DXのステップとは?3段階・4段階の違いと進め方、役割分担を解説

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  • DXの段数は公的資料でも3段階と4段階がある
  • 6ステップで進め段階ごとに役割分担を決める
  • 施策の工数と進捗を見える化して改善を回す

DXのステップとは、DXを進める順番のことです。経済産業省の資料には、デジタル化の深さを示す3段階と、取り組みの流れを示す4段階のプロセスがあり、解説記事ごとに段数が違って見えるのは主にこの切り口の違いによります。本記事では、実務で使いやすい6ステップ(現状把握、ビジョン策定、中期計画の策定、推進体制の構築、本格展開、継続改善)で整理し、公的資料との対応、役割分担、進捗と工数の管理、よくある失敗までまとめます。

いまのDX推進に近い状況を2問で診断

Q1. DX推進は、6ステップのどのあたりにいますか?

目次

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  1. DXのステップは何段階?公的資料の3段階・4段階と6ステップの対応
  2. ステップ1から2:現状把握とビジョン策定
  3. ステップ3から4:中期計画の策定と推進体制の構築
  4. ステップ5:本格展開|業務マニュアル・教育・運用ルールの整備
  5. ステップ6:継続改善サイクル(PDCA)の回し方
  6. 6ステップと並行して進めたい人材育成と社内の意識づくり
  7. DXロードマップとの関係|中長期計画への落とし込み方
  8. 経済産業省が整理するDXの成功のポイント7つと、6ステップの対応
  9. DX推進でよくある失敗パターン4つ
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ
  12. 参考文献

DXのステップは何段階?公的資料の3段階・4段階と6ステップの対応

DXのステップに決まった段数はなく、経済産業省は「デジタル化の深さ」を3段階、「取り組みの流れ」を4段階で示しており、本記事の6ステップはこれらを実務の作業単位に分けたものです。

そもそもDXとは、経済産業省の「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」によると、顧客視点で新たな価値を創出するためにビジネスモデルや企業文化の変革に取り組むことであり、ツールの導入自体ではなく企業経営の変革そのものです。

3段階はどこまで変えるかを示す(DXレポート2)

経済産業省のDXレポート2(中間取りまとめ)は、組織の成熟度ごとにアクションを設計できるよう、DXをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3つの段階に分けています。作業の順番ではなく、「デジタル化をどこまで進めるか」の深さを示す整理です。

段階 DXレポート2での位置づけ
デジタイゼーションアナログ・物理データの単純なデジタルデータ化。典型的には紙文書の電子化
デジタライゼーション個別業務・プロセスのデジタル化
デジタルトランスフォーメーション全社的な業務・プロセスのデジタル化と、顧客起点の価値創造のための事業・ビジネスモデルの変革

同じ資料は、重点部門で先に成功事例を作ってから組織全体へ展開するアジャイル的な進め方を成功の鍵とし、企業全体の方針は経営者、IT部門、業務部門が対話して決めるべきとしています。

4段階はどの順で進めるかを示す(DX推進の手引き)

一方、手引き2025は、DX銘柄などの成功事例をもとに、DX実現プロセスを「意思決定」「全体構想・意識改革」「本格推進」「DX拡大・実現」の4段階で示しています。意思決定で経営ビジョンと戦略を策定し、全体構想・意識改革で推進体制の整備と成功事例の創出を行い、本格推進で社内のデータ分析・活用、DX拡大・実現で顧客接点やサプライチェーン全体への展開に進みます。

6ステップとの対応(目安)と、段数が記事ごとに違う理由

ステップ 主な作業と成果物 4段階との対応(本記事の整理) 主な担い手
1.現状把握業務・データ・IT資産の棚卸し、自己診断(課題一覧)全体構想・意識改革現場担当者・情報システム部門
2.ビジョン策定目指す姿の言語化(DXビジョン)意思決定経営層
3.中期計画の策定施策の優先順位付け、KPIと予算の設定(中期計画)意思決定経営層・推進チーム
4.推進体制の構築推進チームの設置、役割分担と権限の明確化(体制図)全体構想・意識改革経営層・推進チーム
5.本格展開小さな試行から全社展開、マニュアル・教育・運用ルールの整備本格推進現場担当者・推進チーム
6.継続改善KPIの測定、振り返り、計画の見直し(効果測定)DX拡大・実現推進チーム・経営層

