DX化の進め方|6ステップとロードマップの作り方、よくある失敗5つ

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  • DX化の3つの段階と、現状把握から全社展開までの6ステップの進め方がわかる
  • 2年から3年の全体像と3カ月から6カ月の施策単位で作るロードマップの作り方がわかる
  • よくある失敗5つの回避策と、活動・定着・成果の3指標で進捗を確認する方法がわかる

「DX化を進めるように言われたが、何から手を付ければよいのか分からない」「ツールを入れてみたものの、現場で使われずに終わってしまった」。DX化に取り組む企業の担当者から、こうした声は今もよく聞かれます。DX化は、紙の書類をデータにする、システムを入れ替えるといった個別の作業で完結するものではなく、業務やビジネスのやり方をデジタル前提で組み直していく、数年がかりの取り組みです。そのため、思いつきで施策を並べるのではなく、「いつまでに、何を、どの順番で進めるか」を示したロードマップが欠かせません。本記事では、DX化の進め方を6つのステップで整理したうえで、2年から3年の全体像と3カ月から6カ月の施策単位を組み合わせたロードマップの作り方、よくある失敗パターン5つとその回避策、業種別のロードマップ例、進捗を月次で確認する仕組みまでを、経済産業省などの公開資料をもとに解説します。

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Q1. DX化を進めるうえで、一番のハードルは?

目次

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  1. 推進体制づくりの一歩、DX研修eラーニングを比較する
  2. DX化とは?まず押さえたい3つの段階
  3. DX化の進め方6ステップ
  4. DX化ロードマップの作り方
  5. DX化でよくある失敗パターン5つ
  6. 業種別のDX化ロードマップ例
  7. 効果測定と月次確認の仕組み
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ
  10. 参考文献

推進体制づくりの一歩、DX研修eラーニングを比較する

DX化の進め方を調べると、多くの資料で「経営層の関与」「推進体制の構築」「DX人材の確保」が重要だと書かれています。ところが実際には、DX人材を採用しようとしても応募が集まらない、推進担当に任命された社員自身がDXの進め方を体系的に学んだことがない、というところで止まってしまう企業が少なくありません。ロードマップを作る以前に、それを作って動かす人がいないという状態です。

この課題に対して、多くの企業がまず取り組むのが、社内の人材を研修で育てる方法です。経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき知識を示した「DXリテラシー標準」と、DXを推進する人材の役割とスキルを示した「DX推進スキル標準」をまとめた「デジタルスキル標準」を公開しており、研修内容を選ぶ際の目安になります。集合研修を毎回企画するのが難しい中小企業でも、eラーニングであれば、推進メンバーには専門的な内容を、全社員には基礎的な内容を、それぞれのペースで学んでもらえます。

下の表は、DX研修に使われる代表的なeラーニングサービスを、強みと留意点の両面から整理したものです。どのサービスにも向き不向きがあるため、受講人数、学ばせたい内容(全社向けの基礎か、推進メンバー向けの実践か)、自社で教材を作る余力があるかを基準に比べると選びやすくなります。

サービス名(提供会社) 強み 留意点
SIGNATE Cloud(株式会社SIGNATE) デジタルスキル標準に対応しており、研修の成果を可視化しやすい スマートフォン・タブレットでの受講可否は問い合わせでの確認が必要
Schoo for Business(株式会社Schoo) 7,000本以上の動画が見放題で、幅広いテーマを扱える 専門的に深く学びたい人には内容が浅いと感じられる可能性がある
AirCourse(KIYOラーニング株式会社) 定額制で750コース・4,500本以上の動画を利用でき、教材不足を補いやすい 自社コース中心の運用で教材が足りなくなった場合はプランの切り替えが必要
Cloud Campus(株式会社サイバー大学) 月額固定でユーザー登録が無制限のため、受講者が多いほど割安になる 受講者数が少ない場合は割高になる可能性がある
タレントパレット(株式会社プラスアルファ・コンサルティング) 研修だけでなく、採用・配置・労務などの人材データをひとつの基盤で扱える 教材やカリキュラムの設計は自社で行う必要がある

