退勤とは?出勤・退社との違いから管理方法・DX化まで解説

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  • 退勤の意味と、退社・退職・終業との違いがわかる
  • 退勤の打刻のタイミングと端数処理の注意点がわかる
  • 退勤管理の方法と法令上の記録義務がわかる

「退勤」(たいきん)とは、その日の業務を終えて勤務先から離れることです。辞書では「勤務が終わって、勤め先から退出すること」と説明され、出勤の反対の言葉にあたります。会社の建物を出ることを指す「退社」と違い、退勤は場所ではなく業務を終えたかどうかで決まるため、在宅勤務や直行直帰でも業務を終えた時点が退勤時刻です。一方で、退勤時刻は残業代の計算や労働時間の把握の終点になる大切な記録でもあり、定時を指す「終業」と混同すると、記録と実態のずれにつながります。この記事では、退勤の意味と退社・退職・終業との違い、退勤打刻のタイミング、管理方法、法令上の記録義務、端数処理、失敗パターン、勤怠管理のDX化の進め方までを、総務・労務担当者向けに整理します。

あなたの職場の退勤管理、どこから見直す?2問で診断

Q1. 退勤の管理で、いま一番気になっているのはどちらですか?

目次

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  1. 退勤の記録が実態とずれる職場は、記録の取り方から見直す
  2. 退勤とは|読み方・意味と、退社・退職・終業・帰社との違い
  3. 退勤時刻はいつ打刻する?労働時間になるものとならないもの
  4. 退勤管理の4つの方法|紙からクラウド型まで
  5. 法律上の労働時間把握義務|退勤記録はなぜ必要か
  6. 退勤時刻の端数処理|15分単位の切り捨ては認められる?
  7. 退勤管理でよくある失敗パターン
  8. 勤怠管理をDX化する進め方
  9. 導入効果の測定方法
  10. よくある質問(FAQ)
  11. まとめ|退勤を正しく扱うための5つのこと
  12. 参考文献

退勤の記録が実態とずれる職場は、記録の取り方から見直す

退勤時刻の記録とは、その日の業務を終えた時刻を、後から確認できる形で残すことです。給与計算と労働時間の把握の終点になるため、記録の取り方によって、残業代や労働時間の信頼性が大きく変わります。

退勤の扱いで会社が最も困るのは、本当は何時に業務を終えたのかが後から確認できない状態です。紙の出勤簿や自己申告だけに頼ると、打刻忘れ、まとめ書き、実際の退勤時刻とのずれが起きやすくなります。そこで、退勤時刻をその場で記録し、集計まで自動で行える勤怠管理システムを、役割の違いで2つ比べてみます。

退勤時刻の記録を見直すときに比べたい、勤怠管理システム2サービスの役割の違い

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向いている会社 外回りや直行直帰があり、場所を問わず退勤を記録したい会社。給与計算など同じシリーズの製品との連携を使いたい会社 テレワークを含む多様な働き方の勤怠を管理画面で把握したい会社。給与計算やPCログなど他のシステムと連携したい会社
特徴 打刻はPC・スマートフォン・タブレット・交通系ICカード・Chatwork・Slackに対応。GPSやIPアドレスで打刻の場所を制限でき、打刻漏れは従業員に自動で通知される。法定の労働時間・残業時間を超えた場合などのアラートもある 打刻はPC・タブレット・スマートフォン・ICカードリーダーに対応。打刻忘れ、残業時間の超過、休日出勤の未届けなどをアラートで通知し、勤怠データは5年間自動保存される。給与計算、PCログ、顔認証、チャットツールなどとCSVまたはAPIで連携できる
注意したい点 勤怠管理以外の機能のうち、セキュリティ機能やサポートプランの一部はオプション料金がかかる。商品ページの口コミには、アプリの動作が遅い、管理者側の画面がやや見づらいという声もある。料金は見積もりで確認する タブレット(iPad・Androidタブレット)は一部のタッチ操作に未対応で、スマートフォンアプリの動作保証はサポート対象外。推奨OS・ブラウザを導入前に確認する。料金は見積もりで確認する
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jinjer株式会社

