DX推進のステップとは?進め方と手順を6段階で解説

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  • DX推進の6段階でRACI(実行責任・説明責任・協業・報告先)がどう分かれるかがわかる
  • 経営層⇔推進チーム⇔現場という部門間の連携でつまずきやすいポイントがわかる
  • 経営層・推進チーム・現場それぞれが陥りやすい失敗パターンと回避策がわかる

DX推進のステップを調べて手順自体は把握できても、「結局、誰が何を担当し、部署間でどう連携すればいいのか」が曖昧なままだと、計画は机上の空論で終わってしまいます。本記事では、DX推進の6段階を「誰が担当するか」だけでなく、RACIの考え方を使った責任範囲の整理、部門間の連携でつまずきやすいポイント、経営層・推進チーム・現場それぞれが陥りやすい失敗パターンまで、組織・体制設計の視点から掘り下げて解説します。各段階で具体的に何を行うかを詳しく知りたい場合は、DX推進の進め方|6ステップのロードマップもあわせて参考になります。

目次

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  1. DX推進6段階の役割分担 全体像
  2. RACI表で見る各段階の役割分担
  3. 部門間の連携でつまずきやすいポイント
  4. 経営層が陥りやすい失敗パターン
  5. 推進チームが陥りやすい失敗パターン
  6. 現場担当者が陥りやすい失敗パターン
  7. 企業規模別に見る役割分担の違い
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|今日からできる3つのこと
  10. 参考文献

DX推進6段階の役割分担 全体像

現状把握、ビジョン策定、体制構築、優先課題の選定、試験導入、効果検証と定着という6段階で、DX推進の手順は構成されます。経済産業省は、企業がデータとデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織文化を変革することをDXと位置づけています(経済産業省「デジタルガバナンス・コード」、https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html 2026年8月13日取得)。

6段階それぞれで、経営層・推進チーム・現場担当者が担うべき役割は異なり、この役割分担が曖昧なままだと手順が形だけのものになってしまいます。

段階 主な担当
1.現状把握 現場担当者(実際の業務課題を提示)
2.ビジョン策定 経営層(変革の方向性を示す)
3.体制構築 経営層・推進チーム(横断的な体制を組織)
4.優先課題の選定 推進チーム・現場担当者(共同で選定)
5.試験導入 現場担当者(実際の運用を担う)
6.効果検証と定着 推進チーム(効果を測定し経営層に報告)
図1:DX推進6段階の役割分担

特に4段階目の「優先課題の選定」では、推進チームと現場担当者が共同で検討することが重要です。例えば、紙の文書管理は現場の負担が大きく、かつ着手しやすい課題として選ばれることが多くあります。

RACI表で見る各段階の役割分担

「主な担当」を1人決めるだけでは、実務では誰が最終判断をし、誰が現場で手を動かし、誰に報告すべきかが曖昧なままになります。この曖昧さを解消する手法がRACIです。RACIとは、各タスクにおける関係者の役割を「実行責任(Responsible)」「説明責任(Accountable)」「協業(Consulted)」「報告先(Informed)」の4種類に分けて整理するフレームワークで、複数部署が関わるプロジェクトの責任範囲を明確にする目的で使われます。

段階 実行責任(R) 説明責任(A) 協業(C) 報告先(I)
1.現状把握 現場担当者 推進チーム 情報システム部門 経営層
2.ビジョン策定 経営層 経営層 推進チーム 全社
3.体制構築 推進チーム 経営層 各部署の責任者 現場担当者
4.優先課題の選定 推進チーム・現場担当者 推進チーム 経営層 情報システム部門
5.試験導入 現場担当者 推進チーム 情報システム部門 経営層
6.効果検証と定着 推進チーム 経営層 現場担当者 全社
図2:DX推進6段階のRACI表

RACI表を作る際に特に見落とされがちなのが「説明責任(A)」の所在です。実行責任(R)は現場や推進チームが担うケースが多い一方、説明責任(A)、つまり最終的な意思決定と結果責任は、原則として経営層または推進チームのリーダーが持つべきものです。ここが曖昧なまま進めると、試験導入の結果が思わしくなかったときに「誰が撤退を判断するのか」が決まらず、ずるずると全体展開してしまうリスクがあります。こうした責任分担の曖昧さは、DX推進体制そのものの機能不全として表面化することも少なくありません。推進チームが機能しているか、現場が改革の当事者として動けているかを客観的に把握するには、組織診断ツールでサーベイを実施し、部門ごとの推進体制の実態を可視化するという方法もあります。

