BPO事例一覧|企業・自治体の導入事例を業務別に整理
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- 企業と自治体のBPO導入事例を業務別に比べられる
- 事例一覧の探し方と成果の数字の読み方がわかる
- 自社に近い事例を選ぶ4つの観点がわかる
BPOの事例とは、業務プロセスを外部の専門事業者に任せた企業や自治体が、委託前の課題と委託後の成果を公開したものです。事例を読むときは「どの規模の組織が」「どの業務を」「どこまで任せて」「何の指標が変わったか」の4点をそろえて見ると、自社に当てはまるかどうかを判断しやすくなります。この記事では、BPOの具体例を業務別に整理したうえで、企業と自治体の導入事例、事例一覧の探し方、成果の数字の読み方、自社に近い事例の選び方を、公開されている資料にもとづいて解説します。
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BPOの具体例|業務別に見る委託の内容と、事例で語られる成果
BPOの具体例は、経理・人事労務・総務・営業事務・コールセンター・法務などの業務を、受付から処理・報告までまとめて外部の専門事業者に任せる形です。
BPO(Business Process Outsourcing)は、手順が決まっていて繰り返し発生する業務を、設計から運用まで外部に任せる考え方です。言葉の意味や略語の整理は「BPOの意味とは|正式名称・定義・関連用語をビジネス視点で整理」で確認できます。ここでは、事例で実際に委託されている業務を整理します。
| 業務の分類 | 委託される内容の例 | 事例で成果として語られる指標 |
|---|---|---|
| 経理・人事労務 | 経費精算、請求書の処理、給与計算、社会保険の手続き | 処理時間、残業時間、処理ミスの件数 |
| 総務・庶務 | 会食手配、各種社内申請の代行、書類の整理 | 社員が庶務に使う時間の比率 |
| 営業事務・受発注 | 受注の入力、納期の回答、出荷案内 | 受注処理の安定性、EDI化の進み具合 |
| コールセンター・問い合わせ対応 | 社内外の問い合わせ受付、ヘルプデスク | 応答の品質、コスト、繁閑への対応 |
| 窓口・受付(自治体) | 届出の受付、システムへの入力、交付 | 待ち時間、時間外勤務 |
| 法務・契約 | 契約書のレビュー、法務・労務の相談 | 審査にかかる日数、顧問弁護士との役割分担 |
経理、営業事務、コールセンターは委託先の事例が多い領域で、次の節で企業の例を見ます。一方、契約書の確認や法務相談のように専門性が求められる業務も、弁護士などの専門家にまとめて任せる企業法務アウトソーシング(ALSP)という形で、BPOの対象になっています。担当者が少ない会社ほど、判断に時間がかかる契約書の確認を社内だけで抱え込みやすい業務です。
契約書の確認や法務・労務の相談を外部の弁護士に任せたい場合の一例が、クラウドリーガル(提供元はMOLTON株式会社)です。商品ページでは、企業の法務業務をオンラインでまとめて依頼できる企業法務アウトソース・サービス(ALSP)として紹介されています。法務・労務の相談には登録弁護士が基本1営業日以内に返答し、契約書レビューにはWordコメントが付くことが特徴です。注意点として、申し込みには審査があり、年間契約の場合は途中解約ができません。プランごとに相談時間や契約書レビューの件数の上限が決まっているため、資料で確認してから選んでください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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株式会社Medii 出典:MOLTON株式会社 クラウドリーガル導入事例
企業のBPO導入事例|庶務・受注・問い合わせ対応・事務センター・法務の5つの型