ジンジャー勤怠

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ここが少し気になる…

  • スマホアプリだと申請や修正画面がわかりにくい
評価・口コミ(一部抜粋)
4.4
  • jinjer勤怠を利用することによって、取り急ぎ問題となっていた「社内システムでは不可能な日付を跨いだ打刻」に関する問題が解決しました。 また、個人個人で日勤・夜勤がバラバラになっているシフト管理も、あらかじめスケジュールを登録できることにより解決しました。現場の責任者からも「シフト表を作る手間が省けた!」と大変好評でした。 労務部の立場としても、無理なシフトになっていないかの連携がリアルタイムにできることは大きなメリットでした。

  • 打刻の漏れや修正についての対応漏れが減った(対応率が向上した)また管理職としてメンバーの勤怠管理が容易になった。管理部門側での対応負荷も減ったようで業務時間が減少、効率化が実現できたため導入満足度は高かった

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他システムとの比較記事はこちら


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ジンジャー勤怠を導入した愛知日産自動車は、紙の出勤簿では正確な勤怠データを収集できないことが課題でした。同社の導入事例ページ(2019年公開)では、導入後の様子が次のように紹介されています(個別の事例であり、効果は会社の規模や運用によって異なります)。

ジンジャー導入後は、店舗に設置したiPadでの打刻はもちろん、直行直帰が多い営業職の方であっても、訪問先で打刻ができるなど、正確な勤怠データの効率的な収集ができるように改善されました。

出典:jinjer株式会社「【ジンジャー勤怠導入事例】打刻しやすいUIが導入の決め手になった 愛知日産自動車様」

退勤とは|読み方・意味と、退社・退職・終業・帰社との違い

退勤とは、その日の業務を終えて勤務先から離れることで、「たいきん」と読みます。デジタル大辞泉(小学館)では「勤務が終わって、勤め先から退出すること」と説明され、反対の言葉は「出勤」です(参考:コトバンク「退勤」)。ポイントは、場所ではなく「業務を終えたかどうか」で判断する点にあります。

たとえば外回りの営業担当者が取引先から自宅へ直帰した場合も、在宅勤務の社員が自宅でパソコンを閉じた場合も、業務を終えた時点で退勤です。一方で、会社の建物を出ることを指す「退社」は、在宅勤務では起こりません。似た言葉との違いを表にまとめます。

言葉意味判断の基準使い方の例
退勤その日の業務を終えて勤務先から離れること業務の終了(場所は問わない)在宅で18時に退勤した
出勤業務を開始すること業務の開始(場所は問わない)直行先で9時に出勤した
退社会社の建物から出ること。会社を辞める意味もある建物からの退出、または退職本日は17時に退社します
退職会社を辞めること雇用関係の終了先月末で退職しています
終業就業規則で定めた業務終了の時刻会社が定めた所定の時刻(定時)終業時刻は18時です
帰社外出先から会社に戻ること会社への移動打ち合わせ後に帰社します

特に混同しやすいのが「終業」と「退勤」です。終業は会社が定めた定時を指すことが多いのに対し、退勤は残業を含めて実際に業務を終えた時刻を指します。定時が18時でも、19時半まで仕事をすれば退勤時刻は19時半です。給与計算で使うのは実際の退勤時刻のほうなので、両者を混同しないよう注意が必要です。出勤と出社の違いや休日出勤の扱いなど、出勤の側の話は、出勤とは?出社との違い・出勤簿の法的要件・テレワーク時の考え方を解説で詳しく紹介しています。

退勤・退社・退職の使い分け|電話や社内連絡の例文

特に誤解が起きやすいのが「退社」です。退社には「その日の仕事を終えて会社を出る」と「会社を辞める」の2つの意味があるため、電話や社内チャットでは言葉の選び方で伝わり方が変わります。退勤には会社を辞める意味がないので、帰宅したことだけを伝えたいときは退勤のほうが確実です。

伝えたい場面誤解の少ない言い方の例注意点
取引先からの電話に、担当者がすでに帰宅したと伝える本日はすでに退勤しております。明日は9時に出勤の予定です「退社しました」だけだと、会社を辞めたと受け取られるおそれがある。「退社」を使うなら「本日は」を添える
担当者が会社を辞めたと伝える担当の田中は先月末で退職しております「退社しました」だと帰宅しただけと受け取られることがある。退職した時期を添えると伝わりやすい
社内チャットで業務の終了を伝える本日は18時で退勤します「今日で退社します」は退職の連絡と誤解されるおそれがある
外出先から会社に戻ると伝える15時ごろに帰社します帰社は外出先から会社に戻ること。会社から自宅へ帰る場面では使わない

