BPO領域とは?委託できる業務一覧と、最初に任せる業務の優先順位のつけ方

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  • BPO領域の意味と3つの分け方がわかる
  • 6つの領域ごとの業務例と注意点がわかる
  • 最初に任せる業務を決める4つの観点がわかる

BPO領域とは、企業の業務プロセスを外部の専門事業者に継続的に委託できる業務分野の範囲のことです。BPOは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略で、経理・総務などのバックオフィス、顧客対応などのフロントオフィス、IT・Webといった分野に広がっています。対象が広いぶん、自社のどの業務が委託の候補になるのか、どこから任せればよいのかが見えにくいのも実情です。この記事では、領域の分け方と6つの領域ごとの業務例を一覧で整理したうえで、同じ領域の中でも工程によって委託の向き不向きが分かれる理由と、最初に任せる業務の優先順位のつけ方までを順に解説します。

委託を考えている領域と悩みから、読む箇所を診断

Q1. 外部に任せることを考えている領域はどちらですか?

目次

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  1. BPOの領域を決めるときは、任せる工程と社内に残す判断を分ける
  2. BPOで委託できる業務領域一覧
  3. BPOの対象領域が広がっている背景
  4. バックオフィス系業務(経理・総務)
  5. 人事・採用系業務
  6. 顧客対応系業務(コールセンター・受付)
  7. IT・Web系業務、営業系業務
  8. BPOを導入するメリットと注意点
  9. 委託先の選び方と契約形態の注意点
  10. 委託する業務の優先順位づけ方
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ
  13. 参考文献

BPOの領域を決めるときは、任せる工程と社内に残す判断を分ける

BPOの領域を決めるときは、領域の名前で判断するのではなく、手順を外部に渡せる工程と、社内に残す判断を分けて考えるのが基本です。

経理・人事・顧客対応といった領域は、どれも手順の決まった工程と、判断を伴う工程が混ざっています。たとえば人事・採用の領域では、応募者対応や面接日程の調整は外に出しやすい一方で、誰を採用するかの合否判断は社内に残すのが一般的です。工程を外に出しても合否は自社で判断するため、その物差しを自社の中に持っておく必要があります。

判断の材料をそろえる手段のひとつが適性検査です。評価する観点は検査ごとに異なるため、代表的な2つのサービスを、役割の違いで並べます。

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注意したい点 受検から分析までシステム上で行うため、紙や対面の個室での受検には対応していない。採用基準づくりには社員の受検が必要 採用候補者への利用は有料プラン(要見積もり)。合否を自動で判定するサービスではない
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BPOで委託できる業務領域一覧

BPOで委託できる業務領域は、経理・財務、総務・一般事務、人事・採用、顧客対応、IT・Web、営業・マーケティングの6つに整理できます。

BPOとは、企業の業務プロセスの一部を外部の専門事業者に継続的に委託することです。経済産業省東北経済産業局も、BPOを企業の業務プロセスの一部を外部に委託することと説明し、近年はクラウドサービスとして展開されることから業務のデジタル化にも寄与するとしています。単に作業を代わりに行う人手を借りるのではなく、業務の流れごと任せ、改善提案まで含めて運用してもらう点が、スポットの外注との違いです。

BPOの領域の3つの分け方

「領域」は、どの軸で見るかによって分け方が変わります。調べるときに出会いやすい分け方を、次の3つに整理します。

分ける軸 分け方 わかること
1. 部門の機能 バックオフィス(経理・人事・総務などの間接部門)、フロントオフィス(営業事務・カスタマーサポートなど顧客と直接関わる部門)、IT・システム関連 自社のどの部門の業務が対象になるか
2. IT系か非IT系か 矢野経済研究所は、国内のBPO市場をIT系BPOと非IT系BPOに分けて推計している 市場の動向と、事業者の得意分野
3. 業種共通か業種特有か 経理・総務のように業種を問わない業務と、医療事務や物流、建設業のように業種ごとに求められる専門業務 業種に詳しい委託先が必要かどうか

