業務委託契約書テンプレートの選び方|請負・準委任別の必須条項と文例

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  • 請負か準委任かを決めてひな形を選ぶ
  • 支払期日と振込手数料は法令で見直す
  • 紙の契約書だけが印紙税の対象になる

業務委託契約書のテンプレート(ひな形)は、仕事の完成を約束する請負型か、作業や事務の遂行を任せる準委任型かを決め、発注先が個人や従業員のいない法人かどうかを確かめたうえで選びます。ひな形は条項の骨組みにすぎないため、委託業務、報酬、支払期日、成果物の権利などを自社の取引に合わせて書き直す必要があります。特に、報酬の支払期日の書き方、振込手数料の負担、解除の予告は、フリーランス法や取適法に照らして見直す点です。この記事では、型の選び方、テンプレートの入手先、必須条項と文例、法令で見直す点、よくある失敗、印紙税と電子締結の扱いまでを、民法や公正取引委員会、国税庁などの公式情報をもとに整理します。

契約書づくりで先に整えたいのはどこ?2問で目安がわかります

Q1. 委託したい内容は、どちらに近いですか?

目次

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  1. 業務委託契約書のテンプレートは「型・相手・締結方法」の3点で選ぶ
  2. 請負型と準委任型のテンプレートは何が違うか
  3. 業務委託契約書テンプレートの入手先は4種類
  4. 業務委託契約書に入れる必須条項と文例
  5. フリーランス法・取適法で、ひな形に足す条項と見直す文言
  6. ひな形をそのまま使うと起きやすい失敗と、確認する順番
  7. 紙か電子か|印紙税と締結方法の選び方
  8. 業務委託契約書づくりの手順と、締結後の期限管理
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|業務委託契約書のテンプレートを使うときの5つのこと
  11. 参考文献

業務委託契約書のテンプレートは「型・相手・締結方法」の3点で選ぶ

業務委託契約書のテンプレートは、委託する内容に合う契約の型(請負か準委任か)、発注先に適用される法律、紙か電子かの締結方法の3点で選びます。

同じ「業務委託契約書」という題名でも、民法では請負(第632条)と準委任(第643条・第656条)で、報酬の考え方や責任の範囲が異なります。発注先が個人や従業員のいない法人なら、フリーランス法の明示義務も加わります。ひな形を探す前に、次の表で自社の取引がどこに当てはまるかを確かめておくと、選び間違いを減らせます。

確認すること当てはまる場合ひな形で確認する点根拠
委託の目的納品物の完成が目的(Webサイト制作、デザイン、翻訳、システム開発など)請負型。成果物の仕様、納期、検収、契約不適合の通知期間民法第632条・第633条・第637条
委託の目的作業や事務の遂行が目的(運用代行、コンサルティング、事務処理など)準委任型。業務の範囲、稼働の報告、報酬の算定方法民法第643条・第644条・第648条・第656条
発注先個人事業主、または代表者以外に役員も従業員もいない法人フリーランス法の対象。取引条件の明示、支払期日、解除の予告フリーランス法第2条・第3条・第4条・第16条
取引の類型資本金や従業員数の基準を満たす事業者間の、製造委託・情報成果物作成委託・役務提供委託など取適法の対象になりうる。支払期日、振込手数料の負担、書面の記載事項公正取引委員会の取適法のページ
締結方法紙の契約書印紙税の課税文書に当たるか。契約書の内容で扱いが変わる国税庁 No.7100
締結方法電子契約(電子署名・電磁的記録)電磁的記録は印紙税の課税対象にならない。署名欄と保管方法を電子に合わせる国税庁 質疑応答事例

ひな形は、入手して終わりではありません。自社の取引に合わせて書き直し、第三者の目で確認し、締結し、保管と更新を管理する、という工程が続きます。どの工程に手間がかかるかで合うサービスは変わるため、契約書の作成・確認・管理を支える3つのサービスを、優劣ではなく役割の違いで並べます。

