オンライン診療とは?流れ・費用・2026年4月の制度改正とシステム比較のポイント

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  • オンライン診療の定義と初診のルールがわかる
  • 予約から処方までの流れと費用の考え方がわかる
  • 2026年4月の医療法・指針の改訂と確認事項がわかる

オンライン診療とは、医師と患者がスマートフォンやパソコンなどを使い、映像と音声でやりとりしながら行う診療のことです。2026年4月1日から医療法にオンライン診療の規定が施行され、厚生労働省の指針も同月に改訂されたため、これから導入する医療機関は、最新のルールと自院の運用を照らし合わせておく必要があります。本記事では、オンライン診療の基本と初診の扱い、予約から処方までの流れ、費用の考え方、システムのタイプ別の比較、法務上の確認事項を、クリニックの導入担当者向けに整理します。あわせて、診察そのものよりも見落とされやすい、予約リマインドや電話での問い合わせ対応といった診察の前後の連絡業務についても取り上げます。

オンライン診療の前後の連絡、いま手間がかかっているのはどこ?

Q1. 診察の前後で、いちばん手間がかかっている連絡は?

目次

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  1. オンライン診療とは|定義と2026年4月の制度改正、診察の前後で増える連絡業務
  2. オンライン診療の種類と初診の扱い|診療前相談・電話診療との違い
  3. オンライン診療の基本的な流れ|予約から処方・薬の受け取りまで
  4. オンライン診療のメリットと欠点|導入前に押さえたい課題
  5. オンライン診療の費用と診療報酬の考え方|システム費用の5要素と患者の負担
  6. オンライン診療システムの選び方|タイプ別比較・電子カルテ連携・セキュリティ
  7. 導入前に確認したい法務・制度|2026年4月施行の医療法、指針、医療広告、個人情報
  8. 患者動線の「つなぎ目」で見るシステム選び
  9. オンライン診療を始める手順とチェックリスト
  10. オンライン診療の導入でよくある失敗パターン
  11. よくある質問(FAQ)
  12. まとめ|オンライン診療の導入で今日からできる5つのこと
  13. 参考文献

オンライン診療とは|定義と2026年4月の制度改正、診察の前後で増える連絡業務

オンライン診療とは、医師と患者が離れた場所から、映像と音声で相手の状態を相互に確認しながら行う診療です。2026年4月に施行された改正後の医療法は、オンライン診療を「映像及び音声の送受信により、医師と遠隔の地にある患者が相手の状態を相互に認識しながら通話することが可能な方法による診療」と定めています。厚生労働省の国民向けのページでも、メールやチャットのみで診療することはできないとされています。

オンライン診療は、対面診療と適切に組み合わせて行うのが基本で、原則としてかかりつけの医師が実施します。医師が適切でないと判断した場合は利用できません。2026年4月からは、指針の「最低限遵守する事項」を基本にした基準が省令に定められ、違反した場合は都道府県知事等が是正を命じられるようになりました。具体的な届出や公表の義務は、後ほど法務の章で整理します。

診察の画面そのものはオンライン診療システムで用意できても、診察の前日の予約リマインド、接続方法の案内、診療時間外の予約変更や問い合わせといった前後の連絡は、別に手当てしないと受付の手作業として残ります。通院の負担を減らす仕組みなのに、受付の連絡が増えてしまっては本末転倒です。そこで、診察を行うシステムとは別に、連絡業務を支えるサービスを役割の違いで比べてみます。以下は診察用のシステムではなく、予約や来院前の連絡と電話対応を支える2つのサービスの一例です。

診察の前後の連絡を支える2サービスの役割の違い

自院の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています

自院の状況:

この状況に合う一例:SMSLINK。予約リマインドなど、決めた文面を指定日時にSMSで自動送信できます。

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この状況に合う一例:MiiTel Phone。電話で受けた内容を、録音と文字起こしで後から確認できます。

