DX人材育成とは|進め方5ステップ・DSS-LとDSS-P・助成金・事例を解説

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  • DX人材育成の進め方を5ステップで整理できる
  • DSS-LとDSS-Pの違いと使い分けがわかる
  • 助成金・企業事例・効果の測り方がわかる

DX人材育成とは、デジタル技術とデータを使って業務や事業を変えていくために必要な知識・スキル・姿勢を、社員に計画的に身につけてもらう取り組みです。進め方の基本は、経済産業省とIPAが示す全社員向けの「DXリテラシー標準(DSS-L)」と推進人材向けの「DX推進スキル標準(DSS-P)」で誰に何を学んでもらうかを決め、学んだ内容を業務で試して振り返るサイクルを回すことです。IPAの「DX動向2025」では、DXを推進する人材が不足していると答えた日本企業が85.1%にのぼり、育成の仕組みづくりは多くの企業の課題になっています。本記事では、育成計画の5ステップ、学び方の選び方、2026年4月にver.2.0となったDSS-LとDSS-Pの使い方、企業規模別の進め方、助成金などの公的支援、企業の育成事例、効果の測り方を、公的資料と公式情報に沿って解説します。

自社のDX人材育成の進め方を2問で整理

Q1. いま優先して育てたいのは?

目次

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  1. DX人材育成を続ける仕組みのつくり方|学びと受講管理を先に整える
  2. DX人材育成とは|DSS-LとDSS-Pの二層構造
  3. DX人材育成の進め方5ステップ
  4. 全社員に必要なスキル|DSS-Lの4つの構成要素
  5. 推進人材の役割|DSS-Pの6つの人材類型
  6. 企業規模別のDX人材育成の進め方
  7. 課題別の打ち手|予算・時間・計画の3つの壁
  8. 企業のDX人材育成事例|育成の設計から学べること
  9. DX人材育成でよくある失敗パターン
  10. 育成効果の測り方|受講率・合格率・業務実践率
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ|DX人材育成で押さえたい5つのこと
  13. 参考文献

DX人材育成を続ける仕組みのつくり方|学びと受講管理を先に整える

DX人材育成を続けるには、研修を実施するだけでなく、誰がどこまで学んだかを追える仕組みを先に整えることが欠かせません。

DX人材育成は、一度の集合研修で終わるものではありません。全社員に共通のリテラシー(DSS-L)を身につけてもらい、そのうえで推進役となる人材に専門スキル(DSS-P)を積み上げていく、数か月から数年単位の取り組みです。そのため、育成の成否を左右するのは研修の中身だけでなく、学ぶ内容を教材として残せているか、学ぶ時間をつくれているか、受講状況と理解度を追えているかという運用面です。

この3つを支える手段の1つが、法人向けのeラーニングです。ここでは3つのサービスを、優劣ではなく役割の違いで並べます。なお、3サービスの商品ページには、DXスキルそのものを学ぶ専用教材の記載がありません。自社でつくった教材を載せる、テストで理解度を確かめる、基本ルールの研修を受講管理する、といった「学びの仕組み」の部分で使う想定です。DX関連の教材の有無は、資料で確認してください。

DX人材育成の「学びの仕組み」をつくる、3サービスの役割の違い

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:Smart Boarding。OJTや研修で教えてきた内容を、学習プログラムにして残せます

資料を無料ダウンロード

この状況に合う一例:SAKU-SAKU Testing。テストの作成・配信と、受講状況のリアルタイム集計に対応しています

資料を無料ダウンロード

この状況に合う一例:OneCompliance。情報セキュリティ、個人情報保護法、著作権などの学習コースと、受講状況の管理機能があります

資料を無料ダウンロード
サービス Smart Boarding SAKU-SAKU Testing OneCompliance(ワンコンプライアンス)
向いている会社 OJTや研修のやり方が人によってばらつき、教える内容を標準化したい会社 学んだ内容の理解度をテストで確かめ、受講状況や結果をデータで追いたい会社 データやAIを業務で使う前提として、情報セキュリティや個人情報の基本ルールを全社で揃えたい会社
特徴 社員研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで実施。LMS機能で受講者の進捗や理解度を確認でき、自社の資料や動画で研修コースを作成できる CBTの技術を活かしたテスト機能と、受講状況・結果のリアルタイム集計。パソコン・スマホ・タブレットで受講できる 法務・労務・情報領域のコンプライアンス研修に特化。法改正に合わせてコンテンツが更新され、ダッシュボードと自動リマインダーで受講を管理できる
DX教材について 商品ページにDXスキル専用教材の記載はなし。自社の教育内容を載せる使い方が中心(DX関連教材の有無は資料で確認) 商品ページにDXスキル専用教材の記載はなし(DX関連教材の有無は資料で確認) DXスキルそのものを学ぶ教材ではなく、データ・AIを使うときの基本ルールの学習に向く
注意したい点 自社独自の教育内容を学習プログラムにするのに一定の手間がかかり、担当者との打ち合わせが必要。手厚いサポートは「充実サポートプラン」のみ AIによるリモート監視などは有償オプション。日本国内仕様で、海外での利用はサポート対象外 料金は受講人数に応じて変わるため問い合わせが必要。デモや無料トライアルの詳細も問い合わせで確認
資料・詳細