業務委託契約書の作成・確認・管理を支える3つのサービス

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注意したい点 導入前にトライアルを行う流れで、本格的な利用開始まで数か月かかる場合がある 契約書レビューは1通あたり7ページ以下などプランごとの上限があり、超える場合は別途見積もりになる 取引先への案内や管理者のアカウント登録は自社で行う必要がある。詳しい料金やプランは問い合わせが必要
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出典:LAWGUE 導入事例 株式会社すららネット

請負型と準委任型のテンプレートは何が違うか

請負型は仕事の完成に対して報酬を支払う契約、準委任型は事務の遂行そのものに対して報酬を支払う契約で、完成の責任と解除のルールが異なります。

民法は、請負を「ある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する」契約(第632条)と定めています。委任は法律行為を委託する契約(第643条)で、法律行為でない事務の委託には委任の規定が準用されます(第656条)。業務委託契約書の多くは、この請負か準委任のどちらかにあたります。ひな形を選ぶときは、次の違いが条項にどう表れるかを見ます。

項目請負型準委任型
契約の中心仕事の完成(第632条)法律行為でない事務の委託(第643条・第656条)
報酬を請求できる時期仕事の目的物の引渡しと同時(第633条)特約がなければ報酬を請求できない。報酬を受ける場合は、事務を履行した後(第648条)
受託者の責任仕事の完成。目的物が契約の内容に適合しないときは、注文者が不適合を知った時から1年以内に通知しないと追完請求などができなくなる(第637条)善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務(第644条)。成果の完成までは約束しない
中途で終わるとき注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、損害を賠償していつでも解除できる(第641条)。完成前の解除では、可分な部分の利益の割合に応じて報酬を請求できる(第634条)各当事者がいつでも解除できる。相手に不利な時期の解除は損害賠償の対象になる場合がある(第651条)。履行の中途で終了したときは、履行の割合に応じて報酬を請求できる(第648条第3項)

準委任でも、成果に対して報酬を支払う約束をする方法があります。民法は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払う場合、成果の引渡しを要するときは引渡しと同時に支払うと定めています(第648条の2)。たとえば、報告書の納品を報酬の条件にする準委任の契約は、この形にあたります。ひな形を選ぶときは、稼働に対して払うのか、成果に対して払うのかを先に決めておくと、報酬条項の書き分けができます。

型が混在する取引では、共通のルールを基本契約書に、業務ごとの内容を個別契約書や注文書に分ける方法があります。個別契約ごとに型、納期、報酬を定めれば、1本の基本契約で請負と準委任の両方を扱えます。なお、題名を請負や準委任にしても、発注者が受託者の従業員に直接指示を出す実態があれば、契約書の題名にかかわらず労働者派遣と判断されることがあります。この点は、BPOと業務委託の違いとは?請負・準委任の契約類型と偽装請負の判断基準でも整理しています。

業務委託契約書テンプレートの入手先は4種類

業務委託契約書のテンプレートの入手先は、公的機関の様式、法律事務所や書式サイトの無料ひな形、リーガルサービスや電子契約の機能内のひな形、自社の過去の契約書の4種類です。

入手先向いている場面確認すること
公的機関の様式(例: 公正取引委員会のフリーランス法特設サイトの注文書ひな形)フリーランスに発注する際の、取引条件の明示取引条件を備えた注文書のひな形として案内されている。秘密保持や知的財産権などを契約書で定める場合は、条項を自社で足す
法律事務所・書式サイトの無料ひな形最初の骨組みを短時間で得たいとき更新日、改正民法(契約不適合)・フリーランス法・取適法への対応、請負型か準委任型か、電子契約で使える署名欄かを確認する
リーガルサービス・電子契約の機能内のひな形質問に答えて作成し、確認から締結まで続けたいとき弁護士監修か、レビュー依頼や電子契約まで一続きで行えるかを確認する(サービスにより異なる)
自社の過去の契約書同種の取引が続いているとき当時の法令や相手方の事情が残っていないか。題名・社名・金額・条番号の書き換え漏れがないか

