SaaS業界とは|職種と関わり方
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- SaaS業界の意味と市場構造4類型がわかる
- 代表職種3系統の役割がわかる
- 業界への4つの関わり方がわかる
SaaS業界への転職を考えたとき、どんな職種があるのか、業界にはどう関わればいいのか、具体的なイメージが持てないことがあります。立場ごとに関わり方が異なるため、自分に近いペルソナで捉えると理解が進みます。本記事では、SaaS業界の意味・略称・職種・関わり方を3層ペルソナで整理します。SaaS企業をビジネス・取引先として理解したい場合はSaaS企業とは|ビジネス構造と業界マップの記事、転職時の年収・求人動向を公的統計で詳しく知りたい場合はSaaS業界への転職ガイドの記事もあわせてご覧ください。
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SaaS業界とは
SaaS業界とは、「Software as a Service」の略であるSaaSを提供・活用する事業者の集合を指し、読み方は「サース」が一般的です。市場構造としては、メガベンダー(複数業務を統合提供)、ホリゾンタル(業界横断的な特定業務に特化)、バーティカル(特定業界の慣行に合わせた設計)、ニッチ(限定的な課題解決型)という4類型に分けられます。
SaaS業界の代表職種
プロダクト系、カスタマーサクセス、営業系統という3系統が、SaaS業界の代表的な職種です。プロダクト系はサービス自体の企画・開発を担い、カスタマーサクセスは導入後の利用継続を支え、営業系統は新規契約の獲得を担います。
| 職種系統 | 役割 |
|---|---|
| プロダクト系 | サービスの企画・開発 |
| カスタマーサクセス | 導入後の利用継続支援 |
| 営業系統 | 新規契約の獲得 |
SaaS業界への4つの関わり方
利用者として使う、発注者として導入する、転職者として働く、投資家として関わるという4つの視点が、SaaS業界への主な関わり方です。どの立場から関わるかによって、必要な知識や着目すべき情報が変わります。
初めてSaaS業界に触れる場合、いきなり複雑なバーティカルSaaSを理解するよりも、社内のスケジュール共有やファイル管理を担うグループウェアのような、業界横断的な(ホリゾンタル型の)身近なサービスから触れてみると、業界の構造をつかみやすくなります。
未経験からSaaS業界を目指す場合のステップ
未経験からSaaS業界へ転職する場合、いきなりプロダクト系のような専門性の高い職種を狙うより、カスタマーサクセスや営業系統といった、他業界での経験を活かしやすい職種から入るルートが現実的とされています。
カスタマーサクセスは、顧客と継続的にコミュニケーションを取りながら製品の活用を支援する職種で、接客業や営業職、コールセンターなどで培った対人スキルを評価されるケースが多く見られます。プロダクト自体の専門知識は入社後に習得することを前提としている企業も多いため、SaaS特有の知識よりも、顧客の課題を丁寧にヒアリングする姿勢や、粘り強く関係を築く力が重視される傾向があります。
営業系統についても、業界特有の専門知識より、法人営業の経験そのものを重視する企業が少なくありません。特にサブスクリプションモデルは、契約後も顧客との関係が継続する点が従来の売り切り型営業と異なるため、単発の契約を取ることよりも、長期的に顧客との信頼関係を築く姿勢が求められます。前職で培った営業経験を、SaaS特有の「契約後も関係が続く」という商習慣に合わせて言語化できると、選考でのアピールにつながりやすくなります。
一方、プロダクト系(企画・開発)の職種は、エンジニアリングスキルやプロダクトマネジメントの経験が求められることが多く、完全な未経験からの挑戦はハードルが高めです。まずはカスタマーサクセスや営業系統でSaaS業界の商習慣に慣れ、社内異動や転職を通じてプロダクト系へキャリアを広げていくという段階的なルートも、現実的な選択肢の一つとして知られています。
SaaS業界への理解でよくある失敗パターン3つ