3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)

まとめて資料をダウンロード

表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。確認日: 2026年10月15日

社内で教える内容が人によって違い、DX人材育成の教材として残っていない場合の一例がSmart Boardingです。社員研修・OJT・eラーニングを1つのシステムで進められ、OJTで教えていた内容を資料や動画の学習プログラムにして、いつでも何度でも学習と復習ができます。LMS機能で受講者の進捗や理解度を確認でき、テストの作成・配信、ユーザー別のリマインドも使えます。注意したいのは、自社独自の教育内容を学習プログラムにするのに一定の手間がかかり、担当者との打ち合わせが必要になる点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社FCE

Smart Boarding

Smart Boarding
出典:www.smartboarding.net

株式会社FCE

Smart Boarding

目指したい社員教育を実現!OJTや研修など社員教育に悩んでいる企業におすすめ

出典:Smart Boarding

LearnOとの比較はこちら

【2026年最新】LearnO vs Smart Boardingを徹底比較|どちらがあなたに合う?評判・機能・料金で検証!

今、eラーニングシステムを導入する企業が増えています。特に「LearnO」と「Smart Boarding」は2大人気サービスで、評価を見てもどちらが本当に自社に合うサービスなのか悩んでいる方も少なくありません。本記事では、徹底比較したビジコン編集部が目的別・使い方別に違いを明確に解説します。

GOOD

ここがおすすめ!

  • 内定者・新人教育からリーダー・管理職育成まであらゆるシーンで活用
  • 属人化を防いでいつでも何回でも学習できる環境を実現
  • 自社オリジナルコースの作成や学習進捗管理も行える
MORE

ここが少し気になる…

  • 電話やメール相談、教育プログラム設計といった手厚いサポートを受けられるのは「充実サポートプラン」のみ

「Smart Boarding」の管理画面で進捗率も分かると、意欲的に取り組んでいる人間が誰なのか、取り組んでいない人間は誰なのかも、見える化できる。

出典: Smart Boarding 導入事例(株式会社Road)

学んだ内容を理解できているかを確かめ、受講状況を追いたい場合の一例がSAKU-SAKU Testingです。ドリル、テスト、アンケートを組み合わせたコンテンツを配信でき、選択式、穴埋め、並び替え、記述などの問題形式に対応しています。受講状況や結果は組織やグループごとに把握でき、ダッシュボードで集計をグラフで確認できます。パソコン・スマホ・タブレットから受講でき、短時間のマイクロラーニングで続けやすいとされています。注意したいのは、AIによるリモート監視機能などが有償オプションである点と、日本国内仕様のため海外での利用はサポート対象外である点です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社イー・コミュニケーションズ

SAKU-SAKU Testing

SAKU-SAKU Testing
出典:www.e-coms.co.jp

株式会社イー・コミュニケーションズ

SAKU-SAKU Testing

初心者にも◎受講者の管理をスムーズに行いたい方におすすめ

GOOD

ここがおすすめ!

  • 不慣れな方でも作成・登録しやすいコンテンツ機能を多数搭載
  • あらゆる企業ですぐに役立つ実践的な内容のコンテンツを厳選して用意
  • ユーザー管理機能を備えているため、より細かな対象でカテゴリーやグループを紐づけられる
MORE

ここが少し気になる…

  • 事務局運営やカスタマーデスクを利用する場合はオプション扱いとなる

研修は受講することが目的ではなく、内容を理解し、業務で生かすことです。

出典: SAKU-SAKU Testing 導入事例(メディカル・データ・ビジョン株式会社)

DSS-Lが示す「How(データ・技術の利活用)」を実務で進めるには、個人情報や著作権、情報セキュリティの基本ルールを守ることが前提になります。全社員でその基本ルールを揃えたい場合の一例がOneComplianceです。コンプライアンス研修に特化したeラーニングで、情報セキュリティ、個人情報保護法、ハラスメント予防、AIに関する著作権などの学習コースがあり、法改正に合わせて内容が更新されます。ダッシュボードで受講状況を確認でき、自動リマインダーで受講を促せます。注意したいのは、掲載されているコースがコンプライアンス領域中心で、DXスキルそのものを学ぶ教材ではない点です。料金は受講人数によって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社Oyster

OneCompliance(ワンコンプライアンス)

OneCompliance(ワンコンプライアンス)
出典:onecompliance.jp

株式会社Oyster

OneCompliance(ワンコンプライアンス)

コンプライアンスに特化!上場準備中/IPO準備中、上場企業、大手グループ会社、監査法人、金融機関/フィンテック、中堅/中小企業の方に特におすすめ

GOOD

ここがおすすめ!