古い書式を使うときは、用語にも注意が必要です。改正前の民法で使われていた「瑕疵担保責任」という表現が残る書式は、現行の民法の用語である契約不適合(第637条)に合わせて書き直します。また、紙の契約書の末尾にある「本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各1通を保有する」という文言は、電子で結ぶときは電磁的記録を作成して電子署名を付す形に改めます。

業務委託契約書に入れる必須条項と文例

業務委託契約書には、委託業務の内容、報酬と支払期日、検収、再委託、秘密保持、知的財産権、契約期間と解除、損害賠償、反社会的勢力の排除などを定めます。

以下の文例は、一般的な書き方の一例です。甲は発注者、乙は受託者を指します(甲乙の意味は甲乙とは?契約書での意味・読み方・どちらが自社かの見分け方で確認できます)。実際の契約では、取引の内容、相手方、適用される法令に合わせて書き換え、必要に応じて弁護士などの専門家に確認してください。本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。

1. 委託業務の内容と成果物

委託業務の条項は、後から契約の範囲をめぐって争いにならないよう、業務の内容、成果物、納期または履行期間を具体的に書きます。仕様が長くなる場合は別紙の仕様書に切り出し、本文には範囲外の作業を追加するときのルールを置きます。請負型は成果物と納期を、準委任型は業務の範囲と履行期間を中心に書きます。

文例(委託業務)

第1条(委託業務) 甲は乙に対し、次の業務(以下「本件業務」という。)を委託し、乙はこれを受託する。

(1) 業務の内容: ○○の企画・制作(詳細は別紙の仕様書による。)

(2) 成果物: ○○(請負型の場合に記載する。)

(3) 履行期間または納期: ○年○月○日から○年○月○日まで

2 本件業務の範囲を超える作業は、甲乙が書面または電磁的方法で合意した場合に限り、追加の委託として扱う。

2. 報酬・支払期日・経費

報酬の条項には、金額、税込か税別か、締切日、支払日、支払方法、振込手数料、経費の扱いを書きます。請負型は成果物の納品や検収を支払の条件にし、準委任型は月額や時間単価など算定方法を決めます。請求書は、消費税の金額等を記載するインボイス制度の記載事項を満たす形式かも確認します(国税庁のインボイス制度について)。

支払期日は、フリーランス法の対象なら、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に定めます(第4条)。公正取引委員会は、「翌月10日まで」「○日以内」という書き方では具体的な日を特定できず、支払期日を定めているとは認められないとして、「毎月○日締切、翌月○日支払」のような書き方を示しています。振込手数料は、令和8年1月1日以降に業務委託する取引では、フリーランスとの事前の合意があっても、報酬から差し引くことは報酬の減額に当たります。そのため、発注者の負担にします。

文例(報酬)

第○条(報酬) 甲は乙に対し、本件業務の報酬として、金○○円(消費税及び地方消費税を含む。)を支払う。

2 甲は、毎月末日を締切日とし、翌月25日に、乙の指定する銀行口座に振り込んで報酬を支払う。振込手数料は甲の負担とする。

3 本件業務に必要な実費のうち、事前に甲が承認したものは、甲が負担する。

3. 納入・検収・契約不適合責任(請負型)

請負型では、納品後の検査の期間、不合格のときの対応、成果物が契約の内容に適合しないときの責任を定めます。民法では、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないと、追完請求や報酬の減額請求などができなくなります(第637条)。契約書では、この通知期間と、修補・代替物の引渡し・報酬の減額といった対応の順序を、取引に合わせて書き直します。検査をするかどうかにかかわらず、フリーランス法の支払期日は給付を受領した日から数える点に注意が必要です(第4条)。

準委任型では、完成を保証する条項ではなく、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務(民法第644条)を前提に、業務の報告の方法と頻度を定めます。

文例(検収・契約不適合。請負型)

第○条(検収) 甲は、乙から成果物の納品を受けた日から○営業日以内に検査を行い、合否を乙に通知する。

2 検査に合格しなかったときは、乙は、甲の指示に従い、速やかに修正して再度納品する。

3 成果物が契約の内容に適合しない場合、甲は、その不適合を知った日から1年以内に乙に通知したときに限り、乙に対し、修補、代替物の引渡しまたは報酬の減額を請求できる。

