コールセンターBPOとは|委託範囲とKPI・派遣との違いを整理
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- コールセンターBPOは前工程から後工程まで任せる形態
- KPIは目的から逆算して2から3個に絞って定義する
- 受託先の責任者を窓口にして偽装請負を避ける
コールセンターBPOとは、問い合わせの受電や発信といった電話対応だけでなく、応対ルールの設計から通話記録の集計、改善提案までのプロセス全体を、外部の専門事業者に継続して任せる仕組みです。BPOはBusiness Process Outsourcingの略で、単発の作業を頼む電話代行や、人員を受け入れる派遣とは、任せる範囲と指示を出す人が異なります。範囲が広いぶん、委託前に「どこまで任せるか」「何の数字で品質を測るか」「誰がオペレーターに指示を出すか」を決めておかないと、費用に見合った成果が出なかったり、意図せず偽装請負の状態になったりするおそれがあります。この記事では、委託と受託の言葉の整理、アウトソーシングや派遣との違い、委託範囲、KPIの決め方、派遣との法的な区分、委託先の選び方までを、総務・人事・カスタマーサポートの担当者が実務で使える形で整理します。
コールセンターBPOの悩みから、読む順番と確認先を診断
Q1. コールセンターBPOで、いま一番気になるのは?
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コールセンターBPOとは|任せる範囲と自社に残す範囲
コールセンターBPOとは、顧客対応の電話業務を、前工程(マニュアルやトークスクリプトの設計)から後工程(応対履歴の集計・分析・改善提案)まで含めて、外部の事業者に継続的に委託する形態です。委託する側を委託元、請け負う側を受託先と呼ぶため、「コールセンター 委託」と「コールセンター 受託」は、同じ取引を委託元と受託先のどちらから見るかの違いにあたります。
似た言葉との違いは、任せる範囲と、オペレーターに指示を出す人で整理できます。
| 形態 | 任せる範囲 | 指示を出す人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 電話代行 | 受電の一次受け・取次ぎ | 受託先 | 短期・スポットも可 |
| 派遣 | 人員の受け入れ | 派遣先(自社) | 派遣契約の期間 |
| アウトソーシング(業務委託) | 切り出した単一の業務 | 受託先 | 一時的・短期が中心 |
| コールセンターBPO | 前工程から後工程までのプロセス全体 | 受託先 | 継続・年単位が中心 |
「誰が指示を出すか」の違いは法律上の区分に直結します(詳しくは後半の派遣との区分で解説します)。BPOの用語そのものの定義は、BPOの意味とは|アウトソーシングとの違い・対象業務をわかりやすく解説で整理しています。
実務では、コールセンターの全工程を1社に任せる会社ばかりではありません。受電の一次受けは外部に任せ、顧客との関係が深い案件や発信業務は自社で持つ、という分け方も多く、その場合も「委託先から届く数字を自社で確かめられるか」が課題になります。報告が応答率やAHTの集計結果だけで届くと、計算方法の違いや応対の中身は数字から見えにくいためです。通話の録音と文字起こしを自社でも確認できる状態にしておけば、報告の数字と実際の応対を照らし合わせられます。
その一例がMiiTel Phoneです。音声解析AIを搭載したIP電話で、通話の録音と文字起こしに対応し、架電数・通電数・商談化数などのデータを可視化できます。AI音声解析を話し方の教育やノウハウの蓄積に活かせる点も特徴です。一方で、サポート対応は平日9時から18時までとされているため、導入時の問い合わせ時間帯は確認しておく必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。なお、MiiTel Phoneは通話の確認や分析を支えるサービスで、電話対応を代わりに行う受託先ではありません。
ここがおすすめ!
