覚書テンプレート無料|書き方7項目・文例と収入印紙の判断基準【2026年】
Check!
- 必須7項目と文例をそのまま使える
- 分割払い・個人間の文例も確認できる
- 収入印紙の要否を内容で判断できる
覚書テンプレートは、表題・前文・合意内容・適用開始日・原契約との関係・後文・署名押印の7項目がそろっていれば、この記事の文例をコピーして社名・日付・金額を書き換えるだけで使えます。契約内容の変更、分割払いの取り決め、個人間の合意まで、目的別のひな形と注意点をそろえました。紙で作る覚書は内容によって印紙税の課税文書になりますが、電子契約で締結すれば収入印紙は不要です。この記事では、覚書の文例と書き方、収入印紙の判断基準、紙と電子契約のコスト比較までを、国税庁などの公的資料をもとに整理します。契約書全般の印紙税の考え方は契約書の収入印紙とは|課税文書の判定基準と号分類の考え方でも解説しています。
覚書を電子で結ぶなら?自社の運用に合うサービスを診断(2問)
Q1. 覚書や契約書の運用で、いちばん困っていることは?
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
覚書テンプレートの書き方|必須7項目とそのまま使える文例
覚書テンプレートは、表題・前文・合意内容・適用開始日・原契約との関係・後文・署名押印の7項目を書けば完成します。下の文例(サンプル)をWordやGoogleドキュメントに貼り付け、社名・日付・金額を書き換えて使えます。
そのまま使える覚書の文例(契約内容を変更するサンプル)
以下は、業務委託契約の委託料と契約期間を変更する場合の覚書の文例です。社名・日付・金額などを自社の状況に合わせて書き換えてください。分割払いの取り決めや個人間の合意に使う文例は、後述の「目的別の覚書ひな形」にまとめています。
業務委託契約に関する覚書
株式会社○○○○(以下「甲」という。)と株式会社□□□□(以下「乙」という。)は、甲乙間で令和○年○月○日付で締結した業務委託契約書(以下「原契約」という。)の一部を変更するため、次のとおり覚書(以下「本覚書」という。)を締結する。
第1条(委託料の変更)
原契約第5条第1項に定める委託料を、次のとおり変更する。
変更前:月額金○○○,○○○円(消費税別)
変更後:月額金○○○,○○○円(消費税別)
第2条(契約期間の変更)
原契約第10条に定める契約期間の満了日を、令和○年○月○日から令和○年○月○日に変更する。
第3条(適用開始日)
本覚書による変更は、令和○年○月○日から適用する。
第4条(原契約の効力)
本覚書に定めのない事項については、原契約の定めに従うものとする。本覚書と原契約の内容が異なる場合は、本覚書の定めが優先する。
本覚書締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
令和○年○月○日
甲:住所 東京都○○区○○
株式会社○○○○ 代表取締役 ○○○○ 印
乙:住所 大阪府○○市○○
株式会社□□□□ 代表取締役 □□□□ 印
この文例では、第1条で変更前と変更後の金額を並べ、第4条で「定めのない事項は原契約に従う」「食い違う場合は覚書が優先する」という二つのルールを置いています。この二つの一文があるだけで、覚書と原契約のどちらを読めばよいのかという迷いがなくなります。なお、金額を増やす覚書は印紙税の課税文書になる場合があり、変更前の金額を書くかどうかで記載金額の扱いも変わります。契約期間を延ばす第2条のような条文も、原契約の種類によっては課税の判断に関わります(詳しくは後述の「覚書に収入印紙は必要?」で解説します)。
覚書の必須7項目と書き方のポイント
| 項目 | 書く内容 | よくある抜け・注意点 |
|---|---|---|
| 1. 表題 | 「業務委託契約に関する覚書」のように対象の契約名を入れる | 「覚書」だけだと、複数の契約がある相手とどの契約の話か分からなくなる |
| 2. 前文 | 当事者名と、原契約の締結日・名称を特定し、甲・乙の略称を定める | 原契約の締結日を書き忘れると、同名の契約が複数ある場合に対象が特定できない |
| 3. 合意内容 | 変更する条項の番号と、変更前・変更後の文言を並べて書く | 「前述のとおり」などのあいまいな表現は解釈が分かれる原因になる |
| 4. 適用開始日 | 変更がいつから効力を持つかを日付で書く | 省略すると締結日からなのか遡るのかで争いになりやすい |
| 5. 原契約との関係 | 覚書に定めのない事項は原契約に従う旨を書く | この一文がないと、覚書で触れなかった条件の扱いが不明確になる |
| 6. 後文 | 作成通数と、誰が何通保有するかを書く | 電子契約の場合は「電磁的記録を作成し各自保管する」などの表現に変える |
| 7. 日付と署名押印 | 締結日、住所、会社名、代表者名などを双方が記載する | 原契約と異なる印鑑や署名権限のない人の署名は、後で有効性を争われる余地を残す |
特に重要なのは3の合意内容です。「第5条の委託料を改定する」とだけ書くのではなく、変更前の条文と変更後の条文を両方書き写しておくと、第三者が読んでも何が変わったのかがすぐに分かります。原契約に第何条第何項まであるかを確認し、項や号の単位まで特定するのが理想です。また、1通の覚書で複数の条項を変える場合は、条項ごとに条を分けて書くと、あとで一部の変更だけを再修正したくなったときにも対応しやすくなります。
原契約に反社会的勢力の排除や準拠法・裁判管轄の定めがあれば、覚書では「定めのない事項は原契約に従う」の一文で足りることが多く、原契約がない個人間の取り決めや新規の合意では、これらの一般条項を覚書に入れるかを検討します。公開されているひな形の中には、反社会的勢力の排除や準拠法・裁判管轄を最低限盛り込み、そのほかを「その他の条件」の条文でまとめているものもあります。
覚書の作り方|5ステップ
覚書は、目的を決める、原契約を確認する、ひな形を選ぶ、7項目を埋める、署名して保管する、の5ステップで作れます。はじめて作る場合も、この順に進めれば抜けを防げます。
- 目的を決める:契約内容の変更、確認・補足、分割払いなどの支払い、個人間の取り決めのどれかを決めます。
- 原契約を確認する:原契約の締結日・名称・条項番号を手元で確認し、変更する条項を特定します。原契約がない場合は、合意の全体を覚書に書きます。
- ひな形を選ぶ:この記事の文例や、目的別の表からベースにする型を選びます。
- 7項目を埋める:前文で原契約を特定し、変更前と変更後を並べ、適用開始日と「原契約との関係」の一文を入れます。
- 署名して保管する:紙なら2通を作成して署名押印し、電子契約ならサービス上で電子署名を行います。原契約とセットで保管します。
5の署名と保管は、紙と電子で手間が大きく変わります。紙の覚書は印刷・押印・郵送・製本が必要で、課税文書に当たれば収入印紙も貼ります。一方、国税庁の質疑応答事例は、電子署名を付した電磁的記録を電子メールで送信した場合、電磁的記録は文書に含まれないため印紙税は課税されないと回答しています。取引先ごとに本人確認の水準が異なる覚書の場合の一例が、電子印鑑GMOサインです。メール認証の立会人型と、電子証明書で本人性を担保する当事者型の両方に対応し、併用もできます。無料のお試しフリープランがあり、テンプレートから作った覚書を実際に送って試せます。注意点は、当事者型は電子証明書の発行審査に時間がかかり、証明書の更新も必要なことです。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
電子印鑑GMOサイン
オプションが豊富で自社にあった機能を選びたい方におすすめ

実際に使用してみたレビューはこちら

【レビュー】『GMOサイン』を実際に登録して使ってみた【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、GMOサインの利用経験ゼロの筆者が、ゼロからGMOサインの無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
ここがおすすめ!
