SaaSってなに?わかりやすく|身近な例と、パッケージソフト・PaaS・IaaSとの違い

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  • SaaSの正体 | インストール不要でログインして使う、インターネット越しのソフトウェア
  • パッケージとの違い | 買い切りで入れるか、月額で借りて更新を任せるか
  • 最初の一歩 | 手間のかかる業務を1つ選ぶ。毎月発生する勤怠管理が入り口になりやすい

SaaS(サース)とは、インターネット越しに使うソフトウェアのことです。パソコンにインストールする代わりに、ブラウザやアプリからログインして使い、料金は月額や年額で支払うのが一般的です。毎日使っているGmailやZoom、会社の勤怠管理システムの多くも、実はSaaSにあたります。本記事では、SaaSの正体を身近な例で説明したうえで、買い切りのパッケージソフトとの違い、PaaS・IaaSとの違い、広まった理由、使うときの注意点、そして中小企業が最初の1つを選ぶ考え方までを、専門用語をなるべく使わずに順番に整理します。

最初のSaaSを、勤怠管理の例で2問診断

Q1. 勤怠の記録と集計は、いまどのように行っていますか?

目次

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  1. SaaSってなに?毎日の仕事で使うSaaSを、勤怠管理の例で見てみる
  2. SaaSとは|意味・読み方と、SaaSかどうかを見分ける3つの目印
  3. SaaSとパッケージソフトの違い|買い切りと月額、更新の手間、データの置き場所
  4. SaaSとPaaS・IaaSの違い
  5. SaaSが広まった4つの理由とメリット
  6. SaaSを使う前に知っておきたい注意点(セキュリティ・データ・サービス終了)
  7. SaaS導入でよくある誤解4つ
  8. 最初のSaaSの選び方|確認する4つのポイントと業種別の入り口
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|最初に取り組む3つのこと
  11. 参考文献

SaaSってなに?毎日の仕事で使うSaaSを、勤怠管理の例で見てみる

SaaSとは、インターネット上にあるソフトウェアに、ログインして使う仕組みのことです。仕事で一番イメージしやすい例が、出退勤を記録して労働時間を集計する勤怠管理システムです。

従業員が出勤・退勤をスマホやパソコンで打刻すると、その記録がインターネットの向こう側のサーバーに保存され、月末には労働時間や残業時間が自動で集計されます。自社にサーバーを置く必要も、ソフトをインストールする必要もなく、ログインすれば管理者も従業員も同じデータを見られます。これがSaaSの仕組みそのものです。労働時間の把握は法令上も欠かせない業務で、厚生労働省は、使用者には労働時間を適切に管理する責務があるとして、そのための具体的な措置をガイドラインで示しています。

次の表は、特徴の異なる2つの勤怠管理SaaSを、各サービスの商品ページで確認した事実(2026年10月15日確認)で整理したものです。優劣ではなく、役割の違いで並べています。

勤怠の手作業を減らす、2つの勤怠管理SaaS

自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:ジンジャー勤怠。電話・チャット・メールでの初期設定サポートが用意され、1か月間の無料トライアルもあります

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この状況に合う一例:カオナビ勤怠。CSV連携またはAPI連携に対応し、給与計算など他のシステムとデータをつなげられます

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サービス ジンジャー勤怠 カオナビ勤怠
向いている会社 外出や在宅が多い、外国人従業員がいるなど、打刻の方法や表示言語を選びたい会社 自社の就業規則に合わせて労働条件を細かく設定し、他のシステムともデータをつなぎたい会社
特徴 PC・スマホ・タブレット・交通系ICカード・Chatwork・Slackなどで打刻でき、100種以上の集計項目から自動集計。承認ルートは10段階まで設定できる 打刻漏れ・残業超過・休日出勤の未届け・承認待ちをアラートで通知。工数管理やシフト管理があり、勤怠データは5年間自動保存される
注意したい点 セキュリティ機能やサポートプランの一部は別途オプション料金。口コミにはアプリの動作や管理者画面の見やすさへの指摘がある タブレット端末では一部のタッチ操作に非対応で、スマホアプリの動作保証はサポート対象外。推奨OS・ブラウザの確認が必要
資料・詳細

