財務BPOとは?経理BPOとの違いと委託できる範囲・できない範囲を解説

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  • 財務BPOは資金繰りや予実集計などの前処理を、経理BPOは記帳や請求書処理を任せる仕組み
  • 資金調達や予算配分、支払いの最終承認は委託せず自社に残す
  • 税務申告書の作成は税理士、監査証明は公認会計士の業務で、BPOには準備作業を任せる

財務BPOとは、資金繰り表の更新、予算と実績の集計、決算資料の整理など、経営判断に使う数字を整える前処理を外部の専門会社に任せることです。一方の経理BPOは、記帳、請求書処理、入金消込、経費精算といった日々の定型業務を任せるもので、同じ「お金まわりのBPO」でも委託できる範囲が異なります。どちらの場合も、資金調達や予算配分を決めること、税務申告書を作ること、監査証明を出すことは委託先の業務にはなりません。この記事では、財務BPOと経理BPOの違いを業務単位で整理し、委託できる範囲と自社や専門家に残す範囲、税務・監査での分担の考え方までを解説します。

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目次

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  1. 記帳・請求書処理から委託できる経理代行サービスの比較
  2. BPOとアウトソーシングの違い(前提)
  3. 財務BPOの委託範囲:資金調達・予算・意思決定支援の前処理
  4. 経理BPOの委託範囲:記帳・請求書処理・入金消込
  5. 経理BPOでも委託できない領域(経営判断・財務業務)
  6. 税務・監査分野での分担の考え方
  7. 委託前に確認したいメリット・注意点と進め方
  8. 財務BPOと経理BPOの違いのまとめ表
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ
  11. 参考文献

記帳・請求書処理から委託できる経理代行サービスの比較

「財務BPO」を調べ始めた方の多くは、実際には経理まわりの手が回らないという悩みを抱えています。ところが、資金調達の方針や予算の配分といった財務の中心的な判断は、外部に任せられる業務ではありません。外部委託で負担を大きく減らせるのは、手順が決まっていて件数の多い記帳、請求書の受領と仕訳、入金消込、経費精算といった定型業務です。まずはこの領域を経理代行サービスで外に出し、社内の担当者が資金繰りや予算の検討に使える時間をつくるのが、現実的な第一歩になります。

お名前.comビジネスコンシェルジュの比較記事で紹介している経理代行サービスのうち、日常の記帳や請求書処理を任せやすいものは次のとおりです。

サービス名(提供会社) 主な強み 留意点
Remoba経理(株式会社Enigol) 公認会計士・税理士の監修のもと、クラウド会計と組み合わせて経理業務を幅広く効率化できる。稼働時間をレビューできる仕組みがある 対応範囲は経理業務のため、コピーやスキャンなどのアシスタント業務は別契約が必要
i-Staff Accounting(ファイブスターネット株式会社) 経理に関する業務を広く依頼でき、顧問税理士とのやり取りも任せられる。余った時間で経理以外の業務も依頼できる 決算や申告業務、年末調整などへの対応は問い合わせで確認が必要
CASTER BIZ accounting(株式会社キャスター) 経費精算、売上・請求、買掛・支払いなど日々の経理業務に対応。クラウド会計の導入や月次フローの提案も受けられる 給与計算の対応や料金は問い合わせで確認が必要
バーチャル経理アシスタント(メリービズ株式会社) 扱える会計ソフトが多く、チームで対応するため担当者の退職や休暇の影響を受けにくい。業務改善の相談もできる プラン別の参考価格はあるが、詳細は問い合わせが必要
freee支出管理 受取請求書アシスト(フリー株式会社) 請求書の受領から仕訳までをまとめて依頼でき、freee会計との連携がスムーズ 請求書まわりに特化しているため、経理業務全般を任せたい場合は他のサービスが必要

留意点はサービスの優劣ではなく、自社が任せたい業務と照らし合わせて確認したい観点です。記帳だけを任せたいのか、請求書処理や支払いまで含めて任せたいのかによって、合うサービスは変わります。対応業務、実績、サポート体制、料金相場まで含めた比較は、次の記事で確認できます。

BPOとアウトソーシングの違い(前提)

