ヘッドレスCMSとは?仕組みとWordPressとの違い・選び方を解説
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- ヘッドレスCMSは表示側を持たないCMS
- SEOは表示方式の選び方で決まる
- 公開承認と連絡の運用も先に決める
ヘッドレスCMSとは、記事や画像などのコンテンツの管理とAPIでの配信だけを担い、Webページの見た目を作る表示側(フロントエンド)を持たないCMSのことです。表示側を別に開発するため、同じコンテンツをWebサイトにもアプリにも出せる反面、WordPressのような一体型のCMSより、開発と運用の体制づくりが求められます。この記事では、仕組み、従来型CMSやWordPressとの違い、メリットとデメリット、SEOとレンダリング方式の関係、種類と選び方を整理します。あわせて、公開前の承認と制作チームの連絡をどう決めておくかまで、公式の情報をもとに解説します。
ヘッドレスCMSを運用するとき、先に整えたい仕組みは?2問で目安がわかります
Q1. ヘッドレスCMSを使う目的は、どちらに近いですか?
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目次
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ヘッドレスCMSとは|管理画面とAPIだけを持つCMS
ヘッドレスCMSとは、コンテンツの保存・管理とAPIでの配信だけを行い、画面表示を担う「ヘッド」を持たないバックエンド専用のCMSです。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、記事や画像などのコンテンツを、専門的なコードを書かなくても入稿・保存・公開できるようにする仕組みの総称です。従来のCMSは、入稿するための管理画面と、ページを組み立てて表示する機能が一体になっています。ヘッドレスCMSは、このうち表示する側を持たず、コンテンツをAPI経由で取り出せるようにする点が特徴です。Adobeの解説は、ヘッドレスCMSを、どのデバイスでもコンテンツを表示できるよう、API経由でコンテンツにアクセスできるコンテンツリポジトリとして設計されたバックエンドのみのCMSと説明しています。
仕組み|コンテンツリポジトリ・API・フロントエンドの3つ
AWSの解説では、ヘッドレスCMSの構成を、コンテンツリポジトリ、API、フロントエンドアプリケーションの3つで説明しています。編集者が管理画面で入稿したコンテンツはリポジトリに保存され、表示側のアプリケーションがAPIで取り出して画面に表示します。
- 編集者が管理画面でコンテンツを入稿し、リポジトリに保存する
- フロントエンドのアプリケーションが、REST APIやGraphQLなどでコンテンツを取得する
- フロントエンドが、Webサイト、スマートフォンのアプリ、デジタルサイネージなど、それぞれの画面に合わせて表示する
「ヘッド」は画面に表示する部分を指し、それを切り離したため「ヘッドレス(頭がない)」と呼ばれます。なお、HTMLはページの構造と中身を書くためのマークアップ言語で、CMSはコンテンツを入稿・管理・公開する仕組みです。HTMLとCMSは役割が異なり、CMSが管理したコンテンツを、最終的にHTMLなどで表示します。
ヘッドレスCMSを導入すると、運用の分担が増える
表示側を別に作るヘッドレスCMSでは、コンテンツを入稿する編集者、表示側を作る開発者、デザインを担うデザイナーという分担が、従来より明確になります。分担が増えると、入稿から公開までの間に、確認、承認、連絡という作業も増えます。ところが、導入の検討では、技術的な違いに目が向き、この公開までの運用の設計が後回しになりがちです。
そこで、公開前の申請と承認の経路を決める場合の選択肢として、ワークフローシステムがあります。編集者と開発者の連絡の置き場所を決める場合の選択肢には、ビジネスチャットがあります。どちらもCMSの機能ではなく、社内の申請と連絡をまとめる別の仕組みです。ここでは2つの例を比べます。なお、CMS製品によっては権限管理などの機能があるため、自社で使う製品に何があるかは先に確認してください。
公開前の承認と、制作チームの連絡。どちらを先に整える?
