bpo 自治体とは?委託できる業務・メリット・事例と、発注方式・個人情報の注意点
Check!
- 自治体BPOで委託できるのは作業で、判断は職員に残る
- 発注方式と契約期間、終了時の引き継ぎを決める
- 職員のスキルと受託スタッフの入れ替わりを記録に残す
自治体BPOとは、自治体が窓口やコールセンター、給付金の事務といった業務を、設計から運用、改善まで含めて民間事業者に継続的に委託することです。ただし、公権力の行使にあたる判断は職員に残り、職員が受託事業者のスタッフへ直接指示を出すと偽装請負になりうるなど、民間企業どうしの委託にはない制約があります。「bpo 自治体」「公共 bpo」と検索する方は、委託を検討している自治体職員の方か、受託を目指す事業者の方が多いはずです。この記事では、総務省が公表しているガイドラインや事例集、法令、民間調査の公表資料をもとに、委託できる業務の範囲、メリットと留意点、事例、発注方式、個人情報の保護、失敗の防ぎ方、委託先の選び方、効果の確かめ方を、発注する自治体と受託する事業者の両方の立場から整理します。
自治体BPOで気がかりな点から、読むポイントを診断
Q1. 委託を検討している(または受託を目指す)業務は?
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自治体BPOとは|民間のBPOや公共BPOとの違いと、委託前の体制づくり
自治体BPOとは、自治体が窓口や事務センターなどの業務を、手順の設計から運用・改善まで民間事業者に継続して任せる仕組みです。
単発の作業だけを切り出して任せる一般的な業務委託と違い、BPOは受付から処理、報告、改善提案までの流れをまとめて任せ、業務の進め方そのものを見直すところまで含みます。民間企業どうしのBPOではコスト削減や専門性の活用が主な目的になりますが、自治体では住民サービスの継続性と公平性が前提で、委託先も入札などの手続きで決めます。「公共BPO」は官公庁を含む公共分野全体を指して使われることが多く、住民向けの業務が中心の自治体BPOはその一部と考えるとわかりやすいでしょう。
委託の範囲を決めるには、工程ごとに誰がどの業務にどれだけ時間をかけているかを把握することが出発点です。総務省が公表している実施例集には、受託事業者に頼りきりで職員にノウハウが蓄積されなかった、職員が窓口に関わる機会が減ってスキルが落ちた、受託事業者の従事者が頻繁に入れ替わった、といった課題が並んでいます。委託したあとも、職員の担当・スキル・研修と、受託スタッフの顔ぶれを把握し続けられるかが問われるということです。そこで役立つのが、職員やスタッフの情報を一か所にまとめる人事管理システムです。住民の情報を扱う自治体の基幹システムとは別のもので、自治体が導入する場合の調達方法や利用条件は各社への確認が必要です。受託を目指す事業者が自社のスタッフを管理する場面にも当てはまります。次の表は、当サイトに掲載されている3つのサービスの役割の違いです。
職員・受託スタッフの体制を把握する、人事管理システム3つの役割の違い
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:カオナビスキルマップと権限設定を備え、人材情報を一元化できます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:タレントパレット異動履歴の可視化と、異動・配置のシミュレーションがあります。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:ジンジャー人事労務編集・閲覧・非表示の権限設定とマイナンバー管理があります。
資料を無料ダウンロード| サービス | ジンジャー人事労務 |
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|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 職員やスタッフの経歴・スキルを一つの人材データベースにそろえ、配置の検討に使いたい組織 | スキル・目標・研修の記録を一元管理し、異動や配置の検討に活かしたい組織 | 紙や表計算ソフトの人事情報を移し、権限管理まで整えたい組織 |
| 特徴 | 人材情報の一元化、スキルマップ、組織図、配置転換のシミュレーション、使える・見える・編集できるの権限設定 | 社員データベース、異動履歴の時系列表示、異動・配置のシミュレーション、eラーニング・研修管理 | 従業員情報の一元管理、組織図の作成と異動シミュレーション、編集・閲覧・非表示の権限設定、マイナンバー管理 |
| 注意したい点 | タブレットの一部のタッチ操作は非対応で、スマホアプリの動作保証はサポート対象外 | 機能が多く、データの取り込みと権限設定を含む初期構築に数日から2か月程度かかる | 契約後から運用開始まで約3-5か月が一般的。期間途中の解約でも払い戻しは対応していない |
| 資料・詳細 |
3サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
このうち、まずカオナビを紹介します。委託する業務と職員に残す業務を、職員やスタッフの顔ぶれとあわせて整理したい場合の一例が、タレントマネジメントシステムのカオナビです。商品ページによると、人材情報を柔軟設計のデータベースに一元化でき、スキルマップの作成、組織図や人員計画のダッシュボード、配置転換のシミュレーション、集約したデータを「使える・見える・編集できる」の条件で分けるアクセス管理などが用意されています。政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に登録されていることも紹介されています。注意点として、タブレット端末では一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリの動作保証はサポート対象外とされているため、利用環境を事前に確認してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
