BPOとは?意味と関連用語をやさしく整理|アウトソーシング・BPR・RPAとの違い
Check!
- BPOは業務の流れごと任せる考え方
- アウトソーシングや派遣とは任せ方が違う
- 任せる前に業務を書き出し整えておく
BPOとは、Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略で、会社の業務のうち、まとまった仕事の流れ(プロセス)を、企画・設計から運用・改善まで外部の専門事業者にまとめて任せることです。単発の作業を頼む一般的なアウトソーシングとは違い、業務の流れごとを継続的に任せる点が特徴です。この記事では、BPOの意味と任せられる業務の範囲を、毎月必ず発生する給与計算を例にやさしく整理したうえで、アウトソーシング・人材派遣・BPR・RPAなど混同しやすい用語との違いを一覧でまとめます。メリットと注意点、始め方もあわせて解説します。なお、ニュースで目にする「BPO」は放送倫理・番組向上機構の略称で、ビジネスのBPOとは別のものです。
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BPOに出す前に決めたいこと|身近な給与計算で「任せ方」を考える
BPOの身近な例は、毎月必ず発生する給与計算を外部の事業者に任せる給与計算代行です。勤怠データの受け取りから計算、給与明細の発行までを流れごと任せる形が、BPOの典型といえます。
給与計算は、勤怠データの集計、残業代や各種手当の計算、社会保険料や所得税の控除、給与明細の発行と、決まった手順が毎月繰り返される仕事です。保険料率の変更や税制改正への対応も必要で、担当者が1人しかいない会社では、その人が休むと給与の支払いそのものが止まりかねません。さらに入退社や社会保険の手続き、年末調整まで含めて任せる「人事労務代行」になると、業務プロセス単位でまとめて委託するBPOの形になります。
ただし、BPOは「出せば解決する」ものではありません。後述のとおり、業務が整理されないまま外に出すと非効率な手順がそのまま移るだけになりやすく、委託する前に、自社の手順を言葉にして整えることが欠かせません。給与計算の場合、任せ方はおおまかに次の3つに分けられます。
| 任せ方 | 自社の関わり | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 自社でクラウドの給与計算ソフトを使う | 自社の担当者が操作し、計算や明細の発行はソフトが自動で行う | 担当者はいるが、勤怠データの転記や手当の計算に手間がかかっている |
| 作業の一部だけを外部に頼む(一般的なアウトソーシング) | 年末調整だけ、明細の発行だけなど、工程を限って頼む | 繁忙期の作業だけを補いたい |
| 流れごと外部に任せる(BPO) | 勤怠データの受け取りから計算、明細の発行、手続きまで流れごと任せ、手順の改善も相談する | 担当者が不在または1人に偏っていて、設計から任せたい |
1つ目のクラウドの給与計算ソフトは、BPOに出す前に手順を整える手段にも、そのまま使い続ける選択肢にもなります。次の2つは、給与計算を代行するBPOサービスではなく、自社で給与計算や労務手続きを進めるためのクラウドサービスです。BPOを検討する前の一例として、商品ページで確認した内容で役割の違いを比べます。
給与計算を自社で進めるクラウドサービス、2つの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:ジンジャー給与給与体系ごとに計算式を登録して自動で計算でき、ジンジャー勤怠と連携すれば勤怠の集計からCSVを介さずに給与計算へ進められます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:freee人事労務入社・退社の手続きや年末調整の電子申告まで、オンラインで進められます。
資料を無料ダウンロード| サービス | ジンジャー給与 |
|
|---|---|---|
| 向いている会社 | 勤怠管理と給与計算をつなげて転記を減らしたい会社。雇用形態や手当が複数あり、給与体系ごとに自動で計算したい会社 | 給与計算に加えて、入社・退社の手続きや年末調整もまとめてシステムで進めたい中小企業 |
| 特徴 | 給与計算から給与明細の発行までを1つの画面で進められる。給与体系ごとに項目や計算式を登録でき、年末調整や賞与の計算にも対応する | 勤怠管理、給与計算、給与明細の作成、入退社の手続き、年末調整の電子申告を1つのクラウドで管理できる。打刻漏れや残業申請を知らせるアラート機能がある |