- スタンダードプランでも機能が充実しており、提供機能を無駄なく活用できる
- 立会人型電子署名は1件あたり100円で送信でき、他社と比較してほぼ半額で利用できる
ここが少し気になる…
- 機能やオプションが豊富でマルチに使えるが、全て必要な場合はオプション料金が高額になってしまう
-
業務における承認作業がデスクにいる際のみでなく、それ以外の環境においてもスムーズに承認作業を進められることがあげられます。当然スマホでも完結可能です。
-
電子サインが気軽にできる
-
紙の契約業務から解放されたのが一番のメリットです。
電子契約を導入して最も大きな効果は、契約締結までのスピードが格段に向上したことです。
出典:電子印鑑GMOサイン導入事例「書類文化から脱却し、膨大な契約事務を電子契約で効率化」(日建レンタコム株式会社の法務部長の発言、2026年10月15日確認)
覚書とは|契約書・念書・合意書との違いと法的効力
覚書とは、当事者間で合意した事項を書面に残す文書で、権利や義務を定めて双方が署名・押印していれば、契約書と同じ法的な拘束力を持ちます。名称が「覚書」であることを理由に効力が弱くなることはなく、判断の基準は書かれている中身です。
民法は、契約は申込みと承諾の意思表示が合致したときに成立し、法令に特別の定めがある場合を除いて書面の作成などの方式は必要ないと定めています(出典:e-Gov法令検索「民法」第522条、2026年10月15日確認)。つまり口頭の約束でも契約は成立しますが、後から「言った・言わない」の争いになったときに合意の内容を証明するのは困難です。覚書は、契約書を作り直すほどではない変更や確認事項について、合意の証拠を手軽に残すための実務上の道具といえます。
ただし、覚書にしたからといって、どんな内容でも有効になるわけではありません。民法は、公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は無効と定めています(出典:e-Gov法令検索「民法」第90条、2026年10月15日確認)。表題が覚書であっても契約書であっても、効力は書かれている中身で判断されます。
ビジネスの現場では、覚書のほかにも念書・合意書・確認書といった似た名称の文書が使われます。いずれも法律で定義された用語ではなく、慣習的な呼び分けにすぎません。ただし、それぞれ典型的な使われ方には違いがあるため、どの名称を選ぶかで相手方に与える印象や、文書の位置づけが変わります。
| 文書の名称 | 典型的な使われ方 | 署名する人 | 法的な拘束力 |
|---|---|---|---|
| 契約書 | 新しい取引を始めるときに条件を網羅的に定める | 当事者双方 | あり |
| 覚書 | 既存の契約の変更・補足、打ち合わせで決めた事項の確認 | 当事者双方 | 権利義務を定め双方が署名押印すればあり |
| 合意書 | 紛争の解決や契約の解除など、特定の事項についての合意 | 当事者双方 | あり |
| 確認書 | 取引条件や受領した事実などを確認した記録 | 双方または一方 | 内容によって異なる |
| 念書 | 一方が相手方に対して約束や義務を差し入れる | 差し入れる側のみ | 差し入れた側の意思表示の証拠になる |
覚書と契約書のいちばん大きな違いは、覚書が多くの場合「すでにある契約(原契約)」を前提にしている点です。原契約の条件を一部だけ変えたい、原契約に書かれていない細目を補いたい、といった場面で使われるため、覚書だけを読んでも全体像が分からない構造になりがちです。この性質が、後で触れる「原契約との矛盾」や「印紙税の判断」を難しくする原因にもなっています。逆にいえば、覚書の冒頭で原契約を正確に特定し、原契約との関係を条文で明記しておけば、覚書は契約管理の強力な道具になります。
なお、覚書を「正式な契約前のメモ」として取り交わす場合もあります。交渉段階の合意事項を覚書にまとめると、たとえ本契約前であっても、記載された内容によっては当事者を拘束する合意と評価される可能性があります。本契約の前に基本合意を覚書で結ぶときは、優先交渉権のように拘束力を持たせる条項と、持たせない条項を、条文ごとに分けて書くのが一般的です。交渉途中の覚書に拘束力を持たせたくない部分には、「本覚書は協議の経過を記録するものであり、法的拘束力を有しない」といった一文を入れておく配慮が行われています。どのような文言が有効かは事案によって異なるため、重要な取引では専門家に確認するのが安全です。
目的別の覚書ひな形|分割払い・賃貸借・個人間・条項の追加と削除
覚書のひな形は、契約変更型・確認補足型・分割払い型・賃貸借型の4つを押さえれば、多くの場面に対応できます。上の文例をベースに、合意内容の条文だけを差し替えて使います。
4つの型の使い分け|契約変更・確認事項・分割払い・賃貸借
覚書は目的によって、合意内容の条文に書くべき要素が変わります。上の文例をベースに、次の表の「合意内容に入れる要素」を差し替えれば、よく使われる4つのパターンに対応できます。
| パターン | 主な利用場面 | 合意内容に入れる要素 |
|---|---|---|
| 契約変更型 | 単価・委託料・納期・契約期間・業務範囲の変更 | 変更する条項番号、変更前と変更後の文言、適用開始日 |
| 確認・補足型 | 打ち合わせで決めた運用ルール、原契約にない細目の追加 | 確認した事項の具体的な内容、原契約のどの条項を補足するか |
| 分割払い型 | 代金や未払金の支払方法の取り決め | 総額、支払回数、各回の金額と期日、振込先、支払いが遅れたときの扱い |
| 賃貸借型 | 賃料改定、更新時の条件変更、使用目的や原状回復の範囲の確認 | 対象物件の表示、変更前と変更後の賃料、適用開始月、敷金の扱い |
分割払い型では、「支払いが一度でも遅れたら残額を一括で支払う」といった期限の利益の喪失に関する条項を入れるかどうかが大きな論点になります。相手方との関係性を踏まえつつ、どこまで書くかをあらかじめ社内で決めておくと交渉がスムーズです。また、既存の売掛金などを貸付金に切り替えるような内容にすると、印紙税の上では金銭の消費貸借に関する契約書として扱われる場合があるため、文言の選び方には注意が必要です。
分割払い(支払い)の覚書の文例(サンプル)
未払いの代金や委託料を分割で支払う取り決めには、次のような文例を使います。ここでは、業務委託契約に基づく未払いの委託料を分割で支払う場合を想定しています。
分割払いに関する覚書
株式会社○○○○(以下「甲」という。)と株式会社□□□□(以下「乙」という。)は、甲乙間で令和○年○月○日付で締結した業務委託契約書(以下「原契約」という。)に基づく未払いの委託料の支払方法について、次のとおり覚書(以下「本覚書」という。)を締結する。
第1条(未払いの委託料)
乙は、甲に対し、原契約に基づく令和○年○月分の未払いの委託料として金○○○,○○○円(消費税別)の支払義務があることを確認する。
第2条(分割払い)
乙は、前条の金額を、次のとおり分割し、毎月末日までに甲の指定する銀行口座へ振り込んで支払う。振込手数料は乙の負担とする。
回数:○回
各回の金額:金○○,○○○円(消費税別)