自社の状況を選ぶと、合うサービスが強調されます。優劣ではなく役割の違いで並べています
この状況に合う一例:コラボフロー公開の申請書を作り、承認経路に沿って回せます
資料を無料ダウンロードこの状況に合う一例:Chatwork案件ごとのグループチャットに連絡と資料を集められます
資料を無料ダウンロード| サービス | Chatwork |
|
|---|---|---|
| 向いている会社 | 公開前の確認と承認を、記録が残る形で回したい会社 | 編集者・開発者・デザイナーの連絡と資料を、1か所に集めたい会社 |
| 特徴 | Excelの帳票をそのままWebフォームにでき、承認経路を用意された部品で設計できる | 無料のフリープランから始められ、チャットのほかタスク管理とファイル管理が使える |
| 注意したい点 | クラウド版には1ユーザーにつき5GBの容量制限がある | フリープランはストレージや管理機能に制限がある |
| 資料・詳細 |
2サービスの資料をまとめて請求(入力は1回・無料)
まとめて資料をダウンロード表は横にスクロールできます。2サービスの内容は商品ページで確認した情報です(確認日2026年10月20日)。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
公開前の申請と承認を仕組みにする場合の一例が、株式会社コラボスタイルのコラボフローです。商品ページでは、Excelで作った申請書を見た目そのままWebフォームにできること、承認経路を用意されたパーツを並べて設計できること、運用中にフォームのレイアウトを追加・修正できることが紹介されています。ヘッドレスCMSの公開前確認を「申請書と承認」の形にしておけば、誰がいつ承認したかを後から追えます。一方で、クラウド版には1ユーザーにつき5GBの容量制限があるため、添付ファイルが多い運用では確認が必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
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- 運用中にフォームレイアウトの追加・修正が可能
気になる…
- コラボフローのクラウド版には、1ユーザーにつき5GBの容量制限がある
コラボフローの導入事例のうち、小牧岩倉衛生組合の事例(2026年6月9日公開)は、紙の起案書や勤怠申請など月間約450件を電子化したことを紹介しています。決裁の状況が見えるようになる効果を、次のように述べています。公開前の承認を電子化する場合にも、決裁状況の見える化が分かれ目になることがわかります。
決裁状況もコラボフロー上でリアルタイムに把握できるようになり、業務の透明性が高まっています。
出典:コラボフロー 導入事例 小牧岩倉衛生組合
従来型CMS・WordPressとの違い
ヘッドレスCMSと従来型CMSの違いは、表示側を持つかどうかです。WordPressは編集と表示が一体で、ヘッドレスCMSは編集と配信だけを持ちます。
「ヘッドレスCMSと通常のCMSの違いは何ですか」という疑問への答えは、画面を作る場所が違うことに集約されます。従来型CMSは、テーマやテンプレートがCMSの中でHTMLを組み立てます。ヘッドレスCMSは、CMSの外で開発したフロントエンドが、APIで取得したコンテンツを表示します。代表的な従来型CMSであるWordPressと比べると、次の表のようになります。
| 比較する点 | WordPress(従来型CMS) | ヘッドレスCMS |
|---|---|---|
| 画面の表示 | テーマ(テンプレート)がCMSの中でHTMLを組み立てる | CMSの外で開発したフロントエンドが、APIで取得したコンテンツを表示する |
| 編集画面 | 管理画面の中で、公開時に近い表示を確認しやすい | 入稿が中心。プレビューは、表示側に仕組みを用意する必要がある場合がある |
| 配信先 | 主にそのサイト | Webサイト、アプリ、サイネージなど複数に同じコンテンツを出せる |
| 機能の追加 | プラグインやテーマで追加する | フォームや会員機能などは、別のサービスや自作で補う場合がある |
| 担当者 | 非エンジニアでもサイトを構築・運用しやすい | 開発者と編集者の分担が前提になる |
従来型CMS・ヘッドフル・ハイブリッドなど、呼び方の違い