株式会社カオナビ
カオナビ
株式会社カオナビ
カオナビ
あらゆる人材データをグラフや図で簡単に可視化◎見える化を重視する企業におすすめ

出典:kaonavi
導入企業:TOTO株式会社、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)など
口コミ
「カオナビ」での運用に切り替えてからは、さまざまな面で効果が出たと感じています。今までメールで行なっていたExcelシートの授受や記入漏れはほとんどなくなりましたし、評価者や人事担当者が入力の進捗確認もできるようになることで、一部入力が遅れている人がいたとしても全体の進行が止まることがなくなりました。また、以前はExcelに設定していた計算式が壊れるといったトラブルもあったので、その対応に対する手間を考えると効果は絶大です。
評価を大幅効率化、異動検討もスムーズに。サツドラHDの「カオナビ」活用法 https://www.kaonavi.jp/showcase/sat/
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気になる…
- 目的や規模により価格に幅がある為、詳細料金は問い合わせる手間が必要
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UIがわかりやすく、そもそもシステムに慣れるまでに利用者が離脱することや敬遠されることが少なかった。またそれぞれで俗人化していた教育研修コンテンツなどを共有することでナレッジのシェアや、そのようなコンテンツを作ることなどに興味を持つ人間なども把握することができ、社内の人材配置などにも間接的にポジティブな影響を与えていたと感じる。
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当日初めて一緒に働くメンバーが多い職種なので、顔がわかることですぐに挨拶ができ、業務を開始できる。社歴を知ることもできるので、自分の先輩なのか後輩なのかが業務前にわかる。部署異動があってもすぐに反映される。
-
カオナビの導入により、従業員の顔写真やスキル、評価履歴などの情報を一元管理できるようになりました。これにより、評価や人材配置の際の情報収集が効率化され、適切な人材活用が可能となりました。また、評価ワークフロー機能「スマートレビュー」を活用することで、評価プロセスの透明性が向上し、従業員の納得感も高まりました。
ベンダーの導入事例には、人材情報の管理をExcelから移した企業について、次のように紹介されているものがあります。民間企業の事例で、自治体での効果を示すものではありません。
評価者や人事担当者が入力の進捗確認もできるようになることで、一部入力が遅れている人がいたとしても全体の進行が止まることがなくなりました。
出典:サツドラホールディングス株式会社 導入事例(カオナビ)(評価シートの運用についての記述)
タレントパレットは職員のスキルや異動の記録を扱う箇所で、ジンジャー人事労務は権限の管理を扱う箇所で、改めて紹介します。まずは、委託できる業務の範囲から確認しましょう。
自治体BPOで委託できる業務の範囲|作業は任せ、判断は職員に残す
自治体BPOで委託できるのは、公権力の行使にあたらない定型的・補助的な業務が基本で、交付や給付の可否を決める判断は職員に残ります。
自治体の業務には、法令にもとづいて行政が判断すべきものが多く含まれます。そのため民間に任せられるのは、受付や入力、案内、書類の不備確認といった作業が中心です。どの業務のどこまでを委託できるかは、業務ごとに所管する省庁の通知などで示されています。総務省は、窓口業務について民間事業者に委託できる範囲を示す各省庁の通知をまとめて公表しており、発注する側も受託する側も、この資料で線引きを確認するのが出発点になります。BPO全般で委託されやすい業務の全体像は、BPOで委託できる業務の全体像の記事で、業種や職能による整理はBPO領域の解説記事で確認できます。
住民と直接接する窓口やコールセンターの業務(フロントヤード)、申請の審査補助や入力のように庁内で行う業務(バックヤード)、給付金のように期間を区切って発生する臨時の事務に分けて考えると整理しやすくなります。代表的な業務を整理すると、次のようになります。
| 業務分野 | 委託されやすい作業の例 | 職員に残る判断の例 |
|---|---|---|
| 住民票・戸籍などの窓口 | 申請書の受付、記載内容の確認、証明書の引き渡し、案内 | 交付してよいかの最終的な判断、不交付の決定 |
| マイナンバー関連 | カード交付の予約受付、申請の補助、問い合わせ対応 | 本人確認の最終判断、交付の決定 |
| 国民健康保険・国民年金 | 届出の受付、入力、書類の発送 | 資格の認定、保険料の決定 |
| 子育て支援・福祉 | 申請の受付、書類の不備確認、入力 | 給付の可否、支給額の決定 |
| コールセンター | 制度の案内、よくある質問への回答、担当課への取り次ぎ | 個別の事情にもとづく判断や苦情への対応方針 |
| 給付金などの臨時事務 | 申請書の開封・仕分け、入力、審査補助、問い合わせ対応 | 支給決定、不正受給の疑いがある場合の対応 |