| 注意したい点 | 勤怠や人事のデータを反映するには、ジンジャーシリーズの各サービスとの連携が必要。他社のサービスとはCSVで連携する。電話サポートは一部のプランのみ | 複数人で管理や実務を行う場合やカスタマイズでは、融通が利きにくい面がある。電話サポートはプランやオプションによって異なる |
| 資料・詳細 |
2サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
勤怠データの転記や、手当ごとの計算に手間がかかっている場合の一例が、jinjer株式会社のジンジャー給与です。商品ページでは、給与計算から給与明細の発行までを1つの画面で進められること、給与体系ごとに項目や計算式を登録して自動で計算できること、同じシリーズのジンジャー勤怠と連携すると勤怠の集計から給与計算までCSVを介さずに進められることが紹介されています。注意したい点として、勤怠や人事のデータを反映するにはジンジャーシリーズの各サービスとの連携が必要で、ジンジャー給与だけでは打刻や人事データの管理機能がありません。他社のサービスを使っている場合は、CSVデータで連携します。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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ここが少し気になる…
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-
ジンジャー給与を導入したことで、勤怠データの手入力ほぼ不要になり、業務負担が大幅に軽減されました。給与計算のミスも減り、確認作業の時間短縮にもつながっています。クラウド上で作業できるため、場所を問わず作業できる点もメリットです。
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打刻情報がそのままデータ化され、給与計算システムにワンクリックでデータ連携。入力作業や確認工数を大幅に削減。
ジンジャー導入事例 社会福祉法人三重ベタニヤ
BPOとは|意味とサービスの範囲をやさしく整理
BPOとは、会社の業務のうち一連の仕事の流れを、設計・運用・改善まで含めて外部の専門事業者に継続的に任せることです。「この作業だけお願い」という単発の依頼ではなく、「この業務は丸ごとお任せするので、やり方の工夫も含めて回してほしい」という任せ方が特徴です。
たとえば家事に置き換えると、「今日の夕食だけ作ってもらう」のが単発の作業代行、「献立づくりから買い出し、調理、片付けまで毎日任せ、食費の見直しも提案してもらう」のがBPOに近いイメージです。任せる範囲が「作業」から「流れ」に広がり、任せる期間も継続的になります。
BPOで任せる範囲は「企画・設計」「運用」「改善」の3段階
| 段階 | 受託者が行うこと | 給与計算での例 |
|---|---|---|
| 企画・設計 | 現状の手順を洗い出し、処理ルールや役割分担を決める | 勤怠の締め日、データの受け渡し方法、手当の計算ルールを整理する |
| 運用 | 決めた手順に沿って日々・毎月の処理を行う | 毎月の給与計算、明細の発行、年末調整 |
| 改善 | 処理の中で見つかった無駄やミスの原因を減らす提案をする | 紙の勤怠表をやめてシステム連携にする、差し戻しの多い申請様式を見直す |
実際には、すべてのBPOサービスが3段階すべてを担うわけではありません。運用が中心のサービスもあれば、設計と改善の提案に力を入れるサービスもあります。「BPO」と書かれていても任せられる範囲は事業者ごとに違うため、契約前に「どの段階まで含まれるか」を確認することが大切です。
BPOが注目される背景|人手不足とDX
BPOが検討される背景には、働き手の減少があります。総務省統計局の人口推計(2026年9月24日公表)では、2026年4月1日現在の15-64歳人口は7333万6千人で、前年同月より22万2千人(0.30%)減っています。専門知識が要る経理や労務の人材を、自社で採用して育て続けるのが難しい会社は少なくありません。そうした中で、定型的な業務を外部に任せ、社員の時間をほかの仕事に回す手段としてBPOが検討されやすくなっています。もう1つの背景がDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進で、詳しくは後半の「BPOとDX推進の関係」で整理します。
「BPO」という言葉は立場によって指すものが変わる
BPOが分かりにくい理由の1つは、同じ言葉が立場によって違う意味で使われることです。発注する会社にとっては「業務の任せ方」を指し、受託する会社にとっては「自社が提供する事業・サービスの名前」を指します。「BPO案件」は受託する側から見た呼び方で、企業から受託した業務のことです。求人票の「BPO事業部」「BPOセンター」も後者の意味で、受託した業務を処理する部署や拠点を指して使われます。
