契約書の収入印紙 金額表|契約金額と契約書の名前から引ける早見表

Check!

  • 契約金額から引ける早見表で、第1号・第2号文書と軽減措置の税額を1枚で確認できる
  • 契約書の名前から号数と印紙の金額を引ける判定表で、業務委託契約書の見分け方もわかる
  • 貼り方と消印、貼り忘れたときの対処、電子契約で印紙が不要になる理由がわかる

契約書に貼る収入印紙の金額は、「どの種類の契約書か(号数)」と「いくらの契約か(記載金額)」の2つが分かれば、表を1回引くだけで確認できます。ところが実務では、手元の契約書が何号文書にあたるのか分からない、金額帯の境目で迷う、2通作るときや消印の押し方が不安といった理由で、表を見ても手が止まりがちです。本記事は、国税庁の「印紙税額の一覧表」(令和8年4月1日現在法令等)をもとに、契約金額から引ける早見表と、契約書の名前から号数と税額を引ける判定表の2つを用意しました。あわせて、貼り方と消印、貼り忘れや金額間違いに気づいたときの対処、紙の契約書をやめて印紙代そのものをなくす方法まで、総務・経理・法務の担当者がその場で使える形で整理します。

あなたが確認したいことを診断

Q1. 収入印紙について一番知りたいことは?

目次

開く

閉じる

  1. 収入印紙の金額を毎回調べる手間をなくす|紙の契約書と電子契約システムの比較
  2. 契約金額から引く 収入印紙の金額早見表
  3. 契約書の名前から引く 号数と収入印紙の判定表
  4. 早見表を引く前に確認したい「記載金額」の読み方
  5. 収入印紙の貼り方と消印のルール
  6. 収入印紙を貼り忘れた・金額を間違えたときの対処
  7. 電子契約なら収入印紙が不要になる理由
  8. 収入印紙の金額表を使うときによくある失敗パターン
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|収入印紙の金額表を正しく使うための4つのこと
  11. 参考文献

収入印紙の金額を毎回調べる手間をなくす|紙の契約書と電子契約システムの比較

収入印紙の金額表を何度も確認しているなら、紙の契約書を続けるか、電子契約に切り替えるかを一度比べておく価値があります。印紙税は紙で作成した課税文書にかかる税金のため、電子データで締結した契約書には収入印紙が必要ありません。

「金額表を調べる」という作業の裏には、契約書ごとに号数を判断し、記載金額を確認し、郵便局やコンビニで印紙を買い、貼って消印し、2通分を郵送するという一連の事務があります。月に数件なら手作業でも回りますが、取引先が増えて業務委託契約書や注文請書が毎月発生するようになると、印紙代そのものより判断と事務の手間が負担になります。電子契約システムは、契約書のPDFに電子署名とタイムスタンプを付けてオンラインで締結・保管する仕組みで、印紙の購入や消印の作業自体がなくなります。

以下は、紙の契約書を続ける場合と、電子契約システムの一部を、強みと留意点で並べたものです。優劣をつけるためではなく、自社の契約件数や取引先の状況に照らして、どちらが負担を減らせるかを考える材料として使ってください。

方法・サービス名(提供会社) 強み 留意点
紙の契約書(収入印紙を貼付) 取引先に新しい操作をお願いする必要がなく、社内の押印ルールもそのまま使える 契約書ごとに号数と金額の判定、印紙の購入・消印・郵送・保管の作業が残り、判定を誤ると過怠税の対象になる
freeeサイン(freeeサイン株式会社) リモートでも承認できるワークフローを備え、従量課金制ではないため送信件数が増えても料金が変わらない。契約相手も電話サポートを利用できる 画面がシンプルな一方で、簡素化されすぎて場所が分かりにくい機能もあるという声がある
WAN-Sign(株式会社NXワンビシアーカイブズ) 紙とデジタルの契約書を一元管理でき、検索や権限設定などの内部統制機能を備える サービスの利用に条件があり、プランによっては割高になる場合がある
クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社) 国内の電子契約で利用実績が多く、合意締結証明書の発行や裁判所向け資料などの情報が充実している 印影画像の貼り付け機能がなく、署名時の自由入力欄は誤入力の恐れがある

