BPO事業とは|仕組み・ITOとの分類・市場規模とデジタルBPOの動向を解説

Check!

  • BPO事業の仕組みと分類を理解できる
  • 市場規模とデジタルBPOの動向がわかる
  • 発注前の契約と選び方の確認点がわかる

BPO事業とは、企業の業務プロセスを外部の専門事業者がまとめて継続的に引き受け、業務設計・運用・改善までを担うビジネスのことです。BPOはBusiness Process Outsourcingの略で、事業者の側から見れば、業務を請け負って対価を受け取る事業の形を指します。矢野経済研究所の調査では、2024年度の国内BPOサービス市場は事業者売上高ベースで5兆786億5,000万円と推計され、人手不足やDXを背景に拡大が続いています。この記事では、BPO事業の仕組みを分類・提供機能・具体例・市場規模・課題の順に整理し、発注を検討する担当者が提案書や契約書を読むときに確認したい点まで、公的機関と調査会社の公開資料をもとに解説します。

BPO事業の読み方を2問で整理

Q1. いま知りたいのは?

目次

開く

閉じる

  1. BPO事業とは|仕組みとITO・狭義BPOの分類
  2. BPO事業の仕組み|事業者が提供する3つの機能と収益の考え方
  3. BPOの具体例|業務別の委託の中身と近い言葉との違い
  4. 国内BPO市場規模の推移(矢野経済研究所データ)
  5. デジタルBPOへのシフトと生成AI活用
  6. 業界別の課題(IT系/非IT系)
  7. BPO事業者に発注する前に|契約形態・選び方・確認したい点
  8. 中堅・中小企業への広がり
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 参考文献

BPO事業とは|仕組みとITO・狭義BPOの分類

BPO事業とは、業務プロセスの設計から運用、改善までを外部の事業者が継続的に請け負うビジネスです。事業の範囲は、IT領域を扱うITOと、それ以外の業務プロセスを扱う狭義のBPOに大きく分かれます。

市場統計では両者を合わせて広義のBPOとして扱いますが、発注の現場では経理・人事・総務・コールセンターなどの委託を指して「BPO」と呼ぶことが多く、範囲の取り方で数字や提案の意味が変わります。矢野経済研究所の調査もIT系BPOと非IT系BPOを合算して市場規模を示しているため、データを読むときは対象範囲を確認しましょう。

区分 対象となる業務 代表的な委託内容
ITO(IT系BPO) 情報システムの開発・運用・保守 システム運用監視、ヘルプデスク、インフラ保守、アプリケーション保守
狭義のBPO(非IT系BPO) 間接部門・顧客接点の業務プロセス 経理、給与計算、人事労務、総務、受発注、コールセンター、データ入力
KPO(知的業務の委託) 分析・調査など専門知識を要する業務 市場調査、データ分析、翻訳、法務・知財の定型調査

専門業務も対象になる|契約書の確認を外部に任せる例

KPOは狭義のBPOに含めて語られることもあり、境界は事業者によって異なります。事務や運用だけでなく、契約書の確認や法務相談のような専門業務を、弁護士などの専門家にまとめて任せる企業法務アウトソーシング(ALSP)も、業務プロセスを外部へ任せるという点でBPOと同じ考え方に立っています。BPOを発注する側は、事業者から提案書や業務委託契約書の案を受け取る立場になるため、その確認を社内だけで抱えない選択肢の一例が、クラウドリーガル(提供元はMOLTON株式会社)です。

商品ページでは、経験豊富な弁護士・専門士業の体制による支援、生成AIによる自動化・効率化、法務・労務相談から契約書レビュー、広告審査、商標登録、英語対応までの幅広いサポートが特徴として紹介されています。注意点として、申し込みには審査があり、年間契約の場合は途中解約ができません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

Molton株式会社

クラウドリーガル

クラウドリーガル
出典:www.cloudlegal.ai

Molton株式会社

クラウドリーガル

オンラインでシンプルに!法務業務を丸ごとお任せしたい企業におすすめ

GOOD

ここがおすすめ!