なお、放送業界で「BPO」と言う場合は、放送倫理・番組向上機構(Broadcasting Ethics & Program Improvement Organization)という別の組織の略称です。ニュースで「BPOが審議入り」と報じられるのはこちらで、ビジネスのBPOとは無関係です。検索するときは「BPO 業務委託」「BPO 意味 ビジネス」のように言葉を足すと、目的の情報にたどり着きやすくなります。
BPOの関連用語|アウトソーシング・人材派遣・BPR・RPAとの違い
BPOと似た用語は、「外に任せる方法」の仲間と、「業務そのものを変える方法」の仲間の2つに分けると整理できます。主な用語を一覧にまとめました。
| 用語 | 意味 | BPOとの関係 |
|---|---|---|
| アウトソーシング | 社内の業務を外部に委託すること全般 | 大きな枠。BPOはその中で「業務プロセス単位で継続的に任せる」形 |
| 業務代行(作業委託) | 記帳や入力など、特定の作業だけを任せること | 範囲が作業単位で狭い。改善提案までは含まないことが多い |
| 人材派遣 | 派遣会社と雇用関係にある人に、自社の指示のもとで働いてもらうこと | 契約の形が違う。BPOは受託者が作業を指示し、派遣は自社が指示する |
| ITO(ITアウトソーシング) | システムの開発・運用・保守などIT業務を外部に任せること | 対象がIT領域。BPOは事務や顧客対応などの業務領域を主に指す |
| KPO | Knowledge Process Outsourcing。調査・分析など専門知識が必要な業務の委託 | BPOの中でも判断や分析の比重が高い領域を指して使われる |
| シェアードサービス | グループ各社の経理・人事などを、グループ内の専門会社や部門に集約すること | 集約先がグループ内か外部かの違い。集約した業務をさらに外部へBPOする例もある |
| BPR | Business Process Re-engineering。業務の流れそのものを根本から見直すこと | 外に任せる前の「見直し」。BPRで整理した業務をBPOに出すと効果が出やすい |
| RPA | Robotic Process Automation。パソコン上の定型操作をソフトで自動化すること | 人ではなくソフトに任せる方法。BPO事業者が処理の中でRPAを使うこともある |
| BPaaS | クラウドサービスと業務の代行を組み合わせて提供する形 | BPOの提供形態の1つ。システムと人の作業をセットで利用する |
アウトソーシングとBPOの違いは「任せる単位」と「期間」
アウトソーシングは外部への委託全般を指す広い言葉で、BPOはその一種です。違いは、任せる単位が作業か業務プロセスか、そして一時的か継続的かにあります。繁忙期だけデータ入力を頼むのは一般的なアウトソーシング、毎月の経理処理を手順の整備から任せ続けるのはBPO、と考えると区別しやすくなります。ただし実際の現場では両者が厳密に使い分けられていないことも多く、言葉よりも「何を・どこまで・どのくらいの期間任せるか」を契約で確認するほうが重要です。
人材派遣との違いは「誰が指示を出すか」
BPOと人材派遣は、どちらも「社外の人に仕事をしてもらう」点で似ていますが、法律上は別の契約です。BPOは業務委託(請負や準委任)で、作業の進め方の指示は受託者が行います。人材派遣は、派遣されたスタッフに対して自社が直接指示を出せる契約です。厚生労働省は、業務委託(請負)と労働者派遣を区分するための基準を示しており、業務委託なのに発注側が受託者のスタッフに直接指示を出していると、実態は派遣とみなされる「偽装請負」の問題になるおそれがあります。契約の形と現場の運用のずれには注意が必要です。契約形態と判断基準の詳細は、BPOと業務委託の違いとは?請負・準委任の契約類型と偽装請負の判断基準で整理しています。
BPR・RPAとBPOは「組み合わせて」使うもの
BPRは業務を見直すこと、RPAは定型操作を自動化すること、BPOは業務を外に任せることで、目的の違う手段です。どれか1つを選ぶものではなく、組み合わせて使われます。たとえば、まずBPRで経理の流れを見直して不要な承認を減らし、残った定型の転記作業はRPAで自動化し、判断や確認が必要な部分をBPOで専門事業者に任せる、という分担です。業務が整理されないままBPOに出すと、非効率な手順がそのまま外に移るだけになりやすいため、見直しとセットで考えるのが実務的です。
BPOの対象業務の例|コンタクトセンター・バックオフィスなど
BPOの対象になりやすいのは、手順を言葉にでき、毎日・毎月のように繰り返し発生する業務です。代表的な領域を整理すると次のとおりです。