※各サービスの特徴は、下記リンク先の比較記事の掲載内容をもとに要約しています。料金や機能の詳細は、各社の公式情報で最新の内容を確認してください。

すぐに全部の契約を電子化する必要はありません。まずは件数の多い業務委託契約書や注文請書から電子化し、取引先の了承が得られない契約だけ紙で残す進め方も一般的です。46サービスを署名方式や料金体系で比較した記事で、自社に合う候補を確認できます。

契約金額から引く 収入印紙の金額早見表

契約書に記載された金額が分かっている場合は、下の表の行を金額で選び、列を契約書の種類で選べば税額が分かります。不動産売買・土地賃貸借・金銭消費貸借・運送の契約書は第1号文書、工事請負や注文請書などの請負契約書は第2号文書です。

第1号文書と第2号文書は、同じ「記載金額に応じて税額が上がる」仕組みですが、100万円以下の区分の刻み方が異なります。さらに、不動産の譲渡に関する契約書と建設工事の請負に関する契約書には、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成されたものを対象とする軽減措置があり、本則より低い税額が適用されます(出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」)。一般的な金額表は号数ごとに別々の表になっていることが多いため、ここでは4つの列を1枚にまとめ、同じ金額で税額を横に見比べられるようにしました。

記載された契約金額 第1号文書(本則)
金銭消費貸借・土地賃貸借・運送など
第1号文書(軽減)
不動産の譲渡
第2号文書(本則)
請負(建設工事以外)
第2号文書(軽減)
建設工事の請負
1万円未満非課税非課税非課税非課税
1万円以上10万円以下200円200円200円200円
10万円超50万円以下400円200円200円200円
50万円超100万円以下1千円500円200円200円
100万円超200万円以下2千円1千円400円200円
200万円超300万円以下2千円1千円1千円500円
300万円超500万円以下2千円1千円2千円1千円
500万円超1千万円以下1万円5千円1万円5千円
1千万円超5千万円以下2万円1万円2万円1万円
5千万円超1億円以下6万円3万円6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円10万円6万円
5億円超10億円以下20万円16万円20万円16万円
10億円超50億円以下40万円32万円40万円32万円
50億円超60万円48万円60万円48万円
契約金額の記載なし200円200円200円200円

出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」、同「No.7108」をもとに作成。軽減の列は令和9年3月31日までに作成される契約書が対象です。

表を読むときに押さえておきたい点が3つあります。1つ目は境目の扱いで、「以下」はその金額を含み、「超」はその金額を含みません。たとえば請負契約で記載金額がちょうど100万円なら200円、100万1円なら400円です。2つ目は軽減措置の範囲で、不動産の譲渡は10万円を超えるもの、建設工事の請負は100万円を超えるものだけが軽減の対象になります。表で金額の小さい行が本則と同じ税額になっているのはこのためです。3つ目は、金銭消費貸借契約書や土地賃貸借契約書は同じ第1号文書でも軽減措置の対象外で、不動産売買と同じ感覚で軽減後の税額を貼ると不足になる点です。

もう1つ、継続的な取引の基本となる契約書(第7号文書)は、記載金額に関係なく1通4千円です。取引基本契約書や特約店契約書、継続的な業務委託契約書などが該当し、この表では引けないため、次の判定表で確認してください。号数ごとの定義や、ここで扱わない第3号以降の文書も含めた一覧は、契約書の収入印紙の金額一覧|号数別の税額と電子契約で不要になる理由で詳しく解説しています。

契約書の名前から引く 号数と収入印紙の判定表

契約書のタイトルだけでは号数は決まらず、最終的には書かれている内容で判定します。とはいえ、よく使う契約書にはおおよその当てはまり方があるため、まずは下の表で見当をつけ、最後に条文の中身で確かめる順番にすると迷いにくくなります。

印紙税法では、文書の名称ではなく記載内容によって課税文書かどうかを判断するとされています。「覚書」「念書」「注文請書」のような名前でも、契約の成立や変更を証明する内容であれば契約書として扱われます。反対に「業務委託契約書」という名前でも、内容によって第2号・第7号・不課税のどれにもなりえます。下の表は、中小企業の総務・経理でよく扱う契約書を、国税庁の一覧表に沿って当てはめた目安です。