部門間の連携でつまずきやすいポイント

DX推進が停滞する原因の多くは、段階そのものの難しさよりも、部門と部門の「継ぎ目」で情報や熱量が失われることにあります。経営層⇔推進チーム、推進チーム⇔現場、情報システム部門⇔各部署という3つの接続点を意識して連携設計することが重要です。

経営層⇔推進チームの連携では、経営層が示したビジョンが抽象的な言葉のまま推進チームに渡され、現場で実行可能な施策に翻訳されないまま止まってしまうことがよく起こります。推進チームは、ビジョンを受け取った段階で「このビジョンを実現するには、どの業務をどう変える必要があるか」を具体的な行動レベルまで分解し、経営層に一度確認を取ってから次の段階に進むことが有効です。

推進チーム⇔現場の連携では、推進チームが「効率化」を掲げても、現場担当者にとっては使い慣れた業務フローの変更そのものが負担に感じられ、面従腹背の抵抗が生まれやすい接続点です。優先課題の選定段階から現場の代表者を巻き込み、試験導入の設計にも現場の意見を反映させることで、「決められたことをやらされる」感覚を減らすことができます。

情報システム部門⇔各部署の連携では、情報システム部門がツールの選定・導入までを担い、その後の運用定着は各部署任せになってしまうケースが典型的なつまずきです。ツールを渡して終わりにせず、導入後も一定期間は情報システム部門と各部署が定例で運用状況を確認し合う体制を、体制構築の段階であらかじめ組み込んでおくことが望ましいといえます。

経営層が陥りやすい失敗パターン

失敗パターン1:ビジョン策定に関与しない。方向性が不明確なまま推進チームだけで進み、途中で軌道修正が必要になるケースです。経営層が2段階目で明確に関与し、自らの言葉でビジョンを語ることが回避策になります。

失敗パターン2:試験導入以降を「丸投げ」する。体制構築までは主導するものの、試験導入・効果検証の段階では報告を待つだけになり、撤退や方針転換の判断が遅れるケースです。RACI表の説明責任(A)を経営層が持ち続け、定例報告のタイミングをあらかじめ決めておくことが回避策になります。

推進チームが陥りやすい失敗パターン

失敗パターン1:すべての段階を推進チームだけで抱え込む。情報システム部門や推進チームだけが6段階すべてを担い、負荷が集中して他部署の当事者意識が育たないケースです。段階ごとに実行責任者を各部署に分散させることが回避策になります。

失敗パターン2:経営層への報告を効果測定の結果だけに絞る。数値の報告に終始し、現場でどのような連携上の課題が起きているかを経営層に伝えないため、次の優先課題の選定で同じ連携の失敗を繰り返すケースです。定量的な効果検証に加え、部門間連携の課題も定性的にまとめて報告することが回避策になります。

現場担当者が陥りやすい失敗パターン

失敗パターン1:試験導入の段階まで関与しない。現状把握のヒアリングにしか関与せず、優先課題の選定や試験導入の設計は推進チーム任せになるため、現場の実情を反映しないまま導入され定着しないケースです。優先課題の選定段階から現場代表者を巻き込むことが回避策になります。

失敗パターン2:課題や違和感を推進チームに共有しない。試験導入中に不都合を感じても、現場だけで我慢したりローカルなやり方で回避したりして、推進チームに伝わらないケースです。効果検証の段階で定期的なヒアリングの場を設け、現場から吸い上げる仕組みをあらかじめ体制構築段階で決めておくことが回避策になります。

企業規模別に見る役割分担の違い

ここまでの役割分担モデルは、経営層・推進チーム・現場担当者が別々の人物として存在する体制を前提にしていますが、実際の企業規模によって「誰が兼任するか」は大きく変わります。体制図をそのまま当てはめるのではなく、自社の規模に応じて誰が複数の役割を兼ねるのかを先に決めておくことが、6段階を形だけで終わらせないための実務上のポイントです。