この記事では、1の部門の機能による分け方を6つの領域に細分して一覧にし、2と3は背景や委託先選びの視点として後半で扱います。

領域・業務・業種・職種の違い

BPOを調べていると、領域のほかに「業務」「業種」「職種」という言葉も出てきます。領域は委託できる業務のまとまり、業務は請求書の発行や日程調整といった個々の作業、業種と職種は委託先や担当者を産業・役割で区別する言葉です。個別の業務の範囲を詳しく知りたい場合はBPOで委託できる業務一覧が、業種や職種で整理した全体像はBPOの対象業種・職種を俯瞰マップで整理した記事が参考になります。

アウトソーシング・人材派遣・BPRとの違い

BPOの対象領域を考える前に、似た言葉との違いを押さえておくと、自社に必要なのがBPOなのか別の手段なのかを判断しやすくなります。

手段 任せるもの 業務の指示を出す人
BPO 業務プロセスの設計・運用・改善まで継続的に任せる 委託先
アウトソーシング(一般的な業務委託) 特定の作業や成果物を任せる。BPOはこの一形態にあたる 委託先
人材派遣 人材を受け入れ、自社の業務に従事してもらう 自社(派遣先)
BPR 外部に任せるのではなく、業務プロセスそのものを自社主導で抜本的に見直す取り組み 自社

人手が足りないだけで業務の進め方は自社で決めたい場合は人材派遣、業務の進め方ごと専門事業者に任せて改善まで期待したい場合はBPOが向いています。BPRで業務を整理してからBPOで外に出すというように、組み合わせて使われることもあります。4つの違いを軸ごとに詳しく比べたい場合は、BPOとアウトソーシング・派遣・BPRの違いをご覧ください。

BPOの対象になる6つの業務領域

委託できる業務は、大きく次の6つの領域に整理できます。

領域(部門の機能) 主な委託業務の例 委託のしやすさ
経理・財務(バックオフィス) 記帳・仕訳、請求書発行、入金消込、経費精算、月次・年次決算の補助 高い(手順が定型化しやすい)
総務・一般事務(バックオフィス) 備品管理、郵便物・契約書の管理、出張手配、データ入力、資料作成 高い
人事・採用(バックオフィス) 採用代行(RPO)、給与計算、社会保険手続き、勤怠集計、研修運営 高い(工程ごとに切り出せる)
顧客対応(フロントオフィス) コールセンター、メール・チャット対応、電話代行、受付業務 中程度(対応ルールの整備が前提)
IT・Web(IT・システム関連) ヘルプデスク、サーバー・システム運用、アカウント管理、Webサイトの更新・制作 中程度(権限管理の設計が必要)
営業・マーケティング(フロントオフィス) テレアポ、インサイドセールス、広告運用、SNS運用、記事作成 中程度(成果指標の合意が前提)

このほか、ECサイトの商品登録や在庫更新、アンケートや売上データの集計といったデータ処理業務、物流・配送、翻訳、医療事務など、業種特有の業務を専門に請け負うBPOもあります。一覧を見るときのポイントは、「委託のしやすさ」が業務そのものの難易度ではなく、手順を文書にして外部に渡せるかどうかで決まることです。同じ経理でも、請求書の発行は委託しやすく、資金繰りの判断は社内に残すべき業務というように、領域の中でも工程によって向き不向きが分かれます。

BPOの対象領域が広がっている背景

BPOの対象領域が広がっている背景には、人手不足と、DXにともなう業務の見直しがあります。

東北経済産業局は、東北地域では人口減少や少子高齢化が進み、企業にとって人手不足や事業承継が大きな課題になっているとしています。そのうえで、都市部や大企業では業務の一部を専門事業者に委託するBPOが広がり、コスト削減や働き方改革、クラウド活用によるDX推進に役立っていると紹介しています。

市場の数字でも同じ傾向が見られます。矢野経済研究所の2025年11月の発表によると、2024年度の国内BPO市場規模は事業者売上高ベースで前年度比4.0%増の5兆786億5,000万円と推計されています。内訳は、非IT系BPOが1兆9,566億5,000万円(同1.0%増)、IT系BPOが3兆1,220億円(同5.9%増)です。同社は、DXに取り組む企業が増え、人的リソースの再配置が進むなかで、自社の事業リソースで不足したノンコア業務を中心に外部のリソースを活用する動きが高まっていると分析しています。利用は大手企業から中堅・中小企業へ、さらに官公庁・自治体へと広がっており、自治体向けの委託はbpo 自治体とは?委託できる業務・メリット・事例と、発注方式・個人情報の注意点で解説しています。