企業のBPO事例は、委託した業務によって庶務、受注、問い合わせ対応、事務センター、法務の5つの型に分けて読むと、自社に近いものを選びやすくなります。
ここでは、パソナが公開しているBPO導入事例インタビューの4社と、MOLTON株式会社が公開している法務BPOの1社を取り上げます。数字や評価はいずれも事業者が公開した内容で、本記事が独自に調査したものではありません。
| 企業(型) | 委託前の課題 | 委託した業務 | 公開されている成果 |
|---|---|---|---|
| 丸紅株式会社(庶務の標準化型) | 職掌制度の改定で新しい業務への挑戦が求められる一方、庶務業務が属人化して標準化が進みにくかった | 経費精算、会食手配、各種社内申請業務の代行 | 旧一般職が担う庶務業務の比率が39%から22%に減少 |
| 月桂冠株式会社(受注業務型) | 人材流出で受注業務の継続に不安があり、社員が派遣スタッフの管理に追われていた | 物流部受注センターの受注業務 | 受注業務の標準化とマニュアル整備、EDI割合82%、社員を物流企画やマーケティングなどに配置 |
| 株式会社日立マネジメントパートナー(問い合わせ対応型) | 人事関連の問い合わせ対応で、オペレーターの採用と教育が課題となり、業務も属人化していた | コールセンターの運営(採用・教育・フォローを含む) | 品質の安定とコスト削減(事例の見出しでは30%のコスト削減) |
| Chubb損害保険株式会社(事務センター型) | ベテランの属人的な業務運営、社員と委託スタッフの役割のあいまいさ、繁忙期の残業 | 中央業務センターのバックオフィス業務 | マニュアル整備と多能工化、社員と委託業務の切り分け、残業の削減 |
| 株式会社スカラ(法務・契約型) | 法務専任が少人数で、属人化を防ぎ法務機能を安定させたい | 契約書レビューなどの法務業務(弁護士の審査) | 法務対応時間の短縮、担当者の負荷の軽減、弁護士の裏付けのある回答 |
丸紅株式会社|庶務業務を棚卸しして、標準化できるものから委託
丸紅株式会社の電力・インフラサービス部門では、2024年度に一般職と総合職の区分を撤廃する職掌制度の改定があり、社員がどの業務に時間を使うべきかが問い直されました。そこで、経費精算や会食手配など一般職が担ってきた庶務業務を棚卸しし、標準化できるものをパソナに委託しています。公開されている成果は、旧一般職が担う庶務業務の比率が39%から22%に下がり、削減した時間を新しい業務や難易度の高い業務に回せるようになったことです。委託できる範囲が継続的に広がったとも紹介されており、委託の効果が「業務の棚卸しと標準化」という社内の準備に左右されることがわかります。
月桂冠株式会社|受注業務の標準化とEDI化で安定運営
月桂冠株式会社では、物流部の受注センターを一時期、社員3名と派遣スタッフ9名で運営していました。退職や欠員への対応に追われ、社員が派遣スタッフの管理に時間を取られて、本来の物流部の業務に手が回らない状態だったとされています。そこで受注業務をパソナへのBPOに切り替え、業務の調査、標準化、マニュアル化に最も労力をかけました。公開されている成果は、FAX中心だった注文のEDI割合が82%まで高まったことと、社員を物流企画やマーケティング、リテールサポートなどの業務に移せたことです。月例会でイレギュラーへの対応を見直し、マニュアルを更新し続ける運用も紹介されています。
株式会社日立マネジメントパートナー|問い合わせ対応を採用・教育ごと任せる
日立グループ各社の人事関連の問い合わせに対応する株式会社日立マネジメントパートナーでは、問い合わせの範囲が広く難易度も高いため、オペレーターの採用と教育が大きな課題でした。経験の長いスタッフにナレッジが集まり、属人化する面もあったとされています。そこで、採用、教育、フォローアップまでを含めてコールセンターの運営をパソナのBPOに任せました。公開されている内容では、定期的なモニタリングとフォローで品質が安定し、繁閑に合わせて翌月の目標値を決めてオペレーターを配置できるようになっています。札幌のコールセンターは、時期により変動しますが約70名の体制で運営されています。