  • 上場準備中/IPO準備中の企業にも最適
  • ダッシュボードや自動リマインダーなど管理工数を最小化
  • 初期費用なし、受講人数に合わせた料金体系のためコストを最適化
MORE

ここが少し気になる…

  • 費用は人数に応じた課金体系のため、問い合わせで確認

営業担当者は全国を飛び回っており、一度に集合研修で実施するということも現実的ではなかったのでオンラインで学べる必要がありました。

出典: OneCompliance 導入事例(株式会社プリメディカ)

DX人材育成とは|DSS-LとDSS-Pの二層構造

DX人材育成とは、デジタル技術とデータを使って業務やビジネスモデルを変えていくために必要な知識・スキル・姿勢を、社員に計画的に身につけてもらう取り組みです。経済産業省とIPAのデジタルスキル標準では、これを「全社員向けのリテラシー」と「推進人材向けの専門スキル」の二層で整理しています。デジタルスキル標準は2026年4月16日にver.2.0が公開され、IPAのDSS-L・DSS-Pの概要ページも同日に更新されました。DXそのものの定義や業種別の始め方は、DXとは?経産省の定義とデジタル化との違い、業種別・規模別の始め方で整理しています。

項目DXリテラシー標準(DSS-L)DX推進スキル標準(DSS-P)
対象職種・役職を問わず全てのビジネスパーソンDXを推進する専門人材
ねらいDXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになる企業や組織のDXの推進に必要な役割を担い、成果を生み出す
中身Why(DXの背景)・What(DXで活用されるデータ・技術)・How(データ・技術の利活用)と、土台となるマインド・スタンスの4要素主な役割を区分した6つの類型と、類型ごとに求められるスキル
育成の手段(例)全社向けのeラーニング、ITパスポート試験の受験推奨専門研修、実プロジェクトへの参加、外部人材との協働

二層で考える理由は、どちらか一方だけでは変革が進まないからです。推進人材だけを育てても、現場の社員がデータ活用の意味を理解していなければ、新しい仕組みは使われずに終わります。逆に全社員のリテラシーだけを上げても、施策を設計し、関係者を巻き込んで推し進める人がいなければ、「知っているけれど何も変わらない」状態にとどまります。

進める順番としては、まずDSS-Lで全社の共通言語をつくり、その中から適性や意欲のある人をDSS-Pの類型に割り当てていく流れが一般的です。全社員が同じ用語で話せるようになると、推進人材が提案する施策への理解や協力が得やすくなります。

「DSS対応」の研修を選ぶときの見方

研修やeラーニングの案内に「DSS対応」と書かれている場合は、対応しているのがDSS-L(全社員向け)なのか、DSS-Pのどの類型向けなのかを確認します。全社員向けの基礎を揃えたいのに、特定の類型向けの専門研修を選ぶと、対象者と内容が合いません。経済産業省とIPAが運営するデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」では、デジタルリテラシー講座とデジタル実践講座を探せます。講座の内容や費用は講座ごとに異なるため、申し込む前に提供事業者の案内で確認してください。

DX人材育成の進め方5ステップ

DX人材育成は、目的を決めてから対象者を選び、学びの場を用意して、実務で試して振り返る5つのステップで進めます。育成計画は、立派な資料をつくることよりも、担当者が替わっても続けられる程度に具体的であることが大切です。

ステップやること成果物の例
1. 目的を決めるDXで何を変えたいのかを経営層と合意する変えたい業務・事業を書いた1枚のメモ
2. 必要な役割を洗い出す目的に必要なDSS-Pの類型と担当者(兼務・外部を含む)を決める類型ごとの兼務マップ
3. 現状を把握する社員のスキルをDSS-Lの4要素で簡易にチェックする部署別のスキル現状表
4. 学びの場を用意する全社向けと推進人材向けの教材・研修を選び、受講時間を確保する年間の受講スケジュール
5. 実践して振り返る学んだ内容を業務で試し、指標を見て次のサイクルを調整する半期ごとの振り返りレポート

とくに重要なのがステップ1です。「DX人材を育てる」こと自体を目的にすると、何を学べば十分なのかの基準がなくなり、研修の受講数だけが増えていきます。受注から請求までの紙の手続きをなくしたい、顧客データを営業に活かしたいなど、変えたいことを具体的に決めておけば、必要な類型とスキルが自然に絞り込まれます。

ステップ3の現状把握は、厳密な評価制度をつくる必要はありません。DSS-Lの4要素それぞれについて「説明できる」「業務で使ったことがある」「まだ分からない」の3段階で自己申告してもらうだけでも、部署ごとの差や優先して学ぶべきテーマが見えてきます。