契約書の名前(例) 主な号数 収入印紙の金額 確認するポイント
不動産売買契約書第1号金額表の「第1号(軽減)」列10万円以下の部分は軽減対象外
土地賃貸借契約書第1号金額表の「第1号(本則)」列権利金など返還されない金額が記載金額になり、月々の地代は含まない。記載がなければ200円
建物賃貸借契約書(事務所・住宅)課税文書に該当しない不要土地の賃借権の設定を含む内容なら第1号になる
金銭消費貸借契約書・借用書第1号金額表の「第1号(本則)」列軽減措置の対象外
工事請負契約書・工事注文請書第2号建設工事なら「第2号(軽減)」列設計や保守だけの契約は建設工事にあたらず本則
業務委託契約書(成果物の完成を約束)第2号金額表の「第2号(本則)」列Web制作、システム開発、デザイン制作など
業務委託契約書(継続取引の基本契約)第7号4千円契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除く
業務委託契約書(事務処理の委任のみ)課税文書に該当しない不要完成責任を負わない準委任型で、第7号にも当たらない場合
取引基本契約書・特約店契約書・代理店契約書第7号4千円記載金額があっても第1号・第2号に該当しない限り4千円
物品の売買契約書(1回限り)課税文書に該当しない不要代金の受取書を別に作る場合は第17号を確認
債権譲渡契約書・債務引受契約書第15号1万円以上なら200円1万円未満は非課税、記載なしは200円
債務の保証に関する契約書第13号200円主たる債務の契約書に併記したものや、身元保証の契約書は除く
秘密保持契約書・雇用契約書課税文書に該当しない不要請負や継続取引の条件を併記していないかを確認
合併契約書・吸収分割契約書第5号4万円会社法などに規定する契約を証するものに限る
会社設立時の定款第6号4万円公証人が保存する原本が対象。電子定款は不要

出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)」「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)」をもとに作成。個別の契約書の判定は内容によって変わるため、迷う場合は所轄の税務署に確認してください。

収入印紙が必要になる契約書は8つの号に限られる

収入印紙は、印紙税を納めたことを示すために国が発行する証票です。印紙税法の別表第一では課税文書を第1号から第20号までの20種類に分けており、このうち契約書にあたるのは第1号・第2号・第5号・第7号・第12号・第13号・第14号・第15号の8つです。つまり、契約書であっても8つのどれにも当てはまらなければ印紙は不要で、上の判定表で「課税文書に該当しない」としている建物の賃貸借契約書や秘密保持契約書はこのケースにあたります。表で取り上げなかった第12号(信託行為に関する契約書)と第14号(金銭または有価証券の寄託に関する契約書)は、いずれも1通200円です(出典:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)」)。

判定の順番は、1.内容からどの号に当たるかを決める、2.記載金額が1万円未満などの非課税に当たらないかを確かめる、3.金額表で税額を引く、の3段階で考えると整理しやすくなります。第1号・第2号・第15号は記載金額が1万円未満なら非課税で、国や地方公共団体が作成する文書も非課税とされています。号数の判定を飛ばして金額表だけを見ると、本来は不要な契約書に印紙を貼ったり、第7号の4千円を見落としたりする原因になります。

判定に迷いやすい業務委託契約書の見分け方

判定表のなかで最も問い合わせが多いのが業務委託契約書です。同じ名前でも、「何を約束しているか」で扱いが大きく変わります。契約書を手元に置いて、次の順に条文を確認すると判断しやすくなります。

  1. 成果物(納品物)の完成や引き渡しに対して報酬を払う条文があるか。あれば請負として第2号文書の候補になる
  2. 営業者同士で、複数回の取引に共通する目的物の種類・単価・対価の支払方法などを定めているか。契約期間が3か月を超えるか、更新の定めがあれば第7号文書の候補になる
  3. どちらにも当たらず、事務処理や相談対応など業務の遂行そのものを委ねる内容であれば、課税文書に該当しない可能性が高い

1つの契約書が第2号と第7号の両方に当てはまる場合は、契約金額の記載があれば原則として第2号文書、記載がなければ第7号文書として扱うとされています(出典:国税庁 質疑応答事例「第7号文書と他の号に該当する文書の所属の決定」)。基本契約書に金額を書くかどうかで税額が200円から4千円の間で変わりうるため、書き方を変える前に全体の税額を比べておくと安心です。課税文書かどうかの判定基準そのものは、契約書の収入印紙とは|課税文書の判定基準と号分類の考え方でより詳しく整理しています。

早見表を引く前に確認したい「記載金額」の読み方

早見表で使うのは、契約書に書かれた「記載金額」です。契約の総額とは一致しないことがあるため、表を引く前に、消費税の書き方、単価と数量の書き方、金額を書いていない場合の3点を確認しておきます。