表のとおり、同じ業務分野のなかでも「作業」は委託でき、「判断」は職員に残るという切り分けが基本です。委託の範囲を決める際は、業務分野単位ではなく、受付から決定までの流れを工程に分解し、工程ごとに委託の可否を確かめると線引きがはっきりします。なお、個別の業務の委託可否は法令や通知の改正で変わることがあるため、最新の通知を確認し、判断に迷う場合は所管省庁に照会することをおすすめします。本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的な助言ではありません。
3サービスの役割を比較表で見る自治体BPOが求められる背景と市場規模|人手不足と業務の増加
自治体BPOが広がっている主な理由は、職員数に限りがあるなかで、制度改正や臨時の給付事務など担う業務が増え続けているためです。
人口減少が進む地域では、職員の採用自体が難しくなっている自治体も少なくありません。一方で、制度改正への対応、マイナンバーカードの普及促進、災害や感染症に伴う臨時の給付事務など、短期間に大量の事務が発生する場面が繰り返し起きてきました。こうした事務は、正確さが求められる一方で手順そのものは定型的なものが多く、職員がすべてを抱えると繁忙期に残業が集中し、政策の企画や個別の事情を抱えた住民への相談対応に手が回らなくなります。定型的な作業を受託事業者に任せ、職員は判断や企画に集中するという役割分担が、BPOを導入する主な理由です。
もうひとつの背景は、業務の進め方そのものを見直したいというニーズです。長年の運用で手順が職員ごとに違っていたり、紙の書類と複数のシステムへの二重入力が残っていたりする業務は珍しくありません。BPOでは、委託にあたって業務の手順を書き出し、標準化することが前提になるため、委託をきっかけに業務改革(BPR)やデジタル化が進むこともあります。総務省の事例集でも、国民健康保険と後期高齢者医療の窓口を一体で委託してワンストップで手続きできるようにした例や、繁閑に合わせて人員を配置している例など、コスト以外の効果が紹介されています。
自治体の内部で業務の棚卸しやデジタル化をどう進めるかについては、当サイトの自治体DXの解説記事も参考になります。BPOとDXは別々の施策として語られがちですが、実際には「手順を標準化して外に出せる形にする」という点で重なる部分が多い取り組みです。
市場規模|5兆円規模だが、住民向け業務だけの数字ではない
矢野経済研究所が2026年1月に公表した調査では、2024年度の自治体向けBPOサービス市場(業務代行サービス、施設運営サービス、社会インフラ関連業務代行サービスの3分野の合計。事業者売上高ベース)は5兆1,827億円、2028年度は5兆5,985億円(2024-2028年度の年平均成長率2.0%)と予測されています。施設運営や社会インフラ関連の業務も含む数字のため、窓口やコールセンターのような住民向けの業務だけの規模ではない点に注意してください。推計の対象範囲は調査ごとに異なります。社内資料や議会説明で市場規模に触れる場合は、孫引きの数字を使わず、調査会社の公表資料で対象範囲と調査時点を確認してから引用するのが安全です。
数字の大小よりも実務で押さえておきたいのは、委託の範囲が広がるほど受託事業者への依存度が高まることです。総務省の実施例集では、受託事業者に頼りきりになり、職員に細部の業務のノウハウが蓄積されなかった自治体が挙がっています。委託を進めるなら、契約が終わったときに業務を自前に戻す、あるいは別の事業者へ引き継ぐ方法まで、最初に設計しておく必要があります。
自治体BPOのメリットとデメリット|総務省の事例集からわかる効果と留意点
自治体BPOのメリットは、職員が判断や企画などの業務に集中できることと、繁閑に合わせた体制を組みやすいことです。一方で、職員にノウハウが残りにくいことなどが留意点になります。
総務省は、窓口業務の民間委託を導入した自治体の効果と留意点を「窓口業務の民間委託による効果についての参考事例集」(平成30年12月作成)にまとめています。ここでは、そのうち所沢市・八潮市・我孫子市の公表内容から、効果と留意点を並べます。
| 観点 | 公表されている効果の例 | 留意点 |
|---|---|---|
| 職員の負担 | 八潮市(国保年金課)は、委託を開始した平成22年度の時間外勤務が1,428時間で、委託前の平成20年度(4,548時間)・平成21年度(2,729時間)から減った。市職員が他の業務に専念できる環境も整った(平成20年度は後期高齢者医療制度の開始で例年より増えていた) | 窓口を経験した職員が人事異動で減り、課内の窓口業務のスキル低下が懸念されている |
| 住民サービス | 所沢市(市民税課)の窓口対応の評価は、平成24-27年度の4年間で「とてもよい・よい」が79.4%-86.4%。我孫子市は国民健康保険と後期高齢者医療の窓口を一体で委託し、来庁者がワンストップで手続きできるようになった | 所沢市の職員アンケートの自由記述には、受託者の従事者によってスキルに差があるとの意見があった |
| 業務の改善 | 八潮市では受託者の提案で、窓口の案内表示の改良や整理番号カードの配布が行われ、市職員と受託者が従事者を5段階で評価する業務チェックシートも実施された | 我孫子市は、委託範囲を広げる際に、執務空間の確保の調整、制度改正の頻度の高さ、職員の業務機会の減少が課題になるとしている |
| コスト | 所沢市(国保課)は、平成24年度の窓口業務の延べ時間数に市の正職員が従事した場合の人件費を試算し、委託費の倍以上になると推計した | 試算は、委託前に主に正職員が対応していた窓口に正職員が従事し続けたと仮定した推計で、自治体の条件によって結果は変わる |