5段階や7ステップの解説記事でも、現状を知る、目指す姿を決める、計画に落とす、体制を作る、実行する、改善し続けるという流れは共通で、ツール選定や試行を独立させるかどうかで段数が変わります。段数に正解はないため、自社で説明しやすい区切りを選んでください。

6ステップを動かす段階で行き詰まりやすいのは、施策ごとの進み具合の管理

ステップ1から4は会議と文書で進められますが、本格展開に入ると、施策ごとに担当、期限、工数、費用が一斉に動き出します。計画を作った後に「どの施策にどれだけの工数と費用がかかり、予定とどれだけずれているか」を追えないと、ステップ6の見直しの材料がそろいません。施策が数件なら表計算ソフトでも管理できますが、部門をまたぐ施策が増えると、実績の転記と集計に手間がかかります。

この管理を、案件ごとの予算・工数・原価の単位で行う業務システムの例として、次の2サービスを比べます。少人数のタスク共有が目的なら、より軽いツールで足ります(商品ページで確認、2026年10月15日時点)。

DX施策の工数・費用・進み具合を追うための2サービス

状況を選ぶと合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自社の状況:

この状況に合う一例:ZAC。勤怠・工数の一元管理と、ガントチャートでの工程管理が紹介されています

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この状況に合う一例:MA-EYES。分析設定に独自の項目を追加できると紹介されています

資料を無料ダウンロード
サービス ZAC MA-EYES
向いている会社 IT、広告、クリエイティブ、コンサルティングなど、プロジェクト型の事業を行う会社 予算や企業規模、運用ニーズに合わせて、導入範囲を決めたい会社
特徴 個別原価計算の自動化、勤怠と工数の一元管理、ガントチャートでの工程管理に対応 クラウドでも標準機能へのカスタマイズが柔軟。導入前から導入後までのサポート体制を備える
注意したい点 詳しい料金やプランは問い合わせが必要。導入まで最短3か月、平均で半年ほど 工程管理には対応していない可能性があると紹介されている。対応範囲は資料で確認
資料・詳細

表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

施策を案件の単位で、工数、原価、工程まで追いたい場合の一例が、株式会社オロが提供するクラウドERPのZACです。ZACは、プロジェクト・案件・売上明細の3階層で売上を管理でき、個別原価計算の自動化や、勤怠管理と工数管理の一元化、ガントチャートによる工程管理に対応しています。予定売上や見込み原価を登録して、工数オーバーで利益率が悪化している案件や工程を可視化できるため、計画と実績のずれを見る考え方はDX施策の管理にも通じます。ただし本来はプロジェクト型ビジネスの業務向けなので、社内のDX施策に当てはめられるかは資料や担当者への相談で確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社オロ

ZAC

ZAC
出典:www.oro.com

株式会社オロ

ZAC

プロジェクト業務を効率化!タイムリーに管理したい企業におすすめ

全体評価
4 (1件)
出典:ZAC
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ここがおすすめ!