支払期間:令和○年○月から令和○年○月まで
第3条(期限の利益の喪失)
乙が前条の支払いを1回でも遅延したときは、乙は当然に期限の利益を失い、残額を直ちに甲に支払う。
第4条(遅延損害金)
乙が支払いを遅延したときは、支払期日の翌日から支払済みまで、年○%の割合による遅延損害金を甲に支払う。
第5条(原契約の効力)
本覚書に定めのない事項については、原契約の定めに従うものとする。
本覚書締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
令和○年○月○日
甲:住所 東京都○○区○○
株式会社○○○○ 代表取締役 ○○○○ 印
乙:住所 大阪府○○市○○
株式会社□□□□ 代表取締役 □□□□ 印
分割払いの覚書で外せないのは、総額、回数、各回の金額と期日、振込先、支払いが遅れたときの扱いの5点です。第3条の期限の利益の喪失と第4条の遅延損害金を入れるかどうかは、相手方との関係性を踏まえて社内で決めておくと交渉がスムーズです。支払方法の変更は、原契約が請負契約であれば「契約金額の支払方法」という重要な事項の変更に当たり得るため、紙で作る場合は印紙税の判断が必要になります(後述)。分割で支払いを受ける側は、入金のたびに領収書を出す運用も多いため、書式の選び方は領収書テンプレートの選び方【無料・Excel/Word】インボイス対応の確認点も参考になります。
賃貸借の覚書の注意点(賃料変更・土地と建物の違い)
賃料の改定や更新時の条件変更には、前掲の賃貸借型の合意内容(対象物件の表示、変更前と変更後の賃料、適用開始月、敷金の扱い)を使います。連帯保証人がいる賃貸借では、保証人の扱いも確認しておきます。
賃貸借型の覚書で注意したいのは、土地と建物で印紙税の扱いが異なることです。国税庁の印紙税額の一覧表では、土地の賃借権の設定や土地賃料の変更に関する契約書は第1号文書に掲げられている一方、建物の賃貸借契約書は課税文書に含まれていません(出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認)。駐車場や資材置き場として土地を借りている場合の賃料改定の覚書は、課税文書になる可能性がある点を押さえておきましょう。
個人間の覚書|個人向けと法人向けの書き分けと文例(サンプル)
配布されている覚書テンプレートは「個人向け」と「法人向け」に分かれていることが多く、上の文例は法人同士の取引を想定したものです。個人間のお金の貸し借りや物の受け渡し、個人事業主との取引で覚書を使う場合は、合意内容の条文は同じ考え方で書けますが、当事者の表示と署名欄、そして原契約の有無が変わります。相手が個人か法人かで書き換える箇所を次の表にまとめました。
| 書き換える箇所 | 法人向けの覚書 | 個人向けの覚書 |
|---|---|---|
| 当事者の表示 | 本店所在地、商号、代表者の肩書と氏名 | 住所と氏名。個人事業主は屋号を添えてもよいが、氏名を必ず書く |
| 署名欄 | 記名押印が一般的。代表者以外が署名する場合は、その人に締結の権限があるかを確認する | 本人が自分で氏名を書く署名が基本。押印もあわせて行うと本人の意思で作成したことを示しやすい |
| 原契約の有無 | 原契約があり、その一部を変更・補足する形が多い | 原契約がなく、覚書だけで合意の全体を定める形が多い |
| 合意内容の書き方 | 変更する条項番号と、変更前・変更後の文言を並べる | 金額、期日、支払方法、守られなかったときの扱いを省略せずに書く |
個人向けの覚書でいちばん注意したいのは、原契約がないぶん、覚書に書かれていないことは何も決まっていない状態になる点です。法人向けの文例にあった「本覚書に定めのない事項は原契約に従う」という一文は使えないため、前文で「何について合意するのか」を具体的に書き、必須7項目のうち原契約との関係に代えて「本覚書に定めのない事項は、甲乙が誠実に協議して定める」といった条項を置く形が一般的です。署名欄については、民事訴訟法が、私文書は本人またはその代理人の署名または押印があるときは真正に成立したものと推定すると定めています(出典:e-Gov法令検索「民事訴訟法」第228条第4項、2026年10月15日確認)。個人同士であっても、双方が署名または押印した覚書を1通ずつ持っておくことが、後から合意の内容を示すための基本になります。
個人間で最も多い場面は、お金の貸し借りの返済方法を書面に残すケースです。次の文例(サンプル)は、貸したお金の返済について合意する覚書で、原契約がないため、第1条で何の返済かを日付と金額で特定しています。
金銭の返済に関する覚書
○○○○(以下「甲」という。)と□□□□(以下「乙」という。)は、令和○年○月○日に甲が乙に貸し付けた金銭の返済について、次のとおり覚書(以下「本覚書」という。)を締結する。
第1条(確認)
乙は、甲から令和○年○月○日に金○○○,○○○円を借り受けたこと、および同額の返済義務を負っていることを確認する。
第2条(返済方法)
乙は、前条の金額を、令和○年○月から毎月○日までに金○○,○○○円ずつ、甲の指定する口座へ振り込んで返済する。振込手数料は乙の負担とする。
第3条(期限の利益の喪失)
乙が返済を遅延したときは、乙は期限の利益を失い、残額を直ちに返済する。
第4条(協議)
本覚書に定めのない事項は、甲乙が誠実に協議して定める。
本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙が署名押印の上、各1通を保有する。
令和○年○月○日
甲:住所 ○○県○○市○○
氏名 ○○○○ 印
乙:住所 □□県□□市□□
氏名 □□□□ 印
利息を取り決める場合は、利率と計算の方法も条文にします。口約束のままにせず、金額・返済期日・返済方法・遅れたときの扱いを書面に残しておけば、後から合意の内容を示す根拠になります。紙で作った場合の印紙税の扱いは、次の段落で説明します。
印紙税の考え方は、個人向けでも法人向けでも変わりません。国税庁の印紙税額の一覧表は、消費貸借に関する契約書の例として金銭借用証書や金銭消費貸借契約書を挙げており、紙で作成したお金の貸し借りの覚書は、内容によって第1号文書に当たる可能性があります(出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)」)。「個人同士だから」「表題が覚書だから」という理由だけで印紙を不要と判断しないようにしましょう。また、個人向けのひな形を法人の取引に流用すると、代表者の肩書や原契約の特定が抜けやすくなります。テンプレートを選ぶ段階で、相手が個人か法人か、原契約があるかないかを先に確認しておくと、書き直しの手間を減らせます。
条項の追加・削除・全面変更の書き方
既存の契約を変える覚書は、条項を「変更する」場合だけではありません。追加、削除、全面変更も、次のように書き分けるのが一般的です(一般的な書き方の一例です)。
| 変更の種類 | 書き方の例 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 条項の変更 | 「原契約第○条第○項を、次のとおり変更する。」と書き、変更前と変更後の文言を並べる | 金額・期日・業務範囲など、一部の条件だけを変えるとき |