BPO(Business Process Outsourcing)は、アウトソーシングの一種です。一般的なアウトソーシングが「この作業をお願いしたい」という作業単位の外注を指すことが多いのに対し、BPOは業務の流れ(プロセス)ごと外部に任せ、手順の見直しや効率化まで委託先と一緒に進める点に特徴があります。

観点 一般的なアウトソーシング BPO
任せる単位 入力作業、書類の発送など個別の作業 請求から入金確認までなど、業務の流れ全体
委託先の役割 指示どおりに作業を行う 手順の設計や改善提案まで担う
主な目的 人手不足や繁忙期の一時的な補充 業務の標準化、属人化の解消、継続的な効率化

実務では、経理代行、記帳代行、経理BPOといった呼び方が混在しており、サービス名だけで範囲を判断するのは難しいのが実情です。呼び方よりも「どの業務を、どこからどこまで任せるのか」を契約前に書き出しておくことが大切です。

財務BPOの委託範囲:資金調達・予算・意思決定支援の前処理

財務の仕事は、会社のお金を「どう集め、どう配分し、どう将来に備えるか」を決めることです。その判断自体は経営者や財務責任者が担いますが、判断の材料となる数字をそろえる作業には多くの手間がかかります。財務BPOで任せられるのは、この前処理の部分です。

領域 委託しやすい前処理 自社に残す判断
資金繰り・資金調達 資金繰り表の定期更新、入出金予定の集約、金融機関に提出する試算表や資料の体裁整備 借入や増資を行うか、条件をどう交渉するか
予算・予実管理 部門別の実績データの集計、予算と実績の差異一覧の作成、KPI表の更新 予算の配分、差異の原因評価と打ち手の決定
決算・経営報告 月次決算の締め作業の進行管理、取締役会や経営会議の数値資料の作成補助 会計処理の方針、重要な見積り、決算の承認
投資・事業判断の支援 投資案件ごとの収支試算の下準備、過去データの整理 投資を実行するか、撤退するか

財務BPOの委託先には、会計事務所系、コンサルティング会社系、BPO専業の会社などがあり、得意な領域も異なります。月次決算の早期化や上場準備に伴う資料整備など、一定期間のプロジェクトとして依頼する形も一般的です。

ただし、財務の前処理は、日々の記帳が正確に行われていることが前提です。記帳が遅れていたり、請求書の処理が月末にまとめて積み上がっていたりすると、資金繰り表も予実の集計も正しい数字になりません。財務BPOを検討している中小企業でも、まず経理の定型業務を安定させたほうが、結果として財務の数字が早くそろうケースは少なくありません。

経理BPOの委託範囲:記帳・請求書処理・入金消込

経理の仕事は、日々の取引を正しく記録し、請求や支払いを滞りなく回すことです。手順が決まっていて繰り返し発生する業務が多いため、財務よりも外部委託の範囲を広く取りやすい領域です。

業務 委託先が行う主な作業 自社で行う作業
記帳(仕訳入力) 証憑をもとにした会計ソフトへの入力、勘定科目の付け方の統一 領収書や通帳データなど証憑の提供、判断に迷う取引の確認
請求書処理 受け取った請求書の回収・データ化・仕訳、発行する請求書の作成・送付 請求内容の承認、取引先との条件の調整
入金消込 入金データと売掛金の照合、未入金の一覧化 未入金先への督促方針の判断
支払処理 支払予定表の作成、振込データの準備 支払いの承認と実行(振込権限は自社に残すのが一般的)
経費精算 申請内容と領収書の突合、不備の差し戻し連絡 社内規程の決定、例外的な経費の承認
給与計算 勤怠データをもとにした計算、明細の作成 勤怠データの確定、昇給などの人事判断

経理業務は、インボイス制度に沿った請求書の確認や、電子帳簿保存法に沿った電子データの保存など、法令への対応も欠かせません。委託先を選ぶときは、こうした制度に沿った運用ができるか、制度が変わったときにどう対応するかも確認しておくと安心です。制度の内容は国税庁の特設ページで確認できます。

振込の実行権限や請求内容の承認を自社に残しておくと、委託先に作業を任せながらも、お金の出入りの最終確認は社内で行えます。任せる作業と承認する作業を分けておくことが、経理BPOを安全に使う基本です。