職種の役割を混同する、SaaS業界とITサービス業界を同一視する、自分の関わり方(利用・発注・転職・投資)を明確にせず情報収集するという3つが、SaaS業界の理解でよく見られる失敗の典型です。
失敗パターン1:職種の役割を混同する。営業系統とカスタマーサクセスの役割を取り違え、求人選びで判断を誤るケースです。3系統の役割を正確に理解することが回避策になります。
失敗パターン2:SaaS業界とITサービス業界を同一視する。受託開発中心のIT業界とSaaS業界の違いを見落とし、期待する働き方とずれるケースです。両者の違いを理解することが回避策になります。
失敗パターン3:自分の関わり方を明確にせず情報収集する。利用者向けの情報と投資家向けの情報を混在させ、必要な知識が定まらないケースです。自分の立場(利用・発注・転職・投資)を先に明確にすることが回避策になります。
SaaS業界特有の働き方・評価制度の傾向
SaaS業界は、個人の成果を数値で追いやすいビジネス構造のため、成果指標に基づく評価制度やインセンティブ設計を取り入れている企業が多く見られます。転職先を検討する際は、こうした業界特有の働き方の傾向を理解しておくと、入社後のギャップを減らしやすくなります。
営業系統やカスタマーサクセスの職種では、新規契約数や契約更新率、解約率(チャーンレート)といった数値目標が個人やチーム単位で設定されることが一般的です。成果が数値として可視化されやすい分、評価の透明性が高い一方、短期的な数字を追う文化が強い企業では、プレッシャーを感じやすいという声もあります。転職先を選ぶ際は、目標設定の頻度や評価サイクル、達成できなかった場合のフォロー体制なども、面接や口コミサイトを通じて確認しておくとよいでしょう。
プロダクト系の職種では、アジャイル開発の手法を採用している企業が多く、短いサイクルで機能改善を繰り返しながら顧客のフィードバックを製品に反映していく働き方が一般的です。従来のウォーターフォール型の開発プロセスに慣れている場合は、意思決定のスピード感や、仕様変更が頻繁に発生する環境への適応が必要になることがあります。
また、SaaS企業は事業の成長速度が速い一方、組織体制や評価制度が事業拡大に追いついていないケースもあります。特にスタートアップ段階の企業では、入社時点の職務内容が事業フェーズの変化に伴って大きく変わることも珍しくないため、企業の成長段階(創業期・拡大期・安定期)を踏まえたうえで、自分がどのフェーズで働きたいかを整理しておくことも、転職先選びの重要な視点になります。
SaaS業界特有の指標・用語を理解する
SaaS業界では、売り切り型のビジネスとは異なる独自の経営指標が使われており、この指標を理解しているかどうかが、面接や日々の業務での理解度を左右します。職種を問わず、代表的な指標の意味を押さえておくと、求人票や企業説明資料の読み解きがスムーズになります。
まず基本となるのが、MRR(月次経常収益)とARR(年次経常収益)です。サブスクリプションモデルでは、一度きりの売上ではなく、毎月・毎年継続して発生する収益の積み上げを重視します。企業の成長性を見る際には、単月の契約件数だけでなく、MRR・ARRがどの程度のペースで積み上がっているかが評価の中心になります。転職先候補の企業を調べる際も、単発の受注実績よりも、こうした継続収益の成長ペースに関する情報を確認すると、事業の勢いをつかみやすくなります。
次に重要なのが、LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)の関係です。LTVは一人の顧客が契約を継続する間にもたらす累計収益、CACは一人の顧客を獲得するためにかかった費用を指します。一般的に、LTVがCACを上回る状態を維持できているかどうかが、事業の健全性を測る目安の一つとされています。営業やマーケティング職を志望する場合、この二つの指標がどのようなバランスで語られているかに注目すると、企業がどのフェーズにあるのかを推測する材料になります。