このように、効果は待ち時間や時間外勤務のような数字で確かめられるものと、職員がほかの業務に専念できるといった数字にしにくいものに分かれます。留意点として共通しているのは、職員の経験とノウハウが残りにくいこと、受託者側の人によってスキルに差が出ることです。事例集の公表から年数が経っており、委託の進め方や制度も変わっているため、数値は自組織にそのまま当てはまるものではなく、考え方の参考として読むのが適切です。
自治体BPOの事例|続いた自治体と、委託を終えた自治体から学ぶ
総務省は、窓口業務の委託を続けている自治体の事例集と、委託を終了した自治体の実施例集の両方を公表しており、並べて読むと、職員側のノウハウと体制をどう保つかが共通の論点になっています。
続いている自治体の事例(参考事例集)
| 自治体 | 委託の範囲と調達方法 | 運用のポイント |
|---|---|---|
| 埼玉県所沢市 | 市民税課・国民健康保険課などの窓口。市民税課は一般指名競争入札(最低価格方式)、国民健康保険課は随意契約(当初は指名競争入札だったが入札の辞退が相次いだ) | 課ごとの繁忙期に合わせて、契約の開始時期を国保課は4月、市民課は6月、市民税課は10月にしている |
| 埼玉県八潮市 | 国保年金課の国民健康保険・後期高齢者医療・国民年金の窓口と事務処理。随意契約(単年度契約) | 市職員3名と受託者の営業責任者・業務責任者が出席する月次定例会議を開催。契約終了時の引き継ぎをマニュアルで確実に行うことを仕様書に明記 |
| 千葉県我孫子市 | 国保年金課の国民健康保険・後期高齢者医療の窓口と後方業務。第1期・第2期は市独自の提案型公共サービス民営化制度による随意契約、第3期(平成30年4月から3年間)はプロポーザル方式 | 事業者の選定を早めに行って引き継ぎ期間を確保し、現在の受託者に次期事業者へマニュアル等を引き継ぐよう仕様書で求めている |
委託を終了した自治体の実施例(実施例集)
実施例集(令和3年2月作成)は、窓口業務の民間委託を実施したものの何らかの事情で終了した4自治体へのヒアリングをまとめたものです。そのうち3自治体を整理します。
| 自治体 | 終了の主な理由 | 委託中に挙がった課題 |
|---|---|---|
| 宮城県東松島市(随意契約) | 震災対応の国庫補助財源が終了し、一般財源で続けるだけの費用を用意できなかった | 受託事業者の従事者を指導・監督する市職員の育成と、市職員のノウハウの維持が課題。年度初めの契約開始が窓口の繁忙期と重なり、現場が混乱した |
| 千葉県成田市(一般競争入札) | 受託事業者の従事者が頻繁に入れ替わり、業務ノウハウが蓄積されず、住民サービスの向上や業務効率化が図られなかった。緊急雇用対策交付金を使った単年度契約だった | 窓口の混雑時に受託側の業務が完結せず、市職員が代わりに対応する場面があった |
| 神奈川県南足柄市(プロポーザル方式) | 働き方改革関連法などを受けた人件費の見直しで委託単価の上昇を事業者から申し出られ、予算の折り合いがつかなかった | 市職員が窓口に関わる機会が減ってスキルが低下した。終了後は会計年度任用職員の研修が課題で、入力業務は委託を継続している |
3自治体に共通するのは、職員のスキルや経験、受託スタッフの定着という、人に関わる課題です。これらは、誰がどの業務を経験し、どの研修を受け、いつ異動したのかを記録していないと、問題が表に出てからでないと気づけません。受託事業者の従事者が頻繁に入れ替わる場合も、窓口業務の経験を持つ職員がいなくなる場合も、記録があれば、後任の育成や配置の見直しを前もって検討できます。
職員のスキルや異動の履歴を残して配置の検討に使いたい場合の一例が、タレントパレットです。商品ページでは、社員データベースに履歴属性を蓄積し、異動履歴を時系列で可視化して次の異動候補者を抽出できること、スキル情報を見える化してeラーニング・研修管理を行えること、組織戦略と従業員データを掛け合わせた異動・配置のシミュレーションができることが紹介されています。注意点は、多彩な機能を使いこなすために、評価や経験などのデータの取り込みや権限設定を含む十分な初期構築が必要で、その期間は数日から2か月程度と差があることです。料金体系は個別の問い合わせが必要とされており、詳細は資料や公式サイトで確認してください。
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
タレントパレット
株式会社プラスアルファ・コンサルティング
タレントパレット
多言語対応◎eラーニングも活用していきたい企業におすすめ

出典:タレントパレット
導入企業:パナソニック株式会社、ソフトバンク株式会社など
口コミ
初見で感じたのは、やはりUIのわかりやすさです。日本人的な感覚にとてもマッチしているなと感じました。機能面では分析機能が非常に充実しています。いずれも見せかけの機能ではなく、人事情報を扱う側に立ち「これ、必要だよね」と話しかけてくるような機能が多数あり衝撃を受けました。タレントパレットの作りが、我々が目指している形そのものになっていて。何より集積したデータの分析によって、組織をより良くしていきたいという思想を感じたんですよね。マーケティングが基盤にあり、数字を根拠に結果を出していくという考え方で開発されているので、説得力があるなと感じています。
経営戦略実現に向けタレントパレットを導入
多数精鋭組織を育成するニトリHDの構想とは https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/case/details/nitori.html
おすすめ!
- 多様な人材データに基づいて人材管理
- 活用が可能人事と従業員にとって使いやすいデザインと操作性
- 人事評価や労務管理をはじめ、幅広い領域の「人事DX」を実現
- 「健康管理」「ストレスチェック」機能を活用し、健康的かつ長く働きやすい環境に!