| 条項の追加 | 「原契約第○条に、次の1項を加える。」と書き、追加する文言を示す | 原契約にない細目や運用ルールを足すとき |
| 条項の削除 | 「原契約第○条第○項を削除する。」と書く | 不要になった条項を外すとき |
| 全面変更 | 変更後の契約条項の全体を別紙として添付し、「原契約は別紙のとおり改める」と書く | 変更箇所が多く、条文ごとに書き分けると複雑になるとき |
契約を途中で終える合意解除や、契約上の地位を別の会社に引き継ぐ地位承継も、覚書で取り交わす場面があります。合意解除では、解除後も存続させる条項(秘密保持など)と、未清算の債権債務の扱いを書きます。地位承継では、承継の対象となる契約書と、すでに結んでいる覚書を漏れなく特定することが要点です。いずれも個別の事情で必要な条項が変わるため、重要な取引では専門家の確認を受けてください。
契約書の種類別|覚書テンプレートの使い分け早見表
同じ「覚書」でも、元になる契約書の種類によって、変更しやすい事項や印紙税の扱い、あわせて確認したい法令が変わります。社内でよく使う契約ごとに、どのひな形をベースにするかを決めておくと、担当者が変わっても同じ品質で覚書を作れます。
| 原契約の種類 | 覚書でよく変える事項 | ベースにするひな形 | 印紙税の目安 | あわせて確認したい点 |
|---|---|---|---|---|
| 雇用契約 | 勤務時間、勤務地、賃金、職務内容 | 契約変更型 | 原則として課税文書に当たらない | 労働条件の変更は労働者との合意が基本。就業規則との整合 |
| 業務委託契約(請負型) | 委託料、納期、成果物の内容 | 契約変更型 | 第2号文書の重要な事項の変更なら課税 | 相手がフリーランスの場合は取引条件の明示義務 |
| 業務委託契約(準委任型) | 業務範囲、稼働時間、報酬 | 契約変更型 | 原則として課税文書に当たらない | 名称ではなく実態が請負に近いかどうかを確認 |
| 秘密保持契約 | 秘密情報の範囲、有効期間、返還方法 | 確認・補足型 | 原則として課税文書に当たらない | 期間延長時は残存条項の期間もあわせて見直す |
| 売買取引基本契約 | 単価、支払方法、取扱数量 | 契約変更型 | 第7号文書の重要な事項の変更なら課税 | 自動更新契約の単価変更は記載金額の扱いに注意 |
| 土地・建物の賃貸借契約 | 賃料、更新条件、使用目的 | 賃貸借型 | 土地は第1号文書として課税の可能性、建物は原則対象外 | 敷金・原状回復の扱いを変えるかどうか |
表の「印紙税の目安」は、一般的な内容を想定した整理です。実際の課税関係は覚書に書かれた内容で判断されるため、迷う場合は後述の国税庁資料や所轄の税務署で確認してください。業務委託の相手が個人のフリーランスの場合は、2024年11月に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法により、発注時に業務の内容や報酬の額などの取引条件を書面や電磁的方法で明示することが求められています(出典:公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組」2026年10月15日確認)。報酬や業務内容を覚書で変更するときも、変更後の条件が明確に残る形にしておくことが大切です。
ここまでの作業は、覚書を作るたびに繰り返す手作業です。いま自社のどこに手間がかかっているかを、次のセルフチェックで確認してみてください。
覚書づくり、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
覚書に収入印紙は必要?課税文書かどうかの判断基準
覚書に収入印紙が必要かどうかは、表題ではなく内容で決まり、原契約の「重要な事項」を変更・補充する覚書は課税文書になります。紙で作成した場合に限った話で、電子契約で締結した覚書には印紙税はかかりません。
国税庁は、「覚書」や「念書」などの表題で原契約書の内容を変更する文書について、課税文書に当たるかどうかは「重要な事項」が含まれているかで判定すると説明しています。重要な事項は印紙税法基本通達の別表第2で文書の種類ごとに例示されており、たとえば請負に関する契約書では「契約金額の支払方法」や「請負の期日又は期限」「請負の内容」などが挙げられています(出典:国税庁「No.7127 契約内容を変更する文書」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認)。
覚書に収入印紙が必要か|4つの質問で判断する流れ
国税庁の資料にもとづくと、判断は次の順に進めると整理しやすくなります。個別の課税関係は、迷ったら所轄の税務署や税理士に確認してください。
- 電子契約(電磁的記録)で締結しますか。はい:電磁的記録は文書に含まれないため、印紙税は課税されません(国税庁の質疑応答事例)。紙で作る場合は2へ進みます。
- 原契約の「重要な事項」を変更・補充する内容ですか。変更契約書が課税文書に当たるかは、重要な事項が含まれているかで決まります。連絡先の変更のように重要な事項を含まない覚書は、課税文書に該当しません(No.7127)。
- 原契約は課税文書に当たる契約ですか。請負・継続的取引の基本契約・金銭の貸借・土地の賃借などは課税物件表に掲げられた文書で、雇用契約などは掲げられていません。覚書の号は、原契約の号と、覚書で何を変えたかの組み合わせで決まります(No.7127)。
- 課税文書になる場合、記載金額はいくらになりますか。契約金額を変える覚書は、増額なら増加額、減額なら記載金額なし、変更前の契約書が明らかでなければ変更後の金額が記載金額になります(No.7123)。税額は号と記載金額で決まります(No.7140)。
国税庁の具体例で見る覚書の課税区分
同じ資料では、覚書がどの号の文書になるかについて具体例が示されています。原契約が複数の号に当てはまる基本契約の場合、覚書の所属は原契約と同じになるとは限らない点が実務上のポイントです。
| 原契約 | 覚書の内容 | 覚書の扱い |
|---|---|---|
| 工事請負契約書(第2号文書) | 工事代金の支払方法を変更 | 第2号文書の重要な事項の変更として第2号文書 |
| 製造請負基本契約書(第2号と第7号に該当し、契約金額の記載がないため第7号文書) | 製品の納期を変更 | 第2号文書の重要な事項のみの変更として第2号文書 |
| 清掃請負基本契約書(第2号と第7号に該当し、契約金額の記載があるため第2号文書) | 清掃範囲を変更 | 両方の重要な事項の変更に当たり、契約金額の記載がないため第7号文書 |
このように、覚書の課税区分は「原契約が何号か」だけでは決まらず、「覚書で何を変えたか」と「覚書に契約金額が書かれているか」の組み合わせで決まります。反対に、担当者の連絡先の変更や、請求書の送付方法の確認といった、重要な事項に当たらない内容だけを定める覚書は、課税文書に該当しないことになります。社内でよく使う覚書のパターンごとに、どの重要な事項に触れるのかを一覧にしておくと、毎回の判断が楽になります。重要な事項の一覧は、国税庁のパンフレット「印紙税の手引」にも掲載されています。