4. 再委託・秘密保持・競業避止・個人データの取扱い

再委託は、受託者が第三者に業務を任せることです。品質や情報管理に影響するため、事前の承諾を条件にする書き方があります。秘密保持では、秘密情報の範囲、目的外使用の禁止、契約終了後も続く期間、返還・廃棄を定めます。競業避止義務(契約期間中や終了後に、同種の業務を行うことを制限する条項)を入れる場合は、制限する業務の範囲、期間、地域を具体的に限定します。広すぎる制限は、公序良俗に反する法律行為として無効とされる余地があります(民法第90条)。そもそも入れる必要があるかも、取引の実態に合わせて検討します。個人データの取扱いを委託する場合は、個人情報保護法第25条により、委託元が委託先に対して必要かつ適切な監督を行う義務があります。そのため、安全管理措置、再委託の扱い、事故が起きたときの報告を契約書に盛り込みます。

文例(再委託・秘密保持)

第○条(再委託) 乙は、本件業務の全部または一部を第三者に再委託するときは、あらかじめ甲の書面または電磁的方法による承諾を得なければならない。

第○条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約に関して知り得た相手方の秘密情報を、相手方の事前の承諾なく第三者に開示せず、本件業務の目的以外に使用してはならない。この義務は、本契約の終了後も○年間存続する。

5. 知的財産権・著作権の帰属

成果物の著作権は、移転や利用許諾を契約書で定めていなければ、発注者が当然に持てるとは限りません。著作権を譲渡する契約では、翻案権等(著作権法第27条・第28条の権利)が譲渡の目的として特掲されていないと、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定されます(第61条第2項)。そのため、譲渡を定めるときは、第27条及び第28条の権利を含むと明記しておく方法があります。あわせて、受託者が従前から持つ素材や技術の扱いと、著作者人格権の扱いも定めます。

文例(知的財産権)

第○条(知的財産権) 成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む。)は、甲が乙に報酬の全額を支払った時に、乙から甲に移転する。

2 乙は、甲及び甲の指定する者に対し、成果物に関する著作者人格権を行使しない。

3 乙が本契約の締結前から保有する権利は、乙に留保される。

6. 契約期間・更新・解除

民法では、請負は注文者が完成前ならいつでも損害を賠償して解除でき(第641条)、委任・準委任は各当事者がいつでも解除できます(第651条)。契約書では、中途解約の予告期間、解除事由、解除したときの報酬の精算を明記して、民法の定めを取引に合わせて書き直します。フリーランス法の対象で6か月以上継続する業務委託では、解除や更新しない場合に少なくとも30日前までの予告が必要です(第16条)。予告期間は、30日以上にしておくと整合します。

文例(期間・解約・解除)

第○条(契約期間) 本契約の有効期間は、締結日から1年間とする。期間満了の○日前までに、甲乙いずれからも書面または電磁的方法による申出がないときは、同一条件でさらに1年間更新し、以後も同様とする。

第○条(解約) 甲または乙は、○日前までに書面または電磁的方法で相手方に通知することにより、本契約を解約できる。

第○条(解除) 甲または乙は、相手方が本契約に違反し、相当の期間を定めて催告しても是正されないときは、本契約を解除できる。

7. 損害賠償・反社会的勢力の排除・管轄

損害賠償は、民法第415条が定める債務不履行の責任を前提に、賠償の範囲や上限を取引に応じて定めます。上限を設ける場合は、報酬の総額などの基準を決め、故意や重大な過失の場合を除外するかも検討します。反社会的勢力の排除については、政府の指針が、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入することを示しています。指針の注は、相手方が反社会的勢力であると判明した場合などに契約を解除して取引から排除できる旨を盛り込んでおくことが有効だとしています。管轄は、紛争になったときに訴える裁判所をあらかじめ合意しておく条項です。

文例(損害賠償・反社会的勢力の排除・管轄)