- 組織診断や適性検査機能や人事異動シミュレーションを備え、人材を一元管理できる
気になる…
- 高機能・多機能な反面、無料トライアルは設けていないため必要な機能や不要な機能の判断が難しい
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人事考査を一定の役職以上が評価において管理できるメリットがある。一般社員からするとブラックボックス化していることになるが、評価側は見えない点がよいため、管理設定しやすいメリットがある。
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上司との面談の際は、こちらのツールをみながらフィードバックなどをもらっています。考課の際は進捗状況などこちらを確認すればOKです。オンライン研修もできるのは便利だと思いました。
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Todoをシステム側に通知できるので、システムに入りさえすればやらなければいけないことが流れずにまとまって閲覧できた。また、同様に動画研修への動線もスムーズに配置でき、受講漏れなどが減った。
ベンダーの導入事例には、人事異動の進め方について、次のように述べているものがあります。こちらも民間企業の事例で、自治体の状況を示すものではありません。
これまでの人事異動は上司の主観的な評価を元に行われがちでした。
出典:リコージャパン株式会社 導入事例(タレントパレット)
自治体BPOの発注方式|入札・随意契約・プロポーザル
自治体が民間事業者に業務を委託する契約は、地方自治法で一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りのいずれかの方法で結ぶとされ、指名競争入札と随意契約は政令で定める場合に限られます。
地方自治法第234条は、売買、貸借、請負その他の契約をこれらの方法で締結すると定めています。競争入札では、予定価格の制限の範囲内で、支出の原因となる契約であれば最低の価格で申込みをした者を契約の相手方とするのが原則です。ただし、政令の定めるところにより、最低価格の者以外を相手方とすることもできるとされています。総務省の事例集・実施例集に出てくる自治体の例を、方式ごとに整理すると次のとおりです。
| 方式 | 概要 | 事例集・実施例集に出てくる例 |
|---|---|---|
| 一般競争入札 | 参加の資格を満たす事業者が競争し、価格などで委託先を決める方式 | 千葉県成田市が一般競争入札方式で委託(実施例集) |
| 指名競争入札 | 自治体が指名した事業者で競争する方式。政令で定める場合に限る | 埼玉県所沢市の市民税課が一般指名競争入札(最低価格方式)で委託(事例集) |
| 随意契約 | 競争入札によらず特定の事業者と契約する方式。政令で定める場合に限る | 八潮市・東松島市は随意契約。所沢市の国民健康保険課は、入札の辞退が相次いだため随意契約に(事例集・実施例集) |
| プロポーザル方式 | 価格だけでなく、事業者の提案内容を評価して委託先を決める運用。地方自治法第234条に挙がる4つの方法とは別の呼び方 | 我孫子市の第3期(平成30年4月から)、南足柄市が採用(事例集・実施例集) |
どの方式を採るかは、業務の内容や自治体の条例・規則、財政状況で変わります。受託を目指す事業者は、自治体ごとに入札参加資格の申請が必要になる場合があるため、各自治体の案内や募集要項で参加資格、評価の基準、契約期間を確認してください。契約期間にも注意が必要です。成田市の例では、交付金を使った単年度契約のため、ノウハウが蓄積される前に委託が終了しました。発注する自治体にとっては、委託先を選ぶ段階で、複数年契約にするかどうか、次の事業者への引き継ぎをどう求めるかまで決めておくことが、委託の効果を左右します。法令・条例や運用は改正されることがあるため、最新の内容はe-Gov法令検索の地方自治法や各自治体の公表資料で確認してください。本記事は法的な助言ではありません。
導入時に注意すべき個人情報保護・法令遵守のポイント
自治体BPOで最も慎重な対応が求められるのが、偽装請負の防止と個人情報の保護です。総務省の「地方公共団体の窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン」は、この2点を中心に、委託の際に留意すべき事項をまとめています。発注する側も受託する側も、契約前に一度目を通しておきたい資料です。
偽装請負を防ぐ:職員から直接指示を出さない
業務委託(請負)では、受託事業者のスタッフに業務の指示を出すのは受託事業者の責任者です。自治体の職員がスタッフに直接指示を出すと、実態が労働者派遣とみなされ、偽装請負と判断されるおそれがあります。窓口業務では、制度に詳しい職員がすぐ近くにいるため、つい直接声をかけてしまう状況が起きやすいとされています。ガイドラインでは、職員と受託事業者の執務スペースを分ける、受託事業者のスタッフに制服を着用してもらう、判断が必要な案件は連絡票などを使って職員に引き継ぐ、といった工夫が紹介されています。
個人情報と特定個人情報の保護
自治体の窓口では、住所や家族構成、所得、健康状態など、機微な個人情報を日常的に扱います。委託にあたっては、個人情報保護法にもとづき、委託先で安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行うことが求められます。特にマイナンバーを含む特定個人情報については、番号法の規定が優先して適用されるため、個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」もあわせて確認する必要があります。委託先がさらに別の事業者に再委託する場合の取り扱いにも注意が必要です。
契約や仕様書で明確にしておきたい項目を整理すると、次のとおりです。
| 確認項目 | 契約・仕様書で決めておきたいこと |
|---|---|
