心理的安全性とは?意味・4つの因子・測り方・高め方をわかりやすく解説

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  • 発言やミスの報告が拒絶されないと感じられる状態
  • 日本の4因子は話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎
  • 7つの質問を無記名で全員に答えて測る

心理的安全性とは、チームの中で質問や意見、ミスの報告をしても、拒絶されたり罰を受けたりしないと、メンバーが共有して感じられている状態のことです。ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が1999年の論文で示した概念で、Googleが社内のチーム調査の結果を公開したことで広く知られるようになりました。ただし、メンバー同士が仲良しで衝突がない「ぬるま湯」の職場を指すわけではありません。この記事では、定義と4つの不安、日本で使われている4つの因子、7つの質問による測り方、職場で高める方法を、一次資料と公的な調査を確認しながら整理します。自社のチームに当てはめながら読み進めてください。

自社のチームの「声の出にくさ」、どこから確かめる?2問で目安がわかります

Q1. いまのチームで気になることは、どちらに近いですか?

目次

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  1. 心理的安全性とは|定義・提唱者・「ぬるま湯」との違い
  2. 心理的安全性が注目される理由|Googleの調査と日本の職場データ
  3. 心理的安全性が低い職場で起きること|4つの不安と具体例
  4. 心理的安全性が高い状態とは|特徴と日本の4つの因子
  5. 心理的安全性を高めるメリット|個人とチームに起きる変化
  6. 心理的安全性の測り方|7つの質問とサーベイの使い分け
  7. 心理的安全性を高める方法|リーダー・チーム・組織の取り組み
  8. 勘違いしやすい点と注意点|指導・ハラスメント防止・数字の扱い
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|心理的安全性を高めるために今日からできる5つのこと
  11. 参考文献

心理的安全性とは|定義・提唱者・「ぬるま湯」との違い

心理的安全性とは、チームの中で質問や意見、ミスの報告をしても、拒絶や罰を受けないと、メンバーが共有して感じられている状態のことです。

「安心して働ける職場」「雰囲気のよい職場」と言い換えられることもありますが、研究上の意味はもう少し限定的です。ポイントは2つあります。1つは、一人ひとりの性格ではなく、チームの中で共有されている認識を指すこと。もう1つは、「無知だと思われる」「無能だと思われる」といった対人関係のリスクを取っても大丈夫だと思えるかどうかが問われることです。

提唱者と定義

心理的安全性(psychological safety)は、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が、1999年の論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」(Administrative Science Quarterly 第44巻第2号、350-383ページ)で提唱しました。同教授の著書『恐れのない組織』(野津智子訳、英治出版、2021年2月刊)は、この考え方を組織づくりの視点から整理したものです。

Googleの働き方に関するサイトre:Workは、心理的安全性を、対人関係でリスクのある行動をとってもこのチームでは安全だという、チームメンバーに共有された考えという趣旨で説明しています。つまり、個人が安心しているかどうかではなく、チームの全員がそう信じているかどうかが問われます。

「ぬるま湯」や仲良しチームとは違う

心理的安全性が高いことは、衝突がなく、お互いに遠慮し合う状態を意味しません。石井遼介氏はWorkSightのインタビューで、心理的安全性が高く、仕事の基準も高い職場を「学習して成長する職場」と位置づけています。反対に、ミスを指摘しない、嫌われないために意見を言わない、といった状態は、心理的安全性が高いのではなく、率直なやりとりが避けられている状態といえます。

チームの状態は、感覚だけでは確かめにくい

ここまでの定義のとおり、心理的安全性はメンバーの受け止め方の集まりです。管理職が「うちのチームは何でも言い合える」と感じていても、メンバーの実感は別のところにあることがあります。そのため、後の章で紹介する7つの質問のように、同じ設問を全員に答えてもらい、数字で状態を確かめる方法が使われます。

チームの状態を定期的に数字で確かめたい場合の一例が、株式会社アトラエのWevoxです。商品ページでは、さまざまなサーベイで従業員の心理状態や組織カルチャーを可視化するプラットフォームとして紹介されており、月に1-2回の高頻度でも2-3分ほどで回答できるパルスサーベイと、結果の読み解きを支援するAIのサポートが特徴として挙げられています。一方で、高度な分析やセキュリティのオプションなどは別途契約が必要とされています。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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評判・口コミを紹介