ヘッドレスCMSの周辺には、似た呼び方がいくつかあります。AdobeとAWSの解説をもとに、違いを整理します。
| 呼び方 | 構成 | 補足 |
|---|---|---|
| 従来型CMS(ヘッドフルCMS、フルスタックCMS) | バックエンド(保存・管理)と、表示するフロントエンドが一体 | Adobeの解説では、ヘッドフルCMSは従来型CMSの別の呼び方とされています |
| ヘッドレスCMS | バックエンドのみ。表示側は含まない | 表示側の開発は利用者が行い、APIでコンテンツを取得します |
| ハイブリッドCMS | 一体型の使いやすさと、ヘッドレスの柔軟さの両方を目指したもの | Adobeの解説は、フルスタックCMSの最新の進化形と位置づけています |
| 分離型CMS | 表示側を切り離しつつ、特定のプラットフォームへコンテンツを送る | AWSの解説では、ヘッドレスCMSは配信を受け身で待つ点で分離型と異なるとされています |
WordPressと従来型CMSの基本的な違いは、CMSとワードプレスの違いとは?サイト作成に必要なものも解説で整理しています。ヘッドレスCMSは、その先の選択肢として位置づけられます。
WordPressをヘッドレスCMSとして使う方法
WordPressは、REST APIを通じて、外部のアプリケーションとコンテンツをやり取りできます。WordPress公式のREST APIハンドブックは、HTTPリクエストを送れてJSONを解釈できるプログラミング言語なら、どの言語からでもWordPressとやり取りできると説明しています。この仕組みを使うと、WordPressの管理画面で入稿し、表示は別のフロントエンドで行う構成が可能です。既存の編集者が使い慣れた画面を残したまま、表示側だけを入れ替えたい場合の選択肢になります。
ヘッドレスCMSのメリット|配信先と表示技術の自由度
ヘッドレスCMSの主なメリットは、複数のチャネルへ同じコンテンツを配信でき、表示側の技術を自由に選べることです。
同じコンテンツをWebにもアプリにも出せる
AWSの解説は、ヘッドレスCMSを、任意のフロントエンドやUIにコンテンツを配信できるコンテンツリポジトリと説明しています。商品情報やお知らせを1か所で管理し、Webサイト、スマートフォンのアプリ、店頭のサイネージに同じ内容を出せば、更新の手間と表記のずれを減らせます。
表示側の技術を選べて、後から刷新しやすい
表示を担うフロントエンドは、CMSの制約を受けずに技術を選べます。microCMSの解説は、Next.jsやAstroといったフロントエンド技術の進化も、ヘッドレスCMSが使われる背景の1つとしています。AWSの解説は、表示技術を変えても、コンテンツを作る側への影響を抑えられると説明しています。
表示速度を高められる余地がある
表示速度は、CMSの種類だけで決まりません。ただし、ビルド時にHTMLを作っておく方式(後述のSSG)と組み合わせると、表示が速くなりやすいとmicroCMSの解説は述べています。速さは構成次第であり、ヘッドレスCMSにするだけで速くなるわけではありません。
サイトの一部だけをCMS化できる
サイト全体を作り直さず、「お知らせ」や「導入事例」といった一部だけを、CMSで更新できるようにする使い方もあります。microCMSの解説は、お知らせ欄の置き換えを導入例に挙げています。既存のサイトを活かして、編集の手間だけを減らしたい場合に向いています。
管理画面を公開サーバーから切り離せる
表示側の公開サーバーに、CMSの管理機能を置かない構成にできる点も、利点とされます。攻撃を受ける入口を減らせる可能性があります。ただし、セキュリティ対策が不要になるわけではありません。APIの認証や権限設定、フロントエンドのアプリケーションの脆弱性対策は、引き続き必要です。IPAの「安全なウェブサイトの作り方」は、SQLインジェクションやクロスサイト・スクリプティング、アクセス制御や認可制御の欠落などを取り上げており、ウェブサイトを作る側が確認する資料として参考になります。
ヘッドレスCMSのデメリットと注意点
ヘッドレスCMSのデメリットは、表示側を自分で開発する必要があり、プレビューや動的な機能も別に用意することが多い点です。
開発の体制とスキルが必要
