SaaSの代表例|分野別の具体サービスとPaaS・IaaSの実例まで【NIST準拠】
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- SaaSの代表例はCRM・会計・人事など10分野以上に広がる(総務省)
- PaaS・IaaSとはNIST定義で「責任の範囲」が異なる
- 自社に合うSaaSは「業務領域×規模×連携性」で絞る
「SaaSという言葉はよく聞くが、具体的にどんなサービスがあるのかパッと出てこない」──そんな声は、個人事業主から大企業の経営層まで意外と共通しています。実際、総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば2024年時点で企業のクラウドサービス利用率は80.6%に達し、ファイル共有・会計・人事・コミュニケーションなど分野は多岐にわたります。本記事では、SaaSの代表例を分野ごとに中立的に整理し、PaaS・IaaSの具体例との対比、業種特化型(Vertical SaaS)の実例、自社に合うSaaSを探すコツまで、NIST SP 800-145の3層モデルに沿って解説します。
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SaaSの代表例を分野別に整理|CRM・会計・コミュニケーションなど10分野
SaaSは「インターネット経由で利用する完成済みソフトウェア」を指し、業務領域ごとに代表的なサービスが存在します。総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、利用率が特に高い領域は「ファイル保管・データ共有」「社内情報共有・ポータル」「電子メール」「給与・財務会計・人事」「スケジュール共有」です(通信利用動向調査)。
下表は、ビジネス現場でよく使われる代表的なSaaS分野と主なサービス例です。順位や優劣ではなく、分野を俯瞰するための中立的な一覧として参照してください。
| 分野 | 主な用途 | 代表的なサービス例(順不同) |
|---|---|---|
| CRM/SFA(顧客・営業管理) | 顧客情報・商談管理 | Salesforce、HubSpot、Zoho CRM |
| 会計・経理 | 仕訳・決算・請求 | freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計オンライン |
| 人事・労務 | 入退社・勤怠・給与 | SmartHR、freee人事労務、ジョブカン |
| グループウェア | スケジュール・社内ポータル | Microsoft 365、Google Workspace、サイボウズOffice |
| コミュニケーション | チャット・ビデオ会議 | Slack、Microsoft Teams、Chatwork、Zoom |
| ファイル共有・ストレージ | ドキュメント保管・共同編集 | Box、Dropbox、Google Drive、OneDrive |
| 名刺・営業データ | 名刺管理・人脈共有 | Sansan、Eight |
| マーケティング | メール配信・MA | Mailchimp、HubSpot Marketing Hub |
| カスタマーサポート | 問い合わせ管理・FAQ | Zendesk、Freshdesk |
| プロジェクト管理 | タスク・進捗の可視化 | Asana、Backlog、Jira、Notion |
総務省統計で利用率が高い領域(給与・財務会計・人事/スケジュール共有など)は、ちょうどSaaSの代表分野と重なります。まずは自社の業務領域がどの分野に該当するか当てはめるのが全体像をつかむ早道です。SaaSの定義や特徴はSaaSとは|中小企業のためのクラウドサービス入門もあわせて参照してください。
PaaS・IaaSの具体例との対比|NIST 3層モデルで実例を整理
クラウドサービスを語るうえで欠かせないのが、NIST(米国国立標準技術研究所)が定義した3つのサービスモデルSaaS/PaaS/IaaSです。NIST SP 800-145「The NIST Definition of Cloud Computing」(2011年9月、Mell・Grance)は、この3層を提供者と利用者の責任範囲の違いで区別しています。
| モデル | 提供されるもの | 利用者が管理するもの | 具体例(順不同) |
|---|---|---|---|
| SaaS(Software as a Service) | 完成したアプリケーション | アプリ内設定(ユーザー・権限など) | Salesforce、Microsoft 365、freee会計、Slack、Zoom |
| PaaS(Platform as a Service) | アプリ実行環境(OS・ミドルウェア込み) | アプリのコード・データ | Heroku、Google App Engine、Microsoft Azure App Service、AWS Elastic Beanstalk |
| IaaS(Infrastructure as a Service) | 仮想サーバー・ストレージ・ネットワーク | OS・ミドルウェア・アプリ・データ | Amazon EC2、Amazon S3、Microsoft Azure Virtual Machines、Google Compute Engine |
NIST SP 800-145は「SaaSの利用者は、ネットワーク・サーバー・OS・ストレージといった基盤を管理しない(限定的なユーザー設定を除く)」と明記しています。SaaSは”使うだけ”、IaaSは”基盤からほぼすべてを自社で管理”と覚えるとイメージしやすいでしょう。PaaSはその中間で、自社で書いたアプリのコードをクラウド側の実行環境にデプロイするモデルです。
業種特化(Vertical SaaS)の具体例|医療・建設・飲食など
ここまで紹介してきた分野別SaaSは、どの業種でも使える「水平型(Horizontal)SaaS」です。これに対し、特定の業界の業務フローに最適化された「業種特化型(Vertical)SaaS」が近年急速に広がっています。
| タイプ | 特徴 | 業種別の代表例 |
|---|---|---|
| Horizontal SaaS | 業種を問わず使える共通機能 | CRM/会計/コミュニケーション/ストレージ など |
| Vertical SaaS(建設) | 図面・工程・写真・原価管理を一体化 | ANDPAD、SPIDERPLUS |
| Vertical SaaS(医療) | 電子カルテ・予約・問診を統合 | クラウド型電子カルテ、診療予約システム |
| Vertical SaaS(飲食) | POS・予約・在庫・売上分析を統合 | Airレジ、スマレジ、TableCheck |