Wevoxが最も手軽に経営幹部へ意見を届けられるツールだと感じている従業員が多いように思います。直属の上司に相談しづらい、あるいは、どこに相談すればいいかわからないような悩みを伝えられることに加え、匿名であることにメリットを感じている従業員が多いようです。

導入事例(NECネッツエスアイ・サービス株式会社)|株式会社アトラエ

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  • 当社では、この結果をもとに部署ごとにエンゲージメント指数をはかり、チーム単位でエンゲージメント指数をもっと上げていこう、というエンゲージメント活動をスタートしました。普段関わりの少ない他部署メンバーと交流する機会を作る等、このサービスを通して直接業務には関係なくとも仕事のモチベーションを上げるためにどうしたらいいか、と考える機会ができたことが大きなメリットだと思います。

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Wevoxの導入事例では、TISシステムサービス株式会社の事務局が、今後の取り組みの方向を次のように述べています。

まず来期は、対話することによって心理的安全性の高い組織をつくる、ということをキーワードに取り組んでいきたいと思っています。

出典:Wevox 導入事例 TISシステムサービス株式会社
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心理的安全性が注目される理由|Googleの調査と日本の職場データ

心理的安全性が広く注目されたのは、Googleが社内の180チームを調べ、効果的なチームに影響する5つの要素のうち、最も重要なものとして挙げたためです。

Googleの調査で分かったこと

Googleのre:Workによると、この調査は、エンジニアリング系のプロジェクトチーム115と営業チーム65、合計180チームを対象に、メンバー数3-50名(中央値9名)のチームを分析したものです。一般にプロジェクト・アリストテレスと呼ばれる調査で、効果的なチームに影響する要素は、重要な順に次の5つとされています。

  1. 心理的安全性
  2. 相互信頼
  3. 構造と明確さ
  4. 仕事の意味
  5. インパクト

re:Workは、心理的安全性が高いチームのメンバーは、離職率が低く、メンバーの多様なアイデアを活用でき、マネージャーから効果的に働いていると評価される機会が2倍多かったと説明しています。一方で、この結果はGoogle社内のチームを対象にした調査です。同じ数字がほかの会社でも出ることを保証するものではないため、自社の状態は自社で確かめる必要があります。

日本の職場データから見える「声の上げにくさ」

心理的安全性を直接測った公的調査は限られますが、厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査」(令和5年度。結果概要は令和6年5月公表)には、声の上げやすさや失敗の許容度を考える手がかりがあります。現在の職場でパワハラを受けた人と、過去3年間に受けなかった人で、勤務先の特徴を比べた結果の一部は次のとおりです。

勤務先の特徴現在の職場でパワハラを受けた人(929人)過去3年間にパワハラを受けなかった人(6,454人)
上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない30.6%11.2%
失敗が許されない/失敗への許容度が低い21.2%5.7%
ハラスメント防止規定が制定されていない20.9%3.4%

出典:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要」(令和5年度厚生労働省委託事業)の「ハラスメントの経験有無別にみた勤務先の特徴(労働者等調査)」。

同じ調査では、パワハラを受けた後の行動で最も多かったのは「何もしなかった」で、36.9%でした(パワハラを受けたと回答した1,546人が対象)。

これらは心理的安全性そのものの数値ではなく、特徴が重なっていることが原因を示すわけでもありません。ただ、上司と部下の会話が少ない、失敗が許されない、困りごとがあっても何もしない人が多いという状況は、後述する「話しやすさ」や「助け合い」が弱い職場と重なって見えます。厚生労働省のパワハラ防止指針(令和2年厚生労働省告示第5号)も、パワハラの原因や背景には、労働者同士のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題もあると考えられると述べています。

心理的安全性が低い職場で起きること|4つの不安と具体例

心理的安全性が低い職場では、「無知」「無能」「邪魔」「ネガティブ」だと思われる不安から、質問や報告、提案、指摘が控えられるようになります。

エドモンドソン教授はTEDxの講演「Building a Psychologically Safe Workplace」で、人は自分の評価を守るために、次のような行動をとると説明しています。具体例の列は、仕事の場面に置き換えた一例です。

思われたくないこと避けようとして起きやすい行動職場での具体例(一例)
無知だと思われる質問をしない分からないまま作業を進め、後から手戻りが出る
無能だと思われる弱みやミスを認めないミスを自分で抱え込み、報告が遅れる
邪魔だと思われるアイデアを出さない気づいた改善案を、会議で言わない
ネガティブだと思われる現状を批判しないリスクに気づいていても、反対意見を控える

