総務省の自治体DX推進計画とBPOの関係|行政BPOの位置づけ・窓口委託の注意点・導入手順を解説
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- 総務省資料でのBPOの位置づけがわかる
- 共同BPOなど国のモデル事業がわかる
- 窓口委託の注意点と導入手順がわかる
総務省の資料では、BPO(業務の外部委託)は自治体DXの代わりではなく、人手不足の中でDXを進めるための補完手段として位置づけられています。その根拠になるのが、自治体DX推進計画(第5.0版)の重点取組事項、令和7年度の自治体フロントヤード改革モデルプロジェクト(共同BPOモデルを含む)、そして窓口業務の民間委託に関するガイドラインです。本記事では、これらの総務省の資料をもとに、行政BPOの位置づけとメリット、窓口業務を委託するときの注意点、導入のステップ、委託したあとの運用までを、自治体職員と自治体向けにサービスを提供する事業者の両方の視点で整理します。
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総務省の資料でBPOはどう位置づけられているか
総務省の資料では、BPOは自治体DXを置き換えるものではなく、定型的な業務を外部に任せて職員の時間を生み出し、その時間をDXの企画や住民対応に充てるための手段として扱われています。
「bpo 総務省」で調べる人が確認したい総務省の資料は、大きく4つです。それぞれの中身は、本記事の後半の見出しで詳しく解説します。
| 総務省の資料 | BPOとの関わり | 本記事の解説 |
|---|---|---|
| 自治体DX推進計画【第5.0版】 | 重点取組事項8項目のほか、複数の自治体による同一の事務の共同アウトソーシングへの期待が示されている | 推進計画・推進手順書の見出し |
| 令和7年度自治体フロントヤード改革モデルプロジェクト | 共同BPOモデルなど3つのモデルで委託先を選定。窓口業務と、窓口に関連するバックヤード業務が対象 | モデルプロジェクトの見出し |
| 地方公共団体の窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン | 民間に委託できる業務の範囲と、公権力の行使との切り分けの考え方 | 注意すべき点の見出し |
| 地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン | 外部委託にあたり、委託先に求めるセキュリティ要件を契約に盛り込む考え方 | 注意すべき点の見出し |
4つの資料に共通しているのは、委託できる範囲を線引きすることと、委託したあとも自治体が業務の中身を把握し続けることです。実際のBPOでは、委託先からの処理件数の報告、手順の確認依頼、窓口で出た質問の共有といったやり取りが日常的に発生します。これらがメールや電話、紙に分散すると、誰がいつまでに何を確認するのかが見えなくなり、BPOの効果を確かめる材料も集まりません。
そのため、委託する側もされる側も、報告・確認依頼・担当者への依頼を決まった場で回しておくことが、BPOを続ける土台になります。連絡とタスクをまとめて回したい場合の一例がChatworkです。Chatworkは株式会社kubellが提供するビジネスチャットで、商品ページによると、チャットに加えてビデオ通話・音声通話が標準で使え、タスクを作って担当者を決めると、完了時に自動でチャットへ通知されます。ファイルもアップロードでき、共有する相手はそのチャットの参加メンバーに限られます。委託先の担当者ごとにチャットを分け、報告の確認をタスクにしておけば、依頼の経緯を後から追いやすくなります。
注意したい点もあります。自治体の庁内ネットワークは用途ごとに分けて運用されているため、庁内の端末で外部のクラウドサービスを使えるかどうかは、自治体ごとの情報セキュリティポリシーによって異なります。自治体職員の方は、導入できるかどうかを情報政策の担当課に確認してください。また、無料のフリープランでは過去40日分、5,000件までしか閲覧できません。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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総務省の自治体DX推進計画・推進手順書とは