外部採用より社内育成を軸にする理由

DX人材は採用市場でも取り合いになりやすく、外部から専門人材を迎えるだけでは計画どおりに体制が整わないことがあります。社内で育てる人材は、自社の業務の流れや顧客、社内の人間関係をすでに理解しているため、どの業務から変えるべきかを判断しやすく、関係部署の協力も得やすいのが強みです。育成した人材がつくった仕組みを自分たちで改善し続けられるため、外部任せにした場合に比べてノウハウが社内に残ります。採用や外部活用は、社内で育てにくい高度な専門性を補う手段として組み合わせると考えると、計画が立てやすくなります。育成と採用、外部活用の比べ方はDX人材とは|DSS-P ver.2.0の6類型・育成と外注の進め方で整理しています。

推進人材の育成対象者の選び方

DSS-Lは全社員が対象ですが、DSS-Pの類型に割り当てる推進人材は、ステップ2で洗い出した役割に合わせて選びます。IT部門の出身かどうかよりも、現場の業務課題を具体的に説明できるか、新しいやり方を試すことに前向きか、部署をまたいで人を巻き込めるかといった点を重視すると、研修後に実務で動ける人を選びやすくなります。手挙げ制で意欲のある社員を募り、上司の推薦と組み合わせる方法もあります。選んだ人には、育成期間中の業務量の調整と、育成後にどの役割を担うのかというキャリアの見通しを最初に伝えておくことが大切です。

学び方の型|OJT・Off-JT・自己啓発とeラーニングの組み合わせ

人材育成の方法は、一般にOJT(仕事を通じた指導)、Off-JT(仕事を離れて受ける研修)、自己啓発(労働者が主体的に学ぶこと)の3つに分けて整理されます。厚生労働省の「能力開発基本調査」も、この区分で企業と労働者の実態を調べています。令和7年度の結果(2026年7月31日公表)では、個人調査でOff-JTを受講した労働者は37.3%、自己啓発を行った労働者は35.5%でした。事業所調査では、正社員に計画的なOJTを行っている事業所が60.6%です。DX人材育成では、この3つを目的に合わせて組み合わせます。

学び方向いている目的運用で注意したい点
座学・Off-JT(外部研修、集合研修)用語や考え方の基礎を、まとめて同じ水準にそろえる日程調整の負担が大きく、受けただけで終わりやすい
eラーニング全社員のDSS-Lの基礎や基本ルールを、各自の都合で学んでもらう受講状況と理解度を追う仕組みがないと、受講が止まっても気づけない
OJT・実践プロジェクト学んだ内容を業務で試し、実行力に変える指導者によって教える内容がばらつく。教える内容を教材として残しておくと標準化しやすい
自己啓発支援(資格・外部講座)意欲のある社員が、自分のペースで専門性を高める会社として目標(推奨する資格など)を示さないと、取り組みに偏りが出る

IPAのディスカッション・ペーパー「DX動向2025 AI時代のデジタル人材育成」でも、スキルの習得には実践型の学習の拡充が求められるとされています(同ペーパーは執筆者の見解で、IPAの公式見解ではありません)。座学だけで終わらせず、次の小さな実践につなげる設計が重要です。

小さな実践プロジェクトで学びを定着させる

ステップ5の実践は、最初から全社規模のシステム刷新に挑むより、1つの部署の定型業務の自動化や、紙の申請のデジタル化など、数か月で結果が見える小さなテーマから始めるほうが進めやすくなります。短い期間で試して振り返り、改善して次に進むという進め方(アジャイルな進め方)を体験すると、研修で学んだ知識が実務の判断力に変わります。取り組みの経過や成果を社内報や共有会で公開しておくと、他部署の関心が高まり、次の育成対象者の候補も見つけやすくなります。

ステップ4で学びの場を用意するときは、社内で教えてきた内容を教材として残せるかどうかが分かれ目です。OJTで教えていた内容を資料や動画の学習プログラムにしておけば、担当者が替わっても、同じ内容を新しい受講者に届けられます。

社内で教えてきた内容を、学習プログラムにして残したい会社に

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全社員に必要なスキル|DSS-Lの4つの構成要素

DSS-Lは、「Why(DXの背景)」「What(DXで活用されるデータ・技術)」「How(データ・技術の利活用)」と、その土台となる「マインド・スタンス」の4つで構成されています。研修カリキュラムを組むときは、この4つが偏りなく含まれているかを確認すると、抜け漏れを防げます。

構成要素学ぶ内容研修での扱い方の例
Why(DXの背景)社会や顧客の価値観の変化、競争環境の変化など、DXが求められる理由自社の業界で起きている変化を題材に、なぜ変わる必要があるかを話し合う
What(データ・技術)DXで活用されるデータやデジタル技術の基礎知識「何ができて何ができないか」を理解する基礎講座をeラーニングで受講する
How(利活用)業務でデータやデジタル技術を使う方法自部署の業務を1つ選び、ツールを使って改善してみるミニ課題に取り組む
マインド・スタンス変化への適応、コラボレーション、顧客・ユーザーへの共感、常識にとらわれない発想、反復的なアプローチ、柔軟な意思決定、事実に基づく判断小さな改善を称える社内表彰や、失敗事例の共有会で文化として育てる

