSaaSを導入するなら何から検討すればよいですか?

A. スケジュール共有やファイル管理を行うグループウェアなど、身近な領域から検討すると選定基準を実務に落とし込みやすくなります。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. 提供範囲を正確に理解する:PaaS・IaaSと混同しません。
  2. 認証の内容を総合的に確認する:有無だけで判断しません。
  3. 既存システムとの連携を事前確認する:導入後に慌てません。

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