自治体DX推進計画は、国の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」などを踏まえ、自治体が重点的に取り組むべき事項と国の支援策を総務省がまとめた計画です。2020年(令和2年)12月に初版が策定され、改定を重ねています。2025年(令和7年)12月17日に公表された第5.0版では、急速な人口減少が見込まれる中で、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供するために、デジタル技術やAIの活用で業務を効率化し、生まれた人的資源を行政サービスの向上に振り向けることが求められています。
第5.0版で「自治体DXの重点取組事項」とされているのは、次の8項目です。
| 重点取組事項 | 主な中身 | BPOとの関わり |
|---|---|---|
| (1)自治体フロントヤード改革の推進 | 「書かないワンストップ窓口」など、住民と行政の接点の改革 | 窓口の受付補助やコールセンターの委託と組み合わせやすい。複数自治体による共同アウトソーシングにも言及あり |
| (2)地方公共団体情報システムの標準化 | 基幹業務システムを国の標準仕様に準拠したシステムへ移行 | 業務の手順がそろうことで、委託の範囲を定めやすくなる |
| (3)国・地方デジタル共通基盤の共通化等の推進 | 共通化が有効な業務システムを国と地方で共同利用 | 自治体ごとの個別対応が減り、事業者側も横展開しやすくなる |
| (4)公金収納におけるeL-QRの活用 | 地方税以外の公金も統一QRコードで納付できるようにする | 収納・消込などの後工程の事務負担に関わる |
| (5)マイナンバーカードの取得支援・利用の推進 | カードの取得・更新の支援と、行政サービスでの利用拡大 | 交付窓口や問い合わせ対応の補助業務が委託の対象になりやすい |
| (6)セキュリティ対策の徹底 | ガイドラインに沿った情報セキュリティ対策の見直し | 委託先に求める管理体制の基準になる |
| (7)自治体のAIの利用推進 | 生成AIを含むAIの業務での活用 | AIと人を組み合わせた委託サービスの選択肢が広がる |
| (8)テレワークの推進 | 職員の多様な働き方の実現 | 情報共有のデジタル化が前提となる |
計画を実際に進めるために、総務省は「自治体DX全体手順書」も公表しています。DXの認識共有、全体方針の決定、推進体制の整備、DXの取組の実行という流れで、何から着手すればよいかを示したものです。あわせて、フロントヤード改革や情報システムの標準化については個別の手順書も用意されており、全体手順書を起点に必要な資料をたどれる構成になっています。
令和7年度フロントヤード改革モデルプロジェクトと共同BPO
令和7年度の自治体フロントヤード改革モデルプロジェクトは、総務省がオンライン手続を徹底するモデルや、複数の自治体が同一の事務を共同でアウトソーシングするモデルを構築し、全国への横展開を図ることを目的とした事業です。共同BPOモデルの委託上限額は、1提案当たり1億7千万円とされています。
総務省の公募要領では、次の3つのモデルが募集されました。対象業務は、住民基本台帳分野、税務分野をはじめとした窓口業務と、窓口業務に関連するバックヤード業務です。
| 募集モデル | 1提案当たりの委託上限額 | 提案の条件 |
|---|---|---|
| オンライン手続の徹底による改革効果の向上を目指すモデル | 1億円 | 1団体でも提案できる |
| 共同BPOモデル | 1億7千万円 | 2団体以上での提案が必須(3団体以上でも1グループ当たりの上限額は一定) |
| 申請等関係事務処理法人活用モデル | 1億円 | 2団体以上での提案が必須(3団体以上でも1グループ当たりの上限額は一定) |
募集期間は2025年(令和7年)11月28日から12月19日まで、委託先の選定結果は2026年(令和8年)1月30日に公表されています。共同BPOモデルとして選ばれたのは、長野県の佐久市・小諸市・高森町・松川町、京都府と福知山市など11の市町、鳥取県の米子市・境港市です。申請等関係事務処理法人活用モデルでは、沖縄県の宜野湾市・石垣市・名護市が選ばれました。
自治体にとっての意味は、単独では事務量が足りない小規模な自治体でも、近隣の自治体と組むことでBPOの対象にできる道が国のモデル事業として示されている点です。事業者にとっては、複数の自治体から同じ事務をまとめて受託する形が、国の施策の中で位置づけられていることを、提案の背景として説明しやすくなります。なお、公募の内容は年度ごとに変わるため、最新の募集状況は総務省の公式ページで確認してください。