心理的安全性が低い職場に見られるサイン

「心理的安全性が低い例は?」という疑問には、次のようなサインが手がかりになります。

  • 会議で発言するのが特定の人に偏り、他の人は黙っている
  • 上司の意見に、全員がすぐ同意する
  • ミスの報告が、聞かれたときにしか出てこない
  • 新しい提案が「前例がない」で終わってしまう
  • 質問をすると「そんなことも知らないのか」という反応が返ってくる

これらは見分けるための例で、1つ当てはまるだけで心理的安全性が低いと決まるわけではありません。複数が長く続いていないか、メンバー本人にどう感じているかを聞いて確かめることが大切です。メンバーに「もっと発言してほしい」と求める前に、発言しても大丈夫だと思える状況になっているかを見直すことが出発点です。

心理的安全性が高い状態とは|特徴と日本の4つの因子

心理的安全性が高い状態とは、質問・相談・反対意見・失敗の報告を、評価を気にせずにメンバーが出せている状態です。

心理的安全性が高いチームと、高い人の特徴

検索では「心理的安全性が高い人の特徴」もよく調べられています。心理的安全性は個人の性格ではなく、チームで共有される認識です。そのため「高い人」とは、生まれつきの性格というより、発言しても受け止められる環境にいて、次のように振る舞えている人と捉えるのが適切です。

  • 分からないことを、その場で質問できる
  • ミスや懸念に気づいたとき、早めに共有できる
  • 相手を尊重しながら、異なる意見も伝えられる
  • 他のメンバーに、助けを求められる
  • 自分と違う考えや経歴の人を、まず受け止められる

日本の組織でよく使われる「4つの因子」

日本の組織向けの整理としてよく使われるのが、石井遼介氏の「4つの因子」です。Qbookの解説によると、石井氏の研究チームは組織診断サーベイを開発し、6,000人・500チームの日本のチームを計測してきました。その結果、日本の組織では、話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎の4つの因子があるときに心理的安全性が感じられるとしています。著書『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター、2020年9月刊)でも紹介されています。エドモンドソン教授の定義とは別に、日本のチームの状態を具体的に見るための枠組みです。

因子意味弱いときに起きやすいこと(一例)
話しやすさ知らないことや問題に気づいたとき、すぐに声をあげられる。リアルタイムの報連相や、下の立場からの意見も言いやすい確認や報告が遅れる。会議で意見が出ない
助け合いリーダーとメンバーが、支援し合える困っても相談されず、一人で抱え込む
挑戦新しいことを試しやすい前例のないことを提案する人がいなくなる
新奇歓迎お互いの違いを認め合えている少数派の意見や、経歴の違う人の考えが生かされない

石井氏は、4つの因子の強さはチームごとにばらばらで、リーダーは自分のチームの傾向を把握して足りない因子を補っていくことが望まれると述べています(WorkSight)。Qbookの解説では、話しやすさが他の3つの因子の土台になる重要な因子と位置づけられています。

心理的安全性を高めるメリット|個人とチームに起きる変化

心理的安全性が高まると、ミスや問題の報告が早まり、多様な意見や挑戦が出やすくなります。

メリットとして挙げられる点を、根拠の種類とあわせて整理します。根拠が研究や調査の結果なのか、前述の4つの不安からの整理なのかを分けて読んでください。

変化期待できること根拠・考え方
報告・相談が早まる4つの不安が弱まり、ミスや懸念が早く共有されるエドモンドソン教授の4つの不安の説明に基づく整理
多様な意見が出る少数派や若手の意見も、議論に載りやすくなるre:Work:多様なアイデアを活用できると説明
定着につながる離職率の低いチームがあるre:Work:Google社内のチームを対象にした調査結果
挑戦が増える新しいやり方を試しやすくなる石井氏の4つの因子のうち「挑戦」

ただし、心理的安全性を高めれば、自動的に成果が上がるわけではありません。WorkSightで石井氏が示す整理では、成果につながるのは、心理的安全性と仕事の基準の両方が高い状態です。声は出やすいものの基準が曖昧だと、居心地のよさだけが残るおそれがあります。目標や品質の基準を保ちながら、率直なやりとりを増やす設計が必要です。