- 架電数・通電数・商談化数などのデータが可視化できる
- AI音声解析により、話し方の教育やノウハウの蓄積に活かせる
- 文字起こしにより、情報共有工数や管理コストを削減できる
ここが少し気になる…
- サポート対応は平日9時~18時まで
アデコ株式会社は、東京都から受託したカスタマーハラスメント相談窓口にMiiTel Phoneを導入し、録音と文字起こしで通話記録を効率的に作成しています。現場からは「自分や他者の対応を確認し、応対能力を伸ばせる」との声が挙がったとされています。
委託範囲|インバウンドとアウトバウンド、前工程と後工程
コールセンターBPOで委託する業務は、受電の「インバウンド」と発信の「アウトバウンド」に大きく分かれ、それぞれに前工程と後工程があります。両者は業務の目的も、必要な人員配置も、評価の指標も異なるため、契約前に業務を分けて要件を定義することが大切です。受発注や受電後の手配、調査業務まで含めて任せる例もあります。
| 区分 | 主な業務 | 業務の性質 | 品質を左右するもの |
|---|---|---|---|
| インバウンド(受電) | 商品やサービスの問い合わせ対応、アフターサービス、技術サポート、クレームの一次対応 | かかってきた電話に応える | 呼量の予測と人員配置の精度、FAQやマニュアルの整備 |
| アウトバウンド(発信) | 新商品やキャンペーンの案内、契約更新や支払いの案内、アポイント獲得 | こちらから電話をかける | リストの質、架電のタイミング、トークスクリプトの設計 |
| 受発注・手配 | 注文受付、在庫の確認、発送の手配、修理や訪問の予約、資料請求の手配 | 受電に続く事務や段取りを進める | 基幹システムや受注システムとの連携、手順書の整備 |
| 調査 | 顧客満足度調査、市場調査、アンケートの電話調査 | 回答を集めて結果にまとめる | 質問設計、回答の記録方法、集計の形式 |
| 前工程 | 応対マニュアル・トークスクリプトの作成、FAQ整備、システムや顧客管理ツールとの連携設計 | 応対の土台をつくる | 自社の商品知識をどれだけ受託先に渡せるか |
| 後工程 | 応対履歴の集計・分析、よくある質問の抽出、FAQ更新、改善提案、定例報告、データ入力やシステム登録 | 応対の結果を次に活かす | 報告の形式と頻度、改善提案をどこまで求めるか |
インバウンドとアウトバウンドを1つの契約に混ぜると、人員配置が最適化しにくくなり、結果としてどちらの品質も下がりやすくなります。受電が集中する時間帯に発信業務のオペレーターを回すと応答率が落ち、逆に受電が少ない時間に発信を増やすと、架電のタイミングが顧客の都合と合わず成果が出にくくなるためです。両方を任せる場合でも、要件定義書では業務ごとに目的とKPIを分けて書いておくと、報告を受けたときに原因を切り分けやすくなります。
委託範囲を決めるときに見落とされやすいのが、「自社に残す業務」の定義です。すべてを任せると、顧客の声が社内に届きにくくなり、商品改善やサービス改善に必要な情報が失われるおそれがあります。実務では、次の3つに分けて考えると線引きがしやすくなります。
| 分類 | 業務の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 外部に任せる業務 | 定型的な問い合わせ、注文受付、営業時間外の一次受け、案内の発信 | マニュアル化でき、判断の基準を文章で渡せる業務 |
| エスカレーションで連携する業務 | 返金や契約変更の可否判断、重大なクレーム、技術的に難しい問い合わせ | 一次受けは任せ、判断は自社。引き継ぎの基準と連絡手段を決めておく |
| 自社に残す業務 | 応対方針の決定、FAQの最終承認、顧客の声の分析結果を商品改善につなげる判断 | 事業の方向性に関わる判断は委託しない |
特に「エスカレーションで連携する業務」の設計が、委託後の満足度を大きく左右します。どの条件で自社に引き継ぐのか、引き継ぎはチャットかメールか電話か、自社側の担当者が不在のときはどうするかを決めておかないと、顧客を待たせたり、受託先が判断に迷って応対が止まったりします。
営業電話を委託するときの法令の確認