このほか、退職後に職に就いていない状態も含めて指す「離職」(離職票など)や、自分の意思で職を辞する「辞職」(役員など重い職責の人について使われることが多い)もあります。勤怠の場面で使うのは退勤・退社・終業が中心ですが、人事の書類では退職・離職の使い分けが求められます。

1日の流れで見る出社・出勤・退勤・退社

次の表は、1日の流れを例に、4つの言葉がそれぞれどの時点を指すかを整理したものです(あくまで考え方を示す例です)。

時刻できごと言葉の整理
8時20分オフィスに到着する出社した時刻。業務を始めていなければ、労働時間には含まれない
9時業務を開始する出勤時刻。ここから労働時間が始まる
18時就業規則で定めた終業時刻終業時刻。実際に仕事を終えた時刻とは限らない
18時30分30分の残業をして、その日の業務を終える退勤時刻。給与計算で使うのはこの時刻
19時片付けを終えてオフィスを出る退社した時刻。退勤時刻と同じとは限らない

この例で、休憩が1時間なら、労働時間は9時から18時30分までの9時間30分から休憩を引いた8時間30分です。法定労働時間は1日8時間と定められているため、超えた30分は時間外労働として扱われます。退社の19時ではなく、退勤の18時30分を終点に数える点が、この言葉の使い分けが重要な理由です。

直行直帰・在宅勤務・出向先での退勤

取引先から直接帰る場合は「退社」ではなく「直帰」と言うのが一般的ですが、勤務そのものは終えているため、記録のうえでは退勤にあたります。在宅勤務でも、業務を終えた時点が退勤です。出向先や派遣先で働く社員も、自社の建物に戻らなくても業務を終えた時刻を退勤として記録します。働く場所が分かれるほど、「いつ業務を終えたか」を本人の申告だけに頼らない仕組みが必要になります。

退勤の英語表現

英語では、仕事を終えることを「finish work」、職場を出ることを「leave work」と表現します。カジュアルに「仕事が終わって帰る」と言うときは「get off work」も使われ、勤怠システムの打刻画面では、出勤を「Clock in」、退勤を「Clock out」と表示しているものが多くあります。「leave」だけだと退職の意味にも取れるため、「leave work for the day」のように「その日は」と補うと誤解がありません。外国籍の社員がいる職場では、打刻画面の表記や案内を英語でもそろえておくと運用しやすくなります。

退勤時刻はいつ打刻する?労働時間になるものとならないもの

退勤時刻は、実際に業務を終えた時刻で打刻します。会社の指示で行う後片付けや清掃、追加の業務が残っているなら、それが終わった時点が退勤時刻です。

厚生労働省のリーフレットでは、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間のことで、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に該当するとされています。たとえば、業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内で行った時間は、労働時間に当たる例として挙げられています(厚生労働省「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」)。この考え方を退勤の場面に当てはめると、次のように整理できます。

場面労働時間の考え方退勤打刻のタイミング
会社の指示で、業務の終了後に清掃や片付けを事業場内で行う労働時間に当たる後始末が終わってから打刻する
退勤の打刻をしたあと、上司から追加の作業を指示された指示された作業は労働時間に当たり、時間外労働になる場合がある作業が終わった時刻に退勤時刻を修正し、申請と承認の履歴を残す
帰りがけに、上司から取引先への立ち寄りを頼まれた立ち寄りが業務なら、労働時間と評価される可能性がある(個別の判断)立ち寄りの用事が済んだ時刻を退勤時刻とする
退勤の打刻のあと、業務の指示がないまま席で私用の時間を過ごす指示がなければ、原則として労働時間に含まれない。ただし、黙認のもとで実質的に仕事をしていれば別業務を終えた時点で打刻する
業務を終えて、帰宅のために移動する原則として労働時間に含まれない業務を終えた時点で打刻する

退勤の打刻を済ませたあとも仕事が続くと、記録上の労働時間と実態がずれ、未払い残業代の問題につながります。追加の作業が必要になったときは、あらためて残業として申請と承認の流れに乗せ、退勤時刻を実態に合わせるのが基本です。なお、この章は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の判断は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご確認ください。