| 領域 | 主な業務の例 | BPOに向いている理由 |
|---|---|---|
| 人事・労務 | 給与計算、年末調整、社会保険の手続き、入退社の事務、勤怠の集計 | 毎月の締め日が決まっており、法改正への対応に専門知識が要る |
| 経理・財務 | 記帳、請求書発行、支払処理、入金の消込、経費精算の確認 | 処理ルールを定型化しやすく、件数が多い |
| 総務・一般事務 | 郵便物の対応、備品管理、文書の電子化、データ入力 | 社内ルールを明文化すれば外部でも処理できる |
| コンタクトセンター | 電話・メール・チャットでの問い合わせ対応、受注受付、アフターサポート | 繁閑の差が大きく、人員の増減を受託者側で調整しやすい |
| 営業・マーケティング支援 | 見込み客リストの作成、問い合わせの一次対応、アンケート集計 | 社員が商談など成果に直結する活動に集中できる |
| IT・システム運用 | ヘルプデスク、システムの運用・監視、端末の管理 | 専門人材の確保が難しく、問い合わせ対応の体制づくりの負担が大きい(ITOと重なる領域) |
反対に、経営方針の決定、採用の最終判断、人事評価、取引先との重要な交渉など、会社の判断そのものにあたる「コア業務」はBPOに向きません。BPOはあくまで、コア業務を支える定型的な「ノンコア業務」を任せ、社員がコア業務に時間を使えるようにするための手段です。
任せる業務を見極める2つの視点
どの業務を任せるかは、自社の業務を棚卸ししたうえで、2つの視点で考えると整理しやすくなります。野村総合研究所の用語解説でも、BPOを検討する際は、(1)競争優位を保つために自社で担うべきコア業務かどうか、(2)自社に強みのある業務かどうか、の2点で分析する必要があると説明されています。コア業務ではなく、自社の強みでもない業務が、BPOに出す候補になります。給与計算は、多くの会社でこの条件に当てはまりやすい業務です。
会社の規模によって最初に任せる業務は変わる
社員数が数名から数十名の会社では、経理や労務を社長や兼務の社員が担っていることが多く、「専任の担当者がいない業務」から任せるのが一般的です。中でも給与計算は、ミスが社員の生活に直結し、担当者の休職や退職で止まるリスクも大きいため、最初の候補になりやすい業務です。社員数が多い会社では、処理量の多いコンタクトセンターや、グループ会社にまたがる経理処理など、規模のメリットが出やすい領域から検討される傾向があります。
給与計算から始める場合は、「計算だけを任せるのか」「入退社や社会保険の手続きまで任せるのか」を決めておくと、サービスの候補を絞りやすくなります。そのためにも、勤怠の締め日やデータの受け渡し方法、手当の計算ルールといった手順を、委託する前に自社で書き出しておく必要があります。この整理を兼ねて、給与計算の流れをクラウドの給与計算ソフトで標準化しておく方法もあり、ジンジャー給与は給与体系ごとの計算式を登録して自動計算できる点が商品ページで紹介されています。
BPO導入の進め方|棚卸し・範囲決め・見直しの3ステップ
BPOは、業務の棚卸し、委託範囲と確認指標の決定、委託後の見直しの3ステップで進めるのが基本です。どのステップも、委託する前に自社でできる準備が中心になります。
| ステップ | やること | 給与計算での例 |
|---|---|---|
| 1. 業務の棚卸し | 担当者・頻度・使うデータ・手順を書き出し、不要な工程を減らす | 勤怠の締め日、データの受け渡し方法、手当の計算ルールを一覧にする |
| 2. 範囲と指標の決定 | 企画・設計、運用、改善のどこまで任せるかと、処理件数・期限・ミスの件数など何で品質を見るかを決める | 計算だけか、入退社や年末調整まで含めるかを決め、明細の発行期限を取り決める |
| 3. 委託後の見直し | 定例の報告で指標を確認し、範囲や契約を必要に応じて見直す。契約終了時の引き渡しも決めておく | 毎月の計算結果を確認する担当者を決め、半期ごとに範囲を見直す |
手順を言葉にできない業務は、先に整理する
ステップ1で手順を書き出せない業務は、そのまま外に出すと、委託先も手順を再現できず、確認の往復が増えがちです。書き出す過程で、担当者の頭の中にしかないルールや、紙とExcelが混ざった受け渡しが見つかることもあります。BPOに出す前に整理しておけば、委託先への依頼が正確になり、範囲や料金の相談もしやすくなります。整理した結果、自社でソフトを使って回せる状態になれば、BPOに出さずに続けるという判断もできます。
導入の流れをさらに細かい5ステップで確認したい場合は、【厚労省告示準拠】BPOとは|定義・派遣との違い・5ステップも参考になります。まずは、いまの給与計算まわりにBPOに出す前に整えられる余地があるかを、次のセルフチェックで確認してみましょう。