消費者に商品やサービスの契約を勧める電話は、特定商取引法の「電話勧誘販売」の規制の対象になることがあります。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、勧誘に先立って事業者の氏名(名称)や勧誘の目的などを告げること、契約しない意思を示した人に勧誘を続けたり再度勧誘したりしないこと、契約時の書面の交付、書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフなどが示されています。受託先に営業電話を任せる場合は、トークスクリプトに最初の告知を含めること、断られた番号を発信リストから除く運用にすることを、契約と手順書の段階で確認しておくと安心です。個別の取引が規制の対象になるかどうかは、取引の相手や内容によって異なるため、弁護士など専門家に確認してください。
発信業務を自社で持つ場合の考え方
アウトバウンドは、リストの質と架電のタイミングで成果が決まるため、発信業務を委託先に任せきりにせず、架電数や通電数、結果の内訳を自社でも見える形にしておく会社があります。発信業務を自社で運用する場合の一例がDream Call Nextです。クラウド型のCTIで、複数の架電方法から自社の営業スタイルに合わせて選べ、オペレーターの負担を減らすオートコール発信を標準で備えています。オペレーター分析、一覧分析、ステータス割合といった分析機能で、発信の結果を数字で振り返れる点も特徴です。一方で、プレディクティブ発信はオプション対応のため、使いたい機能が標準に含まれるかは資料で確認しておく必要があります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。なお、Dream Call Nextは発信業務を支えるシステムで、電話対応を代わりに行う受託先ではなく、受電中心のコールセンターには向きません。
簡単な3ステップでアウトバウンド業務が実行でき、1秒単位での課金によって大幅な通信費の削減を実現するなら、Dream Call Nextの導入がおすすめです。

ここがおすすめ!
- 「オペレーター分析」「一覧分析」「エリアマーケティング」「ステータス割合」といった分析機能が充実
- 複数の架電方法から選択でき、自社のニーズに合わせて効率的な架電が実現する
- オペレーターの負担を減らせる「オートコール発信」を標準装備
ここが少し気になる…
- 「プレディクティブ発信」はオプション対応
KPIの設定方法|応答率・FCR・AHTの考え方
コールセンターBPOの品質を保つには、「何の数字を達成すれば品質を満たしたと判断するか」を契約前に決め、SLA(サービスレベルアグリーメント)として契約書に書き込んでおくことが欠かせません。代表的なKPIは次のとおりです。
| KPI | 意味 | 主に使う業務 | 上げすぎたときの副作用 |
|---|---|---|---|
| 応答率 | かかってきた電話のうち、オペレーターが応答できた割合 | インバウンド | 人員を増やす必要があり、費用が上がる |
| 放棄呼率 | 応答する前に顧客が電話を切った割合 | インバウンド | 応答率と表裏の関係。待ち時間の設計とセットで見る |
| AHT(平均処理時間) | 通話時間と通話後の処理時間(ACW)を合わせた1件あたりの平均 | インバウンド・アウトバウンド | 短縮を急ぐと説明が不十分になり、再度の問い合わせが増える |
| FCR(一次解決率) | 1回の応対で解決し、再度の問い合わせが不要だった割合 | インバウンド | 無理に解決扱いにすると、エスカレーションすべき案件が埋もれる |
| CS・NPS(顧客満足度) | 応対後のアンケートなどで測る満足度や推奨度 | インバウンド | 回答者が偏りやすく、件数が少ないとぶれが大きい |
| 成約率・CPA(獲得単価) | 発信件数に対する成約やアポイントの割合、1件あたりの獲得費用 | アウトバウンド | 強引な勧誘につながり、苦情やブランド毀損のリスクが高まる |
表の右端の列が示すとおり、KPIは「高ければ高いほどよい」ものではありません。応答率を上げようとすれば人員が増えて費用が上がり、AHTを短くしようと急がせれば説明が不十分になって再度の問い合わせが増え、結果としてFCRと顧客満足度が下がります。KPI同士が引っ張り合う関係にあることを前提に、業務の目的から逆算して2から3個に絞るのが基本です。
組み合わせの考え方の例を挙げると、インバウンドの問い合わせ窓口であれば「応答率」「FCR」「顧客満足度」の3つを軸にし、AHTは品質を犠牲にしていないかを確認する参考値として扱う形がよく使われます。アウトバウンドの案内業務であれば「成約率またはアポイント獲得率」と「リストの消化率」を軸にし、苦情件数を歯止めの指標として加えます。どの組み合わせを選ぶにしても、主となるKPIと、行き過ぎを防ぐための歯止めのKPIをセットにしておくと、受託先が1つの数字だけを追って品質を崩すことを防げます。