Chubb損害保険株式会社|役割分担を決めて属人化を解消
Chubb損害保険株式会社は、各支店にあったバックオフィス業務を集約した中央業務センターで、BPOを活用しています。社員と委託スタッフの役割分担があいまいで、ベテランスタッフが属人的に業務をしている状態を改善するため、委託先を切り替えました。公開されている成果は、マニュアルの整備と多能工化で属人的な運営を解消したこと、社員と外部委託の業務を切り分けて社員がコア業務に専念できるようにしたこと、繁忙期に委託先が人員のシフトを柔軟に動かして社員の残業が減ったことです。委託先の選定では、現場のスタッフの経験を生かして段階的に移管する現実的な提案が決め手になったと語られています。
株式会社スカラ|専門業務を弁護士に任せて、少人数の法務を支える
東京証券取引所プライム市場に上場し、グループ全体で社員が400名以上の株式会社スカラは、法務専任が2名(兼任を含めて3名)という少人数の体制です。それまでは社内で対応し、手に負えない場合だけ外部の弁護士に相談していましたが、担当者の入れ替わりを機に、属人化を防いで法務の機能を安定させる方法を探していました。MOLTON株式会社の事例によると、弁護士の審査を受ける契約書レビューなどを活用する形に切り替え、インタビューでは弁護士の回答は早ければ1、2日、多くの場合は数日で届くと語られています。企業の規模が大きくても、判断に専門性が必要な業務は外部の専門家に任せるという形が成り立つ例です。
5つの型に共通しているのは、委託する前に業務を棚卸しして手順をそろえ、マニュアルにしている点です。この見方は、後半の「BPO事例の読み方」で整理します。
自治体のBPO事例|相模原市・福岡市・熊本市・白井市・世田谷区・目黒区
自治体のBPO事例は、問い合わせ型、業務改革型、定型業務型、窓口型などに分かれ、職員が限られるなかで住民サービスを維持することが主な目的です。
自治体と企業では、BPOの目的と成果の測り方が異なります。自治体は職員数が限られるなかで住民サービスを維持することが主な目的で、待ち時間や時間外勤務の削減が成果として語られます。企業はコスト削減や繁閑への対応、専門性の確保が主な目的で、処理件数あたりのコストや本業への人員再配置が成果になります。
| 比較の観点 | 自治体のBPO事例 | 企業のBPO事例 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 職員不足のなかでの住民サービス維持、職員の企画業務への集中 | コスト削減、繁閑への対応、専門人材の確保 |
| よく委託される業務 | 窓口受付、コールセンター、給付金の事務処理、税や福祉の定型業務 | 経理、給与計算、人事労務、カスタマーサポート、営業事務 |
| 成果の指標 | 待ち時間、時間外勤務、処理期間、住民満足度 | 処理コスト、処理時間、エラー率、社員の配置転換 |
| 契約の特徴 | 入札や仕様書による調達で、年度単位の契約が多い | 業務量や期間に応じた柔軟な契約が多い |
| 事例の公開度 | 議会資料や公的事例集で経緯が公開されやすい | 委託先の導入事例として一部が公開される程度 |
企業の担当者が自治体の事例を読む意味は、この「公開度」にあります。企業の事例は委託先が自社の実績として紹介するものが多く、成果の良い面が中心になりがちです。自治体の事例は公的な資料として経緯や課題も記録されるため、業務の切り分け方や委託範囲の決め方を学ぶ教材として使いやすいのが特徴です。
| 自治体 | 事例の型 | 対象業務 | 公開されている成果 |
|---|---|---|---|
| 相模原市(神奈川県) | 問い合わせ型 | 住民向けコールセンターと手続き案内システムの連携 | 問い合わせ内容の案内への反映、オペレーター教育の改善 |