市場規模の数字は、調査機関や推計の時点によって異なり、毎年見直されます。数字の違いの見方はBPO市場規模は5兆円?調査ごとに数値が違う理由と将来性で整理しています。

領域が広がるということは、自社にも委託できる業務が増えるということです。すべてを一度に検討するのではなく、領域ごとの特徴を押さえたうえで優先順位をつけることが、次の章以降のテーマになります。

バックオフィス系業務(経理・総務)

バックオフィス系のBPOでは、経理の記帳・請求書発行・入金消込や、総務の備品管理・契約書管理といった、毎月同じ手順で発生する定型業務が委託の中心です。BPOの中でも委託実績が多い領域で、成果物(帳簿、請求書、支払データなど)の正誤が明確なため、委託先との間で品質の基準を合わせやすいことが理由です。

経理・財務で委託できる業務

経理で委託されることが多いのは、証憑にもとづく記帳・仕訳、請求書の発行と送付、入金消込、支払処理、経費精算のチェック、月次決算の補助などです。会計ソフトやクラウドストレージを共有すれば、委託先が遠隔で作業できるため、担当者が1人しかいない会社でも急な欠員に備えられます。一方で、予算策定や資金繰りの判断、金融機関との交渉など経営判断に近い業務は、社内に残すのが一般的です。財務の領域で委託できる範囲と、経理BPOとの違いは財務BPOとは?経理BPOとの違いと委託できる範囲・できない範囲で詳しく解説しています。

総務・一般事務で委託できる業務

総務では、備品や消耗品の発注管理、郵便物の受け取りとスキャン、契約書の保管・期限管理、社員の出張手配、データ入力や資料作成などが委託の対象になります。1件あたりの作業は小さくても、積み重なると担当者の時間を大きく占める業務です。オンラインで依頼を受け付けるサービスを使えば、専任の総務担当がいない小規模な会社でも、必要な分だけ依頼できます。

バックオフィス業務を委託する際に注意したいのは、社内独自のルールが暗黙のまま運用されているケースです。「この取引先は月末締めではなく20日締め」「この経費は部長の確認が必要」といった例外を洗い出して手順書にまとめることが、委託を成功させる前提になります。

人事・採用系業務

人事・採用系の業務は、定型的な労務手続きと、専門性が成果を左右する採用活動の2つに分けて考えると、委託の範囲を決めやすくなります。

労務・給与関連の業務

給与計算、年末調整、社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続き、勤怠データの集計などは、法令にもとづいて手順が決まっているため委託しやすい業務です。法改正や保険料率の変更に委託先が対応してくれるため、担当者が制度の更新を追い続ける負担も減らせます。なお、社会保険労務士法第27条は、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者が、他人の求めに応じて報酬を得て、労働・社会保険の申請書等の作成や提出手続の代行などを業として行うことを制限しています(他の法律に別段の定めがある場合などを除く)。委託先に社労士が関与しているかを確認しておきましょう。個別の法的判断は、専門家や所管の行政機関に確認してください。

採用業務(RPO)

採用業務は、採用計画の立案、求人票の作成、求人媒体の運用、スカウト送信、応募者対応、面接日程の調整、内定者フォローといった工程に分けられます。すべてを任せる方法もあれば、応募者対応と日程調整だけを任せ、面接と合否判断は社内で行う方法もあります。採用活動は時期によって業務量の波が大きく、専任担当を置きにくい中小企業ほど、必要な時期に必要な工程だけを委託できるメリットは大きくなります。

採用の工程 委託しやすさ 社内に残したい判断
採用計画・ターゲット設計 助言を受けながら共同で進める 求める人物像と採用人数の最終決定
求人票作成・媒体運用・スカウト送信 高い 訴求内容の事実確認
応募者対応・日程調整 高い 特にない(対応ルールを共有する)
面接・合否判断 一次面接のみ委託する例もある 最終面接と採用可否

採用業務は、工程ごとに切り出して小さく委託を始め、成果を見ながら範囲を広げていける点で、BPOの最初の一歩に向いた領域です。ただし、表の右端にあるとおり、最終面接と採用可否の判断は社内に残ります。応募者対応や日程調整を外に出しても、面接と合否判断は自社で行うため、面接官ごとに判断の基準がそろっているかが採用の質を左右します。社員の受検結果から自社独自の採用基準をつくれる適性検査は、委託先が集めた応募者を、自社の物差しで見極めるための材料になります。