研修は、ロードマップのどこか一時期にだけ行うものではありません。本文で紹介する6ステップのうち、推進体制の構築(ステップ3)では推進メンバー向けの学習、試験導入から全社展開(ステップ5と6)では現場向けの基礎研修というように、段階ごとに対象と内容を変えて組み込むと効果が出やすくなります。各サービスの料金体系や機能の詳細、選び方のポイントは、比較記事で詳しく整理されています。

DX化とは?まず押さえたい3つの段階

DX化とは、デジタル技術とデータを使って、業務の進め方や商品・サービス、ビジネスモデルそのものを変革し、競争力を高めていく取り組みのことです。単にITツールを導入することではなく、その結果として仕事のやり方や価値の生み出し方が変わっているかどうかが問われます。

経済産業省の「DXレポート2(中間取りまとめ)」では、DXに至る過程を3つの段階に分けて説明しています。ロードマップを作るときは、自社がいまどの段階にいるのかを確認し、次の段階に進むための施策を並べていくと、全体の流れがぶれにくくなります。

段階 内容 具体例
デジタイゼーション アナログの情報や物理的なデータをデジタル化する 紙の申請書を電子フォームにする、紙の伝票をデータで保存する
デジタライゼーション 個別の業務プロセスをデジタル化し、効率化する 承認フローをシステム化する、受発注から請求までをデータでつなぐ
デジタルトランスフォーメーション 組織横断でデータを活用し、ビジネスモデルや顧客への価値提供を変革する 蓄積した顧客データから新しいサービスを生み出す、販売方法を根本から変える

この3段階は、必ずしも順番どおりに進む必要はありません。ただ、社内の情報が紙や個人のExcelに散らばった状態のままでは、データを組織横断で活用する段階には進めません。多くの企業にとって、最初の数カ月から1年程度はデジタイゼーションとデジタライゼーションが中心になり、そこで整ったデータを土台に、2年目以降でビジネスの変革に取り組む流れが現実的です。DX化の定義やIT化・デジタル化との違いをより詳しく知りたい場合は、「DX化とは?IT化・デジタル化との違いを解説」もあわせて参考にしてください。

DX化の進め方6ステップ

DX化は、現状把握、ビジョン策定、推進体制の構築、優先課題の選定、試験導入、効果検証と全社展開の6ステップで進めるのが基本です。競合する多くの解説でも同様の流れが紹介されていますが、ここではそれぞれのステップで「何を決めれば次に進めるか」という完了条件まで明確にしておきます。

ステップ 主な作業 次に進む目安(完了条件)
1. 現状把握 業務の棚卸し、既存システムとデータの所在の確認、課題の洗い出し 主要業務ごとに、担当者・使っている道具・困りごとが一覧になっている
2. ビジョン策定 DX化で実現したい姿を経営層が言葉にする 「何のためにDX化するのか」を一文で説明でき、社内に発信されている
3. 推進体制の構築 推進責任者とメンバーの任命、役割と権限の決定、人材育成の計画 誰が決め、誰が進め、誰が現場の声を集めるかが決まっている
4. 優先課題の選定 効果と着手のしやすさで課題を評価し、最初に取り組むテーマを絞る 最初のテーマが1つか2つに絞られ、成功の基準が数値で決まっている
5. 試験導入 一部の部署や業務でツール・仕組みを試し、運用上の問題を洗い出す 1カ月以上の運用実績があり、効果と課題が記録されている
6. 効果検証と全社展開 試験導入の結果を評価し、改善したうえで対象を広げる 展開の判断と、次に取り組むテーマが決まっている