第○条(損害賠償) 乙が本契約に違反して甲に損害を与えたときは、乙は、甲に生じた損害を賠償する。ただし、乙の故意または重大な過失による場合を除き、賠償額は、本件業務の報酬の総額を上限とする。

第○条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自らが暴力団、暴力団員その他の反社会的勢力に該当しないこと、及び将来にわたって該当しないことを表明し、確約する。相手方がこれに違反したときは、催告なく本契約を解除できる。

第○条(合意管轄) 本契約に関する紛争は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

ここまでの文例を自社用に書き換えると、条項の抜け、表記ゆれ、条番号のずれが起きやすくなります。過去の自社の契約書を土台に、抜けている条項や不統一な表記を点検できる状態にしておくと、書き換えのたびの目視確認を減らせます。

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フリーランス法・取適法で、ひな形に足す条項と見直す文言

発注先が個人事業主や従業員のいない法人の場合、フリーランス法により、取引条件の書面または電磁的方法による明示、報酬の支払期日の設定、解除の予告などが発注事業者に求められます。

この節は公式資料の要点を整理したもので、法的助言ではありません。個別の契約に適用されるかどうかは、弁護士などの専門家に確認してください。

取引条件の明示事項8つと、契約書の置き場所

公正取引委員会の特設サイトは、発注事業者が書面または電磁的方法で明示すべき取引条件を、次の8つとしています(6番と8番は、該当する取引の場合のみ)。契約書のひな形に置き場所を用意しておくと、個別の発注で内容だけを埋める運用ができます。

明示すべき事項契約書・注文書での置き場所ひな形で確認する点
1. 発注事業者・フリーランスの名称前文・当事者欄契約の当事者として特定できる名称になっているか
2. 業務委託をした日契約の締結日、または個別契約・注文書の日付基本契約の日と、個別の発注の日を取り違えていないか
3. 給付の内容(業務の内容)委託業務の条項、仕様書成果物や作業の範囲が具体的に書かれているか
4. 給付を受領する期日・役務の提供を受ける期日納期、履行期間の条項具体的な日付か
5. 給付を受領する場所・役務の提供を受ける場所納入場所、作業場所の条項オンライン納品や在宅作業の場合の書き方を決めているか
6. 検査完了期日(検査をする場合のみ)検収の条項検査の有無にかかわらず、支払期日は受領日から数える
7. 報酬の額・支払期日報酬の条項支払期日が具体的な日になっているか。受領日から60日以内か
8. 報酬の支払方法に関すること(金銭以外で支払う場合のみ)支払方法の条項金銭以外で支払う場合の方法を書いているか

公正取引委員会は、取引条件を口頭で伝えるだけでは明示と認められないこと、フリーランスが明示は不要と了承していても明示が必要なことを示しています。明示は、書面のほか、電子メールやSNSのメッセージなどの電磁的方法でも行えます。書面の名称は何でもよく、「契約書」である必要はありません。特設サイトには、取引条件を備えた注文書のひな形も掲載されています(2026年公正取引委員会フリーランス法特設サイト)。

ひな形の文言で見直す4点

見直す点ひな形にありがちな書き方見直しの方向根拠
支払期日「翌月10日まで」「○日以内」「毎月末日締切、翌月25日支払」のように具体的な日を特定する。受領日から60日以内に収める公正取引委員会の特設サイト、フリーランス法第4条
振込手数料「振込手数料は乙の負担とする」令和8年1月1日以降の業務委託では、事前の合意があっても報酬の減額に当たる。甲の負担に改める公正取引委員会の特設サイト(よくある質問)
減額・受領拒否・やり直し発注者の判断による報酬の減額、納品後の受領拒否や、費用を負担しないやり直しを認める条項受託者に責任がない場合のこうした行為は、1か月以上の業務委託で禁止される行為に当たるおそれがある。契約書にも入れない公正取引委員会の特設サイト(7つの禁止行為)
解除・更新しない場合「甲はいつでも即時に解除できる」6か月以上の継続的な業務委託では、解除や更新しない場合に少なくとも30日前までの予告が必要(例外あり)。予告期間と理由の開示の窓口を定めるフリーランス法第16条