このうち、講義型の研修で身につけやすいのはWhatです。一方でマインド・スタンスは知識として教えるだけでは定着せず、職場で新しい試みが歓迎されるかどうかに大きく左右されます。研修担当者だけで抱え込まず、管理職が部下の小さな挑戦を後押しする役割を担えるよう、管理職向けの説明の場も設けておくと効果的です。

また、IPAはDSS-Lに求められる知識・スキルを習得するうえで、ITパスポート試験を「特に有用」、情報セキュリティマネジメント試験を「有用」と位置づけています。全社員に受験を推奨する、あるいは受験費用を会社が負担するといった形で、学習の目標を具体的にするのも1つの方法です。合格という目に見える区切りがあると、学習の動機づけにもつながります。

Howの学習では、データやAIを業務で使うときのルールも欠かせません。顧客情報の扱い、他人の著作物の利用、情報セキュリティの基本を全社員が理解していないと、便利なツールがかえってリスクになります。こうした基本ルールは、DXのスキル研修とは別に、全社員向けの定期的な研修として受講状況を管理しておくと安心です。

推進人材の役割|DSS-Pの6つの人材類型

DSS-Pは、DXの推進に必要な役割のうち主なものを6つの「類型」に区分して定義しています。2026年4月のver.2.0公開にあわせてIPAの概要ページも更新され、データの安全性・信頼性の確保と流通の仕組みを担う「データマネジメント」を含む6類型が示されています。育成の進め方の観点で、類型ごとの育て方の一例を並べます。

類型主な役割(IPAの定義から要約)育て方の一例(自社の状況に合わせて調整)
ビジネスアーキテクト変革で実現したい目的を定義し、ビジネスモデルと業務プロセスを設計して、関係者をコーディネートしながら成果を創出する業務を深く知る社員が、小さな改善テーマの責任者を経験しながら育つ
デザイナー顧客・ユーザー視点を含めて製品・サービスの方針や、コミュニケーションの設計を担う顧客に近い部門で、顧客の声を集めて改善案をつくる実践から始める
データサイエンティストデータを収集・解析し、AIシステムの仕組みの設計・実装・運用を担って、業務変革や新規ビジネスにつなげるデータ分析の基礎講座から始め、自部署のデータで小さな分析課題に取り組む。高度な分析は外部の力も検討する
データマネジメントデータの安全性・信頼性を確保し、継続的な流通の仕組みを設計・実装・運用して、データの利活用を促進する顧客データや販売データの管理担当者が、データの持ち方・守り方のルールづくりに関わりながら学ぶ
ソフトウェアエンジニアデジタル技術を活用した製品・サービスのためのシステムやソフトウェアを設計・実装・運用する社内のIT担当者が基礎を固め、開発は外部委託と組み合わせる
サイバーセキュリティ業務を支えるデジタル環境で、サイバーセキュリティリスクの影響を抑える対策を担うIT・総務の担当者が基礎研修や資格で学び、常時の監視は外部サービスも検討する

DSS-Pが強調しているのは、各類型がどちらかに指示・依頼する関係ではなく、場面ごとに協働して進めることです。大企業では類型ごとに専任者を置く場合もありますが、中小企業で6類型すべてに専任者を置くのは現実的ではありません。6類型それぞれの定義や、確保の方法の比べ方はDX人材とは|DSS-P ver.2.0の6類型・育成と外注の進め方でも整理しています。

中小企業は「兼務マップ」で考える

人数が限られる企業では、6類型を「人」ではなく「役割」として扱い、既存の社員に割り振る考え方が現実的です。たとえば、社長や事業責任者がビジネスアーキテクトを担い、情報システムを兼務する総務担当がデータマネジメントとサイバーセキュリティを受け持ち、ソフトウェアエンジニアやデータサイエンティストの役割は外部の開発会社や専門家に委ねる、という分担です。

このとき大切なのは、外部に委ねる役割についても、社内に「話が通じる人」を1人置いておくことです。外部の専門家に丸投げすると、提案の良し悪しを判断できず、費用や方向性をコントロールできなくなります。委託する類型ほど、担当者にDSS-Lより一段深い基礎知識を学んでもらう、という優先順位の付け方が有効です。

企業規模別のDX人材育成の進め方

同じデジタルスキル標準を土台にしても、使える予算・人員・時間は企業規模によって大きく異なります。自社に近い規模の進め方を出発点にし、無理のない計画を立てましょう。