| 福岡市 | 業務改革型 | 7区役所の11業務の業務改革(BPR) | 業務フローの可視化と効率化の方向性の明確化 |
| 熊本市 | 定型業務の切り出し型 | 市税、医療費助成、就学援助などの定型業務 | 時間外勤務の約32%削減、職員配置の見直し |
| 白井市(千葉県) | 窓口受付型 | 国民健康保険・国民年金などの窓口受付、システム入力、交付 | 待ち時間が最大1時間から20分程度に短縮 |
| 世田谷区 | 事務センター型 | 人事・給与・福利厚生など約80業務 | 職員の業務負荷の軽減(総務事務センターの設立・運営) |
| 目黒区 | 人事定型業務型 | 人事課の定型業務(区で初の外部委託) | 課内職員2名が本来業務に専念、時間外労働の軽減 |
相模原市の事例|コールセンターとデジタル手続き案内の連携
神奈川県相模原市では、2011年から住民向けのコールセンター「ちょっとおしえてコール相模原」を運用しています。行政手続きや施設、イベントに関する問い合わせを受け付ける窓口で、市の案内によると受付時間は午前8時から午後9時、年中無休です。問い合わせの一次対応を外部の専門事業者に任せることで、担当課の職員が電話対応に追われる時間を減らす、典型的な問い合わせ型のBPOです。
この取り組みは2021年11月に一段進みます。TOPPANホールディングス(当時の凸版印刷)の発表によると、有人のコールセンターと、行政手続きをデジタル上で案内するシステム「わたしの手続案内」を組み合わせた取り組みを始めました。コールセンターに寄せられた問い合わせの内容をシステムの案内に反映し、システムのアクセスログを分析してオペレーターの教育に生かす、という双方向の連携が特徴です。さらに市の案内によると、2026年10月1日からコールセンターを市の代表電話と統合し、AIを使った案内機能と32言語の多言語通訳サービスを加えています。委託から始まり、デジタルとの連携、AIや多言語対応へと範囲を広げてきた経緯は、BPOを一度の導入で完成させず、運用しながら広げていく進め方の例として参考になります。
企業に置き換えると、代表電話や問い合わせメールの一次対応を外部に任せ、よくある質問をWebサイトのFAQに反映していく流れに近い考え方です。問い合わせの記録が残ることで、どの質問が多いのかが分かり、FAQや手続き案内の改善につながります。
福岡市・熊本市・白井市の事例|業務改革、定型業務、窓口受付
福岡市の事例で注目したいのは、委託そのものより前の工程です。7つの区役所で行われている11の業務を対象に、業務の流れを可視化し、どこをどう効率化するかの方向性を明確にしています。区役所ごとに同じ業務の手順が少しずつ違うと、そのままでは外部に委託しても品質がそろいません。手順を標準化してから委託範囲を決めるという順番は、複数の拠点や部署を持つ企業にもそのまま当てはまります。
熊本市では、2024年10月に市役所庁舎内へ総合行政事務センターを開設し、市税、医療費助成、就学援助など、手順が決まっていて件数の多い業務を集約しました。開設に先立って、ノンコア業務の抽出と設計を行っています。公開されている成果として、時間外勤務の約32%削減と職員配置の見直しが挙げられています。判断を伴わない入力や確認作業を外部に任せ、判断が必要な審査や住民対応を職員に残すという切り分けは、企業の経理や人事労務でも使える考え方です。
千葉県白井市では、国民健康保険や国民年金などの窓口受付、システムへの入力、交付までを委託しています。公開されている成果は、来庁者の待ち時間が最大1時間から20分程度に短縮されたことです。受付から交付までの流れがはっきりしている業務は、流れ全体をまとめて委託すると引き継ぎのロスが少なくなります。
世田谷区・北区・目黒区の事例|事務センター、給付金、人事の定型業務