給与計算の流れ、BPOに出す前に整える余地はある?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
BPO導入のメリットと注意点
BPOには、担当者1人に頼る状態の解消や、人件費の考え方の変化など、社内だけでは得にくいメリットがあります。一方で、任せ方を誤ると期待した効果が出ないこともあります。代表的なものを並べて確認しておきましょう。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 社員がコア業務に時間を使える | 社内にノウハウが残りにくい。手順書を委託範囲に含めて受け取る |
| 担当者1人に頼る属人化を解消できる | 委託先への引き継ぎに時間がかかる。並走期間を設けて移す |
| 法改正などへの対応を専門事業者に任せられる | 最終的な責任は自社に残る。結果の確認方法を決めておく |
| 人件費を固定費から変動費に近づけられる | 範囲が曖昧だと追加費用が発生する。範囲外の作業と料金の条件を契約前に確認する |
| 繁忙期の処理量に合わせて体制を調整しやすい | 急な依頼には対応しにくい場合がある。依頼の窓口と期限のルールを決める |
| 専門事業者の標準化されたやり方で、業務の品質が安定しやすい | 導入前の準備に手間がかかる。手順書づくりやデータの受け渡しの整備に時間を見込む |
| 郵便物の対応など出社が必要な事務を任せ、柔軟な働き方を進めやすい | 業務の中身が見えにくくなる。定例の報告で処理の状況と連絡の行き違いを確認する |
個人情報を扱う業務は委託先の監督が必要
給与計算や顧客対応のBPOでは、社員や顧客の個人情報を委託先が扱います。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、個人データの取扱いを委託する場合、委託元は委託先に対して必要かつ適切な監督を行う必要があるとされています。委託先を選ぶ際は、安全管理の体制や再委託の条件を確認し、契約書に明記しておくことが大切です。
BPO事業者を選ぶときの確認ポイント
BPOは長く続く取引になりやすいため、料金の安さだけで決めると、途中で「思っていた範囲と違う」「別の事業者に切り替えにくい」といった問題が起きがちです。比較するときは、次の観点を同じ物差しでそろえて確認すると判断しやすくなります。
| 確認する観点 | 具体的に見ること |
|---|---|
| 対応範囲 | 企画・設計、運用、改善のどこまでを担うか。範囲外の作業を頼んだときの扱い |
| 業務と業界の実績 | 委託したい業務や、自社と近い業種・規模の会社を受託した経験があるか |
| 料金の透明性 | 初期費用・月額・件数に応じた従量分の内訳が示され、追加費用の条件が明確か |
| セキュリティ体制 | 個人情報の管理方法、アクセス権限、再委託の有無、事故が起きたときの報告の流れ |
| 品質の測り方と報告 | 処理件数・期限の遵守・ミスの件数などを定期的に報告してもらえるか |
| 契約終了時の扱い | 手順書やデータを返してもらえるか。別の事業者や自社に戻すときの引き継ぎ支援があるか |
特に最後の「契約終了時の扱い」は見落とされやすい点です。BPOでは業務の手順や知識が委託先に集まるため、切り替えや内製化を考えたときに手順書やデータが手元になければ、特定の事業者から離れにくくなります。契約前の段階で、終了時に何を引き渡してもらえるかを決めておくと安心です。
具体的な事業者名や事業内容を知りたい場合は、BPOとアクセンチュア・NTTデータ・トランスコスモス|大手5社の事業内容整理で、大手事業者の違いを出自別に整理しています。この記事が用語と選ぶ観点の全体像であるのに対し、そちらは事業者ごとの違いを見る記事です。また、コンサルティング会社との役割の違いが気になる場合は、BPOとコンサルの違い|業務委託との関係・コンサル型BPOと選び方が、実務の運用まで担うBPOと、課題の整理や提案が中心のコンサルの選び分けを扱っています。
BPOでよくある失敗パターン
| 失敗パターン | 起きること | 回避策 |
|---|---|---|
| 「BPO」という言葉だけで範囲を決めつける | 改善提案まで任せたつもりが、運用だけの契約だった | 企画・設計、運用、改善のどこまで含むかを書面で確認する |
| 業務を整理しないまま丸投げする | 非効率な手順がそのまま外に移り、確認の往復が増える | 委託前に業務を棚卸しし、不要な工程を減らしておく |
| 社員が委託先スタッフに直接指示を出す | 偽装請負とみなされるおそれが生じる | 依頼の窓口を委託先の責任者に一本化する |