  • 経験豊富な弁護士・専門士業(司法書士/弁理士/行政書士/社会保険労務士/税理士、等)のスケール体制による支援を受けられ、知識がなくても安心
  • 「生成AI」により自動化・効率化し、低コストでのサービス提供を実現
  • 法務・労務相談から契約書レビュー、広告審査、知的財産等の商標登録、英語対応など幅広くサポート
MORE

ここが少し気になる…

  • 申し込みには審査があり、年間契約の場合は途中解約は不可

直接弁護士が対応してくれるというクオリティの高さもありますし、コストとリードタイム(回答の速さ)も大きな理由でした。

株式会社スカラ 法務担当者 出典:MOLTON株式会社 クラウドリーガル導入事例
クラウドリーガルのロゴ

BPO事業者との契約書の確認を、外部の専門家にも任せたい会社に

クラウドリーガルの資料を無料でダウンロードできます

無料・30秒で完了 資料を無料ダウンロード

BPO事業の仕組み|事業者が提供する3つの機能と収益の考え方

BPO事業者は、業務設計・運用体制・継続改善の3つの機能をセットで提供し、継続的な契約の対価で収益を得ます。単なる作業代行と違い、品質基準と改善の目標を発注企業と合意して運営する点が特徴です。

事業者が提供している3つの機能

発注側から見ると、見積もりのどの部分がどの機能に対する対価なのかを分けて考えることで、提案内容を比較しやすくなります。

  1. 業務設計:現状業務を棚卸しし、手順の標準化、委託範囲の線引き、品質基準(SLA)の設定を行う。立ち上げ時に集中的に発生する
  2. 運用体制:オペレーター、管理者、システム基盤を用意し、合意した品質で日々の業務を回す。契約期間中の売上の中心になる
  3. 継続改善:処理データをもとにミスや手戻りの原因を分析し、手順変更や自動化を提案する。事業者の差別化の源泉になりやすい

事業者にとって利益を生みやすいのは、運用の標準化によって1人あたりの処理量を高めた状態で、同じ仕組みを複数の顧客に展開できたときです。逆に言えば、発注側の業務が特殊で標準化しにくい場合、事業者の負担が増え、料金が高くなる、あるいは品質が安定しにくくなります。発注前に自社業務の例外処理をどこまで減らせるかを検討することが、コストと品質の両方に効いてくるのはこのためです。

発注企業が得る価値と委託に向く業務

BPO事業が成り立つのは、発注企業の側にも明確な利点があるからです。一般に挙げられるのは、ノンコア業務を外に出して社内の人材を本業や企画業務に集中させられること、業務量に応じた料金にすることで人件費の一部を固定費から変動費に置き換えられること、専門事業者の手順やツールで処理の速度と品質を高められることの3点です。一方で、社内にノウハウが残りにくい、委託先との調整コストが発生する、情報漏えいのリスク管理が必要になるといった注意点もあり、利点と表裏の関係にあります。

判断の観点 BPOに向きやすい状態 慎重に検討したい状態
定型化のしやすさ 手順が決まっていて、マニュアルに落とし込める 例外処理が多く、担当者の判断に頼っている
業務量と繁閑差 処理件数が多い、または月末や決算期など季節による変動が大きい 量が少なく、切り出すと委託先との調整の手間が上回る
事業との関わり 競争力の源泉ではないノンコア業務 自社の強みや顧客との関係に直結するコア業務
人材の状況 採用や定着が難しく、特定の担当者に業務が集中している 社内で育成してノウハウを蓄積したい業務

この観点で自社業務を棚卸ししておくと、BPO事業者の提案を受けたときに「なぜこの業務を任せるのか」を社内で説明しやすくなります。メリットとデメリットを規模別に詳しく知りたい方はBPOのメリット・デメリット|向いている業務と企業規模別の考え方をご覧ください。