1つ目は消費税の書き方です。第1号・第2号・第17号文書で、消費税額が税込金額と区分して記載されている場合や、税込・税抜の金額が併記されている場合は、税抜金額を記載金額として扱えるとされています。たとえば請負金額を「110万円(税込)」とだけ書くと記載金額は110万円で400円ですが、「100万円(消費税10万円)」と区分して書けば記載金額は100万円で200円になります。同じ取引でも書き方で税額の段が変わるため、契約書のひな形を作るときに決めておくと毎回の判定がぶれません。

2つ目は単価と数量です。「1個あたり5,000円、数量300個」のように単価と数量から総額を計算できる場合は、計算した金額(この例では150万円)が記載金額になります。一方、単価だけで数量が決まっていない場合は、記載金額がないものとして扱われます。3つ目は金額の記載がない場合で、第1号・第2号文書なら一律200円です。ただし、見積書や注文書など別の文書を引用して金額が特定できる場合は、その金額が記載金額とみなされることがあります。

このほか、金額を変更する変更契約書は、変更前の金額が分かれば増額分だけが記載金額になる、減額の場合は記載金額がないものとして扱う、といった特有のルールがあります。こうした迷いやすいケースは、先ほど紹介した号数別の一覧記事でまとめているので、該当する場合はあわせて確認してください。

収入印紙の貼り方と消印のルール

収入印紙は、課税文書に貼り付けたうえで、文書と印紙の彩紋にまたがるように印章または署名で消すことで納付が完了します。貼っただけで消印をしていない状態は、納付が済んでいないものとして扱われます(出典:国税庁「No.7129 印紙税の納付方法」)。

実務で迷いやすい点を、作業の順番に沿って整理します。

作業 ルール・目安 よくある誤解
印紙の購入郵便局では各額面を扱う。コンビニは200円など一部の額面が中心高額の印紙もコンビニで買えると思い込む
組み合わせ合計額が税額になれば複数枚を組み合わせてよい(例:1万円は5千円2枚でも可)1枚で税額ちょうどの印紙が必要だと考える
貼る位置法令上の決まりはない。左上など社内で位置を統一すると確認漏れを防げる決まった位置に貼らないと無効になると考える
消印作成者や代理人、従業員の印章か署名で、文書と印紙にまたがって消す単に「印」と書く、斜線を引くだけで済ませる
消印する人共同で作成した契約書なら、どちらか一方の消印でよい双方が必ず押印しなければならないと考える
2通作成双方が署名押印した原本を2通作れば、2通とも課税文書として印紙が必要1つの契約なので1通分でよいと考える
写し・コピー原本を複写しただけで署名押印のないものは不要「写し」と書けば署名押印があっても不要と考える

2通作成する契約書の印紙代の負担は、法律上は共同作成者が連帯して納税義務を負うとされており、実務では各自が保管する1通分を負担する取り決めが一般的です(出典:e-Gov法令検索「印紙税法」第3条)。印紙を貼る担当者と消印する担当者が別になっている会社では、消印漏れが起きやすくなります。押印の手続きと同じタイミングで消印まで済ませるように、社内の押印フローに組み込んでおくと安全です。印紙の種類や購入場所の詳細は、収入印紙の種類とは?号分類の全体像と購入・貼り方の実務手順で確認できます。

収入印紙を貼り忘れた・金額を間違えたときの対処

収入印紙を貼り忘れたり、金額が足りなかったりしても、契約書の効力そのものは失われません。ただし、印紙税を納めていない状態になるため、税務調査などで見つかると過怠税が課されます。気づいた時点で自分から申し出るかどうかで、負担は大きく変わります。

国税庁によると、課税文書の作成時までに印紙税を納付しなかった場合は、納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額の合計、つまり本来の税額の3倍が過怠税として徴収されます。ただし、税務調査を予知する前に「印紙税不納付事実申出書」を提出した場合は1.1倍に軽減されます。また、貼った印紙に消印をしなかった場合は、消印されていない印紙の額面と同じ金額の過怠税がかかります。過怠税は法人税の損金や所得税の必要経費に算入できません(出典:国税庁「No.7131 印紙税を納めなかったとき」)。