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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

紙や表計算ソフトでの勤怠集計に手間がかかり、外出や在宅など打刻する場所が分かれている場合の一例が、jinjer株式会社が提供する「ジンジャー勤怠」です。PC・スマートフォン・タブレットのほか、交通系ICカードやChatwork・Slackでも打刻でき、100種以上の集計項目から労働時間を自動で集計できます。導入時には電話・チャット・メールでの初期設定サポートが用意されており、利用できる内容はサポートプランによって異なります。注意点として、セキュリティ機能やサポートプランの一部は別途オプション料金がかかり、口コミにはアプリの動作や管理者画面の見やすさへの指摘もあります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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GOOD

おすすめ!

  • 初期設定から定着まで電話・チャット・WEBなどでサポート
  • 24時間365日お問い合わせ可能
  • スマホアプリ対応で場所を問わず簡単に打刻ができる
  • 月末の締め日に見直すだけで簡単に勤怠管理ができる
  • 個人だけでなくチーム全体の勤怠管理ができる
MORE

気になる…

  • スマホアプリだと申請や修正画面がわかりにくい
評価・口コミ(一部抜粋)
4.4
  • ⚫︎自社ではエクセル管理からデジタルアプリへの移行だったため出退勤管理の手間や集計ミスの軽減につながり大幅な効率アップができた。 ⚫︎スマホ連携ができることで、営業の直行時や在宅勤務時もリアルタイムで打刻ができるようになった。(後修正の手間が省けた)

  • 出勤、退勤時にボタンを押して完結することだけでなく、ボタンを押し忘れても簡単に出退勤の入力ができます。振休や有給消化の申請に関してもシンプルでわかりやすいです。通常パソコンから申請をしていますが、アプリも使いやすいです。

  • 別のアプリでは、紙で申請するものもあったが、ジンジャーは申請の種類が多く、打刻関連だけでなく、休暇申請や交通費の申請まで、いろいろな申請ができ、社外でも好きなときに申請ができて、とてもよかった。

他システムとの比較記事はこちら


freee勤怠管理Plusと比較する!

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ジョブカン勤怠管理と比較する!

導入事例の要約です。社会福祉法人三重ベタニヤでは、200名を超える職員の勤怠をタイムカードと表計算ソフトで管理しており、タイムカードの回収から給与計算まで、毎月2営業日以上かかっていました。ジンジャーの導入後は、打刻情報がそのままデータ化され、給与計算システムにワンクリックでデータ連携できるようになったと紹介されています(出典: ジンジャーの導入事例ページ)。

SaaSとは|意味・読み方と、SaaSかどうかを見分ける3つの目印

SaaSとは「Software as a Service」の略で、ソフトウェアを自分で持たず、サービスとしてインターネット越しに使う形のことです。日本語では「サービスとしてのソフトウェア」と訳され、読み方は「サース」が一般的で、「サーズ」と読まれることもあります。

クラウドの定義として広く参照されている米国国立標準技術研究所(NIST)の文書SP 800-145では、SaaSを「利用者が、クラウドの基盤上で動いている提供者のアプリケーションを使える形態」と説明しています。利用者はブラウザなどからアプリケーションを使うだけで、その裏側にあるサーバーやネットワーク、OSなどを自分で管理する必要はありません。

かみくだいて言えば、SaaSは「ソフトを買って自分のパソコンに入れる」のではなく、「ソフトが置いてある場所にインターネットで通って使わせてもらう」形です。DVDを買い集めて自分のプレーヤーで見るのが従来の買い切りのソフトだとすれば、動画配信サービスに月額で登録して好きなときに見るのがSaaSのイメージに近いでしょう。