行政BPOの位置づけ:DXを補完する手段
行政BPOとは、自治体の業務のうち、定型的な事務や窓口の補助業務などを、業務の流れごと民間事業者に委託することです。単発の作業を頼むのではなく、業務の設計や改善まで含めて任せる点が、従来の部分的な外部委託との違いです。
DXとBPOの関係は、次のように整理できます。
| 観点 | 自治体DX | 行政BPO |
|---|---|---|
| 目的 | デジタル技術で業務や住民サービスのあり方そのものを変える | 業務の実行を外部の専門人材に任せ、職員の負担を減らす |
| 効果が出るまでの時間 | システム移行や業務の見直しが必要で、中長期になりやすい | 業務の切り出しができれば、比較的短期間で人手不足を補える |
| 職員の役割 | 業務の見直しとデジタル化の推進 | 委託範囲の決定、委託先の管理、判断を伴う業務への集中 |
自治体DXが進みにくい主な課題とBPOで補える範囲
BPOが補完手段として注目される背景には、自治体DXを進めるうえで多くの自治体に共通する課題があります。課題ごとに、BPOで補える部分と、自治体自身が取り組む必要がある部分を分けて整理します。
| 課題 | 起きていること | BPOで補える部分 | 自治体が担う部分 |
|---|---|---|---|
| デジタル人材・職員の不足 | 既存業務に追われ、DXの企画や新しい知識の習得に時間を割けない | 定型業務を委託して、職員の時間を空ける | DXの方針決定と、推進を担う職員の育成 |
| 紙と押印を前提とした業務 | 申請書の受付や保管が紙のままで、データとして活用できない | 紙の申請書のデータ入力や文書の電子化を担う | オンライン申請への切り替えや、押印の見直しなど手続そのものの変更 |
| 住民のデジタル対応の差 | オンライン手続に不安を感じる住民がいて、窓口や電話の問い合わせが減らない | コールセンターや窓口の案内で、手続の補助を行う | 誰でも使いやすい手続の設計と、デジタル以外の手段の確保 |
| 制度改正・臨時事務への対応 | 給付金などで一時的に事務が急増し、限られた人員では体制を組めない | 事務局の立ち上げと、期間限定の業務体制を用意する | 給付の要件判断など、制度の運用にかかわる決定 |
どの課題でも、BPOが担えるのは業務の実行の部分で、手続や制度の見直しそのものは自治体が決める必要があります。この線引きを意識しておくと、次に説明する「補完」の考え方が理解しやすくなります。
ポイントは、BPOが「DXをしない代わり」ではないことです。DXの推進にはBPR(業務の見直し)が欠かせませんが、日々の業務に追われる職員には、その時間を確保すること自体が難しいのが実情です。自治体DX推進計画でも、DX推進担当課室・情報政策担当課室の職員数が0人または1人の市区町村が189自治体(全体の11%)あると示されています。定型業務をBPOで外に出し、空いた時間をDXの企画や住民の相談対応に回す、という順番で組み合わせることで、両者は補い合う関係になります。
また、第5.0版では、市町村単位では一定の事務量が確保できないと委託料に見合う効果が得られないという課題に触れたうえで、中心となる市町村や都道府県が主導し、複数の自治体が同一の事務を共同でアウトソーシングする取組への期待が示されています。小規模な自治体ほど、単独ではなく広域での委託を検討する価値があります。
BPOと一般的な業務委託・アウトソーシング、BPRとの違い
「行政アウトソーシング」「公共BPO」といった言葉も使われますが、行政BPOは、業務の流れごと委託して設計や改善まで任せる点で、単発の作業を頼む従来の業務委託とは違います。また、BPR(業務の見直し)は業務の流れそのものを組み直す取り組みで、BPOの前段として行われることが多くなります。
| 観点 | 従来の部分的な業務委託 | 行政BPO | BPR(業務の見直し) |
|---|---|---|---|
| 委託・取組の単位 | 単発の作業や一部の工程 | 業務の流れ全体 | 業務の流れそのものを組み直す |
| 設計や改善 | 自治体が決めた手順どおりに実施 | 委託先が設計や改善まで担うことがある | 自治体が主体で、必要に応じて事業者が支援 |
| BPOとの関係 | 範囲が限られる | BPRとセットで進めることが多い | BPOの前段として行われることが多い |
BPOとよく並べて語られるBPaaS(業務プロセスをクラウドサービスとあわせて提供する形)との違いは、BPOとBPaaSの違いの解説で整理しています。