ステップ1から3は「準備」、4から6は「実行サイクル」

6ステップは一直線に並んでいますが、性質は前半と後半で異なります。ステップ1から3は、DX化全体の土台を作る準備で、基本的には最初に一度しっかり行えばよい部分です。一方、ステップ4から6は、テーマを1つ選んで試し、検証して広げるサイクルで、テーマを変えながら何度も繰り返します。この区別を意識しておくと、後述するロードマップの時間軸の設計がしやすくなります。

経営層が関与すべきポイント

経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」は、経営者がデジタル技術による変化を踏まえてビジョンを示し、戦略や組織づくりに責任を持つことを求めています。実務上、経営層の関与が特に欠かせないのは、ステップ2のビジョン策定と、ステップ4や6で部署間の利害がぶつかったときの最終判断です。推進担当者に判断を丸投げすると、部署間の調整がつかず取り組みが止まる原因になります。各ステップで経営層・推進担当・現場責任者がどう役割を分担するかは、「DX推進のステップ|6段階の役割分担」で詳しく解説しています。

ITツール・ベンダーを選ぶときの確認点

多くの解説でDX化の手順に含まれているのが、ITツールやシステム、導入を支援するベンダーの選定です。本記事の6ステップでは、優先課題の選定(ステップ4)でテーマが決まった後、試験導入(ステップ5)に入る前に行う作業にあたります。順番を逆にして先にツールを決めてしまうと、後述する「ツール導入の目的化」という失敗につながりやすくなります。

確認する観点 確認の内容
課題との対応 ステップ4で決めたテーマと成功の基準を、そのツールの機能で実現できるか
現場の使いやすさ 実際に使う担当者が無料試用やデモで操作し、入力や確認の手間が増えないか
既存システムとの連携 会計・販売管理など今あるシステムとデータを受け渡しでき、二重入力が生じないか
費用と拡張性 初期費用だけでなく月額費用や利用人数の増加に伴う費用、全社展開時の拡張性を把握できるか
サポート体制 導入時の設定支援や問い合わせ窓口、トラブル時の対応範囲が自社の体制に合っているか

最初から大規模なシステムを一括導入するより、クラウドサービスなど小さく始めて広げやすいものから試す方が、試験導入の結果を見て見直しがしやすくなります。ベンダーに相談する場合も、ツールの提案を受ける前に自社の課題と成功の基準を伝え、それに沿った提案かどうかで比較することが大切です。

DX化ロードマップの作り方

DX化のロードマップは、2年から3年先の目指す姿を示す「全体像」と、3カ月から6カ月単位で区切った「施策の実行計画」の2層で作ると、長期の方向性と日々の進捗管理を両立しやすくなります。5年や10年の計画を最初から細かく作り込むと、技術や市場の変化に追いつけず、計画そのものが形骸化しやすいためです。

2年から3年の全体像を描く

全体像では、ビジョン(ステップ2)を具体的な到達点に置き換えます。「業務を効率化する」のような抽象的な言葉ではなく、「受注から請求までの情報を1つのデータでつなぎ、転記作業をなくす」「顧客の購入履歴を営業全員が参照できる状態にする」のように、状態として確認できる表現にするのがポイントです。そのうえで、前述の3段階に沿って、1年目はデジタイゼーションとデジタライゼーション、2年目以降はデータ活用とビジネスの変革、というように年単位の重点を置いていきます。

3カ月から6カ月の施策単位に分解する

全体像が決まったら、それを3カ月から6カ月で結果が見える施策に分解します。この期間は、試験導入(ステップ5)から効果検証(ステップ6)までの1サイクルを回すのにちょうどよい長さです。3カ月より短いと効果を判断するだけの運用実績がたまらず、半年を大きく超えると途中で優先順位が変わったり、担当者の関心が薄れたりしやすくなります。

下の表は、2層構造のロードマップを1枚にまとめるときの記入例です。自社で作るときは、横軸に時期、縦軸に「業務・システム」「データ」「人材・組織」の3つの観点を置くと、システムだけが先行して人材育成が追いつかないといった偏りに気づきやすくなります。