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サービス SMSLINK MiiTel Phone
向いている医療機関 予約の前日連絡や来院前の案内を、電話やメールで1件ずつ送っている医療機関 電話での予約変更や問い合わせが多く、通話の内容を後から確認したい医療機関
特徴 国内の携帯キャリアと直接接続するSMS配信。個別送信と一斉送信、予約配信、URLの自動短縮、宛先ごとの情報差込、配信結果の確認 すべての通話を自動で録音・文字起こし。任意の日付や担当者でフィルタリングして確認できる
注意したい点 海外の携帯電話番号には送信できない。通数の数え方が携帯キャリアで異なる サポート対応は平日9時から18時まで。録音の扱いは院内で個人情報の担当者と決める
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表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

予約の前日や来院前の連絡を、受付が電話やメールで個別に行っている場合の一例が、株式会社ネクスウェイが提供するSMSLINKです。SMSLINKは国内の携帯キャリアと直接接続するSMS配信サービスで、商品ページには、指定日の予約客全員への予約リマインドや、あらかじめ設定したメッセージを指定日時に自動で送る使い方、宛先ごとに名前や日付を差し込む機能、本文中のURLの自動短縮、配信結果の確認が紹介されています。一方で、海外の携帯電話番号には送信できず、通数の数え方が携帯キャリアによって異なる点には注意が必要です。患者の病名や診療内容のように配慮が必要な情報はSMSの本文に書かず、日時と案内にとどめる運用を院内で決めておくと安心です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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メールは埋もれやすく開封率に限界があり、リマインドとして機能しないケースも少なくない。

出典:SMSLINK導入事例:GMOビューティー株式会社

これは、美容クリニック向けのDX支援サービスに、SMSLINKのAPI連携でSMS配信機能を組み込んだ事例の背景として書かれた一文です。メールで予約リマインドを送る場合の課題を、導入側がどう捉えていたかの参考になります。

一方、電話での予約変更や問い合わせが多く、聞き取った内容が担当者のメモと記憶に頼りがちな場合の一例が、株式会社RevCommのMiiTel Phoneです。商品ページでは、すべての通話を自動で録音・文字起こしでき、任意の日付や担当者でフィルタリングして確認できる点が特徴として挙げられています。通話の内容を文字で振り返れるため、聞き違いや伝達漏れの確認に役立つ場合があります。注意点として、サポート対応は平日9時から18時までとされているため、診療時間や休診日の運用と合わせて確認が必要です。また、通話の録音には患者の個人情報が含まれるため、録音の案内や保存の扱いは、院内で個人情報の担当者と決めておきましょう。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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対象となるクリニックは全部で17店舗あり、録音はできていたものの、すべての応対を確認し、改善すべき事案を集計するのは難しい状況でした。

出典:MiiTel導入事例:株式会社レスメッド

これは、訪問診療クリニックのグループを支援する会社の事例で、MiiTel Phoneに加えて生成AIのMiiTel Synapseも導入されています。録音しても、確認の手間が残ると活用しきれないという課題は、院内の電話対応を見直す際にも当てはまります。

オンライン診療の種類と初診の扱い|診療前相談・電話診療との違い

初診からのオンライン診療は、原則としてかかりつけの医師が行い、それ以外の医師が行う場合は、映像を用いた「診療前相談」を経て、医師と患者の双方が合意した場合に実施できます。かかりつけの医師とは、日頃から直接の対面診療を行うなど、すでに患者と適切な関係がある医師のことです。以前は初診は対面が前提でしたが、2022年1月の指針改訂で、一定の条件のもとで初診からのオンライン診療が位置づけられました。

区分 内容 指針上の扱いと、システム選定で見るポイント
オンライン診療 診断や処方などの診療行為をリアルタイムで行う 指針が全面的に適用される。映像の安定性、本人確認、診療記録の残し方
診療前相談 かかりつけの医師以外が初診からオンライン診療を行う前に、映像で症状や医学的情報を確認する。診断や処方は含まない オンライン診療の前段階として指針の対象。相談内容を記録として残せるか
オンライン受診勧奨 医療機関への受診勧奨をリアルタイムで行う 指針が一部適用される。対面の予約へつなげやすいか
遠隔健康医療相談 一般的な情報の提供にとどまり、診断などの医学的判断を伴わない 指針の適用対象外。診療との線引きを院内で共有できるか
指針上の区分とシステム選定で見るポイント(厚生労働省「指針の概要」をもとに作成)

