DX推進の進め方|6ステップのロードマップ

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  • DX推進の6ステップの全体像がわかる
  • 各ステップで押さえるポイントがわかる
  • DX推進の失敗回避策がわかる

DXを推進しようとしても、何から始め、どのような順序で進めるべきか分からず、着手できない企業は少なくありません。段階を踏まずに進めると、現場の混乱や形だけの取り組みに終わってしまうことがあります。本記事では、DX推進の進め方を6ステップのロードマップとして整理し、失敗回避策を解説します。各ステップを「誰が担当すべきか」という役割分担の視点でさらに詳しく知りたい場合は、DX推進のステップ|6段階の役割分担もあわせて参考になります。

目次

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  1. DX推進の6ステップ
  2. 各ステップで押さえるポイント
  3. DX推進の失敗回避策
  4. ステップを進める中で起きやすいつまずきと対処
  5. 6ステップに要する期間の目安
  6. DX推進でよくある失敗パターン3つ
  7. 企業規模によるDX推進の進め方の違い
  8. 業種別に見るDX推進の優先課題の傾向
  9. 推進体制を構築するときに決めておきたい役割分担
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ|今日からできる3つのこと
  12. 参考文献

DX推進の6ステップ

現状の業務棚卸、ビジョン策定、推進体制の構築、優先課題の選定、試験導入、効果検証と定着という6ステップで、DX推進のロードマップを作ることが基本です。

ステップ 内容
1.現状の業務棚卸 既存業務の内容・課題を可視化する
2.ビジョン策定 DXによって実現したい姿を経営層が明確にする
3.推進体制の構築 経営層・現場を含めた推進チームを組織する
4.優先課題の選定 効果が見えやすく、着手しやすい課題を選ぶ
5.試験導入 小規模な範囲でツール・仕組みを試験的に導入する
6.効果検証と定着 効果を測定し、問題なければ全体展開・定着させる
図1:DX推進の6ステップ

各ステップで押さえるポイント

ビジョン策定は経営層が主導すること、優先課題の選定は現場の声を反映すること、試験導入は小規模から始めることが、各ステップで押さえるべきポイントです。

経済産業省は「デジタルガバナンス・コード」で、経営者が主体的にDXのビジョンを示すことの重要性を示しています(経済産業省「デジタルガバナンス・コード」、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html 2026年8月13日取得)。情報システム部門だけの取り組みにせず、経営戦略として位置づけることが、DX推進を形だけで終わらせないための前提です。

優先課題の選定では、効果が見えやすく着手しやすい業務から始めることが実務的です。例えば、紙の文書管理をデジタル化する取り組みは、比較的着手しやすく、効果を実感しやすい優先課題の一つとして選ばれることが多くあります。

DX推進の失敗回避策

経営層の関与を最初から確保する、現場を巻き込む、効果測定の指標を事前に決めるという3点が、DX推進を失敗させないための回避策です。これらのポイントを意識せずにロードマップを進めると、途中で頓挫したり、現場に定着しなかったりするリスクが高まります。

ステップを進める中で起きやすいつまずきと対処

6ステップは順番に並んでいますが、実際に進める中では前の段階に立ち戻る場面が発生します。あらかじめ「行き来があるもの」として計画しておくと、想定外の後戻りに慌てずに対応できます。

たとえば、優先課題の選定(ステップ4)まで進めたあとで、実は現状の業務棚卸(ステップ1)で見落としていた課題が現場から指摘されるケースがあります。この場合、無理に先に進めるのではなく、一度ステップ1に立ち戻って業務棚卸をやり直すことが結果的に近道になります。同様に、試験導入(ステップ5)の段階で、当初のビジョン(ステップ2)と現場の実態にずれがあることが判明することもあります。こうした後戻りは計画の失敗ではなく、DX推進では起こりうる正常な過程だと捉えることが、担当者のモチベーションを保つうえでも重要です。