東京都世田谷区は、人事・給与・福利厚生など約80業務を対象に総務事務センターを設け、BPOと業務改革(BPR)、DXを連動させた形で委託しています。東京都北区は、臨時特別給付金の申請受付業務を委託しました。給付金のように短期間に業務量が急増する業務は、期間を区切って外部の体制を借りる使い方の典型で、企業でいえば決算期や年末調整の時期に近い状況です。
東京都目黒区は、人事課の定型業務を区で初めて外部委託しました。アルティウスリンク株式会社の事例ページによると、課題は人事課職員の業務負荷が重く時間外労働が常態化していたことで、委託の結果、課内職員2名が本来業務に専念できるようになったとされています。人事の定型業務は、企業のバックオフィスでも最初に委託を検討しやすい領域です。
BPO事例一覧の探し方|事業者の事例ページと総務省ポータルの使い分け
BPOの事例一覧は、委託事業者が公開する導入事例ページと、総務省「地域DXポータルサイト」の自治体DX事例検索の2か所で探せます。
事業者の導入事例ページは、業種や業務で絞り込めて成果が具体的な反面、事業者が自社の実績として載せるため、良い面が中心になりがちです。総務省のポータルは自治体の取り組みとして整理されているので、特定の事業者に偏らずに比べられます。両方を使い分けると、読み違いを減らせます。
| 事業者の公開ページ | 絞り込み・分類の特徴 | 確認時点(2026年10月15日)の掲載内容 |
|---|---|---|
| パソナ「BPO導入事例インタビュー一覧」 | 営業事務・受発注、総務・庶務、派遣管理、カスタマーサポートなど、業務の分類がついている | 企業7社のインタビュー |
| ビーウィズ「BPO・コンタクトセンターの導入事例」(ビーウィズ株式会社) | 金融、ライフライン、情報通信・ソフトウェア、メーカー、小売・流通・サービス、法人向けサービスなど、業種で絞り込める | 業種別の導入事例 |
| アルティウスリンク「支援事例」(アルティウスリンク株式会社) | 業種ごとに掲載。官公庁・公共インフラの自治体事例(大田区、目黒区、大阪市浪速区など)もある | 企業と自治体の支援事例 |
| リクルートスタッフィング「導入事例」 | BPOアウトソーシング、自治体・官公庁向けアウトソーシング、採用アウトソーシングに分かれている | 業務領域別の導入事例 |
BPO事業者側の仕組みや案件の種類を知りたい場合は「【厚労省データ準拠】BPO事業の仕組みとは|案件・部門・業界課題まで体系解説」で整理しています。BPOに限らず、AIを使った業務効率化の事例を探す場合は「AI業務効率化の事例を公的資料で整理|業務別・規模別の見方」も参考になります。
総務省「地域DXポータルサイト」で公的な事例を探す
総務省の「地域DXポータルサイト」には、自治体DXの参考事例を条件で検索できるページがあります。自治体の取り組みとして整理されているため、委託事業者の紹介ページと違い、特定の事業者に偏らずに事例を比べられるのが利点です。自治体DXとBPOの関係は「bpo 総務省とは?自治体DX・行政BPOとの関係を公的資料で解説」で詳しく解説しています。
| 絞り込みの条件 | 選べる内容 | BPO事例を探すときの使い方 |
|---|---|---|
| キーワードカテゴリー | 体制整備、人材確保・育成、オンライン申請、窓口改革、AI・RPA活用、共同調達・共同利用など | 委託と組み合わせやすい「体制整備」「窓口改革」「AI・RPA活用」から見ると、外部の力を借りる事例が見つかりやすい |
| 地域 | 都道府県単位で指定 | 自社の拠点がある地域の事例を見ると、地元の委託事業者の情報にもつながる |
| 規模 | 都道府県、人口1万人未満から30万人以上まで | 小規模な自治体の事例は、少ない人数で業務を回す中小企業の状況に近い |