診療前相談については、結果としてオンライン診療が行えない可能性があることや、診療前相談の費用などを、医療機関のホームページ等で示し、あらかじめ患者に周知することが求められています。オンライン診療を実施した場合は、診療前相談で得た情報を診療録に記載し、実施に至らなかった場合も記録を保存しておくことが望ましいとされています。2026年4月の改訂では、診療前相談がオンライン診療の前段階で行われるものであり、指針の対象であることが明確にされました。

電話との違いも整理しておきます。オンライン診療は映像と音声が前提で、医療法上の定義も映像及び音声の送受信による診療です。新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いは、2024年3月末で終了しています。電話だけで診察を完結させる運用は、現在はオンライン診療としては扱えないと理解しておくと、システム選びで映像の機能を外さずに済みます。

また、オンライン診療に向くかどうかは、症状や処方内容によっても変わります。指針では、オンライン診療が困難な症状として、日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえて医師が判断し、適さない場合は対面診療を行うこととされています。急病急変の患者には、原則として対面で診療します。初診からの処方には、麻薬と向精神薬の処方は行わない、基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対して特に安全管理が必要な薬や8日分以上の処方は行わない、といった制限があります。

オンライン診療の基本的な流れ|予約から処方・薬の受け取りまで

オンライン診療は、予約、事前問診と本人確認、オンライン診察、会計、処方と薬の受け渡し、次回予約とフォローの順に進むのが一般的です。医療機関が決めておくことを工程ごとに整理すると、次のとおりです。

工程 医療機関側の主な作業 確認しておきたいこと
1. 予約 オンライン用の予約枠を公開し、患者へ案内する 対面の予約と同じ仕組みで管理できるか。前日のリマインドをどう送るか
2. 事前問診・本人確認 問診の回答を確認し、本人確認を行う 初診は顔写真付きの身分証明書による確認が原則。保険診療では資格確認が必要
3. オンライン診察 医師が所属と医療機関の問い合わせ先を示し、診療計画に沿って診察する 診療計画の内容。映像や音声を保存する場合は事前に合意する
4. 会計・決済 会計の方法を患者に案内する 支払い方法は医療機関ごとに異なる(クレジットカード払い、後日の窓口払い、後日の振り込みなど)
5. 処方・薬の受け渡し 処方箋または院内処方で薬を渡す 院外処方でオンライン服薬指導にするか、薬局での服薬指導にするか、院内処方にするか
6. 次回予約・フォロー 次回の診察日時と方法を伝え、対面が必要な場合の受診先を案内する 急変時の相談先や、対面診療につなげる連携先
オンライン診療の6つの工程と確認事項

薬の受け渡し方法は、厚生労働省の「処方薬の受け渡し方法」の手引書で、処方箋を院外に発行してオンライン服薬指導を実施する場合、処方箋を院外に発行して薬局での服薬指導を実施する場合、処方箋を院外に発行しない場合(院内処方)の3つに整理されています。患者が配送やオンライン服薬指導を希望するときは、利用する薬局を医療機関に伝えたうえで、診察後に薬局へ相談する流れです。どの方法に対応するかを決め、患者への案内文に書いておくと、問い合わせを減らせます。

患者側が用意するものも、あらかじめ案内しておくと診察がスムーズです。厚生労働省のQ&Aでは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの機器、プライバシーが守られインターネットに接続できる環境、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)が挙げられています。保険診療を受ける場合は、健康保険証等による資格確認も必要です。診察の途中で医師が適切でないと判断した場合は、オンライン診療を中止して対面診療に切り替えます。

この流れの中で、工程1の予約の前日連絡と、工程6の次回予約の案内、そして診察の外で発生する電話での問い合わせ対応は、システムの画面の外で手作業になりやすい部分です。自院の現状を、次のチェックで確認してみてください。

オンライン診療の前後の連絡、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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オンライン診療のメリットと欠点|導入前に押さえたい課題

オンライン診療の主な欠点は、触診や検査ができず医師が得られる情報が限られること、すべての患者や疾患に適しているわけではないこと、通信環境とセキュリティへの備えが必要なことです。一方で、通院の負担を減らせる利点もあります。厚生労働省は、期待される効果として、在宅での訪問診療と組み合わせた受診機会の増加、糖尿病などの慢性疾患の治療継続、遠方の医療機関への受診のしやすさ、育児・介護や仕事で通院が難しい人の受診のしやすさなどを挙げています。