経理・人事・総務の委託を具体的に検討する段階では、委託できる業務の切り出し方や費用の考え方をまとめたBPOバックオフィスとは|委託できる業務・費用・偽装請負対策を解説も参考になります。
なお、この記事の法令に関する記載は一般的な情報の整理を目的としたもので、個別の契約が偽装請負などに該当するかどうかの判断は、契約内容と実際の運用によって異なります。具体的な判断は、社会保険労務士・弁護士などの専門家に確認してください。
BPOとDX推進の関係
DX(デジタルトランスフォーメーション)とBPOは、別々の取り組みに見えて深く関係しています。1つ目は、BPOの過程で業務がデジタル化されることです。委託先に業務を渡すには、紙の書類や口頭のやり取りをデータで受け渡せる形に変える必要があり、結果として社内の手順も整理されます。2つ目は、BPO事業者自体がRPAやクラウドサービスを使って処理を効率化していることです。前述のBPaaSのように、システムと人の作業をセットで提供するサービスも増えており、自社でシステムを選んで導入する負担を減らしながらデジタル化を進められます。
3つ目は、空いた時間の使い道です。定型業務をBPOで任せることで生まれた社員の時間を、データの活用や新しいサービスづくりといった、DXの本来の目的にあてられます。DXを進めたくても「日々の処理で手一杯で検討する時間がない」という会社にとって、BPOは時間をつくるための入り口になります。
給与計算はその典型です。紙のタイムカードを集計して手作業で計算している状態から、勤怠システムと連携する給与計算の仕組みに切り替えると、データの流れがデジタルに置き換わり、担当者の時間も空きます。「DXの最初の一歩」として、身近で効果が見えやすい業務から始めるのが現実的です。
BPOに出す場合も、自社でソフトを使う場合も、欠かせないのが特定の担当者に頼らない状態をつくることです。給与計算や入退社の手続き、年末調整が1人の担当者の経験に支えられていると、その人の退職や休職で業務が止まります。業務をシステム上の手順に置き換えておけば、担当者が替わっても引き継ぎやすくなり、あとから一部をBPOに出す場合も、手順が整理されているため委託先に伝えやすくなります。
入退社の手続きや年末調整まで含めて、労務手続きを特定の担当者に頼らず進めたい場合の一例が、フリー株式会社のfreee人事労務です。商品ページでは、勤怠管理、給与計算、給与明細の作成、入社・退社の手続き、年末調整の電子申告までを1つのクラウドで管理できること、打刻忘れや残業申請を知らせるアラート機能があることが紹介されています。注意したい点として、複数人で管理や実務を行う場合やカスタマイズをする場合には、融通が利きにくい面があると紹介されています。電話サポートはプランやオプションによって異なります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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特に年末調整の手続きが楽になりました。今まで手書きの専用紙に記述していましたが、年末の忙しい時期に対応するのも億劫になりますし、書き直すのも時間が勿体無いと感じていました。このソフトを使うことで、自分の余裕のあるタイミングで答えて完成させることができますし、マイナンバーなどが必要になった際も撮影するだけで済みますから、年末調整が苦に感じなくなりました。
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社員も給与明細をサービス上で確認できるため、ペーパーレス化でき手軽に確認できるのもいいと思います。年末調整や、勤怠管理、税金、保険料の計算も自動化できるため、人事の労力も減り計算ミスなども起こらないため非常に使いやすいサービスだと思います。
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給与明細や社会保険などの管理がとてもスムーズになり業務が効率化され作業時間が大幅に削減されます。無駄に紙使用が減り、従業員一人一人に時間をかける事が減った。従業員が増えても柔軟に対応できるので長期的な利用が出来ます。
freeeの公式サイトの導入事例には、従業員21-50名の製造業である伊予興業株式会社が、長年勤めたベテラン経理の退職が決まったことを機に、紙のタイムカードを集めて給与ソフトに手入力していた運用を、freee会計とあわせて導入したfreee人事労務での勤怠集計と給与計算に切り替えた経緯が紹介されています。
勤怠データがそのままシステム上で集計されるため、社員がPC上で打刻を実施してくれてデータが揃えば、給与計算自体はわずか半日で完了するようになりました。
freee導入事例 伊予興業株式会社
よくある質問(FAQ)
Q1. BPOとはどういう意味ですか?