また、6ステップを一度で終わらせようとせず、優先課題ごとに複数のサイクルを回す発想も有効です。1つの優先課題で6ステップを一巡させて効果検証と定着(ステップ6)まで終えたら、その学びを踏まえて次の優先課題で再び業務棚卸(ステップ1)から始める、というように、小さなサイクルを積み重ねていく進め方が、大きな失敗のリスクを抑えながらDXを前進させるための現実的なアプローチです。

6ステップに要する期間の目安

DX推進の6ステップにかかる期間は、企業規模や対象業務の複雑さによって大きく変わりますが、初めて取り組む優先課題の1サイクルであれば、数か月から半年程度を目安に計画すると現実的です。

現状の業務棚卸とビジョン策定は、関係者へのヒアリングや資料収集に時間がかかるため、急いで終わらせようとせず、じっくり時間をかける価値がある工程です。一方、推進体制の構築と優先課題の選定は、経営層と現場の合意形成にかかる時間次第で長引きやすい工程でもあります。合意形成に時間がかかりすぎていると感じた場合は、いったん小さな範囲で試験導入まで進めてしまい、実際に動くものを見せながら合意形成を進めるという順序の入れ替えも、状況によっては有効な選択肢です。

試験導入から効果検証までの期間は、対象業務の性質にもよりますが、最低でも1か月以上は運用実績を蓄積してから判断することが望ましいといえます。導入直後の数日間だけを見て良し悪しを判断すると、一時的な操作への不慣れを「効果がない」と誤解してしまうことがあるためです。あらかじめ「いつまでに何を確認するか」というスケジュールを関係者間で共有しておくと、途中で計画が曖昧になることを防ぎやすくなります。

DX推進でよくある失敗パターン3つ

情報システム部門だけで進める、優先課題を選ばず全体を一度に進める、効果検証をせず定着させようとするという3つが、DX推進でよく見られる失敗の典型です。

失敗パターン1:情報システム部門だけで進める。経営層・現場の関与がなく、形だけの取り組みで終わるケースです。推進体制に経営層・現場を含めることが回避策になります。

失敗パターン2:優先課題を選ばず全体を一度に進める。すべての業務を一気に変えようとし、現場が混乱するケースです。優先課題を絞って着手することが回避策になります。

失敗パターン3:効果検証をせず定着させようとする。試験導入の効果を確認せずに全体展開し、想定外の問題が広がるケースです。効果検証の段階を必ず設けることが回避策になります。

企業規模によるDX推進の進め方の違い

従業員数十名規模の中小企業と、複数の部門・拠点を抱える中堅企業とでは、6ステップの中で時間をかけるべき工程が異なります。自社の規模に合わせて力の入れどころを調整することが、無理のないDX推進につながります。

従業員数十名程度の企業では、経営層と現場の距離が近く、推進体制の構築(ステップ3)にかかる時間は比較的短く済む傾向があります。一方で、専任のDX担当者を置く余裕がない場合が多く、既存業務と兼務で担当者を置くケースが一般的です。このような体制では、現状の業務棚卸(ステップ1)と優先課題の選定(ステップ4)を丁寧に行い、限られた時間で成果が出やすい課題に絞り込むことが重要になります。あれもこれもと手を広げず、1つの優先課題に集中して試験導入まで進める方が、兼務の担当者でも無理なく進めやすいという特徴があります。

一方、複数の部門や拠点を抱える中堅企業では、推進体制の構築(ステップ3)と優先課題の選定(ステップ4)に、より多くの調整時間がかかる傾向があります。部門ごとに業務のやり方や課題が異なるため、ある部門にとっての優先課題が、別の部門では優先度が低いという状況が起こりやすいためです。この場合は、全社一律の優先課題を決めようとするのではなく、まず1つの部門・拠点をモデルケースとして6ステップを一巡させ、そこで得られた知見をもとに他部門へ横展開していく進め方が現実的です。モデルケースでの成功体験は、他部門の経営層・現場に対する説得材料としても機能し、全社展開の合意形成をスムーズにする効果が期待できます。

業種別に見るDX推進の優先課題の傾向

製造業・小売業・サービス業では、優先課題の選定(ステップ4)で挙がりやすい業務の種類に一定の傾向があります。自社の業種における典型的な優先課題を把握しておくと、ステップ4での議論をスムーズに進めやすくなります。