心理的安全性の測り方|7つの質問とサーベイの使い分け

心理的安全性は、エドモンドソン教授が示した7つの質問に、チームの全員が答えることで傾向をつかめます。

Googleが紹介している7つの質問

re:Workは、エドモンドソン教授が心理的安全性を測るために使っている質問として、次の7つを紹介しています。文言は要旨にまとめたもので、原文の表現とは異なります。メンバーにはそれぞれの文が自分にどの程度当てはまるかを答えてもらいます。

番号質問(要旨)当てはまるほど
1チームの中でミスをすると、たいてい責められる心理的安全性が低い方向
2チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える心理的安全性が高い方向
3自分と違うという理由で、他の人を受け入れないことがある心理的安全性が低い方向
4チームの中で、リスクのある行動をとっても安全である心理的安全性が高い方向
5チームの他のメンバーに、助けを求めるのは難しい心理的安全性が低い方向
6チームのメンバーは、誰も意図的に自分の仕事をおとしめるようなことをしない心理的安全性が高い方向
7チームのメンバーと働くとき、自分のスキルや才能が尊重され、活かされていると感じる心理的安全性が高い方向

1・3・5は否定的な表現なので、「当てはまる」と答えるほど心理的安全性が低い方向を示します。2・4・6・7は反対です。同じ尺度で全員に答えてもらい、一人の回答ではなく、チーム全体の傾向を見ます。

測るときの注意点

  • 無記名など、回答者が特定されない形にする
  • 個人の評価には使わないことと、結果の使い道を事前に説明する
  • 1回で終わらせず、時間をおいて変化を見る
  • 結果をメンバーに返し、小さな改善を1つ決めて実行する

設問の作り方や実施の頻度は、エンゲージメントサーベイの解説も参考になります。質問項目の例はエンゲージメントサーベイとは?実施メリットや質問項目の例を解説、従業員満足度調査との違いはエンゲージメントサーベイとは?進め方や従業員満足度調査との違いも解説!で確認できます。

7つの質問から作ったセルフチェック

否定的な表現の3問に、肯定的な質問を反転させた2問を加えた5項目で、いまのチームの感覚を確かめてみてください。診断結果ではなく、一人の感覚です。結果にかかわらず、メンバー全員に同じ質問をするきっかけとして使ってください。

チームの声の出やすさ、いまの感覚でセルフチェック

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サーベイツールで継続して測る|3サービスの役割の違い

7つの質問は、フォームや紙でも実施できます。一方、部署ごとの差や時間の変化を追い、結果の読み解きまで進めるには、サーベイツールが使われます。ここでは、お名前.comビジネスコンシェルジュに掲載されている組織診断ツールのうち、役割の異なる3サービスを、商品ページで確認した内容(2026年10月19日確認)で比べます。ミキワメAI 適性検査は、心理的安全性そのものを測るサービスではなく、メンバーの性格傾向を把握して配属やチーム編成に生かす適性検査です。違いを知る材料として並べています。

チームの状態を測る・読み解く3サービスの役割の違い

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特徴 パルスサーベイ、カスタムサーベイ、カルチャーサーベイ、AIによる結果の読み解き支援 エンゲージメントや人間関係、離職・ハラスメントリスクなどの組織状態と、個人のメンタル・フィジカルを一つのサービスで調査 性格傾向から自社の特徴を分析する適性検査。配属やオンボーディングにも活用できる
注意したい点 高度分析・セキュリティオプションなどは別途契約が必要 組織課題の解決に効果的なオプションサービスは見積もりで依頼 心理的安全性を直接測る調査ではない。紙での受検や会場での受検には対応していない
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7つの質問のスコアが低かったとき、その原因が上司の反応なのか、評価の仕組みなのか、人手不足なのかによって、打ち手は変わります。スコアの背景にある要因まで掘り下げたい場合の一例が、株式会社ラフールのラフールサーベイです。商品ページでは、エンゲージメントや人間関係、離職・ハラスメントリスクなどの組織状態と、メンタル・フィジカルなど個人のコンディションを一つのサービスで調べられること、導入から運用定着まで専任のカスタマーサクセス担当が支援することが紹介されています。一方、組織課題の解決に効果的なオプションサービスは、見積もりでの依頼となります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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メンタル不調による休職者数は導入前と比較して減少傾向にあり、面談実施後は約7割の社員でスコアの改善