身近なSaaSの例

「SaaSってなに」と聞かれてピンとこなくても、実はすでに使っている人がほとんどです。代表的な例を用途別に並べると次のとおりです。

用途身近な例SaaSだとわかるポイント
メール Gmail、Outlook.com パソコンでもスマホでも、ログインすれば同じ受信箱が見られる
Web会議 Zoom、Microsoft Teams、Google Meet URLを開くだけで参加でき、機能は提供側で自動的に更新される
文書作成・表計算 Googleドキュメント、Microsoft 365 複数人が同じファイルを同時に編集できる
チャット Slack、Chatwork メッセージは提供者のサーバーに保存され、端末を替えても履歴が残る
ファイル保管 Dropbox、Googleドライブ 容量に応じた月額・年額プランで使う
営業・顧客管理 SFA・CRMなどのクラウドサービス 担当者どうしで顧客の情報を同じ画面で共有できる
業務管理 勤怠管理、会計、経費精算のクラウドサービス 法改正や税率変更への対応も、提供者側のアップデートで反映されることが多い

なお、SaaSは使われる範囲によって、メールや会計のように業種を問わず使われる「業種共通型」と、建設の工程管理や小売のPOSレジのように特定の業界向けの「業界特化型」に分けて説明されることがあります。この分類や業界の全体像はSaaS業界とはで詳しく整理しています。

SaaSかどうかを見分ける3つの目印

目の前のサービスがSaaSかどうか迷ったら、次の3つを確認すると判断しやすくなります。1つ目は「インストールせずに、ブラウザやアプリからログインして使うか」。2つ目は「料金が買い切りではなく、月額・年額などの継続課金か(無料プランを含む)」。3つ目は「機能の追加や修正が、利用者の作業なしに自動で反映されるか」。3つとも当てはまれば、ほぼSaaSと考えてよいでしょう。なお、スマホアプリのように端末にアプリを入れるものでも、データや処理の中心がインターネットの向こう側にあるサービスはSaaSに含まれます。

ASPとの違い

2000年前後には、インターネット経由でソフトを貸し出すサービスが「ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)」と呼ばれていました。仕組みとしてはSaaSとよく似ていますが、当時のASPは利用企業ごとに個別の環境を用意する形が多かったのに対し、現在のSaaSは1つの仕組みを多くの利用者で共有する形(マルチテナント)が主流で、その分だけ低い料金や素早いアップデートを実現しやすくなっています。実務上はほぼ同じ意味で使われる場面もあるため、「ASPと書かれていたらSaaSとほぼ同じもの」と受け止めて問題ありません。読み方の由来や略称について詳しく知りたい場合はSaaSの読み方「サーズ」とはも参考にしてください。

SaaSとパッケージソフトの違い|買い切りと月額、更新の手間、データの置き場所

SaaSとパッケージソフトの違いは、ソフトを買って自社の端末に入れるか、インターネット越しに借りて使うかです。料金も、買い切りと月額・年額で分かれます。

パッケージソフトとは、CD-ROMやダウンロードで入手したソフトを、自社のパソコンやサーバーにインストールして使う形のソフトです。かつての業務ソフトの多くはこの形で、購入するときにライセンス料を払い、新しい版が出たら買い替えるか、更新作業を自分で行うのが一般的でした。SaaSは、この「入手・更新・保管」を提供者の側に移した形と考えるとわかりやすくなります。違いを項目ごとに整理すると次のとおりです。あくまで一般的な傾向であり、実際の料金体系や機能は製品ごとに異なります。