  • 個別原価計算の自動化で業務を効率化できる
  • 独自設計で柔軟性を保ちつつ、安価での導入が可能
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ここが少し気になる…

  • 詳しい料金やプランを確認するには問い合わせが必要
評価・口コミ(一部抜粋)
4
  • 見積発行の際、承認を電子化できる。また、低粗利で提案する際、ユーザーが各上長に直接フェイストゥフェイスでお伺いを立てなくとも、電子的に承認に入れるため、履歴も残り、管理の観点で負担軽減になる。

処理を進めていくと、予算データと実績データがZACの同じ画面上に集約され、予実の状況をリアルタイムに確認できる仕組みになっています。

出典:株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング 導入事例(株式会社オロ ZAC)

もう一つの例が、株式会社ビーブレイクシステムズが提供するERPのMA-EYESです。見るべき指標は会社ごとに違うため、分析する項目を自社の運用に合わせて決めたい場合に向いています。MA-EYESは、予算や企業規模、運用ニーズに合わせて導入でき、クラウドでありながら標準機能へのカスタマイズが柔軟で、分析設定にも独自の項目を追加できる点や、導入前から導入後まで続くサポート体制が特徴として紹介されています。ただし、商品ページでは工数管理に特化しているため工程管理には対応していない可能性があると紹介されているので、工程まで一体で管理したい場合は対応範囲を事前に確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

株式会社ビーブレイクシステムズ

MA-EYES

MA-EYES
出典:www.bbreak.co.jp

株式会社ビーブレイクシステムズ

MA-EYES

自社に合った柔軟なプロジェクト管理を実現したい方におすすめ

出典:MA-EYES
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ここがおすすめ!

  • 予算や企業規模、運用ニーズに合わせて導入できるオールラウンドなERPシステム
  • 導入前から導入後まで充実したフルサポート体制を完備
  • クラウドでありながら標準機能へのカスタマイズも柔軟で、分析設定にも独自の項目追加が可能
MORE

ここが少し気になる…

  • 工数管理に特化しているため、工程管理には対応していなそう

各プロジェクトの収益とコストの進捗状況をリアルタイム且つ正確に確認できるようになり、問題発生に対し早期の状況把握と迅速な対応が可能になった。

出典:ERP導入事例 コンサルティング会社(株式会社ビーブレイクシステムズ MA-EYES)

ステップ1から2:現状把握とビジョン策定

ステップ1と2は、「今どこにいるか」と「どこへ向かうか」を決める段階です。順番としては現状把握が先ですが、実務では両者を行き来しながら固めていきます。

ステップ1:現状把握は「業務」「データ」「IT資産」の3つを棚卸しする

現状把握では、紙やExcelで回っている業務、担当者しか手順を知らない業務、部門ごとに重複して入力しているデータなどを洗い出します。あわせて、今使っているシステムの一覧、導入時期、保守の状況も整理します。経済産業省のDXレポート(2018年)は、複雑化・ブラックボックス化した既存システム(レガシーシステム)がDXの足かせになると指摘しており、IT資産の棚卸しは現状把握の中心的な作業です。

自社の取り組み状況を診断する手段として、経済産業省の「DX推進指標」があります。経営者や社内の関係者がDXの現状や課題への認識を共有し、アクションにつなげるための自己診断指標で、2026年2月にデジタルガバナンス・コード3.0に基づいて設問と成熟度レベルが見直され、2026年9月18日からはWebフォームでの回答・提出に移りました。回答のために経営者や各部門が集まって議論することで認識を共有でき、毎年診断すれば経年変化も把握できる、というのが同省の説明です。点数そのものよりも、経営層、推進担当、現場で同じ設問に答え、認識のずれを確認する使い方が有効です。経営層は「進んでいる」と答え、現場は「進んでいない」と答える項目こそ、次のステップで優先して議論すべき論点になります。

現状把握で集める情報は、最低限次のとおりです。

  • 業務一覧と、それぞれの処理量・所要時間・担当者数
  • 手作業・紙・二重入力が発生している業務と、その理由
  • 使用中のシステム一覧と保守期限、システム間のデータ連携の有無
  • 現場が感じている課題(ヒアリングやアンケートで収集)
  • DX推進指標による自己診断の結果と、回答者間のずれ