出典:ラフールサーベイ 導入事例 日本プラスト株式会社

心理的安全性を高める方法|リーダー・チーム・組織の取り組み

心理的安全性を高める出発点は、リーダーが自分の不確かさや失敗を先に見せ、質問と感謝を重ねて、全員が話せる場面を設計することです。

リーダーができること

エドモンドソン教授は前述の講演で、リーダーに向けて次の3つを挙げています。

  1. 仕事を「実行の問題」ではなく「学習の問題」として位置づけ、不確実性が高く関係者が多い仕事であることを伝える
  2. 自分も見落とす可能性があると認める
  3. 質問を重ねて、好奇心を示す

石井氏のQbookの解説では、小さな助け合いにも感謝を伝えること、挑戦に失敗したときに個人のせいにせず、みんなでフォローし合うことなどが、因子を育てる具体的な行動として挙げられています。「手伝ってくれてありがとう」「試してみてくれてありがとう」といった一言が、助けを求めやすさや挑戦のしやすさを支えます。

チームの運営で工夫できること

  • 会議の最初に、全員が一言ずつ話す時間を設け、発言の機会をそろえる
  • 質問や反対意見が出たら、内容の前にまず「ありがとう」と受け止める
  • ミスが起きたら、人を責めるのではなく、手順や仕組みのどこで起きたかを一緒に振り返る
  • 1on1では、評価ではなく話を聴く時間を取る

いずれも広く実践されている方法で、効果の大きさは職場によって異なります。まず1つだけ選び、数週間続けてから、7つの質問などで変化を確かめるのが現実的です。

制度と運用で支える

厚生労働省の実態調査では、企業のハラスメント予防・解決のための取組は、パワハラ、セクハラなどいずれでも「相談窓口の設置と周知」が最も高い割合でした。相談窓口に加え、個人の成果だけでなくチームへの貢献も評価に含める、新入社員を支援する仕組みを整えるなど、声を上げた人が不利益を受けない運用が土台になります。

メンバーの違いを知り、チームの組み合わせを考える

4つの因子のうち「新奇歓迎」は、お互いの違いを認め合えているかを指します。違いを認め合うには、まず違いを知る手がかりが必要です。メンバーの性格傾向をもとに配属やチーム編成を考えたい場合の一例が、株式会社リーディングマークのミキワメAI 適性検査です。商品ページでは、チームや部署ごとに分析したい社員を選ぶと、性格傾向から自社の特徴を分析できること、配属やオンボーディングにも活用できることが紹介されています。一方、紙での受検や会場での受検には対応していません。心理的安全性の度合いを測るサービスではなく、採用や配属の場面で使う適性検査である点にも注意してください。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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評価・口コミを紹介

以前は新卒採用者の50%にあたる人数が退職していたところ、ミキワメ導入から現在(2024年1月)まで新卒退職者がゼロになりました。導入前後の背景が異なるので、単純に数値を比較できないのですが、ミキワメのおかげで早期退職者が減ったのは紛れもない事実です。

導入事例(アサヒ物産株式会社)|株式会社リーディングマーク
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ミキワメAIラボの配置・配属の事例記事では、タイプの異なるメンバーを組み合わせる際の考え方が、次のように述べられています。

異なるタイプの方をアサインすると意見の不一致が生まれることはありますが、お互いが違いを理解しておくことで相手の考えを受け入れるキャパシティが増えていきます。

出典:ミキワメAIラボ 配置・配属の適正化に成功した事例【3選】

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勘違いしやすい点と注意点|指導・ハラスメント防止・数字の扱い

心理的安全性を高める取り組みは、指導をやめることでも、ハラスメント対策の代わりでもありません。

指導や仕事の基準を下げることではない

リーダーが厳しい指摘や注意を控えれば心理的安全性が上がる、というのは誤解です。厚生労働省のパワハラ防止指針は、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、職場におけるパワーハラスメントには該当しないとしています。基準を示しながら、疑問や反対意見も言える状態をつくることが目的です。

