圧縮記帳とは?補助金・保険金の仕訳と限度額、別表十三の手続きを解説

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  • 圧縮記帳は課税の繰延べで免除ではない
  • 2つの経理処理と仕訳・限度額がわかる
  • 補助金と保険金の要件と別表十三がわかる

圧縮記帳とは、国庫補助金や保険金などで固定資産を取得したとき、受け取った金額の分だけ帳簿価額を減らして損金に算入し、その年度の課税を先送りする税務上の制度です。課税が免除されるのではなく、減価償却や資産の売却を通じて、後の年度に課税が繰り延べられます。この記事では、法人税法と国税庁の案内をもとに、直接減額方式と積立金方式の経理処理と仕訳、圧縮記帳ができる6つのケースと限度額、補助金と保険金の計算例、確定申告で必要な別表十三、メリットとデメリット、償却資産税や少額減価償却資産の特例との関係を順に整理します。取得価額1,000万円の機械装置に補助金400万円が交付された仮の例で、5年間の数字も確かめます。条文と国税庁の案内は、2026年10月19日にe-Gov法令検索と国税庁のページで確認した内容に基づきます。

圧縮記帳、自社ではどこから確認するとよいですか?

Q1. 圧縮記帳が関係しそうなのは、どの場面ですか?

目次

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  1. 圧縮記帳とは?補助金や保険金への課税を先送りする仕組み
  2. 圧縮記帳の経理処理は2つ。直接減額方式と積立金方式の違いと仕訳
  3. 圧縮記帳ができる6つのケースと、限度額の早見表
  4. 補助金の圧縮記帳。対象になる補助金・要件・タイミング
  5. 保険金の圧縮記帳。保険差益の計算と、車の保険金のケース
  6. 圧縮記帳の手続き。確定申告で必要な別表十三と添付書類
  7. 圧縮記帳のメリットとデメリット。売却したときに課税される点に注意
  8. 圧縮記帳と償却資産税・少額減価償却資産の特例との関係
  9. 圧縮記帳した資産の管理。台帳で残す項目と、システムを検討する目安
  10. 圧縮記帳に関するよくある質問(FAQ)
  11. まとめ:圧縮記帳で押さえたい6つのこと
  12. 参考文献

圧縮記帳とは?補助金や保険金への課税を先送りする仕組み

圧縮記帳とは、国庫補助金や保険金で固定資産を取得したとき、受取額の分だけ帳簿価額を減らして損金に算入し、課税を先送りする税務上の処理です。

補助金を受け取ると、その金額は収益として所得に含まれます。一方、補助金で買った機械装置などは、耐用年数にわたって減価償却費として少しずつ費用になります(減価償却費の求め方は減価償却費の計算方法|定額法・定率法の求め方と仕訳を計算例で解説で整理しています)。何も処理をしないと、補助金を受け取った年度だけ所得が大きくなり、受け取った補助金の一部が税金として出ていきます。圧縮記帳は、この年度のずれをならすための仕組みです。

法人税法第42条は、国または地方公共団体の補助金や給付金の交付を受け、返還を要しないことが事業年度の終了の時までに確定し、その時までに交付の目的に適合した固定資産を取得または改良した場合に、圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するか、確定した決算で積立金として積み立てたときは、その金額を損金に算入すると定めています(e-Gov法令検索「法人税法」第42条第1項)。保険金は第47条、工事負担金は第45条など、受け取るお金の種類ごとに条文が分かれています。

5年間の数字で見る。圧縮記帳は課税の免除ではなく繰延べ

取得価額1,000万円の機械装置を購入し、補助金400万円の交付を受けた仮の例です。補助金は返還不要と確定していて、全額が機械装置の取得に充てられたものとし、耐用年数5年の定額法(償却率0.200)で期首に取得したと仮定します。補助金以外の損益、月割、税率は考慮していません。