項目パッケージソフトSaaS
入手と導入 購入して、自社のパソコンやサーバーにインストールする 契約して、ブラウザやアプリからログインして使う
料金の払い方 ライセンスを購入する買い切りが中心。保守や更新は別料金になることがある 月額・年額などの継続課金が中心。無料プランがあるサービスもある
更新・法改正への対応 新しい版の購入や、更新作業が必要になることがある 提供者が更新する。利用者の作業は原則不要
データの置き場所 自社の端末やサーバー 提供者のサーバー(インターネット越し)
使える場所 インストールした端末や社内ネットワークが中心 インターネットにつながれば、場所や端末を選ばない
カスタマイズ 自社向けに作り込みやすい製品もある 設定で変えられる範囲に限られる
運用・保守 自社でバックアップや障害対応を行う 提供者がサーバーの運用を担う。アカウント管理は利用者の役割
向いている場面 独自の業務ルールに合わせたいとき、社外にデータを出せないとき 標準的な業務を早く始めたいとき、専任のIT担当者がいないとき

ただし、境目は1つに決められません。パッケージソフトにも月額課金で提供される製品があり、SaaSにも設定で業務に合わせられる範囲の広いものがあります。どちらが優れているかではなく、自社の業務に合う形を選ぶことが大切です。

どちらを選ぶかの判断の目安

迷ったときは、次の4つの目安で自社の状況を見てみてください。

  • 会計・勤怠・メール・Web会議のように、多くの会社で業務のやり方が共通している業務は、SaaSで早く始めやすい
  • 専任のIT担当者がいない、またはサーバーの保守に人手を割けない場合は、運用を提供者に任せられるSaaSが向いている
  • 外出先や自宅、複数の拠点から同じデータを使いたい場合は、インターネットで使えるSaaSが向いている
  • 自社独自の業務ルールに合わせて作り込みたい場合や、社内規程でデータを社外のサーバーに置けない場合は、パッケージソフトや個別開発も選択肢になる

勤怠管理を例に考えてみましょう。紙のタイムカードや表計算ソフトで集計している会社や、パソコンに入れた勤怠ソフトで管理している会社が、勤怠管理のSaaSに切り替えると、打刻データの集計や、更新・法改正への対応を提供者の側に任せやすくなります。ただし、対応の範囲はサービスごとに異なるため、導入前に確認が必要です。この作業を毎回手でやっているなら、減らせる部分があるかもしれません。次のチェックで、いまの勤怠業務の状況を確かめてみてください。

勤怠集計のやり方、今のままで大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

SaaSとPaaS・IaaSの違い

SaaS・PaaS・IaaSの違いは、提供者がどこまで用意してくれるかです。SaaSは完成したアプリケーション、PaaSはアプリを作って動かすための土台、IaaSはサーバーなどの基盤を借りる形です。

SaaSを調べると、PaaS(パース)とIaaS(イアース、アイアース)という言葉が一緒に出てくることがよくあります。3つとも「インターネット越しに借りて使う」クラウドサービスの種類で、NISTの定義でも、この3つがクラウドのサービスモデルとして整理されています。

料理にたとえると、IaaSは「キッチンと設備だけを借りる」、PaaSは「キッチンに加えて調理器具と調味料までそろった場所を借りる」、SaaSは「完成した料理をお店で食べる」に近いイメージです。自分で手を動かす範囲が広いほど自由度は上がりますが、その分だけ専門知識と手間が必要になります。

項目SaaSPaaSIaaS
借りるもの 完成したアプリケーション アプリを作って動かすための土台 サーバー・ストレージ・ネットワーク
主な利用者 一般の社員・業務担当者 アプリ開発者 インフラ担当のエンジニア
利用者が管理する範囲 アカウント・データ・設定 開発したアプリとデータ OS・ミドルウェア・アプリ・データ
必要な専門知識 ほぼ不要 プログラミングの知識 サーバー構築・運用の知識
身近な例 Gmail、Zoom、勤怠管理システム Google App Engine、Google Cloud Run Amazon EC2、Google Compute Engine

中小企業の業務担当者が日常的に意識する必要があるのは、ほとんどの場合SaaSだけです。自社専用のシステムを開発する、あるいはWebサービスを自社で運営するといった場面になって初めて、PaaSやIaaSを検討することになります。3つの違いと、それぞれでセキュリティの責任がどう分かれるかをもう少し詳しく知りたい場合はSaaS・PaaS・IaaSの違いと責任分界で、クラウドという言葉との関係はSaaSとクラウドの違いで整理しています。