表示側を作るには、APIの扱いとフロントエンドの開発が必要です。microCMSの解説も、ビューを自作するため技術的な難度があると述べています。社内に開発担当がいない場合は、外部の制作会社に頼むか、体制を整えてから導入するかを決めておきます。
プレビューの仕組みを用意する場合がある
下書きを公開前に確認するプレビューは、表示側に仕組みを作らないと使えないことがあります。製品によってプレビューの機能は異なるため、自社で使う製品が何を提供しているかを、公式の資料で確認します。
フォーム・会員・検索などは別に用意する
お問い合わせフォームや会員向けのページ、サイト内検索などの動的な機能は、ヘッドレスCMSだけでは足りず、別のサービスや自作で補う場合があります。プラグインを入れれば足りるWordPressと比べると、構成の部品が増えます。
運用の分担が増え、連絡が散らばりやすい
編集者、開発者、デザイナーが分かれると、修正の依頼や表示の不具合の連絡が、メールや個人宛のメッセージに散らばりがちです。依頼と進捗を案件ごとのグループにまとめておく場合の一例が、Chatwork株式会社のChatworkです。商品ページでは、無料で始められるフリープランがあること、チャットのほかビデオ通話や音声通話、タスク管理、ファイル管理が使えること、他のサービスとのAPI連携で通知を集約できることが紹介されています。一方で、フリープランはストレージ容量や管理機能に制限があり、有料プランへの変更は組織内の全ユーザーが対象になります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。
Chatwork株式会社
Chatwork
Chatwork株式会社
Chatwork
タスク管理やビデオ通話も◎初めて導入する中小企業におすすめ
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- より高いセキュリティとサポートの手厚さを求める方はエンタープライズの契約が必要
Chatworkの導入事例では、株式会社シンワ歯研の担当者が、導入前の課題を次のように述べています(取材は2023年11月)。情報の一元管理ができていないと、メンバーごとに持つ情報量に差が出るという課題は、制作チームの連絡が散らばる場合にも通じます。
導入前の課題として、情報の一元管理ができていないことがありました。
出典:Chatwork 導入事例 株式会社シンワ歯研
サービスの継続性と費用の構成
SaaS型は、提供会社の事情で終了する場合があります。たとえばNewtの公式サイトには、2026年10月20日の確認時点で、2026年11月24日をもってサービスを終了するというお知らせが掲載されています。他社の解説記事で代表例として挙げられていても、現在の提供状況は公式サイトで確認します。費用は、CMSの利用料のほか、表示側の開発や運用の費用に分かれます。具体的な金額はプランや構成で異なるため、ここでは示しません。
ヘッドレスCMSとSEO|レンダリング方式で結果が変わる
ヘッドレスCMSでもSEOは可能で、鍵はCMSそのものより、表示側をどのレンダリング方式で出すかです。
Google検索セントラルのJavaScript SEOの基本は、Googleが最新のChromiumでJavaScriptを実行してページを表示すること、クロールとレンダリングの両方の段階でページがキューに入ることを説明しています。ページはこのキューで数秒間、またはそれ以上待つことがあります。さらに、botによってはJavaScriptを実行できないため、サーバー側でのレンダリング(プリレンダリング)も有効な方法として検討するよう勧めています。そのため、表示側がJavaScriptで画面を組み立てる場合は、公開したコンテンツがどのように検索エンジンに届くかを、構成の段階で確認する必要があります。
ヘッドレスCMSと組み合わせる表示方式は、主に次の4つに整理されます。microCMSの解説をもとにした、一般的な整理です。
| 方式 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| SSR(サーバーサイドレンダリング) | リクエストのたびに、サーバーでHTMLを生成する | 動的な表示に向く。サーバーの負荷は高くなりやすい |
| SSG(静的サイト生成) | ビルド時に、HTMLを事前に生成する | 表示は速い。更新を反映するにはビルドが必要 |