状況 考えられる対応
契約書を相手に送る前に、貼り忘れや不足に気づいた作成前(交付前)であれば、正しい額の印紙を貼って消印すればよい
契約締結後に、貼り忘れや不足に気づいた所轄の税務署に印紙税不納付事実申出書を提出する。調査の予知前なら過怠税は1.1倍
必要な額より多い印紙を貼ってしまった税務署で過誤納の確認を受ければ還付を受けられる場合がある(原本の提示が必要)
課税文書ではない契約書に印紙を貼った過誤納として還付の対象になりうる。消印済みでも税務署に相談する
貼る前の印紙の額面を間違えて買った郵便局で手数料を払えば別の額面と交換できる

過怠税は1件あたりで見ると小さい金額に見えますが、同じひな形の契約書を毎月使っている場合、判定の誤りがすべての契約書に広がります。業務委託契約書を第7号と判定すべきところを不課税として扱っていたケースなどでは、過去の契約書をまとめて申し出ることになり、事務負担も大きくなります。ひな形を作るときに一度判定の根拠を記録しておくことが、結果的に最も手間の少ない予防策です。

電子契約なら収入印紙が不要になる理由

電子契約で収入印紙がいらないのは、印紙税の課税対象が「紙などに記載して作成された文書」であり、電子データで作成・送信された契約書はこれに当たらないと解されているためです。国税庁(福岡国税局)の文書回答事例でも、注文請書をPDFなどに変換して電子メールで送信した場合は、課税文書を作成したことにはならないとする照会に対し、その見解で差し支えない旨が示されています(出典:福岡国税局「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(別紙)」)。

印紙税法では、課税文書を「作成した」ときに納税義務が生じ、ここでの作成は、文書を相手方に交付したときとされています。電子契約では紙の文書を交付しないため、作成の事実が生じず、印紙税がかからないという整理です。この考え方は、早見表のすべての号数に共通しています。第1号の不動産売買契約書でも、第2号の工事請負契約書でも、第7号の取引基本契約書でも、電子データで締結すれば印紙は不要です。

ただし、注意点が2つあります。1つは、電子データで締結した後に、紙に印刷して双方が署名押印した原本を別に作った場合は、その紙の文書が課税文書になる点です。「念のため紙でも交わしておく」という運用をすると、電子化した意味がなくなります。もう1つは、電子取引で受け渡した契約書は、電子帳簿保存法の電子取引データとして、検索できる状態などの要件を満たして保存する必要がある点です。電子契約システムには、タイムスタンプや検索機能など、この保存要件に対応する機能を備えたものが多くあります。

印紙代がどれくらい減るかは、早見表を使って簡単に見積もれます。たとえば、1件あたり記載金額80万円の業務委託(請負)契約書を月に10件、2通ずつ作っている場合、1通200円なので月4千円、年間では4万8千円の印紙代です。これに第7号の基本契約書や、金額の大きい工事請負契約書が加わると、金額はさらに大きくなります。印紙代に加えて、印紙の購入、消印、郵送、返送待ち、紙の保管にかかる時間も減るため、件数の多い契約から電子化を検討する会社が増えています。

電子契約システムは、相手方の本人確認の方法(当事者署名型か立会人署名型か)、送信件数に応じた従量課金の有無、電子帳簿保存法への対応状況で使い勝手が変わります。自社の月あたりの契約件数と、取引先に求められる手続きの手軽さを基準に比べると選びやすくなります。

収入印紙の金額表を使うときによくある失敗パターン

金額表そのものは正しくても、引き方や前提の確認を誤ると、不足や過払いが起きます。担当者が交代したときや、新しい取引先のひな形を使うときに起こりやすい失敗を、原因と防ぎ方で整理しました。

失敗パターン 起こる原因 防ぎ方
金銭消費貸借契約書に軽減後の税額を貼った同じ第1号文書なので不動産売買と同じ列を見てしまう軽減の列は不動産の譲渡と建設工事の請負だけと覚えておく
設計や保守の請負契約に建設工事の軽減を適用した建物に関係する契約はすべて建設工事と考える建設工事の完成を約する契約かどうかを条文で確認する
税込金額で表を引いて1段上の印紙を貼った消費税を区分せずに書いた金額をそのまま記載金額にしたひな形で税抜金額と消費税額を区分して書く形に統一する
基本契約書を不課税と判断して印紙を貼らなかった金額が書かれていないので印紙はいらないと考えた継続取引の条件を定めていれば第7号の4千円を確認する
相手方保管分の1通に印紙を貼らずに送った印紙は相手が貼るものと思い込んでいた負担の分け方を契約前に取り決め、送付時に確認する
電子で締結した契約を紙でも交わした紙の原本がないと不安という社内の慣習電子データを原本とする運用を社内規程で決める

