請求書作成の手順と必須9項目|インボイス・電帳法対応と作成方法の選び方【2026年版】

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  • 請求書作成の5ステップと、インボイス対応に必要な9項目の書き方がわかる
  • 手書き・Excel・クラウドの違いと、発行件数別に作成方法を見直す目安を確認できる
  • PDFで送った請求書の電子保存ルールと、よくある失敗の防ぎ方がわかる

請求書を作成するたびに「インボイス制度に対応した書き方になっているか」「PDFで送った請求書はどう保存すればよいのか」と手が止まっていませんか。請求書には法律上決まった書式はありませんが、2023年10月のインボイス制度開始、2024年1月の電子取引データの電子保存義務化によって、記載すべき項目と保存方法のルールは以前より細かくなりました。この記事では、国税庁の公式情報をもとに、請求書作成の具体的な手順と必須9項目、手書き・Excel・クラウドの作成方法別の向き不向き、電子帳簿保存法への対応、発行件数別に見た作成方法の限界、よくある失敗パターンまでを、個人事業主から企業の経理担当者まで使える形で整理します。請求業務全体の流れや法務上の論点から押さえたい方は請求とは|業務フローと法務論点を解説もあわせてご覧ください。

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Q1. 現在、請求書は主に何で作成していますか?

目次

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  1. 請求書作成の基本手順|インボイス対応の必須9項目
  2. 作成方法別のメリット・デメリット|手書き・Excel・クラウド
  3. 電子帳簿保存法対応で気をつけるポイント|電子取引の電子保存義務
  4. 発行件数・取引先数別に見る作成方法の限界
  5. 請求書作成でよくある失敗パターン
  6. 請求書作成の時間コストを数値で確認する
  7. 取引形態別に追加で確認したいポイント
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|今日からできる4つのこと
  10. 参考文献

請求書作成の基本手順|インボイス対応の必須9項目

請求書は、インボイス制度で定められた6項目に、実務上欠かせない請求書番号・支払期限・振込先の3項目を加えた計9項目を、5つのステップで作成・送付・保存するのが基本です。

請求書の発行自体は法律上の義務ではありません。一方で、買手が仕入税額控除を受けるためには、売手が交付する適格請求書(インボイス)に国税庁が定める記載事項がそろっている必要があります(出典:国税庁「インボイス制度について」)。取引先が課税事業者である限り、インボイスの要件を満たした請求書を作ることが、実質的な標準になっています。

請求書に書くべき必須9項目

項目 区分 書き方のポイント
1. 交付先(宛名)の氏名または名称インボイスの記載事項正式な会社名で記載し、部署宛ては「御中」、個人宛ては「様」を付ける
2. 発行者の氏名または名称と登録番号インボイスの記載事項登録番号は「T」から始まる13桁の番号。1文字でも誤ると取引先が確認できない
3. 取引年月日インボイスの記載事項月まとめ請求なら「2026年9月1日から30日分」のように期間で書いてよい
4. 取引内容インボイスの記載事項品名・作業名を具体的に。軽減税率の対象品目はその旨を明記する
5. 税率ごとに区分した対価の合計額と適用税率インボイスの記載事項10%対象と8%対象を分けて合計し、それぞれの税率を書く
6. 税率ごとに区分した消費税額等インボイスの記載事項端数処理は1枚の請求書につき税率ごとに1回だけ行う
7. 請求書番号・発行日実務上の必須項目連番で管理すると、修正時や問い合わせ時に元の請求書を特定しやすい
8. 支払期限実務上の必須項目契約や取引条件で合意した期日を記載する
9. 振込先と振込手数料の負担実務上の必須項目金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・名義を記載し、手数料の負担者も明記する

請求書作成の5ステップ

  1. 取引条件と自社の登録番号を確認する:締め日・支払期限・振込手数料の負担を契約や発注書で確かめ、自社の登録番号を手元に用意します。
  2. 作成方法を決める:手書き・Excel・クラウドのどれで作るかを、発行件数と取引先数から決めます(次の章で比較します)。
  3. 9項目を記入する:取引内容を税率ごとに分け、税抜または税込の合計額と消費税額を計算します。
  4. 確認・承認を受ける:宛名・金額・税率・登録番号・振込先を、作成者以外がもう一度確認します。
  5. 送付し、控えを保存する:郵送・メール・システム経由で送付し、交付した請求書の写しを保存します。