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顧客対応系業務(コールセンター・受付)

顧客対応系のBPOには、コールセンター、メール・チャットのサポート、電話代行、受付業務があり、問い合わせ件数の増減に合わせて体制を調整できる点が特徴です。問い合わせ件数は季節やキャンペーンで大きく変動するため、外部に委託して繁忙期だけ席数を増やすといった柔軟な運用ができます。

一方で、顧客対応は会社の印象を直接左右する業務です。委託前に、よくある質問と回答、社内の担当部署へ引き継ぐ条件、クレームへの対応方針をまとめておかないと、回答が担当者によってばらついたり、社内への確認待ちで対応が遅れたりします。委託後も、応答率や一次解決率、顧客満足度といった指標を定期的に共有してもらい、対応ルールを見直していく体制が欠かせません。

小規模な会社では、まず代表電話の一次受付だけを電話代行に任せ、用件をメールやチャットで受け取る形から始めると、担当者が電話に中断されずに本来の業務に集中できるようになります。

IT・Web系業務、営業系業務

IT・Web系ではヘルプデスクやシステム運用、営業・マーケティング系ではテレアポ、インサイドセールス、広告運用などが、委託の中心になる業務です。どちらも専門人材を社内で育てるのに時間がかかるため、外部の知見を借りる使い方が向いています。

IT・Web系業務

IT系のBPOでは、社員からのパソコンやアカウントに関する問い合わせに答えるヘルプデスク、サーバーやネットワークの監視・運用、パソコンの調達とキッティング、SaaSのアカウント管理などが委託の対象になります。専任の情報システム担当を置けない会社が、総務担当の兼務で対応している業務を外に出すケースが典型です。Webサイトの更新や制作、Webコンテンツの運用もこの領域に含まれます。

IT系の業務を委託する際は、委託先に付与する管理者権限の範囲、アクセスログの確認方法、情報漏えい時の責任分担を契約で明確にしておくことが重要です。委託先の情報セキュリティ体制(認証の取得状況や再委託の有無など)も確認しましょう。

営業・マーケティング系業務

営業系では、テレアポやフォーム営業による商談獲得、見込み客を育成するインサイドセールス、営業事務などが委託されます。マーケティング系では、Web広告の運用、SNSアカウントの運用、記事コンテンツの作成などが代表的です。いずれも専門スキルを持つ人材を社内で育てるには時間がかかるため、立ち上げ期に外部の知見を借りる使い方が向いています。

この領域は成果が数字で表れる反面、「件数は達成したが商談の質が低い」といったすれ違いが起きやすい領域でもあります。アポイント件数だけでなく、商談化率や受注につながった件数など、どの指標で評価するかを委託前に合意しておくことが大切です。

BPOを導入するメリットと注意点

BPOを導入するメリットは、社内の人員を判断や企画が必要なコア業務に回せること、専門性と品質を外部から得られること、業務量の増減に合わせて体制を調整しやすいことの3点です。

観点 メリット 注意したい点
社内の人員 定型的な業務を外に出し、社員をコア業務に集中させやすい 業務の切り出しに手間がかかり、社内に心理的な抵抗が出ることがある
専門性と品質 専門事業者の知見で、法改正への対応や業務品質の標準化を期待できる 任せきりにすると、社内にノウハウが残らなくなる
コストと柔軟性 繁忙期だけ体制を広げるなど、業務量の波に合わせて調整しやすい 導入前の準備や、委託先との定例の確認など、運用の手間は残る
情報管理 委託先のセキュリティ体制を活用できる場合がある 個人情報や取引先情報を渡すため、委託先の監督が必要

東北経済産業局が金融機関やBPO事業者と設けた検討会でも、BPOには業務効率化や人材不足対策、ITリテラシー向上など多くの利点がある一方で、業務の切り出しの難しさや心理的な抵抗といった課題があることが確認されています。だからこそ、切り出しやすく効果が見えやすい業務から順番に委託していくことが、BPOを定着させる近道です。