区分 主な内容 導入時に考えておきたいこと
メリット(患者側) 通院や待ち時間の負担が減り、遠方の患者や仕事・育児・介護で通院が難しい患者も受診しやすくなる 通院が途切れがちな再診患者の治療継続につなげられるか
メリット(医療機関側) 受付や会計の負担の軽減、院内の混雑の緩和、受診機会の拡大 浮いた時間をどの業務に回すか
課題(診療面) 触診や検査ができず得られる情報が限られる。急変時にすぐ対応できない 対象とする疾患・症状を絞り、対面診療への切り替え基準を決める
課題(運営面) システム費用、セキュリティ対策、院内体制の整備、患者への説明が必要 想定件数で費用を試算し、運用できる範囲から始める
オンライン診療のメリットと課題

見落とされやすい準備として、医師の研修受講があります。指針では、2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師は厚生労働省が指定する研修を受講しなければならないとされています。研修では、医学的な知識だけでなく、情報通信機器の使い方や情報セキュリティの知識も扱われます。厚生労働省のページによると、研修はe-learning形式で、料金はかかりません。システムの契約や稼働日を決める前に、担当する医師全員が受講を済ませているかを確認しておくと、稼働直前の手戻りを防げます。

オンライン診療の費用と診療報酬の考え方|システム費用の5要素と患者の負担

オンライン診療の費用は、医療機関が負担するシステム費用と、患者が支払う診療費やシステム利用料に分けて考えると整理しやすくなります。具体的な金額は、サービスや契約内容、診療の種類によって大きく異なり、改定されることもあるため、この記事では示しません。各サービスの最新の公式情報や見積もりで確認してください。まず医療機関側のシステム費用は、次の5つの要素の組み合わせで比べると、総額の見落としを防げます。

費用要素 主な中身 見落としやすい点
初期費用 アカウント設定、院内機器の準備、導入時の操作研修 無料でも、設定代行や研修が別料金の場合がある
月額利用料 システムの基本利用料 最低利用期間や、医師数・拠点数による加算
決済手数料 オンライン決済の金額に対する一定割合 自費診療の比率が高いほど総額への影響が大きい
患者側のシステム利用料 患者が受診ごとに負担する利用料(設定しない形もある) 患者への事前説明と、受診控えにつながらないかの検討
オプション費用 電子カルテ連携、LINE連携、予約リマインド、配送連携など 必要な機能が基本プランに含まれず、後から費用が増える
オンライン診療システムの費用を構成する5つの要素

自院で想定するオンライン診療の月間件数と、保険診療・自費診療の比率をもとに、複数のサービスで1年程度の総額を試算してみるのが確実です。再診の経過観察が中心で件数が多いクリニックでは従量課金の影響が大きくなり、自費診療中心で1件あたりの決済額が大きいクリニックでは決済手数料の割合が効いてきます。

患者が支払う金額は、保険診療か自由診療か、診療内容、システム利用料を設けるかどうかによって変わります。保険診療を受ける場合は健康保険証等による資格確認が必要で、支払い方法は医療機関ごとに異なります。診療報酬の算定には、情報通信機器を用いた診療に係る施設基準の届出などの要件があり、診療報酬の改定で変わることがあります。自院が算定できるかは、最新の告示や通知、地方厚生局の情報で確認してください。患者に費用を案内するときは、予約前の段階で、診療費とシステム利用料、支払い方法をわかりやすく示しておくと、受診後の問い合わせを減らせます。

オンライン診療システムの選び方|タイプ別比較・電子カルテ連携・セキュリティ

オンライン診療システムは、保険診療向け、自費診療向け、電子カルテ一体型、集患プラットフォーム型の4タイプに分けると、自院に合うものを絞り込みやすくなります。どのタイプが優れているということではなく、診療科や患者層、既存の院内システムとの関係によって向き不向きが分かれます。