従業員数十名程度の小規模企業では、経営層とビジョン策定の担当が同一人物になりやすく、推進チームという専任の組織自体を置けないケースが一般的です。この場合、経営者自身が「ビジョン策定」と「効果検証と定着」段階での説明責任(A)を持ち続け、現状把握や試験導入といった実務は現場担当者に権限ごと委譲する形が現実的です。推進チームを無理に新設しようとすると、通常業務との兼任負荷が過大になり、優先課題の選定段階で頓挫しやすくなります。役割の「数」を減らすのではなく、1人が複数段階の実行責任を横断して持つことを前提に、経営者が定期的に進捗を確認するタイミングだけを先に決めておくと形骸化を避けやすくなります。

従業員数百名規模の中堅企業では、情報システム部門が推進チームの母体になることが多く、体制構築の段階で各部署から兼任メンバーを募る設計が中心になります。この規模では、情報システム部門が技術面のRを担いながら、事業部門側の兼任メンバーが現場の実情を推進チームに橋渡しする役割を担うため、部門間の連携でつまずきやすいポイントで挙げた「情報システム部門⇔各部署の連携」が特に重要になります。専任者を置けるだけの体制はあっても、兼任メンバーの本来業務との負荷バランスが崩れると、試験導入以降の運用定着が滞りやすい点は小規模企業と共通する課題です。

複数の事業部・拠点を持つ大企業では、全社横断の推進チームに加え、事業部ごとに推進担当を置く二層構造になることが多く、RACI表も全社共通版と事業部別版の2段階で運用されるケースが見られます。この構造では、全社推進チームが優先課題の選定基準や効果検証の指標を統一し、各事業部の担当者がその基準の範囲内で現状把握・試験導入を進める形が機能しやすくなります。逆に、事業部ごとに基準がばらばらのまま試験導入が先行すると、全社での効果検証の段階で数値の比較ができず、経営層への報告が形骸化する失敗につながりやすい点に注意が必要です。

企業規模にかかわらず共通して有効なのが、役割分担そのものを文書として残し、担当者が異動・退職しても引き継げる状態にしておくことです。誰が実行責任(R)を持ち、誰が説明責任(A)を持つかを口頭の合意だけで済ませていると、担当者が変わった途端に体制が形骸化し、優先課題の選定や効果検証の基準まで曖昧に戻ってしまうケースが少なくありません。RACI表と合わせて、各段階での判断基準や定例報告のタイミングを簡単な文書にまとめておくことで、体制構築の段階からやり直す事態を避けやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. DX推進の6段階とは何ですか?

A. 現状把握、ビジョン策定、体制構築、優先課題の選定、試験導入、効果検証と定着の6段階です。

Q2. ビジョン策定は誰が担うべきですか?

A. 経営層が変革の方向性を示す役割を担うべきです。

Q3. 優先課題の選定は誰が担うべきですか?

A. 推進チームと現場担当者が共同で検討することが重要です。

Q4. すべての段階を1つの部署に任せてもよいですか?

A. 負荷が集中し、進行が停滞するおそれがあります。段階ごとに適切な担当を分けることが望ましいです。

Q5. 現場担当者はどの段階から関与すべきですか?

A. 現状把握・優先課題の選定の段階から関与し、試験導入の段階では実際の運用を担うことが望ましいです。

Q6. 効果検証はどのように行うべきですか?

A. 推進チームが効果を測定し、経営層に報告する体制を整えることが重要です。

Q7. RACIとは何ですか?

A. 実行責任(Responsible)・説明責任(Accountable)・協業(Consulted)・報告先(Informed)の4種類に役割を分けて整理するフレームワークです。特に説明責任(A)の所在を明確にすることが重要です。

Q8. 部門間の連携でよくあるつまずきは何ですか?

A. 経営層のビジョンが現場で実行可能な施策に翻訳されないこと、現場が変更を負担に感じ抵抗が生まれること、ツール導入後の運用定着が各部署任せになることの3つが典型的です。

まとめ|今日からできる3つのこと

  1. 段階ごとの担当を明確にする:1人・1部署に集中させません。
  2. 経営層をビジョン策定に関与させる:方向性を明確にします。
  3. 現場担当者を早期から巻き込む:試験導入の段階だけに限りません。

参考文献

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