料金体系の基本

BPO事業の料金は、投入する人員や工数に単価を掛ける方式、処理件数に応じた従量方式、月額固定方式、成果に連動させる方式などがあり、実際には固定部分と変動部分を組み合わせることが多くなっています。見積もりを比べる際は総額だけでなく、業務量が増減したときに料金がどう動くかを確認することが大切です。事業者側の収益モデルはBPO会社のビジネス構造を整理|3類型・4収益モデル・契約の要点、費用感の目安はBPO費用・相場の目安|業務別の費用感と見積もり項目を解説で詳しく扱っています。

大手事業者を知りたいとき

本記事は事業としての仕組みと発注側の確認点に絞っています。個々の大手事業者の事業内容はBPOとアクセンチュア・NTTデータ・トランスコスモス|大手5社の事業内容整理で、産業構造とプレイヤーの類型はBPO企業・業界とは|産業構造と大手総合型・特化型の違いを公的データで整理で整理しています。

BPOの具体例|業務別の委託の中身と近い言葉との違い

BPOで委託される業務は、経理、人事労務、総務、営業事務、カスタマーサポート、IT運用などで、いずれも手順を決めやすく、継続して発生する業務が中心です。委託するのは作業と運用で、方針や最終判断は発注側に残すのが基本です。

業務領域 委託の具体例 発注側に残す判断
経理・財務 請求書の受付、仕訳データの入力、支払データの作成、月次の締め作業の補助 勘定科目の最終判断、支払の承認
人事労務 給与計算、勤怠データの集計、社会保険の届出書類の作成 採用・評価の方針、最終承認
総務・庶務 郵便物や備品の管理、契約書や書類の受付と保管 社内規程の決定、契約締結の判断
営業事務 受発注の入力、見積書・請求書の発行、納期の確認 価格や取引条件の決定
カスタマーサポート 問い合わせの一次対応、データ入力、履歴の管理 例外対応の方針、クレーム対応の最終判断
IT運用 システムの監視、ヘルプデスク、保守 セキュリティ方針、投資の判断

アウトソーシング・労働者派遣・BPRとの違い

BPOは、外部に業務を任せるアウトソーシングの一つの形です。2022年版小規模企業白書のコラムは、ここでいうアウトソーシングを金額の大小・対応頻度・期間を問わず外部企業に業務を依頼することと定義しており、BPOはそのうち業務プロセスのまとまりを継続的に任せる形にあたります。

言葉 指すもの BPOとの違い
アウトソーシング 外部企業に業務を依頼すること全般 BPOはその一形態。業務の進め方の設計や改善まで事業者が担う点が特徴
労働者派遣 派遣会社のスタッフが、派遣先の指揮命令を受けて働く BPO(請負・準委任)では、受託側が自らの責任で指示・管理を行う
BPR 業務プロセスそのものを見直して再設計すること BPRは改革の考え方。BPOは再設計後の運用を外部へ任せる手段になる

定義や派遣との違いはBPOとは|定義・派遣との違い・5ステップ、アウトソーシングやBPRとの違いはBPOとアウトソーシング・派遣・BPRの違い|4つの軸と採用代行の例で整理、用語の意味はBPOの意味とは|アウトソーシングとの違い・対象業務をわかりやすく解説で詳しく整理しています。

国内BPO市場規模の推移(矢野経済研究所データ)

国内のBPO市場は、IT系・非IT系ともに拡大を続けています。矢野経済研究所が2025年11月に公表した調査では、2024年度の国内BPOサービス市場(IT系と非IT系の合算)は事業者売上高ベースで前年度比4.0%増の5兆786億5,000万円と推計されました。

区分(2024年度) 市場規模(事業者売上高ベース) 前年度比
BPOサービス全体 5兆786億5,000万円 4.0%増
IT系BPO 3兆1,220億円 5.9%増
非IT系BPO 1兆9,566億5,000万円 1.0%増

出典:矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2025年)」。同調査では2025年度もプラス成長が予測されています。

数字から読み取れる3つのポイント

第一に、市場の約6割をIT系BPOが占め、成長率もIT系が上回っています。システム運用や保守を外部に任せる動きは、クラウド化やセキュリティ対応の高度化とともに定着しており、BPO市場全体をけん引する構造になっています。