タイプ 長所 短所・留意点 向いている医療機関
保険診療向け 再診の経過観察や慢性疾患の継続診療に合わせた予約・会計の流れを作りやすい 自費メニューの販売や集患機能は限られることが多い 内科など再診患者の多いクリニック
自費診療向け 事前決済や配送連携など、オンラインで完結する流れを作りやすい 広告表現や処方の適切性について、院内の確認体制がより重要になる 自由診療を中心とするクリニック
電子カルテ一体型 診療記録と一元管理でき、二重入力を防ぎやすい 電子カルテの入れ替えを伴う場合、費用と移行の負担が大きい 開業時や電子カルテの更新時期にある医療機関
集患プラットフォーム型 プラットフォーム経由で新規患者と接点を持てる かかりつけ関係のない初診が増えやすく、診療前相談の運用設計が必要 新規患者の獲得を重視する医療機関
オンライン診療システム4タイプの長所と短所

電子カルテ連携は「どの情報が、どちら向きに流れるか」で確認する

電子カルテとの連携は「対応している」「していない」の二択で語られがちですが、実際には連携の深さに差があります。予約情報と患者基本情報だけが取り込まれるのか、オンライン診療中にカルテを参照・記載できるのか、会計情報まで連動するのかによって、院内の手作業の量は大きく変わります。導入前には、患者情報、予約情報、問診の回答、診療記録、会計情報のそれぞれについて、どちらのシステムで入力し、どちらへ反映されるのかを表にして確認しておくと、稼働後に「結局手で転記している」という事態を避けやすくなります。

セキュリティは指針と医療情報の安全管理ガイドラインを基準にする

指針では、医療機関は、システムを提供する事業者の説明を受け、事業者が提示している情報も自ら確認して、十分な情報セキュリティ対策が講じられていることを確認すること、その際に責任分界点を確認して、導入のリスクを十分に理解することが求められています。事業者側には、通信の暗号化について、2026年4月の改訂で「TLS1.3以上、やむを得ずTLS1.2を用いる場合は十分な暗号強度とする」と示されました。また、オンライン診療システムが医療情報システムに影響を及ぼす可能性がある場合は、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(第7.0版が2026年6月に公表)などに沿った対策も必要です。

汎用のビデオ通話サービスを使う場合も、医療情報システムに影響を与えない設定にすることが求められます。ビデオ通話の仕組みや種類を知りたい場合は、オンライン会議の種類・機能・選び方の解説記事も参考になります。院内側の運用も確認が必要で、診療に使う端末を業務専用にするか、アカウントを職員ごとに分けているか、医師が外部から隔離された空間で診察するかは、システムの機能だけでは担保できません。

患者とスタッフの操作性、導入後のサポート体制も確認する

機能や費用が条件に合っていても、患者が操作でつまずくシステムでは利用が広がりません。再診患者には高齢の方も多いため、専用アプリのインストールが必要か、ブラウザやふだん使っているメッセージアプリから受診できるか、予約から接続までの手順が何段階あるかを確認しておくと、利用のハードルを見積もれます。院内側では、受付スタッフや医師が日々使う管理画面のわかりやすさと、導入後のサポート体制が運用の安定を左右します。初期設定の代行や操作研修があるか、診療時間中の通信トラブルに電話やチャットで問い合わせられるか、サポートの受付時間帯が自院の診療時間と合っているかを確認しておくと安心です。無料の試用期間やデモがある場合は、患者役と医師役に分かれて予約から決済までを一通り試すと、資料だけではわからない使い勝手を把握できます。

オンライン診療の導入では、2026年4月に施行された医療法の規定とオンライン診療の基準、改訂された指針、医療広告ガイドライン、個人情報保護法の4つの観点から、自院の運用が決まりに沿っているかを確認しておくことが基本です。本章は一般的な確認事項の紹介であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。詳細や解釈は改訂されることがあるため、最新の一次情報を確認し、判断に迷う場合は所管の保健所や専門家に相談してください。

観点 主な確認事項 システムや運用で支えられること
医療法とオンライン診療基準(2026年4月施行) オンライン診療を行う旨の届出、指針の「最低限遵守する事項」を基本にした基準への適合。違反には是正命令等が可能 届出の控え、基準適合を確認するチェックリストの運用
オンライン診療の適切な実施に関する指針(2026年4月改訂) 初診の扱い、診療計画、本人確認、対面診療につなげる連携体制、指針を遵守している旨の公表 本人確認や診療計画の記録、対面予約への切り替え、ホームページでの公表
医療広告ガイドライン 予約ページやホームページの表現が、虚偽・誇大・比較優良などの禁止事項に当たらないか 予約ページの文言を院内で確認してから公開する運用
個人情報保護法 診療情報の安全管理措置、委託先の監督、利用目的の明示 アクセス権限の管理、ログの記録、委託契約で安全管理の内容を確認
オンライン診療導入時に確認したい4つの観点