| 取り扱う情報の範囲 | どの業務でどの個人情報を扱うか、マイナンバーを扱うかどうか |
| アクセスできる人 | 担当者の範囲、アクセス権限の付与と解除の手順、閲覧記録の残し方 |
| 作業場所と持ち出し | 作業を行う場所、書類や記録媒体の持ち出し禁止、私物端末の扱い |
| 再委託 | 再委託の可否、認める場合の事前承認と監督の方法 |
| 事故時の対応 | 漏えいなどが起きたときの報告期限、連絡経路、再発防止策の提出 |
| 契約終了時 | 情報の返却・廃棄の方法と、その証明の提出 |
表のうち「アクセスできる人」「契約終了時の廃棄」は、口頭の約束だけでは後から確認できません。従事者が入れ替わるたびに権限を付け替え、辞めた人の権限を確実に外すには、誰がいつ入り、いつ異動したのかという人の情報と権限が連動している必要があります。自治体の総務部門や受託事業者が、職員・スタッフのマイナンバーを扱う事務でも同じことがいえます。ここで取り上げるのは、住民の情報ではなく、職員やスタッフの人事情報を扱う場面です。
権限の管理とマイナンバーの管理を人事情報とあわせて行いたい場合の一例が、ジンジャー人事労務です。商品ページによると、権限設定では従業員単位や所属組織にもとづいて「編集」「閲覧」「非表示」を設定でき、異動や人事発令を予約登録するとジンジャー内の権限もタイムラグなく自動で変更・付与されます。マイナンバー管理では、二重パスワードや閲覧権限の制限、操作ログの確認といったセキュリティ機能が標準で搭載され、退職した従業員のマイナンバーは、法律に定められた保存期間を過ぎると廃棄の通知が届くとされています。注意点は、契約後から運用開始まで約3-5か月を要するのが一般的であることと、契約期間の途中で解約や利用者数の減少があっても払い戻しには対応していないことです。料金は利用するサービスやプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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ペーパーレスで人事をもっと楽に!ニーズに合わせてカスタマイズしたい企業におすすめ

出典:ジンジャー人事労務
導入企業:株式会社モスフードサービス、エイブル保証株式会社など
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ジンジャー導入前は、システム間のデータ連携処理に相当な時間がかかっていました。
月中に入社する社員もいるため週次でこの処理が発生するのですが、人事から勤怠、人事から給与…とそれぞれで連携処理をおこなう必要があり、各連携には1時間ほどかかっていましたね。週で換算すると10時間ほどかかっていたと思います。ジンジャーではこの連携処理にかかる時間がゼロになったので、業務が止まってしまったり、PCの動作が重くなったりすることもなく助かっています。
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- 1つのデータベースで人事情報を一元管理でき、ペーパーレス化・業務効率化につながる
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- 従業員に関する情報は自動で時系列ごとにまとめられ、いつでも確認できる
気になる…
- 申し込みから運用開始までに最低2~3ヶ月程度かかる
ベンダーの導入事例には、複数のシステムに分かれていた人事データを一元管理した企業について、次のように紹介されているものがあります。民間企業の事例で、自治体での効果を示すものではありません。
毎回発生していたデータ連携作業がゼロに。勤怠集計から給与計算にかかっていた時間が1/3に短縮。
出典:株式会社ベルーナ 導入事例(ジンジャー)
自治体BPOでよくある失敗パターン
委託を始める話はよく目にしますが、委託をやめた理由や、やめた後に何が起きたかを知っておくと、導入時に避けるべき落とし穴が見えてきます。前の事例の章で見た総務省の実施例集や各種の解説から読み取れる、よくある失敗パターンを整理すると次のとおりです。
| 失敗パターン | 起きやすい原因 | 事前にできる対策 |
|---|---|---|
| 期待した効果が出ない | 「職員の負担を減らしたい」という漠然とした目的のまま委託範囲を決めた | 待ち時間、処理件数、職員の残業時間など、改善したい指標を先に決める |
| 職員の負担が減らない | 判断が必要な案件の引き継ぎが多く、職員が結局すべてを確認している | 工程を分解し、職員に戻る案件の条件と件数の見込みを事前に整理する |
| 業務がブラックボックス化する | 処理件数や応対品質の報告を求めておらず、実態がわからない | 報告の項目と頻度を仕様書に書き、定期的に受託者と振り返る |
| 偽装請負を指摘される | 忙しい時間帯に職員がスタッフへ直接指示を出す運用が常態化した | 執務スペースの区分と、連絡票による引き継ぎを運用ルールにする |
| 従事者が定着せずノウハウが蓄積されない | 受託事業者の従事者が頻繁に入れ替わり、業務のイメージのすり合わせも不足していた(成田市の例) | 従事者の研修と定着の状況を定期的に報告させ、業務量や来庁者対応の負担を事前に共有する |
| 職員にノウハウが残らず戻せない | 受託業者への依存度が高く、職員に細部のノウハウが蓄積されなかった(東松島市の例) | 手順書の所有権と更新義務、終了時の引き継ぎ方法を契約で決め、職員の窓口経験も計画的に確保する |
特に見落とされやすいのが最後の「戻せない」問題です。委託期間が長くなるほど、職員が実際の手順を知らない状態になり、受託事業者を変えたくても、自前に戻したくても身動きがとれなくなります。委託を始める時点で終わり方まで決めておくことが、結果的に委託先との健全な関係を保つことにつながります。受託を目指す事業者にとっても、引き継ぎを前提とした手順書の整備を提案できることは、信頼を得る材料になります。
3サービスの役割を比較表で見る自治体BPOの導入の進め方と委託先の選び方