見落とされやすいのが5番目の控えの保存です。インボイスを交付した売手には写しの保存義務があり、送付方法にかかわらず同じ内容の記録を手元に残す必要があります。

作成方法別のメリット・デメリット|手書き・Excel・クラウド

月数件なら手書きやExcelでも対応できますが、件数や取引先が増えるほど記載ミスと控え管理の負担が増えるため、インボイスと電子帳簿保存法への対応を仕組みで担保できるクラウド型が有利になります。

作成方法 メリット デメリット
手書き・市販の用紙道具がすぐ用意でき、パソコン操作が不要計算ミスや書き漏れが起きやすく、複写式でないと控えが残らない
ExcelやWordのテンプレート追加費用がかからず、書式を自由に調整できる数式の崩れや版の混在が起きやすく、PDF送付後の保存要件は自分で整える必要がある
クラウド型の請求書作成サービスインボイス対応の書式で作成でき、送付・保存・入金管理までまとめられる月額費用がかかり、プランによって使える機能が異なる

クラウド型の請求書作成サービスは、あらかじめインボイスの記載事項を満たす書式が用意されており、取引先や品目を登録しておけば入力項目を選ぶだけで請求書を作れます。作成したデータがそのままサービス上に残るため、控えの保存と検索の仕組みを別に用意しなくて済む点も、手作業との大きな違いです。

たとえば株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド請求書は、フォームに沿って入力するだけで見積書・納品書・請求書・領収書を作成でき、インボイス制度と電子帳簿保存法の改正に対応しています。メールでのPDF送付に加え、印刷から封入・投函までを任せられる郵送代行、毎月同じ内容の請求書を自動で作成する機能、入金ステータスの表示、マネーフォワード クラウド会計への連携による仕訳の自動化といった、作成以外の工程を減らす機能もそろっています。なお、入金消込の機能を使うには上位版の「マネーフォワード クラウド請求書Plus」の契約が必要なため、どこまでの工程を任せたいかを決めてからプランを確認すると選びやすくなります。

株式会社マネーフォワード

マネーフォワード クラウド請求書

マネーフォワード クラウド請求書
出典:biz.moneyforward.com

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らくらく操作◎作成から保管まで一元管理したい方におすすめ

見積書・納品書・請求書・領収書の作成が簡単に行え、ワンクリックでメール送付・郵送が完了するソフトなら、マネーフォワード クラウド請求書の導入がおすすめです。

出典:マネーフォワード クラウド請求書
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  • フォームに沿って入力するだけで簡単に帳票を作成できる
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ここが少し気になる…

  • 請求書発行に特化しているものの、「入金消込」を利用するには「マネーフォワード クラウド請求書Plus」の契約が必要

自社の登録番号が正しく公表されているか、取引先の登録番号が有効かは、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できます。クラウド型の料金体系や機能の違い、導入時の失敗を避けるポイントはクラウド請求書とは?料金・機能・失敗回避ポイントを解説、請求書を電子で発行する仕組み全般は電子請求書発行システムとは?仕組みと導入メリット・注意点をわかりやすく解説で詳しく解説しています。

手書き・Excelで作成を続ける場合の注意点

手書きは、年に数回しか請求書を出さない個人事業主であれば今も現実的な選択肢です。ただし、税率ごとの合計額と消費税額を手計算するため、軽減税率の品目が混ざる取引では誤りが起きやすく、控えを残すには複写式の用紙を使うかコピーを取る手間がかかります。

ExcelやWordのテンプレートは、費用をかけずに見栄えのよい請求書を作れる点が魅力です。一方で、取引先ごとにファイルを複製していくうちに、古い登録番号や旧税率のまま残ったファイルが混在したり、数式のセル参照がずれて合計額が合わなくなったりする事故が起こります。PDFにしてメールで送れば、そのファイルは電子取引データとして保存要件の対象になるため、ファイル名の付け方や保存フォルダのルールも自分たちで決めて守る必要があります。

電子帳簿保存法対応で気をつけるポイント|電子取引の電子保存義務

PDFやシステムで送った請求書は電子取引データにあたり、2024年1月以降は紙に印刷して保存するのではなく、改ざん防止と検索性を確保した形で電子のまま保存する必要があります。