SaaSが広まった4つの理由とメリット

SaaSが広まった理由は、始める費用の小ささ、導入の早さ、場所を選ばない使い方、運用やアップデートを任せられることの4つです。

総務省の令和7年版情報通信白書によると、全社で利用している企業と一部の事業所・部門で利用している企業を合わせて、2024年は80.6%の企業がクラウドサービスを利用しています。利用が多いのは「ファイル保管・データ共有」「社内情報共有・ポータル」「電子メール」「給与、財務会計、人事」「スケジュール共有」などの用途で、SaaSとして提供されるサービスが多い分野です。ひと昔前まで、業務ソフトといえば自社のサーバーやパソコンにインストールして使う「オンプレミス型」やパッケージソフトが当たり前でしたが、今ではSaaSが主流になりつつあります。

理由1:始めるときの費用が小さい

自社でシステムを持つ場合、サーバーの購入、ソフトのライセンス、設定作業など、使い始める前にまとまった費用がかかります。SaaSは月額・年額の利用料で使えるため、初期の出費を抑えて始められます。利用人数に応じて料金が決まるサービスも多く、10人の会社は10人分、50人になれば50人分と、会社の成長に合わせて段階的に広げられる点も中小企業に向いています。無料プランや無料お試し期間があるサービスも多く、「合わなければやめる」判断がしやすいのも特徴です。

理由2:契約してすぐ使い始められる

パッケージソフトやサーバーを自社で用意する場合は、機器の手配や環境の構築から始めるため、使い始めるまでに時間がかかります。SaaSは、アカウントを作ってログインすれば使い始められるため、導入までの期間が短く済みます。無料のお試し期間があるサービスなら、実際の画面で使い勝手を確かめてから契約を決められます。ただし、社内にある既存データの移行や、従業員への使い方の周知には別途時間が必要です。

理由3:いつでも、どこからでも使える

SaaSはインターネットにつながる環境があれば、オフィスのパソコンでも、自宅のノートパソコンでも、外出先のスマホでも同じデータにアクセスできます。テレワークや直行直帰、複数拠点での勤務が増えたことで、この「場所を選ばない」性質が大きな価値を持つようになりました。勤怠管理を例にとれば、現場への直行時にスマホで打刻し、管理者は本社でその記録をすぐ確認できる、といった使い方が可能になります。

理由4:運用やアップデートを任せられる

自社でシステムを持つと、サーバーの故障対応、セキュリティ修正の適用、バージョンアップの作業などを誰かが担当しなければなりません。専任のIT担当者がいない中小企業では、これが大きな負担になりがちです。SaaSでは、こうした作業の多くを提供者が行います。法改正に合わせた計算ルールの変更や新機能の追加も、利用者が何もしなくても反映されることが多く、「気づいたら使いやすくなっている」という体験は、SaaSならではのものです。

実際に、先ほどの社会福祉法人三重ベタニヤは、以前はオンプレミスのシステムを使っていましたが、事業を安定的に運営するにはバージョンアップや法改正への対応がスムーズなクラウドのシステムが良いと考え、ジンジャーを選んだと紹介されています(出典: ジンジャーの導入事例ページ)。勤怠管理のように法改正のたびに集計ルールの見直しが必要になる業務では、更新を提供者に任せられる点が、運用の負担を下げます。ジンジャー勤怠は、2週間に1度のシステムアップデートを行い、法改正の際も自動でシステムを改修すると、商品ページで紹介されています。

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SaaSを使う前に知っておきたい注意点(セキュリティ・データ・サービス終了)

SaaSを使うときの注意点は、セキュリティの役割分担、データの保存場所と取り出し方、サービス終了や障害への備え、カスタマイズの限界の4つです。便利なSaaSですが、自社のデータを外部の事業者に預ける仕組みである以上、パッケージソフトとは違う注意点があります。「提供者に全部任せておけば安心」と考えず、利用者側で押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。