項目圧縮記帳をしない場合圧縮記帳をする場合(直接減額方式)
補助金収入(益金)400万円400万円
固定資産圧縮損(損金)0円400万円
減価償却の基礎になる取得価額1,000万円600万円(1,000万円 – 400万円)
毎年の減価償却費200万円120万円
1年目の所得への影響(補助金収入 – 圧縮損 – 減価償却費)+200万円-120万円
2年目から5年目の所得への影響(毎年)-200万円-120万円
5年間の合計-600万円-600万円

圧縮記帳をすると、1年目の所得は、しない場合より320万円少なくなり、2年目から5年目は毎年80万円ずつ多くなります。5年間の合計は、どちらも600万円の減少で同じです。圧縮記帳は課税の免除ではなく、補助金400万円にかかる課税を、減価償却に合わせて後ろへずらす仕組みです。圧縮記帳をした資産は、損金に算入された金額を取得価額から控除した金額が、減価償却の基礎になります(e-Gov法令検索「法人税法施行令」第54条第3項)。

圧縮記帳をした資産は、金額が3つに分かれて残る

上の例では、機械装置に、圧縮前の取得価額1,000万円、圧縮額400万円、圧縮後の帳簿価額600万円の3つの金額が残ります。減価償却は圧縮後の金額で進みますが、償却資産税の申告には圧縮前の取得価額が、確定申告の別表十三には圧縮額が必要になります。資産が増えるほど、これらの金額と補助金の交付日などを、資産ごとに漏れなく残す手間が増えます。

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圧縮記帳の経理処理は2つ。直接減額方式と積立金方式の違いと仕訳

圧縮記帳の経理処理は、固定資産の帳簿価額を直接減らす直接減額方式と、純資産に圧縮積立金を積み立てる積立金方式の2つで、どちらも損金に算入できます。

法人税法第42条第1項は、損金経理により帳簿価額を減額する方法と、確定した決算において積立金として積み立てる方法を定め、同法施行令第80条は、決算の確定の日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法も認めています。どちらも決算で経理をしていることが前提で、申告書の上だけの調整では圧縮記帳はできません。帝国データバンクの解説は、企業会計上は積立金方式が好ましいとされる一方、申告書の別表で調整が必要になり処理が煩雑になるため、直接減額方式も認められていると整理しています(帝国データバンク「圧縮記帳の話」)。

直接減額方式の仕訳。圧縮損と補助金収入が相殺される

先ほどの例(補助金400万円、機械装置1,000万円)の仕訳です。勘定科目の名称は会社によって異なり、補助金の受取を国庫補助金受贈益などと呼ぶこともあります。

取引借方貸方
補助金の入金現金預金 400万円国庫補助金収入 400万円
機械装置の購入機械装置 1,000万円現金預金 1,000万円
圧縮損の計上固定資産圧縮損 400万円機械装置 400万円
減価償却(1年目、圧縮後の600万円が基礎)減価償却費 120万円機械装置 120万円

圧縮損400万円は、補助金収入400万円と同じ年度の損益で相殺され、貸借対照表の機械装置は600万円で表示されます。帝国データバンクの解説は、この方式では貸借対照表の価額が実際の資産価値を反映しなくなるため、圧縮記帳をしていることを注記で示す必要があると説明しています。

積立金方式の仕訳と、毎期の取崩し

積立金方式では、機械装置を取得価額の1,000万円のまま残し、純資産の部に圧縮積立金を積み立てます。

取引借方貸方
補助金の入金現金預金 400万円国庫補助金収入 400万円
機械装置の購入機械装置 1,000万円現金預金 1,000万円
圧縮積立金の積立て(決算の確定の日までの剰余金の処分)繰越利益剰余金 400万円圧縮積立金 400万円
減価償却(1年目、取得価額の1,000万円が基礎)減価償却費 200万円機械装置 200万円