ステップ2:ビジョン策定は経営層が自分の言葉で書く

ビジョンは「デジタル技術を使って、どのような価値を顧客や社会に提供する会社になるのか」を示すものです。手引き2025は、パーパス(存在意義)を明確にしたうえで、5年後、10年後にどのような企業を目指すかという経営ビジョンを描き、現状との差を埋めるための課題を整理することを求めています。経済産業省のデジタルガバナンス・コードも、経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を示したものです。「ペーパーレス化を進める」「AIを導入する」といった手段の記述ではなく、「受注から納品までの時間を半分にし、短納期の案件でも選ばれる会社になる」のように、事業上の姿と結び付けることがポイントです。

DXで経営層が担う役割は「目的を決め、自ら発信し、判断する」こと

手引き2025は、経営者に求められるのは、目的や全体の取り組みとの関係が不明確なままAIやクラウドサービスを導入することではなく、目指す将来を描き、解決すべき課題を明確にし、仕事のあり方や組織文化をどう変えるかという観点から中長期の戦略を組み立てることだとしています。ビジョン策定を推進チームや外部に丸投げすると、後の段階で優先順位の判断が必要になったときに、誰も最終判断できない状態に陥ります。原案作りを推進チームが支援するのは問題ありませんが、最終的な言葉は経営層が決め、社内に向けて繰り返し説明する役割も経営層が担います。

経営層だけで抱え込むのも避けたい点です。DXレポート2は、企業全体の方針を決めるにあたって、経営者、IT部門、業務部門が協調して推進し、対話によって共通認識を形成すべきとしています。経営層は目的と判断を担い、実行の中身は推進チームと現場が詰める、という分担がステップ4の役割分担につながります。

ステップ3から4:中期計画の策定と推進体制の構築

ステップ3と4は、ビジョンを実行可能な形に変換する段階です。計画と体制は切り離せず、「計画はあるが担当が決まっていない」「体制はあるが何をするか決まっていない」のどちらでも前に進みません。

ステップ3:中期計画は「施策」「KPI」「順番」をセットで決める

中期計画では、現状把握で見つけた課題とビジョンの差を埋める施策を並べ、優先順位を付けます。優先順位の付け方としては、効果の大きさと実現のしやすさの2軸で並べ、効果が見込めて短期間で成果が出る施策を最初に置く方法が一般的です。手引き2025が「まずは身近なところから始め、成功体験を重ねる」ことを成功のポイントに挙げているように、最初の施策で小さな成功を示すと、社内の理解と協力を得やすくなります。

施策ごとに、何をもって成功とするかのKPIも決めておきます。KPIは「ツール導入完了」のような作業完了ではなく、「請求書発行にかかる時間」「問い合わせへの一次回答時間」のように、業務や顧客への影響で測れるものが望ましいといえます。期間は3年程度を目安にしつつ、1年ごとに見直す前提で作ると、環境変化に合わせて修正しやすくなります。あわせて、施策ごとの予算と想定工数もこの段階で置いておくと、ステップ5以降で実績と見比べられます。

ステップ4:推進体制は「実行責任」と「説明責任」を分けて決める

推進体制では、経営層直下に推進チームを置き、情報システム部門と事業部門の両方からメンバーを集める形がよく採られます。ここで重要なのが、段階ごとに「実際に手を動かす人(実行責任)」と「結果に責任を持ち、最終判断する人(説明責任)」を分けて決めることです。

RACI表とは|業務分担と役割分担の違い

RACI表とは、業務や段階ごとに、実行責任(Responsible)、説明責任(Accountable)、協議先(Consulted)、報告先(Informed)の4つの役割を割り当てて一覧にした表です。言葉の使い分けは文脈によって異なりますが、一般に、業務分担は「誰がどの作業をするか」を割り振ることを指し、役割分担は作業に加えて判断や責任の範囲まで決めることを指して使われます。RACI表は後者を表にしたもので、DXのように複数の部門が関わる取り組みで、判断の所在をはっきりさせるのに向いています。