観点 1年目前半 1年目後半 2年目 3年目
業務・システム 紙の申請・承認を電子化(試験導入) 電子化を全部署に展開、受発注業務の見直しに着手 受発注から請求までをデータで連携 データを使った新しい顧客向けサービスの検討
データ データの所在と管理者を棚卸し 顧客・取引先データの項目と入力ルールを統一 部署横断でデータを参照できる状態に データ分析を経営判断に活用
人材・組織 推進メンバーの任命と学習 全社員向けの基礎研修 各部署にデジタル活用の担当者を配置 評価制度や業務分担をデジタル前提に見直し

この表はあくまで記入の形を示す例であり、期間や内容は自社の規模や課題によって変わります。大切なのは、各マスに「その時期が終わったときに何ができているか」が書かれていることです。作業名だけが並んだロードマップは、終わったかどうかの判断ができず、進捗管理の道具として機能しません。

ロードマップは年に1回以上見直す前提で作る

ロードマップは、一度作ったら変えてはいけない計画ではありません。施策を1サイクル回すたびに、想定より効果が出た、現場の抵抗が予想以上に大きかった、といった学びが得られます。3カ月から6カ月の施策単位は毎サイクル見直し、2年から3年の全体像も少なくとも年に1回は経営層と一緒に点検する、という運用をあらかじめ決めておくと、計画と現実のずれを早めに修正できます。

DX化でよくある失敗パターン5つ

DX化の失敗は、技術の選び方よりも、進め方や体制に原因があることがほとんどです。ここでは、よく見られる5つのパターンを、ありがちな状態と、そうならないための対策に分けて整理します。

失敗パターン ありがちな状態 回避策
1. 経営層のコミット不足 「DXをやれ」と指示だけして、判断や予算の場面に経営層が出てこない ビジョンを経営層自身の言葉で発信し、月次の進捗会議に出席する
2. ツール導入が目的化 話題のツールを入れたが、何が良くなったのか誰も説明できない 導入前に「どの業務のどの指標を改善するか」を決めてから選ぶ
3. 現場の抵抗・非協力 新しい仕組みが使われず、紙やExcelとの二重運用が続く 現状把握の段階から現場を巻き込み、基礎研修で目的と使い方を共有する
4. 全社一斉に始める 全部署で同時に進めようとして調整が終わらず、どこも中途半端になる 1つの部署・業務で試験導入し、成功例を作ってから広げる
5. 推進人材・リソース不足 担当者が本業と兼務で手が回らず、取り組みが自然消滅する 推進業務の時間を業務として確保し、社内人材の育成計画をロードマップに組み込む

失敗の多くは「人」の問題から始まる

5つのうち、経営層のコミット不足、現場の抵抗、推進人材の不足の3つは、いずれも人と組織に関わる問題です。IPAの「DX白書2023」でも、DXを推進する人材の不足は日本企業の大きな課題として取り上げられています。外部からの採用だけで人材をそろえるのは簡単ではないため、多くの企業では、推進メンバーを社内から選び、学習の機会を用意して育てていく方法を並行して取っています。

特に現場の抵抗は、新しい仕組みそのものへの反発というより、「なぜ変えるのか」「自分の仕事がどう変わるのか」が伝わっていないことから起きる場合が少なくありません。試験導入の前に、対象部署の社員が同じ基礎知識を持てるよう短い研修を組み込むだけでも、説明会での質問や反発はかなり減ります。全社員向けの基礎研修と推進メンバー向けの実践的な研修を、受講者数や予算に合わせて組み立てる際は、eラーニングの比較記事が参考になります。

業種別のDX化ロードマップ例

ロードマップの基本構造は同じでも、最初に取り組みやすいテーマは業種によって異なります。ここでは、製造業、小売・サービス業、建設業、士業・専門サービスの4つについて、1年目と2年目以降の重点の例を整理します。自社の業種にそのまま当てはめるのではなく、テーマを選ぶ際のヒントとして使ってください。