BPO活用のメリット(採用・教育コストの削減)
自治体がBPOを活用するメリットは、単なる人件費の比較だけではとらえきれません。特に効果が大きいのは、職員の採用や教育にかかる負担を軽くできる点です。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 採用・教育コストの削減 | 繁忙期だけの人員確保や、会計年度任用職員の募集・研修にかかる手間を減らせる。人事異動のたびに業務を引き継ぐ負担も軽くなる |
| 業務量の変動への対応 | 給付金や制度改正などで一時的に事務が急増しても、委託先の体制で吸収しやすい |
| 業務の標準化と見える化 | 委託のために業務手順を書き出す過程で、属人化していた作業やムダが見つかる |
| 職員の役割の転換 | 定型業務から離れた職員が、政策の企画立案や支援が必要な住民への相談対応に時間を使える |
| 民間のノウハウの活用 | コールセンター運営やデータ入力などで、民間が培った品質管理や効率化の手法を取り入れられる |
このうち「業務の標準化と見える化」は、DXの前提となるBPRそのものでもあります。委託をきっかけに業務の流れを整理しておくと、将来システムを入れ替えるときにも同じ資料を使えます。
一方で、どの業務を委託するかを決めるには、庁内で「どの課が、どの作業に、どれだけ時間を使っているか」を共有できていることが前提です。紙の回覧や個人のメールで情報がやり取りされている状態では、委託の検討材料が集まりません。まずは業務の件数と所要時間を書き出し、同じ形式で集めるところから始めると、BPOの検討も進めやすくなります。
民間企業の自治体BPO取り組み事例
自治体向けBPOを提供している民間企業の取り組みは、委託される業務の種類によっていくつかの型に分けられます。自治体側は自団体の課題に近い型を、事業者側は自社の強みが生かせる型を確認しておくと、検討や提案の方向性を定めやすくなります。
| 取り組みの型 | 委託される主な業務 | DXとの組み合わせ方 |
|---|---|---|
| 窓口業務の受託 | 住民異動届や証明書交付の受付・入力・交付の補助 | 書かない窓口のシステムと合わせて、受付から入力までの流れを設計する |
| コールセンター・問い合わせ窓口 | 制度の案内、手続の問い合わせ対応 | チャットボットやFAQと人の対応を組み合わせ、よくある質問を自動化する |
| 給付金・申請の事務局運営 | 申請書の受付、審査の補助、データ入力、発送 | オンライン申請と紙の申請の両方を受け付け、データ化してから職員の審査に回す |
| 庁内事務の集約処理 | 庶務、給与・旅費の計算補助、文書の電子化 | 複数の課に散らばる同じ種類の事務を集め、手順をそろえて処理する |
委託される業務は、窓口と住民に近い「フロントヤード」(窓口・コールセンターなど)と、窓口に関連する庁内の「バックヤード」(申請処理・入力・事務作業など)、そして給付金のように期間限定で事務が急増する臨時業務に大きく分けて考えると整理しやすくなります。総務省のモデルプロジェクトも、窓口業務と窓口に関連するバックヤード業務を対象にしています。民間企業の導入事例を公的資料とあわせて知りたい場合は、公的資料で学ぶBPO導入事例も参考になります。
大手BPO事業者の多くは、こうした業務を単独で請け負うだけでなく、業務の分析や手順の見直し(BPR)とセットで提案しています。自治体向けにサービスを提供する事業者にとっては、総務省の重点取組事項のどれに貢献できるのかを、提案の段階で明確に示すことが評価につながります。たとえば「フロントヤード改革の一環として窓口の受付補助を担う」「標準化後の業務手順に合わせて入力業務を受託する」といった形です。
また、前述の共同アウトソーシングのように、複数の自治体から同じ事務をまとめて受託する形は、事業者にとっても処理量が安定し、自治体にとっても単価を下げやすいという利点があります。
自治体DXとBPOで注意すべき点
行政の業務には、民間企業の外部委託とは異なる法的な制約があります。特に窓口業務については、総務省が「地方公共団体の窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン」を示しています。よくある失敗と見直した後の形を整理します。
| よくある失敗(Before) | 起きること | 見直した後(After) |
|---|---|---|