セキュリティは「提供者」と「利用者」の分担

SaaSのセキュリティは、提供者と利用者で役割が分かれるのが一般的です。データセンターの物理的な保護やソフトウェアの弱点の修正は提供者の役割とされることが多い一方、誰にどの画面を見せるかという権限設定、退職者のアカウント削除、パスワードの管理などは利用者側の役割です。パスワードの使い回しを避け、多くのサービスで用意されている二段階認証(多要素認証)を有効にするだけでも、不正ログインのリスクを下げられます。総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」には、クラウドサービスの仕組みや、クラウドに預けていた重要データが消えた事例などが解説されています。

データの保存場所と取り出し方を確認する

SaaSに入力したデータは提供者のサーバーに保存されます。契約前に、データがどの国・地域で保管されるのか、バックアップはどうなっているのか、解約するときにデータをCSVなどの形式で取り出せるのかを確認しておきましょう。特に解約時のデータの扱いは見落とされやすく、別のサービスに乗り換えたくなったときに過去の記録を持ち出せない、という事態は避けたいところです。1つの提供者のサービスに依存して乗り換えにくくなる状態は「ベンダーロックイン」と呼ばれ、データを取り出せる形式があるかどうかが、その大きな分かれ目になります。

信頼できる提供者かを見るための手がかり

提供者のセキュリティ水準を利用者が自分で細かく確かめるのは簡単ではありません。一つの手がかりになるのが、第三者による評価の有無です。たとえば日本政府は、政府機関が利用するクラウドサービスを評価・登録する制度として「ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)」を運用しており、登録されたサービスはISMAPポータルで公開されています。民間企業が使うSaaSを選ぶ際にも、こうした公的な評価や情報セキュリティの認証を取得しているかは、比較の材料の一つになります。利用者側の責任範囲をより詳しく知りたい場合はSaaSのセキュリティ|利用者の責任範囲もあわせて確認してください。

サービス終了や障害への備え

SaaSは提供者の事業判断でサービスが終了したり、料金や機能が変わったりすることがあります。また、提供者側で障害が起きたりメンテナンスが行われたりすると、その間は利用できません。業務に欠かせないデータは定期的に手元にも書き出しておく、障害時に紙やExcelで一時的に記録する手順を決めておくなど、止まったときにどうするかを事前に考えておくと安心です。

自社専用のカスタマイズには限界がある

SaaSは1つの仕組みを多くの利用者で共有するため、画面や機能を自社の業務に合わせて自由に作り変えることは基本的にできません。設定で変えられる範囲は用意されていますが、独自の帳票や社内ルールに完全に合わせたい場合は、SaaSに業務のやり方を寄せるか、別の方法を検討することになります。導入前に無料お試しなどで実際の画面を触り、「設定で対応できること」と「対応できないこと」を洗い出しておくと、導入後のギャップを減らせます。勤怠管理のように就業規則が会社ごとに違う業務では、設定でどこまで対応できるかが、サービス選びの分かれ目になります。

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SaaS導入でよくある誤解4つ

SaaSという言葉を知ったばかりの段階では、イメージだけが先行して誤解が生まれやすくなります。導入してから「思っていたのと違う」とならないよう、よくある誤解と実際のところを整理しておきましょう。

よくある誤解(Before)実際のところ(After)
1. SaaSは大企業やIT企業が使うもの 少人数から使える料金設定のサービスが多く、専任のIT担当者がいない中小企業ほど運用を任せられる利点が大きい
2. 月額料金がかかるので結局高くつく サーバー代や保守作業、バージョンアップの費用が利用料に含まれていることが多い。比較するときは利用料だけでなく、自社で運用した場合の手間や人件費も含めて考える
3. 提供者に預ければセキュリティは完全に任せられる アカウント管理や権限設定、パスワードの管理は利用者側の役割。二段階認証の設定や退職者アカウントの削除は自社で行う必要がある
4. 導入すればすぐに業務が楽になる 初期設定や社内ルールの見直し、従業員への使い方の周知が必要。最初は1つの業務に絞り、定着してから範囲を広げる方が失敗しにくい