金額を変える覚書の記載金額|増額と減額で扱いが違う
契約金額を変更する覚書では、印紙税額を決める「記載金額」の考え方に独自のルールがあります。変更前の契約金額を記載した文書が作成されていることが明らかな場合、増額なら増加額が記載金額となり、減額なら記載金額のないものとして扱われます(出典:国税庁「No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認)。
| 覚書の書き方(原契約が90万円の場合) | 変更前の契約書が明らかな場合 | 変更前の契約書が明らかでない場合 |
|---|---|---|
| 110万円に変更する(20万円の増額) | 増加額の20万円が記載金額 | 変更後の110万円が記載金額 |
| 70万円に変更する(20万円の減額) | 記載金額のないもの | 変更後の70万円が記載金額 |
| 変更後の金額「90万円に変更」だけを書く | 変更後の金額が記載金額 | 変更後の金額が記載金額 |
実務上のポイントは、覚書の前文で原契約の締結日と名称を特定し、合意内容に変更前と変更後の金額を並べて書いておくことです。こうすると「変更前の契約金額を記載した文書が作成されていることが明らか」な形になり、増額の場合は増加額だけが記載金額になります。先ほどの文例で変更前と変更後を並べていたのは、原契約との食い違いを防ぐためだけでなく、この印紙税の扱いとも関係しています。なお、請負に関する契約書(第2号文書)の場合、記載金額が1万円未満であれば原則非課税、記載金額のないものは200円とされています(出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)」)。具体的な税額は契約の種類と金額帯で変わるため、契約書の収入印紙 金額表|契約金額と契約書の名前から引ける早見表で確認してください。
また、国税庁は自動更新条項のある契約で単価を変更する場合について、更新後の期間には「変更前の契約書」が存在しないため、変更前の契約書が明らかでない場合の取扱いになると注記しています(出典:国税庁「No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額」)。何年も自動更新を続けている取引基本契約の単価を覚書で改定する場面はよくあるため、「変更前も書いたから増加額だけで済む」と思い込まないよう注意が必要です。
契約期間だけを延長する覚書の印紙税
契約金額が変わらなくても、契約期間を延ばすだけの覚書が課税文書になる場合があります。国税庁の質疑応答事例では、基本契約書で定められた契約期間が終了する場合などに、契約期間についてだけ改めて延長する契約を結ぶと、新たに第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)を作成するのと同様の効果をもつため、重要な事項を変更するものとして第7号文書に該当するとされています。ただし、第7号文書に該当する文書を引用して契約期間を延長するもののうち、延長する期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは除かれます(出典:国税庁「基本契約書の契約期間を延長する契約書」令和7年8月1日現在、2026年10月15日確認)。
前掲の文例の第2条のように契約期間の満了日を変える覚書を作るときは、原契約が継続的取引の基本契約に当たるか、延長する期間が3か月を超えるか、更新の定めがあるかを確認します。「金額が同じだから印紙は不要」と決めつけず、期間の変更だけでも判断の対象になると覚えておくと安全です。
原契約が電子契約で、覚書だけ紙にするとどうなるか
意外と知られていないのが、原契約を電子契約で締結し、あとから取引先の要望で覚書だけを紙で取り交わすケースです。国税庁の質疑応答事例では、電子契約で結んだ請負契約の金額を紙の変更契約書で増額し、当初契約の日付や表題を引用して変更前の金額と増加金額を書いた場合について、電磁的記録は文書に含まれないため「変更前の契約金額等を記載した文書が作成されていることが明らかである場合」には当たらず、当初の金額と増加額の合計額が記載金額になると回答しています(出典:国税庁「電磁的記録(電子契約)に係る契約金額等を記載した変更契約書の記載金額」令和7年8月1日現在、2026年10月15日確認)。
つまり、原契約が紙なら増加額だけで済んだはずの覚書が、原契約を電子化していたために変更後の合計額を基準に課税される、という逆転が起こり得ます。原契約を電子契約にしたのであれば、覚書も電子で締結するのが最もシンプルです。取引先が紙を希望する場合でも、この仕組みを説明して電子での締結を提案する価値はあります。
印紙を貼り忘れた場合と、印紙が不要になるケース
課税文書である覚書に収入印紙を貼らなかった場合、当初に納付すべき印紙税額の3倍に相当する過怠税が課されます。税務調査の前に自主的に不納付を申し出た場合は1.1倍に軽減され、貼った印紙に消印をしなかった場合は消印されていない印紙の額面と同額の過怠税となります。過怠税は法人税の損金や所得税の必要経費にならない点にも注意が必要です(出典:国税庁「No.7131 印紙税を納めなかったとき」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認)。なお、印紙の貼り忘れがあっても、覚書そのものの私法上の効力がなくなるわけではないと一般に解されています。
紙の覚書を2通作成して双方が署名押印する場合、「写し」「副本」と表示しても、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかなもの(当事者双方の署名または押印があるものなど)は課税対象になります。一方で、正本を複写機でコピーしただけで署名押印も証明もないものは、単なる写しとして課税対象になりません(出典:国税庁「No.7120 契約書の写し、副本、謄本等」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認)。
一方、印紙が不要になる代表的なケースは、重要な事項を含まない覚書、雇用や準委任など課税物件表に掲げられていない契約に関する覚書、記載金額が非課税の範囲にとどまる覚書、そして電子契約で締結した覚書です。また、署名押印のない単なるコピーや、ファクスや電子メールで送られて送付先で出力された文書は写しと同様とされ、課税対象になりません(出典:国税庁「No.7120 契約書の写し、副本、謄本等」)。収入印紙の券面の種類や購入場所、貼り方と消印の手順は収入印紙の種類一覧|全31種類の金額と文書別の必要額・買い方を解説で詳しく解説しています。本記事の印紙税に関する記載は一般的な情報の紹介であり、個別の課税関係の判断は所轄の税務署や税理士に確認してください。
Biz Connection
印紙の貼り忘れや、取引書類の差し戻しの手戻りが続いていませんか?