請求書の送付方法と発行のタイミング

請求書の送付方法は、郵送・メール(PDF添付)・クラウドサービス経由・FAXの4つが一般的です。どの方法で送るかは取引先の受け取り体制によって変わるため、初回の取引時に「請求書の送付方法」「宛先の部署と担当者」「原本の郵送が必要かどうか」を確認しておくと、送り直しを防げます。

送付方法 向いている場面 注意点
郵送紙の原本を求める取引先、電子での受領体制がない取引先請求書は信書にあたるため、郵便または信書便で送る。封筒には「請求書在中」と記載し、送付状を添えると丁寧
メール(PDF添付)早く届けたい場合、郵送費や印刷の手間を減らしたい場合編集できるExcelのままではなくPDFにして送る。件名とファイル名に請求月や請求書番号を入れ、宛先の誤りに注意する
クラウドサービス経由発行件数が多い場合、送付履歴や控えをまとめて管理したい場合取引先がリンクからのダウンロードで受け取れるかを事前に確認する
FAX取引先からFAXでの送付を指定された場合文字がつぶれて金額や登録番号が読めなくなることがあるため、送信後に到着と判読可否を確認する

郵送で見落とされやすいのが信書の扱いです。総務省の「信書のガイドライン」では、請求書の類(納品書・領収書・見積書などを含む)は信書に該当する文書とされています。信書は郵便または信書便で送ることとされているため、商品を宅配便で送る際に請求書を別送する場合は、送付手段が信書に対応しているかを確認してください。一方、同ガイドラインでは電磁的記録物の送付は信書の送達に該当しないとされており、PDFをメールで送る方法はこの制約を受けません。

発行のタイミングは、取引の形によって2通りあります。継続的な取引では、月末などの締め日までの取引をまとめて請求する方法が一般的で、取引先の締め日と支払日に間に合うよう、締め日後できるだけ早く発行します。単発の取引では、納品や作業完了のたびに請求書を発行します。いずれの場合も、取引先の経理締めに間に合わないと支払いが翌月に回ることがあるため、「いつまでに届けばその月の支払いに乗るか」を最初に確かめておくことが、入金遅れを防ぐ近道です。

「送り方」で保存方法が変わる

請求書の保存方法を決める基準は、作成したツールではなく取引先とのやり取りの形式です。Excelで作成した請求書でも、紙に印刷して郵送したなら控えは紙で保存でき、同じファイルをPDFにしてメールで送ったなら電子取引データとして電子保存が必要になります。受け取った側も同様で、メールで届いた請求書PDFを印刷して紙だけ保存する運用は、2023年12月末で宥恕措置が終了して以降は原則として認められていません(出典:国税庁「電子取引データ保存制度特設サイト」)。

電子取引データの保存要件

要件 満たし方の例
改ざん防止(真実性の確保)タイムスタンプを付与する、訂正削除の履歴が残るシステムで保存する、不当な訂正削除を防ぐ事務処理規程を定めて守る、のいずれか
検索機能の確保「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できるようにする。ファイル名を「20260930_株式会社〇〇_110000」のように統一する方法もある
見読性の確保パソコン・ディスプレイ・プリンタと操作説明書を備え付け、速やかに画面表示や出力ができる状態にする

検索機能については、基準期間の売上高が5,000万円以下で税務職員からのデータのダウンロードの求めに応じられる場合や、データを出力した書面を取引年月日と取引先ごとに整理して提示・提出できる場合など、一定の条件で不要になる措置があります。また、システム整備が間に合わないなど所轄税務署長が相当の理由があると認め、ダウンロードの求めと出力書面の提示・提出に応じられる場合の猶予措置も設けられています(出典:国税庁「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」)。ただし、猶予措置はあくまで例外的な扱いで、データそのものを削除してよいわけではありません。

請求書の保存期間

法人の場合、帳簿書類はその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存する必要があり、青色申告で欠損金額が生じた事業年度などは10年間になります(出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」)。個人事業主は申告の種類や書類によって5年または7年と扱いが分かれ、交付したインボイスの写しは消費税の規定に基づき原則7年間の保存が求められます。迷う場合は、請求書の控えは一律7年以上保存するルールにしておくと管理がシンプルです。個別の保存期間の判断は、税理士または所轄の税務署に確認してください。