退勤管理の4つの方法|紙からクラウド型まで

退勤時刻の記録方法は、大きく紙の出勤簿、Excel、タイムカード、クラウド型の勤怠管理システムの4つに分けられます。どれが正解というより、従業員数や働き方、集計にかけられる手間によって向き不向きがあります。

方法向いている職場メリット注意点
紙の出勤簿数名規模で全員が同じ場所で働く準備がほぼ不要ですぐ始められる自己申告に近く、客観的な記録として弱い。まとめ書きが起きやすい
Excel少人数で集計を自動化したい関数で労働時間や残業時間を計算できる入力した時刻を後から書き換えられるため、改ざん防止の工夫が必要
タイムカード店舗や工場など出勤場所が決まっている機械で時刻が刻まれ、客観的な記録になる直行直帰や在宅勤務では打刻できない。集計は手作業になりやすい
クラウド型システム在宅勤務・外勤・複数拠点があるスマホやPCから打刻でき、集計や残業アラートも自動化できる利用料がかかり、初期設定や社内への周知に時間が必要

紙やExcelは手軽ですが、従業員が増えるほど月末の集計作業が重くなります。紙で運用する場合のフォーマットや記載項目は、出勤簿テンプレート【無料】記載項目・Excel計算式・業種別の運用を解説が参考になります。タイムカードは客観性に優れますが、働く場所が分散している職場では打刻そのものができない場面が出てきます。

クラウド型システムは、スマホのGPS打刻、ICカード打刻、PCのログオン・ログオフとの連携など、退勤の記録方法を職場に合わせて選べるのが特徴です。打刻データがそのまま集計されるため、労働時間の把握と給与計算の準備を同時に進められます。打刻方法ごとの向き不向きは、勤怠管理システムの打刻方法とは?拠点・働き方別の選び方で整理しています。

退勤時刻とあわせて記録しておきたい項目

退勤時刻だけを残しても、労働時間は計算できません。始業時刻や休憩時間など、退勤時刻と組み合わせて使う項目も一緒に記録しておきます。

項目記録する理由
始業時刻退勤時刻との差から、1日の拘束時間を求める基礎になるため
休憩時間労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えているかを確認するため(労働基準法第34条)
時間外・深夜・休日の労働時間退勤時刻が遅いほど増える部分で、割増賃金の計算と時間外労働の上限の確認に使うため
打刻の修正履歴誰がいつ、どの時刻をなぜ修正したかが残っていると、記録と実態に差が出たときに確認できるため

法律上の労働時間把握義務|退勤記録はなぜ必要か

退勤時刻の記録は、社内ルールだけの問題ではありません。会社には、労働者の労働時間を適正に把握する責任があるとされています。ここでは関連する主な法令とガイドラインの要点を整理します。

労働安全衛生法による「労働時間の状況」の把握

2019年4月に施行された働き方改革関連法により、労働安全衛生法第66条の8の3で、事業者は労働者の労働時間の状況を把握しなければならないと定められました。長時間労働者への医師の面接指導を確実に行うことが目的で、管理監督者や裁量労働制の対象者も把握の対象に含まれます。把握の方法は、タイムカードによる記録やパソコンの使用時間の記録など、客観的な方法が原則です。自己申告が認められるのは、やむを得ず客観的な方法で把握しにくい場合に限られ、記録は3年間保存する必要があります(厚生労働省「確かめよう労働条件」労働時間の適正な把握方法)。

厚生労働省ガイドラインが求める始業・終業時刻の確認

厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、使用者は労働日ごとに始業・終業時刻を確認し、記録することとされています。その方法は、使用者が自ら現認するか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎とすることが原則です。

やむを得ず自己申告制をとる場合も、対象者と管理者への十分な説明、申告された時間と実態が合っているかの調査、必要に応じた補正などの措置が求められます。特に、申告された退勤時刻とパソコンの使用記録などに著しい乖離がある場合は、実態を調べることが求められている点に注意が必要です。

記録の保存期間と時間外労働の上限

出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録は、労働基準法第109条により保存が義務付けられており、保存期間は原則5年(当分の間は3年)とされています。また、時間外労働には原則として月45時間・年360時間という上限が設けられています(厚生労働省「働き方改革特設サイト」)。退勤時刻が正確でなければ、上限を超えていないかを判断すること自体ができません。