こんな会社に向いています
発注書・請書・見積書などの取引書類を、案件ごとにまとめて管理したい会社
基幹システムと連携して、取引書類の電子化を進めたい会社
紙運用と電子契約運用のコスト比較|覚書1通にかかる見えない費用
覚書を紙で運用すると、印紙税に加えて印刷・製本・郵送・保管・検索といった費用と時間がかかりますが、電子契約ではその多くが不要またはシステム利用料に置き換わります。覚書は1通ごとの負担が小さいぶん見過ごされがちですが、件数が積み重なると差が大きくなります。
| コスト項目 | 紙で運用する場合 | 電子契約で運用する場合 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 課税文書に当たれば1通ごとに必要。判断の手間と貼り忘れのリスクも伴う | 電磁的記録は課税対象外のため不要 |
| 印刷・製本・押印 | 2通印刷し、製本や契印、押印の社内手続きが必要 | テンプレートからデータを作成し、画面上で署名 |
| 郵送 | 往復の郵送費と、返送までの待ち時間が発生 | メールやURLで送信。送信料がかかるサービスもある |
| 保管 | 原契約とセットでファイリングし、保管スペースが必要 | クラウド上に保存。原契約との紐づけも可能 |
| 検索・参照 | 最新の条件を知るには原契約と覚書をすべて探して読み合わせる | 取引先名や日付、全文検索で必要な覚書をすぐに表示 |
| システム費用 | 原則なし | 月額・年額の利用料や送信料が発生する(料金体系はサービスで異なる) |
見落としやすいのが保管の期間です。法人は、帳簿と取引に関して作成または受領した書類を、確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存する必要があり、国税庁はこの「書類」の例として契約書を挙げています。青色申告で欠損金が生じた事業年度などは10年間となります(出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」令和7年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認)。覚書も契約内容を変更する書類として同様に扱うのが自然で、原契約と覚書をセットで長期間管理し続ける負担は小さくありません。電子契約で締結した場合は、電子帳簿保存法に沿って電子データのまま保存する必要があります(参考:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」)。電子署名の法的な位置づけは電子署名法で定められており、本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電磁的記録は、真正に成立したものと推定されます(出典:e-Gov法令検索「電子署名及び認証業務に関する法律」第3条、2026年10月15日確認)。
自社の覚書にかかる紙のコストを把握するには、年間の作成件数と1通あたりの費用を掛け合わせてみるのが近道です。次の簡易シミュレーターでは、印紙税と、郵送・印刷などの実費を自社の実績に合わせて入力できます。
簡易シミュレーター:覚書を紙で運用した場合の年間コスト
試算してみると、覚書の件数が少ない企業では紙の実費はそれほど大きくならず、電子化の判断材料は「費用」よりも「探す手間」や「締結までの日数」になることが分かります。反対に、取引先が多く単価改定や条件変更のたびに覚書を交わす企業では、紙の実費だけでも無視できない額になります。
紙の覚書の製本・割印・契印は必要か
覚書が複数ページになるときは、後からページを差し替えられたり改ざんされたりするのを防ぐため、紙では袋とじなどの製本、ページの境目に押す契印、2通を重ねて押す割印を行うのが実務上の慣行です。法律で一律に義務づけられているわけではなく、民事訴訟法は、私文書は本人またはその代理人の署名または押印があるときは真正に成立したものと推定すると定めています(出典:e-Gov法令検索「民事訴訟法」第228条第4項、2026年10月15日確認)。署名または押印が証拠力の基本で、製本や契印・割印は、ページの差し替えが疑われないようにするための手間と考えると位置づけがつかめます。
電子契約では、ファイルに電子署名を付ける仕組みで内容の改ざんの有無を確認できるため、製本・契印・割印の作業は必要ありません。数行の条件変更のために、印刷・製本・押印・郵送を繰り返している場合は、手間の大きさを見直すきっかけになります。次の章では、覚書を電子で結ぶときに比べたいサービスの違いを整理します。
覚書を電子で結ぶなら|電子契約サービス5つの比較
覚書をテンプレートで作ったあと、締結まで電子で完結させると収入印紙が不要になり、押印・郵送・保管の手間もまとめて減らせます。国税庁の質疑応答事例では、電子署名を付した電磁的記録を電子メールで送信した場合について「電磁的記録は文書に含まれない」ため印紙税は課税されないと回答しています(出典:国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」令和7年8月1日現在、2026年10月15日確認)。
電子契約サービスは、どれを選んでも覚書を締結できる点は同じですが、得意分野がそれぞれ異なります。署名方式の選択肢、会計や人事など他の業務との連携、契約書のデータ化や検索、取引書類の一元管理などです。次の比較表は、各サービスの商品ページで確認できる内容をもとに、向いている覚書の運用と導入前に確認したい点を並べたものです。優劣ではなく役割の違いで並べているため、自社の覚書の件数や取引先の傾向と照らし合わせて見てください。
覚書を電子で結ぶサービスの役割を比べる
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:電子印鑑GMOサインは、メール認証の立会人型と、電子証明書を使う当事者型の両方に対応し、併用もできます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Contract Oneは、紙・PDF・電子契約の契約書をデータ化し、全文検索や契約期限のアラートで管理できます。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Biz Connectionは、企業間取引の書類を案件・取引先ごとにまとめて管理し、基幹システムとの連携に対応しています。
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:SMBCクラウドサインは、弁護士監修で日本の法律に特化し、メガバンクのセキュリティ基準でモニタリングされています。
資料を無料ダウンロード| サービス | Contract One |
Biz Connection |
SMBCクラウドサイン |
||
|---|---|---|---|---|---|
| 向いている会社 | 取引先ごとに求める本人確認の水準が異なる覚書を扱う会社 | 経理・人事の業務と契約データをつなげたい会社 | 過去の紙の契約書と新しい覚書をまとめて検索したい会社 | 見積書・請求書など他の取引書類と一緒に覚書を管理したい企業間取引の会社 | 取引先の信頼感やセキュリティ審査を重視する会社 |
| 特徴 | メール認証の立会人型と、電子証明書を使う当事者型の両方に対応し、併用も可能。無料のお試しフリープランあり | 法務相談から作成・承認・締結・保存まで一元化。紙の契約書や他サービスで結んだ契約書もまとめて管理でき、無料トライアルあり | 紙・PDF・電子契約の契約書をAI-OCRと専門スタッフの確認でデータ化。全文検索や契約期限のアラート機能あり | 企業間取引の書類を案件・取引先ごとにまとめて管理するBtoBプロセスプラットフォーム。基幹システムとの連携に対応 | 弁護士監修で日本の法律に特化。メガバンクのセキュリティ基準でモニタリング。AIで契約金額や期間を読み取る契約書管理機能あり |
| 注意したい点 | 当事者型は電子証明書の発行審査に時間がかかり、証明書の更新も必要 | 連携できる範囲はサービスにより異なるため、自社で使う会計・人事システムとの連携可否を資料で確認したい | 契約データの管理・活用が中心のため、締結機能の範囲は資料で確認したい | 契約ごとの従量課金ではなく年間定額制のため、覚書の件数が少ない場合は費用対効果を見極めたい | フォルダ管理の自由度が低い点や、プランごとの機能の範囲を資料で確認したい |
| 資料・詳細 |
5サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
選び方の目安として、取引先によって「メール認証で十分な相手」と「実印相当の本人確認を求める相手」が混在しているなら、署名方式を使い分けられるサービスが扱いやすくなります。立会人型はメールで届いたリンクから署名できるため取引先の負担が小さく、当事者型は電子証明書によって本人性を担保するぶん、重要な契約変更の覚書に向いています。まずは無料のお試しプランで、テンプレートから作った覚書を実際に送信し、取引先の操作画面まで確認してみると導入後のイメージがつかみやすくなります。
経理・人事の業務と契約データをつなげたい場合
雇用契約や業務委託契約の覚書は、人事や経理の担当者が作成し、給与計算や支払処理に反映させる流れになることが多いはずです。覚書で決めた賃金や委託料が、実際の給与計算や支払予定に正しく引き継がれていないと、覚書を作った意味がなくなってしまいます。契約書の作成・承認・締結・保存までを一元化し、契約データを債務管理や人事管理へ連携できるサービスを使うと、覚書の内容と日々のバックオフィス業務のずれを防ぎやすくなります。紙の契約書や、他の電子契約サービスで締結した契約書も取り込んで一元管理できるため、取引先が使うサービスに合わせて締結する場面にも対応しやすくなります。無料トライアルで使い勝手を確認できます。注意点は、連携できる範囲がサービスにより異なるため、自社で使う会計・人事システムとの連携可否を資料で確認することです。料金は資料や公式サイトで確認してください。

実際に使ってみたレビューはこちら

【正直レビュー】『マネーフォワードクラウド契約』のメリットや機能は?実際に導入してわかったリアルな感想【使い方解説】
数ある電子契約システム、どのサービスを使ったら良いかわからないと言う方も多くいると思います。そこで今回は、電子契約システム利用経験ゼロの筆者が、マネーフォワードクラウド契約の無料登録から初回契約締結までの流れを実況形式でお伝えします。
ここがおすすめ!