4つの誤解に共通しているのは、「SaaSを入れること」自体が目的になってしまっている点です。SaaSはあくまで道具であり、どの業務のどんな手間を減らしたいのかを先に決めておくと、選ぶサービスも使い方もぶれにくくなります。複数のSaaSを部署ごとにばらばらに契約すると、誰が何を使っているのか把握できなくなる問題も起きやすいため、社内で使っているSaaSの一覧を作っておく習慣もおすすめです。SaaSの選び方や導入コストの考え方をさらに詳しく知りたい場合はSaaSとは|意味・読み方・選び方で解説しています。

最初のSaaSの選び方|確認する4つのポイントと業種別の入り口

最初のSaaSは、手間のかかっている業務を1つ選び、機能・料金・サポート・セキュリティの4点を比べて決めます。業種を問わず毎月発生する勤怠管理は、入り口になりやすい分野です。

まず「どの業務から始めるか」を決める

SaaSを選ぶときは、サービスを探す前に、どの業務の手間を減らしたいのかを決めておきます。最初の1つに向いているのは、次の3つが当てはまる業務です。1つ目は、従業員の多くが使うこと。2つ目は、毎月必ず発生すること。3つ目は、給与計算や会計など後工程の正確さにつながることです。勤怠管理は3つとも当てはまり、効果を実感しやすいため、中小企業の最初のSaaSとして選ばれやすい分野です。

SaaSを選ぶときに確認したい4つのポイント

ここまでの注意点を踏まえると、SaaSを選ぶときは次の4つを比べると判断しやすくなります。1つ目は「機能」で、解決したい業務に必要な機能がそろっているか、不要な機能で料金が高くなっていないか。2つ目は「料金」で、月額料金だけでなく初期費用や利用人数が増えたときの金額も含めて考えること。3つ目は「サポート」で、電話やチャットで問い合わせできるか、初期設定を手伝ってもらえるか。4つ目は「セキュリティ」で、前述の二段階認証や第三者認証の有無、データの保管場所を確認することです。専任のIT担当者がいない会社ほど、機能の多さよりもサポートの手厚さや使いやすさを重視すると定着しやすくなります。

業種別に見るSaaS活用の入り口

「SaaSが便利なのはわかったけれど、結局うちは何から使えばいいのか」。これは、SaaSを知ったばかりの中小企業の担当者から最もよく聞かれる疑問です。業種によって手間のかかっている業務は違いますが、多くの業種に共通する入り口と、業種ごとに相性のよい分野を整理すると次のようになります。

業種よくある困りごと入り口になりやすいSaaS
建設・設備工事 現場への直行直帰が多く、出退勤の記録が自己申告になりがち GPS打刻に対応した勤怠管理、現場写真の共有
飲食・小売 アルバイトのシフト作成と勤務時間の集計に時間がかかる シフト管理機能付きの勤怠管理、POSレジ
医療・介護 夜勤や日をまたぐ勤務があり、手作業の集計でミスが起きやすい 変則勤務に対応した勤怠管理、予約管理
士業・事務所 顧客とのファイルのやり取りや請求書の発行が手作業 ファイル共有、請求書発行、会計
IT・サービス業 テレワークが多く、勤務状況や業務の進み具合が見えにくい チャット、タスク管理、工数管理付きの勤怠管理

表を見るとわかるように、業種が違っても「勤怠管理」は多くの業種で入り口の候補に挙がります。理由は単純で、従業員を雇っている会社であれば業種を問わず毎月発生する業務であり、しかも給与計算・残業代・有給休暇の管理といった後工程の正確さを左右するからです。経理や会計をSaaSにしても、元になる出退勤の記録が紙のタイムカードのままでは、結局どこかで手入力が残ります。業務の流れの上流にある勤怠からデジタルにしておくと、そのあとに会計や給与計算のSaaSを追加したときの効果も大きくなります。