使い方のコツは、規模の条件を先に絞ることです。人口の多い自治体の事例は予算も業務量も大きく、そのまま中小企業に当てはめるのは難しいことがあります。規模の小さい自治体の事例では、限られた職員で多くの業務を担うための工夫が記録されていることが多く、少人数の会社にはこちらの方が参考になります。キーワードには委託そのものを示す語が用意されていないため、「体制整備」や「窓口改革」など周辺のテーマから探し、本文の中で外部委託に触れている事例を拾っていくと効率的です。
BPO事例の読み方|導入のポイントと、成果の数字の読み違い
BPO事例は、規模・業務・委託範囲・成果指標の4点をそろえて読み、成果の数字は対象業務・件数・期間の前提とセットで確認します。
ここまでの事例に共通する進め方を、導入の段階ごとに整理します。どの事例も、委託先を選ぶ前の準備と、委託した後の運用に時間をかけている点が共通しています。
| 段階 | 事例から読み取れるポイント | 対応する事例 |
|---|---|---|
| 1. 業務の可視化 | 業務の流れと件数を書き出し、拠点や担当者による手順の違いをそろえる | 福岡市の業務改革、丸紅の庶務の棚卸し |
| 2. 委託範囲の切り分け | 判断を伴わない定型作業を委託し、判断や例外対応は社内に残す | 熊本市の定型業務委託、Chubb損害保険の役割分担 |
| 3. 一連の流れでの委託 | 受付から処理、完了までをまとめて任せ、引き継ぎのロスを減らす | 白井市の窓口業務、月桂冠の受注業務 |
| 4. 成果指標の設定 | 待ち時間や時間外勤務など、委託前後で比べられる数値を決めておく | 白井市、熊本市、丸紅 |
| 5. 段階的な拡大 | 小さく始め、記録を生かしてデジタル化や対応範囲の拡大につなげる | 相模原市のコールセンター、丸紅の委託範囲の拡大 |
事例を読むときに見落としやすい失敗パターン
成功事例として紹介される内容には、うまくいかなかった点があまり書かれません。事例を自社に当てはめるときは、次のような読み違いに注意が必要です。
| よくある読み違い | 起こりやすい結果 | 避けるための見方 |
|---|---|---|
| 成果の数字だけを見て同じ効果を期待する | 業務量や前提が違い、期待した削減効果が出ない | 成果の数字の前提(対象業務、件数、期間)を確認する |
| 手順がそろっていない業務をそのまま委託する | 委託先への説明や差し戻しが増え、社内の手間が減らない | 委託の前に業務の流れを書き出し、手順を標準化する |
| 判断が必要な業務まで任せてしまう | 例外処理で確認の往復が増え、品質が安定しない | 判断と作業を分け、判断は社内に残す |
| 委託後の管理担当を決めない | 品質の低下や業務のブラックボックス化に気づけない | 社内の窓口担当と、定期的に確認する指標を決める |
| 個人情報を扱う業務の取り扱いを詰めない | 委託先での情報管理が不十分なまま運用が始まる | 委託先の管理体制を確認し、契約で取り扱いを定める |
個人情報を含む業務を委託する場合、個人情報保護法のもとで委託元には委託先を監督する責任があるとされています。具体的な対応は個人情報保護委員会のガイドラインを確認し、判断に迷う場合は専門家に相談してください。本記事は法的助言を目的としたものではありません。
自社に近いBPO事例をどう見つけるか|4つの観点で絞る
自社に近いBPO事例は、規模、業務の種類、業務量の波、成果の指標の4つの観点で自社の条件と照らし合わせて絞り込みます。
事例を集めても、自社と条件が違いすぎると参考になりません。事例を読む前に自社の条件を書き出し、その条件で事例をふるいにかけるのが近道です。
| 照らし合わせる観点 | 自社で書き出すこと | 事例で確認すること |
|---|---|---|
| 規模 | 従業員数、対象業務の担当人数 | 組織の規模、委託した業務の人員規模 |
| 業務の種類 | 任せたい業務が庶務、受注、問い合わせ、窓口、法務のどれに近いか | 事例の型(庶務型、受注型、問い合わせ型、窓口型、法務型など) |
| 業務量の波 | 月末や決算期などの繁閑の有無 | 通年の委託か、期間限定の委託か |