圧縮積立金の積立額は、申告書の別表の上で損金に算入されます。圧縮積立金は、対象の固定資産の減価償却のペースに合わせて取り崩され、取り崩した金額は益金に算入されるため、課税の繰延べの結果は直接減額方式と同じです。上の例では、会計上の減価償却費は毎年200万円、税務上は圧縮後の600万円が基礎で120万円なので、差の80万円(圧縮積立金400万円に償却の進み方20%を掛けた額)が毎期取り崩されていく計算です。固定資産を除却、廃棄、滅失または譲渡したときは、その資産に係る積立金を取り崩して益金に算入します(法人税基本通達10-1-2、国税庁「第1節 圧縮記帳の通則」)。

どちらを選ぶかは、決算書の見え方と申告書の手間で決めます。直接減額方式は、貸借対照表に圧縮後の金額が出て、損益計算書に補助金による利益が表れません。積立金方式は、資産が取得価額のまま表示され、補助金収入が利益として表れる代わりに、申告書の別表で圧縮積立金の積立てと取崩しを調整する手間が加わります。

選び方に迷うときは、決算の前に税理士に相談してください。圧縮記帳の種類によって、選べる経理方法が異なる点にも注意が必要です。たとえば資産の交換は、取得資産の帳簿価額を損金経理により減額して適用します(国税庁タックスアンサーNo.5600)。

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【レビュー】マネーフォワードクラウド会計を実際に登録して使ってみた【使い方解説】

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決算書の構成は決算書とは?財務三表の読み方・種類・電帳法対応まで中小企業向けに解説でも整理しています。

圧縮記帳ができる6つのケースと、限度額の早見表

圧縮記帳の主なケースは、国庫補助金等、工事負担金、非出資組合の賦課金、保険金等、資産の交換、特定資産の買換えの6つで、根拠は法人税法と租税特別措置法に分かれています。

ケースごとの根拠、圧縮限度額の考え方、申告書に添付する明細書を、法人税法の条文(e-Gov法令検索)と国税庁の案内からまとめました。限度額の式は主なものだけを示しています。

ケース根拠圧縮限度額の考え方申告書の明細書
国庫補助金等法人税法第42条から第44条交付を受けた国庫補助金等の額に相当する金額(返還不要の確定が条件)別表十三(一)
工事負担金法人税法第45条電気・ガス・水道・鉄道などの事業者が受益者から受けた金銭や資材のうち、施設の固定資産の取得に要した金額まで別表十三(一)
非出資組合の賦課金法人税法第46条出資のない協同組合等が賦課して納付された金額のうち、固定資産の取得・改良に要した金額まで別表十三(一)
保険金等法人税法第47条から第49条保険差益金の額に、代替資産の取得・改良に充てた保険金等の割合を掛けた金額別表十三(二)
資産の交換法人税法第50条交換差金等がない場合は、取得資産の価額 -(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額 + 譲渡経費)別表十三(三)
特定資産の買換え租税特別措置法第65条の7圧縮基礎取得価額(買換資産の取得価額と譲渡対価の額のいずれか少ない額)に、差益割合と、原則80%を掛けた金額別表十三(五)など

このほか、収用等に伴う代替資産の取得の圧縮記帳(租税特別措置法第64条。不動産証券化協会の解説の一覧による)など、租税特別措置法に基づくものもあります。交換は、同じ種類の資産どうしで、どちらも1年以上所有していたこと、時価の差が高い方の20%以内であることなどの条件を満たす必要があります(国税庁No.5600)。買換えは、譲渡の日を含む事業年度に買換資産を取得し、取得の日から1年以内に事業の用に供することなどが要件で、令和11年3月31日までの間の譲渡が対象です(No.5651、限度額の計算はNo.5654)。以下では、検索で特に調べられている補助金と保険金を、要件と計算例で詳しく見ます。

補助金の圧縮記帳。対象になる補助金・要件・タイミング

補助金の圧縮記帳は、国や地方公共団体の補助金・給付金などが対象で、返還不要の確定と、交付の目的に合う固定資産の取得が、事業年度の終了時までにそろっていることが要件です。