取適法との関係

取適法(中小受託取引適正化法)は、旧下請法にあたる法律で、2026年1月1日に施行されました。公正取引委員会は、従来の資本金の基準に加えて従業員数の基準に当たる場合も対象としたこと、手形払いを禁止したこと、振込手数料を中小受託事業者に負担させることを禁止したことを示しています(公正取引委員会 取適法・振興法)。

業務委託のすべてが取適法の対象になるわけではありません。公正取引委員会のQ&Aは、労働者派遣を受けること(Q4)や、弁護士・公認会計士・産業医との契約のように企業が自ら用いる役務の委託(Q32)は対象にならないと整理しています(公正取引委員会 取適法Q&A)。一方、顧客から請け負った業務の一部を協力会社に委託する場合などは対象になりうるため、委託の類型と資本金・従業員数の基準を、公正取引委員会の資料で確認してください。フリーランス法と取適法の両方が適用される発注では、同一の書面や電子メールで両法の記載事項をまとめて示せます。ただし、どちらか一方だけに基づく記載事項があるときは、その事項も記載する必要があります(公正取引委員会の特設サイトのよくある質問)。

偽装請負を避ける書き方

契約の題名が業務委託でも、実態が発注者による指揮命令であれば、労働者派遣と判断されることがあります。厚生労働省の告示(昭和61年労働省告示第37号)は、請負で働く人の業務の遂行方法や評価、労働時間、服務規律、配置を請負事業主が自ら管理していることなどを、請負と認められる条件として定めています(労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準)。契約書には、業務の進め方や担当者の配置を受託者が決めることを明記し、実際の運用も契約書に合わせます。疑義応答集も公開されています(厚生労働省 偽装請負の疑義応答集)。

3サービスの役割を比較表で見る

ひな形をそのまま使うと起きやすい失敗と、確認する順番

ひな形をそのまま使って起きやすい失敗は、型の不一致、支払期日と振込手数料の書き方、成果物の権利の書き方、委託先の監督の4つです。

  1. 型とひな形が合っていない: 準委任の取引に請負型のひな形を使うと、検収や契約不適合の規定が残り、完成を約束した契約と読めてしまうおそれがあります。型を契約書に明記し、条項を型に合わせて入れ替えます(民法第632条・第656条)。
  2. 支払期日と振込手数料が古い書き方のまま残っている: 旧版のひな形にある「翌月10日まで」「振込手数料は乙の負担」は、前の節の表のとおり、フリーランス法の対象では見直しが必要です。
  3. 成果物の権利の書き方が足りない: 著作権を譲渡する契約で第27条・第28条の権利を特掲していないと、これらの権利は受託者に留保されたものと推定されます(著作権法第61条第2項)。
  4. 再委託先や個人データの監督を書いていない: 個人データの取扱いを委託する場合、委託元には委託先を監督する義務があります(個人情報保護法第25条)。再委託を許す場合も、監督の仕組みを契約書に置きます。

確認する順番は、型、発注先に適用される法律、報酬と支払期日、成果物の権利、解除の順にすると、抜けを減らせます。自社の取引に固有の事情があり、ひな形のどの条項を変えるべきか判断しにくい場合は、弁護士の確認を取り入れる方法があります。たとえば、再委託を前提にした取引、成果物に第三者の権利が含まれる取引、海外の相手との取引です。その一例が、MOLTON株式会社のクラウドリーガルです。商品ページでは、弁護士監修の契約書ひな形に質問の項目を答える形で契約書を自動作成でき、業務委託契約書や秘密保持契約書などに対応すると紹介されています。作成した契約書は弁護士へのレビュー依頼ができ、Wordコメント付きで基本1営業日以内に返答が届くとされています。一方で、契約書レビューは1通あたり7ページ以下などプランごとの上限があり、超える場合は別途見積もりになります。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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クラウドリーガルの導入事例のうち、株式会社Mediiの事例は、毎月数件の秘密保持契約の審査を、顧問弁護士に頼んでいたときの返答の遅さやタイムチャージのばらつきを課題に、導入したことを紹介しています。導入の決め手として、次のように述べています。