業種 1年目の重点例 2年目以降の重点例 つまずきやすい点
製造業 紙の作業日報・品質記録をタブレット入力に切り替える 設備や品質のデータを分析し、不良の予兆把握や生産計画に活用する 入力の手間が増えると現場が使わなくなる。入力は選択式など最小限に
小売・サービス業 店舗ごとの在庫・売上・予約情報を一元化する 顧客データを使った販促やオンライン販売との連携 店舗ごとに運用がばらばら。1店舗をモデルにして手順を固めてから展開
建設業 図面・写真・日報の共有をクラウド化し、現場と事務所の往復を減らす 工程・原価のデータを蓄積し、見積や工程計画の精度を上げる 協力会社を含めた運用ルールが必要。対象範囲を段階的に広げる
士業・専門サービス 顧客とのやり取り、書類の受け渡し、契約を電子化する 蓄積した案件情報を活用し、提案型のサービスを増やす 顧客側のデジタル対応に差がある。紙での受付も残した移行期間を設ける

どの業種にも共通するのは、1年目のテーマが「データをためる仕組みづくり」になっている点です。2年目以降にデータを活用した変革に進むためには、その前に必要なデータが、決まった形式で、継続的にたまっている必要があります。1年目の施策を選ぶ際は、目の前の業務効率化だけでなく、「この施策でどんなデータがたまるか」という視点を加えると、ロードマップの前半と後半が自然につながります。

企業規模による進め方の違い

従業員が数十人規模の企業では、経営層と現場の距離が近く、ビジョンの共有や推進体制づくりに時間がかかりにくい一方で、専任の推進担当者を置く余裕がないことが多くなります。この場合は、テーマを1つに絞り込み、試験導入から効果検証までを短いサイクルで回すことが重要です。反対に、複数の部署や拠点を持つ企業では、部署ごとに課題が異なるため、優先課題の選定に時間がかかりやすくなります。全社で一律のテーマを決めようとするより、まず1つの部署をモデルケースにして成功例を作り、その結果を材料に他部署へ広げる方が、合意形成もスムーズに進みます。

効果測定と月次確認の仕組み

ロードマップを計画倒れにしないためには、進捗と効果を定期的に確認する仕組みを最初から組み込んでおくことが欠かせません。おすすめは、施策ごとの指標(KPI)を決めたうえで、月に1回、推進メンバーと経営層が短時間で状況を確認する場を設ける方法です。

指標は「活動」「定着」「成果」の3種類で決める

DX化の効果は、すぐには売上や利益に表れないことが多いため、最終的な成果の指標だけを見ていると、途中で「効果が出ていない」と判断されて取り組みが止まる恐れがあります。そこで、施策の進み具合を示す活動指標、現場で使われているかを示す定着指標、業務や経営への効果を示す成果指標の3種類を組み合わせて確認します。

指標の種類 見るもの 指標の例 確認の頻度
活動指標 計画どおりに施策が進んでいるか 試験導入の対象部署数、研修の受講率、マニュアルの整備状況 毎月
定着指標 新しい仕組みが実際に使われているか システムの利用率、電子化された申請の割合、紙との二重運用の件数 毎月
成果指標 業務や経営に効果が出ているか 処理時間、ミスや手戻りの件数、残業時間、顧客対応のスピード 四半期ごと

月次確認会議の進め方

月次の確認は、長い報告会にする必要はありません。30分程度で、「先月の活動と定着の数字」「計画から遅れている施策と理由」「経営層に判断してほしいこと」の3点だけを共有する形にすると、継続しやすくなります。特に3点目の判断事項を毎回用意することで、経営層が関与する理由が明確になり、コミット不足の失敗パターンも防ぎやすくなります。

効果を測定する前には、導入前の数値(ベースライン)を記録しておくことを忘れないようにしましょう。「申請1件あたりの処理にどれくらい時間がかかっていたか」といった数字が導入前に取れていないと、導入後に効果を示すことができません。現状把握(ステップ1)の段階で、指標にしたい数値をあわせて測っておくのが理想です。