国庫補助金の圧縮記帳の3つの要件

  1. 国または地方公共団体の補助金・給付金など(国庫補助金等)であること。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構などの助成金のうち、法人税法施行令第79条に列挙されたものも含まれます。
  2. 返還を要しないことが、事業年度の終了の時までに確定していること。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条に基づく額の確定の通知を受けたものは、確定したものに当たります。交付条件に違反した場合は返還する、といった一般的な条件が付いていても、確定の判定には関係しません(法人税基本通達10-2-1)。
  3. その事業年度の終了の時までに、交付の目的に適合した固定資産を取得または改良していること。

そのうえで、帳簿価額を損金経理により減額するか、確定した決算で積立金として積み立て、確定申告書に明細を記載します(法人税法第42条。通達は国税庁「第2節 国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳」)。

国税庁は補助金の圧縮記帳を認めていますか

国や地方公共団体の補助金は、法人税法第42条で圧縮記帳の対象と定められています。ただし、個々の補助金が対象になるかは、その補助金の性格で決まるため、制度ごとの確認が必要です。たとえば独立行政法人中小企業基盤整備機構は、中小企業等事業再構築促進補助金が国から直接交付されるものではないことから、中小企業庁を通じて国税庁に確認し、法人税法第42条または所得税法第42条の国庫補助金等に該当し、固定資産の取得に充てるための補助金は圧縮記帳等の適用が認められる旨の回答を受けたと、令和3年8月11日付で案内しています(中小企業基盤整備機構「中小企業等事業再構築促進補助金における圧縮記帳等の適用について」)。一方、技術導入費や専門家経費など、固定資産の取得以外に充てられた部分は対象外です。ほかの補助金も、交付要綱や事務局の案内で、圧縮記帳の可否と対象になる経費を確認してください。

事業年度をまたぐとき。特別勘定と、補助金の交付前の取得

  • 決算までに返還の要否が確定していない場合:補助金の額以下の金額を、確定した決算で特別勘定として経理すると、損金に算入できます(法人税法第43条第1項)。返還不要が確定したときは、特別勘定を取り崩して益金に算入する一方、固定資産を圧縮限度額の範囲で圧縮して損金に算入します(同条第2項・第3項、第44条)。
  • 補助金の交付を受ける前に固定資産を取得していた場合:取得した事業年度よりあとの事業年度に補助金の交付を受けたときは、圧縮限度額を政令で定める方法で計算します(同法第42条第1項かっこ書、同法施行令第79条の2)。計算が複雑なため、取得前に税理士に確認してください。

個人事業主の場合は、総収入金額に算入しない扱い

個人事業主には法人税法の圧縮記帳は適用されません。所得税法第42条は、国庫補助金等の返還を要しないことがその年12月31日までに確定し、その年12月31日までに交付の目的に適合した固定資産を取得または改良したときは、交付額に相当する金額を総収入金額に算入しないと定めています(e-Gov法令検索「所得税法」第42条)。確定申告書に適用を受ける旨などの記載が必要です。本記事は一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。個別の判断は税務署または税理士に確認してください。

保険金の圧縮記帳。保険差益の計算と、車の保険金のケース

保険金の圧縮記帳は、火災や事故などで固定資産が滅失・損壊して保険金を受け取り、代替資産を取得したとき、保険差益に相当する額まで帳簿価額を減らして損金に算入できる制度です。

保険金の圧縮記帳の要件

国税庁は、固定資産の滅失または損壊のあった日から3年以内に支払の確定した保険金、共済金または損害賠償金を受け取り、その支払を受けた事業年度に、滅失した固定資産と同一種類の固定資産(代替資産)を取得するか、損壊した固定資産などを改良したときに、圧縮記帳の適用を受けられると案内しています(国税庁タックスアンサーNo.5608)。注意点は次の2つです(法人税基本通達。第5節 保険金等で取得した資産等の圧縮記帳)。

  1. 同一種類かどうかは、耐用年数省令の別表第一に掲げる種類の区分が同じかどうかで判断します(10-5-3)。建物なら建物、車両及び運搬具なら車両及び運搬具が同じ種類です。
  2. 棚卸資産の滅失で受ける保険金や、休廃業などによる収益や費用の補填に充てる保険金は、圧縮記帳の対象になりません(10-5-1)。