発行件数・取引先数別に見る作成方法の限界

作成方法を切り替える目安は件数そのものより、「取引先ごとの書式の違い」「作成者の人数」「税率の混在」の3つが重なったタイミングで、ここを越えるとExcelでの手作業はミスが増え始めます。

「件数が多ければクラウド」と一律に考えがちですが、実務で手作業が破綻するきっかけは件数だけではありません。月20件でも取引先ごとに締め日や明細の粒度が違えば作業は複雑になり、月80件でも同じ内容の定額請求ばかりなら手間は限られます。以下は、発行件数と取引先の性質を組み合わせて、作成方法の向き不向きを整理した目安です(一般的な運用を想定した目安であり、統計データに基づく基準ではありません)。

規模の目安 向いている作成方法 限界が近いサイン
月10件未満・取引先は固定Excelのテンプレート(手書きも可)PDF送付が増え、保存ファイルの命名ルールが守れなくなってきた
月10件から50件・取引先ごとに条件が異なるExcelでの運用ルール化、またはクラウド型への移行を検討取引先ごとのテンプレートが増え、どれが最新版かわからなくなる
月50件以上・複数担当者で作成クラウド型担当者ごとに端数処理や明細の書き方がばらつき、確認作業が追いつかない
月100件以上・定期請求や郵送が多いクラウド型(自動作成・一括作成・郵送代行を活用)月末月初に印刷・封入・投函だけで丸1日以上かかる

表の「限界が近いサイン」に1つでも当てはまるなら、作成方法の見直しを検討する時期です。特に見落とされやすいのが、担当者が2人以上になったときの記載ばらつきです。1人で作っているうちは本人の中でルールが統一されていても、担当者が増えると「税込で書く人と税抜で書く人」「明細ごとに消費税を計算してしまう人」が混在し、取引先からの問い合わせや再発行が増えます。こうしたばらつきは個人の注意力では防ぎきれないため、書式と計算方法が固定されたツールに寄せるのが確実です。

一方、月数件の個人事業主が、周囲に合わせて多機能なサービスを導入する必要はありません。Excelで十分な規模なら、登録番号と振込先を入力済みのテンプレートを1つに絞り、PDFの保存ルールを決めておくだけで、インボイスと電子帳簿保存法への対応は十分に成り立ちます。改ざん防止の要件も、不当な訂正削除を防ぐ事務処理規程を定めて守る方法であれば、専用システムを導入しなくても満たせます(出典:国税庁「電子取引データ保存制度特設サイト」)。自社がどの段階にいるかを把握したうえで、次の段階に進むタイミングを見極めることが大切です。

取引先の数が多い企業では、請求書を「発行する側」だけでなく「受け取る側」の処理量も同時に増えていきます。受け取った請求書の処理まで含めて効率化したい場合は請求書受領サービスとは?仕組みと選び方をわかりやすく解説、経理業務全体のデジタル化の進め方は経理DXとは?電帳法・インボイス対応と進め方を解説が参考になります。

請求書作成でよくある失敗パターン

請求書作成の失敗で多いのは、税率ごとの区分記載漏れ、明細行ごとの端数処理、控えの保存忘れの3つで、いずれも取引先の仕入税額控除や自社の税務対応に影響します。

よくある失敗 正しい対応

失敗1:税率ごとの区分がない。10%と8%の品目を1つの合計額にまとめ、消費税額も合算で1行だけ書いている。

失敗2:明細行ごとに端数処理している。品目ごとに消費税を計算して切り捨て、その合計を請求書の消費税額にしている。

失敗3:控えを残していない。PDFをメールで送ったまま、送信メールの中にしか請求書が残っていない。

1つ目の税率区分の漏れは、軽減税率の対象となる食品と、10%の品目を一緒に販売する事業者で起きやすい失敗です。取引先から見ると、どの金額にどの税率が適用されているかを請求書から読み取れず、仕入税額控除の根拠として使えなくなります。