委託範囲を広げるほど注意したいのが、業務のノウハウが社内に残らなくなるリスクです。委託先を変更したり業務を社内に戻したりするときに困らないよう、手順書や業務マニュアルを委託先と共同で更新し、自社でも保管しておくこと、月次などで処理件数や改善内容の報告を受けることを契約に盛り込んでおきましょう。

BPOで定型業務を外に出すと、社内の人員は判断や企画が必要な業務へ移りやすくなります。その配置を感覚だけで決めないための材料として、従業員の価値観・特性や適性部署ランキングを確認できる適性検査もあります。テキカクの従業員向けプランは期間・人数の制限がない無料プランで、採用候補者への利用は有料プランです。導入事例では、採用以外の場面でも、入社後の人材配置や育成にデータを活用する予定が語られています。

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委託先の選び方と契約形態の注意点

BPOの委託先は、対応できる領域、専門性と実績、情報管理の体制、報告の仕組みの4点で比べ、契約は業務の性質に合わせて請負か準委任かを選びます。

委託先を選ぶ4つの確認点

確認点 見るポイント
1. 対応できる領域 今回任せる業務に加え、将来ほかの領域へ広げるときにも対応できるか
2. 専門性と実績 同じ領域・同じ規模の会社での実績や、業種特有の知識があるか
3. 情報管理の体制 第三者認証の取得状況、データの受け渡し方法、再委託の有無、契約終了時のデータ削除
4. 報告と改善の仕組み 処理件数や品質の指標をどの頻度で共有し、改善提案まで受けられるか

見積もりは、少なくとも2社から3社に同じ条件で依頼すると、業務範囲と報告の方法を横並びで確認できます。料金の安さだけで決めると、業務範囲の認識違いから追加の費用が発生しやすいため、任せる範囲と期間を1枚にまとめてから依頼するのがおすすめです。

請負と準委任の違い

BPOは一般に業務委託契約で行われますが、民法に「業務委託契約」という名前の契約はなく、実際には請負か準委任のいずれかで結ぶのが一般的です。民法第632条は、請負を、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその結果に対して報酬を支払うことを約する契約と定めています。一方、法律行為でない事務の委託は、民法第656条により委任の規定が準用され、これが準委任です。

給与計算のように成果物が明確な業務は請負、受付業務やコールセンターのように業務の提供そのものが目的の業務は準委任とされることが多く、契約書では成果物の定義と報告の方法をあわせて決めておきます。個別の契約の判断は、専門家に確認してください。

偽装請負と個人情報の取扱い

契約面では、委託先のスタッフに社内の社員が直接細かい作業指示を出さないよう注意が必要です。業務委託(請負)の形をとりながら、実態として発注側が指揮命令を行っていると、いわゆる「偽装請負」として労働者派遣法に違反するおそれがあります。厚生労働省は、派遣か請負かは契約の形式ではなく実態に即して判断されるとしているため、指示は委託先の責任者を通して行う運用を決めておきましょう。

委託先に個人データを渡す場合は、個人情報保護法第25条により、安全管理が図られるよう委託先に対する必要かつ適切な監督を行わなければなりません。委託先の選定、委託契約の内容、取扱状況の把握を確認し、再委託の有無も契約前に押さえておきます。以上は一般的な情報提供であり、個別の法的判断は専門家や所管の行政機関に確認してください。

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委託する業務の優先順位づけ方

委託する業務の優先順位は、手順が決まっているか、業務量に波があるか、社内に専門人材がいないか、経営判断から遠いかの4つの観点で決めるのが基本です。

委託できる領域が分かっても、すべてを一度に外に出すのは現実的ではありません。候補の業務を洗い出したら、次の4つの観点で評価すると優先順位をつけやすくなります。

評価の観点 優先度が高い業務の状態 当てはまりやすい業務の例
1. 手順が決まっているか 手順書にでき、例外が少ない 記帳、請求書発行、給与計算、日程調整
2. 業務量に波があるか 時期によって作業量が大きく変わる 採用活動、年末調整、繁忙期の問い合わせ対応
3. 社内に専門人材がいないか 兼務や属人化で回している 採用、ヘルプデスク、広告運用
4. 経営判断から遠いか 成果物の良し悪しを外部でも判断できる データ入力、応募者対応、一次受付