| CSR(クライアントサイドレンダリング) | ブラウザでJavaScriptが画面を描く | 操作性は高いが、初期表示やSEOの確認が必要 |
| ISR(インクリメンタル静的再生成) | 必要なページを初回アクセス時に生成し、キャッシュする | Next.jsなど、一部の技術で使える |
SSGのように、更新のたびにビルドが必要な方式では、編集者が公開操作をしてから実際にサイトに反映されるまでに、時間差が生じます。公開の承認、ビルドの実行、反映の確認を誰が行うかを、運用の中で決めておく必要があります。この点は、後の「公開フロー」の章で扱います。
ヘッドレスCMSの種類|SaaS型・セルフホスト型・自社開発
ヘッドレスCMSは、提供形態によって、SaaS型(クラウドで提供)、セルフホスト型(自社で構築)、自社開発の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
AWSの解説は、ヘッドレスCMSのソリューションを、サービスとしてのコンテンツ(ブラウザで使うSaaS型)、セルフホスト型CMS、完全カスタムソリューションに分けています。他社の解説では、SaaS型をCaaS型と呼ぶこともあります。
| 種類 | 特徴 | 向く場面 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| SaaS型 | 提供会社がクラウドで運用し、保守の負担が少ない | 早く始めたい、インフラの運用を減らしたい | 月額などの費用がかかる。提供終了のリスクがある |
| セルフホスト型 | 自社のサーバーに構築し、カスタマイズの自由度が高い | 独自の要件がある、データを自社で管理したい | サーバーの運用とセキュリティ対策を自社で担う |
| 自社開発 | データベースやAPIから自社で作る | 特殊な要件がある、既存システムとの統合が必要 | 開発と保守の費用と期間がかかる |
国産のSaaS型の一例として、microCMSは、公式サイトで「APIベースの日本製ヘッドレスCMS」と説明し、無料ではじめられると案内しています(運営は株式会社microCMS)。セルフホスト型の一例として、Strapiは、公式ドキュメントで、オープンソースのヘッドレスCMSであり、REST、GraphQLなどでコンテンツを取得できると説明しています。ほかにも多くの製品があるため、他のCMSの選択肢は、WordPress以外でおすすめのCMS2選|選び方なども解説も参考にしてください。
ヘッドレスCMSの選び方|5つの確認ポイント
ヘッドレスCMSは、開発体制、表示側の技術との相性、運用体制と権限、提供形態と継続性、料金体系の5点で選びます。
| 確認する点 | 確認すること | 理由 |
|---|---|---|
| 開発体制 | 表示側を作る担当者や委託先がいるか | ヘッドレスCMSは、表示側の開発が前提になるため |
| 表示側の技術との相性 | 使うフレームワークや言語に対応した仕組みや公式の資料があるか | 開発のしやすさと、後からの刷新のしやすさに影響するため |
| 運用体制と権限 | 入稿・確認・公開の権限を分けられるか。公開前の承認を、CMS内で行うか、別の仕組みで行うか | 編集者と責任者の分担を、運用に合わせるため |
| 提供形態と継続性 | SaaS型かセルフホスト型か。提供の継続性と、データを持ち出せるか | 提供終了や乗り換えのときに困らないため |
| 料金体系 | 定額か従量か、オープンソースの場合の運用費用はどうか | 想定より費用が増えることを避けるため。具体額はプランごとに公式で確認する |
どの製品も、まず無料プランやオープンソース版などで、入稿の画面と、表示側への組み込みを試してから決めると、導入後の食い違いを減らせます。
向いているケースと、向きにくいケース
microCMSの解説で挙げられている向いているケースと、デメリットから整理した向きにくいケースを、次の表にまとめます。あくまで一般的な目安であり、公的な基準ではありません。
| 向いているケース | 向きにくいケース |
|---|---|
| Webとアプリでコンテンツを共通管理したい | 表示側を作る開発担当や委託先がいない |