ステップ 実行責任(R) 説明責任(A) 協議先(C) 報告先(I)
1.現状把握現場担当者推進チーム情報システム部門経営層
2.ビジョン策定経営層経営層推進チーム全社
3.中期計画の策定推進チーム経営層各部門の責任者現場担当者
4.推進体制の構築推進チーム経営層各部門の責任者全社
5.本格展開現場担当者推進チーム情報システム部門経営層
6.継続改善推進チーム経営層現場担当者全社

この表で特に注意したいのは説明責任(A)の置き場所です。実行は現場や推進チームが担っても、試行の結果が思わしくないときに「撤退するか、続けるか」を決める人が曖昧だと、ずるずると全社展開してしまう危険があります。説明責任は原則として経営層か推進チームのリーダーに置き、1つのタスクに説明責任者は1人だけにします。表の割り当ては一例なので、自社の組織に合わせて書き換えてください。

DX推進部・DX推進室は必要か|企業規模別の体制の形

DX推進部やDX推進室といった専門部署は、必須とは限りません。手引き2025は、DX人材を社内で確保・育成したり、専門部署を設けたりすることを初めから全て自前で行おうとすると、特に中小企業には高いハードルになるとし、ITベンダーやITコーディネータなど外部の支援を活用して不足するノウハウを補いながら、その過程で社内人材を育てることを勧めています。同じ手引きが紹介するDXセレクション2025の準グランプリ企業、株式会社後藤組(山形県の建設会社)では、専任のDXチームが技術面で支援し、現場社員自身がノーコードツールで業務アプリを作成する「全員DX」を進め、作成されたアプリは3,000件を超えると紹介されています。

企業規模によって、この体制の形は変わります。従業員数十人規模の企業では、経営者がビジョン策定と継続改善の説明責任を直接持ち、推進チームを新設せずに兼任の担当者1人が実行を束ねる形が現実的です。数百人規模では情報システム部門が推進チームの母体になりやすく、事業部門からの兼任メンバーの業務負荷をどう調整するかが課題になります。複数事業部を持つ企業では、全社の推進チームがKPIの定義をそろえ、事業部ごとの担当者がその枠内で展開する2層構造にすると、効果測定の段階で数字を比較しやすくなります。いずれの形でも、DX推進部署だけで抱え込まず、経営者、IT部門、業務部門の対話を保つことが前提です。

役割分担を決めたあとは、決めた役割を実際の承認や権限の設定に反映できるかが課題になります。ZACは、見積作成や発注などの業務処理に応じて電子申請・ワークフローが動き、承認履歴と操作ログが自動で保存され、ユーザー単位・画面単位で権限を設定できると紹介されています。

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ステップ5:本格展開|業務マニュアル・教育・運用ルールの整備

本格展開は、計画が現場の日常業務に変わる段階です。いきなり全社で切り替えるのではなく、1部門や1業務で試行し、うまくいった手順を横に広げる進め方が一般的で、DXレポート2が示す「重点部門で小さく始め、段階的に全社へ広げる」考え方とも一致します。試行の段階で「どの指標がどう変わったら展開する」という判断基準を決めておくと、展開か見直しかの判断がぶれません。

展開時に必ず整えたいのが、次の3点です。

  • 業務マニュアル:新しい手順を、画面の操作だけでなく「なぜこう変えたのか」とあわせて書く。例外処理の扱いも明記する
  • 教育:説明会を1回開いて終わりにせず、質問窓口と、よくある質問の蓄積場所を用意する。シフト制の職場では録画や資料での自習も組み合わせる
  • 運用ルール:入力のタイミング、データの保存場所、権限の付与と削除の手順、旧手順を廃止する日付を決める

特に見落とされやすいのが「旧手順を廃止する日付」です。新旧の手順が並行したままだと、現場は慣れた旧手順に戻り、二重管理の負担だけが増えます。並行期間を設ける場合も、終了日をあらかじめ決めて周知しておくことが大切です。