保険差益と圧縮限度額の計算例

国税庁タックスアンサーNo.5608の計算例です。保険差益金の額は、保険金等の額から、滅失により支出した経費の額と、被害部分に相当する被害直前の帳簿価額を引いた額です。圧縮限度額は、保険差益金の額に、代替資産の取得・改良に充てた保険金等の額(分母の金額まで)が、保険金等の額から経費を引いた額に占める割合を掛けて求めます。

項目金額・計算
被害(滅失)直前の帳簿価額1,000万円
滅失により支出した経費の額50万円
保険金等の額2,000万円
保険金等により取得した代替資産の取得価額3,000万円
保険差益金の額(2,000万円 – 50万円) – 1,000万円 = 950万円
圧縮限度額950万円 × 1,950万円 /(2,000万円 – 50万円) = 950万円

この例では、代替資産の取得価額3,000万円から圧縮額950万円を引いた2,050万円が、代替資産の帳簿価額になります。代替資産の取得が小さいと、圧縮限度額も小さくなり、取得価額が1,000万円にとどまった場合は、950万円 × 1,000万円 /1,950万円 で約487万円です(上の式に当てはめた説明用の計算です)。また、保険金等の額から経費を引いた額が、被害部分の帳簿価額を超えない場合は、保険差益が生じないため、圧縮記帳の対象になる金額もありません(法人税法施行令第85条第2項。e-Gov法令検索)。

車の保険金の圧縮記帳はできますか

車の保険金でも圧縮記帳はできます。国税庁の質疑応答事例は、自動車の盗難による損失について自動車保険の保険金の支払を受け、その保険金で自動車を取得した場合に、法人税法第47条第1項の適用が認められるかという照会に、認められると回答しています。理由は、同項の「固定資産の滅失」に、盗難による滅失も含まれるためです(国税庁質疑応答事例「盗難により支払を受けた保険金に係る保険差益の圧縮記帳」)。事故による損壊も、同条は「滅失又は損壊」を対象にしています。ただし、保険差益が出るのは、保険金が経費と帳簿価額の合計を上回るときで、減価償却が進んで帳簿価額が小さい車ほど、保険差益が出やすくなります。

保険金を受け取った年度に取得できないとき

保険金の支払を受けた事業年度に代替資産を取得できなくても、翌期首から原則として2年以内に取得する見込みであれば、圧縮限度額の範囲内の金額を、確定した決算で特別勘定として経理して損金に算入できます(国税庁No.5608、法人税法第48条)。期限内に取得できないときは、特別勘定を取り崩して益金に算入します。本記事は一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。個別の判断は税務署または税理士に確認してください。

圧縮記帳の手続き。確定申告で必要な別表十三と添付書類

圧縮記帳は、確定申告書に損金算入額の明細を記載して初めて適用され、国庫補助金等は別表十三(一)、保険金等は別表十三(二)の明細書を申告書に付けます。

法人税法第42条第3項(国庫補助金等)と第47条第3項(保険金等)は、損金算入に関する明細の記載が確定申告書にある場合に限り、適用すると定めています。記載がない確定申告書を提出した場合でも、税務署長が、記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、適用できます(同条第4項)。ただし、救済されるとは限らないため、申告前に明細書の作成漏れがないかを確認し、漏れに気づいたときは速やかに税務署または税理士に相談してください。

ケース明細書国税庁の案内
国庫補助金等・工事負担金・非出資組合の賦課金別表十三(一)別表十三(一)の様式(平成23年6月30日以後終了事業年度分。最新の様式は会計ソフトや国税庁の案内で確認)
保険金等別表十三(二)タックスアンサーNo.5608
資産の交換別表十三(三)タックスアンサーNo.5600
特定資産の買換え別表十三(五)などタックスアンサーNo.5651