KPIを契約に書き込むときは、数字そのものに加えて、次の4点を決めておくと運用が安定します。
- 定義:応答率の分母に営業時間外の着信を含めるか、FCRを何日以内の再問い合わせで判定するかなど、計算方法をそろえる
- 測定の期間:日次で見るのか、月次の平均で評価するのか。繁忙期と閑散期を同じ基準で評価しない
- 報告の形式:どのシステムから、どの形式(集計表、ダッシュボード、メール)で、いつまでに報告するか
- 未達時の対応:目標に届かなかった場合に改善計画を出してもらうのか、料金に反映するのか
特に定義のずれは、委託先を切り替えたときや複数社に分けて委託したときに問題になります。同じ「応答率90%」でも、受託先によって計算方法が違えば比べられないためです。KPIの定義表を自社で作って契約書に添付し、どの受託先にも同じ定義で報告してもらうようにしておくと、委託先の比較や契約更新の判断がしやすくなります。
定義をそろえたうえで、報告された数字が実際の通話とずれていないかを、抜き取りで確かめられると運用がさらに安定します。定例会で「この数字の元になった通話を聞かせてください」と言える状態にしておくことが、委託後の品質管理の土台になります。次のチェックで、今の運用を点検してみてください。
委託後の数字の確かめ方、今のやり方で足りている?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
派遣との法的な違い|37号告示と偽装請負
コールセンターBPOで最も注意したい法的なリスクは、派遣との区分です。契約書のタイトルが「業務委託契約」であっても、実態として委託元が受託先のオペレーターに直接指示を出している場合、いわゆる偽装請負と判断され、労働者派遣法違反として委託元と受託先の双方が責任を問われる可能性があるとされています。
派遣か請負(業務委託)かを区分する基準として、厚生労働省は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号、いわゆる37号告示)を示しています。厚生労働省の疑義応答集のページでも、派遣と請負のいずれに該当するかは契約形式ではなく、この基準に基づいて実態に即して判断されると説明されています。基準の考え方を大きくまとめると、請負と認められるには、受託する事業者が次の3つを満たしている必要があるとされています。
| 要件 | 内容 | コールセンターでの具体例 |
|---|---|---|
| 業務の遂行に関する指示 | 業務の進め方の指示や評価を受託先が自ら行う | 応対方法の指導やモニタリング、個々のオペレーターの評価は受託先のスーパーバイザーが行う |
| 労働時間などの管理 | 始業終業の時刻、休憩、残業などの管理を受託先が自ら行う | シフトの作成や勤怠の管理は受託先が行い、委託元は個々のオペレーターの出勤を指示しない |
| 事業としての独立性 | 資金や設備を自ら調達し、業務上の責任を自ら負う | 応対品質に問題があった場合の責任を受託先が負い、必要な機材や専門的なノウハウを受託先が用意する |
実務でつまずきやすいのは、委託元の担当者が善意で行う日常的なやり取りです。たとえば、自社の社員が受託先の拠点に常駐し、特定のオペレーターの席で「この顧客にはこう答えて」と直接指示する、オペレーターの人選や人数を名指しで指定する、といった行為は、実態として委託元が指揮命令をしていると見られるおそれがあります。
一方で、委託元が何も伝えられないわけではありません。業務の仕様やマニュアル、FAQの内容を発注者として受託先に示すこと、受託先の責任者を通じて改善を依頼すること、KPIの報告を受けて定例会で協議することは、発注者としての通常のやり取りと考えられます。ポイントは「受託先の責任者を窓口にする」ことです。連絡の窓口を1本にしておくと、偽装請負のリスクを下げられるだけでなく、指示が複数ルートから届いて現場が混乱することも防げます。
もう1つの法的な論点が、個人情報の委託です。コールセンターBPOでは、顧客の氏名や連絡先、購入履歴、応対履歴など、個人情報保護法上の個人データを受託先と共有することになります。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」では、個人データの取扱いを委託する場合、委託元は受託先に対して必要かつ適切な監督を行う必要があるとされ、その内容として、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先における取扱状況の把握が挙げられています。