このように、経理の定型業務は「作業は外、承認は内」と分けやすく、BPOの効果が出やすい領域です。財務の検討に時間を使えていないと感じている場合も、日常の経理業務から外部に任せていくと、社内の担当者の手が空き、数字をもとにした検討に時間を回せるようになります。対応業務や料金体系は委託先によって大きく異なるため、複数のサービスを比べてから選ぶのがおすすめです。

経理BPOでも委託できない領域(経営判断・財務業務)

経理BPOは対応範囲が広い一方で、どれだけ手厚いサービスでも任せられない領域があります。委託先に作業を任せても、その結果に対する責任は会社自身が負うためです。

委託できない領域 理由 委託先に頼める周辺作業
資金調達の決定 借入や出資の受け入れは、会社の将来と責任に直結する経営判断のため 資金繰り表や試算表など、判断材料の作成
予算の配分・事業の優先順位 事業戦略そのものであり、社内の意思決定の手続きが必要なため 部門別の実績集計、差異の一覧化
会計方針・重要な見積り 決算の内容を左右し、経営者が責任を持って決める事項のため 過去の処理の整理、論点の洗い出し
支払いや契約の最終承認 不正や誤送金を防ぐため、社内の承認手続きを残す必要があるため 支払予定表や振込データの準備

「経理をすべて外に任せれば経営者の負担がなくなる」と考えて契約すると、委託後に判断を求められる場面が想定より多く、期待とのずれが生じることがあります。委託の前に、社内で誰が何を承認・判断するのかを決めておくと、委託先とのやり取りもスムーズになります。

税務・監査分野での分担の考え方

決算の時期になると、税務申告や監査への対応も委託したくなりますが、ここには法律で有資格者に限られた業務があります。国税庁は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を税理士の業務として説明しています。つまり、税務申告書の作成や税務相談をBPOの委託先に依頼することはできず、税理士が在籍しているかどうかで対応範囲が変わります。

監査についても同様です。金融庁が所管する公認会計士・監査制度では、財務書類の監査証明は公認会計士や監査法人の業務とされています。BPOで任せられるのは、監査を受ける会社側の準備作業です。

分野 BPOの委託先に任せられる作業 有資格者の業務
税務 証憑の収集・整理、会計データの入力、税理士に渡す資料の準備 税務申告書の作成、税務相談、税務署への申告の代理(税理士)
監査 監査法人から依頼された資料の収集、依頼リストの進行管理、証憑の所在確認 財務書類の監査証明(公認会計士・監査法人)
年末調整・社会保険 書類の回収、データの入力、計算の補助 社会保険の手続き代行は社会保険労務士の業務にあたる場合がある

委託先の中には、提携する税理士事務所と連携して申告まで一括で対応するサービスもあります。その場合も、申告書を作成するのは税理士であり、BPOの委託先ではありません。契約時には、どの作業を誰が担当するのかを確認し、税理士との役割分担を明確にしておきましょう。

委託前に確認したいメリット・注意点と進め方

財務BPOでも経理BPOでも、外部に任せることで得られる効果と、事前に手当てしておきたいリスクは共通しています。主なメリットは、担当者の退職や休職で業務が止まる属人化のリスクを減らせること、繁閑に合わせて費用を変動費として扱えること、法改正への対応を委託先の知見で補えること、そして社内の人員を判断や改善といった業務に回せることです。一方で、次のような注意点もあります。

注意点 起きやすいこと 事前の対策
情報漏えいのリスク 取引先情報や給与データなど、機密性の高い情報を社外に渡すことになる 秘密保持契約を結び、プライバシーマークやISO27001などの認証、アクセス権限の管理方法を確認する
社内にノウハウが残りにくい 業務の中身が見えなくなり、委託先を変えるときや内製に戻すときに困る 業務手順書や月次レポートの提出を契約に含め、社内に窓口担当者を置く
連携不足で現場の負担が増える 証憑の提出や確認依頼への回答が遅れ、かえって手間がかかる 証憑の受け渡し方法と締め日、問い合わせの窓口と回答期限を決めておく
費用が想定より高くなる 仕訳数や従業員数で料金が変わり、決算や年末調整が別料金になることがある 基本料金に含まれる業務と追加料金の業務を分けて、複数社から見積もりを取る