| Vertical SaaS(不動産) | 物件管理・契約・顧客対応 | いえらぶCLOUD、SUMAVE |
| Vertical SaaS(士業) | 案件管理・タイムチャージ・申告 | 弁護士業務支援SaaS、税理士向け管理SaaS |
Vertical SaaSの強みは、業界特有の業務慣行や法令対応をあらかじめ織り込んで提供される点です。建設業の現場管理SaaSは建設業法に基づく書類保管を、医療向けSaaSは3省2ガイドライン(厚労省・経産省・総務省)への対応をパッケージに含むことが多く、汎用SaaSをカスタマイズするより導入後の負荷が軽くなる傾向があります。SaaS提供企業の業界マップはSaaS企業とは|業界・代表企業・ビジネスモデルの全体像もあわせて参照してください。
自社に合うSaaSを具体例から探すコツ|業務領域×規模×連携性
「分野別の代表例はわかったが、ではどう選べばいいのか」──ここで効くのが、業務領域・自社規模・連携性の3軸で絞る考え方です。総務省「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」も、利用者側が自社の業務とリスクに照らして要件を整理することを推奨しています。
3軸での絞り込み
- 業務領域を1つに絞る:「会計」「人事」など最も困っている業務を1つ決める。最初から全社一括は失敗しやすい。
- 自社規模で候補を絞る:規模ごとに必須条件が変わる(下表参照)。
- 既存ツールとの連携性を確認:会計SaaSなら銀行口座・請求書ツール・経費精算SaaSとAPI連携できるか。
規模別の選定ポイント
| 規模 | 重視する点 | チェック例 |
|---|---|---|
| 個人事業主・フリーランス | コスト・1ツール完結 | 無料プランの範囲・確定申告対応 |
| 中小企業(〜100名) | ID統合・退職時の権限管理 | 退職者アカウント一括停止、複数SaaSのSSO |
| 中堅・大企業 | ガバナンス・監査・データ連携 | 監査ログ保存期間、IP制限、ISMAP登録 |
AI機能を搭載したSaaS(AIチャットボット、議事録自動生成など)を検討する場合は、業務に組み込む前にAIガバナンスも併せて整える必要があります。詳しくはAIチャットボットの業務導入|法人活用のポイントもあわせて参照してください。
よくある質問(FAQ)
Q. SaaSとPaaS・IaaSの違いを一言で言うと?
A. 「どこまで自社で管理するか」が違います。SaaSは完成したアプリを使うだけ、PaaSはアプリの実行環境を借りる、IaaSは仮想サーバーやストレージを借りて自社でOS以上を構築します。NIST SP 800-145はこの3層を、提供者と利用者の責任範囲で区別しています。
Q. SaaSの代表例として真っ先に挙がるのはどんなサービス?
A. 業務領域によって異なります。CRMならSalesforce、会計ならfreee/マネーフォワード、コミュニケーションならSlack/Microsoft Teams、グループウェアならMicrosoft 365/Google Workspaceが分野代表として知られています。総務省「令和7年版 情報通信白書」では「ファイル保管・データ共有」「電子メール」「給与・財務会計・人事」の利用率が特に高いと示されています。
Q. Vertical SaaS(業種特化型)はHorizontal SaaSと何が違う?
A. 業界特有の業務慣行・法令対応をあらかじめ織り込んでいる点が違います。建設業向けSaaSは図面・工程・原価管理を一体化し、医療向けSaaSは3省2ガイドラインに準拠した電子カルテ機能を備えるなど、業界特有の要件への適合が早い傾向があります。
Q. 個人事業主にも合うSaaSの代表例は?
A. 「1ツール完結・低価格」がポイントです。会計はfreee会計/マネーフォワード クラウド確定申告、請求書はMisoca/freee請求書、コミュニケーションはChatwork/Slackの無料プラン、ストレージはGoogle Drive/Dropboxの無料枠が、個人事業主・フリーランス層でよく使われています。
Q. SaaSの導入で最初につまずきやすいポイントは?
A. 「全社一括で複数SaaSを同時導入してしまう」ことです。1業務領域でPoC(試験運用)を回し、運用設計・権限設計が固まってから他領域に広げると、データ移行や教育コストの破綻を避けやすくなります。
まとめ|SaaSの代表例は「分野×業種×規模」で整理する
SaaSの代表例は分野別(Horizontal)と業種特化型(Vertical)の2軸で広がり、PaaS・IaaSとはNIST SP 800-145が定義する責任範囲で区別されます。総務省「令和7年版 情報通信白書」では2024年の企業クラウド利用率が80.6%に達したと示されており、「使うか否か」ではなく「どの分野から、どの規模で始めるか」の段階に来ています。
今日からできる3つのこと
- 自社で最も困っている業務領域を1つ選ぶ(会計/人事/コミュニケーションなど)
- その分野の代表例3つを比較し、自社規模に合うものを絞る(個人なら1ツール完結、中堅大なら監査ログ必須)
- 既存ツールとのAPI連携を確認してから契約する(PoC期間を1〜3カ月確保)
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参考文献
- NIST「The NIST Definition of Cloud Computing(SP 800-145)」2011年9月、Peter Mell・Tim Grance、https://csrc.nist.gov/publications/detail/sp/800-145/final(2026年5月30日取得)
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」2025年7月公表、クラウドサービス利用状況(第Ⅰ部第1章)、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd111210.html(2026年5月30日取得)
- 総務省「通信利用動向調査(令和6年)」企業におけるクラウドサービスの利用状況、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05.html(2026年5月30日取得)
- 総務省「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」、https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/cloud_security.html(2026年5月30日取得)
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