第二に、非IT系BPOは伸び率こそ1.0%と緩やかですが、2兆円に迫る規模があります。経理や人事、コールセンターといった業務は以前から委託が進んでいた領域で、成熟市場の中で「人手による代行」から「デジタル技術を組み合わせた業務改善」へと中身が入れ替わりつつある段階と読むのが自然です。

第三に、同調査は背景として、DXに取り組む企業の増加により、自社リソースで不足するノンコア業務を外部に任せる機運が高まっていること、官公庁・自治体のアウトソーシング需要が増えていること、生成AIを活用したサービスの実用化が進んでいることを挙げています。市場の拡大は、単に人手が足りないから外注するという受け身の理由だけでなく、業務プロセスそのものを見直すための手段としてBPOが選ばれていることを示しています。市場の将来性やトレンドはBPO市場規模は5兆円?調査ごとに数値が違う理由と将来性【2026年版】でさらに詳しく整理しています。

市場データを読むときの注意点

市場規模の数値は、調査会社ごとに対象範囲(どの業務をBPOに含めるか)と推計方法が異なります。事業者売上高ベースの数字は、発注企業が支払った総額とは一致しない場合があり、同じ「BPO市場」という言葉でも別の調査と単純に比べることはできません。社内の稟議資料などで引用する場合は、調査名、対象年度、推計方法を必ず併記し、「市場が大きいから導入すべき」という論法ではなく、自社の業務課題とのつながりで説明することが大切です。

デジタルBPOへのシフトと生成AI活用

デジタルBPOとは、人による業務代行に、RPA(ソフトウェアロボットによる自動化)、AI-OCR(AIによる文字読み取り)、ワークフローシステム、生成AIなどのデジタル技術を組み合わせ、業務プロセスそのものを効率化するBPOの形です。BPO事業の成長の中心は、この領域に移りつつあります。

従来型BPOとデジタルBPOの違い

観点 従来型BPO デジタルBPO
価値の源泉 人件費の差や規模の経済による作業コストの削減 自動化と業務の再設計による処理時間・ミスの削減
料金の考え方 人員数や工数に比例しやすい 処理件数や成果に連動させる方式を組み合わせやすい
発注側に残るもの 業務は外に出るが、手順は委託先に属人化しやすい 処理データやワークフローが可視化され、改善の材料が残る
発注側の留意点 契約終了時のノウハウ回収 使用するツールやデータの権利、個人情報の取扱い範囲の確認

生成AIがBPO事業にもたらす変化

生成AIは、問い合わせメールの一次回答案の作成、議事録や報告書の要約、書類からの情報抽出など、これまで人の判断が必要とされてきた非定型に近い業務にも自動化の範囲を広げています。BPO事業者にとっては、同じ人数でより多くの業務を処理できる一方、人の作業量に比例した料金モデルのままでは売上が縮む可能性もあり、「業務再設計と自動化と運用」をセットで提供する形へ事業モデルを移す動きが広がっています。

発注側が意識したいのは、生成AIの出力には誤りが含まれうるため、最終確認を誰が行うのか、誤りが起きたときの責任分担をどうするのかを契約と運用の両面で決めておくことです。BPOとAIの組み合わせ方はBPOへのAI活用ガイド|RPAとの役割分担とAI-BPOの考え方が参考になります。

デジタルBPOを発注するときに契約で決めておくこと

デジタル技術を組み合わせるほど、業務の成果物だけでなく、処理に使うツール、蓄積されるデータ、作成した手順書やワークフローの扱いが契約上の論点になります。具体的には、データや成果物の権利が誰に帰属するのか、契約終了後にデータや手順書を返してもらえるのか、顧客や従業員の個人データを生成AIで処理してよいかを、契約書や仕様書に書いておく必要があります。

業界別の課題(IT系/非IT系)

BPO事業は成長市場である一方、IT系と非IT系でそれぞれ異なる構造的な課題を抱えています。発注側がこれらを知っておくと、提案の強み・弱みを見極めやすくなり、長く付き合える委託先を選ぶ判断材料になります。