本格展開の段階では、施策ごとに「マニュアル作成」「説明会の実施」「旧帳票の廃止」「問い合わせ対応」といった細かなタスクが部門ごとに大量に発生します。これらを担当者のメモや個人のメールで管理していると、どの部門がどこまで進んでいるかを推進チームが把握できず、遅れている部門への支援が後手に回ります。タスクを施策単位にまとめ、担当と期限、完了状況を関係者全員が同じ画面で確認できる状態を作ると、定例会議は「進捗の読み上げ」から「遅れの原因と対策の議論」に変わります。この作業を毎回手作業で行っている場合、次のセルフチェックで自社の状況を確かめてください。

本格展開の進め方、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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ステップ6:継続改善サイクル(PDCA)の回し方

DXは一度導入すれば終わりではありません。手引き2025も「継続的に変革を続け、DXの取組を拡大する」ことを成功のポイントの1つに挙げ、DXに投じる資金をコストではなく重要な投資と位置付けている企業が更なる拡大を図っているとしています。継続改善の段階では、ステップ3で決めたKPIを定期的に測り、計画そのものを見直すサイクルを回します。

サイクルを形だけで終わらせないためには、振り返りの頻度と場を階層ごとに決めておくことが有効です。

頻度 参加者 確認すること
週次推進チーム・現場担当者タスクの進捗、期限切れの有無、現場で起きている問題
月次推進チーム・各部門の責任者施策ごとのKPIの推移、工数と費用の予実差、部門間の調整事項
四半期経営層・推進チーム施策の継続・拡大・撤退の判断、予算と人員の再配分
年次経営層中期計画とビジョンの見直し、DX推進指標による再診断

改善サイクルで大切なのは、数字だけでなく「なぜその数字になったのか」を現場の声とあわせて報告することです。KPIが改善していても、裏で現場の手作業が増えているケースや、逆にKPIは横ばいでも別の業務の負担が大きく減っているケースがあります。年に1回はDX推進指標で再診断し、前回の結果と比べると、どの項目が前進し、どこが停滞しているかを客観的に確認できます。なお、2026年2月の改訂で設問と成熟度レベルが見直されているため、改訂前の結果と比べる場合は、設問の違いに注意してください。

工数と進捗を追う2サービスの比較表を見る

6ステップと並行して進めたい人材育成と社内の意識づくり

6ステップは順番に進める手順ですが、どの段階でも共通して必要になるのが「人」の準備です。現状把握で課題を正しく洗い出すにも、本格展開で新しい手順を定着させるにも、現場の一人ひとりがDXの目的を理解し、デジタルツールやデータを扱える状態になっている必要があります。人材育成と社内の意識づくりを後回しにすると、計画と体制が整っても、展開の段階で「現場が協力してくれない」「使いこなせる人がいない」という壁に当たります。

育成の目安として参考になるのが、経済産業省とIPAが取りまとめた「デジタルスキル標準」です。ビジネスパーソン全体がDXに関する基礎的な知識やスキル・マインドを身につけるための指針である「DXリテラシー標準」と、企業がDXを推進する専門性を持った人材を育成・採用するための指針である「DX推進スキル標準」の2種類で構成され、2026年4月にバージョン2.0が公表されています。全社員向けにはDXリテラシー標準をもとに基礎研修を行い、推進チームのメンバーにはDX推進スキル標準の役割を参考に、担う役割に応じた学習を割り当てると、育成の範囲と優先順位を決めやすくなります。進め方や助成金はDX人材育成とは|進め方5ステップ・DSS-LとDSS-P・助成金・事例を解説、人材の職種や確保の考え方はDX人材とは|DSS-P ver.2.0の6類型と中小企業の育成・確保の進め方で詳しく解説しています。

社内の意識づくりでは、経営層がビジョンを繰り返し発信することに加え、試行段階で出た小さな成果を社内に共有することが効果的です。「請求書の処理時間が短くなった」「問い合わせへの回答が早くなった」といった身近な変化が見えると、次に展開する部門の協力を得やすくなります。