製造業では、生産現場での作業記録・品質記録が紙の帳票で管理されているケースが多く、これらの記録をデジタル化し、後から検索・集計しやすい形にする取り組みが優先課題として選ばれやすい傾向があります。現場の作業員が記録作業に不慣れな場合は、試験導入(ステップ5)の段階で入力方法の簡易さを重視し、タブレット端末での選択式入力など、現場の負担を増やさない工夫を検討する企業が多く見られます。

小売業・サービス業では、顧客対応や在庫管理に関わる業務がデジタル化の対象として選ばれやすく、複数店舗を展開している場合は、店舗間で情報共有の仕組みが統一されていないという課題が現状の業務棚卸(ステップ1)で明らかになることがよくあります。この場合、まず1店舗をモデル店舗として試験導入を行い、効果検証(ステップ6)で得られた運用ノウハウを他店舗に展開していく進め方が、店舗ごとの混乱を抑えながら全体最適化を進めるうえで有効です。いずれの業種でも、現場の実情に合わない仕組みを本部主導で一方的に決めてしまうと、現場に定着しないまま形骸化してしまうリスクがあるため、現状の業務棚卸の段階で現場の声を丁寧に拾い上げておくことが欠かせません。

推進体制を構築するときに決めておきたい役割分担

推進体制の構築(ステップ3)では、単に「誰をメンバーに入れるか」だけでなく、経営層・推進担当者・現場責任者のそれぞれが何を意思決定し、何を報告する立場なのかをあらかじめ言葉にしておくことが、後々の混乱を防ぎます。

経営層の役割は、ビジョンを示すことに加えて、優先課題の選定(ステップ4)や試験導入(ステップ5)の段階で発生する部門間の利害調整に、最終的な判断者として関与することです。現場レベルの調整で解決しない対立が生じた場合、経営層が方向性を示さないまま推進担当者に判断を委ねてしまうと、担当者の立場だけでは押し切れず、取り組みが停滞する原因になります。推進担当者の役割は、各ステップの進捗を管理し、経営層と現場の間で情報を橋渡しすることです。現場の課題や懸念を経営層に正確に伝え、経営層の意図を現場に分かりやすく伝え直すという、双方向の翻訳者としての役割が求められます。現場責任者の役割は、日々の業務に精通した立場から、試験導入で見えてきた使い勝手の問題や、業務フローとの整合性を具体的にフィードバックすることです。この3者の役割が曖昧なまま推進体制をスタートさせると、誰が最終的に意思決定するのかが分からず、些細な判断にも時間がかかってしまう事態に陥りやすいため、体制構築の初期段階で役割を文書化しておくことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. DX推進の6ステップとは何ですか?

A. 現状の業務棚卸、ビジョン策定、推進体制の構築、優先課題の選定、試験導入、効果検証と定着の6ステップです。

Q2. ビジョン策定は誰が主導すべきですか?

A. 経営層が主導することが重要です。情報システム部門だけの取り組みにしないことがポイントです。

Q3. 優先課題はどう選べばよいですか?

A. 効果が見えやすく着手しやすい業務から選ぶことが実務的です。文書管理のデジタル化はその一例です。

Q4. 試験導入はどの規模で始めるべきですか?

A. 小規模な範囲から始めることをおすすめします。リスクを抑えつつ効果を確認できます。

Q5. 効果検証をしないとどうなりますか?

A. 想定外の問題が全体展開後に広がるリスクがあります。効果検証の段階を必ず設けることが重要です。

Q6. DX推進を現場に定着させるにはどうすればよいですか?

A. 推進体制に現場の声を反映し、効果を測定しながら段階的に展開することをおすすめします。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. 経営層を推進体制に含める:情報システム部門だけで進めません。
  2. 優先課題を絞って着手する:全体を一度に進めません。
  3. 効果検証の段階を必ず設ける:試験導入から全体展開へ段階的に進めます。

参考文献

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