規模主な進め方活用しやすい支援・手段
個人事業主・小規模事業者経営者自身が学び、業務で試しながら次のテーマを決めるマナビDX(経済産業省・IPA運営)、ITパスポート試験
中小企業全社員向けの外部研修でリテラシーを底上げし、推進担当者に専門研修を追加する人材開発支援助成金、eラーニング
中堅・大企業自社のDX人材像を定義し、社内の学習基盤で育成サイクルを回すDX認定制度、社内の学習管理システム

個人事業主・小規模事業者|経営者自身の学びから始める

従業員が少ない事業者では、外部研修に大きな費用をかけるよりも、経営者自身がまず学ぶほうが効果的です。マナビDXは、デジタルリテラシー講座とデジタル実践講座を検索できます。学んだことを翌週の業務で1つ試し、「何ができて、どこでつまずいたか」から次のテーマを決める、という小さなサイクルが続けやすい進め方です。

中小企業|外部研修と助成金でリテラシーを底上げする

中小企業では、全社員向けのDSS-L研修から着手し、並行して推進担当者(1名から数名)にDSS-Pに沿った研修を受けてもらう形が一般的です。費用面では、厚生労働省の人材開発支援助成金が検討対象になります(詳しくは次の「課題別の打ち手」で整理します)。

中小企業で見落とされやすいのが、研修後の受講管理です。外部研修を申し込んだだけでは、誰がどこまで学んだのか、理解度はどうだったのかが担当者の手元に残りません。表計算ソフトで受講状況を手作業で追う運用は、対象者が数十人を超えたあたりから回らなくなりがちです。受講の割り当て、未受講者へのリマインド、テスト結果の集計をまとめて行えるeラーニングを使うと、少人数の人事担当でも育成を仕組みとして回しやすくなります。

中堅・大企業|自社のDX人材像を定義し内製で回す

中堅・大企業では、外部研修だけでは規模にも継続性にも限界があります。デジタルスキル標準をそのまま使うのではなく、自社の事業戦略に合わせて必要な類型と人数、職位ごとの到達レベルを定義し直すのが第一歩です。経済産業省の「DX認定制度」は、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度で、IPAが事務局を務めています。経済産業省のページでは、認定事業者へのアンケートで人材の育成・確保にも良い効果があったと実感されていると紹介されています。認定取得を目標に据えると、育成計画が文書化され、担当者が替わっても引き継げる状態をつくりやすくなります。

課題別の打ち手|予算・時間・計画の3つの壁

DX人材育成が止まる理由は、おおむね「予算がない」「学ぶ時間がない」「何から手をつけるか決まっていない」の3つに集約されます。自社がどの壁に当たっているかによって、最初に打つべき手は変わります。

壁起きがちな状態最初の打ち手
予算の壁外部研修の見積もりを見て計画ごと先送りになる公的な講座と助成金を組み合わせ、有料研修は推進担当者に絞る
時間の壁繁忙期と重なり、研修日に参加者が集まらない1本数分の動画教材に切り替え、業務時間内に学ぶ時間枠を会社として確保する
計画の壁研修を単発で実施し、次に何をするかが決まらないDSS-LとDSS-Pの二層で対象者と到達目標を書き出し、年間計画に落とす

予算の壁|公的な支援を組み合わせる

予算の壁については、「全員に同じ有料研修を受けさせる」前提を外すことが近道です。DSS-Lの基礎部分は公的な講座や、受講者数に応じた料金体系のeラーニングでまかない、費用は推進担当者の専門研修に集中させます。使える公的な支援は、次のとおりです。

制度概要(公式ページの説明から要約)DX人材育成での使いどころの一例
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)雇用する被保険者に、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練などを実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成全社員向けのリテラシー研修や、職務に関連する専門研修を計画するとき
人材開発支援助成金(人への投資促進コース)デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に助成推進人材の育成など、デジタル人材の育成訓練を計画するとき
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識・技能を習得させる訓練を実施した場合に助成DXに伴う事業展開で、新たな分野の知識が必要になるとき
マナビDX経済産業省とIPAが運営するデジタル人材育成プラットフォーム。デジタルリテラシー講座とデジタル実践講座を探せる個人や小規模事業者の学び、全社員向け講座の選定

人材開発支援助成金は、コースごとに対象となる訓練や要件が異なり、計画の届出などの手続きも必要です。厚生労働省のページには、2026年4月・8月にもコースの改正が掲載されており、訓練経費が無料になるわけではない旨も注意書きされています。また経済産業省のDX認定制度のページでは、DX認定を受けた事業者は人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練の対象事業主の要件を満たす、とされています。助成の対象になるか、金額がいくらになるかは、必ず厚生労働省の最新の案内と管轄の労働局で確認し、必要に応じて社会保険労務士などの専門家に相談してください。

時間の壁|学習を業務時間内に組み込む

時間の壁については、学習を個人の努力に任せず、「毎週この時間は学習に充ててよい」と会社が明示することが大切です。業務時間外の学習を前提にすると、忙しい部署ほど取り残されます。1本が数分の短い教材なら、会議の合間やすき間時間でも取り組めるため、集合研修の日程を合わせにくい会社ほど効果が出やすくなります。