まるで自社の法務部のように簡単に相談やレビュー依頼が可能である点が大きな魅力

出典:クラウドリーガル 導入事例 株式会社Medii

ここまでの確認を、自社の今のやり方に当てはめて点検できるチェックを用意しました。

契約書づくりの今のやり方、見直す点はある?セルフチェック

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紙か電子か|印紙税と締結方法の選び方

印紙税の課税対象は紙の課税文書で、請負の契約書は第2号文書にあたります。電子メールなどで送る電磁的記録は文書に含まれず、課税されません。

契約書の内容印紙税の扱い(国税庁)
請負にあたる内容(仕事の完成を約束する)第2号文書「請負に関する契約書」に該当します。税額は契約書に記載された契約金額で決まり、国税庁の税額表で確認します(No.7102)。
継続的取引の基本となる契約書(営業者間で、請負などの複数取引に共通する基本的な取引条件を定める)第7号文書に該当します。契約期間が3か月以内で、更新の定めがないものは除かれます(No.7104)。税額一覧では、例として業務委託契約書が挙げられています(No.7141)。
準委任(委任)の内容だけを定める印紙税の課税物件表は20種類の文書を定めており、委任の項目はありません。内容が準委任だけであれば、通常は課税文書にあたりません。ただし課税文書かどうかは、題名ではなく記載内容の実質で判断されます(No.7100)。
電子契約、電子メールで送る電磁的記録印紙税の課税対象は課税物件表に掲げられた文書で、電磁的記録は文書に含まれないため、課税されません(国税庁の質疑応答事例)。

請負と準委任の両方を含む契約や、基本契約と個別契約を分ける契約では、どの文書がどの号にあたるかの判断が必要です。迷うときは、税務署や税理士に確認してください。電子で締結する手順やメリットは、業務委託契約書は電子契約できる?メリットや締結までのやり方を解説で詳しく解説しています。

請負型の契約を紙で結ぶと、印紙の貼り忘れ、郵送、保管場所の分散が起きやすくなる場合があります。電子で結び、案件や取引先ごとに管理する場合の一例が、株式会社フォーカスシステムズのBiz Connectionです。商品ページでは、契約書や取引書類を案件・取引先別にワンストップで管理でき、起票・承認待ち・締結などの進捗をステータスで表示できると紹介されています。PDFのタイムスタンプで証跡を管理でき、電子帳簿保存法への対応にも役立つとされています。一方で、取引先への案内や管理者のアカウント登録は自社で行う必要があり、詳しい料金やプランは問い合わせが必要です。料金はプランによって異なるため、資料や公式サイトで確認してください。

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取引を明確化・効率化!生産性向上・コスト削減を目指す企業におすすめ

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Biz Connectionの導入事例のうち、株式会社TS東京の事例は、協力会社との発注請書を紙でやり取りしていたことによる負担を、課題として挙げています。紙で結ぶ場合の印紙の扱いが、実務の手戻りにつながっていたことがわかります。事例ページは、次のように述べています。

発注請書は紙の書類でやり取りするケースが多く、書類管理の業務負荷が過大だったほか、印紙の貼り忘れによる手戻りも頻繁に発生していた。

出典:Biz Connection 導入事例 株式会社TS東京
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業務委託契約書づくりの手順と、締結後の期限管理

業務委託契約書は、型と相手の確認、ひな形の選定、書き換え、社内確認、相手方との合意、締結、保管と期限管理の順に進めます。

  1. 型と相手を確認する: 請負か準委任か、発注先が個人や従業員のいない法人かを確かめます。
  2. ひな形を選び、条項を書き換える: 委託業務、報酬、支払期日、成果物の権利、解除を、自社の取引に合わせて直します。仕様や報酬表は別紙にします。
  3. 社内で確認する: 事業部、経理、法務などで、支払期日が自社の締め日と合うか、再委託や情報管理の条件が実態に合うかを確かめます。
  4. 相手方とすり合わせる: 修正の履歴を残し、どの条項をなぜ変えたかを記録します。
  5. 締結し、取引条件を明示する: 署名・押印または電子署名で締結します。フリーランス法の対象なら、8つの明示事項を書面または電磁的方法で渡します。
  6. 保管し、期限を管理する: 契約期間、自動更新、解除の予告期限を台帳などで管理します。