導入は、まず現在の経理・財務業務を時系列で書き出し、それぞれにかかっている時間を把握するところから始めます。次に、この記事で整理したように「委託先に任せる作業」と「社内に残す判断・承認」を業務ごとに分け、任せる範囲を決めます。そのうえで複数の委託先に相談して見積もりと体制を比較し、契約後はいきなり全面移行せず、一部の業務で試験運用をしてから範囲を広げると、手順のずれを早めに直せます。費用は依頼する業務の範囲や取引量によって大きく変わるため、月額料金だけでなく、自社の業務量で見積もった総額で比べることが大切です。

財務BPOと経理BPOの違いのまとめ表

ここまでの内容を、判断に使いやすい形で1つの表にまとめます。

観点 財務BPO 経理BPO
対象となる仕事 資金繰り、予算管理、決算・経営報告など、将来に向けた判断を支える業務 記帳、請求書処理、入金消込、経費精算など、過去の取引を記録する業務
委託できる範囲 判断材料をそろえる前処理が中心 作業の大部分を任せられる
自社に残す範囲 資金調達、予算配分、会計方針などの判断 支払いの承認、例外的な取引の判断
業務の頻度 月次・四半期・年次や、プロジェクト単位 日次・月次で継続的に発生
向いている会社 経理は回っているが、経営判断に使う資料づくりが追いつかない会社 日々の処理に追われ、月次の数字が遅れがちな会社

判断に迷う場合は、「月次の数字が締め日から何日で確定しているか」を目安にすると整理しやすくなります。数字の確定が遅れているなら、まず経理BPOで記帳や請求書処理を安定させるのが先です。数字は早く出ているのに、それを資金繰りや予算の検討に使う資料づくりが追いつかないなら、財務BPOの出番です。個人事業主や小規模な会社では、税理士への相談と経理代行の組み合わせで足りるケースも多くあります。委託したい業務を書き出したら、それを依頼できるサービスを比較して発注先を決めましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 財務BPOと経理BPOの違いは何ですか?

A. 財務BPOは資金繰り表の更新や予実データの集計など、経営判断に使う数字を整える前処理を委託するものです。経理BPOは記帳、請求書処理、入金消込、経費精算など、日々の定型業務を委託するものです。

Q. 資金調達や予算策定もBPOで委託できますか?

A. 資金調達を行うかどうかや予算の配分を決めることは経営判断のため、委託できません。委託できるのは、資金繰り表や金融機関向け資料の作成、部門別の実績集計など、判断の材料をそろえる作業です。

Q. 経理BPOで委託しやすい業務はどれですか?

A. 記帳、請求書の受領と仕訳、入金消込、経費精算の確認、給与計算など、手順が決まっていて繰り返し発生する業務です。支払いの承認や振込の実行権限は自社に残しておくのが一般的です。

Q. 税務申告もBPOの委託先に依頼できますか?

A. 税務申告書の作成や税務相談は税理士の業務のため、BPOの委託先には依頼できません。委託先に任せられるのは、証憑の整理や税理士に渡す資料の準備です。提携税理士と連携するサービスもあるため、担当範囲を契約時に確認しましょう。

Q. 監査対応もBPOで委託できますか?

A. 財務書類の監査証明は公認会計士や監査法人の業務のため、委託できません。監査法人から依頼された資料の収集や進行管理など、監査を受ける会社側の準備作業であれば委託できます。

Q. 財務BPOと経理BPOのどちらから始めればよいですか?

A. 月次の数字の確定が遅れている場合は、経理BPOで記帳や請求書処理を安定させるのが先です。数字は早く出ているのに経営判断用の資料づくりが追いつかない場合は、財務BPOを検討するとよいでしょう。

まとめ

財務BPOと経理BPOは、どちらもお金まわりの業務を外部に任せる仕組みですが、委託できる範囲が異なります。委託を検討するときは、次の3点を押さえておきましょう。

  1. 財務BPOで任せられるのは資金繰り表や予実集計などの前処理であり、資金調達や予算配分の判断は自社に残す。
  2. 経理BPOは記帳、請求書処理、入金消込など定型業務の大部分を任せられるが、支払いの承認は社内に残す。
  3. 税務申告書の作成は税理士、監査証明は公認会計士の業務であり、BPOの委託先にはその準備作業を任せる。

参考文献

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