決算から申告までの流れ

  1. 補助金の交付決定と額の確定の通知を保管し、返還を要しないことが確定した日を確認する。交付の目的に適合した固定資産を取得し、取得価額と取得日を記録する。
  2. 圧縮限度額を計算し、決算で直接減額方式か積立金方式のどちらかで経理する。
  3. 別表十三の明細書を作成して確定申告書に添付し、台帳に圧縮前の取得価額、圧縮額、圧縮後の帳簿価額、経理方式を残す。

決算から申告までのスケジュールは、決算スケジュールとは?四半期・決算発表の時期と自社の申告期限を解説で整理しています。圧縮記帳の経理は取得した年度の決算に間に合わせる必要があるため、資産を取得する前に経理方式を決めておくと、決算で慌てずに済みます。本記事は一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。個別の判断は税務署または税理士に確認してください。

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圧縮記帳のメリットとデメリット。売却したときに課税される点に注意

圧縮記帳のメリットは、補助金や保険金を受け取った年度の課税を先送りできる点で、デメリットは、税金が免除されるわけではなく、翌期以降の所得が増える点です。

メリットは、受け取った年度の課税を抑えられること

受け取った年度の所得を抑えられるため、補助金や保険金を設備の取得に充てる資金を確保しやすくなります。条文は、圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を減額したときに、その金額を損金に算入すると定めており、限度額の範囲内で圧縮する金額を選べます。

デメリットは、繰延べであることと、管理の手間

  1. 課税の免除ではなく繰延べです。減価償却費が圧縮後の金額を基礎に計算される分だけ少なくなり、翌期以降の所得が増えます(冒頭の表の、2年目から5年目の差です)。
  2. 資産を売却・除却したときに、繰り延べていた課税が表に出ます。積立金方式では圧縮積立金を取り崩して益金に算入し、直接減額方式では帳簿価額が小さい分だけ売却益が大きくなります。
  3. 資産ごとに、圧縮前の取得価額、圧縮額、圧縮後の帳簿価額、経理方式を管理する手間が増えます。

圧縮記帳をしない場合は、受け取った補助金や保険差益が、その年度の所得に含まれて課税されます。繰越欠損金がある年度など、圧縮記帳をしなくても税負担が小さい場合もあるため、適用するかどうかは見込みの所得で検討します。

売却したときの数字。3年目末に700万円で売った場合

冒頭の例の機械装置を、3年目の期末に700万円で売却した仮の例です。売却益は、売却額から帳簿価額を引いて求めます。

項目圧縮記帳をしない場合圧縮記帳をする場合(直接減額方式)
3年目末の帳簿価額400万円(1,000万円 – 200万円 × 3年)240万円(600万円 – 120万円 × 3年)
700万円で売却したときの売却益300万円460万円
3年間の所得への影響の合計(補助金収入と減価償却費を含む)+100万円+100万円

3年間の合計は同じですが、圧縮記帳をした場合は、売却した年度に460万円の売却益が出て、繰り延べていた課税が表に出ます。売却や買換えを予定している資産は、売却した年度の所得への影響を、取得する前に確認しておきます。

圧縮記帳と償却資産税・少額減価償却資産の特例との関係

圧縮記帳をしても、償却資産税は圧縮前の取得価額を基に申告し、減価償却は圧縮後の金額を基に行うなど、税や制度ごとに基準になる金額が異なる点に注意が必要です。

償却資産税は、圧縮前の取得価額で申告する

地方税法は、償却資産から、取得価額が少額である資産などの政令で定める資産を除いています(第341条第4号)。地方税法施行令第49条が除くのは、法人税法施行令第133条(少額の減価償却資産)や第133条の2(一括償却資産)により、取得価額の全部または一部が損金に算入される資産で、圧縮記帳をした資産は含まれません(e-Gov法令検索「地方税法」、同「地方税法施行令」)。

税務研究会の「税務通信」No.3731は、この点を踏まえて、圧縮記帳を適用した資産の償却資産税は、圧縮記帳前の金額、つまり取得価額をベースに申告すると解説しています。例として、取得価額50万円の資産が圧縮記帳後に20万円となり、少額減価償却資産の特例で全額を損金に算入したとしても、償却資産税の申告は圧縮前の50万円がベースです(税務通信「圧縮記帳の適用と償却資産税」、2022年12月5日。全文公開は冒頭部分のみです)。具体的な申告方法は、資産の所在地の市区町村の案内で確認してください。