契約書の中で確認しておきたいのは、秘密保持、再委託の可否と再委託先の管理、監査や報告の方法、情報漏えいなどが起きたときの連絡と対応の流れ、契約終了時のデータの削除や返却の5点です。中堅・大企業ではプライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)などの認証を持つことを選定条件にすることも一般的ですが、小規模に委託する場合でも、少なくとも秘密保持と契約終了時のデータの扱いは契約書に明記しておきましょう。
なお、本記事の派遣区分や個人情報保護、特定商取引法に関する記述は、公的資料に基づく一般的な情報の整理であり、法的な助言を目的としたものではありません。個別の契約が適法かどうかの判断は、弁護士や社会保険労務士などの専門家、または都道府県労働局に確認してください。
導入のメリット・デメリットと、よくある失敗パターン
コールセンターBPOの主なメリットは、採用・教育の負担を減らしながら応対の体制を早く整えられること、呼量の変動に柔軟に対応できること、事業継続の備えになることの3つです。自社でコールセンターを立ち上げる場合、設備やシステムの準備、オペレーターの採用と研修に時間と費用がかかります。受託先の既存の体制を使えば、準備期間を短くでき、社内の担当者は商品開発や営業などの本来の業務に時間を戻せます。また、複数の拠点を持つ受託先であれば、1つの拠点で問題が起きても別の拠点で応対を続けられる可能性があります。
向き不向きは、会社の状況で分かれます。BPOを検討しやすい状況と、部分的な委託や自社運営のほうが合いやすい状況を整理すると次のとおりです。
| 状況 | BPOを検討しやすい場合 | 部分委託・自社運営が合いやすい場合 |
|---|---|---|
| 呼量 | 繁閑の差が大きく、自社で人員を抱えると稼働率が下がる | 呼量が少なく安定していて、既存の担当者で回せる |
| 対応時間 | 夜間・休日や24時間の受付、多言語の対応が必要 | 営業時間内の対応で足りる |
| 業務の性質 | 手順をマニュアルにでき、判断基準を文章で渡せる | 専門性が高く、判断のたびに自社の知見が必要 |
| 社内の体制 | 採用・教育・シフト管理の負担を減らしたい | 顧客の声を商品改善に直接つなげる体制が既にある |
一方で、委託の進め方を誤ると、期待した効果が得られないことがあります。よくある失敗を、原因と対策で整理すると次のとおりです。
| よくある失敗 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 委託したら顧客の声が社内に届かなくなった | 後工程(応対履歴の分析や報告)を契約範囲に入れていなかった | よくある質問や苦情の傾向を定例で報告してもらう項目を契約に入れる |
| 成果の認識がずれてトラブルになった | 「商談成立」と「商談獲得」のように、成果の定義があいまいだった | KPIの定義表を作り、契約書に添付する |
| AHTは短くなったが問い合わせが増えた | 処理時間の短縮だけを目標にした | FCRや顧客満足度を歯止めの指標としてセットにする |
| 現場への直接指示が常態化した | 連絡の窓口を決めておらず、担当者がオペレーターに直接依頼していた | 受託先の責任者を唯一の窓口にし、依頼は定例会や連絡票で行う |
| キャンペーン開始に体制が間に合わなかった | 準備期間を考慮せずに発注した | マニュアル作成や研修を含めた準備期間を逆算し、余裕を持って依頼する |
失敗パターンとは別に、コールセンターBPOという形態そのものに伴うデメリットもあります。業務プロセス全体を外部に任せる以上、避けられない性質のものなので、導入前に理解したうえで対策を組み込んでおくことが大切です。
| デメリット | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 応対のノウハウが社内に残りにくい | 応対の工夫や判断の蓄積が受託先側にたまり、将来自社運営に戻す、または委託先を切り替えるときの負担が大きくなる | マニュアルとFAQの最新版を自社でも保管し、定例報告で応対の傾向や改善内容を共有してもらう |
| 企業理念やブランドの浸透に時間がかかる | 外部のオペレーターが自社の価値観を理解するまで、言葉遣いや対応の温度感にばらつきが出やすい | 立ち上げ時の研修に自社の方針説明を含め、応対の良い例と悪い例を具体的に渡す |