| 判断を伴う業務まで委託先に任せる | 処分などの公権力の行使にあたる判断を民間が行う形になり、委託の範囲を超えてしまう | 委託は受付や入力などの事実上の行為・補助的な業務にとどめ、最終的な判断と決定は職員が行う |
| 職員が委託先の担当者に直接指示を出す | 請負契約なのに実態が労働者派遣と同じになる、いわゆる偽装請負とみなされるおそれがある | 業務の手順を事前にマニュアルで定め、職員と委託先の作業場所や指示の経路を分けておく |
| 個人情報の取扱いを契約で決めていない | 住民の情報がどこで、誰に扱われているか分からなくなる | 安全管理措置、再委託の可否、事故時の報告を契約に明記し、定期的に確認する |
| 業務を丸ごと任せて中身を把握しなくなる | 職員にノウハウが残らず、委託先の変更や業務改善ができなくなる | 処理件数や品質を定期的に報告してもらい、業務手順書を自治体側でも保有する |
委託先の選定では、自治体の情報セキュリティポリシーに沿った管理ができるかも確認が必要です。総務省の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」では、外部委託にあたって委託先に求めるセキュリティ要件を契約に盛り込むことが示されています。事業者側も、これらのガイドラインに沿った体制を説明できるように準備しておくと、選定の場で信頼を得やすくなります。
委託先を選ぶときは、価格だけでなく次の観点を確認します。自治体業務の実績があるか、個人情報の管理体制と再委託の扱いが契約に明記できるか、処理件数や品質の定期報告が受けられるか、の3点です。業務を丸ごと任せて中身が見えなくなる状態を避けるために、報告と確認の経路を契約の段階で決めておくことが重要です。
自治体BPOの導入ステップ
自治体でBPOを導入する流れは、総務省の自治体DX全体手順書が示す「認識共有、方針決定、体制整備、実行」の考え方とも重なります。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 業務の棚卸し | 課ごとの業務と、それぞれにかかる時間・件数を書き出す | 庁内で共有できる形式で集めると、課をまたいだ比較がしやすい |
| 2. 委託範囲の決定 | 判断を伴う業務と補助的な業務を切り分け、委託できる範囲を決める | 窓口業務はガイドラインに沿って範囲を確認する |
| 3. デジタル化との組み合わせの検討 | システムやツールで減らせる作業と、人が担う作業を分ける | 委託した業務が紙のまま残らないよう、データでの受け渡しを前提にする |
| 4. 仕様書の作成と事業者の選定 | 業務量、品質基準、セキュリティ要件を仕様書にまとめ、事業者を選ぶ | 近隣自治体との共同委託も選択肢に入れる |
| 5. 運用と改善 | 定期報告を受け、処理件数や住民の待ち時間などを確認して改善する | 職員と委託先の情報共有の経路を決めておく |
ステップ1の業務の棚卸しは、BPRとして進めると効果的です。山口県宇部市(人口約15万人)では、令和5-6年度に窓口に関係する12課の手続きを洗い出すBPRを実施し、フロントヤードとバックヤードを包括的に見直したうえで、適切なツールやBPOの手法を検討したと、支援事業者の事例ページで紹介されています(出典: エスプールグローカル 山口県宇部市の事例)。調査シートの記入だけでなく、各課へのヒアリングと現場調査を行ったことで、内部処理に関わる課題が見えたとされています。
どのステップでも土台になるのが、委託先とのやり取りの記録です。業務の棚卸しの結果を課をまたいで集める、委託先からの報告を関係部署で共有する、といった場面で、情報がメールや紙に分散していると手間が大きくなります。次のチェックで、今の運用を確認してみてください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 総務省は自治体のBPOを推奨していますか?
A. 総務省は、地方行政サービス改革の一環として民間委託の推進を求めてきたほか、自治体DX推進計画の第5.0版では、複数の自治体が同一の事務を共同でアウトソーシングする取組への期待を示しています。DXによる業務の見直しとあわせて活用する位置づけです。
Q2. 自治体DX推進計画の重点取組事項は何ですか?
A. 第5.0版では、自治体フロントヤード改革の推進、情報システムの標準化、国・地方デジタル共通基盤の共通化等の推進、公金収納におけるeL-QRの活用、マイナンバーカードの取得支援・利用の推進、セキュリティ対策の徹底、AIの利用推進、テレワークの推進の8項目です。
Q3. BPOはDXの代わりになりますか?