忙しい社員でも、短時間で学びを続けられる環境を整えたい会社に

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計画の壁|「誰に、何を、いつまでに」を先に決める

計画の壁は、3つの中で最も根本的です。予算や時間の問題に見えて、実は「誰に、何を、いつまでに」が決まっていないために優先順位が付けられず、結果として予算も時間も確保されない、というケースが少なくありません。前の「DX人材育成の進め方5ステップ」の表を使って、目的と対象者、年間の受講スケジュールを1枚にまとめるところから始めましょう。

企業のDX人材育成事例|育成の設計から学べること

他社がどのようにDX人材を育てているかは、自社の設計の参考になります。ここでは、企業が公式に発表している情報から、育成の設計がわかる2社を紹介します。いずれも規模の大きな企業の取り組みであり、そのまま真似るのではなく、設計の考え方を借りるのが現実的です。

キリンホールディングス|レベル別の「キリンDX道場」

キリンホールディングスは2021年7月、キリングループの従業員を対象にしたDX人材育成プログラム「キリンDX道場」を開校しました。同社のニュースリリースによると、目的は、デジタルスキルを主体的に学び、実際の事業活動での課題解決・価値創造に結び付けることです。コースは白帯(初級)・黒帯(中級)・師範(上級)の3段階で、当初は白帯と黒帯の2コースで開始しました。各コースでオンラインライブ講座を2-3講座受講したあと、認定試験に合格すると修了となります。初回の募集は150人でしたが、応募は750人を超え、想定の5倍以上になったと発表されています。

ダイキン工業|社内大学「ダイキン情報技術大学(DICT)」

ダイキン工業は2017年12月、社内大学「ダイキン情報技術大学(DICT)」を設立しました。同社の記事によると、背景には社内の情報技術者やデータサイエンス人材の不足と、外部からの採用の難しさがあり、社内でダイキンならではのデジタル人材を育成する方針が示されました。対象は既存社員と新入社員で、新入社員は毎年100名規模を受け入れています。カリキュラムは「AI活用人材」「AI技術開発人材」「システム開発人材」の3区分に分かれ、1人あたりの教育期間は2年間です。同社の記事では、2023年度末までに1,500名を育成する計画を達成したとされています。

2社の事例から借りられる設計の考え方

  • 段階を分けて設計している: キリンはレベル別の3コース、ダイキンは目的別の3区分に分け、対象者に合わせて学ぶ内容を変えています。DSS-LとDSS-Pの二層で考えるのと同じ発想です
  • 学んだことを確かめる区切りがある: キリンは認定試験、ダイキンは2年間の育成期間という区切りを設けています。受講しただけで終わらない仕組みとして、中小企業なら確認テストや小さな実践課題で代用できます
  • 育成の方針が経営から示されている: ダイキンの記事では、経営トップが社内で育成する方針を出したとされています。育成を担当者任せにしない点は、規模を問わず共通です

ほかの企業の取り組みは、IPAのデジタルスキル標準のページにある活用事例集・リンク集からも確認できます。

DX人材育成でよくある失敗パターン

DX人材育成の失敗は、研修の質よりも設計と運用の段階で起きることがほとんどです。代表的なパターンと回避策を整理します。

失敗パターン起きること回避策
研修を受けて終わり業務で使う機会がなく、数か月で知識が薄れる研修後に「自部署の業務で1回試す」課題をセットにする
推進人材だけを育てる推進担当者が孤立し、現場が協力しないDSS-Lの全社展開を先行させるか、並行して進める
受講管理が手作業誰が未受講か分からず、担当者の負担で運用が止まる受講割り当てとリマインドを自動化できる仕組みを使う
学んだ人が評価されない学ぶ動機が続かず、優秀な人ほど社外に目が向く資格取得や改善の成果を人事評価・役割の付与に反映する
汎用教材だけで進める自社の業務との結びつきが見えず、「自分には関係ない」と受け止められる自社の事例や業務手順を扱う教材を少しずつ追加する

中でも見落とされやすいのが「学んだ人が評価されない」パターンです。IPAのディスカッション・ペーパー「DX動向2025 AI時代のデジタル人材育成」では、企業と個人の関係を、スキルをもとに評価や役割を決める関係へ変えていくことが、個人の主体的なスキル習得を後押しするという見解が示されています(同ペーパーは執筆者の見解で、IPAの公式見解ではありません)。研修の予算を確保するのと同じくらい、学んだ成果を処遇や役割に結びつける仕組みを検討しておくことが重要です。