- 契約書の作成、申請・承認、締結、保存、管理までマネーフォワード クラウド契約ひとつで完結
- 契約書送信料・契約書保管料は0円だから契約書が増えても追加課金なし!
ここが少し気になる…
- ハンコの印影にもう少し工夫ができると良い
-
契約締結までの時間が大幅に短縮され、印紙代や郵送コストも削減できました。契約書の一元管理が可能になり、検索性も向上したため、必要な時にすぐにアクセスできます。また、契約更新のリマインダー機能のおかげで、更新漏れのリスクも軽減されました。テレワーク環境下でも、場所を選ばずに契約業務を進められるようになったことも大きなメリットです。
-
まずペーパーレスになったのでコストの左右限につながりました。また部署をこえての共有が可能なので、社内全体で管理がしやすく便利だと思います。ステータスもわかりやすいので今どの状態にあるのかがひとめでわかりやすく、全体的に作業効率が格段に上がりました。サポートも充実しているので安心して利用ができます。
-
過去の給与明細がしっかり確認できます。開けば通勤手当などよくある手当だけでなく、様々な項目を自由に記載できるようでより企業それぞれに対応していると思われます。 見る側も分かりやすいです。
営業活動においては見積書を出して、その後に注文書、そして最後に請求書と複数の書類が存在するため、それらをクラウド上で一元管理できるのは、非常に便利だなと感じています。
出典:マネーフォワード クラウド契約導入事例「見積書や注文書などの様々な取引書類にも活用。ペーパーレス化により、業務効率化に繋がっている」(株式会社ワンオールシステムのバックオフィス担当者の発言、2026年10月15日確認)
過去の紙の契約書と覚書をまとめて管理したい場合
覚書の運用で最も困るのは、「今の正しい条件は何か」を確認するために、原契約と何通もの覚書を倉庫やフォルダから探し出して読み合わせる作業です。新しい覚書だけを電子化しても、過去の紙の原契約が検索できないままでは、この問題は半分しか解決しません。紙・PDF・電子契約といった形態を問わず契約書をデータ化し、全文検索や契約期限のアラートで管理できるサービスであれば、過去の原契約と新しい覚書を同じ画面で確認できるようになります。更新期限が近い契約を事前に把握できれば、覚書による条件見直しの準備も余裕を持って進められます。

ここがおすすめ!
- あらゆる契約書を正確にデータ化し、AIで扱いやすいデータベースを構築
- Contract One内で生成AIを活用することで、法務部門に限らず全社での契約データの活用を促し、さまざまな部門の課題を解決
- 法改正への対応をサポート
ここが少し気になる…
- 導入時、業務フローの見直しが必要な場合も
今回Contract Oneを導入し契約書を一元的に管理することで、必要な契約書を迅速に確認できるようになったほか、属人的な管理に伴うリスクを抑え、期日管理の精度向上にもつながっています。
出典:Sansan株式会社のニュースリリース「イオンマーケティングが取引管理サービス「Contract One」を活用」(2026年1月22日発表、2026年10月15日確認)
企業間取引が多く、見積書や請求書と一緒に管理したい場合
製造業や卸売業のように、取引先ごとに基本契約を結び、単価や数量の変更を覚書で頻繁に取り交わす企業では、覚書は見積書・発注書・納品書・請求書と一連の流れの中にあります。覚書だけを電子契約サービスで管理しても、関連する取引書類が別の場所にあると、案件全体の状況は把握しにくいままです。企業間取引の書類を案件や取引先ごとにまとめて管理し、基幹システムとも連携できるプラットフォーム型のサービスなら、覚書で変わった単価が後続の請求業務に反映されているかまで追いやすくなります。年間定額制の料金体系は、取引件数が多い企業ほど1件あたりの負担が小さくなる考え方です。取引書類のうち納品書の書式は納品書テンプレートの選び方|インボイス・電帳法対応と失敗しない使い方で整理しています。
株式会社フォーカスシステムズ
Biz Connection
株式会社フォーカスシステムズ
Biz Connection
取引を明確化・効率化!生産性向上・コスト削減を目指す企業におすすめ
料金:要問い合わせ
ここがおすすめ!
- 取引書類のワンストップ管理によって業務を効率化できる
- 業務の自動化により、手作業によるミスゼロを実現
- 年間定額制・従量課金制からの見直しで大幅なコスト削減が可能
ここが少し気になる…
- 詳しい料金やプランについては問い合わせが必要
発注書と請書のやり取りはBiz Connectionに集約されたため、関連業務は完全にペーパーレス化され、業務効率は大きく向上した。
出典:株式会社フォーカスシステムズの導入事例「TS東京様 企業間取引DXソリューション導入のインタビュー事例」(2026年10月15日確認)
取引先の信頼感やセキュリティ審査を重視したい場合
覚書を電子で締結しようとしたとき、取引先の法務部門や情報システム部門から、サービスの安全性について確認を求められることがあります。特に金融機関や大企業との取引では、セキュリティチェックシートへの回答や導入実績の提示が必要になる場合も少なくありません。弁護士の監修を受けて日本の法律に特化して設計され、厳格なセキュリティ基準でモニタリングされているサービスであれば、取引先への説明がしやすくなります。契約金額や契約期間をAIで読み取り自動で登録する機能があれば、覚書が増えても契約管理台帳を手作業で更新する負担を抑えられます。

ここがおすすめ!
- AI契約書管理機能搭載
- メガバンクの厳格なセキュリティ基準が採用されている
ここが少し気になる…
- フォルダ管理の自由度が低い
発注ルールの整備とクラウドサインの導入により一元管理を実現。案件の適正化、効率化に貢献。
出典:SMBCクラウドサイン導入事例「注文住宅の発注業務の適正化、迅速化に貢献」(株式会社山一建設、2026年10月15日確認)
収入印紙の号数別の税額と、電子契約で印紙が不要になる理由は契約書の収入印紙の金額一覧|号数別の税額と電子契約で不要になる理由で整理しています。無料の電子契約サービスを広く比べたい場合は無料の電子契約システム8選(全19サービス)を比較!【2026年最新】も参考になります。いきなりすべての覚書を電子化するのではなく、原契約を電子で結んでいる取引先や、覚書の件数が多い取引先から順に切り替えると、社内外の混乱を抑えられます。
覚書作成でよくある失敗パターンと回避策
覚書で多い失敗は、表題だけで印紙を不要と判断すること、原契約との関係を書かずに矛盾を生むこと、そして電子契約との組み合わせで記載金額の扱いを誤ることの3つです。いずれもテンプレートの空欄を埋めるだけでは防げないため、作成時の確認手順に組み込んでおく必要があります。
失敗1:表題が覚書なので印紙は不要と判断した。工事代金の支払方法や納期を変える覚書は原契約と同じく課税文書になり得るのに、確認せずに印紙を貼らなかった。
失敗2:原契約との関係を書かず、条件が矛盾した。変更する条項の番号を特定せず、覚書に定めのない事項の扱いも書かなかったため、どちらの条件が有効か相手方と解釈が分かれた。
失敗3:電子で結んだ原契約の覚書を紙で作った。変更前の金額と増加額を書けば増加額だけで済むと考えたが、合計額が記載金額となり想定より高い印紙が必要になった。
失敗4:適用開始日を書き忘れた。単価の改定がいつの取引から適用されるのかが不明確になり、請求額の計算で相手方ともめた。
もう一つ、テンプレート特有の落とし穴として、インターネットで配布されているひな形の利用条件があります。多くの配布サイトは無料で商用利用を認めていますが、個人利用に限る、再配布を禁止する、といった条件が付いている場合もあります。ダウンロードする前に利用規約を確認し、不明な場合は本記事の文例のように自社で書き起こしたものを社内の標準テンプレートとして管理するのが安全です。
また、覚書を何度も重ねると、「どの覚書が最新か」「過去の覚書のどの条項がまだ有効か」が分かりにくくなります。覚書が3通、4通と増えてきたら、原契約と覚書の内容を反映した改定版の契約書を作り直すことも検討しましょう。作り直すまでの間も、原契約と覚書を紙・PDF・電子契約の形態を問わず一か所で検索でき、契約期限をアラートで把握できる状態にしておくと、最新の条件を確認する手間を減らせます。
変更の範囲が大きい場合や、取引金額が大きく条件が複雑な覚書については、締結前に専門家の確認を受けると安心です。契約書の確認を外部に依頼する方法はリーガルチェックの意味とは?流れや費用相場、重要性を解説で紹介しています。なお、本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士などの専門家にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 覚書と契約書は何が違いますか?