退勤時刻で変わる割増賃金|時間外と深夜

退勤時刻が遅くなるほど、賃金の計算に影響する区分が増えます。法定労働時間は1日8時間・1週40時間で、これを超える時間外労働と、午後10時から午前5時までの深夜労働には、1時間あたりの賃金の25%以上の割増賃金が必要です。時間外労働と深夜労働が重なる時間帯は、合計して50%以上になります(厚生労働省「確かめよう労働条件 時間外・休日労働と割増賃金」)。

区分対象となる時間割増率の目安
時間外労働1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えた時間25%以上
深夜労働午後10時から午前5時までの時間25%以上
時間外労働と深夜労働の重なり法定労働時間を超えて、深夜にも及んだ時間50%以上
月60時間を超える時間外労働1か月の時間外労働のうち60時間を超えた部分50%以上
法定休日の労働法定休日に働いた時間35%以上

たとえば18時30分に退勤する日と、22時30分に退勤する日では、後者に深夜労働が含まれます。退勤時刻が1時間ずれるだけで、深夜の割増の有無が変わる場面があるため、記録の正確さが賃金の支払いに直結します。

なお、休憩は労働時間の途中に与えることとされている(労働基準法第34条)ため、「退勤直前に休憩を取ったことにして早めに上がる」といった運用は認められないと考えられます。本章は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。自社の具体的な運用については、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご確認ください。

退勤時刻の端数処理|15分単位の切り捨ては認められる?

退勤時刻や残業時間を、1日ごとに15分や30分などの単位で切り捨てて賃金を計算することは、厚生労働省が労働基準法違反となる例として示しています。認められる端数処理は、1か月の合計に対するものなど、限られた場合だけです。

勤怠管理システムの端数処理機能や、残業申請の単位の決め方には、この点が関わります。厚生労働省のリーフレットでは、次のような扱いが示されています(厚生労働省「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」)。

処理の例厚生労働省の示す考え方
勤怠管理システムの端数処理機能で、1日の時間外労働のうち15分に満たない時間を一律に切り捨て、その分の残業代を支払わない労働基準法違反となる例として示されている
残業申請を30分単位で行うよう指示し、30分に満たない時間外労働の申請を認めず、切り捨てた分の残業代を支払わない労働基準法違反となる例として示されている
1日の労働時間について、一定時間に満たない時間を切り上げたうえで、その分の賃金を支払う問題ないとされている
1か月の時間外労働、休日労働、深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数があるとき、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる事務簡便を目的としたものとして認められている

1時間あたりの賃金額や割増賃金額に1円未満の端数が出たときは、50銭未満を切り捨て、それ以上を1円に切り上げる処理も認められています(厚生労働省「確かめよう労働条件」割増賃金のチェック方法)。いずれも、1日ごとの労働時間は1分単位で把握することが前提で、その例外として月単位の処理が認められている、という関係です。

また、毎日ちょうど00分に退勤が打刻されている場合は、実際の退勤時刻と記録が合っているかを確かめる必要があります。打刻機器の仕様やまとめ打ちが原因で、実態と違う時刻が残っていると、前章のガイドラインが求める客観的な記録になりません。端数をどう扱うかは、就業規則や賃金規程に定めたうえで、記録は1分単位で残しておくのが安全です。個別の判断は、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署にご確認ください。

手作業の集計では、担当者ごとに端数のそろえ方が違ってしまうことがあります。退勤時刻を1分単位で記録し、時間外・深夜などの区分ごとに自動で集計できる仕組みがあれば、月末の計算の手間と、切り捨ての誤りの両方を減らせます。ジンジャー勤怠は、100種以上の集計項目から必要なものを設定でき、法定内・法定外の残業時間や深夜時間などを細かく集計できると商品ページで案内されています。

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退勤管理でよくある失敗パターン

退勤の記録は、ルールを決めただけではうまく回りません。現場でよく起こる失敗と、その対処を表にまとめました。どれも「悪意」ではなく、仕組みの不足から起きることがほとんどです。