A. BPOとは、Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略で、会社の業務のうち一連の仕事の流れを、設計・運用・改善まで含めて外部の専門事業者に継続的に任せることを指します。
Q2. BPOとアウトソーシングの違いは何ですか?
A. アウトソーシングは外部への委託全般を指す広い言葉で、BPOはその一種です。BPOは作業単位ではなく業務プロセス単位で、継続的に任せる点が特徴です。実際の現場では厳密に使い分けられていないこともあるため、任せる範囲と期間を契約で確認することが大切です。
Q3. BPO案件とは何ですか?
A. BPO案件とは、企業がBPO事業者に任せる、事業者から見れば受託する業務のことです。給与計算や経費精算などの事務処理、問い合わせ対応、データ入力など内容はさまざまで、求人情報では、BPO事業者が受託した業務を担当する仕事を指して使われることもあります。案件ごとに範囲や進め方が違うため、内容は契約や募集要項で確認してください。
Q4. BPOセンターとは何ですか?
A. BPOセンターとは、BPO事業者が受託した業務をまとめて処理する拠点を指して使われる呼び方です。コールセンターや事務処理センターのように、専門のスタッフが業務を集中して処理する形が代表的です。名称や運営の形は事業者によって異なります。
Q5. BPO・BPR・RPAはどう違いますか?
A. BPOは業務を外部に任せること、BPRは業務の流れを根本から見直すこと、RPAはパソコン上の定型操作をソフトで自動化することです。目的の違う手段で、BPRで業務を整理し、定型操作はRPAで自動化し、残りをBPOで任せるように組み合わせて使われます。
Q6. 初めてBPOを使うなら、どの業務から始めるのがよいですか?
A. 手順が決まっていて毎月繰り返し発生し、担当者が1人に偏っている業務から始めるのが一般的です。給与計算はその代表例で、計算だけを任せるか、入退社や社会保険の手続きまで含めるかを決めておくとサービスを比較しやすくなります。いきなり流れごと任せる前に、自社でソフトを使って手順を整える方法もあります。
まとめ|BPOは「仕事の流れ」を任せる考え方
BPOは、単発の作業ではなく業務プロセスを継続的に外部へ任せる考え方です。アウトソーシングの一種であり、人材派遣とは指示を出す立場が異なり、BPRやRPAとは組み合わせて使う関係にあります。理解を行動につなげるために、次の4つから始めてみてください。
- 自社の業務を書き出し、手順が決まっていて繰り返し発生する業務を洗い出す
- 候補の業務について、企画・設計、運用、改善のどこまで任せたいかと、品質を何で確認するかを決める
- 業務委託と人材派遣の違いを踏まえ、依頼の窓口と個人情報の扱いのルールを決める
- 最初の候補に挙がりやすい給与計算では、ソフトで自社の手順を整えるか、流れごと任せるかを検討し、サービスの資料を比べてみる
なお、この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の契約や運用の判断は、専門家に確認してください。
参考文献
- 厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業・募集情報等提供事業等」(労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準関連)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/haken-shoukai/index.html
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
- 総務省統計局「人口推計」(2026年4月確定値・9月概算値、2026年9月24日公表)https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html
- 野村総合研究所「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」用語解説https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/bpo.html