2つ目の端数処理は、Excelで明細行ごとに消費税の列を作り、それぞれROUNDDOWN関数などで切り捨てているケースに多く見られます。インボイスでは、1枚の請求書に記載する消費税額の端数処理は税率ごとに1回と定められており、行ごとの端数処理を合計する方法は認められていません。切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれを使うかは事業者が選べるため、処理の回数だけを正しく揃えれば問題ありません(出典:国税庁「インボイス制度に関するQ&A」)。

3つ目の控え保存忘れは、Excelで作った請求書を上書き保存して次の月の請求書に流用してしまうパターンでも起こります。送付した時点のPDFを別ファイルとして残しておかないと、後から取引先と金額の食い違いが起きたときに、自社が何を送ったのかを証明できません。

このほか、送付後に金額や税率の誤りに気づいた場合の対応も押さえておきましょう。インボイスの記載に誤りがあったときは、売手が修正した適格請求書を交付する必要があります。修正後の請求書には、どの請求書を修正したのかがわかるよう元の請求書番号を記載し、元の請求書と修正版の両方を保存しておくと、税務調査や取引先からの問い合わせの際に経緯を説明しやすくなります。

請求書作成の時間コストを数値で確認する

請求書1件あたりの作業時間に発行件数を掛けると、作成方法を見直した場合にどれだけ時間を減らせるかを概算できます。

ここでいう作業時間には、請求書の入力だけでなく、金額の確認、印刷・封入・投函またはメール送信、控えの保存までを含めて考えるのがポイントです。手作業では入力よりも、確認と送付・保存の工程に時間を取られていることが少なくありません。以下のシミュレーターに、自社の月間発行件数と1件あたりの作業時間を入れて試算してみてください。

簡易シミュレーター:請求書作成の削減時間を試算

月に約5.0時間、年間で約60時間の作業時間を減らせる計算です(入力値にもとづく簡易計算であり、実際の効果は業務内容や運用によって異なります)。

試算の初期値は、月30件の請求書を1件15分かけて作成・送付・保存していた作業が、1件5分になった場合を想定した例です。自社の実際の作業時間がわからない場合は、次の月末に1件あたりの所要時間を一度計ってみると、見直しの判断材料として使える数字になります。数字にしてみると、月末月初に請求業務へ割いている時間が想像以上に大きいことに気づくケースも多くあります。

削減できた時間は、入金確認や未入金の督促、取引先からの問い合わせ対応など、確認漏れが起きやすい後工程に回すと効果が大きくなります。逆に、作成時間が短くなっても、送付後の保存や入金確認を手作業のまま残すと、電子帳簿保存法の保存要件(出典:国税庁「電子取引データ保存制度特設サイト」)への対応漏れや請求漏れのリスクは減りません。時間を計るときは、作成から保存までの工程のどこに時間がかかっているかを分けて把握すると、見直すべき工程がはっきりします。

取引形態別に追加で確認したいポイント

小売業・飲食業などの不特定多数との取引、免税事業者が請求書を作る場合、個人への報酬で源泉徴収がかかる場合、中小受託取引に該当する場合は、9項目に加えて確認しておきたい論点があります。

小売業・飲食業などで使える適格簡易請求書

不特定多数を相手にする小売業・飲食業・タクシー業などは、宛名を省略でき、適用税率か消費税額のどちらか一方の記載でよい「適格簡易請求書」を交付できます。BtoB取引の請求書では通常の適格請求書を作ると考えておけば問題ありません。

免税事業者が請求書を作成する場合

適格請求書発行事業者の登録をしていない免税事業者も、請求書そのものは作成・発行できます。ただし登録番号がないため適格請求書にはならず、取引先はその請求書だけでは原則として仕入税額控除を受けられません。登録番号の欄を空欄のまま残したり、消費税額を適格請求書と同じ形式で記載したりすると取引先が誤解する原因になるため、取引開始時に自社が登録事業者かどうかを伝えておくと行き違いを防げます。

源泉徴収の対象となる報酬の請求書

個人のデザイナーやライター、講師などが法人に原稿料・デザイン料・講演料などを請求する場合、支払う側は所得税と復興特別所得税を源泉徴収します。税率は同じ人に1回に支払う金額のうち100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%で、請求書で報酬と消費税額が明確に区分されていれば、報酬の額だけを源泉徴収の対象にしてよいとされています(出典:国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」)。請求書に源泉徴収税額と差引の振込額を記載しておくと、入金額との照合がしやすくなります。