区分 主な課題 発注側が確認したいこと
IT系BPO IT人材の不足、古いシステムの保守に人員が固定される、セキュリティ要求の高度化 担当技術者の体制と引き継ぎ方法、セキュリティ認証の取得状況、障害時の対応時間
非IT系BPO オペレーター人材の確保と定着、定型業務の価格競争、生成AIによる業務量の減少 繁忙期の増員体制、品質管理の仕組み、自動化や改善提案の実績
共通 個人情報の取扱い、偽装請負を避ける労務管理、契約終了時の業務移管 再委託の有無と条件、指揮命令系統、マニュアルやデータの返還方法

IT系BPOの課題

IT系BPOでは、技術者の確保が事業の成長を左右します。長年使われてきたシステムの保守は特定の技術者に依存しやすく、担当者の異動や退職がそのままサービス品質の低下につながるリスクがあります。発注側としては、担当者が変わっても業務が続くよう、手順書の整備状況や複数名体制の有無を確認することが重要です。また、クラウド環境の運用やセキュリティ監視など高度な業務ほど、障害時の連絡体制と対応時間の約束(SLA)が契約上の重要項目になります。

非IT系BPOの課題

非IT系BPOは労働集約的な面が強く、コールセンターやデータ入力の領域では人材の採用と定着が継続的な課題です。さらに、定型的な業務ほど事業者間の違いが出しにくく、価格競争に陥りやすい構造があります。そのため事業者は、業務改善の提案力やデジタル技術との組み合わせで付加価値を高めようとしています。発注側から見ると、最安値の提案を選ぶことが必ずしも得策ではなく、品質管理の仕組みや改善提案の実績を含めて比較することが、長期的なコストを抑えることにつながります。

共通課題としての個人情報と委託先の監督

BPOでは顧客情報や従業員情報を扱うことが多く、個人データの取扱いを委託する場合、発注側は個人情報保護法第25条にもとづき、委託先に対して必要かつ適切な監督を行う義務があります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先における取扱状況の把握が監督の内容として示されています。委託先のセキュリティ認証の取得状況や再委託の有無の確認は、事業規模を問わず委託先選定の基本的な確認項目です。

クラウドリーガル

委託契約の確認や個人情報の取扱いの条項を、担当者だけで抱えていませんか?

こんな会社に向いています

法務の専任者がおらず、契約書の確認を兼務で行っている会社

契約書レビューから法務・労務相談までを、外部の専門家に任せたい会社

クラウドリーガルの資料を無料で見る

BPO事業者に発注する前に|契約形態・選び方・確認したい点

BPO事業者に発注する前は、委託する業務の範囲、契約形態(請負か準委任か)、事業者の体制と再委託、セキュリティの4点を確認します。提案書の内容と契約書の文言が一致しているかを見比べることが、発注後のトラブルを防ぐ基本です。

契約形態|請負と準委任、偽装請負の注意点

BPOの契約は、請負(民法第632条)または準委任(同第656条)にあたる業務委託契約として結ぶのが一般的です。請負は仕事の完成に対して報酬を支払う契約、準委任は法律行為でない事務の委託で、業務の遂行そのものを任せる契約です。処理件数やSLAを基準にする業務では、どちらの形でも成果の基準を契約書に書いておく必要があります。

このとき注意したいのが、発注側が受託側のスタッフに直接業務の指示を出すと、実態が労働者派遣とみなされる「偽装請負」になるおそれがある点です。厚生労働省は、請負と労働者派遣を区分する基準として「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)」を示しており、業務の指示や労務管理を受託側が自ら行っていることなどを請負の要件としています。本記事の説明は一般的な整理であり、個別の契約の適法性に関する法的助言ではありません。判断に迷う場合は社会保険労務士や弁護士に確認してください。