| 表示速度やSEOを重視し、フロントの技術を選びたい | フォームや会員機能など、動的な機能を多く必要とする |
| サイトの一部(お知らせなど)だけをCMS化したい | すぐに公開したい小規模なサイトで、テーマとプラグインで足りる |
| WordPressの更新やプラグインの管理の負担が大きい | 編集者がプレビューを重視し、公開時と同じ画面で確認したい |
ヘッドレスCMSの選定と同時に、入稿から公開までの承認の経路を決める場合の一例として、先に紹介したコラボフローがあります。公開の申請書を、Excelから作り直さずにWebフォームへ載せられるかどうかが、現場への定着の分かれ目になります。
ヘッドレスCMSの公開フロー|承認と連絡を決める運用設計の例
ヘッドレスCMSの運用では、入稿から公開までの担当者と承認の経路、公開後の反映確認と連絡先を、導入前に決めておくと混乱を防げます。
ヘッドレスCMSは、入稿する人と表示を作る人が分かれるため、公開までの工程が長くなりがちです。次の表は、公開までの工程を6つに分けて、決めておきたいことと、その置き場所を整理した一例です。公的な基準ではなく、自社の体制に合わせて調整する前提の運用設計の例です。
| 工程 | 主な担当 | 決めておくこと | 置き場所の例 |
|---|---|---|---|
| 1. 入稿 | 編集者 | 入力項目と必須のルール、画像の扱い | CMSの入稿画面 |
| 2. 確認 | 編集長・監修者 | 校正の観点、差し戻しの条件 | CMSの権限設定、または申請書 |
| 3. 承認 | 責任者 | 公開してよいかの判断、公開日時、外部公開前の法務確認の要否 | 申請と承認の仕組み(ワークフロー) |
| 4. 公開・反映 | 開発者 | 再ビルドの要否と反映までの時間、公開操作の担当 | CMSと表示側の仕組み |
| 5. 反映確認 | 編集者 | 表示の崩れや内容の差異の確認、見つけたときの連絡先 | チャット |
| 6. 障害時の連絡 | 全員 | 表示の不具合が出たときの連絡先と、一次対応の担当 | チャット |
公開前の承認は、申請と記録で残す
工程の3にあたる承認は、口頭やチャットの返事で済ませると、誰がいつ何を承認したかを後から追えません。外部に公開するコンテンツは、公開してよいかの判断が責任の問題になることもあるため、申請書と承認の記録が残る形にしておくと、差し戻しと再申請も整理できます。
反映確認と障害時の連絡は、チャットに集める
工程の5と6は、編集者と開発者の間で、短い連絡が何度も行き交います。メールや個人宛のメッセージに分かれると、見落としや二重対応が起こります。案件やサイトごとにグループを作り、依頼、修正、確認の連絡をそこに集めておくと、経緯が追えます。
自社の運用を確認する
次のチェックリストで、現在の公開までのやり方に、見直したい点がないかを確認してください。
公開までの承認と連絡、今のやり方で大丈夫?セルフチェック
当てはまるものを選んでください(登録不要)
ヘッドレスCMSの導入の進め方|6つのステップ
ヘッドレスCMSの導入は、目的の整理、コンテンツモデルの設計、製品の選定と検証、表示側の開発、運用ルールの整備、段階的な移行の順に進めます。
- 目的を整理する:何を、どの画面に出したいか(Web、アプリ、サイネージなど)を決めます。
- コンテンツモデルを設計する:お知らせ、記事、商品など、コンテンツの種類ごとに、入力する項目と関係を決めます。
- 製品を選び、無料プランなどで検証する:入稿の画面とAPIの使い勝手を、小さなコンテンツで試します。
- 表示側を開発する:使うフレームワークとレンダリング方式を決め、APIでコンテンツを取得して表示します。
- 運用ルールを整える:前の章の表を使い、入稿から公開までの担当、承認の経路、連絡先を決めます。
- 段階的に移行する:お知らせなど、影響の小さい部分から始め、既存の運用と並行して慣れていきます。
特に5つ目の運用ルールは、技術の選定より後回しになりがちですが、公開後の混乱を左右します。承認の記録が残るワークフローシステムと、連絡を集めるビジネスチャットは、運用ルールを実際に回すための土台になります。
公開前の承認と制作チームの連絡を、仕組みで整えたい会社に。2サービスの資料をまとめて無料で請求できます
まとめて資料をダウンロードよくある質問(FAQ)
Q1. ヘッドレスCMSとは何ですか?