また、前述のチャーンレート(解約率)に加えて、NRR(ネット・リベニュー・リテンション)という指標も、SaaS業界では重視される傾向があります。NRRは既存顧客からの収益が、解約・ダウングレード・アップグレードを経て一定期間後にどれだけ変化したかを示す指標で、100%を超えていれば、既存顧客のアップセルやクロスセルが解約分を上回っていると解釈されます。カスタマーサクセス職を目指す場合は、この指標の改善が自分の業務にどう結びつくのかを理解しておくと、志望動機や面接での受け答えに具体性が生まれやすくなります。ただし、指標の目安は企業の事業フェーズや業界によって異なるため、特定の数値を一律の合格ラインとして捉えるのではなく、各企業がどのような文脈でその指標を語っているかを確認する姿勢が大切です。
発注者・投資家としてSaaS業界に関わる場合の視点
SaaS業界には、転職者や利用者だけでなく、自社の業務にSaaSを導入する発注者、あるいはSaaS企業への出資を検討する投資家という立場から関わる人もおり、それぞれ着目すべきポイントが異なります。
発注者としてSaaSを導入する場合、価格や機能の比較だけでなく、提供元の企業がどの類型(メガベンダー・ホリゾンタル・バーティカル・ニッチ)に属するかを踏まえて選定すると、自社の業務規模や業界特性に合ったサービスを見つけやすくなります。たとえば、業界横断的な業務に使うツールであればホリゾンタル型のサービスが選択肢になりやすく、特定業界特有の商習慣やルールへの対応が必要な業務であれば、バーティカル型のサービスの方が現場の実態に即した機能を備えていることがあります。導入前には、提供企業のサポート体制や、契約更新時の条件についても、公式サイトや商談を通じて事前に確認しておくと安心です。
一方、投資家としてSaaS企業に関わる場合は、前述のMRR・ARRの成長率や、LTVとCACのバランス、チャーンレート・NRRといった継続収益に関する指標が、事業の将来性を判断する材料の一つとして参照されることがあります。ただし、個別のSaaS企業への投資判断は、公開されている決算情報や有価証券報告書など、一次情報に基づいて行う必要があり、本記事の内容は特定の銘柄や企業への投資を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断は、必ず自己の責任において、専門家の助言も踏まえながら行うようにしてください。
このように、SaaS業界への関わり方が変わると、同じ業界の情報でも注目すべき切り口が大きく変わります。自分が今どの立場(利用者・発注者・転職者・投資家)でこの業界に関わろうとしているのかを最初に整理しておくことが、情報収集の効率を高める近道になります。加えて、複数の立場を兼ねる場合(たとえば発注者としてSaaSを選定しつつ、将来的に転職も検討しているような場合)は、それぞれの視点で得た情報を混同せず、目的ごとに整理してメモしておくと、後から振り返りやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. SaaS業界とは何ですか?
A. 「Software as a Service」の略であるSaaSを提供・活用する事業者の集合で、読み方は「サース」が一般的です。
Q2. SaaS業界の市場構造はどうなっていますか?
A. メガベンダー、ホリゾンタル、バーティカル、ニッチという4類型に分けられます。
Q3. SaaS営業の職務内容は何ですか?
A. 新規契約の獲得を主な役割とし、サブスクリプションモデルの特性を踏まえた提案が求められます。
Q4. SaaS業界とITサービス業界の違いは何ですか?
A. SaaS業界は自社サービスの提供・運用が中心である点が、受託開発中心のITサービス業界と異なります。
Q5. SaaS業界への関わり方にはどのようなものがありますか?
A. 利用者、発注者、転職者、投資家という4つの視点があります。
Q6. 初めてSaaS業界に触れるにはどうすればよいですか?
A. グループウェアのような業界横断的な身近なサービスから触れると、構造をつかみやすくなります。
まとめ|今日からできる3つのこと
- 職種の役割を正確に理解する:混同しません。
- SaaS業界とIT業界の違いを理解する:同一視しません。
- 自分の関わり方を先に明確にする:情報を混在させません。