A. 代わりにはなりません。BPOは業務の実行を外部に任せて人手不足を補う手段で、業務のあり方をデジタルで変えるDXとは役割が異なります。定型業務を委託して生まれた時間を、DXの企画や住民の相談対応に回す形で組み合わせるのが基本です。
Q4. 自治体の窓口業務はどこまで民間に委託できますか?
A. 受付や入力、交付の補助など、判断を伴わない事実上の行為や補助的な業務が委託の対象です。処分などの公権力の行使にあたる判断は職員が行います。具体的な範囲は、総務省の窓口業務の民間委託に関するガイドラインや関係通知で確認できます。
Q5. 小規模な自治体でもBPOは活用できますか?
A. 活用できます。単独では事務量が少なく委託料に見合わない場合でも、都道府県や近隣の市町村と共同で同じ事務を委託すれば、処理量を確保しやすくなります。まずは庁内の業務の件数と所要時間を書き出し、委託できる業務を洗い出すところから始めましょう。
Q6. 令和7年度のフロントヤード改革モデルプロジェクトの共同BPOモデルとは何ですか?
A. 総務省が、複数の自治体が同一の事務を共同でアウトソーシングするモデルを構築するために、2団体以上の提案を条件に委託先を募った事業です。1提案当たりの委託上限額は1億7千万円で、対象は住民基本台帳分野や税務分野をはじめとした窓口業務と、窓口業務に関連するバックヤード業務です。
まとめ:行政BPOを進めるための5つのこと
総務省の資料から見ると、行政BPOは自治体DXを置き換えるものではなく、人手不足の中でDXを進めるための補完手段です。次の5つの行動に沿って進めてください。
- 総務省の資料(推進計画・モデルプロジェクト・ガイドライン)で、BPOの位置づけを確認する
- 自団体の業務を棚卸しし、判断を伴う業務と補助的な業務に切り分ける
- 窓口業務はガイドラインに沿って委託範囲を決め、偽装請負と個人情報の管理に注意する
- 近隣自治体との共同委託や、国のモデルプロジェクトの活用も選択肢に入れる
- 委託後の報告・確認依頼をどこで回すかを決め、ビジネスチャットなどの資料を取り寄せて比較する
まずは自団体の業務のうち件数の多いものを書き出し、デジタル化で減らせる作業と委託できる作業を切り分けるところから始めてみてください。委託後の連絡とタスクの回し方を決める段階では、Chatworkのようなビジネスチャットの資料を取り寄せ、庁内の情報セキュリティポリシーと照らして確認するとよいでしょう。
参考文献
- 総務省「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画【第5.0版】」https://www.soumu.go.jp/main_content/001045879.pdf
- 総務省「自治体DXの推進」https://www.soumu.go.jp/denshijiti/index_00001.html
- 総務省「自治体DX全体手順書【第4.0版】」https://www.soumu.go.jp/main_content/000944054.pdf
- 総務省「地方公共団体の窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン」https://www.soumu.go.jp/main_content/000543101.pdf
- 総務省「地方公共団体の各種窓口における民間委託可能な範囲等の通知」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/koukyo_service_kaikaku/chiiki/gyoumukanren/madoguchi.html
- 総務省「地方行政サービス改革の取組状況についての調査(令和7年12月19日公表)」https://www.soumu.go.jp/iken/02gyosei07_00006.html
- 総務省「令和7年度自治体フロントヤード改革モデルプロジェクト」https://www.soumu.go.jp/iken/fymodelr7.html
- エスプールグローカル「山口県宇部市 フロントヤード改革モデル事業・BPR」https://glocal.spool.co.jp/case/%e5%b1%b1%e5%8f%a3%e7%9c%8c%e5%ae%87%e9%83%a8%e5%b8%82-%e3%83%95%e3%83%ad%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%a4%e3%83%bc%e3%83%89%e6%94%b9%e9%9d%a9%e3%83%a2%e3%83%87%e3%83%ab%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%83%bbbpr/
- Chatwork導入事例「株式会社モリチュウ」https://go.chatwork.com/ja/case/morichu.html