| 部分的な委託より費用が高くなる場合がある | 前工程から後工程まで任せるため、電話代行や人員派遣と比べて初期費用や準備の工数がかさみ、短期では効果を感じにくい | 自社運営した場合の人件費・採用教育費・設備費と比べ、中長期で見積もりを比較する |
BPOの前に検討したい、問い合わせそのものを減らす方法
BPOは問い合わせ対応の担い手を増やす方法ですが、問い合わせの件数そのものを減らす方法と組み合わせると、委託する呼量が減り、費用も抑えやすくなります。よくある質問をFAQとして整備して自己解決できるようにする、チャットボットで一次対応を自動化する、電話の入口で用件を振り分けるIVR(自動音声応答)を導入する、といった方法です。IVRの仕組みはIVRとは?コールセンターでの仕組み・選び方・費用の内訳を解説で、問い合わせ対応を外部に任せる設計はBPO対応とは|問い合わせ・カスタマーサポート業務の委託設計で詳しく解説しています。
これらの失敗の多くは、委託先の能力ではなく、委託する側の準備不足から生じています。導入は「業務の棚卸し」「要件定義(KPI・SLA・対応時間・セキュリティ・報告形式)」「委託先の比較(2から3社)」「試行期間を設けた段階的な移行」「定例での振り返りと改善」の順に進めると、手戻りを減らせます。規模別に見ると、個人事業主や小規模事業者は電話代行や受電のスポット委託から始め、中小企業は繁忙期や営業時間外の部分委託、中堅・大企業はメールやチャットを含めた複数チャネルの統合や、複数拠点による事業継続まで視野に入れる、という段階で考えると無理がありません。
委託先の選び方|比べる観点と、見積もり前に揃える情報
コールセンターBPOの委託先は、料金だけでなく、業務の実績、セキュリティ、対応チャネル、繁閑への対応力、準備期間、報告形式の6つの観点を同じ表で比べると判断しやすくなります。安さだけで選ぶと、必要な応対品質に届かないことがあるためです。
| 観点 | 確認すること | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| 業務の実績 | 自社の業界や商材、同じ種類の業務(受電・発信・事務)の経験 | 金融・医療・IT製品のサポートなど専門用語が多い業務では、同様の経験で立ち上げの速さと品質が変わる |
| セキュリティ | プライバシーマークやISMS(ISO/IEC 27001)などの認証、入退室管理、端末の操作制限、従業員教育 | 認証の有無に加え、具体的な運用を説明してもらう |
| 対応チャネル | 電話に加えて、メール・チャット・SNSの問い合わせに対応できるか | 将来の拡張も含めて、対応範囲を確認する |
| 繁閑への対応力 | キャンペーン時の増員、時間延長、段階的な委託範囲の拡大、複数拠点での運用 | 事業の変化に合わせて長く付き合えるかを見る |
| 準備期間 | マニュアル作成や研修を含めた立ち上げまでの期間 | 新商品の発売やキャンペーンに合わせるなら、期間を逆算して発注する |
| 報告形式 | 応答率や処理時間などをどの形式・頻度で報告するか | 自社のKPI定義表に沿った報告を受けられるかを確認する |
料金体系は受託先によって、従量課金型、月額固定型、成果報酬型などに分かれます。呼量が月によって大きく変わる業務なのか、安定している業務なのかを先に整理しておくと、見積もりの比較がしやすくなります。具体的な金額は条件によって大きく変わるため、同じ条件で複数社から見積もりを取りましょう。
見積もりを依頼する前に、次の情報をそろえておくと、各社の回答を同じ条件で比べられます。
- 月間の呼量(平均と繁忙期)と、対応してほしい時間帯
- 任せる業務の範囲(受電、発信、受発注、調査)と、自社に残す業務
- 対応してほしいチャネル(電話、メール、チャットなど)
- 現在の応答率やAHTなどの実績値と、目標にしたいKPI
- 扱う個人情報の種類と、求めるセキュリティの水準
委託先を決めたあとに差が出るのは、報告された数字を自社がどう確かめ、改善につなげるかです。委託先に任せきりにせず、通話の録音と文字起こしを自社でも見られるようにしておけば、KPIの定義のずれや応対の傾向を、定例会の場で具体的な通話を例に話し合えます。受託先の側でも通話の確認に使われている例があるため、委託元と受託先で同じ通話を見ながら改善を話し合う運用にもつなげやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. BPOとは何ですか?何の略ですか?