医療機関の届出については、病院または診療所を開設した場合に10日以内に届け出る事項に「その勤務する医師がオンライン診療を行うときはその旨」が追加されました。2026年4月1日の時点ですでにオンライン診療を行っている病院・診療所は、2027年3月31日までの間は、変更の届出を要しない扱いとされています。届出の方法や時期は都道府県等によって案内が異なるため、管轄の窓口に確認してください。

診療計画も欠かせません。指針では、オンライン診療を行う前に、対面診療で十分な医学的評価を行ったうえで、診療内容、対面診療や検査との組み合わせ、診療時間、使用する情報通信機器、オンライン診療を行わないと判断する条件と対面診療への切り替え、急病急変時の対応方針、セキュリティ上の責任分界点などを含む診療計画を定め、2年間は保存することとされています。初診からオンライン診療を行う場合は、診察の後に今後の方針を説明し、オンラインでの診療を続ける見込みがあれば、できるだけ速やかに診療計画を定めて保存します。

さらに、オンライン診療を行う医療機関は、ホームページや院内掲示等で、指針を遵守したうえで実施している旨を具体的に公表することとされています。厚生労働省が示すチェックリストを自院のホームページに公表する方法も考えられるとされています。処方については、厚生労働省が公表している「オンライン診療で処方を受けるに当たって注意が必要なお薬一覧」も確認し、院内で方針を共有しておくことが大切です。

なお、患者が自宅以外でオンライン診療を受ける場所として、2026年4月から「オンライン診療受診施設」が医療法上の施設として位置づけられました。自院が連携する場合は、施設の設置者が基準に適合している旨を公表しているかを、医療機関側が確認することが求められます。ここまでの内容は、実際の運用が法令や指針に適合しているかの判断を目的とするものではありません。最終的な判断は、所管の行政機関の情報や専門家に確認してください。

患者動線の「つなぎ目」で見るシステム選び

オンライン診療のトラブルの多くは、システムの中ではなく、予約から処方までの工程と工程の「つなぎ目」で起きます。機能一覧や料金だけでは見えにくいのは、予約は取れたのに問診の回答が医師に届いていない、診察は終わったのに決済が未完了のまま、処方箋の送付先が患者に伝わっていない、といった工程間の受け渡しです。次の5つのつなぎ目が、自動で処理されるのか、人の手で処理するのかを確認すると、導入後の業務量を具体的に見積もれます。

つなぎ目 起きやすい問題 確認したいこと
予約から問診 問診の回答漏れのまま診察時刻になる 予約完了時に問診を自動で案内し、未回答をリマインドできるか
問診から診察 医師が回答内容を探す手間がかかる 診察画面やカルテから問診の回答を参照できるか
診察から決済 決済の催促や未収金の確認が発生する 事前登録したカードなどで診察後に自動決済できるか
決済から処方 処方箋の送付先や薬の受け取り方法が伝わらない 薬局の指定や配送の手順を患者に自動で案内できるか
オンラインから対面 対面が必要と判断した患者の予約を取り直す手間がかかる 同じ予約の仕組みで対面の予約枠をすぐ案内できるか
オンライン診療の患者動線における5つのつなぎ目

5つのうち「予約から問診」と「オンラインから対面」は、オンライン診療システムよりも予約・受付の仕組みが担う部分です。対面の予約を別の仕組みで管理していると、患者から見ると予約窓口が二つある状態になり、受付スタッフも二つの画面を確認することになります。問診そのものの種類や機能は、オンライン問診・問診票システムの解説記事で詳しく整理しています。対面とオンラインの予約を同じ仕組みで管理できるかは、指針が求める「対面診療につなげる体制」を実務で支えるうえでも重要な確認事項です。