自治体BPOは、現状の把握から始め、目的と委託範囲を決め、委託先を選び、移行期間を経て本格運用に入るという順で進めるのが基本です。前の章で見た失敗の多くは、この順番のどこかを省いたことから起きています。ここでは、導入までの流れと、委託先を比べるときの確認ポイントを整理します。
導入までの流れ
| 段階 | 行うこと | 押さえておきたい点 |
|---|---|---|
| 1. 現状の把握 | 業務を工程に分け、件数、処理時間、担当する職員の時間を調べる | 時間帯や曜日、月ごとの繁閑の差も記録しておく |
| 2. 目的と指標の設定 | 待ち時間、残業時間、誤りの件数など、改善したい指標を決める | 「人手が足りないから」で止めず、何をどの程度変えたいかまで言葉にする |
| 3. 委託範囲の決定 | 工程ごとに委託の可否を確かめ、職員に残す判断と引き継ぎの条件を決める | 前後の工程が分断されないよう、関連する作業はまとめて検討する |
| 4. 仕様書の作成と委託先の選定 | 業務内容、報告の項目、情報管理の条件を仕様書に書き、調達手続きを進める | 価格だけでなく、体制や改善提案の内容も比べられる形にする |
| 5. 移行と並行運用 | 手順書を整え、職員への周知と受託事業者の研修を行い、試験的に運用する | 職員の頭の中にしかない手順を文書にする時間を見込んでおく |
| 6. 本格運用と見直し | 定期的な報告と振り返りで、指標の推移を確かめる | 制度改正や件数の変化に合わせて、仕様と体制を見直す |
準備や移行にかかる期間は、業務の規模や種類によって大きく変わります。いきなりすべての業務を切り替えるのではなく、対象を絞って始め、効果を確かめながら範囲を広げていく進め方であれば、規模の小さい自治体でも取り組みやすくなります。受託を目指す事業者の側から見ると、この流れのうち1から3を自治体と一緒に整理できるかどうかが、提案の質を分ける部分です。プロジェクトを横断して進行を管理する役割については、PMOの役割と体制設計の解説記事も参考になります。
委託先を選ぶときの確認ポイント
委託先を比べるときは、価格に加えて、業務を安定して続けられる体制があるかどうかを確かめます。主な確認ポイントは次のとおりです。
| 確認ポイント | 見ておきたい内容 |
|---|---|
| 同種の業務の実績 | 規模の近い自治体や同じ種類の業務での受託経験があるか、制度や手続きへの理解があるか |
| 情報セキュリティの体制 | プライバシーマークやISMS認証の取得状況、スタッフへの教育、アクセス権限や記録の管理方法 |
| 繁閑や制度改正への対応力 | 繁忙期や臨時の事務で人員を増やせるか、制度が変わったときに手順書と研修を更新できるか |
| 従事者の定着と研修 | 従事者の入れ替わりの状況、リーダーとの意思疎通、研修の内容と記録を、自治体側で確認できるか |
| 報告と改善提案 | 処理件数や品質をどの頻度で報告するか、業務の見直しを提案する仕組みがあるか |
| 費用の妥当性 | 見積もりの内訳が業務量と対応しているか、極端に低い価格で体制が維持できるのか |
認証の取得は情報管理に取り組んでいることを示す目安のひとつですが、取得していれば十分というわけではありません。実際の作業場所で誰がどの情報に触れられるのか、記録がどう残るのかまで確かめることが大切です。受託を目指す事業者にとっては、ここに挙げた項目がそのまま、提案書で示すべき内容の一覧になります。
委託の前に、職員・スタッフの体制を把握できていますか?セルフチェック
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導入効果をどう確認するか
自治体BPOの効果は、委託費と職員の人件費を比べるだけでは十分に測れません。委託前にかかっていた職員の時間には、残業や繁忙期の応援、研修の負担なども含まれますし、効果のなかには住民の待ち時間の短縮のように金額に換算しにくいものもあります。委託の前後で同じ指標を比べられるよう、委託を始める前に現状を測っておくことが大切です。
| 観点 | 指標の例 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 住民サービス | 窓口の待ち時間、電話の応答率、住民アンケートの満足度 | 委託前の数値と月次で比べる |
| 業務の品質 | 入力や交付の誤りの件数、差し戻しの件数、苦情の件数 | 受託者の報告と職員側の記録を突き合わせる |
| 職員の負担 | 担当課の残業時間、職員に戻ってきた案件の件数 | 勤怠の記録と引き継ぎ件数の推移を見る |
| コスト | 委託費、職員の人件費、システムや場所の費用の合計 | 年度単位で委託前と比べ、臨時事務の影響を分けて考える |
| 情報管理 | アクセス権限の見直し状況、廃棄の記録、事故やヒヤリハットの件数 | 定期的な立入確認や記録の提出を求める |
このうち「情報管理」は、効果測定というより委託先の監督の一部ですが、委託が長く続くほど確認がおろそかになりやすい項目です。委託当初に決めたアクセス権限が人の入れ替わりのたびに正しく見直されているか、不要になった個人情報が期限どおり廃棄されているかは、記録が残っていなければ確かめようがありません。一方、「職員の負担」の指標は、残業時間や戻ってきた案件の件数だけを見ても、原因が人員の配置にあるのか、スキルや研修にあるのかを切り分けられません。職員の配置やスキルの記録を、勤怠などの数字とあわせて見られるようにしておくと、見直しの方向を決めやすくなります。
カオナビは、商品ページで、人員計画の進捗をダッシュボードで確認できることや、残業・休日出勤・休暇などの申請と承認を扱える勤怠管理の機能を備えていることが紹介されています。人員配置の検討と勤怠の記録を結びつけて見たい組織は、資料で機能を確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 自治体BPOとは何ですか?