| 成果の指標 | 何が改善すれば成功といえるか(残業時間、処理日数など) | 事例で示されている指標と、その前提 |
たとえば従業員30名ほどの会社で、経理担当が1名、月末に請求書の発行と入金確認が集中するという条件なら、参考にすべきなのは大規模な業務改革の事例ではなく、熊本市のような定型業務の切り出し型や、北区の給付金業務のような期間を区切った委託の考え方です。この規模では、専任チームを置く本格的なBPOより、必要な分だけ経理補助を任せる形のほうが現実的なこともあります。
事例を参考に委託先を選ぶときの確認項目と、契約前に決めておくこと
委託先を選ぶときは、業務範囲、規模と業務量の変動への対応、情報セキュリティ体制、費用の形態、報告と改善の仕組みの5点を、事例の成果とあわせて確認します。
事例で成果が出ていても、同じ委託先が自社の業務にも合うとは限りません。事例に出てくる委託先の実績は、あくまで判断材料の1つです。候補を比べるときは、事例の成果と合わせて次の5点を確認すると、導入後に「思っていた支援と違った」というずれを減らせます。
| 確認項目 | 見るポイント | 事例との照らし合わせ方 |
|---|---|---|
| 対応できる業務範囲 | 作業の代行だけか、業務フローの見直しや手順書の作成まで支援するか | 福岡市のように委託前の業務改革が必要なら、その工程から関われるかを確かめる |
| 規模と業務量の変動への対応 | 繁忙期の増員や、少ない業務量からの契約に応じられるか | 給付金業務のような期間限定の委託か、通年の委託かで求める体制が変わる |
| 情報セキュリティ体制 | 作業場所、アクセス権限の管理、第三者認証の取得状況、事故時の報告手順 | 個人情報を扱う窓口型や問い合わせ型の事例ほど、重点的に確認する |
| 費用の形態 | 月額固定、件数に応じた従量、時間契約のどれか。初期費用や引き継ぎ費用の有無 | 事例の業務量と自社の業務量を比べ、どの形態が割高にならないかを考える |
| 報告と改善の仕組み | 定期報告の頻度と内容、指標の共有方法、改善提案の有無 | 相模原市のように記録を改善に生かしたいなら、どの記録を渡してもらえるかを確かめる |
候補は1社に絞らず、2から3社に同じ条件で見積もりと体制の説明を依頼すると、費用だけでなく支援範囲の違いも比べやすくなります。委託先が決まったら、委託契約書に次の内容を書き込みます。
- 業務範囲と、追加対応になる範囲の扱い
- 成果指標と、報告の頻度・方法
- 再委託の可否と、個人情報・秘密保持の取り扱い
- 委託を終えるときの引き継ぎ(手順書や記録の返却)
契約書の条文は、業務の中身に加えて法務の知識も必要になるため、法務の担当者が少ない会社では確認が後回しになりやすい部分です。社内で判断しにくい条文は、外部の弁護士に確認してもらう方法もあります。自社の準備がどこまで進んでいるかを、次のセルフチェックで確かめてみましょう。
BPOを任せる前の準備、事例と比べて足りている?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
委託契約書の確認を社内だけで抱えず、外部の弁護士に任せる選択肢の詳細は、商品ページで確認できます。プランごとの相談時間や契約書レビューの件数の上限、申し込みの審査と年間契約の条件も、あわせて確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. BPOの具体例には何がありますか?
A. 経理・人事労務・総務・営業事務・コールセンター・窓口受付・法務など、手順が決まっていて繰り返し発生する業務を、受付から処理・報告までまとめて外部に任せる形が具体例です。企業では庶務の標準化、受注業務、問い合わせ対応、事務センター、自治体では窓口受付や給付金の申請受付などの事例が公開されています。
Q2. BPOの事例一覧はどこで見られますか?