つなぎ目のうち、予約の前後の連絡は、システムの標準機能に含まれない場合もあります。その場合は、決めた文面を指定日時に自動で送れるSMSの配信サービスを併用すると、前日の確認や来院前の案内を受付の手作業から切り離せる場合があります。診療科によってもつなぎ目の重要度は変わり、内科や心療内科、皮膚科のように視診と問診が中心の診療科では問診の回答を診察前に確認できるか、整形外科のように触診や検査が欠かせない診療科ではオンラインから対面への切り替えのしやすさが重要になります。

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オンライン診療を始める手順とチェックリスト

導入は、事前検討、体制の整備、準備、実施環境の構築の順に進めると、手戻りを減らせます。厚生労働省の「オンライン診療の利用手順の手引書」では、事前検討として、自院の課題や患者のニーズの把握、対象とする患者の範囲と患者数の検討、実施できる時間の検討、他の医療機関の導入例の確認が挙げられています。続く体制の整備では関係者の合意形成と人材の確保・育成、準備では予算と費用の確認とシステムの選定、実施環境の構築では各種届出、患者説明資料の作成、予約管理体制の構築、保険証等の確認方法の構築、決済方法と処方箋・薬の提供体制の構築、事務手順の構築が示されています。

受付の電話対応や予約管理の人手が足りない場合は、外部の秘書・電話代行サービスを使う選択肢もあります。オンライン秘書の業務範囲と費用相場の解説記事も参考になります。ただし、患者の診療情報を扱う業務は、委託先の安全管理を確認したうえで範囲を決めてください。導入前の確認事項は、次のリストで院内の関係者と共有できます。

  • 目的:再診の通院負担の軽減、自費診療の提供、新規患者の獲得など、オンライン診療で何を実現したいかを決めている
  • 対象患者:どの疾患、どの患者層を対象にし、初診をオンラインで受けるかどうかの方針を決めている
  • 費用:月間の想定件数をもとに、初期費用、月額、決済手数料、オプションを含めた総額を試算している
  • 連携:電子カルテ、予約・受付、会計のそれぞれと、どの情報がどちら向きに連携するかを確認している
  • 法務:医療法に基づく届出、診療計画、指針を遵守している旨の公表、医療広告、個人情報の安全管理について、確認担当者を決めている
  • 運用体制:受付、看護師、医師の役割分担、研修の受講、通信トラブル時の代替手段、患者への周知方法を決めている

このうち、連携と運用体制の2項目は、オンライン診療システムの選定だけでは完結しません。予約の前日連絡や電話での問い合わせ対応が手作業のままだと、オンライン診療を始めた後に受付の負担が増えるため、導入前に連絡の流れも洗い出しておくと安心です。

オンライン診療の導入でよくある失敗パターン

よくある失敗は、初診ルールの誤解、連携不足による二重入力、患者への周知不足、広告表現や公表事項の確認漏れ、電話での変更依頼の共有漏れの5つです。いずれも、導入前の確認と院内ルールの整備で防ぎやすいものです。

失敗パターン 起きること 回避策
初診のルールを確認せずに始める 診療前相談の手順がなく、初診患者への対応が場当たり的になる かかりつけの患者か否かで受付の流れを分け、診療前相談の記録方法を決めておく
連携を考えずに選定する 予約・問診・カルテ・会計の間で転記作業が発生し、受付の負担が増える 情報ごとの入力元と反映先を表にして、契約前にデモで確認する
患者への周知が不足する 利用方法の問い合わせが集中し、特に高齢の患者が利用をあきらめる 院内掲示やホームページで稼働前から案内し、電話での予約も並行して残す
広告表現や公表事項を確認せずに公開する 予約ページの文言が医療広告ガイドラインの禁止事項に当たるおそれがある。指針を遵守している旨の公表が漏れる 公開前に院内でガイドラインと照らし合わせて確認する手順を決める
電話での変更依頼や問い合わせが共有されない 予約変更や症状の申し出が口頭のままで、担当者の間で内容が食い違う 受けた内容を記録に残す手順を決める。録音する場合は、案内と保存の扱いを院内で決める
オンライン診療の導入でよくある5つの失敗パターン

このほか、試験運用をせずに全患者へ一斉に案内してしまい、通信トラブルや操作の不慣れで予定どおりに診察が進まないケースもあります。まずは特定の曜日や特定の患者層に限定して始め、予約から処方までの流れで詰まる箇所を洗い出してから対象を広げる進め方が、リスクを抑える手段として有効です。通信が途切れた場合に再接続の方法を案内する、必要に応じて対面診療に切り替えるなど、代替手段を事前に決めておくことも欠かせません。

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よくある質問(FAQ)

Q1. オンライン診療の料金はいくらですか?