契約の途中で報酬や期間を変えるときは、変更点だけを書いた覚書を交わす方法があります。覚書の書き方と印紙税の判断は、覚書テンプレート無料|書き方7項目・文例と収入印紙の判断基準で整理しています。

この手順のうち、保管と期限管理は、担当者の記憶や共有フォルダに頼ると見落としが起きやすい工程です。契約期間、更新、解除の予告期限を、通知の仕組みで管理する方法もあります。商品ページでは、Biz Connectionは設定したタイミングでのメール通知や、期限内に完了していない利用者への督促通知に対応すると紹介されています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 業務委託契約書の例文は?

A. 業務委託契約書の例文は、委託業務、報酬、検収、秘密保持、知的財産権、契約期間と解除、損害賠償、反社会的勢力の排除などの条項で構成します。たとえば委託業務の条項は、「甲は乙に対し、次の業務を委託し、乙はこれを受託する。業務の内容は別紙の仕様書による。」のように書きます。条項別の文例は、本文の「業務委託契約書に入れる必須条項と文例」で紹介しています。

Q2. 業務委託契約書はどうやって作るの?

A. 請負か準委任かの型と、発注先が個人や従業員のいない法人かを確認し、ひな形を選んで自社の取引に合わせて書き換えます。そのあと、社内確認、相手方とのすり合わせ、締結、保管と期限管理の順に進めます。フリーランス法の対象なら、取引条件の8つの明示事項も漏れなく入れます。

Q3. 業務委託契約書はどちらが作成するべきですか?

A. どちらが作成するかを定めた民法の規定はなく、当事者の合意で決まります。ただし、フリーランス法の対象となる発注では、取引条件を書面または電磁的方法で明示する義務は発注事業者にあります(第3条)。発注者が契約書や注文書を用意し、受託者が内容を確認する進め方が、この義務とも整合します。

Q4. 業務委託契約書はなくても大丈夫ですか?

A. 民法上、契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式は必要とされていません(第522条第2項)。ただし、フリーランス法の対象となる発注では、口頭だけで済ませることはできず、取引条件を書面または電磁的方法で明示しなければなりません。契約書がないと、報酬や成果物の範囲をめぐる争いで内容を示しにくくなるため、書面か電磁的記録で残しておくことが現実的です。

Q5. 業務委託契約書のひな形とテンプレートに違いはありますか?

A. どちらも契約書の見本という意味で使われ、この記事では同じものとして扱っています。重要なのは名称ではなく、請負型か準委任型か、改正民法やフリーランス法、取適法に対応しているかを確認し、自社の取引に合わせて書き換えることです。

Q6. 業務委託契約書に収入印紙は必要ですか?

A. 契約書の内容と締結方法によります。請負にあたる内容の紙の契約書は第2号文書、継続的取引の基本となる契約書は第7号文書にあたる場合があります。準委任の内容だけであれば、通常は課税文書にあたりません。電子契約や電子メールで送る電磁的記録は、印紙税の課税対象になりません。判断に迷うときは、税務署や税理士に確認してください。

まとめ|業務委託契約書のテンプレートを使うときの5つのこと

  1. 請負型か準委任型かを決めてから、ひな形を選びます。
  2. 委託業務、報酬、支払期日、成果物の権利、解除の条項を、自社の取引に合わせて書き換えます。
  3. 発注先が個人や従業員のいない法人なら、8つの明示事項、具体的な支払期日、振込手数料の扱い、解除の予告を確認します。
  4. 紙か電子かを決め、印紙税の扱いを確認します。
  5. 契約書の作成、確認、締結、期限管理を支えるサービスを検討し、資料で比較します。

料金やサービス内容は変更される場合があります。最新の情報は各社の公式サイトで確認してください。本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の契約については、弁護士などの専門家にご相談ください。

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