DXロードマップとの関係|中長期計画への落とし込み方

6ステップは「どの順番で何をするか」という手順の枠組みであり、DXロードマップは「いつ、どの施策を、どの状態まで進めるか」という時間軸の計画です。両者の関係を整理すると、ステップ3の中期計画を時間軸に並べたものがロードマップにあたり、ステップ6の継続改善でそのロードマップを毎年更新していく、という位置付けになります。

ロードマップに落とし込む際は、施策を前述の3段階(デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション)のどこに当たるかで並べると、どの施策が次の施策の前提になっているかが見えやすくなります。前提となる施策が遅れると後続の施策もずれるため、ロードマップ上で依存関係を明示しておくと、遅れが出たときの影響範囲をすぐに判断できます。ロードマップの具体的な作り方は、DX化の進め方|6ステップとロードマップの作り方、よくある失敗5つで詳しく解説しています。

なお、DXとIT化・デジタル化の違いがあいまいなまま計画を作ると、ロードマップが「ツール導入の予定表」になりがちです。用語の違いを先に整理しておきたい場合は、DX化とは?IT化・デジタル化との違いと、施策を判定する5つの問いも参考になります。

経済産業省が整理するDXの成功のポイント7つと、6ステップの対応

手引き2025は、DXに取り組む企業にみられる成功に向けた7つのポイントをまとめています。それぞれがどのステップで効いてくるかを、本記事の整理で対応づけると次のとおりです。

手引き2025の成功のポイント 趣旨 効いてくるステップ(目安)
1.経営者がリーダーシップを取ってDXを推進する経営者が明確なビジョンを示し、変革をリードするステップ2、4
2.中長期的な視点を持って取り組む5年後、10年後の姿を明確にして腰を据えて取り組むステップ2、3
3.まずは身近なところから始め、成功体験を重ねる個別業務のデジタル化などから着手し、徐々に拡大するステップ3、5
4.データを分析・活用し、新たな価値を創出する蓄積したデータを既存事業の深化や新規事業につなげるステップ5、6
5.DX推進過程の中で人材を育成する外部の力を活用しつつ、社内にノウハウを蓄積するステップ4、5
6.継続的に変革を続け、DXの取組を拡大するDXへの投資を重要な投資と位置付け、拡大を図るステップ6
7.支援機関等による伴走支援を活用する外部の視点で経営者の気づきを得るステップ1、2

この7つに共通するのは、技術やツールの話ではなく、経営者の意思、順序立てた進め方、人と組織の話だという点です。ツールは、ステップ5以降の管理を楽にする手段であり、ステップ1から4の代わりにはなりません。

DX推進でよくある失敗パターン4つ

DX推進がうまくいかない原因は、ステップの順番よりも、各ステップの進め方にあることがほとんどです。よく見られる4つの失敗パターンと、改善後の状態を整理します。

失敗パターン Before(よくある状態) After(改善後の状態)
1.ツール先行現状把握とビジョン策定を飛ばしてツールを導入し、使われないまま放置される解決したい課題とKPIを先に決め、ツールはその手段として選ぶ
2.経営のコミット不足・推進部署への丸投げ推進チームや推進部署に丸投げされ、部門間の対立や予算の判断で止まる経営層が説明責任を持ち、四半期ごとに継続・撤退を自ら判断する。経営者、IT部門、業務部門が対話する
3.目的があいまい「DXをやること」自体が目的になり、成果を説明できないビジョンと施策、KPIが1本の線でつながり、成果を数字で説明できる
4.計画が仕組み化されない計画書は立派だが、施策の担当と期限が追跡されず、いつの間にか止まる施策をタスクに分解し、担当・期限・進捗を全員が同じ場所で確認できる