これらの失敗の多くは、契約書ごとに担当者が表を引いて判断していることから生じます。対策は大きく2つあり、1つは契約書のひな形ごとに号数・記載金額の書き方・税額を一覧にして社内で共有すること、もう1つは件数の多い契約から電子化して判定作業そのものを減らすことです。ひな形の一覧化はすぐに始められ、電子化は取引先との調整が必要なため、両方を並行して進めると現実的です。電子化によって、印紙の判定や購入、消印、郵送といった作業をどこまで減らせるかは、電子契約システムの比較記事で各サービスの機能とあわせて確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 契約金額が100万円ちょうどの請負契約書の収入印紙はいくらですか?

A. 第2号文書の「1万円以上100万円以下」の区分に入るため200円です。金額表の「以下」はその金額を含み、「超」は含みません。100万円を1円でも超えると、建設工事以外の請負なら400円、建設工事の請負なら軽減措置により200円になります。

Q. 業務委託契約書の収入印紙は必ず4千円ですか?

A. いいえ。4千円になるのは、継続的な取引の基本となる契約書(第7号文書)に当たる場合です。成果物の完成を約束する請負型なら第2号文書として記載金額に応じた税額、事務処理などを委任するだけの準委任型でどちらにも当たらなければ印紙は不要です。条文の内容で判定してください。

Q. 事務所の賃貸借契約書に収入印紙は必要ですか?

A. 建物の賃貸借契約書は印紙税の課税文書に当たらないため、原則として収入印紙は不要です。一方、土地の賃貸借契約書は第1号文書で、権利金など返還されない金額が記載金額になり、記載がなければ200円です。建物と土地の賃借権をあわせて定める契約書は第1号文書になる場合があります。

Q. 契約書を2通作る場合、収入印紙は2通とも必要ですか?

A. 双方が署名押印した原本を2通作る場合は、2通とも課税文書として収入印紙が必要です。原本を複写機でコピーしただけで署名押印のないものは不要ですが、「写し」と書いてあっても相手方の署名押印があれば課税対象になります。負担の分け方は契約で取り決めるのが一般的です。

Q. 収入印紙を貼り忘れたまま契約を締結してしまった場合はどうすればよいですか?

A. 契約書の効力は失われませんが、印紙税が未納の状態です。所轄の税務署に印紙税不納付事実申出書を提出すれば、税務調査を予知する前であれば過怠税は本来の税額の1.1倍で済みます。調査で見つかった場合は3倍になるため、気づいた時点で早めに申し出てください。

Q. 電子契約にすれば、どの種類の契約書でも収入印紙はいりませんか?

A. 電子データで作成・送信して締結した契約書は、号数にかかわらず印紙税の課税対象になりません。ただし、電子で締結した後に紙に印刷して署名押印した原本を別に作ると、その紙の文書は課税文書になります。また、電子取引の契約データは電子帳簿保存法の要件に沿って保存する必要があります。

まとめ|収入印紙の金額表を正しく使うための4つのこと

契約書の収入印紙の金額は、号数と記載金額が分かれば早見表ですぐに確認できます。判断の手間やミスを減らすために、次の4つを押さえておきましょう。

  1. 契約書の名前ではなく条文の内容で号数を判定し、金額表の「第1号」「第2号」と軽減の列を使い分ける
  2. 消費税の区分記載や単価と数量の書き方を確認してから、記載金額で表を引く
  3. 2通作成する場合は2通分を用意し、印章か署名で文書と印紙にまたがって消印する
  4. 件数の多い契約から電子契約に切り替え、印紙の判定・購入・消印の作業そのものを減らす

金額表は一度作れば長く使えますが、軽減措置の期限(令和9年3月31日まで)のように、制度が変わると税額が変わる部分もあります。社内の一覧表を更新するときは、国税庁の最新の一覧表と照らし合わせてください。なお、本記事は印紙税に関する一般的な内容を解説したもので、個別の契約書に対する税務上の助言ではありません。判定に迷う契約書は、所轄の税務署や税理士に確認してください。

参考文献

同じカテゴリの記事を探す

同じタグの記事を探す

同じタグの記事はありません

top