BPO事業者を選ぶときの確認点

確認項目 見るポイント 提案書・面談で聞くこと
専門性と実績 委託したい業務領域での運用経験があるか 同じ業務領域の運用実績と、担当者の体制
体制と再委託 担当者が変わっても業務が続くか、再委託があるか 手順書の整備状況、再委託の有無と条件
セキュリティ 個人情報や機密情報の管理体制が整っているか セキュリティ認証の取得状況、アクセス権限の管理方法
改善提案と報告 運用だけでなく改善まで担う契約か 定例報告の頻度、改善提案の実績、KPIの定め方
契約終了時の対応 業務やデータを自社に戻せるか データ返還の方法、マニュアルの引き継ぎ範囲

契約書の案を受け取ったときに見る項目

提案書の内容に合意したあとは、業務委託契約書の案を確認します。次の項目が提案書の内容どおりに書かれているかを見比べると、読み落としを減らせます。

  1. 業務範囲と成果の基準:委託する業務の範囲、処理件数や品質基準(SLA)、報告の方法が提案書と一致しているか
  2. 再委託:再委託の可否と条件、再委託先に対する管理の方法が定められているか
  3. 個人データの取扱い:委託する個人データの範囲、安全管理措置、委託先への監督(個人情報保護法第25条)の方法が定められているか
  4. 責任分担:ミスや情報漏えいが起きたときの責任の範囲と対応の流れが定められているか
  5. 契約終了時:データの返還や削除、業務の引き継ぎの方法が定められているか

これらを社内だけで判断しにくい場合は、弁護士などの専門家に確認してもらう方法があります。顧問弁護士に加えて、契約書レビューを含む法務相談を外部サービスに任せる選択肢もあり、クラウドリーガルの導入事例でも、契約書の確認を外部の弁護士に任せて社内の法務担当者の負担を減らした例が紹介されています。

BPO事業者との契約前、確認の体制は足りている?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

中堅・中小企業への広がり

BPOはかつて、大企業が大規模な業務センターを外部に任せるものというイメージが強くありました。しかし現在は、クラウドサービスの普及とオンラインでの業務受け渡しが一般化したことで、中堅・中小企業でも必要な業務だけを小さな単位で委託できる環境が整っています。

中小企業がBPOを検討する背景

2022年版小規模企業白書のコラムは、小規模事業者の人材不足を解消する手段としてアウトソーシングの活用を挙げています。同コラムでは、感染症流行以降に最も不足していると感じる経営資源として「人材」を挙げた小規模事業者が22.6%(「特にない」は28.0%)で、人材が不足していると回答した事業者ではアウトソーシングの実施割合が最も高いことが示されています。取り組んでいる分野は「生産・管理」「経理・財務」の順に回答が多く、経理・財務や総務・庶務では「コストを削減できた」の割合が高い一方、実施している事業者の割合は全体としては多くないとも述べられています。

経理や労務、総務といった間接部門の業務は、少人数の会社ほど特定の担当者に集中しやすく、その人が休む、あるいは退職すると業務が止まるリスクを抱えています。採用で人を増やすことが難しい状況では、業務の一部を外部の体制に任せることは、コスト削減というよりも業務を止めないための手段として検討されます。

規模別に見た委託の進め方

段階 委託の形 この段階で得られること
1. 部分的な事務代行 資料作成・データ入力・スケジュール調整などを、月数十時間単位で事務代行サービスに依頼 外部に業務を渡す手順が身につき、作業時間が見える化される
2. 特定業務の専門委託 給与計算、記帳、採用事務、契約書の確認など、専門性のある業務を専門事業者に任せる 法改正対応などの専門性を外部から補い、担当者への依存を減らせる
3. 業務プロセス全体のBPO 経理・人事・総務など複数業務を、KPIを定めてまとめて委託する 業務の標準化と継続的な改善を、委託先と一体で進められる

この段階は必ず順番に進む必要があるわけではありませんが、段階1から始めると、「どの業務を」「どんな手順で」任せればよいかが社内で言語化されていきます。BPO事業者に本格的な提案を依頼するときにも、業務の棚卸し結果や作業時間の記録があれば、見積もりの精度が上がり、事業者間の比較もしやすくなります。