失敗パターン起きる原因起こりうるリスク対処の方向性
退勤打刻の後も仕事を続けている残業申請の手間、職場の雰囲気未払い残業代(サービス残業)の発生PCログと打刻時刻を突き合わせ、差がある場合は理由を確認する
退勤の打刻忘れが多い打刻場所が限られる、習慣化していない後からの記憶頼りの修正で記録の信頼性が下がるスマホ打刻や未打刻アラートを使い、修正は申請と承認の流れにする
直帰・在宅の退勤時刻がわからないタイムカードが会社にしかない労働時間の把握が自己申告だけになる場所を問わず打刻できる方法を用意する
定時でまとめて記録している終業時刻と退勤時刻の混同実際の残業時間が記録に残らない退勤は「実際に業務を終えた時刻」で記録するよう周知する
退勤後の連絡対応が曖昧チャットやメールの通知が常に届く労働時間かどうかの判断がつかず、トラブルの原因になる退勤後の対応を労働時間として扱う基準と申請方法を決めておく
退勤時刻を15分単位などで切り捨てている集計の簡略化、システムの端数処理の設定切り捨てた分の賃金の未払い1日ごとの切り捨てをやめ、1分単位で記録・集計する

中でも見落とされやすいのが、退勤打刻とパソコンの使用記録のズレです。打刻は18時なのに、パソコンのログオフが20時という状態が続けば、記録上の労働時間と実態が合っていないことになります。ガイドラインでも、客観的な記録と申告に著しい乖離がある場合は実態を調べることが求められています。

ただ、毎日すべての社員のログを手作業で確認するのは現実的ではありません。打刻のデータと、PCのログなど他のシステムの記録を連携できる勤怠管理システムを使えば、ズレを確認するための材料を同じ場所に集めやすくなります。

打刻とPCログなどの記録を突き合わせたい場合の一例が、株式会社カオナビが提供する「カオナビ勤怠」です。給与計算、PCログ、顔認証、チャットツールなどとCSVまたはAPIで連携でき、打刻忘れ、残業時間の超過、休日出勤の未届けなどはアラートで通知されます。打刻はPC、タブレット、スマートフォン、ICカードリーダーに対応しています。PCログとの連携でどこまで突き合わせられるかは製品や設定によって異なるため、資料で確認してください。注意点として、タブレット(iPad・Androidタブレット)は一部のタッチ操作に対応しておらず、スマートフォンアプリの動作保証はサポート対象外のため、推奨OS・ブラウザを導入前に確認しましょう。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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ここまでの内容を、自社の運用に当てはめて確認してみましょう。当てはまる項目が多いほど、退勤の記録の取り方を見直す余地があります。

退勤の記録、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

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勤怠管理をDX化する進め方

紙やExcelから勤怠管理システムへ切り替える場合、いきなり全社で始めるよりも、段階を踏んで進めるほうが定着しやすくなります。一般的な進め方は次の5ステップです。

  1. 現状の把握:退勤の記録方法、打刻忘れの頻度、月末の集計にかかる時間を洗い出す
  2. ルールの整理:退勤の定義(実際に業務を終えた時刻)、直帰・在宅時の打刻方法、退勤後の連絡対応の扱い、端数処理の方針を就業規則や社内ルールで明確にする
  3. システムの選定:打刻方法、PCログ連携、給与計算ソフトとの連携、サポート体制を比較する
  4. 試験運用:一部の部署で1から2か月ほど並行運用し、設定や運用ルールの不具合を洗い出す
  5. 全社展開と見直し:説明会やマニュアルで周知し、運用開始後も定期的に記録の状況を確認する

特に重要なのが2番目のルール整理です。システムを入れても、「直帰の日はいつ打刻するのか」「退勤後にチャットを返したら残業になるのか」が決まっていなければ、現場は迷ったままです。システムの設定はルールを形にするものだと考え、先に運用の考え方をそろえておきましょう。

選定の段階では、無料の試用期間を使って実際に打刻から集計までを試すのがおすすめです。たとえばジンジャー勤怠は1か月間の無料トライアル、カオナビ勤怠は無料のデモ・トライアルが商品ページで案内されています。スマホでの打刻のしやすさ、修正申請の流れ、管理者画面の見やすさは、資料だけでは判断しにくいためです。

導入効果の測定方法

勤怠管理のデジタル化は、導入して終わりではありません。効果を確認するために、導入前後で次のような指標を比べておくと、社内への説明や運用の改善に役立ちます。

指標測り方確認したいこと
月末の集計時間担当者の作業時間を導入前後で記録する手作業の集計がどれだけ減ったか
打刻忘れ・修正の件数修正申請の件数を月ごとに数える退勤記録の正確さが上がったか
打刻とPCログの差一定時間以上の差がある件数を確認する記録と実態のズレが減ったか
時間外労働の状況月45時間に近い社員の人数を確認する長時間労働を早めに把握できているか