ハラスメント防止は、別に講じる義務がある

労働施策総合推進法は、事業主に対し、職場における優越的な関係を背景とした言動で業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されることのないよう、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じることを求めています。e-Govの現行条文では第31条第1項で、厚生労働省の指針では旧条番号の第30条の2として引用されています。同条第2項は、労働者が相談したことなどを理由とする解雇その他の不利益な取扱いも禁じています。心理的安全性の向上は、この措置の代わりにはなりません。両方を並行して進めるものです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案への当てはめは、弁護士や社会保険労務士などの専門家、または労働局の窓口にご相談ください。

サーベイの数字の扱い

  • 平均点だけで、部署や上司を評価しない
  • 回答者が特定されない設計にし、結果を何に使うかを事前に説明する
  • 結果を共有し、小さな改善を1つ決めて実行する
  • 時間をおいて測り直し、変化を確かめる

現状を数字で確かめるところから

ここまでの内容を実務に落とすと、「現状を数字で確かめる」「弱い因子を決める」「継続して追う」という流れになります。比較表で紹介した3サービスは、1回の入力でまとめて資料を請求できます。自社の目的に合うかどうかを、資料で見比べてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 心理的安全性が高い状態とは何ですか?

A. 質問・相談・反対意見・失敗の報告を、評価を気にせずにメンバーが出せている状態です。エドモンドソン教授の定義では、対人関係でリスクのある行動をとってもこのチームでは安全だという考えが、メンバーに共有されていることを指します。個人の安心感ではなく、チームで共有される認識である点がポイントです。

Q2. 心理的安全性が高い人の特徴は何ですか?

A. 心理的安全性はチームで共有される認識で、生まれつきの性格だけで決まるものではありません。そのうえで、分からないことをその場で質問できる、ミスや懸念を早めに共有できる、相手を尊重しながら異なる意見も伝えられる、助けを求められる、といった行動が見られる人は、心理的安全性が高い環境で働いていると考えられます。

Q3. 心理的安全性の4因子とは何ですか?

A. 石井遼介氏が日本の組織向けに示した、話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎の4つです。話しやすさは問題に気づいたときにすぐ声をあげられること、助け合いはリーダーとメンバーが支援し合えること、挑戦は新しいことを試しやすいこと、新奇歓迎はお互いの違いを認め合えていることを指します。

Q4. 心理的安全性が低い職場の例は?

A. 会議で発言が特定の人に偏る、上司の意見に全員がすぐ同意する、ミスの報告が聞かれたときにしか出てこない、新しい提案が前例がないで終わる、質問すると否定的な反応が返ってくる、といった状態が例です。エドモンドソン教授は、無知・無能・邪魔・ネガティブだと思われる4つの不安が、質問や提案を控える行動につながると説明しています。

Q5. 心理的安全性は、どのように測りますか?

A. エドモンドソン教授が示した7つの質問に、チームの全員が同じ尺度で答える方法が代表的です。1・3・5の質問は否定的な表現で、当てはまるほど安全性が低い方向を示します。回答は無記名で集め、個人の評価には使わず、時間をおいて変化を見るのが基本です。部署ごとの差や継続的な把握には、サーベイツールが使われます。

Q6. 心理的安全性が高い職場は、ぬるま湯の職場と同じですか?

A. 同じではありません。心理的安全性が高いとは、率直に意見を言え、ミスを共有できる状態のことで、衝突や指導がないことを意味しません。石井氏は、心理的安全性と仕事の基準がともに高い職場を「学習して成長する職場」と位置づけています。指摘を避ける、意見を言わないといった状態は、ぬるま湯に近いといえます。

まとめ|心理的安全性を高めるために今日からできる5つのこと

心理的安全性とは、チームの中で発言やミスの報告をしても、拒絶や罰を受けないと全員が感じられている状態です。次の5つから、取り組みやすいものを選んで始めてください。

  1. 定義をそろえる:心理的安全性は「仲良し」ではなく、率直に言えて、仕事の基準も保たれた状態であることをチームで共有する
  2. 現状を測る:7つの質問を無記名で全員に答えてもらい、チーム全体の傾向を見る
  3. リーダーが先に動く:自分の失敗や不確かさを見せ、質問し、小さな助け合いや挑戦に感謝を伝える
  4. 弱い因子を1つ決める:話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎のうち、足りないものから改善する
  5. サーベイツールの資料を取り寄せて比べる:継続して測りたい場合は、目的に合うサービスを資料で確認する

なお、本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。ハラスメント防止措置などの個別の判断は、専門家や労働局の窓口にご相談ください。

参考文献

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