小さく始めるときの確認点

小さな単位で委託を始めるときは、依頼したい業務に対応しているか、月間の稼働時間と未使用時間の繰り越しの条件、業務品質を担保する仕組み(窓口担当者やチーム体制の有無)、秘密保持契約の締結やデータの管理体制を確認しましょう。とくに顧客情報や経理データを扱う場合は、BPOと同じく委託先の監督の観点が必要です。トライアルが用意されているサービスであれば、実際の業務で対応品質を確かめてから契約を判断できます。

法務の専任者がいない中小企業では、段階2として契約書の確認を外部に任せるという選択もあります。BPO事業者との契約に限らず、取引先から示された契約書を確認する場面は繰り返し発生するため、確認を担当者の兼務だけで続けるのが難しくなったときに、クラウドリーガルのような企業法務アウトソーシングを検討できます。申し込みに審査があること、年間契約の場合は途中解約ができないことを踏まえ、まず資料で対応範囲を確かめてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. BPO事業とは何ですか?

A. 企業の業務プロセスを外部の専門事業者がまとめて継続的に引き受け、業務設計・運用・改善までを担うビジネスです。単発の作業代行と違い、長期の契約のもとで品質基準や改善の目標を発注企業と合意して運営する点に特徴があります。

Q2. ITOとBPOはどう違いますか?

A. ITOは情報システムの開発・運用・保守などIT領域の委託、狭義のBPOは経理・人事・総務・コールセンターなど業務プロセスの委託を指します。市場統計では両者を合わせて広義のBPOとして扱うことが多いため、データを見る際は対象範囲を確認しましょう。

Q3. 国内のBPO市場規模はどのくらいですか?

A. 矢野経済研究所の調査では、2024年度の国内BPOサービス市場は事業者売上高ベースで前年度比4.0%増の5兆786億5,000万円と推計されています。内訳はIT系BPOが3兆1,220億円、非IT系BPOが1兆9,566億5,000万円で、2025年度もプラス成長が予測されています。

Q4. BPOでは具体的にどんな業務を委託できますか?

A. 経理(請求書の受付や仕訳データの入力)、人事労務(給与計算や社会保険の届出書類の作成)、総務、営業事務(受発注の入力)、カスタマーサポート、IT運用(システム監視やヘルプデスク)などです。作業と運用を委託し、方針や最終判断は発注側に残すのが基本です。

Q5. 中小企業でもBPOは利用できますか?

A. 利用できます。クラウドサービスとオンラインでの業務受け渡しが一般化し、必要な業務だけを小さな単位で委託できるサービスが増えています。まず事務作業の一部を任せて業務の見える化を進め、専門委託や本格的なBPOへ広げる進め方もあります。

Q6. BPOを利用するときに法律面で注意することはありますか?

A. 発注側が受託側のスタッフに直接業務を指示すると偽装請負とみなされるおそれがあるため、指示は受託側の責任者を通じて行う運用が基本です。また、個人データの取扱いを委託する場合は、個人情報保護法第25条にもとづく委託先の監督が必要です。個別の判断は専門家に確認してください。

まとめ

BPO事業は、ITOと狭義のBPOを中心に、業務設計・運用体制・継続改善の3つを束ねて提供するビジネスです。国内市場は5兆円を超える規模に達し、成長の中心は人の作業の置き換えから、デジタル技術と組み合わせて業務プロセスそのものを改善するデジタルBPOへと移りつつあります。

発注側にとって大切なのは、市場の大きさではなく、自社のどの業務をどの形で任せるかを具体的に考えることです。次の4つから始めてみましょう。

  1. 自社の業務を棚卸しし、IT系・非IT系、定型・非定型に分けて、外部に任せられる候補を洗い出す
  2. 見積もりを比較するときは、業務設計・運用・改善のどこに対価が発生しているのか、業務量の増減で料金がどう変わるのかを確認する
  3. 契約形態、再委託、個人データの取扱いを契約書の案で確認し、社内だけで判断しにくい場合は、クラウドリーガルなど企業法務アウトソーシングの資料で対応範囲を確かめる
  4. いきなり全体を委託せず、小さな単位の委託から始め、業務の見える化を進めてから委託範囲を広げる

参考文献

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top