中小受託取引に該当する場合の支払期日

2026年1月1日に下請法が改正され、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)が施行されました(出典:公正取引委員会「法令・ガイドライン等(取適法)」)。製造委託や役務提供委託などで対象となる取引では、発注側は給付の受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定める必要があるとされています。請求書の支払期限は、この支払期日の定めと矛盾しないように記載することが大切です。本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の取引が法律の対象になるかどうかは、公正取引委員会・中小企業庁の資料や専門家に確認してください。

請求書の宛名に付ける「御中」と「様」の使い分けや封筒の書き方は御中の書き方|封筒・メール・請求書の実践ガイド、請求書の前後で発行する見積書・領収書の書き方は見積書とは?書き方・記載項目・テンプレを解説と領収書とは?書き方・インボイス対応・テンプレートを完全解説【2026年版】で確認できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 請求書に印鑑は必要ですか?

A. 法律上、請求書への押印は義務ではなく、インボイスの記載事項にも含まれていません。PDFで送付する請求書も押印なしで問題なく使えます。ただし取引慣行として押印を求める取引先もあるため、先方のルールに合わせて判断してください。

Q2. 請求書は税込と税抜のどちらで書けばよいですか?

A. どちらでも作成できます。インボイスでは、税率ごとに区分した対価の合計額(税抜または税込)と適用税率、税率ごとの消費税額を記載すればよいとされています。社内で税込・税抜の書き方を統一し、端数処理は1枚の請求書につき税率ごとに1回にそろえることが重要です。

Q3. ExcelやWordで作った請求書でもインボイスとして有効ですか?

A. 有効です。インボイスは作成ツールを問わず、国税庁が定める記載事項がそろっていれば適格請求書として扱われます。ただし、PDFにしてメールで送付した場合は電子取引データにあたるため、改ざん防止と検索性を確保した形で電子のまま保存する必要があります。

Q4. 請求書の控えは何年保存すればよいですか?

A. 法人は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間で、欠損金額が生じた事業年度などは10年間です。個人事業主は5年または7年と扱いが分かれ、交付したインボイスの写しは原則7年間の保存が求められます。迷う場合は一律7年以上保存するルールにしておくと管理しやすくなります。

Q5. 送付した請求書の金額を間違えた場合はどうすればよいですか?

A. インボイスの記載に誤りがあった場合は、売手が修正した適格請求書を交付する必要があります。修正後の請求書には元の請求書番号など、どの請求書を修正したかがわかる情報を記載し、元の請求書と修正版の両方を保存しておくと、後から経緯を説明しやすくなります。

Q6. 請求書作成サービスを選ぶときは何を確認すればよいですか?

A. インボイスの記載事項を満たす書式があるか、電子帳簿保存法の保存要件に対応しているか、会計ソフトとの連携ができるか、郵送代行や定期請求の自動作成など作成以外の工程を任せられるかの4点が基本です。月間の発行件数と作成担当者の人数によって必要な機能が変わるため、自社の運用に合わせて確認してください。

まとめ|今日からできる4つのこと

請求書の作成は、必須9項目をそろえる、税率ごとに正しく計算する、控えを適切に保存するという3点を押さえれば、どの作成方法でもインボイス制度と電子帳簿保存法に対応できます。そのうえで、発行件数や担当者数が増えてきたら、手作業の限界を見極めて作成方法を見直すことが大切です。

  1. 今使っている請求書のひな形を必須9項目と照らし合わせ、登録番号・税率ごとの合計額と消費税額が正しく記載されているか確認する
  2. 消費税の端数処理が1枚の請求書につき税率ごとに1回になっているか、Excelの計算式を見直す
  3. PDFで送付した請求書の保存場所とファイル名のルールを決め、検索できる状態で7年以上保存する
  4. 月間の発行件数と1件あたりの作業時間を計り、発行件数・取引先数別の限界サインに当てはまる場合はクラウド型の請求書作成サービスを比較検討する

インボイス制度と電子帳簿保存法の取扱いは、改正や運用の見直しが行われることがあります。実際に請求書を作成・保存する際は、国税庁の最新情報を確認してください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断については税理士または所轄の税務署にご相談ください。

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