導入直後は打刻忘れが一時的に増えることもありますが、数か月の推移で判断するのが現実的です。一部の部署で効果を確認できたら、その数字を根拠に他の部署や拠点へ広げていくと、社内の理解も得やすくなります。全社展開を見据えて、従業員数の増加や複数拠点に対応できるかもあらためて確認しておきましょう。

あわせて確認したいのが、記録の保存と法改正への対応です。退勤時刻を含む勤怠データは保存期間が定められており、法改正のたびに集計のルールが変わることもあります。カオナビ勤怠は、集約した勤怠データをシステム上で5年間自動保存し、最新の法改正にも自動対応していると商品ページで案内されています。保存や改修の手間をシステム側で整えたい場合は、こうした機能の有無も比較の軸になります。

勤怠データの5年間自動保存と法改正への対応を、システムで整えたい会社に

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よくある質問(FAQ)

Q1. 退勤と退社の違いは何ですか?

A. 退勤はその日の業務を終えることで、場所は問いません。退社は会社の建物から出ること、または会社を辞めることを指します。在宅勤務や直帰の場合は、退社はなくても退勤はあります。

Q2. 退勤とはどういう意味ですか?読み方も教えてください。

A. 退勤は「たいきん」と読み、その日の業務を終えて勤務先から離れることを指します。デジタル大辞泉では「勤務が終わって、勤め先から退出すること」と説明され、反対の言葉は「出勤」です。

Q3. 仕事が終わって帰ることを何といいますか?取引先への電話ではどう伝えればよいですか?

A. 仕事を終えて帰ることは「退勤」といいます。「退社」も使われますが、会社を辞める意味もあるため、取引先への電話では「本日はすでに退勤しております」のように、退職と誤解されない言い方が確実です。「退社」を使う場合は、「本日は」と添えて帰宅したことを明確にしましょう。

Q4. 終業時刻と退勤時刻は同じですか?

A. 同じとは限りません。終業時刻は就業規則で定めた定時を指すことが多く、退勤時刻は残業を含めて実際に業務を終えた時刻です。給与計算や労働時間の把握には、実際の退勤時刻を使います。

Q5. 退勤時刻の記録は法律で義務付けられていますか?

A. 労働安全衛生法で労働時間の状況の把握が義務付けられており、厚生労働省のガイドラインでは始業・終業時刻を客観的な方法で確認・記録することが原則とされています。記録は労働基準法により原則5年(当分の間は3年)の保存が必要です。

Q6. 退勤時刻を15分単位などで切り捨てても問題ありませんか?

A. 1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨て、その分の賃金を支払わないことは、厚生労働省が労働基準法違反となる例として示しています。認められるのは、1か月の時間外・休日・深夜労働の各合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる処理などに限られます。

まとめ|退勤を正しく扱うための5つのこと

退勤とは、その日の業務を終えて勤務先から離れることです。建物を出る「退社」や、会社が定めた定時である「終業」とは意味が異なり、在宅勤務や直帰でも業務を終えた時点が退勤になります。退勤を正しく扱うために、次の5点を押さえておきましょう。

  1. 退勤は業務を終えた時刻で、建物を出る退社や定時の終業とは区別する。電話や社内連絡では、退職と誤解されない言い方を選ぶ
  2. 退勤の打刻は実際に業務を終えた時刻で行い、指示された後片付けや追加の業務は労働時間として扱う
  3. 始業・終業時刻はタイムカードやPCの使用時間の記録など客観的な方法で記録し、5年(当面は3年)保存する
  4. 退勤時刻や残業時間は1日ごとに切り捨てず、1分単位で記録・集計する
  5. 紙やExcelで打刻忘れや集計の負担が目立つなら、ジンジャー勤怠やカオナビ勤怠など勤怠管理システムの資料を取り寄せ、自社の働き方に合うか比べて検討する

退勤の記録を正確に残すことは、従業員の健康を守り、残業代のトラブルを防ぐための基本です。自社の記録方法が今の働き方に合っているか、この機会に見直してみましょう。

参考文献

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