4つの観点に多く当てはまる業務ほど、委託の効果が出やすく、失敗したときの影響も小さくなります。反対に、経営方針や顧客との関係づくりに直結する業務は、BPOの対象にせず社内に残す判断も必要です。

委託の進め方は、次の順番が基本です。まず候補業務の作業時間を1か月ほど記録し、次に手順書を作って委託範囲を決めます。そのうえで複数の委託先から見積もりを取り、小さな範囲で試してから広げていきます。導入前の作業時間を記録しておけば、委託後にどれだけ社内の時間が空いたかを数字で示せるため、次の領域へ委託を広げる判断材料になります。

4つの観点すべてに当てはまりやすいのが採用業務です。手順を工程ごとに切り出せ、時期による業務量の波が大きく、専任担当を置きにくいうえ、応募者対応や日程調整は経営判断から離れています。まずは採用の一部工程から委託して成果を確認し、そこで得た手順書づくりや委託先とのやり取りの経験を、経理や顧客対応など他の領域へ広げていく進め方が現実的です。

ここまでの内容を、委託したあとも社内に残る判断の進め方に当てはめて、自社の状況をチェックしてみましょう。

委託したあとも社内に残る判断、今の進め方で足りていますか?セルフチェック

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よくある質問(FAQ)

Q1. BPOとは何ですか?

A. BPOは「ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略で、企業の業務プロセスの一部を外部の専門事業者に継続的に委託することです。作業を代行するだけでなく、業務の流れごと任せて改善提案まで受ける点がスポットの外注との違いで、業務の指示を委託先が出す点が人材派遣との違いです。

Q2. BPOの領域にはどのようなものがありますか?

A. 部門の機能で分けると、バックオフィス、フロントオフィス、IT・システム関連に大別でき、さらに経理・財務、総務・一般事務、人事・採用、顧客対応、IT・Web、営業・マーケティングの6つの領域に整理できます。市場調査では、IT系BPOと非IT系BPOに分けて推計されることもあります。

Q3. BPOの具体例には何がありますか?

A. 経理の記帳・請求書発行・入金消込、給与計算や社会保険の手続き、採用の応募者対応や面接日程の調整、コールセンターや電話代行、ヘルプデスクやシステム運用、テレアポや広告運用などが代表例です。手順を文書にして外部に渡せる業務ほど、委託しやすくなります。

Q4. BPOは建築・建設業では何を指しますか?

A. 建築・建設業でも意味は同じで、企業の業務プロセスの一部を外部の専門事業者に委託することを指します。東北経済産業局は、2026年2月3日に盛岡市で開催を案内した「建設業の未来を拓くBPO戦略シンポジウム」で、建設会社のBPO導入事例の紹介をプログラムに入れていました。

Q5. 最初に委託するならどの業務がよいですか?

A. 手順が決まっている、業務量に波がある、社内に専門人材がいない、経営判断から遠い、の4点に多く当てはまる業務から始めるのがおすすめです。採用の応募者対応や日程調整、経理の記帳や請求書発行などが代表例で、経営方針や資金繰り、採用の最終可否など経営判断に直結する業務は社内に残すのが一般的です。

Q6. BPOを利用するときの注意点は何ですか?

A. 委託前に社内独自のルールを手順書にまとめること、情報管理と責任分担を契約で明確にすることが重要です。また、委託先のスタッフに社員が直接作業指示を出すと偽装請負とみなされるおそれがあるため、指示は委託先の責任者を通して行います。

まとめ

BPOの領域は、経理・総務、人事・採用、顧客対応、IT・Web、営業・マーケティングと幅広く、部門の機能やIT系・非IT系など、見る軸によって分け方も変わります。大切なのは、領域ごとに一律で判断するのではなく、工程単位で「手順を外部に渡せるか」を見極め、効果の出やすい業務から順に任せていくことです。最後に、今日から取り組める4つのことを整理します。

  1. 社内の業務を6つの領域に沿って書き出し、それぞれの作業時間を記録する。
  2. 手順の定型度、業務量の波、専門人材の有無、経営判断との距離の4点で優先順位をつける。
  3. 採用の一部工程など小さな範囲から委託を試し、成果を確認してから他の領域へ広げる。
  4. 採用の合否判断など社内に残す判断の物差しを整えるため、適性検査の資料を取り寄せて役割の違いを比べる。

参考文献

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