A. 患者が支払う金額は、保険診療か自由診療か、診療内容、システム利用料を設けるかどうかによって変わるため、一律の金額はありません。保険診療を受ける場合は健康保険証等による資格確認が必要で、支払い方法も医療機関ごとに異なります。医療機関側のシステム費用は、初期費用、月額利用料、決済手数料、患者側のシステム利用料、オプション費用の5つを合わせて、1年程度の総額で比べることをおすすめします。

Q2. オンライン診療の欠点は何ですか?

A. 触診や検査ができず医師が得られる情報が限られること、緊急を要する症状や医師が適切でないと判断した場合には利用できないこと、初診からの処方に制限があることが主な欠点です。通信環境やセキュリティへの備えも必要になります。対象とする疾患や症状を絞り、対面診療への切り替え基準を決めておくと、欠点を補いやすくなります。

Q3. オンライン診療は怪しいですか?

A. 2026年4月からオンライン診療は医療法に位置づけられ、指針の最低限遵守する事項を基本にした基準が定められています。医療機関は、指針を遵守して実施している旨を公表することとされています。厚生労働省は、患者向けに「安心・安全にオンライン診療を受けるためのチェックリスト」を公表しているため、受診前の確認に使えます。医療機関は、公表や説明を整えることで患者の不安を減らせます。

Q4. 初診からオンライン診療はできますか?

A. 指針では、初診からのオンライン診療は、かかりつけの医師が行うことが原則とされています。かかりつけの医師以外が行う場合は、映像を用いた診療前相談で症状や医学的情報を確認し、医師と患者の双方が合意した場合に実施できるとされています。初診では、麻薬や向精神薬の処方などに制限があります。

Q5. オンライン診療システムは何を基準に比較すればよいですか?

A. 費用の5つの要素、電子カルテや予約・会計との連携、セキュリティ、患者とスタッフの操作性、導入後のサポート体制を比べます。あわせて、予約から処方までのつなぎ目を自動で処理できるか、手作業が残るかを確認すると、導入後の業務量を見積もれます。診察の前後の連絡は、システムの標準機能に含まれない場合もあるため、確認してください。

Q6. 顔を映すのが恥ずかしいという患者には、どう対応すればよいですか?

A. オンライン診療は、映像と音声で相手の状態を相互に確認しながら行う診療が前提です。患者側には、周囲から隔離されたプライバシーの守られる場所で受診してもらう必要があります。事前に、映る範囲や周囲への配慮、映像や音声を保存するかどうかを説明して合意を得ておくと、不安を減らせます。映像での診察が難しい場合は、対面診療に切り替えます。

まとめ|オンライン診療の導入で今日からできる5つのこと

  1. 対象と初診の方針を決める:対象とする疾患と患者層を決め、かかりつけの患者に限るか、診療前相談を行って初診から受けるかを整理します。
  2. 2026年4月の制度を確認する:医療法に基づく届出、診療計画、指針を遵守している旨の公表、医師の研修受講を、担当者を決めて確認します。
  3. 費用を総額で試算し、システムを選ぶ:5つの費用要素を合わせて1年程度の総額を比べ、電子カルテや予約との連携、セキュリティを確認します。
  4. 診察の前後の連絡を見直す:予約の前日連絡や電話での問い合わせ対応など、手作業になっている連絡を洗い出し、SMSの配信や通話の録音・文字起こしなどで置き換えられるサービスの資料を確認します。
  5. 試験運用から始める:特定の曜日や患者層で始め、つなぎ目で詰まる箇所を直してから対象を広げます。

オンライン診療は、システムを入れれば完成するものではなく、法令と指針に沿った運用ルールと、予約から処方までを途切れさせない仕組みがそろってはじめて、患者と医療機関の双方にとって使いやすいものになります。自院の診療科や患者層に合わせて、無理のない範囲から段階的に導入を進めてください。

参考文献

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