A. 自治体の業務の一部を、業務の設計から運用、改善まで含めて民間事業者に継続的に委託することです。人材派遣と違い、業務の進め方や人員配置は受託事業者が責任を持って決め、自治体の職員は受託事業者のスタッフに直接指示を出しません。
Q2. 自治体BPOと公共BPO、一般的な業務委託は何が違いますか?
A. 一般的な業務委託は特定の作業を切り出して任せるのに対し、BPOは受付から処理、報告、改善提案までの流れをまとめて任せ、業務の進め方の見直しまで含みます。「公共BPO」は官公庁を含む公共分野全体を指して使われることが多く、自治体BPOは住民向けの業務が中心です。自治体の場合は、委託先を入札などの手続きで決める点も、民間企業どうしの委託と異なります。
Q3. 自治体はどのような業務を民間に委託できますか?
A. 公権力の行使にあたらない、定型的・補助的な業務が基本です。住民票や戸籍の窓口での受付や引き渡し、保険・年金・子育て支援の届出の受付や入力、コールセンター、給付金の審査補助などが代表例です。交付や給付の可否を決める判断は職員に残ります。業務ごとの範囲は、総務省がまとめている各省庁の通知で確認できます。
Q4. 窓口業務の委託で偽装請負にならないためにはどうすればよいですか?
A. 職員が受託事業者のスタッフに直接指示を出さない運用にすることが基本です。総務省のガイドラインでは、執務スペースを分ける、スタッフに制服を着用してもらう、判断が必要な案件は連絡票などで職員に引き継ぐ、といった工夫が紹介されています。
Q5. 自治体は委託先をどのような方法で決めますか?
A. 地方自治法では、契約を一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りのいずれかの方法で結ぶとされ、指名競争入札と随意契約は政令で定める場合に限られます。総務省の事例集や実施例集には、指名競争入札、随意契約、提案内容を評価するプロポーザル方式などで委託先を決めた自治体が載っています。募集要項や仕様書で、参加資格と評価の基準を確認してください。
Q6. 自治体BPOでよくある失敗は何ですか?
A. 目的が曖昧なまま委託して効果が出ない、職員に戻る案件が多く負担が減らない、報告の仕組みがなく業務がブラックボックス化する、受託事業者の従事者が定着せず職員にもノウハウが残らない、といった例があります。総務省は委託を終了した自治体の実施例集も公表しており、導入前の確認に役立ちます。
まとめ
自治体BPOは、限られた職員で住民サービスを維持するための有力な手段ですが、民間企業どうしの委託とは異なるルールがあります。導入を検討する際は、次の5つを押さえておきましょう。
- 委託できるのは公権力の行使にあたらない作業で、判断は職員に残る。業務を工程に分解して線引きする
- 発注方式(入札・随意契約・プロポーザル)と契約期間も含めて設計し、委託の終わり方(手順書の所有、引き継ぎ、情報の廃棄)を最初の契約で決めておく
- 職員から受託事業者のスタッフに直接指示を出さない運用と、個人情報、特にマイナンバーを含む情報の安全管理を、契約と運用の仕組みにする
- 職員のスキル・配置・研修と、受託スタッフの入れ替わりを記録に残す。人事情報を一元管理する人事管理システムの資料を取り寄せ、自組織に合うかを検討する
- 委託前に現状を測り、住民サービス・品質・職員の負担・コスト・情報管理の観点で、同じ指標を使って効果を確かめる
発注する自治体にとっても受託する事業者にとっても、総務省のガイドラインや事例集は共通の出発点になります。自社や自組織の状況に照らして、どの業務をどこまで任せるのかを整理するところから始めてみてください。
参考文献
- 総務省「民間委託における各業務別資料(地方公共団体の窓口業務・地方公共団体の公金徴収業務・公物管理業務・その他)」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/koukyo_service_kaikaku/chiiki/gyoumukanren.html
- 総務省「地方公共団体の各種窓口における民間委託可能な範囲等の通知」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/koukyo_service_kaikaku/chiiki/gyoumukanren/madoguchi.html
- 総務省「地方公共団体の窓口業務における適正な民間委託に関するガイドライン」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000543101.pdf
- 総務省「窓口業務の民間委託による効果についての参考事例集」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000590634.pdf
- 総務省「窓口業務の民間委託を終了した自治体に係る実施例集」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000734846.pdf
- 個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」 https://www.ppc.go.jp/legal/policy/
- e-Gov法令検索「地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067
- 矢野経済研究所「自治体向けBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2025年)」(2026年1月30日発表) https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/4014