一方で、勤怠管理システムと一口に言っても、GPS打刻に強いもの、シフト作成が得意なもの、給与計算と一続きで使えるものなど、得意分野はさまざまです。自社の就業規則や勤務形態に合わせて労働条件を細かく設定し、他のシステムとデータをつなぎたい場合の一例が「カオナビ勤怠」です。打刻漏れ、残業時間の超過、休日出勤の未届け、申請の承認待ちをアラートで通知し、工数管理やシフト管理も備え、勤怠データはシステム上で5年間自動保存されます。CSV連携またはAPI連携に対応しており、導入前には無料のオンライン相談を受けられます。注意点として、タブレット端末では一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリの動作保証はサポート対象外です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. SaaSってなに?どういう意味ですか?

A. SaaSとは「Software as a Service」の略で、インターネット越しに使うソフトウェアのことです。パソコンにインストールせず、ブラウザやアプリからログインして使い、料金は月額や年額で支払うのが一般的です。

Q2. SaaSで有名なサービスにはどんなものがありますか?

A. GmailなどのWebメール、ZoomやMicrosoft TeamsなどのWeb会議、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのオフィスソフト、SlackやChatworkなどのチャット、勤怠管理や会計のクラウドサービスが代表的な例です。業務の種類ごとにSaaSがあるため、「有名なSaaS」は1つに決まるものではありません。

Q3. SaaSとパッケージソフトの違いは何ですか?

A. パッケージソフトは購入して自社の端末やサーバーにインストールして使い、料金は買い切りが中心です。SaaSは提供者のサーバー上のソフトにインターネット越しにログインして使い、料金は月額・年額が中心で、更新も提供者が行います。標準的な業務を早く始めたいときはSaaS、独自のルールに合わせて作り込みたいときはパッケージソフトや個別開発も選択肢になります。

Q4. SaaSとPaaS・IaaSの違いは何ですか?

A. 提供者が用意してくれる範囲の違いです。SaaSは完成したアプリケーション、PaaSはアプリを作って動かすための土台、IaaSはサーバーなどの基盤を借りる形です。一般の業務担当者が使うのは主にSaaSです。

Q5. SaaSを使うときに気をつけることは何ですか?

A. アカウントとパスワードの管理、二段階認証の設定、退職者アカウントの削除など、利用者側が担うセキュリティ対策を行うことです。あわせて、データの保存場所や解約時にデータを取り出せるかも契約前に確認しておきましょう。

Q6. 中小企業は何のSaaSから始めればよいですか?

A. 手間のかかっている業務を1つ選んで始めるのが現実的です。業種を問わず毎月発生し、給与計算など後工程の正確さにも関わる勤怠管理は、最初のSaaSとして選ばれやすい分野です。

まとめ|最初に取り組む3つのこと

SaaSとは、インターネット越しに使うソフトウェアのことです。インストール不要でログインして使い、月額・年額で支払い、アップデートは提供者が行う。この3つの目印を覚えておけば、GmailもZoomも勤怠管理システムも同じ仲間だと見分けられるようになります。買い切りのパッケージソフトとの違いは「入手・更新・データの置き場所を提供者に任せるかどうか」、PaaSやIaaSとの違いは「提供者がどこまで用意してくれるか」です。

SaaSは始める費用が小さく、運用を任せられ、どこからでも使える一方で、アカウント管理やデータの取り出し方など、利用者側で押さえておきたい点もあります。最初は次の3つから始めてみてください。

  1. 使っているサービスが、インストール不要・継続課金・自動アップデートの3つの目印に当てはまるかを確かめる
  2. 手間のかかっている業務を1つ選び、パッケージソフトとSaaSのどちらが合うかを、4つの判断の目安で見極める
  3. 勤怠管理のように候補のSaaSがある業務は、サービスの資料を取り寄せて、機能と注意点を見比べる

参考文献

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