少額減価償却資産の特例。令和8年4月以後の取得は40万円未満

国税庁タックスアンサーNo.5408によると、中小企業者等が、取得価額が40万円未満の減価償却資産を平成18年4月1日から令和11年3月31日までの間に取得して事業の用に供した場合は、一定の要件のもとで、取得価額を損金に算入できます。令和8年度の法人税関係法令の改正により、令和8年4月1日以後に取得した資産の基準は、改正前の30万円未満から40万円未満に引き上げられました。1事業年度の合計は300万円が限度です(国税庁No.5408)。

この特例を受ける資産は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複して適用できません(同ページ)。一方、税務通信は、法人税法第42条の国庫補助金等の圧縮記帳をした資産について、圧縮記帳後の金額が基準未満であれば、この特例で全額を損金に算入することもできると解説しています(当時の基準は30万円未満)。併用の可否と、基準を判定する金額は、資産ごとに異なりうるため、取得前に税理士に確認してください。

税や制度ごとに金額の基準が分かれるため、台帳に圧縮前の取得価額と圧縮後の帳簿価額を両方残しておくことが、実務の要になります。本記事は一般的な解説であり、税務上の助言ではありません。個別の判断は税務署または税理士に確認してください。

圧縮記帳した資産の管理。台帳で残す項目と、システムを検討する目安

圧縮記帳をした資産は、圧縮前の取得価額・圧縮額・圧縮後の帳簿価額と、補助金や保険金の情報を台帳で一緒に残しておくと、申告・償却資産税・売却時の処理がそろいます。

ここまでの内容を台帳の項目に置き換えると、次の表になります。圧縮記帳をした資産は、税ごとに必要な金額が異なるため、残す項目を決めておくと、申告や売却のたびに資料を探し直す手間が減ります。

台帳に残す項目使う場面
圧縮前の取得価額償却資産税の申告(圧縮前の取得価額がベース)
圧縮額と、圧縮の根拠(法人税法第42条、第47条など)、経理方式(直接減額か積立金か)別表十三の作成、売却・除却のときの処理
圧縮後の帳簿価額と、毎期の減価償却費決算と、法人税の減価償却(圧縮後の金額が基礎)
補助金等の名称、交付した者、交付日、返還不要の確定日、保険金の支払日と代替資産別表十三の記載、返還の要否の確認
積立金方式の場合は、圧縮積立金の残高と毎期の取崩額別表での調整、除却・譲渡のときの取崩し

表計算ソフトで管理できるのは、圧縮記帳をした資産が少ないうちです。次のセルフチェックで、いまの管理に手作業が多く残っていないかを確かめてください。

圧縮記帳をした資産の管理、今のやり方で大丈夫?セルフチェック

当てはまるものを選んでください(登録不要)

手作業が多いと感じたときは、固定資産管理システムや会計ソフトを検討する段階です。比べるときは、次の5点を資料で確認すると、違いが見えやすくなります。

  1. 圧縮前の取得価額と圧縮後の帳簿価額を、資産ごとに別の項目として登録できるか。
  2. 税務と会計で別の台帳を持てるか、台帳を何冊まで持てるか。
  3. 償却資産税の申告用に、自治体別・資産別の集計を出力できるか。
  4. 別表十三や別表十六など、申告書の元になるデータを出力できるか。
  5. 仕訳を会計ソフトに渡す方法と範囲、導入にかかる期間、サポートの範囲、料金の体系。

システムの選び方は、固定資産管理システムとは?機能やメリット、選び方について解説!や固定資産管理システムおすすめ10選(全23選)を徹底比較!|選定のポイントや導入時の注意点を解説でも解説しています。この記事で取り上げた2サービスは役割が異なり、固定資産の台帳と償却計算ならマネーフォワード クラウド固定資産、仕訳から決算書の作成までならマネーフォワード クラウド会計が一例です。

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圧縮記帳に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 圧縮記帳の経理処理はどのようにしますか?