A. 委託事業者が公開する導入事例ページと、総務省「地域DXポータルサイト」の自治体DX事例検索で見られます。事業者のページは業種や業務で絞り込めて成果が具体的ですが、良い面が中心になりやすいため、公的な事例とあわせて読むと偏りを避けられます。
Q3. 自治体のBPO事例にはどのようなものがありますか?
A. 相模原市のコールセンター、福岡市の区役所業務の業務改革、熊本市の総合行政事務センター、白井市の窓口受付、世田谷区の総務事務センター、目黒区の人事定型業務の委託などが公開されています。待ち時間や時間外勤務の削減が成果として語られています。
Q4. BPOで有名な会社や大手の会社はどこですか?
A. 「大手」の基準は売上、従業員数、得意な業務領域によって変わるため、本記事では順位づけをしません。導入事例を公開している事業者には、ビーウィズ株式会社やアルティウスリンク株式会社などがあり、事業者ごとに得意な業種や業務が異なります。委託先は、事例の業務内容が自社に近いかどうかで比べてください。
Q5. 事例を自社に生かすには、どう読めばよいですか?
A. 規模・業務・委託範囲・成果指標の4点を自社と照らし、成果の数字は対象業務、件数、期間の前提とあわせて確認します。事業者の事例は成果の良い面が中心になりやすいため、委託前の準備(業務の棚卸しや標準化)と運用の工夫に注目すると、数字をそのまま当てはめずに済みます。
Q6. 個人情報を含む業務を委託するときの注意点は何ですか?
A. 個人情報保護法のもとで、委託元には委託先を監督する責任があるとされています。委託先の情報管理体制を確認し、取り扱いのルールを契約で定めておくことが大切です。具体的な対応は個人情報保護委員会のガイドラインを確認し、必要に応じて専門家に相談してください。
まとめ|BPO事例を自社に生かすための5つのこと
BPOの事例は、規模、業務、委託範囲、成果指標の4点をそろえて読むと、自社に生かせるかどうかを判断しやすくなります。最後に、押さえておきたいポイントを整理します。
- 具体例は業務別に整理し、庶務・受注・問い合わせ対応・事務センター・法務など、自社の業務に近い型の事例から読む。
- 事例一覧は、事業者の導入事例ページと総務省「地域DXポータルサイト」を併用し、成果の数字は対象業務・件数・期間の前提とセットで確認する。
- 委託の前に業務の流れを書き出して標準化し、委託する業務と社内に残す判断を切り分ける。
- 委託契約書の条文を社内だけで判断しにくいときは、クラウドリーガルのような企業法務アウトソーシングの資料を取り寄せ、依頼できる範囲と上限を確認する。
- 小さな業務から委託を始め、処理時間や残業時間など委託前後で比べられる指標で効果を確かめる。
参考文献
- 総務省「地域DXポータルサイト 自治体DX事例検索」、2026年10月15日確認
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年10月15日確認
- 相模原市「相模原市コールセンター(ちょっとおしえてコール相模原)」、2026年10月15日確認
- TOPPANホールディングス「凸版印刷、地方自治体向けに「Hybrid-BPO」の取り組みを開始」、2026年10月15日確認
- TOPPAN「自治体のBPO導入事例に学ぶ、業務効率化と住民サービス向上のポイント」、2026年10月15日確認
- TOPPAN BPO「自治体でのBPOを活用した取り組み事例をご紹介」、2026年10月15日確認
- NTT東日本「地方創生や雇用拡大も、自治体BPOの成功例を紹介」、2026年10月15日確認
- パソナ「アウトソーシング・BPO導入事例インタビュー一覧」、2026年10月15日確認
- パソナ「丸紅株式会社 BPO導入事例インタビュー」、2026年10月15日確認
- パソナ「月桂冠株式会社 BPO導入事例インタビュー」、2026年10月15日確認
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