A. BPOはBusiness Process Outsourcingの略で、業務プロセスの企画から運用、改善までをまとめて外部の専門事業者に委託することです。コールセンターの場合は、受電や発信だけでなく、マニュアル作成などの前工程と、応対履歴の分析や改善提案などの後工程までを含めて継続的に任せる形態を指します。
Q2. コールセンターBPOでは、具体的に何を任せるのですか?
A. 主な業務は、問い合わせ対応などのインバウンド、案内やアポイント獲得などのアウトバウンド、注文受付や修理・訪問の手配などの受発注・手配、顧客満足度調査などの調査業務です。あわせて、応対履歴の集計や分析、FAQの更新といった後工程まで任せる例があります。任せる業務、連携する業務、自社に残す業務を分けて決めておきましょう。
Q3. BPOと電話代行、アウトソーシング、派遣の違いは何ですか?
A. 電話代行は受電の一次受けと取次ぎが中心で、アウトソーシングは切り出した単一の業務を委託する形です。派遣は人員を受け入れて自社が指示を出し、BPOは受託先が指示を出してプロセス全体を担います。業務委託の契約でも、実態として委託元が直接指示していると偽装請負と判断されるおそれがあり、区分の基準は厚生労働省の37号告示で示されています。
Q4. コールセンターの「委託」と「受託」は何が違いますか?
A. 同じ取引を、業務を任せる側(委託元)と請け負う側(受託先)のどちらから見るかの違いです。委託元は、委託範囲、KPI、個人情報の取扱い、窓口の一本化を契約で決める立場になります。受託先は、そのKPIと報告形式に沿って品質を管理し、指揮命令を自ら行う立場です。
Q5. KPIはいくつ設定すればよいですか?
A. 業務の目的から逆算して、主となるKPIを2から3個に絞るのが基本です。インバウンドなら応答率・FCR・顧客満足度、アウトバウンドなら成約率やアポイント獲得率が軸になります。あわせて、行き過ぎを防ぐための歯止めの指標をセットにし、計算方法や報告形式を契約書で定義しておきましょう。
Q6. 顧客の個人情報を委託先に渡しても問題ありませんか?
A. 個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、個人データの取扱いを委託する場合、委託元は適切な委託先の選定、委託契約の締結、取扱状況の把握といった必要かつ適切な監督を行う必要があるとされています。秘密保持、再委託の可否、事故時の対応、契約終了時のデータの扱いを契約書に明記しておきましょう。
まとめ|委託前に決めておきたい4つのこと
コールセンターBPOは、問い合わせ対応や発信業務を、前工程から後工程まで含めて外部に継続的に任せる形態です。費用に見合った成果を得て、法的なリスクを避けるために、委託前に次の4つを決めておきましょう。
- 業務をインバウンド、アウトバウンド、前工程、後工程に分け、外部に任せる業務、エスカレーションで連携する業務、自社に残す業務を線引きする
- KPIを業務の目的から逆算して2から3個に絞り、歯止めの指標とあわせて、定義と報告形式をSLAとして契約に書き込む
- 37号告示の考え方を踏まえて受託先の責任者を唯一の窓口にし、個人情報の委託は秘密保持、再委託、事故時の対応、契約終了時のデータの扱いを契約書で確認する
- 委託先の数字を自社でも確かめられる仕組み(通話の録音・文字起こし、架電の集計ができるコールセンターシステムなど)を検討し、委託先の比較は準備期間・報告形式・セキュリティまでそろえた条件で行う
参考文献
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gigi_outou01.html
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
- 消費者庁「特定商取引法ガイド 電話勧誘販売」https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/
- RevComm「MiiTel導入事例 アデコ株式会社」https://miitel.com/jp/case/20260408/