4つのうち、最初の3つは多くの解説記事でも取り上げられていますが、実務で最も起こりやすいのは4つ目の「計画が仕組み化されない」パターンです。中期計画を作った直後は関係者の意識も高いものの、日常業務に追われるうちに施策の優先度が下がり、半年後の振り返りで「ほとんど進んでいなかった」と気付くことになります。防ぐには、計画を作った時点で施策をタスクに分解し、担当と期限を登録して、週次の場で遅れを確認する仕組みまでをセットで用意しておくことが有効です。

仕組み化の手段を選ぶ際は、推進チームだけでなく現場担当者も毎日使えるかどうかを重視します。入力の手間が大きいものは現場に定着せず、結局は推進チームが代わりに更新する状態になりかねません。試用や資料での確認を通じて、試行部門で操作性を確かめてから全社に広げると、本格展開と同じ進め方で定着も図れます。見る指標を自社の運用に合わせて決めたい場合は、MA-EYESのように分析設定に独自の項目を追加できると紹介されているサービスも選択肢になります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. DXのステップは何段階ですか?

A. 決まった段数はありません。経済産業省のDXレポート2はデジタル化の深さを3段階(デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション)に分け、手引き2025は取り組みの流れを4段階のプロセスで示しています。本記事では実務で使いやすいよう、現状把握、ビジョン策定、中期計画の策定、推進体制の構築、本格展開、継続改善の6ステップで整理しています。

Q2. DXの手順は?何から始めればよいですか?

A. 業務・データ・IT資産の棚卸しによる現状把握から始め、経営ビジョンの策定、中期計画、推進体制の構築、本格展開、継続改善の順に進めます。現状把握では、経済産業省のDX推進指標を使い、経営層・推進担当・現場で同じ設問に回答して認識のずれを確認する方法が有効です。

Q3. DXで経営層は何をすればよいですか?

A. 目的と将来像を自分の言葉で示し、優先順位や継続・撤退の最終判断を担うのが基本です。手引き2025は、経営者に求められるのはツール導入そのものではなく、目指す将来を描いて解決すべき課題を明確にし、中長期の戦略を組み立てることだとしています。実行の中身は推進チームと現場に任せ、対話を保ちます。

Q4. DX推進部やDX推進室は必ず必要ですか?

A. 必須ではありません。手引き2025は、専門部署を設けることを含め、初めから全て自前で行うのは特に中小企業には高いハードルになるとしています。外部の支援を活用しながら、兼任の担当者や小さな推進チームから始め、その過程で社内に人材とノウハウを蓄積する進め方も現実的です。

Q5. RACI表とは何ですか?業務分担と役割分担はどう違いますか?

A. RACI表は、段階ごとに実行責任、説明責任、協議先、報告先の4つの役割を割り当てた表です。一般に、業務分担は誰がどの作業をするかを割り振ること、役割分担は判断や責任の範囲まで決めることを指して使われます。1つのタスクに説明責任者は1人だけにすると、判断の所在が明確になります。

Q6. DXの施策の進捗や工数の管理に、システムは必要ですか?

A. 施策が少ないうちは表計算ソフトでも管理できます。部門をまたぐ施策が増え、工数や費用の実績を集める手間が目立ってきたら、案件ごとに工数・原価・工程を管理できる業務システムが選択肢になります。社内のDX施策に当てはめられるかは、資料や担当者への相談で確認してください。

まとめ

DXのステップに決まった段数はなく、公的資料の3段階(深さ)と4段階(流れ)を、実務では現状把握、ビジョン策定、中期計画の策定、推進体制の構築、本格展開、継続改善の6ステップに落とし込んで進めます。手順を知るだけでなく、次の4つを押さえることが、計画倒れを防ぐポイントです。

  1. 3段階・4段階・6ステップの違いを理解し、自社の説明しやすい区切りを決める
  2. 段階ごとに実行責任と説明責任を分け、最終判断の所在を明確にする
  3. 本格展開では、マニュアル・教育・運用ルール、特に旧手順の廃止日を決める
  4. 施策をタスクに分解し、工数や費用まで見える化する仕組みの導入を、資料で比較検討する

参考文献

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