A. 契約書は新しい取引を始めるときに条件を網羅的に定める文書で、覚書は既存の契約の変更・補足や、合意した事項の確認に使われることが多い文書です。法律上の呼び分けではないため、権利や義務を定めて双方が署名押印した覚書は、契約書と同じ法的な拘束力を持ちます。
Q2. 覚書のテンプレートに必ず書くべき項目は何ですか?
A. 表題、前文(当事者と原契約の特定)、合意内容、適用開始日、原契約との関係(残存条項)、後文(作成通数と保有者)、日付と署名押印の7項目です。特に合意内容では、変更する条項の番号と変更前・変更後の文言を並べて書くと、原契約との食い違いを防げます。
Q3. 覚書はどうやって作ればよいですか?
A. 目的を決め、原契約の締結日と条項番号を確認し、ひな形を選んで7項目を埋め、署名して保管する5ステップで作れます。この記事の文例をWordやGoogleドキュメントに貼り付けて、社名・日付・金額を書き換えれば、契約内容を変更する覚書はすぐに形になります。Excelで作る場合も、表題から署名欄までの7項目を並べれば足ります。
Q4. 覚書に収入印紙は必要ですか?金額を増減する場合はどうなりますか?
A. 表題ではなく内容で判断します。国税庁の資料では、原契約の重要な事項を変更する覚書は課税文書になるとされ、請負契約の支払方法や期日の変更などが例に挙げられています。重要な事項を含まない覚書や、雇用・準委任など課税物件表に掲げられていない契約に関する覚書は課税文書に当たりません。契約金額を変える場合、変更前の契約書が明らかなら増額は増加額が記載金額、減額は記載金額のないものとして扱われ、明らかでなければ変更後の金額が記載金額です。電子契約で締結した覚書には印紙税はかかりません。
Q5. 無料の覚書テンプレートを仕事で使っても問題ありませんか?
A. 配布サイトの利用規約によって異なります。商用利用を認めているサイトが多い一方、個人利用に限るものや再配布を禁止するものもあるため、ダウンロード前に規約を確認してください。本記事の文例のように、自社で書き起こしたものを標準テンプレートとして管理すると、利用条件を気にせず使えます。
Q6. 覚書を電子契約で締結するメリットと注意点は何ですか?
A. 収入印紙が不要になり、印刷・郵送の手間と締結までの日数を減らせるほか、原契約と覚書をまとめて検索しやすくなります。注意点は、サービスの利用料や送信料がかかること、取引先の同意が必要なこと、電子帳簿保存法に沿って電子データのまま保存する必要があることです。原契約を電子で結んだ取引は、覚書も電子でそろえると管理が一貫します。
まとめ|覚書テンプレートを正しく使うための4つのステップ
覚書はテンプレートを使えばすぐに作れる手軽な文書ですが、原契約を前提にしているからこそ、書き方と印紙税の判断には固有の注意点があります。最後に、今日から実践できる手順を整理します。
- 目的に合ったひな形を選ぶ:契約変更・確認補足・分割払い・賃貸借・個人間のどのパターンかを決め、原契約の種類別の早見表でベースにするひな形を確認します。
- 必須7項目を漏れなく書く:前文で原契約を特定し、変更前と変更後を並べ、適用開始日と「原契約との関係」の二文を必ず入れます。
- 収入印紙の要否を内容で判断する:重要な事項の変更に当たるか、増額か減額か、契約期間だけの延長か、原契約が紙か電子かを確認し、迷ったら国税庁の資料や税務署で確かめます。
- 運用の規模に合わせて電子化を検討する:覚書の件数や取引先の傾向からコストを試算し、署名方式・管理機能・業務連携を軸に電子契約サービスを比較して、気になるサービスの資料を取り寄せます。
覚書は、作って終わりではなく、原契約とセットで長期間管理していく文書です。テンプレートで作成のスピードを上げるだけでなく、締結と保管の仕組みまで見直すことで、覚書にまつわる手間とリスクを継続的に減らしていけます。
参考文献
- 国税庁「No.7127 契約内容を変更する文書」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認
- 国税庁「No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認
- 国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認
- 国税庁「No.7131 印紙税を納めなかったとき」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認
- 国税庁「No.7120 契約書の写し、副本、謄本等」令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認
- 国税庁「基本契約書の契約期間を延長する契約書」令和7年8月1日現在、2026年10月15日確認
- 国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」令和7年8月1日現在、2026年10月15日確認
- 国税庁「電磁的記録(電子契約)に係る契約金額等を記載した変更契約書の記載金額」令和7年8月1日現在、2026年10月15日確認
- 国税庁「印紙税の手引」2026年10月15日確認
- 国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」令和7年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認
- 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」2026年10月15日確認
- e-Gov法令検索「民法」(第90条・第522条)2026年10月15日確認
- e-Gov法令検索「電子署名及び認証業務に関する法律」2026年10月15日確認
- e-Gov法令検索「民事訴訟法」(第228条第4項)2026年10月15日確認
- 公正取引委員会「フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組」2026年10月15日確認
- 電子印鑑GMOサイン導入事例「書類文化から脱却し、膨大な契約事務を電子契約で効率化」2026年10月15日確認
- マネーフォワード クラウド契約導入事例「見積書や注文書などの様々な取引書類にも活用。ペーパーレス化により、業務効率化に繋がっている」2026年10月15日確認
- Sansan株式会社「イオンマーケティングが取引管理サービス「Contract One」を活用」2026年1月22日発表、2026年10月15日確認
- 株式会社フォーカスシステムズ「TS東京様 企業間取引DXソリューション導入のインタビュー事例」2026年10月15日確認
- SMBCクラウドサイン導入事例「注文住宅の発注業務の適正化、迅速化に貢献」2026年10月15日確認