定着指標が伸びないときは研修を見直す

月次確認で活動指標は順調なのに定着指標が伸びない場合、仕組みは用意できていても、現場が使い方や目的を理解しきれていない可能性があります。このときは、ツールを追加したり入れ替えたりする前に、利用が少ない部署の声を聞き、研修やマニュアルを見直すのが先です。研修の受講率や理解度を定着指標とあわせて追えるようにしておくと、どこでつまずいているのかを特定しやすくなります。受講状況の管理機能やデジタルスキル標準への対応など、DX研修向けeラーニングの違いは比較記事で確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q. DX化は何から始めればよいですか?

A. まずは現状把握として、主要な業務ごとに担当者、使っている道具、困りごとを一覧にすることから始めます。そのうえで経営層がDX化の目的を言葉にし、推進体制を決めてから、効果が見えやすく着手しやすいテーマを1つ選んで試験導入するのが基本的な流れです。

Q. DX化とIT化・デジタル化の違いは何ですか?

A. IT化やデジタル化は、紙の情報をデータにしたり、個別の業務をシステムで効率化したりすることを指します。DX化は、その先にある、データとデジタル技術を使って業務の進め方やビジネスモデルそのものを変革する取り組みです。IT化やデジタル化は、DX化を進めるための土台と位置づけられます。

Q. DX化のロードマップはどのくらいの期間で作ればよいですか?

A. 2年から3年先の目指す姿を示す全体像と、3カ月から6カ月で結果が見える施策単位の2層で作るのがおすすめです。施策単位は1サイクルごとに、全体像も少なくとも年に1回は見直す前提で運用します。

Q. DX化が失敗する主な原因は何ですか?

A. 経営層のコミット不足、ツール導入の目的化、現場の抵抗、全社一斉に始めること、推進人材の不足がよく見られる原因です。いずれも技術より進め方や体制の問題であり、試験導入で小さく始めること、現場を早い段階から巻き込むことが回避策になります。

Q. DX人材がいない中小企業はどうすればよいですか?

A. 外部からの採用だけに頼らず、社内から推進メンバーを選び、学習の機会を用意して育てる方法が現実的です。経済産業省とIPAが公開しているデジタルスキル標準を目安に、推進メンバー向けの実践的な研修と全社員向けの基礎研修を分けて計画すると、eラーニングなども活用しやすくなります。

Q. DX化の効果はどのように測定すればよいですか?

A. 施策の進み具合を示す活動指標、仕組みが使われているかを示す定着指標、業務への効果を示す成果指標の3種類を組み合わせて測定します。導入前の数値を記録しておき、活動と定着は毎月、成果は四半期ごとに確認すると、効果が見えるまでの途中経過も把握できます。

まとめ

DX化は、ツールを導入すれば終わるものではなく、データとデジタル技術を使って業務やビジネスのやり方を段階的に変えていく取り組みです。進めるうえで押さえておきたいポイントは、次の4つです。

  1. 現状把握、ビジョン策定、推進体制の構築、優先課題の選定、試験導入、効果検証と全社展開の6ステップで進め、前半は土台づくり、後半はテーマごとに繰り返すサイクルとして扱う
  2. ロードマップは、2年から3年の全体像と3カ月から6カ月の施策単位の2層で作り、定期的に見直す
  3. 失敗の多くは経営層の関与不足、現場の抵抗、人材不足といった人と組織の問題から起きるため、推進メンバーと現場の研修をロードマップに組み込む
  4. 活動・定着・成果の3種類の指標を決め、月次の確認会議で進捗と判断事項を共有する

まずは自社の業務の棚卸しから始め、最初の3カ月で取り組むテーマを1つ決めるところから着手してみてください。なお、本記事の内容は一般的な進め方を紹介するものであり、具体的な計画は自社の事業や体制に合わせて判断してください。

参考文献

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