なお、eラーニングなどで受講履歴やテスト結果を管理する場合、これらは個人に関する情報として扱う必要があります。利用目的の周知や閲覧権限の設定、委託先の管理体制を事前に確認しておきましょう。研修を業務時間外に行う場合の労働時間の扱いも、労務担当と整理しておくと安心です。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の判断は社内の法務担当者や専門家に確認してください。

育成効果の測り方|受講率・合格率・業務実践率

DX人材育成の効果は、学んだか、理解したか、使ったか、成果が出たかの4段階に分けて、それぞれ別の指標で測ります。段階を分けることで、どこで止まっているのかが見えてきます。

段階指標の例低いときに疑うこと
学んだか受講率、修了率学習時間が確保されていない、教材が長すぎる
理解したか確認テストの正答率、資格試験の合格者数教材の難易度が対象者に合っていない
使ったか業務改善の実施件数、ツールの利用率実践の場や上司の後押しがない
成果が出たか作業時間の削減、手作業の廃止件数育成の目的と業務課題が結びついていない

よくあるのは、受講率は高いのに業務での実践がほとんど増えない状態です。この場合、研修内容を見直すよりも、実践の機会や上司の関わり方を変えるほうが効果的です。逆に受講率そのものが低い場合は、学習時間が確保されていないか、教材が業務の合間に取り組むには長すぎる可能性があります。

「学んだか」「理解したか」の2段階は、手作業で集計しようとすると最も手間がかかる部分です。受講状況やテスト結果が自動で記録され、部署別に確認できるeラーニングを使えば、担当者は集計ではなく、数字を見て次の打ち手を考えることに時間を使えます。自社の受講管理の状況を、次のセルフチェックで確認してみてください。

DX人材育成の受講管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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よくある質問(FAQ)

Q1. DX人材育成とは何ですか?

A. デジタル技術とデータを使って業務やビジネスモデルを変えるために必要な知識・スキル・姿勢を、社員に計画的に身につけてもらう取り組みです。経済産業省とIPAのデジタルスキル標準では、全社員向けのDSS-Lと推進人材向けのDSS-Pの二層で整理されています。

Q2. DX人材の育て方は?

A. DXで変えたいことを決め、必要な役割と対象者を洗い出し、社員の現状を把握したうえで学びの場を用意し、業務で試して振り返る5ステップで進めます。全社員にはDSS-Lのリテラシー、推進役にはDSS-Pに沿った専門スキルを、座学やeラーニング、小さな実践プロジェクトを組み合わせて学んでもらうのが基本です。

Q3. 人材育成の3つの方法とは?

A. 一般にOJT(仕事を通じた指導)、Off-JT(仕事を離れて受ける研修)、自己啓発(労働者が主体的に学ぶこと)の3つに整理されます。厚生労働省の能力開発基本調査も、この区分で実態を調べています。DX人材育成では、座学やeラーニングで基礎を学び、OJTや小さな実践で試し、資格や外部講座で専門性を高める、というように組み合わせます。

Q4. DSS-LとDSS-Pの違いは何ですか?

A. DSS-L(DXリテラシー標準)は全てのビジネスパーソンが身につけるべき知識・スキルの標準で、DSS-P(DX推進スキル標準)はDXを推進する専門人材の役割とスキルを6つの類型で定義した標準です。まずDSS-Lで全社の共通言語をつくり、その上にDSS-Pの人材を育てる流れが一般的です。

Q5. DX人材育成に使える公的な支援はありますか?

A. 厚生労働省の人材開発支援助成金(人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなど)や、経済産業省とIPAが運営する「マナビDX」があります。助成金はコースや要件、手続きが改正されることがあるため、計画段階で厚生労働省の最新の案内と管轄の労働局で確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

Q6. DX人材育成の効果はどう測ればよいですか?

A. 受講率・修了率(学んだか)、確認テストの正答率や資格の合格者数(理解したか)、業務改善の実施件数(使ったか)、作業時間の削減(成果が出たか)のように段階を分けて測ると、どこで止まっているかが分かりやすくなります。

まとめ|DX人材育成で押さえたい5つのこと

DX人材育成は、全社員向けのDSS-Lと推進人材向けのDSS-Pという二層で考えると、誰に何を学んでもらうかが整理しやすくなります。最後に、行動のポイントを整理します。

  1. DXで変えたい業務・事業を先に決め、育成そのものを目的にしない
  2. DSS-Lで全社の共通言語をつくり、その上にDSS-Pの役割を割り振る。中小企業は兼務マップで考える
  3. OJT・Off-JT・自己啓発を組み合わせ、学んだ内容を小さな実践で試して振り返る
  4. 人材開発支援助成金やマナビDXなどの公的な支援を、計画の段階で最新の案内から確認する
  5. 受講管理と理解度の測定を仕組みにするため、eラーニングを使うなら複数サービスの資料を取り寄せて、自社の進め方に合うかを比べる

まずは、DXで解決したい業務課題を1つ決め、その推進役となる社員の学習計画を書き出すところから始めてみてください。

参考文献

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