A. 直接減額方式か積立金方式のどちらかで経理します。直接減額方式は、固定資産圧縮損を計上して帳簿価額を直接減らす方法で、補助金400万円で機械装置1,000万円を取得した例では、借方に固定資産圧縮損400万円、貸方に機械装置400万円を計上します。積立金方式は、資産を取得価額のまま残し、決算の確定の日までの剰余金の処分で、借方に繰越利益剰余金、貸方に圧縮積立金を計上します。

Q2. 国税庁は補助金の圧縮記帳を認めていますか?

A. 認めています。法人税法第42条は、国または地方公共団体の補助金・給付金などで、返還を要しないことが確定し、交付の目的に適合した固定資産を取得した場合に、圧縮記帳を認めています。個々の補助金が対象かは制度ごとの確認が必要で、中小企業基盤整備機構は、事業再構築促進補助金のうち固定資産の取得に充てる部分は、適用が認められる旨の国税庁の回答を受けたと案内しています。

Q3. 車の保険金の圧縮記帳はできますか?

A. できます。国税庁の質疑応答事例は、自動車の盗難で受け取った保険金で自動車を取得した場合に、法人税法第47条第1項の適用が認められると回答しています。滅失した車と同じ種類の資産を取得することが前提で、保険差益が出ていなければ、圧縮する金額はありません。

Q4. 法人税の圧縮記帳で必要な添付書類は何ですか?

A. 確定申告書に損金算入に関する明細の記載が必要で、国庫補助金等は別表十三(一)、保険金等は別表十三(二)、資産の交換は別表十三(三)、特定資産の買換えは別表十三(五)などの明細書を使います。記載がない場合でも、やむを得ない事情があると税務署長が認めるときは適用できますが、救済されるとは限りません。

Q5. 圧縮記帳をすると税金は免除されますか?

A. 免除されず、課税が先送りされるだけです。取得価額1,000万円、補助金400万円、5年の定額法の例では、1年目の所得が320万円少なくなり、2年目から5年目は毎年80万円ずつ多くなって、5年間の合計は同じです。資産を売却すると、繰り延べた課税が表に出ます。

Q6. 圧縮記帳をした資産の償却資産税は、圧縮後の金額で申告しますか?

A. 圧縮前の取得価額をベースに申告すると、税務研究会の税務通信No.3731は解説しています。取得価額50万円の資産を圧縮記帳して20万円になっても、償却資産税は50万円がベースです。法人税の減価償却は圧縮後の金額で行うため、台帳に両方の金額を残しておきます。申告方法は、資産の所在地の市区町村に確認してください。

まとめ:圧縮記帳で押さえたい6つのこと

圧縮記帳は、補助金や保険金への課税を先送りする制度です。実務で確認すべきことを、行動としてまとめます。

  1. 圧縮記帳は課税の免除ではなく繰延べと理解し、資産を取得する前に、返還不要の確定や交付目的に合う資産の取得など、要件がそろうかを確認する。
  2. 経理処理は直接減額方式か積立金方式かを、決算の前に税理士と決める。
  3. 補助金は返還不要の確定日を、保険金は保険差益と同一種類の代替資産の取得を確認し、圧縮限度額を計算する。
  4. 確定申告書に、別表十三の明細を記載して添付する。記載漏れがないかを、申告の前に確認する。
  5. 減価償却は圧縮後の金額、償却資産税は圧縮前の取得価額と、基準の金額が分かれる点を台帳で管理し、売却を予定する資産は売却した年度の所得への影響を確認する。
  6. 台帳や決算の手作業が重いなら、固定資産管理システムや会計ソフトの資料を取り寄せ、圧縮前後の金額の持ち方と、仕訳の連携範囲を比べる。

参考文献

以下の資料は、すべて2026年10月19日に内容を確認しました。

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