A. ヘッドレスCMSとは、コンテンツの保存・管理とAPIでの配信だけを行い、画面表示を担う部分(ヘッド)を持たないCMSです。表示は、別に開発したWebサイトやアプリが、APIでコンテンツを取得して行います。
Q2. ヘッドレスCMSと通常のCMSの違いは何ですか?
A. 通常のCMSは、入稿する管理画面と、ページを表示する機能が一体になっています。ヘッドレスCMSは、表示する機能を持たず、APIでコンテンツを渡します。そのため、同じコンテンツを複数の画面に出せる一方、表示側の開発が必要になります。
Q3. HTMLとCMSの違いは何ですか?
A. HTMLは、ページの構造と中身を書くためのマークアップ言語です。CMSは、記事や画像などのコンテンツを入稿・保存・公開するための仕組みです。CMSで管理したコンテンツは、最終的にHTMLなどの形で画面に表示されます。
Q4. ヘッドレス化とは何ですか?
A. ヘッドレス化とは、CMSの表示機能と管理機能を切り離し、コンテンツをAPIで取り出して使う構成にすることです。たとえば、WordPressの管理画面で入稿を続け、表示だけを別のフロントエンドで行う構成も、ヘッドレス化の一例です。
Q5. ヘッドレスCMSはSEOに不利ですか?
A. 一概に不利とはいえません。Googleの公式の説明では、GoogleはJavaScriptを実行してページを表示しますが、表示までに時間がかかることがあり、botによってはJavaScriptを実行できないため、サーバー側でのレンダリングも検討するよう勧めています。表示側のレンダリング方式の選び方が重要です。
Q6. ヘッドレスCMSに無料のものはありますか?
A. 無料で始められる製品があります。たとえばmicroCMSは、公式サイトで無料ではじめられると案内しています。StrapiはオープンソースのヘッドレスCMSです。ただし、無料の範囲や制限、運用に必要な費用は製品ごとに異なるため、公式の情報で確認してください。
まとめ|ヘッドレスCMSを検討するときの5つのこと
ヘッドレスCMSは、コンテンツの管理と配信に特化し、表示側を切り離したCMSです。検討するときは、次の5つを確認してください。
- 目的を決める:複数の配信先に出したいのか、表示の自由度を上げたいのかを整理します。
- 開発体制を確認する:表示側を作る担当者や委託先がいるかを確かめます。
- SEOの構成を決める:レンダリング方式を選び、公開した内容が検索エンジンに届くかを確かめます。
- 提供形態と継続性を確かめる:SaaS型かセルフホスト型かを選び、提供の継続性も公式の情報で確認します。
- 公開までの運用を設計する:承認の経路と連絡先を決め、ワークフローシステムやビジネスチャットの活用も検討します。
料金やサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は、各社の公式サイトで確認してください。
参考文献
- Adobe Experience Manager「ヘッドレス CMS とは」:https://experienceleague.adobe.com/ja/docs/experience-manager-cloud-service/content/headless/what-is-headless
- AWS「ヘッドレス CMS とは?」:https://aws.amazon.com/jp/what-is/headless-cms/
- Google 検索セントラル「JavaScript SEO の基本」:https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/javascript/javascript-seo-basics?hl=ja
- WordPress Developer Resources「REST API Handbook」:https://developer.wordpress.org/rest-api/
- microCMSブログ「ヘッドレスCMSとは?」:https://blog.microcms.io/what-is-headlesscms
- microCMS(公式サイト):https://microcms.io/
- Strapi Documentation(公式):https://docs.strapi.io/cms/intro
- Newt(公式サイト。サービス終了のお知らせ):https://www.newt.so/
- IPA「安全なウェブサイトの作り方」:https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity/about.html
- コラボフロー 導入事例 小牧岩倉衛生組合:https://www.collabo-style.co.jp/case/s058/
- Chatwork 導入事例 株式会社シンワ歯研(取材2023年11月):https://go.chatwork.com/ja/case/shinwa.html
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